JP2011018011A - 鋳型用フィルム及び防眩性樹脂板の製造方法 - Google Patents

鋳型用フィルム及び防眩性樹脂板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】基材に凹凸形状を付与するため、活性エネルギー線重合性組成物をコーティングして作製した凹凸層を有するフィルムを鋳型用フィルムとして用いた場合、鋳型用フィルムと基材間の活性エネルギー線重合性組成物を硬化して後、鋳型用フィルムの剥離を容易とする。
【解決手段】透明基材フィルム(A)の表面に活性エネルギー線重合性組成物(B)が塗布、硬化された凹凸層を有し、凹凸層の表面に放電処理が施された鋳型用フィルム、並びにフィルム(A)の表面に組成物(B)を塗布、硬化して凹凸層を設けた鋳型用フィルムを作製する第一の工程、鋳型用フィルムの凹凸層の表面に放電処理を施す第二の工程、組成物(C)を介して、鋳型用フィルムの凹凸層の表面と透明樹脂板を貼り合わせる第三の工程、照射により重合性組成物(C)を硬化させる第四の工程、鋳型用フィルムを剥離、除去する第五の工程からなる防眩性樹脂板の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明はこの発明は、コンピュータ、ワードプロセッサ、テレビジョン等の画像表示に用いるCRT、液晶パネル等の高精細画像用ディスプレイの前面に設ける防眩性樹脂板の製造方法に関する。
電子情報に基づいて、静止画像や動画を表示する表示装置(=ディスプレイ)としては様々なものが知られて、現在、市場に出回っているものとしてはCRT、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、もしくはエレクトロルミネッセンスディスプレイ等がある。
ところで、液晶表示装置を駆動して画像を眺める際に、画面に、観察者の背後にあるものが写って見えることがあり、特に、室内の照明装置や、屋外光がある場合には、光源が写って見え、画像の視認性を著しく損なうものである。
また、コンピュータの入力の手段の一つに、タッチパネルがあるが、中でも、表示装置の画面上で操作するタッチパネルは、選択してタッチすべき箇所を、自由に作成して、表示装置の画面に表示できるので、便利である。しかし、タッチ入力する頻度が多いと、指紋の付着や傷付きの原因となる上、種々の耐久性が必要になる。
また、太陽電池モジュールの表面保護部材の外表面に凹凸を形成し、反射光を散乱させることで、反射光が近隣の家屋内やビル内を照らしたりするなどの光公害の問題を解決する旨が記載されている(特許文献1)。しかしながら、この発明では表面保護部材にガラス板を使用するため、太陽電池モジュールが重くなり、屋根に設置する際には家屋の構造を補強する工事が必要になる等の課題があった。
従来から、画面に室内の照明装置や、太陽が写って見えるのを防止する目的では、透明プラスチックフィルム上に、有機質もしくは無機質の微小なビーズを配合した塗料組成物を塗布し、塗布後、乾燥、もしくは固化させて防眩層を形成した防眩性フィルムが用いられている(特許文献2)。しかしながら、この製造方法により製造される防眩性フィルムに使用されている、有機質もしくは無機質の微小なビーズは、使用中に脱落し、防眩性フィルムを擦ることによる傷の発生が避けられない上、製造時、ビーズを配合した塗料組成物を塗布する際に、スジが生じたり、塗布ムラが生ずる等、均一な防眩性を得ることが難しい。また、このようにして得られた防眩性フィルムをタッチパネルの表面材として使用する際に、指やタッチ用ペンで表面を触れると、脱落したビーズが防眩性フィルムを擦るため、傷の発生を助長するものである。さらには塗膜が空気にさらされるため、塵を含む欠陥が発生しやすいといった問題点があった。
そこで、硬度を備えた防眩層を持つ光学積層体の作製方法として所望の凹凸を有するフィルムを鋳型としてフィルムと基材間に活性エネルギー線重合性組成物を注入し、硬化させ、該フィルムを剥離することで目的の凹凸を有する防眩性樹脂板の製造方法が開示されている(特許文献1)。しかし、賦型フィルムとして微粒子を練り込んだマットフィルムを使用した場合、表面が白みがかる「白ちゃけ」と呼ばれる欠陥が出てしまう。一方、表面に光硬化性樹脂をコーティングして作製したフィルムを鋳型フィルムとして用いた場合、白ちゃけの少ない凹凸表面を持つ防眩性樹脂板の製造が可能だが、該フィルムと基材間に注入した活性エネルギー線重合性組成物を硬化した後、鋳型フィルムの剥離が困難になるという問題点があった。
特開2001−57439号公報 特開2004−341553号公報
基材に凹凸形状を付与するため、活性エネルギー線重合性組成物をコーティングして作製した凹凸層を有するフィルムを鋳型用フィルムとして用いた場合、鋳型フィルムと基材間の活性エネルギー線重合性組成物を硬化して後、鋳型フィルムの剥離を容易とすることを課題とする。
従来技術の欠点を解決するため、鋭意検討した結果、コーティングにより形成した凹凸面を有する、鋳型用フィルムの凹凸層に対して、鋳型フィルムに対して通常、基材−硬化液間の密着性向上を目的として行うコロナ処理、プラズマ処理を行うことにより、驚くべきことに活性エネルギー線重合性組成物の硬化物との剥離性が向上することを見出し本発明となった。
即ち、本発明は、透明基材フィルム(A)の少なくとも一方の表面に活性エネルギー線重合性組成物(B)が塗布及び硬化された凹凸層を有し、凹凸層の表面に対して放電処理が施された鋳型用フィルムである。
また本発明は、透明基材フィルム(A)の少なくとも一方の表面に活性エネルギー線重合性組成物(B)を塗布及び硬化して凹凸層を設けた鋳型用フィルムを作製する第一の工程、鋳型用フィルムの凹凸層の表面に対し、放電処理を施す第二の工程、活性エネルギー線重合性組成物(C)を介して、鋳型用フィルムの凹凸層の表面と透明樹脂板を貼り合わせる第三の工程、活性エネルギー線の照射により活性エネルギー線重合性組成物(C)を硬化させる第四の工程、鋳型用フィルムを剥離、除去する第五の工程からなる防眩性樹脂板の製造方法である。
本発明によれば、鋳型用フィルムの、活性エネルギー線重合性組成物の硬化物からの剥離性を向上させることができる。また本発明の製造方法よれば、防眩性樹脂板の防眩層の耐擦傷性、基材との密着性を良好とすることができる。本発明の製造方法で得られた防眩性樹脂板は画像表示装置の前面板として好適に使用できる。更に、太陽光の反射を散乱させることから、太陽電池モジュールの表面保護部材としても好適に使用できる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
鋳型用フィルムは、透明基材フィルム(A)の少なくとも一方の表面に活性エネルギー線重合性組成物(B)が塗布及び硬化された凹凸層を有し、凹凸層の表面(以下、「凹凸面」という。)に対して放電処理が施されたものである。
以下の記載において量比を表す「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準とする。
本発明の鋳型用フィルムに使用するの透明基材フィルム(A)は、透明性、耐溶剤性に優れ、酸素透過性の低いものが好ましい。例えば、PETフィルム、ナイロンフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリル系フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系フィルム、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系フィルム、ポリ塩化ビニリデン系フィルム等が挙げられる。特に好ましいものとしては、PETフィルムが挙げられる。フィルムの厚みは、フィルム強度を維持する目的で1μm以上が好ましく、取り扱い性、コスト等の点で200μm以下が好ましい。また、凹凸層の密着性を確保する観点から表面に各種の易接着加工を施したものが好ましい。
鋳型用フィルムの凹凸層を形成するための、活性エネルギー線重合性組成物(B)としては、紫外線等の活性エネルギー線の照射により、硬化するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物を含んだ組成物(コーティング剤)とすることができる。;該組成物はシリコーン系やメラミン系化合物を含んでもよい。
中でも、分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性化合物と、光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化型の組成物が硬化速度が速く生産性に優れるため好ましい。
活性エネルギー線重合性組成物(B)を構成する、重合性化合物の好適なものとしては、1モルの多価アルコールと、2モル以上の(メタ)アクリル酸またはそれらの誘導体とから得られるエステル化物;多価アルコールと多価カルボン酸またはその無水物と(メタ)アクリル酸またはそれらの誘導体とから得られる、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する線状のエステル化物;3量化により得られるポリイソシアネート1モル当たりに、活性水素を有するアクリルモノマー3モル以上を反応させて得られる化合物等を挙げることができる。具体的には、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート;1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート等の1モルの多価アルコールと、2モル以上の(メタ)アクリル酸とから得られるエステル化物を挙げることができる。
また、マロン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、コハク酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、フマル酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、フマル酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、フマル酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、フマル酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸等の多価アルコールと多価カルボン酸またはその無水物と(メタ)アクリル酸とから得られる、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する直鎖状のエステル化物を挙げることができる。
また、3量化により得られるポリイソシアネート(たとえば、トリメチロールプロパントルイレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等)と、活性水素を有するアクリルモノマー(たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、1,2,3−プロパントリオール−1,3−ジ(メタ)アクリレート、3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等)とを、ポリイソシアネート1モル当たりにアクリルモノマー3モル以上を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート等のポリ[(メタ)アクリロイルオキシエチレン]イソシアヌレート;公知のエポキシポリアクリレート;公知のウレタンポリアクリレート等を挙げることができる。上述した重合性化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤は、特に限定されるものではなく、たとえばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトイン、ブチロイン、トルオイン、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド等を挙げることができる。上述した光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤の添加量は、重合性化合物100質量部に対し、0.1〜10質量部であることが好ましい。0.1質量部以上であると、活性エネルギー線重合性組成物の硬化性が向上する傾向がある。また、10質量部以下であると、硬化後の着色が発生しない傾向がある。
鋳型用フィルムの凹凸層を形成するための、活性エネルギー線重合性組成物(B)は必要に応じて溶剤を含んでもよい。溶剤は活性エネルギー線重合性組成物(B)を構成する重合性化合物を溶解すると共に、透明基材フィルム(A)を白化させないものが好ましく、例えば、アセトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸第二ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸第二アミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、乳酸メチルなどのケトン類またはカルボン酸エステル類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノールなどのアルコール類を挙げることができる。これらの溶剤は単一でも2成分以上の混合物でもよい。
さらに、活性エネルギー線重合性組成物(B)は必要に応じて従来から使用されている種々の添加剤を添加してもよい。添加剤としては、界面活性剤、レベリング剤、染料、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、難燃剤、可塑剤等を挙げることができる。
鋳型用フィルムの製造方法の一つとしては、透明基材フィルム(A)上に溶剤を含む活性エネルギー線重合性組成物(B)と凹凸形成のための微粒子との混合物を塗工し、乾燥させて溶剤を揮発させた上で、活性エネルギー線を照射して活性エネルギー線重合性組成物と微粒子の混合物を硬化させることで、表面に凹凸の皮膜を形成する方法がある。
微粒子は有機微粒子または無機微粒子を使用することができる。有機微粒子としては、例えば、アクリル樹脂(PMMA)、ポリスチレン(PS)、アクリル−スチレン共重合体、メラミン樹脂、ポリカーボート(PC)などを用いることができる。有機微粒子は、架橋や未架橋などの特性には特に限定されるものではなく、任意に選択できる。また、無機微粒子としては、例えば、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウムなどからなるものを用いることができる。これらの無機微粒子に対して例えばシランカップリング処理等の有機物処理を施すことにより、該微粒子が有機物に分散し易くすることが好ましい。
微粒子の大きさは、適宜選択することができる。例えば、本鋳型用フィルムを用いて後述の防眩性樹脂板を製造する場合、該樹脂板の表面凹凸形状としては、表面中心線平均粗さが0.05〜0.3μm、表面凹凸ピッチが30〜200μmであることが好ましく、このようになる粒子径の微粒子を用いることになる。
活性エネルギー線重合性組成物(B)の塗工方法は、特に限定されるものではなく、公知の塗工方法を用いることができる。塗工方法としては、例えば、マイクログラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ダイレクトグラビアコート法、ダイコート法、ディップ法、スプレーコート法、リバースロールコート法、カーテンコート法、コンマコート法、ナイフコート法、スピンコート法などが挙げられる。
活性エネルギー線重合性組成物(B)の乾燥後の平均膜厚は、好ましくは3μm以上であることが好ましく、4μm以上であることがより好ましい。また30μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。膜厚が薄すぎると、所望の凹凸を得ることが困難となり、膜厚が厚すぎると、大きくカールすることがある。
乾燥条件は特に限定されるものではなく、自然乾燥であっても、乾燥温度や乾燥時間などの調整による人工的乾燥であってもよい。但し、乾燥時に塗料表面に風を当てる場合、塗膜表面に風紋が生じないようすることが好ましい。風紋が生じると防眩層表面に所望のなだらかなうねりの微細凹凸形状が形成されにくくなる傾向があり、防眩性とコントラストとを両立することが困難になるからである。また、乾燥温度および乾燥時間は塗料中に含まれる溶剤の沸点によって適宜決定することが可能である。その場合、乾燥温度および乾燥時間は、透明基材フィルムの耐熱性を配慮し、熱収縮により透明基材フィルム(A)の変形が起きない範囲で選定することが好ましい。
乾燥後の活性エネルギー線重合性組成物(B)は活性エネルギー線を照射することによって硬化する。
活性エネルギー線としては紫外線が好ましく、活性エネルギー線の光源としては、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、高周波誘導水銀ランプ、ケミカルランプ等が適している。
積算照射量は、重合性組成物の硬化特性などを考慮して適宜選択することが好ましい。また、照射の雰囲気としては、樹脂硬化の程度に応じて適宜選択することができ、例えば、窒素、アルゴンなどの不活性ガス、または空気の雰囲気が挙げられる。
また、鋳型用フィルムの他の製造方法としては、表面に凹凸形状を有する原版の該凹凸形状を、活性エネルギー線重合性組成物(B)に転写することで凹凸層の凹凸形状を形成する方法が挙げられる。即ち、透明基材フィルム(A)の任意の面に活性エネルギー線重合性組成物(B)を塗工し、表面に凹凸形状を有するエンボスローラーまたは平板状のエンボス板等の凹凸鋳型を活性エネルギー線重合性組成物(B)を介して透明基材フィルム(A)に圧着させ、透明基材フィルム(A)を介して活性エネルギー線を照射して、活性エネルギー線重合性組成物(B)を硬化させ、該凹凸鋳型から透明基材フィルム(A)を活性エネルギー線重合性組成物(B)の硬化膜とともに剥離することで、表面に凹凸形状を転写した鋳型用フィルムを製造することができる。
エンボスローラーまたは平板状のエンボス板等に形成されている凹凸型面は、良好な光学特性を発現する凹凸形状を形成できる方法であれば、特に限定されないが、例えばメッキ処理をした金属ロールもしくは平板にサンドブラスト法またはビーズショット法によって表面を荒らすことにより得ることができる。
透明基材フィルム(A)の少なくとも一方の表面に対する活性エネルギー線重合性組成物(B)を塗布し、硬化させる方法は前記の方法が使用できる。
本発明の鋳型用フィルムは、凹凸面に対して放電処理を施す。この放電処理により鋳型用フィルムの、活性エネルギー線重合性組成物の硬化皮膜からの良好な剥離性を得ることができる。本発明の鋳型用フィルムに対する放電処理としてはコロナ処理もしくはプラズマ処理を用いることができる。
コロナ処理は、通常のコロナ処理装置を使用して処理することができる。コロナ処理の一例を以下に示す。即ち、電気絶縁されたベルトとベルト上方に近接させて配置した電極からなるコロナ処理装置を用いて、該電極に高エネルギーを作用させてコロナ放電させ、ベルト上に凹凸面を上面として配置した鋳型用フィルムを電極下を通すことにより鋳型用フィルムの凹凸面にコロナ処理を施す。
この時の鋳型用フィルムに対する照射エネルギーは10W・分/m以上200W・分/m以下が好ましい。照射エネルギーが低すぎると性能が十分に発揮されず、照射エネルギーが高すぎるとフィルム外観に影響が出ることがある。また、鋳型用フィルムと電極のクリアランスはコロナ放電を安定に発生させるために5mm以下が好ましい。
プラズマ処理は、通常のプラズマ処理装置を使用して処理することができるが、大気圧プラズマ処理装置が操作上、簡便であることから好ましい。中でもリモート法、ダイレクト法いずれでもよいが、均一な処理が得られる点でダイレクト法が好ましい。
大気圧プラズマ処理装置の構成の一例を以下に示す。即ち処理用のチャンバー内に上部電極と下部電極からなる一対の対向電極を備え、少なくとも一方の電極の対向面が誘電体で被覆されたものである。プラズマが発生する部位は、対向電極のいずれか一方のみに誘電体が被覆された場合には誘電体と電極の間であり、いずれにも誘電体が被覆された場合には誘電体間である。このようなプラズマ処理装置の対向電極間に鋳型用フィルムを配置し、電源部に高周波電力を印加して対向電極間にプラズマを発生させ、表面をプラズマ処理する。
対向電極の対向面間の距離(最短距離)は、処理される鋳型用フィルムの厚さ、被覆された誘電体の厚さ、印加される電圧の大きさ等を考慮して決定されるが、対向電極の一方のみに誘電体が被覆された場合、両方に誘電体が被覆された場合のいずれにおいても、50mm以下であることが好ましい。最短距離が50mm以下であると、均一な放電プラズマを発生させることができる。
対向電極間に印加する高周波電力の周波数は、1kHz以上であることが好ましい。また10MHz以下であることが好ましく、500kHz以下であることがより好ましい。電力面密度は2.0W/cm以上であることが好ましく、30.0W/cm以下であることが好ましい。となる範囲に制御する。周波数が1kHz以上500kHz以下であると、鋳型用フィルムの処理時の変形や劣化が抑制される。また、電力面密度が30.0W/cm以下であると、プラズマ照射熱による鋳型用フィルムの変形を抑制することができる。なお、電力面密度とは、一対の対向電極間に投入する電力をプラズマと接している一方の電極の表面積で割った値である。
次に防眩性樹脂板の製造方法について説明する。
即ち、透明基材フィルム(A)の少なくとも一方の表面に活性エネルギー線重合性組成物(B)を塗布及び硬化して凹凸層を設けた鋳型用フィルムを作製する第一の工程、鋳型用フィルムの凹凸層の表面に対し、放電処理を施す第二の工程、活性エネルギー線重合性組成物(C)を介して、鋳型用フィルムの凹凸層の表面と透明樹脂板を貼り合わせる第三の工程、活性エネルギー線の照射により活性エネルギー線重合性組成物(C)を硬化させる第四の工程、鋳型用フィルムを剥離、除去する第五の工程からなる防眩性樹脂板の製造方法である。
防眩性樹脂板を製造する際に使用する透明樹脂板としては、トリアセテートセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース、ポリエーテルサルホン、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、(メタ)アクリルロニトリル等からなる樹脂板を用いることができる。
本発明の防眩性樹脂板の製造で使用する活性エネルギー線重合性組成物(C)は、紫外線等の活性エネルギー線の照射により、硬化するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば2つ以上のアクリロイル基、メタクリロイル基を含んだ組成物が挙げられる。該組成物は、シリコーン系やメラミン系化合物を含んでもよい。
中でも、光硬化性組成物が好ましく、分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性化合物と、光重合開始剤との混合物がより好ましく、活性エネルギー線重合性組成物(C)を構成する、重合性化合物と光重合開始剤の具体例としては、活性エネルギー線重合性組成物(B)で例示したものが使用できる。
本発明の防眩性樹脂板の製造において、鋳型用フィルムの凹凸面と透明樹脂板を活性エネルギー線重合性組成物(C)を介して貼り合せる工程において、活性エネルギー線重合性組成物(C)は鋳型用フィルムの凹凸面、もしくは透明樹脂板のいずれかに塗工すればよく、その塗工法としてはバーコーター法、アプリケーター法、カーテンフローコーター法、ロールコーター法等、公知の方法を適用可能である。その後、プレスロールで圧接し、透明樹脂板上に一定膜厚に圧延する。活性エネルギー線重合性組成物(C)の膜厚としては、硬度の観点より1μm以上であることが好ましく、得られる防眩性樹脂板の反りや作製される硬化膜のクラック等の欠陥を抑制する観点より50μm以下であることが好ましい。
鋳型用フィルムと透明樹脂板を活性エネルギー線重合性組成物(C)を介して貼り合わせる前記第三の工程において、活性エネルギー線重合性組成物(C)の硬化膜と透明樹脂板の良好な密着性を得るという観点から、40℃以上の温度で貼り合せることが好ましい。また、得られる防眩性樹脂板の耐擦傷性を維持する観点から、70℃以下の温度で貼り合わせることが好ましい。また、活性エネルギー線重合性組成物(C)の硬化膜と透明樹脂板の良好な密着性を得るという観点から、貼り合せたその温度において30秒以上保持することが好ましい。また、得られる防眩性樹脂板の耐擦傷性を維持する観点から、貼り合せたその温度において120秒以下保持することが好ましい。
本発明では、鋳型用フィルムと透明樹脂板を貼り合せた後、鋳型用フィルムを介して、活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線重合性組成物(C)を硬化させ、凹凸を有する硬化膜を形成する。
活性エネルギー線及びその光源としては、前記活性エネルギー線重合性組成物(B)を硬化させる時に使用するものと同様のものが使用できる。活性エネルギー線の照射エネルギーとしては、硬化膜と透明樹脂板の密着性を確保する点から、300mJ/cm以上とすることが好ましい。該照射エネルギーは、光源の種類、光源と樹脂フィルム面との距離、照射時間を適宜選択することにより調整できる。
本発明の防眩性樹脂板の製造において、活性エネルギー線重合性組成物(C)を硬化した後に、鋳型用フィルムを剥離する。これにより透明樹脂板の表面に耐擦傷性を有する硬化被膜が形成された、防眩性樹脂板を得ることができる。
本発明において、硬化被膜の耐擦傷性をさらに向上させる目的で、鋳型用フィルム剥離の後に、硬化被膜を形成した防眩性樹脂板に活性エネルギー線をさらに照射することが可能である。
本発明の製造方法で得られた防眩性樹脂板はCRT、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、もしくは電子ペーパー等の画像表示装置の前面板として好適に使用できる。さらに、太陽電池モジュールの表面保護樹脂板としても使用できる。この場合における太陽電池モジュールの構造は特に限定されないが、例えば、光入射面から、防眩層を表面とした防眩性表面保護樹脂板、充填材、光起電力素子、充填材、裏面保護シートの順に積層された公知の構成とすることが出来る。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。ここで、実施例、比較例で使用した化合物の略称は以下の通りである。
M400:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート M−400(東亞合成(株)製)
TAS:トリメチロールエタン・アクリル酸・無水コハク酸縮合エステル(大阪有機(株)製)
M−305:ペンタエリスルトールトリ/テトラアクリレート(東亞合成(株)製)
C6DA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業(株)社製)
ルシリンTPO:ジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(BASFジャパン(株)社製)
IRGACURE907:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバジャパン(株)製)
ダロキュア1173:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(チバジャパン(株)製)
トスパール120:シリカ粒子 粒子系1.9μm(GE東芝シリコーン社製)
KBM503:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン(株)製)
MBX−5:架橋PMMA微粒子 平均粒子径5μm(積水化成品工業(株)製テクポリマー)
MSX−6:架橋スチレン微粒子 平均粒子径6μm(積水化成品工業(株)製テクポリマー)
ビスコート#192:フェノキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業(株)社製)
エポキシエステル3000A:ビスフェノールA−ジエポキシ−アクリレート(共栄社油脂化学工業社製)
コスモシャインA4100:PETフィルム(東洋紡績(株)社製)
アクリライトL:アクリル樹脂板(三菱レイヨン(株)製)
また、実施例、比較例で行った評価方法は下記の通りである。
(剥離性試験)
活性エネルギー線重合性組成物(C)を硬化した後に、鋳型用フィルムを剥離しようとした際に剥離すれば○、フィルムが破れる等、剥離できなかった場合は×として評価した。
(密着性試験)
防眩性樹脂板の凹凸面に目通しカッター(商品名、コーテック(株)製)を用いて、カッターで100マスをカットし、セロハンテープ(商品名:CT−24、ニチバン(株))を用いて、剥離試験を実施して、凹凸層の未剥離マスの数で密着性を以下の基準で評価した。
剥離しない ○
一部剥離する ×
(耐擦傷性)
防眩性樹脂板の凹凸面の擦傷試験の前後におけるヘーズの変化(Δヘーズ)をもって評価した。即ち、#000のスチールウール(商品名:「ボンスター No.000」、日本スチールウール(株)製)を装着した直径24mmの円形パッドをサンプルの防眩性樹脂板の凹凸面上に置き、2000gの荷重下で、20mmの距離を100回往復擦傷する。擦傷前と擦傷後のヘーズ値の差を下記式(1)より求めた。
[Δヘーズ(%)]=[擦傷後ヘーズ値(%)]−[擦傷前ヘーズ値(%)] ・・・(1)
(防眩性)
防眩性樹脂板の凹凸面に対して45°の方向の3m離れた位置に60Wの蛍光灯を配置し、該蛍光灯の光の正反射像を観察し、像の鮮明性を目視により評価した。蛍光灯の像が見えないと、防眩性良好とした。
(実施例1)
M400 100質量部
MBX−5 10質量部
イルガキュア907 5質量部
メチルエチルケトン 150質量部
上記原料からなる活性エネルギー線重合性組成物(B)をバーコーターにて、厚さ100μmのコスモシャインA4100易接着面上に、乾燥膜厚が15μmとなるように塗布し、80℃で5分間乾燥した。その後、出力120W/cmの高圧水銀灯を用いて、活性エネルギー線800mJ/cmを照射することによって硬化させ凹凸形状を有する防眩層が形成された鋳型用フィルムを得た。
搬送ベルト上に配置した、厚さ1mm、長さ260mmのSUS製電極に対してNavitas製 コロナ処理装置POLYDYNEを用いて印加電圧 11.6kVをかけ、コロナ放電を起こし、凹凸面を上面にして搬送ベルト上に配置した鋳型用フィルムを、鋳型用フィルム−電極間ギャップ 3mm、搬送速度2.0m/minで電極下部を通すこ
とでコロナ処理を実施した。かかる条件における鋳型用フィルムに対する照射エネルギーは100W・分/mであった。
M400 25質量部
TAS 30質量部
M−305 35質量部
C6DA 10質量部
ルシリンTPO 2質量部
上記原料からなる活性エネルギー線重合性組成物(C)を、予め約70℃に加熱した樹脂板(アクリライトL)上に塗工し、上記鋳型用フィルムを凹凸面を内面として被せ、プレスロールで圧接し活性エネルギー線重合性組成物(C)の厚みを12μmとなるように展延した。前記樹脂板に被せた鋳型用フィルムの表面温度を非接触式赤外線温度計で測定すると60℃であり、その温度において60秒保持した後、出力84W/cmのメタルハライドランプを用いて、積算光量で800mJ/cmの紫外線を前記フィルム側から照射することによって活性エネルギー線重合性組成物(C)を硬化させた。硬化後鋳型用フィルムを剥離することで防眩性樹脂板を得た。鋳型用フィルムの剥離性は良好であり、得られた防眩性樹脂板の凹凸層(防眩層)は、良好な耐擦傷性を有し、樹脂板との密着性も良好であった。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1の鋳型用フィルムに対するコロナ放電処理を、Navitas製 コロナ処理装置POLYDYNEを用いて印加電圧を 9.3kVに変更し、コロナ放電を起こし、凹凸面を上面にして搬送ベルト上に配置した鋳型用フィルムを、鋳型用フィルム−電極間ギャップ 3mm、搬送速度2.0m/minで電極下部を通すことでコロナ処理を実施
した以外は実施例1と同様の方法で鋳型用フィルムを作成した。かかる条件におけるコロナ処理の鋳型用フィルムに対する照射エネルギーは50W・分/mであった。それを用いて実施例1と同様の方法で防眩性樹脂板を得た。鋳型用フィルムの剥離性は良好であり、得られた防眩性樹脂板の防眩層は、良好な耐擦傷性を有し、樹脂板との密着性も良好であった。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1の鋳型用フィルムに対する放電処理を、20×20×200mmのSUS製電極表面に、厚さ1mmの酸化アルミニウムを溶射したものを用いた上部電極と、200×200×20mmのSUS製電極表面に、厚さ1mmの酸化アルミニウムを溶射したものを用いた移動可能な下部電極を備える大気圧プラズマ処理装置を用いた。下部電極上に凹凸面を上面にして鋳型用フィルムを乗せ、電極間に処理ガス:He/O=3.0/0.04L/minの供給速度にてガスを導入し、出力100kHz、2.5W/cmにてプラズマを発生させ、搬送速度2.0m/min、処理時間0.6秒、電極間隔2.0mmとなるよう、前記下部電極を移動させて、実施した以外は実施例1と同様の方法で鋳型用フィルムを作製し、それを用いて実施例1と同様の方法で防眩性樹脂板を得た。鋳型用フィルムの剥離性は良好であり、得られた防眩性樹脂板の防眩層は、良好な耐擦傷性を有し、樹脂板との密着性も良好であった。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1の微粒子MBX−5をMSX−6に変更した以外は、実施例1と同様の方法で鋳型用フィルムを作成し、それを用いて実施例1と同様の方法で防眩性樹脂板を得た。鋳型用フィルムの剥離性は良好であり、得られた防眩性樹脂板の防眩層は、良好な耐擦傷性を有し、樹脂板との密着性も良好であった。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1の微粒子MBX−5をKBM503にて疎水化処理を実施したトスパール120に変更した以外は実施例1と同様の方法で鋳型用フィルムを作成し、それを用いて実施例1と同様の方法で防眩性樹脂板を得た。鋳型用フィルムの剥離性は良好であり、得られた防眩性樹脂板の防眩層は、良好な耐擦傷性を有し、樹脂板との密着性も良好であった。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1の鋳型用フィルムの作製方法で、ロール状の鉄部材の外周面に厚さ300μmの銅めっきを施し、さらに銅の酸化防止のために銅めっき上にニッケルめっきを施したロ−ル状部材に中心粒径15〜20μm、上限粒径21μmのガラス微粒子を吐出させてブラスト処理を施し、外周面に微細凹凸構造を有するロール状金型を得た。
ビスコート#192 50重量部
エポキシエステル3000A 50重量部
ダロキュア1173 1.5重量部
上記原料の活性エネルギー線重合性組成物(B)を該ロール状金型と厚さ100μmのPETフィルム(コスモシャインA4100)の易接着面との間に注入し、出力120W/cmの高圧水銀灯を用いて、活性エネルギー線800mJ/cmを前記フィルム側より照射することによって硬化させた後、前記フィルムを金型より剥離することで凹凸形状を有する防眩層(凹凸層)が形成された鋳型用フィルムを得た。次いで実施例1と同様の方法で鋳型用フィルムの凹凸面にコロナ処理を実施し、それを用いて実施例1と同様の方法で防眩性樹脂板を得た。鋳型用フィルムの剥離性は良好であり、得られた防眩性樹脂板の防眩層は、良好な耐擦傷性を有し、樹脂板との密着性も良好であった。結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例1におけるアクリライトLに塗工した活性エネルギー線重合性組成物(B)と鋳型用フィルムの圧接時の保持温度を20℃にした以外は、実施例1と同様の方法で防眩性樹脂板を得た。鋳型用フィルムの剥離性は良好であったが、アクリル板と硬化膜が密着しておらず、密着性試験を実施したところ防眩層が剥離してしまった。結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例1におけるアクリライトLに塗工したエネルギー線重合性組成物(B)と鋳型用フィルムの圧接時の保持温度を100℃にした以外は、実施例1と同様の方法で防眩性樹脂板を得た。鋳型用フィルムの剥離性は良好であったが、活性エネルギー線で硬化する際に樹脂板が熱で変形し、得られた硬化膜に対する耐擦傷性試験の結果も値が低下した。結果を表1に示す。
(実施例9)
実施例1におけるアクリライトLに塗工したエネルギー線重合性組成物(B)と鋳型用フィルムの圧接時の保持時間を15秒にした以外は、実施例1と同様の方法で防眩性樹脂板を得た。鋳型用フィルムの剥離性は良好であったが、アクリル板と硬化膜が密着しておらず、密着性試験を実施したところ防眩層が剥離してしまった。結果を表1に示す。
(実施例10)
実施例1におけるアクリライトLに塗工したエネルギー線重合性組成物(B)と鋳型用フィルムの圧接時の保持時間を10分にした以外は、実施例1と同様の方法で防眩性樹脂板を得た。鋳型用フィルムの剥離性は良好であったが、得られた硬化膜に対する耐擦傷性試験の結果の値が低下した。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1におけるコロナ処理を省いた以外は実施例1と同様の方法で防眩性樹脂板を得ようとしたが、活性エネルギー線重合性組成物(C)の層を硬化させた後、鋳型用フィルムが活性エネルギー線重合性組成物(C)を硬化した層から剥離ができなかった。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例4におけるコロナ処理を省いた以外は実施例4と同様の方法で防眩性樹脂板を得ようとしたが、活性エネルギー線重合性組成物(C)の層を硬化させた後、鋳型用フィルムが活性エネルギー線重合性組成物(C)を硬化した層から剥離ができなかった。結果を表1に示す。
なお、実施例1〜10で得られた防眩性樹脂板の防眩性はいずれも良好であった。比較例1、2では防眩性樹脂板が得られず、防眩性の評価はできなかった。結果を表1に示す。
Figure 2011018011
本発明によれば、凹凸形状を付与する鋳型用フィルムとして、広く適用できる。

Claims (11)

  1. 透明基材フィルム(A)の少なくとも一方の表面に活性エネルギー線重合性組成物(B)が塗布及び硬化された凹凸層を有し、凹凸層の表面に対して放電処理が施された鋳型用フィルム。
  2. 放電処理がコロナ処理である請求項1記載の鋳型用フィルム。
  3. 放電処理がプラズマ処理である請求項1記載の鋳型用フィルム。
  4. 活性エネルギー線重合性組成物(B)が分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する架橋反応性化合物を含む請求項1〜3のいずれかに記載の鋳型用フィルム。
  5. 活性エネルギー線重合性組成物(B)が有機微粒子もしくは無機微粒子を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の鋳型用フィルム。
  6. 表面に凹凸形状を有する原版の該凹凸形状を、活性エネルギー線重合性組成物(B)に転写することで凹凸層の凹凸形状を形成する請求項1〜4のいずれかに記載の鋳型用フィルム。
  7. 透明基材フィルム(A)の少なくとも一方の表面に活性エネルギー線重合性組成物(B)を塗布及び硬化して凹凸層を設けた鋳型用フィルムを作製する第一の工程、鋳型用フィルムの凹凸層の表面に対し、放電処理を施す第二の工程、活性エネルギー線重合性組成物(C)を介して、鋳型用フィルムの凹凸層の表面と透明樹脂板を貼り合わせる第三の工程、活性エネルギー線の照射により活性エネルギー線重合性組成物(C)を硬化させる第四の工程、鋳型用フィルムを剥離、除去する第五の工程からなる防眩性樹脂板の製造方法。
  8. 放電処理がコロナ処理である請求項7記載の防眩性樹脂板の製造方法。
  9. 放電処理がプラズマ処理である請求項7記載の防眩性樹脂板の製造方法。
  10. 樹脂板と鋳型用フィルムを貼り合わせる第三の工程において、透明樹脂板と活性エネルギー線重合性組成物(C)を40℃〜70℃の温度で貼り合せ、その温度において30秒〜120秒保持する請求項7〜9のいずれかに記載の防眩性樹脂板の製造方法。
  11. 活性エネルギー線重合性組成物(B)が分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する架橋反応性化合物であり、各(メタ)アクリロイルオキシ基と結合する残基は、炭化水素基またはその誘導体である化合物からなる鋳型用フィルムを用いる請求項7〜10のいずれかに記載の防眩性樹脂板の製造方法。
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