JP2008207528A - 着色物の製造方法およびインクジェット記録装置 - Google Patents

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【課題】インクの付与量およびスジむらが抑制された着色物の製造方法、および、それに用いるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】インク付与面にプラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理よりなる群から選択される濡れ性向上化処理を行う工程、該処理面にインクジェット方式により紫外線硬化型インクを付与する工程、および、付与された紫外線硬化型インクに紫外線を照射する工程を、主走査毎もしくは色毎に繰り返して行う着色物の製造方法である。また、プラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理よりなる群から選択される濡れ性向上化処理を行う処理装置、紫外線硬化型インクヘッドおよび紫外線照射装置を直線状に有する直線式インクヘッドを備えたインクジェット記録装置である。
【選択図】図1

Description

本発明は、着色物の製造方法およびそれに用いるインクジェット記録装置に関する。さらに詳細には、インクの付与量およびスジむらが抑制された着色物の製造方法、および、それに用いるインクジェット記録装置に関する。
近年、水系または溶剤系インクジェットプリント以外の技術として、紫外線硬化型樹脂を用いたインクジェットプリントが研究されている。この紫外線硬化型樹脂は、紫外線照射されることにより樹脂が瞬時に硬化する特徴を有しているため、記録基材に対してインク受容層を必要としないというメリットがある。このメリットのために、前記紫外線硬化型樹脂の使用は、紙への着色には留まらず、フィルム、プラスチック、金属およびガラスなど、様々な素材への着色材としての応用が検討されている。
ところで、近年、インクジェットプリントにおいて、高解像度、高品位の印刷に対する要求が高まっており、基材に対するインクの付与量が多くなる傾向にある。紫外線硬化型樹脂を使用する場合であっても、その傾向が顕著に見られる。
しかし、インクの付与量が増えると、記録速度が低下したり、生産コストが高くなるという問題がある。
インクの付与量を抑えるために、基材に対して濡れ性向上化処理を施し、付与されたインクドット径を広げることが行われている。しかし、インクを重ね打ちする場合は、インクの上にさらにインクを付与するため、後に付与されたインクは、基材に施された濡れ性向上化処理の効果を得られずに広がることができない。
また、インクジェットの高記録速度と高画質とを両立させる方法として、特許文献1および2には、記録用のインクとは別に、ドット径を広げるための補助剤をインクジェットにより付与することが記載されている。しかし、この方法もインクを重ね打ちする場合については考慮されておらず、さらに紫外線硬化型のインクを使用したものでもない。
特開平9−39371号公報 特開平11−268398号公報
本発明は、インクの付与量およびスジむらが抑制された着色物の製造方法、および、それに用いるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、インク付与面にプラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理よりなる群から選択される濡れ性向上化処理を行う工程、該処理面にインクジェット方式により紫外線硬化型インクを付与する工程、および、付与された紫外線硬化型インクに紫外線を照射する工程を、繰り返して行う着色物の製造方法に関する。
前記濡れ性向上化処理を行う処理装置、紫外線硬化型インクヘッドおよび紫外線照射装置を直線状に有する走査型のインクヘッドを使用して、前記濡れ性向上化処理を行う工程、該処理面にインクジェット方式により紫外線硬化型インクを付与する工程、および、付与された紫外線硬化型インクに紫外線を照射する工程を、主走査毎に繰り返して行うのが好ましい。
前記濡れ性向上化処理を行う処理装置、紫外線硬化型インクヘッドおよび紫外線照射装置を直線状に有する固定型のインクヘッドを使用して、前記濡れ性向上化処理を行う工程、該処理面にインクジェット方式により紫外線硬化型インクを付与する工程、および、付与された紫外線硬化型インクに紫外線を照射する工程を、色毎に繰り返して行うのが好ましい。
前記紫外線硬化型インクが、着色剤、反応性モノマーおよび/または反応性オリゴマー、および光重合開始剤を含有することが好ましい。
また、本発明は、プラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理よりなる群から選択される濡れ性向上化処理を行う処理装置、紫外線硬化型インクヘッドおよび紫外線照射装置を直線状に有する直線式インクヘッドを備えたインクジェット記録装置に関する。
ヘッド走査型であることが好ましい。
ヘッド固定型であることが好ましい。
本発明の製造方法および装置によれば、主走査毎もしくは色毎に繰り返してインク付与面の濡れ性向上化処理を行うため、重ね打ちする場合にもインクの付与量およびスジむらを抑制することができる。
本発明の着色物の製造方法は、インク付与面にプラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理よりなる群から選択される濡れ性向上化処理を行う工程、該処理面にインクジェット方式により紫外線硬化型インクを付与する工程、および、付与された紫外線硬化型インクに紫外線を照射する工程を、主走査毎もしくは色毎に繰り返して行うことを特徴とするものである。
ここで、「インク付与面」とは、インクが付与される面のこという。インク付与面には、記録基材面、各色の硬化された紫外線硬化型インク層面が含まれる。
また、「主走査毎もしくは色毎」とは、ヘッド走査型のプリンタにおいては主走査毎に、ヘッド固定型のプリンタ(ライン型のプリンタ)においては色毎に、ということである。
ここで、ヘッド走査型のプリンタ(シリアル型のプリンタ)において主走査とは、走査型インクヘッドが同一ライン上を移動することをいい、走査型インクヘッドが、副走査方向に移動しないで、左から右へ1回移動する態様、左から右へ複数回移動する態様、右から左へ1回移動する態様、右から左へ複数回移動する態様、1往復する態様、複数回往復する態様等が含まれる。主走査毎とは、走査型インクヘッドが一つのラインから別のラインに移動する毎に(副走査方向の移動が行われる毎に)という意味である。このような走査型インクヘッドの主走査毎に、前記濡れ性向上化処理を行う工程、該処理面にインクジェット方式により紫外線硬化型インクを付与する工程、および、付与された紫外線硬化型インクに紫外線を照射する工程を、繰り返して行う。
ヘッド固定型のプリンタ(ライン型のプリンタ)の場合、通常1ラインの印刷(印刷基材を移動させない状態での印刷)毎に色替えが行われ、この色替毎に前記濡れ性向上化処理を行う工程、該処理面にインクジェット方式により紫外線硬化型インクを付与する工程、および、付与された紫外線硬化型インクに紫外線を照射する工程を、繰り返して行う。
プラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理よりなる群から選択される濡れ性向上化処理、インク付与およびインク硬化の一連の処理を主走査毎もしくは色毎に繰り返して行うことにより、付与されるすべてのインクについて同じように濡れ性向上化処理の効果を与えることができるため、結果的にインク付与量およびスジむらが抑制される。
本発明の方法によりインクを重ね打ちする場合について、図1を用いて説明する。まず、(a)基材1に濡れ性向上化処理2を施す。ついで、(b)濡れ性向上化処理された基材1bに紫外線硬化型インク付与3により紫外線硬化型インク層30を形成した後、(c)紫外線照射4を行って、インクを硬化させ、硬化された紫外線硬化型インク層30aを得る。さらに、(d)硬化した紫外線硬化型インク層30aに濡れ性向上化処理2を施して、濡れ性向上化された紫外線硬化型インク層30bを得る。(e)濡れ性向上化した紫外線硬化型インク層30bにさらに他の色のインクを重ね打ちして、紫外線硬化型インク層31を形成し、(f)紫外線照射4を行って、インクを硬化させ、硬化された紫外線硬化型インク層31aを得る。このように、付与・硬化されたインクに対しても濡れ性向上化処理を行うため、重ね打ちした場合でも、後から付与されるインクは濡れ性向上化されたインク面に着弾することになる。必要により、上記操作をさらに他の色のインクについて繰り返す。
ここで、インク付与面を濡れ性向上化する方法としては、フレーム処理、プラズマ処理およびコロナ処理などのほかに、親水性樹脂を塗布することによる処理があげられる。しかし、親水性樹脂を塗布する場合は、基材と親水性樹脂との間の接着性や、親水性樹脂とインクとの間の接着性について新たに考慮する必要があり、また、インクが付与されるまでに親水性樹脂は固形皮膜化されなくてはならないため、繰り返して行う濡れ性向上化処理としては適さない。フレーム処理、プラズマ処理およびコロナ処理のなかでも、濡れ性のコントロールをしやすいことやインク付与面の耐熱性を考慮すると、プラズマ処理、コロナ処理が好ましい。
前記フレーム処理、プラズマ処理およびコロナ処理による濡れ性向上化処理とは、樹脂、金属、その他様々な材料の表面を不活性な状態からカルボニル基等の極性基を生成させることで表面を活性化させるものである。
前記フレーム処理、プラズマ処理およびコロナ処理の条件としては、インク付与面に外観上や物理的変化が顕著に見られない程度で設定すればよく、とくに限定されないが、十分な接着性や濡れ性を得るため、インク付与面の濡れ性と使用されるインクの表面張力との差が5mN/m以上になるようにすることが好ましい。
本発明で使用する基材としては、インクを吸収しないものであればとくに限定されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、金属、ガラスおよび窯業系板などがあげられる。
熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、ポリアミド、ポリアセタール、ポリオレフィンなどがあげられる。なかでも、耐候性や汎用性が良いという点で、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリカーボネートが好ましく、とくにポリエステルが好ましい。
前記熱可塑性樹脂には、一般的な添加剤、たとえば熱安定剤、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤などが添加されている。
また、インク吸収性の基材に熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂などを積層し、インク非吸収性にした基材を用いてもよい。
本発明で使用される基材の厚さは、とくに限定されず、用途、使用する場所、形態などに応じて適宜設定することができる。
また、本発明で使用される紫外線硬化型インクは、着色剤、反応性モノマーおよび/または反応性オリゴマー、および光重合開始剤を含有するものである。
前記着色剤としては、顔料および染料のいずれも使用可能である。
なかでも、耐候性および耐光性が求められる場合は、顔料を使用することが好ましく、有機または無機を問わず、任意のものが選択される。
有機顔料としては、例えば、ニトロソ類、染付レーキ類、アゾレーキ類、不溶性アゾ類、モノアゾ類、ジスアゾ類、縮合アゾ類、ベンゾイミダゾロン類、フタロシアニン類、アントラキノン類、ペリレン類、キナクリドン類、ジオキサジン類、イソインドリン類、アゾメチン類およびピロロピロール類などがあげられる。
無機顔料としては、例えば、酸化物類、水酸化物類、硫化物類、フェロシアン化物類、クロム酸塩類、炭酸塩類、ケイ酸塩類、リン酸塩類、炭素類(カーボンブラック)および金属粉類などがあげられる。
また、耐候性や耐光性をあまり重視しない場合には、染料を利用することも可能であり、とくに限定されず任意のものが選択される。
染料としては、例えば、アゾ類、アントラキノン類、インジゴイド類、フタロシアニン類、カルボニウム類、キノンイミン類、メチン類、キサンテン類、ニトロ類、ニトロソ類のような油溶性染料、分散染料、酸性染料、反応染料、カチオン染料および直接染料などがあげられる。
前記着色剤は、0.1〜10重量%含有されていることが好ましく、0.5〜5重量%含有されていることがより好ましい。着色剤の含有量が0.1重量%より少ないとインクの濃度として不充分になる傾向にあり、10重量%をこえるとノズルからの吐出が困難になる傾向にある。
前記反応性モノマーおよび反応性オリゴマーとしては特に限定されないが、紫外線の照射により硬化するものであり、いわゆる、紫外線硬化樹脂である。
反応性モノマーとしては、例えばジペンタエリスリトールヘキサアクリレートやそれら変性体などの6官能アクリレート;ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレートなどの5官能アクリレート;ペンタジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどの4官能アクリレート;トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、グリセリルトリアクリレートなどの3官能アクリレート;ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレートなどの2官能アクリレート;および、カプロラクトンアクリレート、トリデシルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコールジアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ネオペンチルフリコールアクリル酸安息香酸エステル、イソアミルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシ−ジエチレングリコールアクリレート、メトキシ−トリエチレングリコールアクリレート、メトキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシエチル−コハク酸、2−アクリロイロキシエチル−フタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸などの単官能アクリレートが挙げられる。さらにこれらにリンやフッ素、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドの官能基を付与した反応性モノマーが挙げられる。これらの反応性モノマーを単独、または組み合わせて使用できる。なかでも、強じん性、柔軟性に優れる点で、2官能モノマーが好ましい。そのなかでも難黄変である点で、炭化水素からなる脂肪族反応性モノマー、具体的には1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレートおよび1,9−ノナンジオールジアクリレートなどが好ましい。
前記反応性モノマーは、インク中に50〜85重量%含まれることが好ましい。50重量%未満の場合、インク粘度が高くなるため吐出不良を生じるおそれがあり、85重量%を超えると硬化に必要な他の薬剤が不足し硬化不良になるおそれがある。
反応性オリゴマーとしては、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、シリコンアクリレート、ポリブタジエンアクリレートが挙げられ、単独または複合して使用しても良い。なかでも、強じん性、柔軟性および密着性に優れる点で、ウレタンアクリレートが好ましい。そのなかでも、反応性モノマーと同様に難黄変である点で、炭化水素からなる脂肪族ウレタンアクリレートがさらに好ましい。
前記反応性オリゴマーは、インク中に1重量%以上含まれることが好ましく、10重量%以上であることがより好ましい。上限は、40重量%であることが好ましく、30重量%であることがより好ましい。反応性オリゴマーが1重量%以上、40重量%以下であれば、強じん性、柔軟性および密着性を、より向上させることができる傾向にある。
光重合開始剤としては、ベンゾイン類、ベンジルケタール類、アミノケトン類、チタノセン類、ビスイミダゾール類、ヒドロキシケトン類およびアシルホスフィンオキサイド類が挙げられ、単独または複合して使用しても良い。なかでも、高反応性であり、難黄変である点で、ヒドロキシケトン類およびアシルホスフィンオキサイド類が好ましい。
光重合開始剤の添加量は、1〜10重量%であることが好ましく、3〜7重量%であることがより好ましい。1重量%未満では重合が不完全で膜が未硬化となるおそれがあり、10重量%をこえても、それ以上の硬化率や硬化スピードの効率アップが期待できず、コスト高となる。
その他、本発明で使用されるインクには、必要に応じて、分散剤を添加してもよい。
分散剤としては、アニオン性化合物、カチオン性化合物、ノニオン系化合物、両性化合物および高分子化合物などが挙げられ、単独もしくは組み合わせて使用可能である。
前記分散剤のインクへの添加量としては、分散する顔料の種類により適宜決定されるものであるが、顔料に対して5〜150重量%であることが好ましく、30〜80重量%であることがより好ましい。分散剤が5重量%より少ないと、顔料がうまく分散できない傾向にあり、150重量%をこえると、分散剤が顔料の分散を阻害したり、また、インクコストが高くなる傾向にある。
さらに必要に応じて、光重合開始剤の開始反応を促進させるための増感剤、熱安定剤、酸化防止剤、防腐剤、消泡剤、浸透剤、樹脂バインダ、樹脂エマルジョン、還元防止剤、レベリング剤、pH調整剤、顔料誘導体、重合禁止剤、紫外線吸収剤および光安定剤などの添加剤を加えることも可能である。
本発明で使用されるインクは、使用する材料を混合し、さらにその混合物をロールミル、ボールミル、コロイドミル、ジェットミルまたはビーズミルなどの分散機を使って分散させ、その後、濾過を行うことで得ることができる。なかでも、短時間且つ大量に分散できることから、ビーズミルが好ましい。
前記インクは、インクジェット方式により基材に付与される。
前記インクの表面張力は、様々な素材に対応することを考慮した場合、下限が10mN/mであることが好ましく、20mN/mであることがより好ましく、25mN/mであることがとくに好ましい。また上限は50mN/mであることが好ましく、40mN/mであることがより好ましく、35mN/mであることがとくに好ましい。10mN/mより小さいと、濡れ性が良くなりすぎるため、画像が滲む傾向にあり、また、プリンタヘッドへのインクの供給が困難になる。50mN/mをこえると、濡れ性が悪くなるため、インクがはじかれ、画像がスジっぽくなる傾向にある。
基材へのインク付与量は、1〜200g/m2であることが好ましく、5〜150g/m2であることがより好ましい。1g/m2未満の場合、十分に着色することが困難となる傾向にあり、200g/m2を超えると、付与量が多すぎるために滲みが発生したり、また、硬化不良を発生する傾向がある。
得られるインクの厚さは、乾燥膜厚で5〜150μmであることが好ましい。5μmより薄いと、十分に着色することが困難となる傾向にあり、150μmをこえると、インク膜厚が厚くなりすぎるため、インク層の割れや剥れが発生する傾向にある。また、全面に付与してもよいし、部分的に模様状に付与してもよい。
本発明で使用されるインクジェット記録装置としては、濡れ性向上化処理、インク付与およびインク硬化の一連の工程を繰り返して行えるものであれば、とくに限定されない。具体的には、各工程を行う装置、すなわち、プラズマ処理、コロナ処理およびフレーム処理のいずれかを行う処理装置、紫外線硬化型インクヘッドおよび紫外線照射装置を、直線状に有する直線式インクヘッドを備えたインクジェット記録装置があげられる。ここで、直線式インクヘッドとは、濡れ性向上化処理装置、紫外線硬化型インクヘッドおよび紫外線照射装置が主走査方向にまたは印刷基材の移動方向に線状に並んで設けられている構成のものをいう。
また、インクジェット記録装置としては、図2に示す前記直線式インクヘッドが基材上を走査して画像を記録するヘッド走査型(シリアルヘッド型)と、図3に示す前記直線式インクヘッドは固定され、基材の移動により画像を記録するヘッド固定型(ラインヘッド型)とがあげられる。
走査型の直線式インクヘッドとしては、たとえば図2に示すように、各色用のインクヘッド(インクヘッド5a(Y1)、6a(M1)、7a(C1)、8a(K1)とインクヘッド5b(Y2)、6b(M2)、7b(C2)、8b(K2)とが2段に並べられている)、その両サイドの紫外線照射装置9aおよび9b、濡れ性向上化処理装置10aおよび10bを備えており、該インクヘッドが主走査方向Xに移動して、画像を形成する。Yは記録基材の搬送方向(副走査方向)を示す。各インクヘッドには、たとえば副走査方向に沿って複数個のインクノズルが設けられている。Y(Y1、Y2)、M(M1、M2)、C(C1、C2)、K(K1、K2)は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを意味する。
前記ヘッドを2段にする理由は次の通りである。本発明の本質的な特徴は、硬化したインクに濡れ性向上化処理を行うことにある。1段ヘッドであれば、濡れ性向上化処理→インク付与→UV硬化(1走査目)となり、本発明の上記特徴を出すためには、その硬化したインクの上にもう一度、濡れ性向上化処理→インク付与→UV硬化(2走査目)を繰り返すことになる。そのため、同じライン上を何度も(少なくとも2回は)左右にヘッドを走査することになるが、これでは生産性が悪いものになってしまう。これに対して、2段ヘッドであれば、上の段で1走査目を実施し、(1ライン下に下げて、副走査して)下の段で2走査目をすれば、各段のヘッドは1回左右のどちらかに動けばよい、ということになり、1段ヘッドに比べて効率のよいものになる。
なお、前記ヘッドの段数に関しては、2段に限定されず、3段、4段・・・という複数段でもよい。
固定型の直線式インクヘッドとしては、たとえば図3に示すように、基材と同程度の幅を有するインクヘッド11(Y)、12(M)、13(C)、14(K)、紫外線照射装置15a、15b、15c、15d、濡れ性向上化処理装置16a、16b、16c、16dを備えており、ヘッドの移動ではなく、基材の移動により画像を形成する。前記装置は16a、11(Y)、15a、16b、12(M)、15b、16c、13(C)、15c、16d、14(K)、15dの順序に並べて設けられている。インクヘッド11(Y)、12(M)、13(C)、14(K)には、たとえば、それぞれ基材の搬送方向Yと直角方向に沿って複数個のインクノズルが設けられている。
このように、インクヘッドと直線状に濡れ性向上化処理装置を備えることで、濡れ性向上化処理の後、直ちにインク付与することができ、濡れ性向上化の効果を有効に発揮できる。また、インクヘッドと直線状に紫外線照射装置を備えることで、インク付与の後、直ちに紫外線照射できるため、インクが広がり過ぎるのを防止できる。なお、紫外線照射装置および濡れ性向上化処理装置の位置は図2および図3で示した位置以外であっても、本発明の目的の範囲内であれば、限定はされない。例えば、インクヘッドとインクヘッドとの間に適宜設置することができる。
また、インクジェット方式としては、たとえば、荷電変調方式、マイクロドット方式、帯電噴射制御方式およびインクミスト方式などの連続方式、ステムメ方式、パルスジェット方式、バブルジェット(登録商標)方式および静電吸引方式などのオン・デマンド方式などいずれも採用可能である。
また、これら通常のインクジェットプリンタに装備されたヘッドに加熱装置を装備し、加熱することにより粘度を低くし、吐出してもよい。その加熱温度としては25〜150℃があげられ、好ましくは30〜70℃の範囲である。加熱温度は、使用する反応性オリゴマーの熱に対する硬化性を考慮して決められ、熱により硬化が始まる温度よりも低く加熱温度を設定する。
また、前記インクの粘度は、ノズルから吐出される温度において、1〜20mPa・sであることが好ましく、2〜15mPa・sであることがより好ましい。粘度が1mPa・sより低いと、インクの粘度が低すぎることが原因で、吐出量が多くなりすぎて吐出が不安定になるおそれがあり、20mPa・sを超えるとインクの粘度が高すぎて吐出が出来ないおそれがある。
紫外線照射の条件としては、紫外線ランプの出力は、50〜280W/cmが好ましく、80〜200W/cmがより好ましい。紫外線ランプの出力が、50W/cmより低いと、紫外線のピーク強度および積算光量不足によりインクが十分に硬化しない傾向にあり、280W/cmより高いと、基材が紫外線ランプの熱により変形または溶融し、またインクの硬化皮膜が劣化する傾向にある。
紫外線の照射時間は、0.01〜20秒が好ましく、0.05〜10秒がより好ましい。紫外線ランプの照射時間が、20秒より長いと、基材が紫外線ランプの熱により変形または溶融、また紫外線硬化型インクの硬化皮膜が劣化する傾向にあり、0.01秒より短いと、紫外線の積算光量不足であり、紫外線硬化型インクが十分に硬化しない傾向にある。
本発明の製造方法により得られる着色物は、屋外で使用されるものとして限定されずに使用することができ、たとえば、建造物の外装材および看板などがあげられる。
次に本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
有機顔料としてIRGALITE Blue GLVO(C.I.ピグメントブルー15:4、銅フタロシアニン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を3重量部、分散剤(Disperbyk−168、高分子化合物、BykChemie社製)を3重量部、反応性オリゴマー(CN985B88、脂肪族ウレタンアクリレート、2官能、サートマー(株)製)を20重量部、反応性モノマー(SR238F、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、2官能、サートマー(株)製)を69重量部、および光重合開始剤(イルガキュア184、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を5重量部加え、ビーズミル分散機を用い分散した後、濾過を行って不純物除去し、均質なシアンインクを作製した。
また有機顔料を、イエローインクは、PV FAST YELLOW HG(C.I.ピグメントイエロー180、ベンズイミダゾロン、クラリアントジャパン(株)製)、マゼンタインクは、HOSTAPERM PINK E02(C.I.ピグメントレッド122、キナクリドン、クラリアントジャパン(株)製)、ブラックインクは、SPECIAL BLACK4 POWDER(C.I.ピグメントブラック7、カーボンブラック、デグサジャパン(株)製)に換え、それ以外についてはシアンインクと同様にして、各色インクを作製した。
得られたインクを用いて、図3に示すインクジェットプリンタを使用し、基材に、コロナ処理、インク付与、紫外線ランプ照射を繰り返して印刷をした。ここでは、シアンインクとイエローインクの2色を使用し、各インクの付与量は、20g/cm2とし、インク層の厚さは35μmであった。
得られた着色物の画像は、スジむらが抑制されたきれいなものであった。
〔基材〕
ポリエステルフィルム(東レ(株)製、ルミラーS10、50μm)
〔コロナ処理条件〕
A)使用機器 : コロナ放電表面改質装置マスター(信光電気計装(株)製)
B)電圧 : 12KV
C)処理時間 : 0.05秒
〔プリント条件〕
イ)ノズル径 : 70(μm)
ロ)印加電圧 : 50(V)
ハ)パルス幅 : 20(μs)
ニ)駆動周波数: 3(kHz)
ホ)解像度 : 360×360(dpi)
ヘ)加熱温度 : 60(℃)
〔紫外線照射条件〕
あ)ランプ種類: メタルハライドランプ
い)電圧 : 120(W/cm)
う)照射時間 : 0.05(秒)
え)照射距離 : 10(cm)
比較例1
実施例1において、最初にのみコロナ処理をおこない、その後は濡れ性向上化処理装置を作動させず、コロナ処理を繰り返さなかった以外は、実施例1と同様にして印刷を行った。
得られた着色物の画像には、スジむらがみられた。
本発明の方法の一実施例を示すフロー図である。 本発明のインクジェット記録装置で用いる走査型ヘッドの一実施例を示す概念図である。 本発明のインクジェット記録装置で用いる固定型ヘッドの一実施例を示す概念図である。
符号の説明
1 基材
2 濡れ性向上化処理
1b 濡れ性向上化処理された基材
3 紫外線硬化型インク付与処理
30 紫外線硬化型インク層
4 紫外線照射
30a 硬化された紫外線硬化型インク層
30b 濡れ性向上化処理された紫外線硬化型インク層
31 紫外線硬化型インク層
31a 硬化された紫外線硬化型インク層
5、6、7、8 インクヘッド
9a、9b 紫外線照射装置
10a、10b 濡れ性向上化処理装置
11、12、13、14 インクヘッド
15a、15b、15c、15d 紫外線照射装置
16a、16b、16c、16d 濡れ性向上化処理装置

Claims (7)

  1. インク付与面に、プラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理よりなる群から選択される濡れ性向上化処理を行う工程、該処理面にインクジェット方式により紫外線硬化型インクを付与する工程、および、付与された紫外線硬化型インクに紫外線を照射する工程を、繰り返して行う着色物の製造方法。
  2. 前記濡れ性向上化処理を行う処理装置、紫外線硬化型インクヘッドおよび紫外線照射装置を直線状に有する走査型のインクヘッドを使用して、前記濡れ性向上化処理を行う工程、該処理面にインクジェット方式により紫外線硬化型インクを付与する工程、および、付与された紫外線硬化型インクに紫外線を照射する工程を、主走査毎に繰り返して行う請求項1記載の着色物の製造方法。
  3. 前記濡れ性向上化処理を行う処理装置、紫外線硬化型インクヘッドおよび紫外線照射装置を直線状に有する固定型のインクヘッドを使用して、前記濡れ性向上化処理を行う工程、該処理面にインクジェット方式により紫外線硬化型インクを付与する工程、および、付与された紫外線硬化型インクに紫外線を照射する工程を、色毎に繰り返して行う請求項1記載の着色物の製造方法。
  4. 前記紫外線硬化型インクが、着色剤、反応性モノマーおよび/または反応性オリゴマー、および光重合開始剤を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の着色物の製造方法。
  5. プラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理よりなる群から選択される濡れ性向上化処理を行う処理装置、紫外線硬化型インクヘッドおよび紫外線照射装置を直線状に有する直線式インクヘッドを備えたインクジェット記録装置。
  6. ヘッド走査型である請求項5記載のインクジェット記録装置。
  7. ヘッド固定型である請求項5記載のインクジェット記録装置。
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