JP2016020956A - ハードコートフィルム及び反射防止フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、アクリル基材を用いたハードコートフィルムにおいて、優れたハードコート性、密着性、全可視光線領域における干渉縞防止効果を有するハードコートフィルムを提供することを目的とする。【解決手段】アクリル基材の一方の面に、(A)ラジカル重合性樹脂、(B)無機微粒子、(C)光重合開始剤、(D)溶剤からなるハードコート組成物からなるハードコート層が形成されたハードコートフィルムであって、(B)無機微粒子の屈折率が、アクリル基材の屈折率の?0.002以内の範囲であることを特徴とするハードコートフィルムである。【選択図】図1

Description

本発明は、ディスプレイなどの表面を保護するために用いられるハードコートフィルム及び反射防止フィルムに関する。
一般に液晶表示体などのディスプレイの表面には、透明基材であるトリアセチルセルロース(TAC)の表面に耐擦傷性を付与するためのハードコート層が形成された、ハードコートフィルムが設けられている。そして多くのハードコート層は、アクリル系樹脂を主材とした電離放射線硬化型材料からなり、例えば電子線や紫外線などの電離放射線を照射して硬化させることで形成される。
しかしながら、前記ハードコートフィルムにおいては、ハードコート層と透明基材フィルムの屈折率差が大きくなると、ハードコート層上面(ディスプレイ表面)で反射する光と、ハードコート層下面(透明基材との界面)で反射する光で、両者の光が干渉して虹色のムラ(干渉縞)を生じ、ディスプレイの視認性が低下するという問題がある。
干渉縞を軽減する方法としては、以下のような方法が提案されているが、それぞれの方法には依然問題がある。
例えば、透明基材上に凹凸を設けて、ハードコート層と透明基材との界面での光の反射を散乱させる方法(特許文献1参照)では、凹凸による光散乱でヘイズが上昇する。
また、透明基材とハードコート層の間に、両者の中間となる屈折率を有する中間層を一層設ける方法(特許文献2参照)では、屈折率差は小さくなるが、依然干渉縞は生じ、さらに中間層を形成させるプロセスが必要であるため、製造コストが増す。
また、ハードコート塗液中の溶剤に透明基材を溶解又は膨潤させて、透明基材とハードコート層の間に連続的な屈折率傾斜層を設ける方法(特許文献3参照)では、TAC基材を使用する場合には適用できるが、溶剤での溶解や膨潤が起こりにくい透明基材(例えばアクリル基材等)では適用が困難である。
また、ハードコート層を形成するハードコート組成物の屈折率を調整する方法(特許文献4参照)では、含フッ素材料を用いる必要があるため、膜硬度や塗工性、材料コストの点で使用が困難である。
加えて、上記で説明したように、透明基材として使用されているトリアセチルセルロース(TAC)基材は、基材の透湿性が高いために高温多湿の環境下で使用した際に偏光機能や色相等の偏光板機能を低下させてしまう欠点がある。
特開平8−197670号公報 特開2000−111706号公報 特開2003−131007号公報 特開2009−265658号公報
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、透明基材としてTAC基材に代えてアクリル基材上にハードコート層を形成し、干渉縞が発生せず、密着性、鉛筆硬度がともに良好なハードコートフィルム及びそれを用いた光学フィルムを提供することを目的とする。
前記課題を解決するために請求項1に係る発明は、アクリル基材の一方の面に、(A)ラジカル重合性樹脂、(B)無機微粒子、(C)光重合開始剤、(D)溶剤からなるハードコート組成物からなるハードコート層が形成されたハードコートフィルムであって、
(B)無機微粒子の屈折率が、アクリル基材の屈折率の±0.002以内の範囲であることを特徴とするハードコートフィルムである。
請求項2に係る発明は、前記ハードコート層の表面硬度が、ナノ押し込み硬度1.50GPa以上であることを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルムである。
請求項3に係る発明は、前記ハードコート層のナノ押し込み硬度が、前記アクリル基材の未処理時のナノ押し込み硬度に対して6倍以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のハードコートフィルムである。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のハードコートフィルムのハードコ−ト層上に反射防止層を設けたことを特徴とする反射防止フィルムである。
本発明の請求項1に係る発明によれば、アクリル基材の一方の面に形成されるハードコート層中に含まれる(B)無機微粒子の屈折率と、前記アクリル基材の屈折率との差を0.002以下とすることで、ハードコート層上面(ディスプレイ表面)で反射する光と、ハードコート層下面(透明基材との界面)で反射する光との干渉が抑制でき、干渉縞の発生を防ぐことができる。
すなわち、本発明に係るハードコート層を形成するためのハードコート組成物は、(A)ラジカル重合性樹脂、(B)無機微粒子、(C)光重合開始剤、(D)溶剤からなり、中でも前記(B)無機微粒子はハードコート層の屈折率を支配する第一の因子であるため、この屈折率を制御することでアクリル基材との屈折率の差を極小にすることができ、その結果として干渉縞の発生を防ぐことができる。
また、前記ハードコート層の形成方法において、アクリル基材の一方の面に前記ハードコート組成物を塗布した後、前記アクリル基材のガラス転移点(Tg)のマイナス20℃からプラス10℃の温度範囲で乾燥することにより、前記(D)溶剤のアクリル基材中への浸透が促進され、ハードコート層とアクリル基材間に屈折率傾斜層を形成することができ、より効果的に干渉縞の発生を防ぐことができる。
また、請求項2によれば、前記ハードコート層の表面硬度を、ナノ押し込み硬度1.50GPa以上とすることで、ハードコート層自体の硬度が実用上問題ないレベルの硬度を供することができる。
また、請求項3によれば、前記ハードコート層のナノ押し込み硬度を、前記アクリル基材の未処理時のナノ押し込み硬度に対して6倍以上とすることで、光学用途に求められるハードコートフィルムとして実用上問題ないレベルの硬度を供することができる。
また、請求項4によれば、請求項1〜3のいずれかに記載のハードコートフィルムのハードコ−ト層上に反射防止層を設けることで、ハードコート性に加えて反射防止機能を付与することができる。
上記で説明したように、本発明によれば、干渉縞の発生がなく、密着性、鉛筆硬度が良好なハードコートフィルム及びその上に反射防止層を設けた反射防止フィルムを提供することができる。
本発明のハードコートフィルムの一実施形態を示す断面模式図である。 本発明の反射防止フィルムの一実施形態を示す断面模式図である。
図1に示すように、本発明に係るハードコートフィルム3は、アクリル基材1の一方の面に、(A)ラジカル重合性樹脂、(B)無機微粒子、(C)重合開始剤、(D)溶剤からなるハードコート組成物を塗布、乾燥し、その後、電離放射線を照射することで硬化させてハードコート層2を形成してなることを特徴とする。
従来、光学用途として用いられる透明基材としては、特に複屈折率が小さいフィルム基材が用いられ、特にトリアセチルセルロース(TAC)が主体であった。しかしながら、TACフィルムは加工性の難しさや材料コスト高によりその代替が望まれている。本発明に係る透明基材はこのような要望を鑑みたものであり、特に透明性が良好で、かつ透湿性が低いアクリル基材を用いることを特徴とする。なお、本発明でのアクリル基材とはアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの重合体を意味し、中でもポリメチルメタクリレート(屈折率1.49前後)が好ましい。
次に、本発明に係るハードコート層2について、以下に具体的に説明する。
本発明に係るハードコート層2は、(A)ラジカル重合性樹脂、(B)無機微粒子、(C)重合開始剤、(D)溶剤からなるハードコート組成物から得られる。
(A)ラジカル重合性樹脂とは、化学放射線によりラジカルを発生する重合開始剤の存在下、化学放射線照射により高分子化または架橋反応するラジカル重合性を有する化合物で、例えば、構造単位中にエチレン性の不飽和結合を少なくとも1個以上含むものであり、1官能であるビニルモノマーの他に二官能、三官能以上の(メタ)アクリレートモノマーかウレタンアクリレートを含むものであり、またこれらの混合物であってもよい。
単官能の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリールアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−アダマンタンおよびアダマンタンジオールから誘導される1価のモノ(メタ)アクリレートを有するアダマンチルアクリレートなどのアダマンタン誘導体モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記二官能の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記三官能以上の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート化合物や、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物や、これら(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε−カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、トルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポ
リマーなどを用いることができる。
なお、本発明において「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」と「メタクリレート」の両方を示している。たとえば、「ウレタン(メタ)アクリレート」は「ウレタンアクリレート」と「ウレタンメタアクリレート」の両方を示している。
本発明に係る(B)無機微粒子としては、透明性や硬度に優れた二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、ジルコニア、インジウムスズ酸化物などが挙げられる。中でも、特に、前記アクリル基材1の屈折率に近似した屈折率を持つ二酸化珪素が好ましい。その理由としては、前記ハードコート層2の屈折率を決定する因子として無機微粒子が最も大きいことによる。
一般にアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体であるアクリル基材の屈折率は、およそ1.48〜1.50であるため、前記無機微粒子としては屈折率1.48〜1.50が好ましい。特に、得られるハードコ−トフィルム3の干渉縞の発生を防ぐ最大の効果を得るためには、用いるアクリル基材1の屈折率との差を0.002以下にする必要がある。
また、前記無機微粒子の粒径としては30〜100nmが好ましく、さらに、硬度を保持するため粒子内に空隙のない中実粒子がより好ましい。粒径30nm未満の場合には、ハードコートフィルムとして実用上問題のない硬度を得ることが難しい。また、粒径100nm以上の場合には、実用上問題のないレベルの透明性を得ることが難しい。
前記無機微粒子の添加量としては、ハードコート組成物全体に占める20〜40重量部が好ましい。添加量が20重量部未満ではハードコートフィルムとして実用上問題のない硬度を得ることが難しい。また、40重量部以上では実用上問題のないレベルの透明性を得ることが難しい。
本発明に係る(C)光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類等が挙げられる。また、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等を用いることができる。
また、本発明に係る(D)溶剤としては特に限定することなく用いることが出来る。例えば、ジブチルエーテル、ジオキサン、ジオキソランなどのエーテル類、またアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、およびメチルシクロヘキサノン等の一部のケトン類、また酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ペンチルなどのエステル類、さらには、メチルセロソルブ、セロソルブなどのセロソルブ類、その他としてN−メチル−2−ピロリドン(N−メチルピロリドン)、炭酸ジメチルが挙げられる。これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、ハードコート組成物には、塗布工程で生じやすいハジキ、ムラといった塗膜欠陥を防止するために、レベリング剤、消泡剤、界面張力調整剤、表面張力調整剤などの添加剤を加えても良い。また、機能性添加剤としては、帯電防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、密着性向上剤、硬化剤などを用いることもできる。
次に、ハードコートフィルムの作製方法について以下に説明する。
先ず、透明基材として用いる前記アクリル基材の一方の面に、前記ハードコート組成物
を塗布し塗膜を形成する。前記塗布方法としては、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーターを用いることができる。
次に、透明基材上に形成した前記塗膜を乾燥し、塗膜中の不要の溶媒を除去する。このとき乾燥手段としては、加熱、送風、熱風等を用いることができる。乾燥温度としては、前記アクリル基材1のTgのマイナス20℃以上プラス10℃以下の範囲で乾燥することが好ましい。この範囲を外れると、例えば、アクリル基材のTgより低温側に外れると、前記溶剤の前記アクリル基材1中への浸透が困難となり、それに伴いハードコート組成物の浸透ができず、前記アクリル基材とハードコート層との間に屈折率傾斜層を形成することが困難となる。その結果、干渉縞が発生し、また密着性が低下する。一方、アクリル基材のTgより高温側に外れると、過剰な乾燥熱により前記アクリル基材に変形が生じる。
次に、不要な溶剤を乾燥させた前記塗膜に対し、電離放射線を照射することにより、前記塗膜を硬化させハードコート層を形成することができ目的のハードコートフィルムを作製することができる。
電離放射線としては、紫外線、電子線を用いることができる。紫外線硬化の場合は、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク等の光源が利用できる。また、電子線硬化の場合はコックロフトワルト型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される電子線が利用できる。電子線は、50〜1000KeVのエネルギーを有するのが好ましい。100〜300KeVのエネルギーを有する電子線がより好ましい。
なお、本発明に係るハードコートフィルムはロール・ツー・ロール方式により連続して作製することができる。
また、本発明に係るハードコートフィルム3のハードコート層は、後述するナノ押し込み硬度の値が1.50GPa以上であることが好ましい。前記ナノ押し込み硬度の値が1.50GPa以上であることで、ハードコート層の実用上問題ないレベルの硬度を供することができる。
また、前記ハードコート層の硬度は、前記アクリル基材の未処理の状態でのナノ押し込み硬度の6倍以上であることが好ましい。前記ナノ押し込み硬度の6倍以上であることにより、光学用途に求められるハードコートフィルムとして実用上問題ないレベルの硬度を供することができる。前記ナノ押し込み硬度が6倍未満であると、ハードコート層の硬度が実用レベルであっても、透明基材である下地の硬度の影響が大きくなり、ハードコートフィルムとしての硬度としては不足し実用上問題となる。
上記で説明した本発明に係るハードコートフィルム3を用いて、ハードコート層の上にさらに他の機能性層を積層することで(図2参照)、ハードコート性に加えて反射防止機能を有する反射防止フィルムを得ることができる。また、他の機能を有する層を積層することで(例えば、低屈折率層や帯電防止層、防汚層など)、より複数の機能を有する光学フィルムを得ることが出来る。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものでは無い。
(実施例1)
透明基材として、厚さ80μm、アクリル樹脂(屈折率1.487、Tg108℃)を用い、下記組成からなるハードコート組成物をワイヤーバーコーターにより塗布し、20秒25℃で室温乾燥をおこなった。その後、オーブンで80秒105℃でさらに乾燥をおこない、窒素雰囲気下、コンベア式紫外線硬化装置で露光量380mJ/cmで紫外線照射して、厚さ7μmのハードコート層を形成してハードコートフィルムを作製した。
<ハードコート組成物>
・コロイダルシリカ分散溶液 30重量部
(無機微粒子:粒径40nm、屈折率1.485、MEK分散)
・ラジカル重合性樹脂
UV6630−B(ウレタンアクリレート) 50重量部
V#300(PETA) 10重量部
・光重合開始剤:LUCIRIN TPO 1重量部
・溶剤
メチルエチルケトン 30重量部
イソプロピルアルコール 10重量部
(実施例2)
下記ハードコ−ト組成物を用い乾燥温度を90℃とした以外は、実施例1と同様にしてハードコート層を形成してハードコートフィルムを作製した。
<ハードコート組成物>
・コロイダルシリカ分散溶液 30重量部
(無機微粒子:粒径40nm、屈折率1.489、MEK分散)
・ラジカル重合性樹脂
UV6630−B(ウレタンアクリレート) 50重量部
V#300(PETA) 10重量部
・光重合開始剤:Irgcure 184 1重量部
・溶剤
メチルエチルケトン 30重量部
イソプロピルアルコール 10重量部
(比較例1)
下記ハードコ−ト組成物を用いた以外は、実施例1と同様にしてハードコート層を形成してハードコートフィルムを作製した。
<ハードコート組成物>
・コロイダルシリカ分散溶液 30重量部
(無機微粒子:粒径40nm、屈折率1.479、MEK分散)
・ラジカル重合性樹脂
UV6630−B(ウレタンアクリレート) 50重量部
V#300(PETA) 10重量部
・光重合開始剤:LUCIRIN TPO 1重量部
・溶剤
メチルエチルケトン 30重量部
イソプロピルアルコール 10重量部
(比較例2)
下記ハードコ−ト組成物を用いた以外は、実施例1と同様にしてハードコート層を形成してハードコートフィルムを作製した。
<ハードコート組成物>
・コロイダルシリカ分散溶液 30重量部
(無機微粒子:粒径40nm、屈折率1.491、MEK分散)
・ラジカル重合性樹脂
UV6630−B(ウレタンアクリレート) 50重量部
V#300(PETA) 10重量部
・光重合開始剤:Irgcure 184 1重量部
・溶剤
メチルエチルケトン 30重量部
イソプロピルアルコール 10重量部
(比較例3)
下記ハードコ−ト組成物を用いた以外は、実施例1と同様にしてハードコート層を形成してハードコートフィルムを作製した。
<ハードコート組成物>
・コロイダルシリカ分散溶液 15重量部
(無機微粒子:粒径40nm、屈折率1.485、MEK分散)
・ラジカル重合性樹脂
UV6630−B(ウレタンアクリレート) 50重量部
V#300(PETA) 10重量部
・光重合開始剤:LUCIRIN TPO 1重量部
・溶剤
メチルエチルケトン 30重量部
イソプロピルアルコール 10重量部
(比較例4)
下記ハードコ−ト組成物を用いた以外は、実施例1と同様にしてハードコート層を形成してハードコートフィルムを作製した。
<ハードコート組成物>
・ラジカル重合性樹脂
UV6630−B(ウレタンアクリレート) 50重量部
V#300(PETA) 10重量部
・光重合開始剤:LUCIRIN TPO 1重量部
・溶剤
メチルエチルケトン 30重量部
イソプロピルアルコール 10重量部
(比較例5)
ハードコ−ト層形成時の乾燥温度を60℃にした以外は、実施例1と同様にしてハードコート層を形成してハードコートフィルムを作製した。
(比較例6)
ハードコート層形成時の乾燥温度を125℃にした以外は、実施例1と同様にしてハードコート層を形成してハードコートフィルムを作製した。
<評価及び方法>
実施例1,2及び比較例1〜5で作製したハードコ−トフィルムについて、以下の評価をおこなった。評価結果を以下の表1に記す。
・ナノ押し込み硬度(超微小硬度)
ハードコートフィルムのハードコート層上に、超微小硬度計(MTS社製 NanoI
ndenter DCM)を用い、23℃−50%の環境下にて、押し込み深さ1μmにてナノ押し込み硬度を3回計測し、その平均値を測定値とした。
・鉛筆硬度評価
ハードコートフィルムのハードコート層上に、クレメンス型引掻き硬度試験機(テスター産業株式会社製、HA−301)を用い、JIS−K5400−1990に準拠して、500gの荷重をかけた時のキズによる外観の変化を目視で評価した。外観の変化が確認することが出来ない時の最も硬い鉛筆硬度を結果として記載した。
・干渉縞の観察
ハードコート層が形成されていない前記フィルムの反対面を、サンドペーパーで擦り、その後艶消しの黒色塗料を塗布し、蛍光灯(三波長蛍光灯)直下、帯電防止機能付き反射防止層を観察した。なお、目視にて確認した干渉縞は、以下の基準で評価した。
○:干渉縞がほぼ認められない。
×:干渉縞が顕著に認められる。
・密着性評価
得られたハードコートフィルムについて、JIS−K5400−1990の付着性試験方法(碁盤目テープ法)に準拠して、ハードコートフィルム表面の塗膜の残存数にて評価した。
<比較結果>
比較例1、2では、干渉縞が顕著に発生した。これは、アクリル基材と無機微粒子の屈折率の差が大きく、界面で干渉が起きているためと考えられる。比較例3、4では、超微小硬度、鉛筆硬度の低下が見られた。これは、無機微粒子の添加量が少ない、もしくは添加されなかったことにより硬度が発現しなかったためと考えられる。比較例5では硬度が発現しているものの、ハードコート形成時の乾燥温度が低く、アクリル基材とハードコート層の屈折率傾斜層を形成できなかったため界面で干渉が起きていると考えられる。これに対し、実施例で得られたハードコートフィルムは、鉛筆硬度3Hでもキズが見られず、かつ干渉縞が発生していない上、密着性が良好であった。
1:アクリル基材
2:ハードコート層
3:ハードコートフィルム

Claims (4)

  1. アクリル基材の一方の面に、(A)ラジカル重合性樹脂、(B)無機微粒子、(C)光重合開始剤、(D)溶剤からなるハードコート組成物からなるハードコート層が形成されたハードコートフィルムであって、
    (B)無機微粒子の屈折率が、アクリル基材の屈折率の±0.002以内の範囲であることを特徴とするハードコートフィルム。
  2. 前記ハードコート層の表面硬度が、ナノ押し込み硬度1.50GPa以上であることを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルム。
  3. 前記ハードコート層のナノ押し込み硬度が、前記アクリル基材の未処理時のナノ押し込み硬度に対して6倍以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のハードコートフィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のハードコートフィルムのハードコ−ト層上に反射防止層を設けたことを特徴とする反射防止フィルム。
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