JP2011012122A - 難燃性に優れる熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性に優れる熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】難燃性、機械的特性、および連続成形時の金型汚染性に優れる熱可塑性樹脂組成物、およびその成形品を提供する。
【解決手段】ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体およびこれと共重合可能な一種または二種以上の単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体(A)と、芳香族ビニル系単量体およびこれと共重合可能な一種または二種以上の単量体を共重合してなる共重合体(B)と、メタクリル酸メチル単量体70〜99.5質量%およびこれと共重合可能な一種または二種以上の単量体0.5〜30質量%を共重合してなる共重合体(C)からなる熱可塑性樹脂組成物(D)100質量部に対して、特定の難燃剤(E)を5〜25質質量部および着色剤(F)を配合してなる難燃性熱可塑性樹脂組成物であって、熱可塑性樹脂組成物(D)における共重合体(C)の含有量が20〜80質量%であり、難燃性熱可塑性樹脂中の鉄化合物の含有量が鉄元素として70ppm未満であることを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性、機械的特性に優れる難燃性熱可塑性樹脂組成物、およびその成形品に関するものである。
従来、難燃性を付与された芳香族ビニル系樹脂は、成形加工性、良好な機械的特性バランスを有し、電気絶縁性に優れることから、電気・電子機器分野、OA機器分野等、広範な分野で用いられている。
このような樹脂製品には、意匠を付与したり、使用時の製品の傷付きを防止する目的で、製品に全塗装、あるいは部分塗装を施す場合がある。しかしながら、塗装処理は塗装不良による生産の歩留まり低下を生じやすい。またVOC排出抑制の流れから、できるだけ塗装処理を施すことなく、鮮やかな色、あるいは深みのある色に着色したり、金属調やパール調の外観を持たせる等、意匠性を付与しやすい樹脂が望まれていた。
その一方で、このような樹脂製品には難燃性も求められることがあり、従来はハロゲン系難燃剤が主として使用されていたが、近年は、環境への配慮からハロゲンを含有した難燃剤の使用を自粛する傾向にあり、芳香族ビニル系樹脂の難燃化においては、種々の燐系、あるいは窒素系難燃剤が提案されている。しかし、塗装処理を施すことなく優れた外観を付与しうることに加えて、優れた難燃性を有する樹脂はこれまで見出されていなかった。
例えば、不飽和カルボン酸アルキルエステルを共重合したゴム強化スチレン系樹脂に燐酸エステル系難燃剤を添加する方法(例えば特許文献1参照)は、透明性を有するため、着色性を含む意匠性には優れた組成物を得ることが報告されているが、難燃性、特に高湿度雰囲気下に置かれた後の難燃性については不十分であった。
特開2000−344994号公報
上述の通り、機械特性バランス、意匠性、高湿度雰囲気下における難燃性の全てを満足する成形品を得ることは困難であった。
本発明者らは、上述の問題を解決するために鋭意検討した結果、メタクリル酸メチル成分がある範囲にある共重合体を特定量含有し、且つ樹脂組成物に含有される鉄化合物が鉄元素として特定値未満である熱可塑性樹脂組成物とすることにより、課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
即ち本発明は、
[1]ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体およびこれと共重合可能な一種または二種以上の単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体(A)と、芳香族ビニル系単量体およびこれと共重合可能な一種または二種以上の単量体を共重合してなる共重合体(B)と、メタクリル酸メチル単量体70〜99.5質量%およびこれと共重合可能な一種または二種以上の単量体0.5〜30質量%を共重合してなる共重合体(C)からなる熱可塑性樹脂組成物(D)100質量部に対して、下記一般式(1)で表される難燃剤(E)を5〜25質質量部および着色剤(F)を配合してなる難燃性熱可塑性樹脂組成物であって、熱可塑性樹脂組成物(D)における共重合体(C)の含有量が20〜80質量%であり、難燃性熱可塑性樹脂中の鉄化合物の含有量が鉄元素として70ppm未満であることを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物、
Figure 2011012122
(R、R、R、及びRはそれぞれ独立したアリール基であり、その一つ以上の水素が置換されていてもいなくてもよい。nは自然数、Xは2価のフェノール類より誘導される芳香族基、j、k、l、及びmはそれぞれ独立して0又は1である。)
[2][1]に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする成形品、
である。
本発明により、機械特性バランス、意匠性、高湿度雰囲気下における難燃性に優れた成形品を得ることができる。
本発明におけるグラフト共重合体(A)に用いられるゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリル共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、ポリイソプレン、スチレン−イソプレン共重合体等の共役ジエン系ゴム、およびこれらの水素添加物、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム、エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、シリコーンゴム、シリコーン−アクリルゴム等が挙げられ、これらは単独または二種以上を組み合わせて使用することができる。この中で特に好ましいのは、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリル共重合体、アクリル系ゴム、エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、シリコーンゴム、シリコーン−アクリルゴムである。
グラフト共重合体(A)、および共重合体(B)における芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ビニルナフタレンが挙げられ、これらは単独または二種以上を組み合わせて使用することができる。この中で特に好ましいのは、スチレン、およびα−メチルスチレンである。
グラフト共重合体(A)、および共重合体(B)における芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体として、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステルや同様な置換体のメタクリル酸エステル、さらに、アクリル酸、メタクリル酸等のアクリル酸類やN−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド等のN−置換マレイミド系単量体、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体等が挙げられ、この中で特に好ましいのは、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、N−フェニルマレイミド、グリシジルメタクリレートである。
共重合体(C)におけるメタクリル酸メチル単量体と共重合可能な単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシルおよび(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル等の不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体が挙げられ、これらは単独または二種以上を組み合わせて使用することができる。この中で好ましいのは、スチレン、アクリル酸メチルである。
本発明において、グラフト共重合体(A)におけるゴム質重合体の体積平均粒子径は、耐衝撃性等の機械的強度、成形加工性、成形品外観のバランスから、好ましくは0.1〜1.2μm、より好ましくは0.15〜0.8μm、さらに好ましくは0.15〜0.6μm、特に好ましくは0.2〜0.4μmである。ゴム質重合体の粒子径の分布は、目的とする物性に応じて、単分散、多分散、あるいは二山分布を取ることが出来る。
また、グラフト共重合体(A)におけるグラフト率は、好ましくは10〜150質量%、より好ましくは20〜110質量%、さらに好ましくは25〜60質量%である。グラフト率をこの範囲にすることで、耐衝撃性に優れ、成形加工性の良好な組成物を得ることができる。尚、グラフト率とは、ゴム質重合体にグラフト共重合した単量体の、ゴム質重合体に対する重量割合として定義される。その測定法は、重合反応により生成した重合体をアセトンに溶解し、遠心分離器によりアセトン可溶分と不溶分とに分離する。この時、アセトンに溶解する成分は重合反応した共重合体のうちグラフト反応しなかった成分(非グラフト成分)であり、アセトン不溶分はゴム質重合体、およびゴム質重合体にグラフト反応した成分(グラフト成分)である。アセトン不溶分の重量からゴム質重合体の重量を差し引いた値がグラフト成分の重量として定義されるので、これらの値からグラフト率を求めることができる。
グラフト共重合体(A)を製造する方法として、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、懸濁塊状重合、溶液重合等、公知の方法によって製造することができる。このうち、乳化重合にて製造する際には、レドックス開始剤・触媒系、あるいは熱分解型の開始剤を用いる方法が挙げられるが、レドックス開始剤・触媒系は、グラフト率の制御が容易であるため、得られた樹脂組成物は機械的強度に優れるという利点があり、さらに、最終重合率が上がりやすいために組成物中の未反応の単量体、およびオリゴマー量を低く抑えることができるため、より好ましい。
共重合体(B)の還元粘度(ηsp/c)は0.3〜1.0dl/gが好ましく、より好ましくは0.35〜1.0dl/g、さらに好ましくは0.4〜0.9dl/gである。これがこの範囲にあると耐傷性と耐衝撃性のバランスに優れた組成物を得ることができる。還元粘度は、共重合体(B)0.50gを2−ブタノン100mlにて溶解した溶液を、30℃にてCannon−Fenske型毛細管中の流出時間を測定することにより得られる。
共重合体(C)におけるメタクリル酸メチル単量体の含有量は70〜99.5質量%、好ましくは75〜99.5質量%以上、さらに好ましくは80〜98.5質量%以上、特に好ましくは85〜98.5質量%、最も好ましくは90〜98.5質量%である。 これがこの範囲にあると、難燃性、および成形品外観、特にウェルド部の外観に優れた成形品を得ることができる。
共重合体(C)の含有量は、熱可塑性樹脂組成物(D)の20〜80質量%、好ましくは20〜75質量%、さらに好ましくは25〜70質量%、特に好ましくは25〜65質量%、最も好ましくは25〜60質量%である。これがこの範囲にあると、難燃性、および成形品外観、特にウェルド部の外観に優れた成形品を得ることができる。
また、共重合体(C)の還元粘度は0.18〜1.0ml/gが好ましく、より好ましくは0.20〜1.0ml/g、さらに好ましくは0.22〜0.9ml/g、特に好ましくは0.25〜0.9ml/gである。これがこの範囲にあると、耐衝撃性と成形性のバランスに優れた組成物を得ることができる。還元粘度は、共重合体(B)と同様に共重合体(C)0.50gを2−ブタノン100mlにて溶解した溶液を、30℃にてCannon−Fenske型毛細管中の流出時間を測定することにより得られる。
尚、共重合体(B)と共重合体(C)は同一であっても良い。
共重合体(B)、および共重合体(C)は、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、懸濁塊状重合、溶液重合等、公知の方法によって製造することができる。
本発明において、熱可塑性樹脂組成物中に含有される鉄化合物としては、例えばグラフト共重合体(A)、共重合体(B)、共重合体(C)を製造する際に使用した水中に微量に含まれていたものや共重合に用いられた触媒などの残留物、着色剤や添加剤成分として添加されるもの、あるいはこれらを溶融混練してペレット化する際のストランド冷却水に含有されるもの、輸送配管(SUS材)由来などが挙げられる。
熱可塑性樹脂組成物(D)における鉄化合物の含有量は、鉄元素として70ppm未満、好ましくは50ppm未満、さらに好ましくは30ppm未満、最も好ましくは10ppm未満である。これがこの範囲にあると、難燃性、特に高湿度下に放置下の後も優れた難燃性を維持できる成形品を得ることができる。
熱可塑性樹脂組成物中の鉄元素の含有量は、クリーンルーム内で熱可塑性樹脂(D)0.25gをテフロン(登録商標)製分解容器に精秤し、硫酸および硝酸を加えてマイクロウェーブ分解装置で加圧酸分解した後、この分解液を25mlに定容して測定溶液とし、これをICP質量分析装置にてコバルトを内部標準に用いて絶対検量線法にて測定することにより得られる。尚、鉄の測定はプラズマガスのアルゴンに起因する干渉を受けるため、水素ガスをリアクションガスに用いる。
熱可塑性樹脂組成物中の鉄化合物の含有量を低減する方法として、例えば共重合時に使用する水あるいは溶融混練後押出機から出たストランドを冷却する水として脱イオン水を使用する方法、共重合時に鉄化合物触媒を使用しない重合法を採用する方法、鉄化合物触媒を使用する場合にはできるだけ使用量を低減した処方を用いる方法、水溶性の鉄化合物触媒を用いた場合には重合後の水洗に脱イオン水を用いて水洗を充分に行う方法、水洗後の脱水率をできるだけ上げる方法、鉄元素の含有量の少ない着色剤を選定するなどが挙げられる。
このうち、重合後の水洗を充分に行う方法は、大量の水が必要であることから、工業的には困難であり、また効果が不十分であることが多いため、脱水率をできるだけ上げる方法がより好ましい。脱水率を上げる方法として、遠心分離機、ベルトプレス機、スクリュープレス機による脱水が挙げられ、このうち、工業的にはベルトプレス機、およびスクリュープレス機による脱水が大量な処理が可能で、且つ脱水率も高いため好ましい。
これらは二種以上を組み合わせて用いることにより、より効果的に組成物中の鉄化合物の含有量を低減することができる。
本発明におけるグラフト共重合体(A)/共重合体(B)/共重合体(C)からなる組成物の混合方法に特に制限は無いが、公知の溶融混合法を用いることができる。具体的には、ミキシングロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等のバッチ式混練機、単軸押出機、2軸押出機、等の連続式混練機が挙げられる。尚、溶融混合の際に、混練機内部を減圧し、ベント口から低沸点成分を除去すると、外観に優れた成形品を得ることが出来る。
本発明の成形には、一般に熱可塑性樹脂の成形に用いられている公知の方法、例えば射出成形、押出成形、ブロー成形、インフレーション成形、真空成形、プレス成形等の方法を用いることができる。
特に射出成形においては、樹脂が金型キャビティに充填される直前のキャビティ表面温度は好ましくは60℃以上、さらに好ましくは70℃以上である。これがこの範囲であると、キャビティ表面への転写性が向上し、さらに意匠性に優れた成形品を得ることができる。一般に、キャビティ表面温度を高くすると冷却までの時間が長くなるため、成形サイクルが長くなるという問題があったが、キャビティ表面を短時間で加熱冷却するヒートサイクル成形法を用いることで、意匠性の向上と生産性を両立することができる。
本発明においては、その目的に応じて公知の添加剤、例えば、可塑剤、滑剤(例えば、高級脂肪酸、およびその金属塩、高級脂肪酸アミド類等)、熱安定化剤、酸化防止剤(例えば、フェノール系、フォスファイト系、チオジブロプロピオン酸エステル型のチオエーテル等)、耐候剤(例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリレート系、蓚酸誘導体、ヒンダードアミン系等)、難燃助剤(例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等)、帯電防止剤(例えば、ポリアミドエラストマー、四級アンモニウム塩系、ピリジン誘導体、脂肪族スルホン酸塩、芳香族スルホン酸塩、芳香族スルホン酸塩共重合体、硫酸エステル塩、多価アルコール部分エステル、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミド、ポリアルキレングリコール誘導体、ベタイン系、イミダゾリン誘導体等)、抗菌剤、抗カビ剤、摺動性改良剤(例えば、低分子量ポリエチレン等の炭化水素系、高級アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、脂肪酸と脂肪族アルコールとのエステル、脂肪酸と多価アルコールとのフル、あるいは部分エステル、脂肪酸とポリグリコールとのフル、あるいは部分エステル、シリコーン系、フッ素樹脂系等)等をその目的に合わせて任意の割合で配合することができる。
また、本発明においては、意匠性を付与する目的で、公知の着色剤、例えば無機顔料、有機系顔料、メタリック顔料、染料を添加することができる。
無機顔料としては、例えば酸化チタン、カーボンブラック、チタンイエロー、群青、コバルトブルー、酸化クロム、スピネルグリーン、クロム酸鉛系顔料、カドミウム系顔料などが挙げられる。
有機顔料としては、例えばアゾレーキ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジアリリド顔料、縮合アゾ顔料等のアゾ系顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、等のフタロシアニン系顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、アントラキノン顔料、ペリノン顔料、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料などが挙げられる。
メタリック顔料としては、例えばリン片状のアルミのメタリック顔料、ウェルド外観を改良するために使用されている球状のアルミ顔料、パール調メタリック顔料用のマイカ粉、その他ガラス等の無機物の多面体粒子に金属をメッキやスパッタリングで被覆したものなどが含まれる。
染料としては、例えばニトロソ染料、ニトロ染料、アゾ染料、スチルベンアゾ染料、ケトイミン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アクリジン染料、キノリン染料、メチン/ポリメチン染料、チアゾール染料、インダミン/インドフェノール染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料、硫化染料、アミノケトン/オキシケトン染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、フタロシアニン染料、等が挙げられる。
これらの着色剤は、単体、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明する。また、実施例における評価は以下の方法に従って行った。
(1)ノッチ付シャルピー衝撃強さ
ISO179に準じて、評価した。
(2)曲げ弾性率
ISO178に準じて、評価した。
(3)メルトボリュームフローレート
ISO1133に準じて、220℃、荷重98Nで評価した。
(4)難燃性
UL−94に準じて、以下の条件下にて評価し(厚み1.6mm)、V−2基準を満たすものを○とした。
<1>エージング後難燃性:試験片を70℃×168時間処理し、シリカゲルを入れたデシケータ中で4時間以上冷却した後、燃焼試験を実施した。
<2>吸湿状態での難燃性:試験片を60℃、90%湿度雰囲気下に7日間保持し、これを取り出して23℃、50%湿度雰囲気下に24時間放置後、燃焼試験を実施した。
(5)意匠性
分光光度計によりC光2°視野で測定したL***表色系色差のCIE1976明度Lが9以下となったものを○とした。
[参考例1]ポリブタジエンゴムラテックスの製造
ブタジエンモノマー950質量部、アクリロニトリル50質量部、脱イオン水(鉄濃度:0.02ppm未満)135質量部、オレイン酸カリウム3.0質量部、過硫酸カリウム0.3質量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.2質量部、および水酸化カリウム0.18質量部を撹拌機の付いた耐圧容器に収納して、温度を70℃に上げ、重合を開始した。重合時間15時間で日機装(株)社製マイクロトラック粒度分析計「nanotrac150」にて測定した体積平均粒子径80nm、固形分40質量%のポリブタジエンラテックスを得た。これに下記化学式(2)で表される乳化剤をラテックスの固形分100質量部に対して0.1質量部加え、5分間攪拌後、酢酸0.65質量部を添加した。ついで、水酸化カリウム0.65質量部を加えて安定なラテックスを得た。このラテックスは、体積平均粒子径が250nmの粒子径分布を持ったラテックスであり、コアギュラムを副成せず、固形分37質量%の高濃度凝集ラテックスであった。350nm以上の粒子径のラテックスの質量分率は11質量%であった。
Figure 2011012122
[参考例2]グラフト共重合体(A−1)の製造
参考例1で製造したポリブタジエンゴムラテックス135質量部に、ターシャリードデシルメルカプタン0.1質量部、および脱イオン水(鉄濃度:0.02ppm未満)15質量部を加え、気相部を窒素置換し、これに脱イオン水25質量部にナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.06質量部、硫酸第一鉄0.0008質量部、エチレンジアミンテトラ酢酸2ナトリウム塩0.02質量部を溶解してなる水溶液を加えた後、55℃に昇温した。続いて、1.5時間かけて70℃まで昇温しながら、アクリロニトリル10質量部、スチレンを40質量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.4質量部、クメンハイドロパーオキシド0.15質量部よりなる単量体混合液、および脱イオン水25質量部にナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.035質量部を溶解してなる水溶液を4時間にわたり添加した。添加終了後にクメンハイドロパーオキシド0.02質量部を加えた後、さらに1時間、反応槽を70℃に制御しながら重合反応を完結させた。
このようにして得られたABSラテックスに、シリコーン樹脂製消泡剤、およびフェノール系酸化防止剤エマルジョンを添加した後、固形分濃度が10質量%となるように脱イオン水を加えて調整し、70℃に加温した後、硫酸アルミニウム水溶液を加えて凝固させ、スクリュープレス機にて固液分離を行った。この時の含水率は10質量%であった。これを乾燥させてグラフト共重合体(A−1)を得た。
該共重合体の組成比は、フーリエ変換赤外分光光度計(FR−IR)(日本分光(株)製)を用いた組成分析の結果、アクリロニトリル9.7質量%、ブタジエン51.3質量%、スチレン39.0質量%であった。またグラフト率は46質量%、非グラフト成分(アセトン可溶分)の還元粘度(0.50g/100ml、2−ブタノン溶液中、30℃測定)は0.31dl/gであった。
[参考例3]共重合体(B−1)の製造
アクリロニトリル13質量部、スチレン52質量部、トルエン35質量部、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.05質量部となるように調整した以外は、特許第3664576号公報実施例1に記載の方法にて共重合体(B−1)のペレットを得た。 該共重合体の組成は、フーリエ変換赤外分光光度計(FR−IR)(日本分光(株)製)を用いた組成分析の結果、アクリロニトリル20.8質量%、スチレン79.2質量%であった。また、還元粘度は0.75dl/gであった。
[参考例4]共重合体(C−1)の製造
メタクリル酸メチル68.6質量部、アクリル酸メチル1.4質量部、エチルベンゼン30質量部からなる単量体混合物に、1,1−ジ−t−ブチルパ−オキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.015質量部、およびn−オクチルメルカプタン0.15質量部を添加し、均一に混合した。この溶液を内容積10リットルの密閉式耐圧反応器に連続的に供給し、攪拌下に平均温度135℃、平均滞留時間2時間で重合した後、反応器に接続された貯槽に連続的に送り出し、260℃、10mmHgの高真空に保たれた揮発分除去装置へ導入し、未反応単量体、および溶媒を脱揮回収し、さらに押出機に連続的に溶融状態で移送した。ここで、押出機に接続した添加剤投口からラウリン酸とステアリルアルコールを90℃で溶融した状態で定量的に供給して、共重合体(C−1)のペレットを得た。この共重合体の還元粘度は、0.35dl/gであり、プロトンNMR法を用いて組成分析したところ、メタクリル酸メチル単位/アクリル酸メチル単位=98.0/2.0(重量比)の結果を得た。さらに、樹脂組成物中のラウリン酸とステアリルアルコールを定量したところ、樹脂組成物100質量部当たり、それぞれ0.03および0.1質量部との結果を得た。
[難燃剤E]
燐系難燃剤として以下を使用した。
難燃剤(E−1):大八化学社製「PX200」
(1,3−フェニレンビス(2,6−ジメチルフェニル=ホスファート))
[実施例1]
充分に乾燥し、水分除去を行ったグラフト共重合体(A−1)22.5質量部、共重合体(B−1)27.5質量部、共重合体(C−1)50質量部、およびカーボンブラック#2600(三菱化学製、平均粒子径=13nm、窒素吸着比表面積=370m/g、揮発分=1.8%)0.3質量部を混合した後、これをホッパーに投入し、難燃剤(E−1)は定量フィーダーを用いて定量的に投入しながら、二軸押出機(PCM−30、L/D=28、池貝鉄工(株)製)を使用して、シリンダー設定温度250℃、スクリュー回転数150rpm、混練樹脂の吐出速度15kg/hrの条件で混練し、ダイ先端から出たストランドを、冷却用水(鉄濃度:0.3ppm未満)を張ったストランドバス中を通して冷却を行った後、ストランドカッターにて切断してペレットを得た。このペレットにてISO294−1に定められる多目的試験片を射出成形して機械的強度の試験を行った。また、難燃性はUL−94規格に則った1.6mm厚の試験片を射出成形し、評価した。さらに意匠性は、50×90×2.5mmのプレートを射出成形して評価した。
その結果を表1に示す。
[実施例2]
着色剤として三酸化二鉄(III)(戸田ピグメント社製)0.005質量部およびカーボンブラック#2600を0.3質量部使用した以外は実施例1と同様の手順にて樹脂ペレットおよび評価サンプルを作製し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
着色剤として三酸化二鉄(III)(戸田ピグメント社製)0.02質量部およびカーボンブラック#2600を0.3質量部使用した以外は実施例1と同様の手順にて樹脂ペレットおよび評価サンプルを作製し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
[比較例2]
充分に乾燥し、水分除去を行ったグラフト共重合体(A−1)22.5質量部、共重合体(B−1)77.5質量部とした以外は実施例1と同様の手順にて樹脂ペレットおよび評価サンプルを作製し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1は、難燃性と意匠性、および機械的物性のバランスに優れている。
また、実施例2は、難燃性、および機械的物性のバランスに優れている。
一方、比較例1及び2は鉄化合物の含有量が範囲外であるため、高湿度雰囲気下に放置後の難燃性の劣ったものとなっている。
比較例3は、意匠性の劣ったものとなっている。
Figure 2011012122
本発明の組成物を用いることで、難燃性、機械的特性、金型洗浄を頻繁に行うことなく優れた外観を持つ成形品を得ることができる。

Claims (2)

  1. ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体およびこれと共重合可能な一種または二種以上の単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体(A)と、芳香族ビニル系単量体およびこれと共重合可能な一種または二種以上の単量体を共重合してなる共重合体(B)と、メタクリル酸メチル単量体70〜99.5質量%およびこれと共重合可能な一種または二種以上の単量体0.5〜30質量%を共重合してなる共重合体(C)からなる熱可塑性樹脂組成物(D)100質量部に対して、下記一般式(1)で表される難燃剤(E)を5〜25質質量部および着色剤(F)を配合してなる難燃性熱可塑性樹脂組成物であって、熱可塑性樹脂組成物(D)における共重合体(C)の含有量が20〜80質量%であり、難燃性熱可塑性樹脂中の鉄化合物の含有量が鉄元素として70ppm未満であることを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物。
    Figure 2011012122
    (R、R、R、及びRはそれぞれ独立したアリール基であり、その一つ以上の水素が置換されていてもいなくてもよい。nは自然数、Xは2価のフェノール類より誘導される芳香族基、j、k、l、及びmはそれぞれ独立して0又は1である。)
  2. 請求項1に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする成形品。
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