JP2011008046A - レンズ鏡筒の直進案内機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】直進案内環の光軸方向のコンパクト化を図りつつ、直進移動部材に対して大きな光軸方向移動量を与えることが可能なレンズ鏡筒の直進案内機構を提供する。
【解決手段】光学要素を保持する直進移動部材を回転環の回転によって光軸方向に直進移動させるレンズ鏡筒において、異なる複数の移動範囲に分割して直進移動部材に対する光軸方向の直進案内を行う複数の部分直進案内部材で直進案内機構を構成したこと。
【選択図】図13

Description

本発明は、レンズ鏡筒を構成する直進案内機構に関する。
レンズ鏡筒において、レンズ群などの光学要素を保持する部材に対して、光軸方向への直進案内を行う直進案内機構と、カム環などの回転環との組み合わせによって光軸方向移動を行わせることが一般に行われている。
特開2004-151710号公報
レンズ鏡筒における直進案内機構は、直進案内をする側の直進案内部材(例えば直進案内環)に、光軸方向へ延びるガイド面を有する長溝やガイドキーなどの部位を設け、直進案内を受ける側の直進移動部材(例えば直進移動環)に、このガイド面に対して摺動可能に接する摺動部を設けるというのが一般的な構造である。直進移動部材の移動量の上限は直進案内部材上のガイド面の長さによって決まり、ガイド面の長さは直進案内部材の光軸方向長さに制約される。つまり、直進案内部材の光軸方向長以上の移動量を直進移動部材に与えることができないため、直進移動部材の移動量の大きさと直進案内部材の光軸方向のコンパクト化はトレードオフの関係にあった。例えば、ズームレンズの高変倍化を図るべく各レンズ群の移動距離を大きくさせようとすると、該レンズ群に対する直進案内を行う直進案内部材の光軸方向サイズが大きく(長く)なり、レンズ鏡筒のコンパクト化、特に光軸方向における薄型化が制約される。逆に、光軸方向サイズの小さい(短い)直進案内部材では、大きな移動量を与えることができなかった。
本発明は、以上の問題意識に基づき、直進案内部材の光軸方向サイズの小型化を図りつつ、直進移動部材に対して大きな光軸方向移動量を与えることが可能なレンズ鏡筒の直進案内機構を得ることを目的とする。
本発明は、レンズ鏡筒において回転されない複数の部材が存在することに着目し、これら複数の部材に亘って直進案内機構を構成することで個々の直進案内部材の光軸方向長さに制限されずに直進移動量を設定可能であるとの思想に基づきなされたものである。すなわち本発明は、光学要素を保持する直進移動部材を回転環の回転によって光軸方向に直進移動させるレンズ鏡筒において、異なる複数の移動範囲に分割して直進移動部材に対する光軸方向の直進案内を行う複数の部分直進案内部材によって直進案内機構を構成したことを特徴としている。
撮影状態と撮影を行わない収納状態とに動作可能であるタイプのレンズ鏡筒では、撮影状態では第1の部分直進案内部材、収納状態では第2の部分直進案内部材によって直進移動部材を光軸方向に直進案内するように分担させ、レンズ鏡筒の収納状態から撮影状態への移行の途中で、直進移動部材に対する第2の部分直進案内部材による直進案内が解除され、第1の部分直進案内部材が直進案内を開始することが好ましい。このとき、直進移動部材に対して第2の部分直進案内部材による直進案内が解除されるタイミングよりも、第1の部分直進案内部材による直進案内が開始されるタイミングを早く設定することが好ましい。
レンズ鏡筒の光学系がズーム光学系である場合、第1の部分直進案内部材は、該ズーム光学系のワイド端からテレ端までのズーム撮影領域全体の移動範囲で、直進移動部材を光軸方向に直進案内することが好ましい。このように、撮影状態(ズーム撮影領域)において直進案内を担当する部材を一貫させておくことで、光学要素を高精度に案内することができる。
直進移動部材に光軸方向の移動力を与える回転環は、例えば、該直進移動部材に設けたカムフォロアが係合するカム溝(第1のカム溝)を有するカム環である。
この場合、第1の部分直進案内部材は、カム環と光軸方向の相対移動が規制され、かつ相対回転可能に結合されたものとすることができる。カム環が回転すると、該カム環と光軸方向に一体化された第1の部分直進案内部材と、カム溝(第1のカム溝)に従って光軸方向に移動する直進移動部材の間で光軸方向の相対位置が変化し、これによって第1の部分直進案内部材が直進移動部材を直進案内する状態と、直進案内を解除する状態とに切り替えさせることができる。
さらに、レンズ鏡筒が収納状態から撮影状態になるとき、固定環に対してカム環自体が回転しながら光軸方向前方に移動するように構成してもよい。この場合、カム環と共に光軸方向位置が変化する第1の部分直進案内部材を、固定環に設けた直進案内部によって光軸方向に直進案内することが好ましい。
また、カム環には、直進移動部材のカムフォロアが係合する第1のカム溝とは異なる軌跡の第2のカム溝を形成し、この第2のカム溝によって第2の部分直進案内部材の光軸方向位置を制御させることができる。第2の部分直進案内部材は、先の直進移動部材とは別の光学要素を保持し、カム環の回転に応じて直進移動部材と異なる軌跡で光軸方向に直進移動される。これによって、直進移動部材と第2の部分直進案内部材の間で光軸方向の相対位置が変化し、該第2の部分直進案内部材が直進移動部材を直進案内する状態と、該直進案内を解除する状態とに切り替えさせることができる。
このように第2の部分直進案内部材自体が光軸方向へ移動可能である場合、固定環に設けた直進案内部による光軸方向の直進案内を受ける中間直進案内部材を介して、第2の部分直進案内部材を光軸方向に直進案内することが好ましい。
一例として、直進移動部材と第1の部分直進案内部材はそれぞれ、カム環の回転に応じて互いの重畳量を変化させるレンズ鏡筒の外観環とすることができる。
本発明の直進案内機構における具体的な直進案内構造として、複数の部分直進案内部材にはそれぞれ、少なくとも光軸方向の一端部が開口され光軸方向に延びる直進案内溝を形成し、直進移動部材には、この開口端部を通して複数の部分直進案内部材のそれぞれの直進案内溝に挿脱される複数種の直進案内キーを設けることが好ましい。
この場合、直進案内溝の開口端部を、徐々に溝幅を大きくするテーパー開口部として形成することにより、該直進案内溝から外れた状態の直進案内キーをスムーズに挿入させることができる。あるいは、直進案内キーにおける直進案内溝への挿入端部に、先端に進むにつれて徐々に幅を小さくするテーパー先端部を形成することによっても、同様の効果を得ることができる。
本発明によれば、個々の部分直進案内部材の光軸方向長さよりも大きい光軸方向移動量を直進移動部材に与えることが可能であるから、直進案内部材の光軸方向サイズの小型化を図りつつ、直進移動部材に対して大きな光軸方向移動量を与えることが可能なレンズ鏡筒の直進案内機構が得られる。
本発明による直進案内機構を備えたズームレンズ鏡筒の一実施形態を示すズーム撮影領域(上半部がワイド端で下半部がテレ端)における断面図である。 同ズームレンズ鏡筒の収納状態における断面図である。 同ズームレンズ鏡筒のハウジングから可動レンズブロックを取り外した状態の分解斜視図である。 可動レンズブロックの分解斜視図である。 第2繰出筒とそれに支持される第1レンズ群の分解斜視図である。 第2繰出筒の後方斜視図である。 第1繰出筒の前方斜視図である。 2群レンズ移動枠とそれに支持される第2レンズ群の分解斜視図である。 第2繰出筒の一部を透視して示す展開平面図である。 第1繰出筒の展開平面図である。 2群レンズ移動枠の展開平面図である。 ズームレンズ鏡筒の収納状態での第2繰出筒、第1繰出筒及び2群レンズ移動枠の直進案内関係を示す展開平面図である。 同直進案内関係における直進案内の受け渡し(切り替わり)を示す展開平面図である。 ズームレンズ鏡筒のズーム撮影領域(ワイド端)になったときの同直進案内関係を示す展開平面図である。 2群レンズ移動枠が第2繰出筒を直進案内している状態を示す部分斜視図である。 2群レンズ移動枠による第2繰出筒の直進案内が解除された状態を示す部分斜視図である。
図1及び図2は、本発明による直進案内機構を備えたズームレンズ鏡筒ZLの一実施形態を示している。このズームレンズ鏡筒ZLの撮像光学系は、物体(被写体)側から順に第1レンズ群(光学要素)LG1、第2レンズ群(別の光学要素)LG2、第3レンズ群LG3、ローパスフィルタ25及び撮像素子26を備えている。以下の説明中で光軸方向とは、この撮影光学系の光軸Oと平行な方向を意味し、前方とは光軸方向の前方(被写体側)、後方とは光軸方向の後方(像面側)を意味する。
ローパスフィルタ25と撮像素子26はユニット化されて撮像素子ホルダ23に固定され、撮像素子ホルダ23がハウジング(固定環)22の後部に固定される。
第3レンズ群LG3を保持する3群レンズ枠51は、ハウジング22に対して光軸方向に移動可能に支持されていて、AFモータ160(図3)によって駆動される。
ハウジング22の内側には、図3に示すように、可動レンズ(カム環)ブロック110が移動可能に支持されている。可動レンズ(カム環)ブロック110は、図4に示すように、2群用直進案内環(中間直進案内部材)10、カム環(回転環)11、第2繰出筒(直進移動部材)12、第1繰出筒(部分直進案内部材、第1の部分直進案内部材)13、カム環結合環14及び2群レンズブロック80を含んでいる。第2繰出筒12と第1繰出筒13はそれぞれ、ズームレンズ鏡筒ZLの2つの繰出段部の外観筒を構成しており、後述するように、カム環11の回転に応じて互いの光軸方向の重畳量を変化させる。
カム環11は、ハウジング22の内周面に形成したカム環ガイド溝22aに対して摺動可能に嵌るガイド突起11aを有している。図3に示すように、カム環ガイド溝22aは、光軸Oに対して傾斜するリード溝部22a1と、該リード溝部22a1の前端部に接続する光軸Oを中心とした環状溝部22a2とを有している。カム環11の後端部に形成したギヤ11bに対してズームギヤ28(図3に一部のみ示す)が噛合し、ズームギヤ28はズームモータ150(図3)の駆動力によって回転されるカム環11は、ズームギヤ28とギヤ11bを介してズームモータ150の駆動力を受けて回転されると、ズームレンズ鏡筒ZLの収納状態(図2)からズーム撮影領域(図1)までの間は、ガイド突起11aがリード溝部22a1の案内を受けて回転しながら光軸方向に移動し、ズーム撮影領域(図1)では、ガイド突起11aが環状溝部22a2の案内を受けて光軸方向には定位置で回転される。
第1繰出筒13と2群用直進案内環10は、カム環11(カム環11とカム環結合環14の結合体)の前後に位置している。2群用直進案内環10と第1繰出筒13はそれぞれ、ハウジング22に形成された光軸方向の直進案内溝22bに対して直進案内突起10a、13aを摺動可能に係合させることで、ハウジング22に対して光軸方向に相対移動可能に直進案内されている。2群用直進案内環10は、カム環11の後端部付近の内周面に形成した回転案内爪11cと係合する回転案内爪10bを有し、この爪係合によって、カム環11に対して相対回転は可能で光軸方向に共に移動するように結合(バヨネット結合)されている。第1繰出筒13は、カム環11に結合されたカム環結合環14の外周面に設けた回転案内爪14aと回転案内爪13bの摺接関係によって、カム環11に対して相対回転は可能で光軸方向に共に移動するように結合(バヨネット結合)されている。つまり、2群用直進案内環10、カム環11及び第1繰出筒13の3つの部材は、光軸方向には共に移動し、ハウジング22に対して光軸方向に直進案内された2群用直進案内環10と第1繰出筒13に対してカム環11が相対回転可能という関係になっている。
2群用直進案内環10は、光軸方向前方に突出する3つの直進案内バー10cを介して、2群レンズブロック80(図4)を光軸方向へ相対移動可能に直進案内している。2群レンズブロック80は、図8に示すように、第2レンズ群LG2を保持する2群レンズ保持枠2を内部に支持した2群レンズ移動枠(部分直進案内部材、第2の部分直進案内部材)8を有し、この2群レンズ移動枠8に形成した光軸方向の直進案内溝8aに対して直進案内バー10cが摺動可能に係合することで直進案内される。2群レンズ移動枠8には、2群レンズ保持枠2の前後にそれぞれ位置させて、可変開口絞機構70とシャッタブロック100がそれぞれ光軸方向に可動に支持されている(図1、図2)。
第1レンズ群LG1を保持する第2繰出筒12は、ハウジング22に対して光軸方向に直進移動可能に案内された第1繰出筒13と、2群用直進案内環10を介して光軸方向に直進移動可能に案内された2群レンズ移動枠8の2つの部材によって(またがって)、光軸方向へ移動可能に直進案内されている。第2繰出筒12においては、図5、図6及び図9に示すように、その後端部に外側直進案内キー12a、内部に内側直進案内キー12bが、それぞれ周方向に略等間隔で3つずつ設けられている。第2繰出筒12内には、その内周部に第1レンズ群LG1を保持する環状フランジ部12cが設けられ、3つの内側直進案内キー12bはそれぞれ、この環状フランジ部12cから光軸方向後方に向けて突出された部分円筒状の後方突出片12dの外周面上に形成されている(図6、図15、図16参照)。それぞれの内側直進案内キー12bの先端部(光軸方向後端部)には、光軸方向後方すなわち先端側に進むにつれて徐々に幅を小さくするテーパー先端部12eが形成されている。
図7や図10に示すように、第1繰出筒13の内周面には、直進案内溝13cが周方向に略等間隔で3つ形成されている。直進案内溝13cは光軸方向の前後端部がいずれも開口された光軸方向への長溝となっており、第1繰出筒13と第2繰出筒12の光軸方向の相対位置変化に応じて、外側直進案内キー12aが直進案内溝13cに対して光軸方向に摺動可能に嵌る状態と、該直進案内溝13cから外側直進案内キー12aが後方に離脱した状態とに変化する。外側直進案内キー12aと直進案内溝13cの嵌合状態では、第2繰出筒12は第1繰出筒13によって光軸方向に相対移動可能に直進案内される。直進案内溝13cの光軸方向後端には、光軸方向後方に進むにつれて徐々に溝幅を広くするテーパー開口部13dが形成されている。このテーパー開口部13dによって、直進案内溝13cから離脱した状態の外側直進案内キー12aを該直進案内溝13cに対してスムーズに挿入させることができる。
また、図8や図11に示すように、2群レンズ移動枠8の内周面には、直進案内溝8bが周方向に略等間隔で3つ形成されている。直進案内溝8bは、光軸方向の前方端部が開口された光軸方向への長溝となっており、2群レンズ移動枠8と第2繰出筒12の光軸方向の相対位置変化に応じて、内側直進案内キー12bが直進案内溝8bに対して光軸方向に摺動可能に嵌る状態と、該直進案内溝8bから内側直進案内キー12bが前方に離脱した状態とに変化する。内側直進案内キー12bと直進案内溝8bの嵌合状態では、第2繰出筒12は2群レンズ移動枠8によって光軸方向に相対移動可能に直進案内される。直進案内溝8bの光軸方向前端の開口部は、光軸方向前方に進むにつれて徐々に溝幅を広くするテーパー開口部8cとなっている。このテーパー開口部8cとテーパー先端部12eによって、直進案内溝8bから離脱した状態の内側直進案内キー12bを該直進案内溝8bに対してスムーズに挿入させることができる。
第2繰出筒12は、外側直進案内キー12aの後方に位置して内径方向に突出する1群用カムフォロアCF1を有し、この1群用カムフォロアCF1が、カム環11の外周面に形成した1群制御カム溝(第1のカム溝)CG1に摺動可能に嵌合している。第2繰出筒12は第1繰出筒13と2群レンズ移動枠8を介して光軸方向に直進案内されているため、カム環11が回転すると、1群制御カム溝CG1の形状に従って、第2繰出筒12すなわち第1レンズ群LG1が光軸方向へ所定の軌跡で移動する。
カム環11の内周面に形成した2群制御カム溝(第2のカム溝)CG2に対し、2群レンズ移動枠8の外周面に設けた2群用カムフォロアCF2が係合している。2群レンズ移動枠8は2群用直進案内環10を介して光軸方向に直進案内されているため、カム環11が回転すると、2群制御カム溝CG2の形状に従って、2群レンズ移動枠8すなわち第2レンズ群LG2が光軸方向へ所定の軌跡で移動する。
2群レンズ移動枠8と第2繰出筒12の間には、圧縮ばねからなる群間付勢ばね27が挿入されており、2群レンズ移動枠8と第2繰出筒12は互いに離間する方向に付勢されている。
以上の構造からなるズームレンズ鏡筒ZLは次のように動作する。図2に示す鏡筒収納状態では、図1に示す撮影状態よりも光軸方向の光学系の長さ(第1レンズ群LG1の物体側の面から撮像素子26の撮像面までの距離)が短くなっている。この鏡筒収納状態では、2群レンズ移動枠8、第2繰出筒12及び第1繰出筒13は互いの重畳量が大きく、図2、図12及び図15に示すように、第2繰出筒12の内側直進案内キー12bが2群レンズ移動枠8の直進案内溝8bに嵌っている一方、外側直進案内キー12aは、第1繰出筒13の直進案内溝13cに対して後方に離脱した位置にある。よって第2繰出筒12は、内側直進案内キー12bと直進案内溝8bの相対摺動によって光軸方向に直進案内される。つまり、鏡筒収納状態では2群レンズ移動枠8が第2繰出筒12を直進案内し、第1繰出筒13は第2繰出筒12の直進案内に関係していない。
鏡筒収納状態において撮影状態への移行信号(例えば、ズームレンズ鏡筒ZLが搭載されるカメラに設けたメインスイッチのオン)が入力されると、ズームモータ150が鏡筒繰出方向に駆動され、カム環ガイド溝22aのリード溝部22a1とガイド突起11aの関係によって、ハウジング22に対してカム環11が回転しながら光軸方向前方へ繰り出される。2群用直進案内環10と第1繰出筒13は、カム環11と共に前方へ直進移動する。カム環11が回転すると、その外側では、2群レンズ移動枠8を介して直進案内された第2繰出筒12が、1群用カムフォロアCF1と1群制御カム溝CG1の関係によって光軸方向に所定の軌跡で移動される。具体的には、このとき第2繰出筒12は、カム環11に対して光軸方向前方に相対移動される。カム環11と第1繰出筒13は光軸方向には一体化されているので、この第2繰出筒12の前方への相対移動により、外側直進案内キー12aが第1繰出筒13の直進案内溝13cに後方から接近する。また、カム環11が回転すると、その内側では、2群用直進案内環10を介して直進案内された2群レンズ移動枠8が、2群用カムフォロアCF2と2群制御カム溝CG2の関係によって、カム環11に対して第2繰出筒12とは異なる所定の軌跡で光軸方向に移動される。これにより、直進案内溝8b内での内側直進案内キー12bの位置が変化する。
鏡筒収納状態からズームモータ150が鏡筒繰出方向に所定量駆動されると、図13のように、外側直進案内キー12aが直進案内溝13cの後端部に進入する。このとき、テーパー開口部13dの形状によって、引っ掛かりを生じることなく確実に外側直進案内キー12aを直進案内溝13cに進入させることができる。また、図13の状態では、内側直進案内キー12bの大部分が直進案内溝8bから前方に離脱しており、わずかにテーパー先端部12eがテーパー開口部8c付近に位置しているのみであり、内側直進案内キー12bと直進案内溝8bの関係による直進案内が実質的に解除されている。つまり、第2繰出筒12に対する光軸方向への直進案内部材の切り替えが生じており、2群レンズ移動枠8が直進案内を担当する状態から、第1繰出筒13が直進案内を担当する状態へと変化している。この直進案内の切り替えのタイミングは、直進案内溝13cへの外側直進案内キー12aの嵌合(進入)が生じた後で、内側直進案内キー12bが直進案内溝8bから離脱するように、すなわち外側直進案内キー12aと内側直進案内キー12bの両方が対応の直進案内溝13c、8bから同時に離脱しないように設定されている。具体的には、鏡筒繰出動作時に図13の状態になる直前で、直進案内溝13cの後端付近の領域D1(図10)と、直進案内溝8bの前端付近の領域D2(図11)に対して、それぞれ対応する直進案内キー12a、12bが同時に嵌合している状態が存在する。換言すれば、第2繰出筒12の光軸方向の移動範囲のうち、第1繰出筒13(直進案内溝13c)によって直進案内がなされる範囲の一部と、2群レンズ移動枠8(直進案内溝8b)によって直進案内がなされる範囲の一部が互いに重複した関係にあり、第2繰出筒12に対する直進案内の担当部材の切り替えは、この重複部分において行われる。これにより、直進案内の担当部材を2群レンズ移動枠8から第1繰出筒13に(あるいはその逆に)切り替える際に、第2繰出筒12に対する直進案内が途切れることがなく、スムーズな動作を達成できる。
図13の状態からさらにズームモータ150が鏡筒繰出方向に駆動されると、カム環11と第1繰出筒13の結合体に対して第2繰出筒12が前方に相対移動して外側直進案内キー12aがさらに直進案内溝13c内に進入する。その一方、2群レンズ移動枠8に対して第2繰出筒12が前方に相対移動して、内側直進案内キー12bが直進案内溝8bから前方へ完全に離脱する(図14、図16参照)。やがて、ズームレンズ鏡筒ZLが所定量繰り出されると、図1の上半断面に示すズーム撮影領域のワイド端に達する。ズーム撮影領域に達すると、カム環11のガイド突起11aがカム環ガイド溝22aの環状溝部22a2内に位置され、カム環11の光軸方向移動が停止される。
鏡筒収納状態からの第1レンズ群LG1と第2レンズ群LG2の繰出量はそれぞれ、前者が、ハウジング22に対するカム環11の前方移動量と、該カム環11に対する第2繰出筒12のカム繰出量との合算値として決まり、後者が、ハウジング22に対するカム環11の前方移動量と、該カム環11に対する2群レンズ移動枠8のカム繰出量との合算値として決まる。ズーミングは、この第1レンズ群LG1と第2レンズ群LG2が互いの空気間隔を変化させながら撮影光軸Oに沿って移動することにより行われる。図1の上半断面に示すワイド端の繰出状態からさらにズームモータ150を望遠方向(鏡筒収納状態からワイド端までの繰出時と同じ方向)に駆動させると、やがて図1の下半断面に示すテレ端の繰出状態となる。このワイド端からテレ端までのズーム撮影領域では、カム環11はカム環ガイド溝22aの環状溝部22a2に案内されて光軸方向の一定位置で回転を行い、光軸方向へは進退しない。
図1の上半断面や図14から分かるように、ワイド端では、外側直進案内キー12aが直進案内溝13cに嵌って直進案内を受けている一方、内側直進案内キー12bは直進案内溝8bから前方に外れている。そして、ワイド端だけでなく図1の下半断面のテレ端でも、外側直進案内キー12aと直進案内溝13cの嵌合による直進案内関係は維持される。この外側直進案内キー12aと直進案内溝13cの嵌合は、図1に示されているワイド端とテレ端を含むズーム撮影領域全体で維持される。換言すれば、ズーム撮影領域では、第2繰出筒12は常に第1繰出筒13による直進案内を受けるようになっている。なお、図1の下半断面に示すように、テレ端では、第2レンズ群LG2を第1レンズ群LG1に接近させる動作に伴い、内側直進案内キー12bも直進案内溝8bに嵌っている。この状態で第1繰出筒13による第2繰出筒12の直進案内に干渉しないように、内側直進案内キー12bと直進案内溝8bの嵌合クリアランスが、外側直進案内キー12aと直進案内溝13cの嵌合クリアランスよりもわずかに緩く設定されている。
撮影状態(ズーム撮影領域)から収納状態への移行信号(例えば、カメラのメインスイッチのオフ)が入力されると、ズームモータ150が鏡筒収納方向に駆動され、ズームレンズ鏡筒ZLは以上の繰出動作とは逆の収納動作を行う。ワイド端では、図14のように、外側直進案内キー12aが直進案内溝13cに嵌合し、内側直進案内キー12bは直進案内溝8bから外れているが、鏡筒収納方向への動作の途中で(具体的には図13に示す位置から鏡筒収納方向への動作が行われると)、外側直進案内キー12aが直進案内溝13cから後方に離脱し、代わって内側直進案内キー12bが直進案内溝8bに嵌るようになる。このとき鏡筒繰出動作時と同様に、内側直進案内キー12bが直進案内溝8bに嵌合(進入)した後で、直進案内溝13cから外側直進案内キー12aが離脱するように、2群レンズ移動枠8による直進案内の範囲の一部と、第1繰出筒13による直進案内の範囲の一部が互いに重複している。これにより、第2繰出筒12は、第1繰出筒13によって直進案内される状態から、2群レンズ移動枠8によって直進案内される状態に切り替わる。なお、この直進案内の切り替えに際し、内側直進案内キー12bが直進案内溝8bに進入するときには、該内側直進案内キー12bの先端に形成したテーパー先端部12eとテーパー開口部8cとの関係によって、引っ掛かりを生じずにスムーズに進入させることができる。これ以降は、鏡筒繰出動作を再び行うまで、第2繰出筒12は2群レンズ移動枠8による直進案内を受け、第1繰出筒13は第2繰出筒12の直進案内に関与しない。
第3レンズ群LG3を支持する3群レンズ枠51は、以上のズームモータ150による第1レンズ群LG1及び第2レンズ群LG2の駆動とは独立して、AFモータ160によって光軸方向に前後移動させることができる。そして、光学系がワイド端からテレ端までのズーム撮影領域にあるとき、測距手段によって得られた被写体距離情報に応じてAFモータ160を駆動することにより、第3レンズ群LG3が光軸方向に移動してフォーカシングが実行される。
以上のように本実施形態のズームレンズ鏡筒ZLでは、第2繰出筒12を光軸方向に案内する手段を、それぞれが異なる部分的な直進案内範囲を持つ二部材、すなわち直進案内溝13cを有する第1繰出筒13と直進案内溝8bを有する2群レンズ移動枠8とに分け、これらの分割された部分的直進案内部材を相互補完的に機能させることで、ひとつの直進案内機構として成立させている。この構成によると、個々の直進案内溝13c、8bが担当する光軸方向の直進案内量(各直進案内溝13c、8bの光軸方向長さ)は、第2繰出筒12の全体移動量よりも小さくて済むため、第2繰出筒12の移動量に比して、第1繰出筒13や2群レンズ移動枠8の光軸方向サイズを小さくすることができる。逆に言えば、第1繰出筒13や2群レンズ移動枠8の個々の光軸方向サイズに制約されることなく、より大きな光軸方向移動量を第2繰出筒12に与えることができる。第2繰出筒12は第1レンズ群LG1を保持しており、その光軸方向移動量を大きく設定することでズームレンズ鏡筒ZLの高変倍化などに効果がある。そして、第2繰出筒12の移動量に比して第1繰出筒13や2群レンズ移動枠8の光軸方向サイズを小さくさせることで、図2に示す鏡筒収納状態でのズームレンズ鏡筒ZLの収納長を短縮させることが可能になる。つまり、収納状態ではコンパクトでありながら第2繰出筒12(第1レンズ群LG1)の繰出量を大きくさせることができる。
以上、図示実施形態に基づき説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、図示実施形態では鏡筒収納状態から撮影状態になるときに、ハウジング22に対してカム環11が回転しながら光軸方向前方に繰り出される。これにより、カム環11に間接的に支持されている第1レンズ群LG1と第2レンズ群LG2の像面(撮像素子26)に対する繰出量を大きくさせることができる。但し、カム環11がこのような光軸方向移動を行わず常時定位置で回転する構成であっても、第1繰出筒13(直進案内溝13c)や2群レンズ移動枠8(直進案内溝8b)の個々の光軸方向サイズよりも、第2繰出筒12の光軸方向移動量を大きく設定できるという前述の作用効果は得られる。よって、カム環11に相当する回転環が光軸方向に移動しないタイプのレンズ鏡筒についても、本発明は有効である。
また、図示実施形態では、第1繰出筒13と2群レンズ移動枠8の二部材によって第2繰出筒12の直進案内を行っているが、ひとつの直進移動部材に対して3つ以上の部分直進案内部材によって直進案内を行わせることも可能である。
8 2群レンズ移動枠(部分直進案内部材、第2の部分直進案内部材)
8a 直進案内溝
8b 直進案内溝
8c テーパー開口部
10 2群用直進案内環(中間直進案内部材)
10a 直進案内突起
10c 直進案内バー
11 カム環(回転環)
12 第2繰出筒(直進移動部材)
12a 外側直進案内キー
12b 内側直進案内キー
12d 後方突出片
12e テーパー先端部
13 第1繰出筒(部分直進案内部材、第1の部分直進案内部材)
13a 直進案内突起
13c 直進案内溝
13d テーパー開口部
14 カム環結合環
22 ハウジング(固定環)
22b 直進案内溝
80 2群レンズブロック
110 可動レンズ(カム環)ブロック
150 ズームモータ
160 AFモータ
CF1 1群用カムフォロア
CF2 2群用カムフォロア
CG1 1群制御カム溝(第1のカム溝)
CG2 2群制御カム溝(第2のカム溝)
LG1 第1レンズ群(光学要素)
LG2 第2レンズ群(別の光学要素)
LG3 第3レンズ群
O 光軸
ZL ズームレンズ鏡筒

Claims (11)

  1. 光学要素を保持する直進移動部材を回転環の回転によって光軸方向に直進移動させるレンズ鏡筒において、
    異なる複数の移動範囲に分割して上記直進移動部材に対する光軸方向の直進案内を行う複数の部分直進案内部材を備えたことを特徴とするレンズ鏡筒の直進案内機構。
  2. 請求項1記載のレンズ鏡筒の直進案内機構において、
    上記複数の部分直進案内部材は、レンズ鏡筒が撮影状態にあるときに上記直進移動部材を光軸方向に直進案内する第1の部分直進案内部材と、レンズ鏡筒が撮影を行わない収納状態にあるときに上記直進移動部材を光軸方向に直進案内する第2の部分直進案内部材とを有し、
    レンズ鏡筒の収納状態から撮影状態への移行の途中で、上記直進移動部材に対する第2の部分直進案内部材による直進案内が解除され、第1の部分直進案内部材が直進案内を開始することを特徴とするレンズ鏡筒の直進案内機構。
  3. 請求項2記載のレンズ鏡筒の直進案内機構において、レンズ鏡筒が収納状態から撮影状態へ移行するときの上記直進移動部材に対する、上記第2の部分直進案内部材による直進案内が解除されるタイミングよりも、上記第1の部分直進案内部材による直進案内が開始されるタイミングの方が早いことを特徴とするレンズ鏡筒の直進案内機構。
  4. 請求項2または3記載のレンズ鏡筒の直進案内機構において、上記光学要素はズーム光学系の一部を構成し、上記第1の部分直進案内部材は、該ズーム光学系のワイド端からテレ端までのズーム撮影領域全体の移動範囲で、上記直進移動部材を光軸方向に直進案内することを特徴とするレンズ鏡筒の直進案内機構。
  5. 請求項2ないし4のいずれか1項記載のレンズ鏡筒の直進案内機構において、上記回転環は、上記直進移動部材に設けたカムフォロアが係合する第1のカム溝と、該第1のカム溝とは異なる軌跡の第2のカム溝を有するカム環であり、
    上記第1の部分直進案内部材は、該カム環と光軸方向の相対移動が規制され、かつ相対回転可能に結合されており、
    上記第2の部分直進案内部材は、上記直進移動部材が保持する光学要素とは別の光学要素を保持し、かつ上記カム環の第2のカム溝に係合するカムフォロアを有し、カム環の回転に応じて上記直進移動部材と異なる軌跡で光軸方向に直進移動されることを特徴とするレンズ鏡筒の直進案内機構。
  6. 請求項5記載のレンズ鏡筒の直進案内機構において、上記カム環は、レンズ鏡筒が上記収納状態から撮影状態になるとき固定環に対して回転しながら光軸方向前方に移動し、
    上記第1の部分直進案内部材は、上記固定環に設けた直進案内部によって光軸方向に直進案内されることを特徴とするレンズ鏡筒の直進案内機構。
  7. 請求項5または6記載のレンズ鏡筒の直進案内機構において、上記第2の部分直進案内部材は、固定環に設けた直進案内部による光軸方向の直進案内を受ける中間直進案内部材を介して光軸方向に直進案内されていることを特徴とするレンズ鏡筒の直進案内機構。
  8. 請求項5ないし7のいずれか1項記載のレンズ鏡筒の直進案内機構において、上記直進移動部材と第1の部分直進案内部材はそれぞれ、上記カム環の回転に応じて互いの重畳量を変化させるレンズ鏡筒の外観環であることを特徴とするレンズ鏡筒の直進案内機構。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項記載のレンズ鏡筒の直進案内機構において、上記複数の部分直進案内部材はそれぞれ、少なくとも光軸方向の一端部が開口され光軸方向に延びる直進案内溝を有し、
    上記直進移動部材は、上記開口端部を通して上記複数の部分直進案内部材のそれぞれの直進案内溝に挿脱される複数種の直進案内キーを有することを特徴とするレンズ鏡筒の直進案内機構。
  10. 請求項9記載のレンズ鏡筒の直進案内機構において、上記直進案内溝の開口端部は、徐々に溝幅を大きくするテーパー開口部であることを特徴とするレンズ鏡筒の直進案内機構。
  11. 請求項9記載のレンズ鏡筒の直進案内機構において、上記直進案内キーは、上記直進案内溝への挿入端部に、先端に進むにつれて徐々に幅を小さくするテーパー先端部が形成されていることを特徴とするレンズ鏡筒の直進案内機構。
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