以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
ここでは、本発明にかかる遊技機の適例としてのパチンコ遊技機について説明を行う。図1は、遊技機10に備わる遊技盤50の正面図である。
この遊技機10が遊技盤50を備え、遊技盤50の前面には、ガイドレール53が設けられている。ガイドレール53が略円形枠状に設けられ、ガイドレール53によって囲われた略円形状の遊技領域51が遊技盤50の前面に形成されている。遊技領域51は、遊技盤50の四隅に各々設けられた樹脂製のサイドケース52及びガイドレール53によって構成される。
遊技盤50にセンターケース70が取り付けられ、このセンターケース70が遊技領域51のほぼ中央に配置されている。センターケース70の左右には、それぞれ普通図柄始動ゲート54が設けられている。センターケース70の左下側には、三つの一般入賞口55が配置され、センターケース70の右下側には、一つの一般入賞口55が配置されている。また、センターケース70の下側には、入賞装置20が設けられている。入賞装置20は始動入賞口(球流入部)25及び普通変動入賞装置30を有する。始動入賞口25は、センターケース70の下側に配設されている。また、始動入賞口25の直下には、開閉可能な開閉翼(開閉部材)32を備える普通変動入賞装置30が配設されている。さらに、普通変動入賞装置30の下方には、前後に回動して遊技球を受け入れない状態と受け入れ易い状態とに変換可能な特別変動入賞装置(大入賞口)58が配設される。特別変動入賞装置58の下方であって遊技領域51の最下部には、アウト口59が設けられている。この他、遊技領域51には、打球方向変換部材としての風車60、多数の障害釘(図示略)などが配設されている。
また、遊技盤50の右下には、セグメント型表示器などからなる普図表示器42および特図表示器43が設けられている。普図表示器42は、遊技球が普通図柄始動ゲート54を通過した場合に行われる普図変動表示ゲームが表示される。特図表示器43には、遊技球が始動入賞口25または普通変動入賞装置30に入賞した場合に行われる特図変動表示ゲームが表示される。
また、センターケース70に窓部71が形成され、窓部71の後方には、変動表示ゲームをなす特図変動表示ゲームに対応して複数の識別情報を変動表示する飾り特図変動表示ゲームを実行可能な変動表示装置としての表示装置41が配されるようになっている。この表示装置41がセンターケース70の窓部71を介して遊技盤50の前面側から視認可能となるように配されている。表示装置41は、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ、CRTその他のディスプレイである。
本実施形態の遊技機10では、図示しない発射装置から遊技領域51に向けて遊技球(パチンコ球)が打ち出されることによって遊技が行われる。打ち出された遊技球は、遊技領域51内の各所に配置された障害釘や風車60等の方向転換部材によって転動方向を変えながら遊技領域51を流下し、普通図柄始動ゲート54、一般入賞口55、始動入賞口25、普通変動入賞装置30又は特別変動入賞装置58に入賞するか、アウト口59へ流入し遊技領域51から排出される。
普通変動入賞装置30の状態には、開閉翼32の開閉によって、遊技球が入賞しやすい状態と遊技球が入賞しない状態とがある。通常、開閉翼32は閉状態であり、普通変動入賞装置30は、遊技球が入賞しない状態にされている。一方、普通図柄始動ゲート54を遊技球が通過することによって、普図表示器42で普図変動表示ゲームが実行され、普図変動表示ゲームの結果、当たり状態が発生すると、開閉翼32が開状態に変換され、普通変動入賞装置30は遊技球が入賞し易い状態となる。
一般入賞口55への遊技球の入賞は、一般入賞口55に設けられた一般入賞口スイッチ(図示省略)によって検出される。始動入賞口25への遊技球の入賞は特図始動スイッチによって、普通変動入賞装置30への遊技球の入賞は特図始動スイッチによって検出される。この遊技球の通過タイミングによって抽出された特別図柄乱数カウンタ値は、遊技制御装置内の特図記憶領域(RAMの一部)に特別図柄入賞記憶として所定回数(例えば、最大で4回分)を限度に記憶される。そして、この特別図柄入賞記憶の記憶数は、特別図柄入賞記憶数表示部(複合記憶表示部)44に表示される。遊技制御装置は、特別図柄入賞もしくはその記憶に基づいて、特図表示器43で特図変動表示ゲームを行う。
始動入賞口25または普通変動入賞装置30への入賞が所定のタイミングでなされたとき(具体的には、入賞検出時の当たり乱数値が当たり値であるとき)には、特図表示器43において特図変動表示ゲームの結果として特定の結果態様(特別結果態様)が導出されて、大当たり状態となる。これに応じて、特別変動入賞装置58は、内蔵されている大入賞口ソレノイドが駆動されることによって、所定の時間だけ遊技球を受け入れない閉状態から遊技球を受け入れやすい開状態に変換され、遊技者は多くの賞球を獲得することができるという特典が付与される。
特別変動入賞装置58への遊技球の入賞は、カウントスイッチによって検出される。普通図柄始動ゲート54への遊技球の通過は、普図始動スイッチで検出される。この遊技球の通過タイミングによって抽出された普通図柄乱数カウンタ値は、遊技制御装置内の普図記憶領域(RAMの一部)に普通図柄入賞記憶として所定回数(例えば、最大で4回分)を限度に記憶される。そして、この普図入賞記憶の記憶数は、普図入賞記憶数表示部(複合記憶表示部)44に表示される。
普図入賞記憶があると、遊技制御装置は、普図入賞記憶に基づいて普図入賞記憶数表示部で普図変動表示ゲームを開始する。すなわち、普通図柄始動ゲート54への通過検出が所定のタイミングでなされたとき(具体的には、通過検出時の普図乱数カウンタ値が当たり値であるときには)には、普図表示器42において普図変動表示ゲームの結果として特定の結果態様(特別結果態様)が表示される当たり状態で停止し、当たり状態となる。このとき、開閉翼32は、内蔵されている駆動機構33によって駆動されることにより、所定の時間だけ開放するように変換され、遊技球の普通変動入賞装置30への入賞が許容される。
上記のようにして、一般入賞口55、始動入賞口25、普通変動入賞装置30又は特別変動入賞装置58に遊技球が入賞すると、入賞した入賞口の種類に応じた数の賞球が払出制御装置によって制御される払出ユニットから、前面枠の上皿又は下皿に排出される。
<センターケース70の説明>
図2、図3は、センターケース70、始動入賞口25及び普通変動入賞装置30等の斜視図である。図4は、センターケース70の下部、始動入賞口25及び普通変動入賞装置30等の正面図である。
図2、図3、図4に示すように、センターケース70は枠状に設けられ、センターケース70の後部開口が窓部71となっている。センターケース70の後部が、遊技盤50のほぼ中央部に形成された開口に嵌め込まれ、センターケース70の前部が、遊技盤50の前面よりも前方に突出している。
センターケース70の前部であってその左右両側には、ワープ入口72がそれぞれ形成されている。ワープ入口72は、センターケース70の外面で開口した状態に設けられている。また、センターケース70の左右両側には、略筒状のワープ通路73がそれぞれ設けられている。ワープ通路73は前後に延在し、ワープ通路73の前側端部がワープ入口72に通じている。センターケース70の内側であってワープ通路73の後ろ側端部にはワープ出口が設けられ、ワープ通路73の後ろ側端部がワープ出口に通じており、そのワープ出口がセンターケース70の後部においてセンターケース70の内側に通じている。ワープ入口72、ワープ通路73及びワープ出口の内径は、少なくとも1個の遊技球が通過可能な寸法に設定されており、具体的には、例えば、1個の遊技球が通過可能な程度の寸法に設定されている。
センターケース70の外側において上から流下してきた遊技球がワープ入口72に流入すると、その遊技球はワープ通路73を通過して、センターケース70の奥部へ向かって誘導されて、ワープ出口からセンターケース70の内側に排出される。
センターケース70の前部開口部には、盤状枠部79が設けられている。盤状枠部79は、センターケース70の前部開口部から外側に突出するようフランジ状に設けられているとともに、遊技盤50の前面に沿うように設けられている。盤状枠部79は、センターケース70の前部開口部のうち下半分を囲うように設けられている。
センターケース70の内側であって表示装置41の下方には、センターケース70の内側に受け入れられた遊技球を転動可能であるとともに、受け入れられた遊技球を再び遊技領域51へと流下させる球転動領域部74が設けられている。また、センターケース70の左右中央部の下部には、球転動領域部74を転動する遊技球を始動入賞口25に向けて誘導する球誘導領域部80が設けられている。また、センターケース70の左右中央部の下部には、球誘導領域部80によって誘導された遊技球を始動入賞口25まで移送する移送部材90が取り付けられている。
<球転動領域部74の説明>
球転動領域部74は、センターケース70の底壁上面に設けられている。球転動領域部74は、第1転動部75、壁部76、丸め部77及び第2転動部78を有する。第1転動部75は、センターケース70の前部開口寄りに位置する面である。第1転動部75は、前後方向に所定の幅をもって左右方向に延在するとともに、正面から見て波状に設けられている。第2転動部78は、前後方向に所定の幅をもって左右方向に延在する。第2転動部78は、第1転動部75の後ろ側に位置するとともに、第1転動部75よりも高い位置にある。第2転動部78の前後方向の幅は、第1転動部75の前後方向の幅よりも広くなっている。壁部76は、第1転動部75の後端から上方に起立した状態に設けられている。丸め部77は、第2転動部75の前端から壁部76の上端に至る面である。そして、丸め部77は、前に向かって下るように湾曲した凸面である。
第2転動部78は、左右対称に設けられている。ここで、第2転動部78は、ステージ部781と、ステージ部781の左右両側にそれぞれ位置する傾斜面782と、を有する。
左の傾斜面782が、左から中央部に向かって徐々に低くなる弧状に形成され、右の傾斜面782が、右から中央部に向かって徐々に低くなる弧状に形成されている(図1参照)。ステージ部781は、左の傾斜面782の右端から右の傾斜面782の左端にかけて設けられている。ステージ部781は凹面状に設けられ、ステージ部781の左端や右端から中央部に向かって下りに僅かに傾斜している。ステージ部781の手前側部分には、ステージ部781よりも上方に向けて起立した起立壁部784が形成されている。従って、ステージ部781を転動する遊技球が手前側にこぼれ落ちてしまうことが抑制されているとともに、該遊技球をステージ部781の左右方向中央に向けて好適に案内可能となっている。
第2転動部78の左端部及び右端部の上方に、ワープ通路73のワープ出口が配置され、ワープ通路73のワープ出口より流出された遊技球は該第2転動部78を転動することとなる。具体的には、左の傾斜面782の左部奥部分の上方に、左のワープ通路73のワープ出口が配置され、右の傾斜面782の右部奥部分の上方に、右のワープ通路73のワープ出口が配置されている。そのため、それぞれのワープ通路73のワープ出口より流出された遊技球は、傾斜面782を中央に向けて転動することになる。傾斜面782を転動する遊技球は、傾斜面782からステージ部781に移ったり、傾斜面782から前にこぼれ落ちたりする。
ステージ部781の奥部分には、左右一対の凸部783が凸設されている。これら凸部783は、ステージ部781の左右方向中央よりも左右にずれた位置に配置されている。ステージ部781を転動する遊技球が凸部783に当たると、その遊技球の転動する向きが前方に変換される。
第2転動部78から前にこぼれ落ちた遊技球は第1転動部75を転動する。この第1転動部75は、左右対称に設けられている。ここで、第1転動部75は、中央部の丘状部751と、丘状部751の左右両側にそれぞれ位置する第1傾斜面752と、左の第1傾斜面752の左側と右の第1傾斜面752の右側にそれぞれ位置する第2傾斜面753と、を有する。
左の第2傾斜面753が、左から中央部に向かって徐々に低くなる弧状に形成され、右の第2傾斜面753が、右から中央部に向かって徐々に低くなる弧状に形成されている。左の第1傾斜面752が、左から中央部に向かって徐々に低くなる弧状に形成され、右の第1傾斜面752が、右から中央部に向かって徐々に低くなる弧状に形成されている。丘状部751は、上に凸となるように設けられている。
また、第1転動部75は、第1転動部75を転動する遊技球をセンターケース70の下方の遊技領域51に流下可能な流下部754を有する。流下部754は、丘状部751と第1傾斜面752の間に形成されている。流下部754は、前に向かって下りに傾斜している。流下部754の左右方向の位置は、始動入賞口25及び普通変動入賞装置30の左右方向の位置から左右にずれている。そのため、流下部754から下に流下した遊技球が、障害釘等によって方向転換されずに真下に流下した場合には、その遊技球が始動入賞口25及び普通変動入賞装置30に入賞しない。
<球誘導領域部80の説明>
図5は、センターケース70の左右方向中央の下部における縦断面図である。図4、図5に示すように、球誘導領域部80は、第1転動部75を転動する遊技球を受け入れる第1受入口81と、第2転動部78を転動する遊技球を受け入れる第2受入口82と、第1転動部75を転動する遊技球を第1受入口81に通して、後述の誘導通路85に案内する第1案内部83と、第2転動部78を転動する遊技球を第2受入口82に通して、誘導通路85に案内する第2案内部84と、第1案内部83や第2案内部84によって案内された遊技球を移送部材90に誘導する誘導通路85と、装飾部材88と、を有する。
第1受入口81は、第1転動部75の後ろ側において壁部76及び丸め部77に形成されている。第1受入口81の左右方向の位置は、第1転動部75の左右方向中央に相当する位置である。つまり、第1受入口81は、丘状部751の左右方向中央の頂上の後ろ側において壁部76及び丸め部77に形成されている。
第1案内部83は、第1転動部75の左右方向中央に形成されている。具体的には、第1案内部83は、丘状部751の左右方向中央の頂上から第1受入口81内にかけて形成されている。この第1案内部83は、後ろに向かって下りに傾斜したV溝であり、第1転動部75を転動する遊技球が第1案内部83によって後ろに向かって第1受入口81内に案内される。
第2受入口82は、第2転動部78の左右方向中央に形成されている。具体的には、第2受入口82は、ステージ部781の左右方向中央であってその前部に形成されている。
第2案内部84は、第2受入口82の後ろ側において第2転動部78に形成されている。具体的には、第2案内部84は、ステージ部781の左右方向中央に形成されている。この第2案内部84は、前に向かって下りに傾斜したV溝であり、第2転動部78を転動する遊技球が第2案内部84によって前に向かって第2受入口82へ案内されて、第2受入口82内に落ちる。
誘導通路85は、第1受入口81の後ろ側であって第2受入口82の下側に設けられている。ここで、誘導通路85の入口86が上側にあり、誘導通路85の出口87が前側にあり、誘導通路85は、左又は右から見て、その入口86から出口87にかけてL字状に設けられている。誘導通路85の入口86が第2受入口82に連なっている。第1受入口81が第2受入口82及び誘導通路85の入口86に通じ、第1案内部83の後縁が誘導通路85の入口86の縁の一部を構成している。誘導通路85の出口87は、第1受入口81よりも下方に配置されているとともに、盤状枠部79の後方においてセンターケース70の前面に形成されている。
第1受入口81、第2受入口82及び誘導通路85の内径は、少なくとも1個の遊技球が通過可能な寸法に設定されており、具体的には、例えば、1個の遊技球が通過可能な程度の寸法に設定されている。
第1案内部83によって第1受入口81に入った遊技球は、誘導通路85の入口86に落ちる。また、第2受入口82に落ちた遊技球は、更に、誘導通路85の入口86に落ちる。誘導通路85の入口86に入った遊技球は、誘導通路85によって出口87まで誘導されて、出口87から排出される。
盤状枠部79の左右方向中央部であって誘導通路85の出口87の前方には、切欠き部89が形成されている。この切欠き部89に装飾部材88が嵌められ、切欠き部89が装飾部材88によって塞がれている。装飾部材88が誘導通路85の出口87よりも前方に配置され、装飾部材88によって誘導通路85の出口87が塞がれていない。出口87の前方に装飾部材88が配置されているから、出口87から出た遊技球の勢いが大きくとも、遊技球が装飾部材88に当たるので、遊技球が前方に飛び出ることが抑制される。そのため、出口87から排出された遊技球は、移送部材90へ向かって流下する。
<移送部材90の説明>
図6は、移送部材90の斜視図であり、図7は、移送部材90の正面図であり、図8は、移送部材90の側面図である。図9は、センターケース70から移送部材90を取り外した状態の分解斜視図である。図6〜図9に示すように、移送部材90は、回動軸91によって、誘導通路85の出口87においてセンターケース70に取り付けられている。この移送部材90は、起立した起立状態(図2参照)と前に倒れた前倒状態(図3〜図5参照)との間で、振り上げ・振り下げ可能に設けられている。なお、起立状態が第1状態であり、前倒状態が第2状態である。
移送部材90は、筒状軸部92、錘部93、アーム部94、第1球受け部95、第1載置部96、第2載置部97及び誘導球流下部98を有する。
筒状軸部92が筒状に設けられており、この筒状軸部92の中空となる軸孔921に回動軸91が挿入される。筒状軸部92や移送部材90のラジアル荷重が回動軸91に受けられ、筒状軸部92が回動軸91を中心にして回動可能に設けられている。軸孔921及び回動軸91の軸心に沿う方向が遊技盤50の左右方向となる。
錘部93は、筒状軸部92に一体に設けられているとともに、筒状軸部92から回動軸91の径方向外側に延出している。錘部93は取付穴931を有し、この取付穴931が回動軸91と平行となって錘部93を貫通している。取付穴931に錘を別途取り付けられるようになっている。なお、取付穴931に錘を取り付けなくてもよい。
アーム部94は錘部93に一体形成されている。また、アーム部94は、錘部93から筒状軸部92を乗り越えるようにして、回動軸91に関して錘部93の反対側に延出している。筒状軸部92が回動軸91を中心にして回動可能に設けられているので、アーム部94は起立した状態と前に倒伏した状態とに振り上げ・振り下げ可能に設けられている。つまり、移送部材90が前倒状態になっていると、アーム部94が回動軸91から前方に延出して倒伏した状態になり、移送部材90が起立状態になっていると、アーム部94が回動軸91から上方に延出して起立した状態になる。
第1球受け部95は、アーム部94の先端部に設けられている。第1球受け部95は、回動軸91及び軸孔921の軸線に平行な面である。移送部材90が前倒状態になっている場合には、第1球受け部95がアーム部94の先端部から下に垂下して振り下げられた状態になっており、その第1球受け部95が下に向かって後ろに傾斜する面となる。一方、移送部材90が起立状態になっている場合には、第1球受け部95がアーム部94の先端部から前に向かって延出して振り上げられた状態になっており、その第1受け部95が前に向かって下りに僅かに傾斜した面となる。
第1載置部96は、第1球受け部95に連なった第2球受け部961と、第2球受け部961に連なった球止め部962と、を有する。
第2球受け部961は、第1球受け部95の先に設けられている。第2球受け部961は、回動軸91及び軸孔921の軸線に平行な凹面である。球止め部962は、第2球受け部961の先に設けられている。移送部材90が起立状態になっている場合には、第2球受け部961が前に向かって上りに傾斜した面となるとともに、球止め部962が球受け部861から上に延び出て起立した状態になる。
一方、移送部材90が前倒状態になっている場合には、第2球受け部961が前に向かって下りに傾斜した面となるとともに、球止め部962が球受け部861から前に略水平に延び出て、倒伏した状態になる。
第1載置部96の左右両側には、羽根状の第2載置部97がそれぞれ設けられている。具体的には、右の第2載置部97が第2球受け部961及び球止め部962の右端から右に延出するように設けられ、左の第2載置部97が第2球受け部961及び球止め部962の左端から左に延出するように設けられている。また、第2載置部97は、球止め部962よりも回動軸91の径方向外側に延出している。従って、移送部材90が起立した状態では、第2載置部97が起立した状態になり、移送部材90が前倒した状態では、第2載置部97が前倒した状態になる。
第2載置部97は、球止め部962に対して傾斜する。具体的には、移送部材90が前倒状態となっている場合には、右の第2載置部97は左に向かって下りに傾斜し、左の第2載置部97は右に向かって下りに傾斜する。一方、移送部材90が起立状態になっている場合には、右の第2載置部97は右に向かって後ろに傾斜し、左の第2載置部97は左に向かって後ろに傾斜する。
また、第2載置部97及び球止め部962によって囲われた門型状の空洞が形成され、この空洞が誘導球流下部98である。誘導球流下部98の縁のうち球止め部962によって縁取られた部分が円弧状に設けられており、球止め部962によって止められた遊技球が誘導球流下部98内に転がりやすくなっている。
<移送部材90のセンターケース70への取付の説明>
図4、図5、図9に示すように、誘導通路85の出口87の近傍には、ストッパ100及び左右一対の軸受部101が配設されている。
軸受部101は、センターケース70の前面下部から下方に延出するように設けられている。軸受部101は、誘導通路85の出口87の前側であってその出口87の下に配置されている。これら軸受部101は左右に間隔を置いて配設されており、これらの間隔は、移送部材90の筒状軸部92、錘部93、アーム部94、第1球受け部95及び第1載置部96の左右方向の幅(回動軸91の軸心に沿う方向の幅)に等しく、又はその幅よりも僅かに広い。正面から見て、これら軸受部101の間の上方に、誘導通路85の出口87が配置されている。
軸受部101には軸受孔102が形成されている。軸受孔102は、軸受部101を左右に貫通している。軸受孔102の位置は、誘導通路85の出口87の僅かに前方であってその下側である。
移送部材90の筒状軸部92が左右の軸受部101の間に挟まれ、回動軸91が左右の軸受孔102及び軸孔921に挿入されている。移送部材90及び回動軸91のラジアル荷重が軸受部101に受けられ、筒状軸部92が回動可能に設けられている。これにより、この移送部材90が振り上げ・振り下げ可能に設けられている。なお、筒状軸部92が左右方向の軸の回りに回動可能となって軸受部101に取り付けられていれば、このような構造に限るものではない。例えば、回動軸91と筒状軸部92が一体成形されていてもよいし、回動軸91と筒状軸部92が固定されていてもよい。また、軸受部101に軸受孔102が設けられているのではなく、ピン(軸)が軸受部101にそれぞれ設けられ、これらピンが同軸となっており、これらピンが筒状軸部92の軸孔921に挿入されていてもよい。
移送部材90が起立した状態で、第1球受け部95、第2球受け部961及び球止め部962が誘導通路85の出口87の下方且つ前方に位置するように、移送部材90のアーム部94の長さや軸受孔102の位置が設定されている。そのため、起立した状態の移送部材90は、誘導通路85の出口87から排出された遊技球をキャッチできる状態となっている。また、移送部材90が前倒した状態で、誘導球流下部98が始動入賞口25の上に位置するように、移送部材90のアーム部94の長さや軸受孔102の位置が設定されている。そのため、前倒した状態の移送部材90は、第1載置部96や第2載置部97に載置された遊技球を誘導球流下部98を通じて流下できる状態となっている。
ストッパ100は、センターケース70の前面下部から下方に延出するように設けられている。ストッパ100は、誘導通路85の出口87の下に配置されている。また、ストッパ100は回動軸91よりも後方に配置され、ストッパ100の下端が回動軸91よりも上に位置している。
<移送部材90の動き>
図10、図11は、遊技球の動きとともに移送部材90の動作を示した図面である。図12は、遊技球の動きを示した図面である。
移送部材90の重量(錘部93に錘を別途取り付けた場合には、移送部材90及び錘の重量)の分布については、回動軸91に関して錘部93側の部分の重量が、第2載置部97側の部分の重量よりも重い。従って、移送部材90の重心(錘部93に錘を別途取り付けた場合には、移送部材90及び錘の全体として重心)は、回動軸91から錘部93側にずれている。
従って、この移送部材90は自然状態では起立している(図10(a)、図11(a)参照)。移送部材90が起立状態となっていると、第2載置部97が軸受部101の前面に当接し、第2載置部97が後ろに倒れるのが抑止され、第2載置部97及び球止め部962が起立した状態になっている。このような起立状態においては、第2載置部97、第2球受け部961及び球止め部962が回動軸91の上斜め前に位置している。
移送部材90は、起立状態となっていると、誘導通路85の出口87から排出された遊技球をキャッチする(図10(a)、図11(a)参照)。つまり、誘導通路85の出口87から排出された遊技球が第1載置部96に載置される。具体的には、誘導通路85の出口87から排出された遊技球は、第1球受け部95及び第2球受け部961によって受けられるとともに球止め部962に止められる。第1球受け部95が前に向かって下るように僅かに傾斜しているから、遊技球の荷重が球止め部962に掛かり、移送部材90が前に倒れる向きのモーメントが作用する(図11(a)参照)。また、球止め部962に止められた遊技球が誘導球流下部98内に一部入り込んでいるが、その遊技球が球止め部962によって止められているから、その遊技球がそれ以上前に移動することを抑えることができる。
その後、移送部材90は、キャッチした遊技球の重さ・勢いによって前に倒れて、その遊技球を始動入賞口25の近傍にまで移送する(図10(b)、(c)、図11(b)、(c)、図12(a)参照)。具体的には、遊技球が第2球受け部961及び球止め部962に載置された状態で移送部材90が前に倒れて、その遊技球が始動入賞口25のすぐ上にまで移送される。移送部材90が前に倒れると、錘部93がストッパ100に当たって、移送部材90がそれ以上倒れることが抑えられる(図10(c)参照)。そのため、移送部材90の第2球受け部961、球止め部962及び第2載置部97等が始動入賞口25に衝突せず、始動入賞口25の損傷を防止することができる。
なお、移送部材90が起立した状態で、別の遊技球(球誘導領域部80によって誘導されていない遊技球)が移送部材90の側方から移送部材90の前方に流れてきた時に、誘導通路85の出口87から排出された遊技球が移送部材90にキャッチされて、第1載置部96に載置されたとする。その時には、その別の遊技球によって移送部材90の前倒が抑えられるので、移送部材90の前倒が遅延する。そのため、その別の遊技球が移送部材90の前方から側方に流れた後に、移送部材90が前倒し、移送部材90の第1載置部96に載置された遊技球が始動入賞口25の近傍に移送される。
また、移送部材90は、前倒状態となることで、その遊技球を始動入賞口25に落とす(図10(c)、図11(c)の矢印参照)。具体的には、移送部材90が前倒状態となってストッパ100によって止まると、第2球受け部961及び球止め部962に受けられていた遊技球に慣性力が作用し、その遊技球が誘導球流下部98内を通って始動入賞口25に落ちる。また、遊技球に作用する慣性力が弱くとも、第2球受け部961が前に向かって下るように傾斜しているから、第2球受け部961及び球止め部962に受けられていた遊技球の重心が誘導球流下部98側へ傾き、第2球受け部961及び球止め部962に受けられていた遊技球が転動し初めて、誘導球流下部98内を通って始動入賞口25に落ちる。従って、移送部材90が前倒状態となるのとほぼ同時に、遊技球が誘導球流下部98内を通って始動入賞口25に落ちるから、遊技球を効率よく始動入賞口25に入賞することができる。
図12(a)に示すように、移送部材90が前倒状態となっている時に、別の遊技球(球誘導領域部80によって誘導されていない遊技球)が移送部材90の側方から移送部材90に流れてきた場合には、移送部材90は当該別の遊技球を受けて、誘導通路85の出口87から排出された先の遊技球に続けて始動入賞口25に落とす。具体的には、移送部材90が前倒状態となっている時には、第2載置部97が前に倒れた状態となっているから、移送部材90の側方から移送部材90に流れてきた別の遊技球が第2載置部97の上に一旦載置される。そして、第2球受け部961及び球止め部962に受けられていた遊技球が誘導球流下部98内を通って始動入賞口25に落ちるのに続けて、第2載置部97に載置された別の遊技球が誘導球流下部98内を通って始動入賞口25に落ちる(図12(b)の矢印参照)。そのため、移送部材90が前倒状態となっている時には、第2球受け部961及び球止め部962に受けられていた遊技球だけでなく、移送部材90の側方から第2載置部97に流れた遊技球も、効率よく始動入賞口25に入賞することができる。特に、第2載置部97が誘導球流下部98及び始動入賞口25に向かって下りに傾斜しているから、移送部材90の側方から第2載置部97に流れた遊技球が第2載置部97を転動して、効率よく誘導球流下部98に流下する。
ここで、移送部材90が前倒状態となっている時に、第2球受け部961及び球止め部962に受けられていた遊技球が誘導球流下部98内に一部入り込んでいる。そのため、移送部材90の側方から第2載置部97に流れた遊技球が、第2球受け部961及び球止め部962に受けられていた遊技球に衝突しても、第2球受け部961及び球止め部962に受けられていた遊技球が弾き出されることなく、誘導球流下部98の下の方に押し込まれる(図12(b)参照)。そのため、第2球受け部961及び球止め部962に受けられていた遊技球が効率よく始動入賞口25に入賞することができる。
また、移送部材90の側方から一方の第2載置部97に流れた遊技球が、第2球受け部961及び球止め部962に受けられていた遊技球に衝突し、その遊技球が他方の第2載置部97に弾き出されることもある。その場合でも、第2載置部97が誘導球流下部98及び始動入賞口25に向かって下りに傾斜しているから、弾き出された遊技球が第2載置部97よりも更に側方に飛ばされにくい。従って、一方の第2載置部97に載置された遊技球が一方の第2載置部97の傾斜によって一方の第2載置部97を転動して、誘導球流下部98に流下するのに続けて、他方の第2載置部97に弾き出された遊技球が他方の第2載置部97の傾斜によって他方の第2載置部97を転動して、誘導球流下部98に流下する。
移送部材90が前倒状態となっている場合に、遊技球が移送部材90に受けられていないと、移送部材90は、錘部93の重量によるモーメントによって後ろに起き上がる(図11(d)、(e)参照)。即ち、遊技球が第2球受け部961及び球止め部962に受けられておらず、更に、第2載置部97にも遊技球が載置されていないと、移送部材90が後ろに起き上がる。
以上のように、移送部材90及び錘部93の重さ、遊技球の重さ・勢いによって、移送部材90が前に倒れたり、後ろに起き上がったりするから、移送部材90を動かすための制御装置、センサ、駆動機構等を設けなくても済む。そのため、コストを抑制することができる。
<入賞装置20の説明>
図13は、入賞装置20の正面図である。図14は、入賞装置20の上面図である。図15は、入賞装置20の分解斜視図である。
図13〜図15に示すように、この入賞装置20は、扇形板状のベース21を有する。
ベース21の前面に普通変動入賞装置30の球受け部材31及び一対の開閉翼(開閉部材)32が取り付けられている。この球受け部材31は、その上側と後ろ側で開口したポケット状に設けられている。即ち、球受け部材31は、上側で開口するとともに、前又は後ろから見て略円弧状を成した球受け部311と、球受け部311の前側を塞いだ状態にして球受け部311の前部に設けられた前面部312と、を有する。球受け部311の後端面がベース21の前面に当接した状態で、球受け部311がベース21に固定されている。球受け部311とベース21の固定はネジ、爪、接着剤、ピンその他の止め部材によってなされる。
図16は、ベース21の正面図である。図15、図16に示すように、ベース21には、球受入部211が形成されている。球受入部211はベース21を前後に貫通した開口であり、球受け部材31の内側に通じている。ベース21の後面には、誘導樋212が設けられている。この誘導樋212が球受入部211に通じている。そのため、球受け部材31の上から球受け部材31内に流下した遊技球は、球受け部材31によって受けられて、後方に転動して球受入部211を通って誘導樋212に誘導される。これにより、普通変動入賞装置30への入賞がなされる。誘導樋212の後部に特図始動スイッチ335が設けられており、普通変動入賞装置30への遊技球の入賞が特図始動スイッチ335によって検出される。
開閉翼32は、球受け部材31の内側において球受入部211の左右両側に配設されている。これら開閉翼32が、遊技球を受け入れない閉状態と遊技球を受け入れやすい開状態とに開閉可能に設けられている。具体的には、開閉翼32は以下のように取り付けられている。
開閉翼32の先端と基端の間の部分には、貫通孔321が形成されている。一方、球受け部材31の内側には、左右一対の支持軸313が設けられている。これら支持軸313は、前面部312の後面から後方に向けて延び出ているとともに、互いに平行に設けられている。また、これら支持軸313は、前後方向に対して平行に設けられている。支持軸313が開閉翼32の貫通孔321に挿入され、開閉翼32が前面部312とベース21の間に配置され、開閉翼32の先端側が球受け部材31の上側開口から上方に突出している。開閉翼32のラジアル荷重が支持軸313に受けられ、開閉翼32が支持軸313の回りに回動可能に設けられている。これら開閉翼32は、互いの先端が離れる向きに支持軸313を中心にして回動して開く。一方、これら開閉翼32は、互いの先端が近づく向きに支持軸313を中心にして回動して閉じる。なお、図16に示すように、ベース21の前面には、係止孔213が形成されており、支持軸313の先端部が係止孔213に嵌め込まれ、支持軸313が両持ち梁状に支持されるから、開閉翼32をしっかり支持することができる。
図15に示すように、普通変動入賞装置30は駆動機構33を有し、開閉翼32の開閉動作は駆動機構33によってなされる。駆動機構33は、ソレノイド331と、左右一対のアーム332と、を有する。ソレノイド331は、ベース21の後面に取り付けられている。アーム332の基端(後端)がソレノイド331に連結されている。これらアーム332は、ソレノイド331から前方に延びており、球受入部211に通されている。これらアーム332は球受入部211内の左右両側にそれぞれ配置されているので、遊技球はこれらアーム332の間を通って球受入部211内に誘導される。
アーム332の先端(前端)が開閉翼32の基端に連結されている。具体的には、アーム332の先端に把持部333が設けられ、開閉翼32の基端にピン322が設けられ、ピン322が把持部333によって把持されている。
これらアーム332が上下に揺動可能に設けられている。これらアーム332は、ソレノイド331によって同期して上下動する。ソレノイド331がアーム332を上に駆動すると、一対の開閉翼32は互いの基端が近づく向きに支持軸313を中心にして回動し、これら開閉翼32の先端側が開く。一方、ソレノイド331がアーム332を下に駆動すると、一対の開閉翼32は互いの基端が離れる向きに支持軸313を中心にして回動し、これら開閉翼32の先端側が閉じる。
ソレノイド331の動作は制御部によってなされる。すなわち、普通図柄始動ゲート54を遊技球が通過することによって、普図表示器42で普図変動表示ゲームが実行され、普図変動表示ゲームの結果、当たり状態が発生すると、制御部がソレノイド331を作動して、開閉翼32がソレノイド331によって開かれる。
図18は、普通変動入賞装置30の動きを示した図面である。図18(a)及び図13に示すように、左右の開閉翼32が閉じた状態では、これら開閉翼32の互いに向き合う面323が左右方向に対して略垂直になっている。一方、図18(b)、(c)に示すように、左右の開閉翼32が開いた状態では、これら開閉翼32の互いに向き合う面323は、左右方向の中央に向かって下りに傾斜する。従って、左右の開閉翼32が開いた状態では、開閉翼32の上や開閉翼32の側方から流れてきた遊技球が開閉翼32の面323に受けられ、その遊技球が開閉翼32の面323によって中央に向かって転動するので、開閉翼32の面323が転動面となる。
図13〜図15に示すように、ベース21の前面上部には、球流入部としてのポケット部23が設けられている。ポケット部23の上面が開口しており、その開口が始動入賞口25である。ポケット部23は、普通変動入賞装置30の球受け部材31の上方に配置されている。
ここで、ポケット部23は、球受入部231及び前面部材232を有する。ポケット部23は、球受入部231に前面部材232を組み付けてなる。
球受入部231は、ベース21と一体形成されているとともに、ベース21の前面から前方に突出するように設けられている。正面から見て、球受入部231の上側が開口し、球受入部231がカップ状に設けられている。また、球受入部231の前側も開口している。前面部材232は、球受入部231の前側を塞いだ状態にして球受入部231の前端面に組み付けられたものである。
図19は、前面部材232を後ろ斜め上から見て示した斜視図である。図20は、前面部材232の背面図である。図19、図20に示すように、この前面部材232においては、フロント板233の後面の左右両側縁から下縁にかけて枠部234が設けられており、枠部234がフロント板233の後面から後方に向けて突出している。正面又は背面から見て、枠部234が球受入部231と同一形状を成しており、枠部234の後端面が球受入部231の前端面に当接している。枠部234の後端面には、複数のピン235が凸設されており、一方、球受入部231の前端面には、嵌合穴236が凹設されており(図15、図16参照)、ピン235が嵌合穴236に嵌め込まれることによって、前面部材232が球受入部231の前端面に組み付けられている。
前面部材232の後面の左右中央部には、リブ237が凸設されている。リブ237の上面238が、後ろに向かって下りに傾斜している。リブ237の上面238が傾斜しているから、ポケット部23の上方から始動入賞口25内に流下した遊技球がリブ237の上面238に当たって後ろに誘導される。
図16に示すように、ベース21の上端部には、球受入口214が形成されている。球受入口214は、球受入部231によって囲繞されている。従って、ポケット部23の上方からポケット部23の始動入賞口25内に流下した遊技球は、球受入部231内に受けられて、球受入部231によって球受入口214内へ転動する。
ベース21の後面には、誘導樋215が設けられている。この誘導樋215が球受入口214に通じている。従って、球受入口214を通った遊技球は、誘導樋215によって後方に誘導される。
誘導樋215の後端には、入賞通路216が設けられている。この入賞通路216は、誘導樋215の後端から右方に延びている。従って、誘導樋215によって後方に誘導された遊技球は、入賞通路216によって右に誘導される。なお、例えば球受入口214、誘導樋215又は入賞通路216に特図始動スイッチ(図示略)が設けられており、始動入賞口25への遊技球の入賞が特図始動スイッチによって検出される。
図13に示すように、左右の開閉翼32の間には、揺動羽根(揺動部材)34が配置されている。揺動羽根34は開閉翼32の支点、すなわち支持軸313の上方の位置から垂下しており、左右に揺動可能に設けられている。具体的には、揺動羽根34は、以下のようにしてベース21に取り付けられている。
図15に示すように、ポケット部23の底、すなわち、球受入部231の底には、前後方向に長尺なスリット35が形成されている。このスリット35は、球受入部231の底を上下に貫通している。また、スリット35は、球受入部231の前端から球受入部231の後端(ベース21の前面)にかけて形成されており、球受入部231の前端面において開放している。スリット35内には、揺動軸217が配置されている。揺動軸217は、スリット35内において前後に延在しており、揺動軸217の後端がベース21の前面に連接している。また、揺動軸217の左右方向の位置は左右の支持軸313の中間であり、揺動軸217の上下方向の位置は支持軸313の上方である。
図21は、揺動羽根34の斜視図であり、揺動羽根34の頭部341には、軸孔342が形成されている。揺動羽根34の頭部341がスリット35内に配置され、揺動軸217が軸孔342に挿入されて貫通し、揺動羽根34が揺動軸217から垂下している。なお、スリット35及び揺動軸217が揺動部材設置部に相当する。
揺動羽根34のラジアル荷重が揺動軸217に受けられ、揺動羽根34が揺動軸217の回りに回動可能に設けられている。図19、図20に示すように、前面部材232の枠部234の後端面であってその下端部には、差込口239が凹設されており、揺動軸217の先端が差込口239に差し込まれている。
図22は、球受け部材31及び前面部材232を取り外した状態の入賞装置20の正面図である。
揺動羽根34の頭部341がポケット部23内に臨んでいる。具体的には、揺動羽根34の頭部341がスリット35からポケット部23の底(球受入部231の底)よりも上方に突き出ている。そのため、ポケット部23内に流下した遊技球が揺動羽根34の頭部341に当たる。
揺動羽根34は揺動軸217から真下に垂下した状態から左右に揺動するが、その揺動範囲が以下のように制限されている。図16に示すように、揺動軸217の下方において、ベース21の前面にガイド溝218が形成されている。このガイド溝218は、正面から見て、揺動軸217を中心にして円弧状に設けられているとともに、左右対称に設けられている。一方、図21に示すように、揺動羽根34の後面にピン343が凸設されており、ピン343がガイド溝218に挿入されている。こうして、揺動羽根34の回動範囲が、ピン343及びガイド溝218によって制限されている。
揺動羽根34が揺動軸217から真下に垂下した状態では、ピン343がガイド溝218の左右中央部に位置する。
揺動羽根34が左に回動して、ピン343がガイド溝218の左端218aに当接したら、揺動羽根34がそれ以上左に回動することが規制される。この場合、ガイド溝218の左端218aがストッパとして機能する。ピン343がガイド溝218の左端218aに当接した場合の、揺動羽根34の位置を左位置という。揺動羽根34が左位置に位置し、且つ、左右の開閉翼32が開いている場合には、揺動羽根34の先端(下端)から左の開閉翼32の内側の面323までの距離が、遊技球の直径未満に設定されているとともに、揺動羽根34の先端(下端)から右の開閉翼32の内側の面323までの距離が、遊技球の直径以上に設定されている。
揺動羽根34が右に回動して、ピン343がガイド溝218の右端218bに当接したら、揺動羽根34がそれ以上右に回動することが規制される。この場合、ガイド溝218の右端218bがストッパとして機能する。ピン343がガイド溝218の右端218bに当接した場合の、揺動羽根34の位置を右位置という。揺動羽根34が右位置に位置し、且つ、左右の開閉翼32が開いた場合には、揺動羽根34の先端から右の開閉翼32の内側の面323までの距離が、遊技球の直径未満に設定されているとともに、揺動羽根34の先端から左の開閉翼32の内側の面323までの距離が、遊技球の直径以上に設定されている。
揺動羽根34の揺動範囲を制限する揺動範囲制限部がガイド溝218及びピン343を有するものとしたが、他の形態によって揺動羽根34の揺動範囲を制限してもよい。例えば、ベース21の前面であってガイド溝218の左端218aに対応する位置にストッパが凸設され、ベース21の前面であってガイド溝218の右端218bに対応する位置にストッパが凸設されていてもよい。この場合には、揺動羽根34が左位置まで揺動すると、揺動羽根34が左のストッパに当接し、揺動羽根34が右位置まで揺動すると、揺動羽根34が右のストッパに当接する。
<入賞装置20の遊技盤50への取付の説明>
移送部材90の下側において、開口が遊技盤50に形成され、ベース21がその開口を閉塞するとともにベース21の後面が遊技盤50の前面に当接した状態で、ベース21が遊技盤50に取り付けられている。そのため、ポケット部23及び球受け部材31が遊技盤50の前面よりも前方に突出しており、誘導樋212,215及び入賞通路216が遊技盤50の後面よりも後方に突出している。駆動機構33のソレノイド331が遊技盤50の後ろに取り付けられ、アーム332がベース21の球受入部211を通って遊技盤50の前に延出している。開閉翼32及び揺動羽根34は、遊技盤50の前側に配置される。
<入賞装置20の動作と遊技球の動き>
図18に示すように、左右の開閉翼32が駆動機構33によって開閉される。左右の開閉翼32が開いた状態で、遊技球が左の開閉翼32に流下すると、その遊技球が左の開閉翼32の内側の面323に受けられて中央に転動する(図18(b))。そして、遊技球が揺動羽根34に当たって、揺動羽根34が遊技球によって押されて右に回動する。この際、遊技球の勢いが揺動羽根34によって抑えられるので、遊技球が勢いよく右の開閉翼32から流出してしまうことを防止することができる。特に、ピン343がガイド溝218の右端218bに当接すると、揺動羽根34がそれ以上右に回動することが抑えられるから、遊技球が揺動羽根34によって止められるから、遊技球が効率よく右の開閉翼32を乗り越えることを抑えることができる。ピン343がガイド溝218の右端218bに当接した状態では、揺動羽根34の先端と右の開閉翼32の面323との距離が遊技球の直径未満であるから、遊技球が揺動羽根34の先端と開閉翼32の隙間を通過することもない。
揺動羽根34によって勢いを抑えられた遊技球は、揺動羽根34によって球受け部311及び球受入部211に誘導される。即ち、揺動羽根34によって勢いを抑えられた遊技球は、転動向きを揺動羽根34によって下に変換され、左の開閉翼32から球受け部311に落ちて(図18(c))、球受入部211を通って誘導樋212によって誘導される。
一方、遊技球が右の開閉翼32の内側の面323に受けられると、遊技球の勢いが揺動羽根34によって抑えられつつ、ピン343がガイド溝218の左端218aに当接するまで、揺動羽根34が遊技球によって左に回動する。そして、勢いの抑えられた遊技球が右の開閉翼32から球受け部311に落ちて、球受入部211を通って誘導樋212によって誘導される。
図23(a)に示すように、遊技球Aが左の開閉翼32に流下して、揺動羽根34が右に回動している時に、別の遊技球Bが右の開閉翼32に流下した場合には、その遊技球Bは右に回動した状態の揺動羽根34に受けられ、その遊技球Bが揺動羽根34と右の開閉翼32の間に一旦保持される。それゆえ、遊技球Aと遊技球Bが開閉翼32の間に詰まってしまうこと(いわゆる、球ガミの発生)を抑えることができる。
その後は、先の遊技球Aが左の開閉翼32から球受け部311に落ちるとともに、揺動羽根34が左に回動し、遊技球Bが先の遊技球Aに続けて右の開閉翼32から球受け部311に落ちる。
図22に示すように、左右の開閉翼32が駆動機構33によって閉じている時に、2つの遊技球C,Dがほぼ同時に左右の開閉翼32にそれぞれ流下すると、これら遊技球C,Dが左右の開閉翼32の間に挟まれて、これら遊技球C,Dが詰まってしまう可能性が若干存在する。このような球ガミが発生した時には、遊技球Cと遊技球Dの間に揺動羽根34が挟まれている。しかし、この際、別の遊技球Eが始動入賞口25に入賞し、ポケット部23内に流下すると、その遊技球Eが揺動羽根34の頭部341に当たる。これにより、揺動羽根34が揺動し、詰まった遊技球C,Dや開閉翼32に振動が与えられる。そのため、遊技球C,Dが球受け部311に落ちて、球ガミが解消される。
以下、変形例について説明する。
<第1の変形例>
図24は、変形例における揺動羽根34の斜視図であり、図25は、この揺動羽根34の正面図である。図24、図25に示すように、揺動羽根34の頭部341の頭頂面には、左右一対の突条344が設けられている。これら突条344の間が溝345として設けられている。これら突条344は、軸孔342に平行な方向、つまり、前後方向に延在している。
図26は、変形例における入賞装置20の前部の上面図である。図27は、球受け部材31及び前面部材232を取り外した状態の変形例の入賞装置20の正面図である。図26、図27に示すように、突条344がポケット部23内に臨んでいる。揺動羽根34が左右に振れずに真下に垂下している状態では、突条344の間の溝345が軸孔342の直上に位置している。
左右一対の突条344が凸設されているから、ポケット部23内に流下した遊技球が突条344に当たりやすい。そのため、球ガミが発生している時には、遊技球がポケット部23内に流下すると、揺動羽根34が揺動し、球ガミが解消される。特に、球ガミが発生している場合には、揺動羽根34が右又は左に振れた状態となっているから、どちらかの突条344が揺動軸217のほぼ真上に位置して、遊技球が突条344に当たって揺動羽根34に振動を与えやすくなっている。
また、左右一対の突条344が前後に延在しているから、ポケット部23内に流下した遊技球が突条344やそれらの間の溝345によって後ろに案内される。特に、揺動羽根34が左右に振れてない状態で、遊技球がポケット部23内に流下すると、その遊技球を効率よく後ろに案内することができる。
なお、前後に長尺な突条344が揺動羽根34の頭部341に形成されているが、その他の形状の突起が揺動羽根34の頭部341に形成されていてもよい。
<第2の変形例>
変形例1では、突条344が直線状に前後に延在している。それに対し、図28(a)、図29(a)の上面図に示すように、突条344がクランク状に設けられていてもよい。具体的には、突条344の前部344aと後部344cが前後に直線状に延在し、前部344aと後部344cの間の部分344b(以下、中間部344bという。)が後ろに向かって右に傾斜している。ここで、揺動羽根34が左右に振れずに真下に垂下している状態では、上又は前から見て、左右の突条344の前部344aの間の部分が軸孔342よりも左にずれているとともに、左右の突条344の後部343cの間の部分が軸孔342よりも右にずれている。
突条344がこのような形状を成していることによって、ポケット部23内に流下した遊技球Fが突条344やそれらの間の溝345によって後ろに案内される際に、揺動羽根34が揺動する。具体的には、ポケット部23内に流下した遊技球Fがリブ237の上面238によって後ろに送られ、図28(a)に示すように左右の突条344の前部344aの間の上に位置する。そうすると、図28(b)に示すように、揺動羽根34が左に振れる。これは、左右の突条344の前部344aの間の部分が軸孔342よりも左にずれているからである。
そして、遊技球Fが後ろに送られると、遊技球Fが左右の突条344の中間部344bの間によって後ろに案内される。中間部344bが斜めに設けられているから、遊技球Fの動きによって揺動羽根34が右に揺動する。
そして、遊技球Fが左右の突条344の後部344cの間の上に位置すると、揺動羽根34が右に振れた状態になる。
以上のように、遊技球Fが後ろに転がることによって、揺動羽根34が揺動するから、球ガミを更に効率よく解消することができる。
なお、突条344の中間部344bが後ろに向かって左に傾斜していてもよい。また、突条344が蛇行し、突条344の間の溝345が蛇行していてもよい。また、変形例1,2においては、左右一対の突条344が形成されることでそれらの間に溝345が形成されていたが、突条344が形成されずに、頭部341に溝345が凹設されていてもよい。また、変形例1,2では、左右一対の突条344が形成されているが、1つの突条344が形成されているだけでもよい。
<第3の変形例>
図30は、変形例における揺動羽根34の斜視図である。図30に示すように、揺動羽根34の頭部341の頭頂面には、リブ346が凸設されている。リブ346の上面347が、後ろに向かって下りに傾斜している。
この揺動羽根34においても、ポケット部23内に流下した遊技球がリブ346に当たって、揺動羽根34が左右に揺動する。そのため、球ガミが発生している時には、揺動羽根34の揺動によって、球ガミが解消される。
また、リブ346の上面347が後ろに向かって下りに傾斜しているから、ポケット部23内に流下した遊技球をリブ346の上面347によって後ろに誘導させることができる。
以上、本発明の実施形態及び変形例を図面を用いて説明したが、本発明は上記実施形態及び変形例に限定されない。
例えば、上記実施形態では、第1載置部96に載置された遊技球の重みで移送部材90を前倒させるように回動させ、移送部材90及び錘部93の重みで移送部材90を後ろに起こし上げるように回動させたが、モーター、ソレノイドその他の駆動源によって移送部材90を前後に回動させてもよい。
また、錘部93の重みではなく、ばね等の弾性部材によって移送部材90を起こし上げるように回動させ、第1載置部96に載置された遊技球の重みで移送部材90を前倒させるように回動させるようにしてもよい。