JP2010541165A - 焼結カソード組成物 - Google Patents

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Abstract

リチウムイオン電気化学セル中でカソードとして有用な組成物を提供する。その組成物は、異なる組成を有する少なくとも2つの別個の相を有する遷移金属酸化物を含む粒子を含む。その別個の相のそれぞれは、層状O3結晶構造を備える。

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、米国仮出願第60/975,940号(2007年9月28日出願)に対する優先権を請求する。
(発明の分野)
リチウムイオン電気化学セル中のカソードとして有用な組成物を提供する。
リチウムイオン電池は、典型的には、アノード、電解質及びリチウム遷移金属酸化物の形態のリチウムを含有するカソードを含む。カソード組成物として用いられてきた遷移金属酸化物の例としては、リチウムコバルト二酸化物、リチウムニッケル二酸化物、及びリチウムマンガン二酸化物が挙げられる。しかしながら、これらの材料はいずれも、高い初期容量、高い熱安定性、及び充放電サイクルを繰り返した後の良好な容量保持について最適な組み合わせを示さない。近年、マンガン、ニッケル、及びコバルト酸化物のような遷移金属酸化物の混合物が、リチウムイオン電気化学セル用のカソードとして用いられてきた。
より高い容量及び改善されたサイクル性能を有するカソード組成物、及びカソード組成物を生産する方法に対する要求が存在する。
1つの態様では、CoNiMn(式中、aは0.60〜0.96であり、bは0.02〜0.20であり、cは0.02〜0.20であり、a、b、及びcはそれぞれコバルト、ニッケル、及びマンガンのモル量であり、a+b+c=1である)を有する遷移金属酸化物を有する第1の別個の相と、
CoNiMn(式中、xは0.40〜0.60であり、yは0.20〜0.30であり、zは0.20〜0.30であり、x、y、及びzはそれぞれコバルト、ニッケル、及びマンガンのモル量であり、
x+y+z=1である)を有する遷移金属酸化物を有する第2の別個の相と、を含む粒子を有するカソード組成物であって、前記第1の別個の相及び前記第2の別個の相がそれぞれ層状O3結晶構造を含むカソード組成物を提供する。
別の態様では、CoNiMn(式中、aは0.00〜0.30であり、bは0.60〜0.90であり、cは0.00〜0.20であり、a+b+c=1である)を有する遷移金属酸化物を有する第1の別個の相と、CoNiMn(xは0.00〜0.30であり、yは0.40〜0.60であり、zは0.20〜0.40であり、x+y+z=1である)を有する遷移金属酸化物を有する第2の別個の相と、を含む粒子を有するカソード組成物であって、前記第1の別個の相及び前記第2の別個の相がそれぞれ層状O3結晶構造を含むカソード組成物を提供する。
本出願では、
冠詞「a」、「an」、及び「the」は、「少なくとも一方の」と互換的に用いられ、記載された要素の1つ以上を意味する。
用語「金属」は、元素又はイオン状態である、金属と、炭素、ケイ素、及びゲルマニウムのような半金属との両方を指す。
用語「合金」は、単独の構成金属のいずれとも異なる物理的特性を有する2種以上の金属の組成物を指す。
用語「電気化学的に活性な材料」は、リチウム化及び脱リチウム化を受けることができる物質を指す。
用語「電気化学的に不活性な材料」は、リチウム化及び脱リウム化を受けることができない物質を指す。
用語「リチウム化する」及び「リチウム化」とは、リチウムを電極材料に加えるプロセスを指す。
用語「脱リチウム化する」及び「脱リチウム化」とは、電極材料からリチウムを除去するプロセスを指す。
用語「粉末」又は「粉末材料」は、ある寸法における平均最大長が約100μm以下であることができる粒子を指す。
用語「充電する」及び「充電」は、電気化学エネルギーをセルに供給するためのプロセスを指す。
用語「放電する」及び「放電」は、例えばセルを使用して所望の作業を実行するときに、セルから電気化学エネルギーを取り出すためのプロセスを指す。
語句「正極」とは、放電プロセス中に電気化学的還元及びリチウム化が生じる電極(多くの場合、カソードと呼ばれる)を指す。
語句「負極」とは、放電プロセス中に電気化学的酸化及び脱リチウム化が生じる電極(多くの場合、アノードと呼ばれる)を指す。
上記カソード組成物、及びこれらの組成物を組み込むリチウムイオン電池は、高い初期容量、高い平均電圧、及び充放電サイクルを繰り返した後の良好な容量保持のような1つ以上の利点を呈する。更に、前記カソード組成物は、高温使用中にそれほど多くの量の熱を発生させず、それにより電池の安全性が改善する。いくつかの実施形態では、開示される組成物は、これらの利点のうちのいくつか、又は更には全てを呈する。
1つ以上の実施形態の詳細は、添付図面及び以下の明細書に記載される。他の特徴、目的及び利点は、明細書及び図面により、並びに特許請求の範囲により明らかになるであろう。
2種の電気化学セル(1つは実施例1の焼結混合物を含むカソードを有し、もう1つは既知の材料を含む)の電圧(V)対比容量(mAh/g)のグラフ。 図1のカソードのX線回折パターンのグラフ。 図1の既知の材料を含むカソード(Li基準4.4Vに充電した後)、及び1MのLiPFEC/DEC(体積比1:2)と反応している図1の既知の材料を含むカソード組成物の自己発熱速度対温度のグラフ。 図1で用いた2種の電気化学セルの、比容量(mAh/g)対充電/放電サイクルの数の比較図。 図1で用いた2種の電気化学セルのdQ/dV曲線対電圧の図。 実施例2の焼結混合物の粒子の顕微鏡写真図。 図6Aに示した焼結混合物の同じ領域のコバルト濃度のSEM−EDSマップ図。 図6Aに示した焼結混合物の同じ領域のマンガン濃度のSEM−EDSマップ図。 図6Aに示した焼結混合物の同じ領域のニッケル濃度のSEM−EDSマップ図。
本明細書中の全ての数字は用語「約」で修飾されているとみなす。端点(複数)による数字範囲の記載はその範囲に包含される全ての数を含む(例えば、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5が含まれる)。
第1の態様では、CoNiMn(式中、aは0.60〜0.96であり、bは0.02〜0.20であり、cは0.02〜0.20であり、a、b、及びcはそれぞれコバルト、ニッケル、及びマンガンのモル量であり、
a+b+c=1である)を有する遷移金属酸化物を有する第1の別個の相と;CoNiMn(式中、xは0.40〜0.60であり、yは0.20〜0.30であり、zは0.20〜0.30であり、x、y、及びzはそれぞれコバルト、ニッケル、及びマンガンのモル量であり、x+y+z=1である)を有する遷移金属酸化物を有する第2の別個の相とを含む粒子を有するカソード組成物であって、前記第1の別個の相及び前記第2の別個の相がそれぞれ層状O3結晶構造を含むカソード組成物を提供する。これらのカソード組成物は、リチウムイオン電気化学セルに組み込まれたとき、既知の材料と比べて、改善された電気化学サイクル性能及び容量安定性を呈する。
前記粒子は、第1の別個の相及び第2の別個の相を含んでもよい。別個の相とは、層状O3結晶構造を備え、一定の化学量論組成を有する粒子内の領域又はドメインが存在することを意味する。本明細書に開示するカソード組成物内には、少なくとも2つの異なる別個の相を含む粒子が存在する。各々の別個の相は、層状O3結晶構造を有するが、化学量論組成は異なる。カソード組成物の各粒子は、少なくとも第1の別個の相と第2の別個の相の両方を含んでもよい。又は、場合によっては、1つの粒子が実質的に単一の組成を有し、実質的に第1の別個の相しか示さず、別の粒子が実質的に異なる単一の物質であり、実質的に第2の別個の相しか示さないことも可能である。多くの実施形態では、カソード組成物はこれらの粒子の全ての組み合わせを含むと思われる。大多数の粒子は、少なくとも第1の別個の相及び第2の別個の相の両方を含むと思われる。粒子は、200μm未満、100μm未満、50μm未満、25μm未満、10μm未満、1μm未満、又は更に小さな平均直径を有してもよい。その小さな粒子径のために、カソード組成物は粉末材料と称される場合もある。
第1の実施形態のカソード組成物を製造する方法は、例えば、酸化コバルトを、式MnCoNi(OH)を有する物質を含む混合金属水酸化物、式MnCoNiを有する物質を含む混合金属酸化物、又はこれらの組み合わせ(式中、x、y、及びz>0並びにa≧0、
x+y+z+a=1、q>0であり、Mは、Mn、Co、又はNiを除く任意の遷移金属から選択され調合物を形成する)と調合することを含んでもよい。この調合物に、炭酸リチウム、水酸化リチウム、又は組み合わせを添加(added added)して、混合物を形成してもよい。混合物は、それを約750℃超及び約950℃未満の温度に、1〜10時間の間加熱することにより、焼結することができる。
次いで、混合物を、安定な組成物が形成されるまでの更なる期間1000℃超の温度に加熱することができる。この方法は、例えば、出願人の共同出願(cofiled)及び同時係属出願、代理人整理番号63506US002に開示されている。
第1の実施形態のカソード組成物は、CoNiMn(式中、aは0.60〜0.96、0.70〜0.95、0.75〜0.90、若しくは0.75〜0.85であり、bは0.02〜0.20、0.05〜0.15、若しくは0.07〜0.12であり、cは0.02〜0.20、0.05〜0.15、若しくは0.07〜0.12である、又はa+b+c=1である任意の組み合わせである)を有する遷移金属酸化物を有する第1の別個の相を有する組成物を含んでもよい。第1の実施形態のカソード組成物は、CoNiMn(式中、xは0.40〜0.60若しくは0.45〜0.55であり、yは0.20〜0.30又は0.22〜0.27であり、zは0.20〜0.30若しくは0.22〜0.27である、又はx+y+z=1である任意の組み合わせである)を有する遷移金属酸化物を有する第2の別個の相を有する組成物を含んでもよい。前記第1の実施形態の前記第1の別個の相及び前記第2の別個の相はそれぞれ層状O3結晶構造を含む。前記第1の実施形態は、前記第1の別個の相の組成物中のニッケル及びマンガンのモル量が実質的に等しく、前記第2の別個の相の組成物中のニッケル及びマンガンのモル量が実質的に等しい、組成物を含んでもよい。カソード組成物は、少なくとも一方の別個の相に、Mn、Ni、又はCo以外の、1種以上の金属Mを含んでもよい。前記1種以上の金属は、Li、Al、Ti、及びMgから選択してもよい。前記1種以上の金属は、組成物の15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、又は更には3重量%未満を占めることができる。
第2の実施形態では、CoNiMn(式中、aは0.00〜0.30であり、bは0.60〜0.90であり、cは0.00〜0.20であり、a+b+c=1である)を有する遷移金属酸化物を有する第1の別個の相と、CoNiMn(xは0.00〜0.30であり、yは0.40〜0.60であり、zは0.20〜0.40であり、x+y+z=1である)を有する遷移金属酸化物を有する第2の別個の相とを含む粒子を有するカソード組成物であって、前記第1の別個の相及び前記第2の別個の相がそれぞれ層状O3結晶構造を含むカソード組成物を提供する。
この第2の実施形態の粒子は、前記第1の実施形態で開示したように、第1の別個の相及び第2の別個の相を含んでもよい。その粒径は、前記第1の実施形態と同じ範囲であってもよい。
前記第2の実施形態の組成物を製造する方法は、例えば、Ni(OH)のような水酸化ニッケルを、MnCoNi(OH)を有する混合金属水酸化物、MnCoNiを有する混合金属酸化物、又はこれらの組み合わせ(式中、x、y、及びz>0、並びにa≧0、x+y+z+d=1、q>0であり、MはMn、Co、又はNiを除く任意の遷移金属から選択されて調合物を形成する)と調合することを含んでもよい。この混合物に、炭酸リチウム、水酸化リチウム又は組み合わせを添加して、混合物を形成してもよい。混合物は次いで、それを約750℃超及び約950℃未満の温度に、1〜10時間の間加熱することにより、焼結することができる。次いで、混合物を、安定な組成物が形成されるまでの更なる期間1000℃超の温度に加熱することができる。
前記第2の実施形態のカソード組成物は、CoNiMn(式中、aは、0.00〜0.30、0.00〜0.40、若しくは0.00〜0.50であり、bは、0.60〜0.90若しくは0.70〜0.80であり、cは0.02〜0.20である、又はa+b+c=1.00であるこれらの任意の組み合わせである)を有する遷移金属酸化物を有する第1の別個の相を有する組成物を含んでもよい。前記第1の実施形態のカソード組成物は、CoNiMn(式中、xは0.00〜0.30、0.00〜0.20、若しくは0.00〜0.10(between 0.00 or 0.20)であり、yは0.40〜0.60若しくは0.45〜0.55であり、zは0.20〜0.40若しくは0.25〜0.35である、又はx+y+z=1.00である任意の組み合わせである)を有する遷移金属酸化物を有する第2の別個の相を有する組成物を含んでもよい。前記第2の実施形態のカソード組成物は、前記第1の別個の相の組成物中のコバルト及びマンガンのモル量が実質的に等しく、前記第2の別個の相の組成物中のコバルト及びマンガンのモル量が実質的に等しい、組成物を含んでもよい。前記カソード組成物は、少なくとも一方の別個の相に、Mn、Ni、又はCo以外の、1種以上の金属Mを含んでもよい。前記1種以上の金属は、Li、Al、Ti、及びMgから選択してもよい。前記1種以上の金属は、組成物の15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、又は更には3重量%未満を占めることができる。
前記カソード組成物からカソードを製造するために、例えば結合剤、導電性希釈剤、充填剤、接着促進剤、カルボキシメチルセルロース(CMC)のようなコーティング粘度を変化させるための増粘剤、及び当業者に既知である他の添加剤などの任意に選択した添加剤を、水又はN−メチルピロリドン(NMP)のような好適なコーティング溶媒中で混合して、コーティング分散液又はコーティング混合物を形成することができる。前記コーティング分散液又はコーティング混合物を十分に混合し、次いでナイフコーティング、切欠き棒コーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、電気スプレーコーティング、又はグラビアコーティングのような任意の適切な分散コーティング技術により、箔状集電器に塗布することができる。その集電器は、典型的には、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、又はニッケル箔のような導電性金属の薄箔であることができる。前記スラリーをその集電器箔上にコーティングして、次に空気中で乾燥させ、続いて、通常は、加熱したオーブン内で典型的には約80℃〜約300℃にて約1時間乾燥させて、溶媒を全て取り除くことができる。
本開示のカソード組成物から製造されるカソードは、結合剤を含んでもよい。代表的なポリマー結合剤としては、エチレン、プロピレン、又はブチレンモノマーから調製したもののようなポリオレフィン;フッ化ビニリデンモノマーから調製したもののようなフッ素化ポリオレフィン;ヘキサフルオロプロピレンモノマーから調製したもののような全フッ素化(perfluorinated)ポリオレフィン;全フッ素化ポリ(アルキルビニルエーテル);全フッ素化ポリ(アルコキシビニルエーテル);芳香族、脂肪族若しくは脂環式ポリイミド又はこれらの組み合わせが挙げられる。ポリマー結合剤の具体例としては、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、及びプロピレンのポリマー又はコポリマー、並びにフッ化ビニリデン及びヘキサフルオロプロピレンのコポリマーが挙げられる。本開示のカソード組成物で用いることができる他の結合剤としては、共同出願された(co-owned application)米国特許出願第11/671,601号(レー(Le)ら)に開示されているようなリチウムポリアクリレートが挙げられる。リチウムポリアクリレートは、水酸化リチウムによって中和したポリ(アクリル酸)から作製することができる。米国特許出願第11/671,601号では、アクリル酸若しくはメタクリル酸又はこれらの誘導体の任意のポリマー若しくはコポリマーを含むポリ(アクリル酸)が開示され、それは、少なくとも約50モル%、少なくとも約60モル%、少なくとも約70モル%、少なくとも約80モル%、又は少なくとも約90モル%のコポリマーが、アクリル酸若しくはメタクリル酸を使用して作製されている。これらのコポリマーを形成するために使用できる有用なモノマーとしては、例えば、1〜12個の炭素原子を持つアルキル基を有するアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル(分枝状又は非分枝状)、アクリロニトリル、アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、ヒドロキシルアルキルアクリレート等が挙げられる。
カソード組成物はまた、カソード組成物粉末から集電器への電子の移動を促進するために、導電性希釈剤を含むことができる。導電性希釈剤としては、炭素(例えば、負極用カーボンブラック、並びに正極用のカーボンブラック、薄片状黒鉛等)、金属、金属窒化物、金属炭化物、金属ケイ化物及び金属ホウ化物が挙げられるが、これらに限定されない。代表的導電性炭素希釈剤としては、スーパーP及びスーパーSカーボンブラック(共にMMMカーボン社(MMM Carbon)、ベルギー)のようなカーボンブラック、シャワニガンブラック(SHAWANIGAN BLACK)(シェヴロン・ケミカル社(Chevron Chemical Co.)、テキサス州ヒューストン(Houston))、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、グラファイト、炭素繊維及びこれらの組み合わせが挙げられる。
カソード組成物は、カソード組成物又は導電性希釈剤の結合剤との接着を促進する、接着促進剤を含むことができる。接着促進剤と結合剤との組み合わせにより、リチウム化/脱リチウム化が繰り返されるサイクル中に、粉末材料中で発生することがある体積変化にカソード組成物がより良好に適応するのに役立つことができる。結合剤は、接着促進剤の添加を必要としないように、金属及び合金に十分に良好な接着性をもたらすことができる。用いる場合、接着促進剤は、米国特許出願第60/911,877号(ファム(Pham))に開示したもののような、リチウムポリスルホネートフルオロポリマー結合剤の一部として(例えば、付加された官能基の形で)作製でき、粉末材料上にコーティングすることができ、導電性希釈剤に添加することができ、又はこのような使用の組み合わせであることができる。接着促進剤の例としては、米国特許出願公開第2004/0058240(A1)号(クリステンセン(Christensen))に記載されているようなシラン、チタネート、及びホスホネートが挙げられる。
本開示のカソード組成物から作製されるカソードは、アノード及び電解質と組み合わせて、リチウムイオン電気化学セルを形成でき、又は2つ以上の電気化学セルから電池を形成することができる。好適なアノードの例は、リチウムを含む組成物、炭素質材料、ケイ素合金組成物及びリチウム合金組成物から作製することができる。代表的な炭素質材料としては、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)(イーワン・モリ/エナジー・カナダ社(E-One Moli/Energy Canada Ltd.)(ブリティッシュコロンビア州バンクーバー(Vancouver))から入手可能)のような合成グラファイト、SLP30(ティムカル社(TimCal Ltd.)(ボディオ、スイス(Bodio Switzerland))から入手可能)、天然グラファイト及び硬質炭素を挙げることができる。有用なアノード材料はまた、合金粉末又は薄膜を含むことができる。このような合金は、ケイ素、スズ、アルミニウム、ガリウム、インジウム、鉛、ビスマス、及び亜鉛のような電気化学的に活性な成分を含んでもよく、鉄、コバルト、遷移金属ケイ化物及び遷移金属アルミナイドのような電気化学的に不活性な成分を含んでもよい。有用な合金アノード組成物は、Sn−Co−C合金、Si60Al14FeTiSnMm10及びSi70Fe10Ti1010(式中、Mmはミッシュメタル(希土類元素の合金)である)のような、スズ又はケイ素の合金を含むことができる。アノードを作製するために用いられる金属合金組成物は、ナノ結晶又は非晶質ミクロ構造を有することができる。このような合金は、例えば、スパッタリング、ボールミリング、超急冷(rapid quenching)又は他の手段により、作製することができる。有用なアノード材料としてはまた、LiTi12、WO、SiO、及び酸化スズのような金属酸化物、又はTiS及びMoSのような金属硫化物(metal sulphite)が挙げられる。他の有用なアノード材料としては、米国特許出願第第2005/0208378(A1)号に開示されているもののような、スズ系非晶質アノード材料が挙げられる。
好適なアノードを作製するのに用いることができる代表的なケイ素合金としては、約65〜約85モルパーセントのケイ素、約5〜約12モルパーセントの鉄、約5〜約12モル%(from about to about)のチタン、及び約5〜約12モルパーセントの炭素を含む組成物が挙げられる。有用なケイ素合金の更なる例としては、米国特許公開第2006/0046144(A1)号(オブロバック(Obrovac)ら)で論じられているもののような、ケイ素、銅及び銀又は銀合金;米国特許公開第第2005/0031957(A1)号(クリステンセン(Christensen)ら)で論じられているような多相のケイ素含有電極;米国特許公開2007/0020521(A1)号、同第2007/0020522(A1)号、及び同第2007/0020528(A1)号(全てオブロバック(Obrovac)ら)に記載されているもののような、スズ、インジウム、及びランタニド、アクチニド元素、又はイットリウムを含有するケイ素合金;米国特許公開第2007/0128517(A1)号(クリステンセン(Christensen)ら)で論じられているもののような、高いケイ素含量を有する非晶質合金;並びに米国特許出願第11/419,564号(クラウス(Krause)ら)及び国際公開第WO2007/044315号(クラウス(Krause)ら)で論じられているもののような、負極用に用いられる他の粉末材料を含む組成物が挙げられる。アノードはまた、米国特許第6,203,944号及び同第6,436,578号(ともにターナー(Turner)ら)、並びに米国特許第6,255,017号(ターナー)に記載されている種類のような、リチウム合金組成物から作製することもできる。
電気化学セルは、電解質を含有してもよい。代表的な電解質は、固体、液体又はゲルの形態であることができる。代表的な固体電解質としては、ポリエチレンオキシド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素含有コポリマー、ポリアクリロニトリル、これらの組み合わせ、及び当業者によく知られている他の固体媒体のような高分子媒体が挙げられる。液体電解質の例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、フルオロプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン(butylrolactone)、メチルジフルオロアセテート、エチルジフルオロアセテート、ジメトキシエタン、ジグリム(ビス(2−メトキシエチル)エーテル)、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、これらの組み合わせ、及び当業者によく知られている他の媒体が挙げられる。電解質は、リチウム電解質塩とともに供給されてもよい。代表的なリチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、リチウムビス(オキサラト)ボレート、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiAsF、LiC(CFSO、及びこれらの組み合わせが挙げられる。代表的な電解質ゲルとしては、米国特許第6,387,570号(ナカムラ(Nakamura)ら)及び同第6,780,544号(ノー(Noh))に記載されているものが挙げられる。電荷保持媒体の可溶化力は、好適な共溶媒を添加することによって改善できる。代表的な共溶媒としては、選択された電解質を含有するLiイオンセルと適合性のある芳香族物質が挙げられる。代表的な共溶媒としては、トルエン、スルホラン、ジメトキシエタン、これらの組み合わせ及び当業者によく知られている他の共溶媒が挙げられる。電解質は、当業者によく知られている他の添加剤を含むことができる。例えば、電解質は、米国特許第5,709,968号((シミズ(Shimizu))、同第5,763,119号(アダチ((Adachi))、同第5,536,599号(アランギール(Alamgir)ら)、同第5,858,573号(アブラハム(Abraham)ら)、同第5,882,812号(ビスコ(Visco)ら)、同第6,004,698号(リチャードソン(Richardson)ら)、同第6,045,952号(カー(Kerr)ら)及び同第6,387,571(B1)号(レイン(Lain)ら)並びに米国特許出願公開第2005/0221168(A1)号、同第2005/0221196(A1)号、同第2006/0263696(A1)号及び同第2006/0263697号(A1)号(全てダーン(Dahn)ら)に記載されているもののようなレドックス化学シャトル(redox chemical shuttle)を含有することができる。
本発明のカソード組成物を含む電気化学セルは、上記のような正極及び負極をそれぞれ少なくとも1種を選択し、電解質中に定置することにより、作製できる。一般的には、ヘキスト・セラニーズ社(Hoechst Celanese, Corp.)(ノースカロライナ州シャーロット(Charlotte))から入手可能なセルガード(CELGARD)2400ミクロ孔質材料のようなミクロ孔質セパレーターを使用して、負極が正極と直接接触するのを防ぐ。これは、例えば、当該技術分野において既知である2325コイン型セルのようなコイン型セルにおいて特に重要であり得る。
開示した電気化学セルは、ポータブルコンピュータ、タブレット型表示器、携帯情報端末、携帯電話、電動式装置(例えば、個人又は家庭電化製品及び自動車)、機器、照明装置(例えば、懐中電灯)、及び加熱装置を含む、種々の装置で使用することができる。本発明の1つ以上の電気化学セルを組み合わせて、電池パックを提供することができる。充電式リチウムイオンセル及び電池パックの構築及び使用に関する更なる詳細は、当業者に周知である。
本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当業者には明らかであろう。本発明は、本明細書で述べる例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではないこと、また、こうした実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する特許請求の範囲によってのみ限定されると意図する本発明の範囲に関する例示のためにのみ提示されることを理解すべきである。本開示に含まれる全ての参照文献は、参照として本明細書に組み込まれる。
電気化学セルの調製
薄膜カソードの調製
電極を以下のように調製した:ポリ二フッ化ビニリデン(PVDF、アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Co.))の10%N−メチルピロリドン(NMP、アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Co.))溶液を、約10gのPVDFを90gのNMP溶液に溶解させることにより調製した。約7.33gのスーパーPカーボン(MMMカーボン(MMM Carbon)、ベルギー)、73.33gのPVDFの10%NMP溶液、及び200gのNMP溶液を、ガラスジャー内で混合した。混合した溶液は、それぞれNMP中に約2.6%のPVDF及びスーパーPカーボンを含有していた。5.25gのこの溶液を、マゼルスター混合機(Mazerustar mixer machine)(クラボー・インダストリーズ社(KURABO INDUSTRIESLtd.)、日本)を用いて2.5gのカソード組成物と3分間混合して、均一なスラリーを形成した。次いで、0.25mm(0.010インチ)の切欠き棒延展機(notch-bar spreader)を用いて、スラリーを、ガラス板上のアルミニウム薄箔上に延展した。次いで、そのコーティングされた電極を、80℃のオーブン内で約30分間乾燥させた。次いで、電極を120℃の真空オーブンに1時間入れて、NMP及び水分を蒸発させた。乾燥電極は、約90%のカソード材料、並びに各5%のPVDF及びスーパーPを含有していた。活性カソード材料の質量積載は、約8mg/cmであった。
コイン型セルの調製
コイン型セルを、実施例1〜4で得られるカソード及びLi金属アノードを用いて、乾燥室で2325サイズ(直径23mm及び厚さ2.5mm)コイン型セルハードウェアに組み立てた。セルガード(CELGARD)2400ミクロ孔質ポリプロピレンフィルム(ヘキスト−セラニーズ(Hoechst-Celanese)から入手可能)を、セパレーターとして用いた。セパレーターを、炭酸エチレン(EC)(アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Co.))及び炭酸ジエチル(DEC)(アルドリッチ・ケミカル社)の体積比1:2の混合物中に溶解した1MのLiPF(ステラケミファ株式会社(Stella Chemifa Corporation)、日本から入手可能)溶液で湿潤させた。コイン型セルをクリンピングにより封止した。
コイン型セルのサイクリング
コイン型セルを、最初に、第1サイクルにおいて15mA/gの電流で、4.4V〜2.5Vで充電及び放電した。第2及び第3サイクルでは、セルを30mA/gの電流でサイクリングした。第4〜第9サイクルでは、セルを同じ電流15mA/gで充電し、それぞれ750mA/g、300mA/g、150mA/g、75mA/g、30mA/g、15mA/gの異なる電流で放電して、その中でカソード組成物の速度能力(rate capability)を試験した。第10及びその後のサイクルは、サイクル性能試験のためのものであり、充放電電流は75mA/gである。
異なるカソード材料に対する加速速度熱量計(ARC)発熱開始温度
ARCのためのペレットカソードの調製
ARCによる熱安定性試験のための充電したカソード組成物を調製する方法は、J.チャン(J. Jiang)ら、Electrochemistry Communications、第6号、39〜43頁(2004年)に記載されている。通常、ARCに用いられるペレット電極の質量は、数百ミリグラムである。数グラムの活性電極材料を、各7質量%のスーパーPカーボンブラック、PVDF、及び過剰なNMPと混合してスラリーを作製し、続いて薄膜カソード材料の調製で記載したのと同じ手順を行った。120℃で一晩電極スラリーを乾燥させた後、電極粉末を乳鉢で少し粉砕し、次いで300mmの篩を通過させた。少量(300mg〜700mg)の電極粉末を、次いで、ステンレス鋼ダイ内に定置し、これに13.8MPa(2000psi)を加えて、厚さ約1mmのペレット電極を製造した。2325サイズのコイン型セルを、正極ペレットを用いて構築し、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)(イーワン・モリ/エナジー・カナダ社(E-One Moli/Energy Canada Ltd.)、ブリティッシュコロンビア州バンクーバー(Vancouver)から入手可能)ペレットを、両方の電極の容量の平衡をとる大きさにした。セルを、最初に、1.0mAの電流で、Li基準4.4Vのような所望の電圧に充電した。
4.4Vに達した後、セルをLi基準4.4Vに緩和(relax)させた。次で、元の電流の半分である0.5mAにして、セルを4.4Vに再充電した。4サイクル後、充電したセルをグローブボックスに移して、分解した。脱リチウム化カソードペレットを取り出し、炭酸ジメチル(DMC)で4回すすいで、充電したカソード材料の表面から元の電解質を取り除いた。次いで、サンプルを、2時間グローブボックスの真空副室で乾燥させて、残りのDMCを取り除いた。最後に、サンプルを再度軽く細砕して、ARC試験に用いた。
ARC発熱開始温度の測定
ARCによる安定性試験は、J.チャン(J. Jiang)ら、Electrochemistry Communications、第6号、39〜43頁(2004年)に記載されていた。サンプルホルダーは、壁厚0.015mm(0.006インチ)の304ステンレス鋼製シームレスチューブ(マサチューセッツ州ミッドウェイ(Medway)のマイクログループ(Microgroup))で作製した。チューブの外径は6.35mm(0.250インチ)であり、ARCサンプルホルダー用に切断した試験片の長さは39.1mm(1.540インチ)であった。ARCの温度を110℃に設定して、試験を開始した。サンプルを15分間平衡化し、自己発熱速度を10分間にわたって測定した。自己発熱速度が0.04℃/分未満である場合、サンプル温度は5℃/分の加熱速度で10℃ずつ上昇させた。サンプルを15分間、この新温度で平衡化し、自己発熱速度を再び測定した。自己発熱速度が0.04℃/分に維持されたとき、ARC発熱開始温度を記録した。サンプル温度が350℃に達したとき、又は自己発熱速度が20℃/分を超えたとき、試験を停止した。
X線回折(XRD)分析
X線回折は、焼結カソード組成物の結晶構造を同定するためのものであった。銅標的X線管及び回折ビームモノクロメータを備えたジーメンス(Siemens)D500回折計を用いて回折測定した。利用した放射X線は、Cu Kα1(λ=1.54051Å)及びCu Kα2(λ=1.54433Å)であった。用いた拡散スリット及び抗散乱スリットは両方とも0.5°に設定し、一方受光スリットは0.2mmに設定した。X線管には、30mAで40kVに電力供給した。
エネルギー分散分光法(EDS)
エネルギー分散X線分光法(EDS)は走査電子顕微鏡法(SEM)と併せて用いられる化学微量分析技術であり、電子ビームが照射される間にサンプルから放射されるX線を検出し、分析される容積領域の元素組成を分析する。例えば、材料の分析方法ハンドブック(the Handbook of Analytical Methods for Materials)(マテリアルズ・エバリュエーション・アンド・エンジニアリング社(Materials Evaluation and Engineering, Inc.)刊(ミネソタ州、プリマス(Plymouth))(2006年)、ウェブサイト:www.mee−inc.comに、より詳細に説明されている。
EDSを用いて、本開示カソード組成物の粒子内の相の化学組成を同定した。用いたSEMは、モデルJSM−6400(日本電子株式会社(JEOL, Ltd.)日本、東京)であった。用いたEDSシステムは、ノーラン・システム・シックス(Noran System Six)(サーモ・エレクトロン社(Thermo Electron Corp.)(マサチューセッツ州、ウォルサム(Waltham))であった。
材料−カソード組成物
カソード組成物は、種々の量のCo及びCo1/3Ni1/3Mn1/3(OH)又はNi(OH)及びCo1/3Ni1/3Mn1/3(OH)とLiCOの二成分混合物から合成した。合成後の得られたカソード材料は、異なる組成の2相が両方とも層状O3(R−3m)構造を有する場合、2つの相を含む。
実施例1.
6.953gのCo(OMG社(OMG Inc.)(オハイオ州、クリーブランド(Cleveland)から入手可能)及び8.047gのLi[Co1/3Ni1/3Mn1/3]O(パシフィック・リチウム社(Pacific Lithium Inc.)(ニュージーランド)から入手可能)を、6.824gのLiCO(FMC(米国)から入手可能)と混合した。粉末混合物を、4℃/分の速度で750℃に加熱し、次いで4時間その温度に保持した。次いで粉末混合物を4℃/分の速度で1000℃に加熱し、次いで4時間その温度に保持した。その後、粉末を4℃/分で室温に冷却した。粉砕後、次いで粉末を110μmの篩に通した。実施例1のEDS分析を実施したところ、実施例1は2つの別個の相を有することが見出された。第1の相は、EDSにより、Co0.72Ni0.15Mn0.13の遷移金属組成を有し、第2の相は、Co0.55Ni0.23Mn0.22の遷移金属組成を有すると測定された。
実施例2.
11.637gのCo及び3.363gのLi[Co1/3Ni1/3Mn1/3]Oを、6.956gのLiCOと混合した。粉末混合物を、4℃/分の速度で750℃に加熱し、次いで4時間その温度に保持した。次いで粉末混合物を4℃/分の速度で1000℃に加熱し、次いで4時間その温度に保持した。その後、粉末を4℃/分で室温に冷却した。粉砕後、次いで粉末を110μmの篩に通した。第1の相は、EDSにより、Co0.90Ni0.05Mn0.05の遷移金属組成を有し、第2の相は、Co0.58Ni0.20Mn0.22の遷移金属組成を有すると測定された。図6は、実施例2の焼結混合物のEDSマップである。
実施例3.
2.664gのCo及び12.336gのLi[Co1/3Ni1/3Mn1/3]Oを、6.704gのLiCOと混合した。粉末混合物を、4℃/分の速度で750℃に加熱し、次いで4時間その温度に保持した。次いで粉末混合物を4℃/分の速度で1000℃に加熱し、次いで4時間その温度に保持した。その後、粉末を4℃/分で室温に冷却した。粉砕後、次いで粉末を110μmの篩に通した。第1の相は、EDSにより、Co0.94Ni0.03Mn0.03の遷移金属組成を有し、第2の相は、Co0.52Ni0.23Mn0.25の遷移金属組成を有すると測定された。
実施例4.
7.116gのNi(OH)及び7.111gのLi[Co1/3Ni1/3Mn1/3]Oを、5.975gのLiCOと混合した。粉末混合物を、4℃/分の速度で750℃に加熱し、次いで4時間その温度に保持した。次いで粉末混合物を4℃/分の速度で1000℃に加熱し、次いで4時間その温度に保持した。その後、粉末を4℃/分で室温に冷却した。粉砕後、次いで粉末を110μmの篩に通した。第1の相は、EDSにより、Co0.15Ni0.76Mn0.09の遷移金属組成を有し、第2の相は、Co0.18Ni0.57Mn0.25の遷移金属組成を有すると測定された。
性能
図1は、実施例1の焼結混合物から作製されるカソードを収容する電気化学セル(コイン型セル)、及び追加処理をしない、LiCoOとLi[Co1/3Mn1/3Ni1/3]Oとの1:1の質量比の機械的混合物から作製されるカソードを収容する別のコイン型セルの、電圧(V)対比容量(mAh/g)を示す。電気化学セルを、まずC/10(17mA/g)の電流でLi基準4.4Vに充電し、次いで同じ電流でLi基準2.5Vに放電することによる、1回の全サイクルを通してサイクリングした。明らかに、焼結混合物の曲線は平滑であり、機械的混合物のものとは異なることが示された。
図2は、前段落の実施例1の焼結混合物及び1:1機械的混合物の、散乱角35〜40°におけるX線回折(XRD)スペクトルの一部を示す。焼結混合物の結晶構造は、機械的混合物とは非常に異なり、また機械的混合物の成分の組み合わせでないように思われる。このXRDスキャンは、焼結混合物が機械的混合物と同じ組成ではないことを示す。
図3は、100mgの上記1:1機械的混合物と、30mgの1MのLiPFEC/DECと反応している100mgの実施例1の焼結混合物(Li基準4.4Vに充電した後)との、ARC自己発熱速度対温度を比較して示す。機械的混合物は、約120℃の自己発熱開始温度を有していることが示された。焼結混合物は、非常に高い自己発熱開始温度を有していた(約260℃)。これは、実施例1の焼結混合物が、等モル比(1:1)の金属の機械的混合物より、著しく高い熱安定性を有していたことを示唆する。
図4は、実施例1の焼結混合物と等質量比(1:1)の金属の機械的混合物との、2.5〜4.4Vのサイクル性能比較プロットである。焼結混合物は、75mAh/gの電流で60サイクル後、機械的混合物よりも明らかにより高い容量及びより良好な容量保持を示した。
図5は、Li基準4.4Vへのサイクリング時、実施例1の焼結混合物及び等質量比(1:1)の金属の機械的混合物の、微分(dQ/dV)(mAh/(gV)における)対電圧のプロットである。図5は、焼結混合物の電気化学的挙動が機械的混合物とは非常に異なることを示し、これは2種の材料が非常に異なる特性を有することを表す。
図6Aは、実施例2の焼結カソード組成物サンプルの白黒顕微鏡写真である。この図は、不規則な形状の粒子が含有され、粒子間にいくつかの空隙領域(黒)がある領域を示す。図6B、6C、及び6Dは、図6Aと同じ視野のEDSマップである。図6Bは、コバルトに対応するEDSx線強度のマップを表す。マップの強度は、マップの各位置に存在するコバルトの量に正比例する。例えば、601A及び601Bにより示される領域では、2つの異なる強度のコバルトが存在する事がわかる。図6Cは、EDSによるマンガン所在のマップを表し、図6Dはニッケル所在のマップを表す。図6B、6C、及び6Dの組み合わせは、強度によって、点601A及び601Bにおける、コバルト、マンガン、及びニッケルの濃度を示す。位置601A(第1相)は、Co0.90Mn0.05Ni0.05の遷移金属組成を有し、第2相601Bは、Co0.58Mn0.22Ni0.20の遷移金属組成を有する。図6B、6C、及び6Dの強度を見ることにより、コバルト、マンガン、及びニッケルには少なくとも2つの水準が存在するように見ることができる。図6A〜6D及びEDSデータの分析は、実施例2について、2つの異なった分析可能な遷移金属の組成を有する2つの別個の相が存在することを示す。
多数の実施形態が説明された。しかしながら本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく様々な改変が行われてもよいことは理解されるであろう。それ故、その他の実施形態は以下の請求項の範囲内にある。

Claims (16)

  1. CoNiMn(式中、aは0.60〜0.96であり、bは0.02〜0.20であり、cは0.02〜0.20であり、a、b、及びcはそれぞれコバルト、ニッケル、及びマンガンのモル量であり、a+b+c=1である)を有する遷移金属酸化物を有する第1の別個の相と、
    CoNiMn(式中、xは0.40〜0.60であり、yは0.20〜0.30であり、zは0.20〜0.30であり、x、y、及びzはそれぞれコバルト、ニッケル、及びマンガンのモル量であり、x+y+z=1である)を有する遷移金属酸化物を有する第2の別個の相と、を含む粒子を有するカソード組成物であって、
    前記第1の別個の相及び前記第2の別個の相がそれぞれ層状O3結晶構造を含む、カソード組成物。
  2. 前記第1の別個の相中のニッケル及びマンガンの前記モル量が実質的に等しく、前記第2の別個の相中のニッケル及びマンガンの前記モル量が実質的に等しい、請求項1に記載のカソード組成物。
  3. 前記粒子が50μm未満の平均直径を有する、請求項1に記載のカソード組成物。
  4. 前記粒子が10μm未満の平均直径を有する、請求項1に記載のカソード組成物。
  5. 少なくとも一方の別個の相中に、Mn、Ni、Co以外の1種以上の金属を更に含む、請求項1に記載のカソード組成物。
  6. 少なくとも一方の別個の相中の、前記1種以上の金属が、Li、Al、Ti、及びMgから選択される、請求項5に記載のカソード組成物。
  7. 前記1種以上の金属が、前記組成物の10重量%未満を占める、請求項5に記載のカソード組成物。
  8. CoNiMn(aは0.00〜0.30であり、bは0.60〜0.90であり、cは0.00〜0.20であり、a+b+c=1である)を有する遷移金属酸化物を含む第1の別個の相と、
    CoNiMn(式中、xは0.00〜0.30であり、yは0.40〜0.60であり、zは0.20〜0.40であり、x+y+z=1である)を有する遷移金属酸化物を含む第2の別個の相と、を含む粒子を有するカソード組成物であって、
    前記第1の別個の相及び前記第2の別個の相がそれぞれ層状O3結晶構造を含む、カソード組成物。
  9. 前記第1の別個の相中のコバルト及びマンガンの前記モル量が実質的に等しく、前記第2の別個の相中のコバルト及びマンガンの前記モル量が実質的に等しい、請求項8に記載の組成物。
  10. 前記粒子が50μm未満の平均直径を有する、請求項8に記載の組成物。
  11. 前記粒子が10μm未満の平均直径を有する、請求項8に記載の組成物。
  12. 少なくとも一方の別個の相中に、Mn、Ni、Co以外の1種以上の金属を更に含む、請求項8に記載の組成物。
  13. 少なくとも一方の別個の相中の、1種以上の金属が、Li、Al、Ti、及びMgから選択される、請求項12に記載の組成物。
  14. 前記1種以上の金属が、組成物の10重量%未満を構成する、請求項12に記載の組成物。
  15. 請求項1に記載の組成物を含むカソードを備えるリチウムイオン電池。
  16. 請求項8に記載の組成物を含むカソードを備えるリチウムイオン電池。
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