JP2010537049A - 燃料電池の膜電極集合体から貴金属を浸出させるための簡易化方法 - Google Patents

燃料電池の膜電極集合体から貴金属を浸出させるための簡易化方法 Download PDF

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Abstract

燃料電池の膜電極集合体は、当該膜電極集合体を粉末になるまで粉砕し、酸と接触させて貴金属を浸出させることによって再利用される。界面活性剤は、回収される貴金属の回収率を増加させるために、随意に用いることができる。
【選択図】図7

Description

政府の関心
本発明は、エネルギー省によって認められた協定DE−FC36−03GO1314の下に、政府支援によって作り出されたものである。政府は、本発明において一定の権利を有する。
開示されているのは、燃料電池の膜電極集合体から貴金属を回収する方法である。
燃料電池は、電力を発生させるように設計された広く用いられる装置である。燃料電池の原則的な用途としては、自動車および遠隔地における発電が挙げられる。数多くの高額な材料が、大量の白金金属および特定の重合体電解質膜を含む燃料電池の構成に用いられる。燃料電池の寿命は、徐々に起こる重合体電解質膜の性能に対する変化を含む、構成要素上の摩損のために限られている。回収しなければ無駄になるだろう使用済みの燃料電池の白金の回収は、大きな価値を表す。再利用の有効な方法により、より広範な使用を可能にする燃料電池を使用する費用が低減する。
燃料電池は、燃料および酸化剤を、電気、熱、および水に変換する。燃料電池は、陽極および陰極の間に挟まれた重合体電解質膜から成り、当該重合体電解質膜も、当該燃料および酸化剤を局所的に分離した状態に保つように作用する。当該重合体電解質膜は、選択的に透過性および非導電性であり、例えば、当該重合体電解質膜は、水素/酸素の燃料電池中で水素イオンに対してのみ透過性である。当該陰極および陽極における反応は、下記のように要約できる:
→2H+2e(陽極)→1/2O+2e→HO(陰極)(1)
当該重合体電解質膜、陽極、および陰極は、合計で5つの層を形成する2つの気体拡散層の間にさらに挟まれ、膜電極集合体と呼ばれる。当該気体拡散層は、気体状の反応体および生成物を当該陽極および陰極に向かうか離れて拡散することを可能にする多孔性で繊維性の炭素繊維から形成される。当該陽極および陰極は、当該気体拡散層または当該重合体電解質膜の何れかの表面上に沈殿する、白金含有の電極触媒層から形成される。当該気体拡散層上に沈殿した電極触媒層は、気体拡散電極として知られており、当該重合体電解質膜上に沈殿した電極触媒層を有するものは、触媒被覆膜として知られている。気体拡散電極集合体および触媒被覆膜集合体という用語は、それぞれの種類の電極触媒層を有する膜電極集合体をそれぞれ指す。
当該電気触媒層は一般的に、活性触媒成分である貴金属に加えて、導電性の支持材料を含むその他の成分を含む。例えば、0.5mg/cmから4mg/cmの白金は、インクの形態にて、または複雑な化学的手順を用いて、当該電極に加えることができる。白金は、燃料電池の製作において大幅に費用がかかる。
当該膜電極集合体の大部分は炭素系であり、それ故、白金を含む貴金属を再利用する標準的な方法は、炭素材料を除去するための燃焼段階を含む。しかしながら、膜電極集合体は、当該炭素繊維上に、および、Nafion(登録商標)(DuPont社、ウィルミントン、デラウェア州)等の一般的な重合体電解質膜の材料から含浸し、燃焼するとHFの大量で望ましくない放出をもたらすポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が原因で高いフッ素含有量を有する。HFガスの除去は、洗浄すること、およびHFガスの腐食性に耐えることができる専用設備を含む。既存の基幹設備から当該燃焼を隔離することが、HFガスの影響によって引き起こされる整備の必要性を一本化するために推奨される。
燃料電池膜電極集合体の再利用の代替方法は、触媒被覆膜集合体および気体拡散電極集合体の両方を処理することを試みる場合、改善に耐えることができる。燃料電池の再資源業者は、膜電極集合体が触媒被覆膜集合体か気体拡散電極集合体かを容易に決定できず、この事は、間違った方法が用いられる場合、貴金属の回収の損失を潜在的にもたらし得る。燃焼を含む既知の方法も、白金に加えて触媒としてしばしば存在するルテニウム、および貴金属の回収後の下流工程で潜在的に経済的に再利用できる重合体電解質膜の材料の損失をもたらす。
以下は、本発明のいくつかの態様の基本的な理解を与えるために、本発明の簡易化した概要を示している。本概要は、本発明の外延的概観ではない。本発明の主要素または決定的要素を同定することも、本発明の範囲を詳述することも目的としていない。むしろ、本概要の唯一の目的は、下文に示されているより詳細な記述への序文として、簡易化した形態で本発明のいくつかの概念を示すことである。
本発明は、燃料電池から貴金属を回収する方法を提供する。具体的には、貴金属は、存在する膜電極集合体の種類を決定する必要性を全く伴わず、または、回収前の当該集合体の選別を伴わずに、触媒被覆膜集合体および気体拡散電極集合体から回収できる。
本発明の一態様は、膜電極集合体を過冷却して当該膜電極集合体を脆化し、当該脆化された膜電極集合体を粉砕することによって、燃料電池から貴金属を回収するための方法に関する。その後、貴金属は、当該粉砕された膜電極集合体から、酸および酸化剤を含む酸性溶液を接触させて抽出物を生成することによって除去される。貴金属は、既知の電気メッキ技術および/または化学的還元技術を用いて、当該抽出物から回収できる。
本発明の別の態様は、当該方法が環境に優しくかつHFガスを生成しない燃料電池から貴金属を再利用するための方法に関する。結果として、燃料電池を製作する費用は、その有効耐用期間の終わりに達した燃料電池から貴金属を再利用するための有効な方法を提供することによって低減できる。
本発明のさらに別の態様は、多くの触媒被覆膜集合体および/または気体拡散電極集合体の、全体の貴金属の値を評価することに関する。当該粉砕された電極膜集合体の残骸の貴金属の値は、質量平衡の計算に役立つように、少なくとも1回浸出させた後で評価できる。
先述の目的および関連の目的の達成に向けて、本発明は、下文に完全に記載されており、特に特許請求の範囲に示されている特徴を含む。下記の記述および付属の図面は、一定の例示的態様および本発明の実施について詳細に説明している。しかしながら、これらは、本発明の原理を用いることができる様々な方法のうちのいくつかのみを示している。本発明のその他の目的、利点、および新規の特徴は、図面と併用して考慮される場合、本発明の下記の詳細な記述から明白となる。
無傷の気体拡散層の電子顕微鏡写真を500倍の倍率で示す。 本発明の一態様に従う、膜電極集合体の粉砕に関するフローチャートを説明する。 本発明の一態様に従う、粉砕された触媒被覆膜集合体の膜電極集合体の電子顕微鏡写真を1000倍の倍率で示す。 本発明の別の態様に従う、粉砕された気体拡散電極集合体の膜電極集合体の電子顕微鏡写真を200倍の倍率で示す。 本発明の一態様に従う、膜電極集合体から貴金属を浸出させることに関するフローチャートを説明する。 本発明の別の態様に従う、膜電極集合体から貴金属を浸出させることに関するフローチャートを説明する。 本発明の一態様に従う、電極の膜電極集合体を粉砕するための装置を示す。 本発明の一態様に従う、粉砕された膜電極集合体の膜電極集合体から貴金属を再利用するためのシステムを示す。
本発明は、当該方法のいかなる段階においても、存在する膜電極集合体の種類を決定する必要性を全く伴わず、触媒被覆膜集合体および気体拡散電極集合体から、1つ以上の貴金属を回収および/または再利用するためのシステムおよび統合された方法を提供する。本方法も、下流工程として、当該重合体電解質膜から重合体を、および/または、当該電極触媒層からルテニウムを回収する機会を備える。機能的膜電極集合体は、一般的に、重合体電解質膜層、2つの気体拡散層、および2つの電極触媒層を含むいくつかの層を含むが、一方、本明細書で用いられる膜電極集合体という用語は、重合体電解質膜の両面に付着および/または接触した、少なくとも1つの電極触媒層を有する重合体電解質膜を指す。膜電極集合体は、少なくとも1つの気体拡散層および1つの電極触媒層を有する重合体電解質膜層を代わりに指すことができる。触媒被覆膜集合体および気体拡散電極集合体という用語は、触媒被覆膜電極の触媒層、および気体拡散電極の触媒層を有する膜電極集合体をそれぞれ指す。
燃焼再利用に代わる1つの利用可能な代替案は、当該電極触媒層の層間剥離と、その後の濾過であり、これは2005年4月20日に出願された米国特許出願整理番号第11/110,406号に記載されており、本明細書で参照することにより盛り込まれている。当該炭素繊維の気体拡散層は、貴金属を含む電極触媒層に接近するために、手作業または溶媒の層間剥離によって除去される。しかしながら、燃料電池の耐用年数を超えると、一部の貴金属が、当該電極触媒層から当該重合体電解質膜層に移動し、かつ/または、当該気体拡散層に付着する。貴金属の移動は、当該膜内にナノ結晶(約200nm未満)の形成をもたらす。貴金属を含むナノ結晶は回収不可能であるが、その理由は、それが濾過器の開口部より微細である場合、それが溶媒の層間剥離にて失われるからである。当該気体拡散層の除去は、そうでなければ再利用のために使用可能な燃料電池中に元々存在する一部の貴金属の即座の損失をもたらす。触媒被覆膜集合体が溶媒によって離層される場合、当該気体拡散層は除去され、当該電極触媒層は当該溶媒中に移動し、当該重合体電解質膜は乳化する。
その後、貴金属は濾過工程によって回収可能であるが、その理由は、当該結集された電極触媒層内の貴金属が当該溶媒中に溶解せず、微粒子および粗粒子中に存在するからである。しかしながら、当該積層された気体拡散電極集合体は部分的にのみ分離するため、溶媒による層間剥離は気体拡散電極集合体を使用する場合効果的ではない。当該重合体電解質膜は無傷の状態を保ち、当該電極触媒層は当該気体拡散層に強固に付着したままである。それ故、気体拡散電極集合体からの貴金属は、層間剥離および濾過によって回収可能ではない。
燃焼再利用に代わる別の代替案は、膜電極集合体からの熱によって支援された酸浸出であり、これは無傷の膜電極集合体を熱い王水中に含浸させて加熱することによって行われる。しかしながら、貴金属の回収は、当該無傷の膜電極集合体の電極触媒層中に浸出する酸の、結果として起こる一貫性のない浸透が原因で再現可能ではない。当該気体拡散層を離層することによってより高い一貫性を得ることができるが、上記で検討されたように、当該気体拡散層を気体拡散電極から溶媒によって離層することは非効率的である。そして、手作業の層間剥離は大きな労働力を要しかつ費用がかかり、それ故、手作業の層間剥離は好適ではない。
本明細書で開示されている方法は、酸浸出より前に、当該膜電極集合体を粉砕して均質な粉末にすることによって、膜電極集合体を離層する必要性を回避する。粉末にすり潰すことで、触媒被覆膜集合体または気体拡散電極集合体が再利用されているかどうかに関わらず、酸が当該電極触媒層内に含まれる貴金属に到達することが可能になる。膜電極集合体の両方の種類(触媒被覆膜集合体または気体拡散電極集合体)は、同時または別々に処理できる。当該方法は貴金属の回収方法を提供する一方、下流操作の間に、1)当該重合体電解質膜からの重合体、および、2)当該電極触媒層からのルテニウムの回収のための機会を備える。
通常は、繊維材料および重合体材料は十分に粉砕されない。しかしながら、当該気体拡散層および重合体電解質膜材料の両方の炭素繊維は、当該膜電極集合体が当該膜電極集合体を脆化するのに十分な冷凍温度まで適切に冷却された後に、衝撃式粉砕機を用いて、切断してサイズを大幅に縮小できる。図1を参照すると、無傷の気体拡散層の炭素繊維(スパゲッティのような物質)が、500倍の倍率の電子顕微鏡写真の中に映っている。当該炭素繊維に加えて、極小PTFEが当該炭素繊維上に含浸され、当該炭素繊維に付着しているより明るい色の塊として観測される。
本明細書で開示されている方法のさらなる利点は、全体のロットから貴金属を抽出することなく、多くの使用済みの触媒被覆膜集合体、および/または使用済みの気体拡散電極集合体の、全体の貴金属の値を評価する能力である。当該無傷の膜電極集合体の粉砕が均質な粉末をもたらすため、貴金属は全体のロットのごく一部から抽出でき、標準的な分析技術によって測定できる。当該全体の均質化したロットの貴金属の値は、当該均質化したロットの一部の貴金属の値が既知となった時点で、所定の計算方法を用いて計算できる。さらに、当該均質化したロットまたは混合物の一部を評価する能力も、回収された貴金属の収率を決定する際の質量平衡の計算に役に立つ。
図2を参照すると、本発明の一態様における膜電極集合体を粉砕するための方法200のフローチャートが示されている。工程202では、膜電極集合体の薄板は、均質化に役立つように随意にあらかじめ破砕される。工程204において、当該破砕された膜電極集合体は、約10分等の適切な期間に冷凍温度まで冷却される。
工程206における粉砕は、回分式の方法で行うことができる。当該あらかじめ冷却された膜電極集合体は工程206で、例えば、衝撃式粉砕機内で粉砕される。当該膜電極集合体は随意に再冷却でき、当該粉砕は十分な均質性を得るのに必要な回数だけ繰り返される。適切な衝撃式粉砕機としては、例えば、小規模の稼働においては、SPEX(登録商標)6850(SPEX CertiPrep社、メタチェン、ニュージャージー州)などが挙げられる。
代替の一実施形態では、当該粉砕は、冷凍温度を維持しながら連続的にすり潰すことによって実施できる。一実施形態では、工程204は、液体窒素等の冷凍液と接触させるような、当該膜電極集合体を連続的に冷却することによって冷凍温度を維持する能力を有する供給機中に、膜電極集合体を入れることによって行われる。適切な供給機としては、Cryo-Grind(登録商標)の供給機(Air Products社、アレンタウン、ペンシルベニア州)、およびPulva社(ペンシルベニア州サクソンバーグ)によって提供される極低温供給機が挙げられる。その後、当該冷却および脆化された膜電極集合体は、当該極低温供給機から脱出し、当該粉砕機を通る1回の通過において、均質化された粉末を形成する能力を有する高容量の衝撃式粉砕機の中に入る。適切な衝撃式粉砕機としては、Mikro Bantam(登録商標)の粉砕機(ホソカワミクロン株式会社、日本、大阪)などが挙げられる。別の実施形態では、膜電極集合体は脆化するまであらかじめ冷却され、高容量の衝撃式粉砕機の中に直接入れられる。
冷凍温度は、膜電極集合体を脆化するのに十分な温度である。一実施形態では、冷凍温度は約−75℃以下の温度である。別の実施形態では、冷凍温度は約−125℃以下の温度である。さらに別の実施形態では、冷凍温度は約−196℃以下の温度である。冷却は極低温冷却システムとの接触で達成でき、液体窒素、およびドライアイスなどを含む冷凍物質の使用を含み得る。
一実施形態では、粉砕された膜電極集合体の密度は、約25kgm−3から約2,500kgm−3である。別の実施形態では、粉砕された膜電極集合体の密度は、約50kgm−3から約1,500kgm−3である。さらに別の実施形態では、粉砕された膜電極集合体の密度は、約100kgm−3から約1,000kgm−3である。
当該粉砕された膜電極集合体は、その後の抽出を容易にするのに十分に小さいサイズまで圧壊される。一実施形態では、当該粉砕された膜電極集合体は、少なくとも約90重量%の、約250ミクロン以下の平均粒径を有する粒子を有する。別の実施形態では、当該粉砕された膜電極集合体は、少なくとも約90重量%の、約100ミクロン以下の平均粒径を有する粒子を有する。別の実施形態では、当該粉砕された膜電極集合体は、少なくとも約90重量%の、約50ミクロン以下の平均粒径を有する粒子を有する。
図3を参照すると、粉砕および均質化された触媒被覆膜集合体の電子顕微鏡写真が、1,000倍の倍率で示されている。図4を参照すると、粉砕および均質化された気体拡散電極集合体の電子顕微鏡写真が、200倍の倍率で示されている。当該気体拡散層からの炭素繊維は、小区画に分割され、当該膜電極集合体の異なる層からのその他の物質と相互分散されていると見ることができる。酸性溶液は、触媒被覆膜集合体および気体拡散電極集合体の両方に対して接近可能であり、粉砕された膜電極集合体の全ての貴金属を含有する成分に到達できる。
図5を参照すると、均質化された膜電極集合体からの貴金属の回収のための方法500のフローチャートが、本発明に従って示されている。工程502において、再資源業者は、使い古されたか使い尽された触媒被覆膜集合体、および/または気体拡散電極集合体の混合物を、使用済みの燃料電池から回収する。触媒被覆膜集合体と気体拡散電極集合体を区別する必要性は全くないが、その理由は、両方の種類の膜電極集合体を同時に混合し、首尾よく共処理できるからである。工程504では、当該膜電極集合体は、当該膜電極集合体の脆化をもたらす冷凍温度まで冷却される。その後、当該脆化された膜電極集合体は、方法200に従って、または、上記の高容量の衝撃式粉砕機の使用によって、粉砕および均質化される。
工程506では、第1の抽出物を生成するのに十分な期間に、第1の酸性溶液を当該粉砕された膜電極集合体と接触させることによって、貴金属は当該粉砕された膜電極集合体から浸出される。当該第1の酸性溶液は、少なくとも存在する貴金属の一部分を酸化すること、および、貴金属のイオン化合物である酸化された貴金属を可溶化することにおいて効果的な鉱酸および酸化剤を含む。一実施形態では、当該粉砕された膜電極集合体は、約1分から約10分の当該第1の酸性溶液との接触によって浸出される。別の実施形態では、当該粉砕された膜電極集合体は、約5分から約20分の時間の当該第1の酸性溶液との接触によって浸出される。さらに別の実施形態では、当該粉砕された膜電極集合体は、約15分から約60分の時間の当該第1の酸性溶液との接触によって浸出される。
鉱酸は無機酸である。鉱酸の例としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、および次亜塩素酸が挙げられる。一実施形態では、当該酸性溶液のうちの1つ以上は王水を含む。当該1つ以上の酸性溶液中における酸化剤の例としては、過酸化水素、硝酸(特に当該酸が塩酸である場合)、塩素、亜塩素酸ナトリウム、および亜塩素酸塩などが挙げられる。
当該粉砕された膜電極集合体、および第1の酸性溶液は、接触時間の間に随意に撹拌してもよい。別の実施形態では、当該粉砕された膜電極集合体は、設定期間に当該第1の酸性溶液と接触させることによって浸出されない。むしろ、工程507では、当該第1の抽出物および/または当該粉砕された膜電極集合体の貴金属の含有量は、適切な分析技術によって監視され、浸出工程506は、監視された貴金属の含有量が所定のレベルに到達する場合に終了する。
当該粉砕された膜電極集合体から貴金属を浸出させる進捗状況は、当該第1の抽出物、および/または、当該第1の抽出物との接触の後および/または最中に未だ均質である、当該膜電極集合体の残留物(当該抽出物が得られた後の、粉砕された膜電極集合体および第1の酸性溶液の混合物の残存部分である残留物)中の貴金属の量を測定することによって、工程507で監視できる。残留物の全体量の貴金属の値は、当該残留物の一部の貴金属の値が既知となる時点で、所定の計算方法を用いて計算される。
その後、収量百分率は、当該残留物中に残存している貴金属の総量を、当該第1の抽出物中にある貴金属の総量と比較することによって容易に計算できる。質量平衡を通じた、均質化されたロット、当該残留物、および第1の抽出物の貴金属の含有量の比較は、均質化することにおける粉砕工程の有効性を評価するための有用な手段である。
当該第1の抽出物は、当該粉砕された膜電極集合体の中に存在する貴金属の大部分を含み、当該膜電極集合体からの貴金属の首尾良い回収を表す。一実施形態では、少なくとも約70重量%の、当該粉砕された膜電極集合体の中に元々存在する貴金属が、当該抽出物中に含まれる。別の実施形態では、少なくとも約90重量%の、当該粉砕された膜電極集合体の中に元々存在する貴金属が、当該抽出物中に含まれる。さらに別の実施形態では、少なくとも約95重量%の、当該粉砕された膜電極集合体の中に元々存在する貴金属が、当該抽出物中に含まれる。
工程508では、貴金属は、当該分野で知られている方法を用いた電気メッキ技術または化学的還元技術によって、あらゆる貴金属を含有する溶液または抽出物から回収できる。
浸出工程506は、貴金属のさらに多くの収率を得るために繰り返すことができる。工程506を完了した後に残存している残留物は、第1の抽出物と同様の方法で処理できるさらなる抽出物を得る目的に応じて、第2の酸性溶液、第3の酸性溶液、およびその他(さらなる酸性溶液)のどの溶液とも接触させることができる。浸出工程506を繰り返すのに用いられる任意の酸性溶液も、鉱酸および酸化剤を含む。一実施形態では、当該第1の酸性溶液および任意のさらなる酸性溶液は、同一の組成物を有する。別の実施形態では、当該第1の酸性溶液および任意のさらなる酸性溶液は、異なる組成物を有する。一実施形態では、工程506は、工程506が行われる最初の回に加えて、約2回から約4回繰り返される。
当該第1の抽出物および任意のさらなる抽出物は、回収に値する高価な物質を含む。当該第1の抽出物および任意のさらなる抽出物のうちの1つ以上は、塩化白金酸、塩化白金酸塩、白金、白金塩、ルテニウム、およびルテニウム塩などのうちの1つ以上を含み得る。さらに、ルテニウム、および当該重合体電解質膜からの重合体材料等の高価な物質は、浸出した後の残留物の中に残存している。これらの物質は下流工程で回収できる。
工程506における当該粉砕された膜電極集合体の浸出は、随意の加熱によって助長できる。一実施形態では、浸出工程506は、約15℃から約210℃の温度で行われる。その他の一実施形態では、浸出工程506が、約25℃から約110℃の温度で行われる。さらに別の実施形態では、浸出工程506が、約50℃から約100℃の温度で行われる。一実施形態では、浸出工程506のうちの1つ以上は、約50℃から約210℃の封止されたPTFEの容器内で行われる。浸出工程506のための加熱は、伝熱手段、対流手段、またはマイクロ波場によって提供できる。
当該膜電極集合体を粉砕することによって、当該外部層、当該気体拡散層、または当該膜電極集合体の前除去は、もはや必要ではない。これは、非常に大きな労働力を要する当該膜電極集合体層の手作業の分離、または、触媒被覆膜集合体の中の電極触媒層を乳化し、安全性および環境への懸念の故に望ましくない、離層するための溶媒の使用の何れか一方を排除する。手作業および溶媒の層間剥離も、当該気体拡散層または当該重合体電解質膜上に残存している、幾分かの貴金属触媒の付随する損失を伴う。しかしながら、当該膜電極集合体の疎水性、炭素の黒鉛質に影響された特性、およびPTFEの存在の影響は、増加した表面積のために粉砕後に拡大される。
当該粉砕された膜電極集合体が酸と接触する場合、当該粉砕された膜電極集合体は、当該液体の表面上に残留する傾向がある。それ故、貴金属の増加した回収が、当該粉砕された膜電極集合体の試料を当該浸出酸と接触した状態を保つことによって実現できる。当該粉砕された膜電極集合体の湿潤は、界面活性剤および/または分散剤の使用によって促進できる。
界面活性剤および/または分散剤の一般的な例としては、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、および両性界面活性剤のうちの1つ以上が挙げられる。界面活性剤の特定の例としては、重合体カルボン酸の界面活性剤、およびリン酸エステルの界面活性剤のアルカリ金属塩が挙げられる。これらの界面活性剤は当該分野で知られており、これらの界面活性剤の多くが、McCutcheonの「Volume I: Emulsifiers and DetergentsおよびVolume II: Functional Materials, 2001, North American Edition, McCutcheon事業部より出版, Manufacturing Confectioner Publishing社,Glen Rock, N.J」に記載されており、これらはいくつかの界面活性剤について記載しており、この点において本開示のために参照することによって本明細書に盛り込まれている。一実施形態では、当該界面活性剤は、Tamol(登録商標)731A、ジイソブチレン/マレイン酸無水物の共重合体(Rohm and Haas社、フィラデルフィア、ペンシルベニア州)、およびリン酸エステルであるStrodex(登録商標)PK90(Dexter Chemical有限会社、ブロンクス、ニューヨーク州)のうちの1つ以上である。
図6を参照すると、本発明の態様に従う界面活性剤を用い、粉砕されて均質化された膜電極集合体からの貴金属の回収のための方法600のフローチャートが示されている。同種の工程は、方法500に関して上述した工程と類似している。工程502および504は、方法500と同一の方法で多くの膜電極集合体にて行われる。工程601では、1つ以上の界面活性剤が当該粉砕された膜電極集合体に添加される。一実施形態では、当該粉砕された膜電極集合体は、1つ以上の界面活性剤の水分散液と混合される。別の実施形態では、当該粉砕された膜電極集合体は、塩酸および1つ以上の界面活性剤を含む液体と混合される。さらに別の実施形態では、1つ以上の界面活性剤が当該粉砕された膜電極集合体に添加され、水を含む液体はその後、粉砕された膜電極集合体および界面活性剤の混合物に添加される。さらなる一実施形態では、当該粉砕された膜電極集合体は、1つ以上の界面活性剤の水分散液と混合されて糊状の物質を生成し、水および水性溶液が、湿潤した固体として当該糊状の物質を分散させるために、当該糊状の物質に添加される。
随意の工程602では、粉砕された膜電極集合体および界面活性剤の混合物中に存在する水の量は、濃縮HClを添加し、粉砕された膜電極集合体、界面活性剤、および濃縮HClの混合物を蒸発させることによって減らされる。別の実施形態では、粉砕された膜電極集合体および界面活性剤の混合物中に存在する水の量は、当該粉砕された膜電極集合体および界面活性剤の混合物をカラムに入れ、濃縮HClを当該カラムに通過させることによって減らされる。
界面活性剤の添加の後、粉砕された膜電極集合体および界面活性剤の混合物は、方法500における通り、工程506および508と同一の方法で処理され、随意に工程507に従って監視される。
本明細書に記載されている方法は、回分方式または連続方式で実施できる。例えば、本明細書に記載されている方法は、当該粉砕された膜電極集合体を洗浄剤、および必要に応じてその他の試薬と混合し、加熱できるカラムを設置することによってある程度実施できる。水性溶液または酸性溶液は、当該カラムを充填するのに役に立つようにするか、または必要に応じて排水するかの何れかのために、当該カラムを通じて汲み上げることができる。その後、当該浸出酸は、当該カラムを通して汲み上げることができ、貴金属の含有物のために当該流出物を測定でき、当該流出物の貴金属の含有量が所定のレベル未満に下がる時点で、流れを止めることができる。その後、当該流出物は、本明細書で開示されている方法に従ってさらに処理できる。
別の例では、本明細書で記載されている方法は、当該粉砕された膜電極集合体を洗浄剤、および必要に応じてその他の試薬と混合し、加熱された反応炉内に入れることによってある程度実施できる。酸浸出および抽出工程が行われた後、当該混合物は中空繊維濾過装置に通される。当該中空繊維濾過装置を通過する混合物の一部を、貴金属の含有物のために随意に監視でき、貴金属を含まない任意の部分を廃棄できる。湿潤した固体は、本明細書で開示されている方法に従って、燃焼および後の一連の酸浸出を行うことができる反応炉に戻される。
方法500および600にて具現されている方法は、工業規模で実施できる。図7は、本明細書で開示されている連続的なすり潰しを伴う方法200に従う、膜電極集合体(図8でMEAと表現されている)の大規模な粉砕のための装置を説明している。膜電極集合体は漏斗状容器701内に導入される。粉砕は、当該破砕された膜電極集合体を、液体窒素または別の冷凍液と接触させるスクリュー供給機705に通すより前に、シュレッダー703に当該集合体を通過させることによって補助できる。最終的に、当該破砕および冷却された膜電極集合体は、高容量の粉砕機707、および当該ロットの均質性を促進する混合タンク709に通される。本明細書で開示されている方法に従って、少量の試料を当該均質なロットから取り出し、貴金属の含有量に関して評価できる。全体のシステムは、重力が質量移動に役立つように設計できる。当該粉砕された膜電極集合体は、さらなる処理の前に貯蔵庫に保管することができる。
図8は、方法500および700のうちの何れか一方または両方にて例示された、貴金属の再利用を行うための自動化システム800を説明している。粉砕された膜電極集合体は、混合タンク802に入れられる。方法600の工程601に従う界面活性剤の添加は、混合タンク802内で随意に行われる。工程505または601に関して本明細書で検討された試薬の任意の添加は、現時点で適切な添加順序にて添加される。一実施形態では、界面活性剤がライン803を通じてタンク809から添加され、界面活性剤および粉砕された膜電極集合体の融和混合物を生成する。
一実施形態では、粉砕された膜電極集合体は連続的速度でタンク802に添加され、当該融和混合物は、粉砕された膜電極集合体の添加速度、ならびに、混合タンク802への試薬および随意にその他の物質の添加速度の合計に等しい充填速度で除去される。一実施形態では、水溶性界面活性剤と混合した、1時間当たり約25kgから250kg(1時間当たり0.25m)の粉砕された膜電極集合体が、混合タンク802から除去される。
システム800は、2つの浸出タンク810および812を有する。浸出タンク810および812は、腐食性酸に対して不活性であるようにガラスまたはPTFEで裏打ちされ、加熱コイルまたはマイクロ波源等の、当該タンクの内容物を加熱する手段を有する。さらに、用いられる全てのバルブおよびラインは、腐食性酸に対して同様に耐久性があり得る。粉砕された集合体および随意の界面活性剤の混合物は、充填速度でライン806を通じて浸出タンク810内へ汲み上げられる。随意に、当該混合物は、浸出タンク810に到達する前に、濃縮HCl(約37%のHCl)、または、少なくとも約25%のHCl等の準濃縮HClと水を交換する交換器(図示せず)を通じて汲み上げられる。浸出タンク810は、本明細書で開示されている工程506に従う抽出タンク810の中で、当該粉砕された膜電極集合体が十分な平均滞留時間を有するような体積を有する。
本明細書で開示されている方法に従って、貴金属の浸出に有用な試薬は、試薬タンク814,816,818,および819内に貯蔵される。有用な試薬としては、濃縮HCl、硝酸、過酸化水素、塩素ガス、および準濃縮試薬が挙げられる。本明細書で開示されている工程506に従う試薬は、第2の速度で当該試薬タンクから浸出タンク810へ添加される。浸出タンク810内で一定の体積を維持するために、浸出タンク810に添加された全ての物質の速度の合計と同等の第3の速度で、浸出タンク810から物質が除去される。浸出タンク810の全容積に加え、当該第3の速度および充填速度の大きさは、粉砕された膜電極集合体の粒子が浸出タンク810内に残留する平均時間を決定し、それ故、当該第3の速度、充填速度、および浸出タンク810の全容積の値は、注意深く選択される。一実施形態では、当該第3の速度は約1m/時から約25m/時である。
浸出タンク810は、約25℃から約210℃等の所望の温度まで加熱される。加熱の際に、浸出タンク810は、当該添加された試薬からの蒸気が原因で、環境気圧超過まで加圧することを許可できる。随意に、抽出タンク810は、外部タンクによって供給される気体によって加圧できる。一実施形態では、抽出タンク810は約1.1気圧から約10気圧まで加圧される。
当該試薬および/または当該浸出工程から放出された煙霧は、ライン830によって処理部832へ輸送され、当該煙霧の含有物に応じた既知の手順に従って、操作/排出/処理される。処理部832からの蒸気生成物は洗浄機860へ通される。随意に、洗浄機860からの蒸気生成物は第2処理部862へ通され、その後洗浄機860へ戻される。
抽出タンク810から、固体/液体の分離器および/またはデカンター部840へ、物質が第3の速度で移される。固体/液体の分離器840は、抽出タンク810からの物質を、第1の抽出物および固体残留物に分離する。第1の浸出タンク810からの固体残留物は、ライン842を通じて第2の浸出タンク812へ移される。浸出した貴金属を含む第1の抽出物は、ライン848を通じて回収部846へ移される。回収部846は、酸性を除去すること、および、貴金属イオンを元素金属まで還元することのうちの1つ以上の操作を行うことができる。回収部846から揮散した蒸気は、処理部832と同様の操作方法で処理部847によって処理される。
第2の浸出は、タンク810と同様の方法でタンク812内にて起こる。本明細書で開示されている方法に従う当該浸出に有用な試薬は、試薬タンク814,816,818,および819内に貯蔵される。固体/液体の分離器840からの固体物質は、第4の速度でタンク812へ移され、本明細書で開示されている工程506に従う試薬は、第5の速度で浸出タンク812へ添加される。浸出タンク812内で一定の体積を維持するために、第4の速度および第5の速度の合計と同等の第6の速度で、浸出タンク812から物質が取り出される。浸出タンク812の全容積に加え、当該第4の速度および第5の速度の大きさは、粉砕された膜電極集合体の粒子が浸出タンク812内に残留する平均時間を決定する。それ故、当該第4の速度、第5の速度、および浸出タンク812の全容積の値は、注意深く選択される。浸出タンク812も、浸出タンク810と同一の方式で、加熱する手段、および気体で加圧する手段を有する。浸出タンク810と同一の方式で、気体はライン844を通じて処理部832に通風される。
浸出タンク812からの物質は、第6の速度でライン849を通じて、第2の固体/液体の分離器および/または圧濾器850へ移される。固体残留物は分離器850を離れ、廃棄物として廃棄され、または、重合体成分およびルテニウムを含むさらなる物質を回収するために下流工程で処理される。第2の浸出タンク812からの抽出物は、ライン852を通じて固体/液体の分離器850を離れ、第1の浸出タンク810へ戻され、第2のタンク812からの抽出物は、第7の速度で固体/液体の分離器850から浸出タンク810へ移される。一実施形態では、当該第7の速度は約1m/時から約25m/時である。第2の浸出タンク812からの抽出物は、貴金属の含有率が比較的低く、それ故、当該第2の抽出物からの、直接の貴金属の回収は経済的であり得ない。当該浸出工程の開始部に当該第2の抽出物を移すことで、回収される第2の抽出物中にて貴金属を得ることができる。
システム800を通じた物質移動の速度の適切な制御は、本明細書にて開示されている方法の首尾良い実施のための要素である。装置800は、物質を制御し、移動速度が適切な範囲内にあることを保証するのに用いることができる、当該様々なバルブ(図8で表現されている通り)およびポンプを制御できる制御装置および処理装置によって制御される。さらに、タンク810および/または812を抜け出す固体物質および液体物質の貴金属の含有量は、本明細書で開示されている技術を用いて定期的に監視できる。当該様々な移動速度は、貴金属の浸出の効率に基づいて、浸出タンク810および812内で必要に応じ、当該粉砕された膜電極集合体材料の平均滞留時間を増加または減少させるように調節できる。
浸出タンク810を抜け出す物質の第3の速度は、浸出タンク810に入る物質の速度とほぼ同等である。つまり、当該第3の速度は、当該充填速度(混合タンク802を離れる物質)、当該第2の速度(添加された試薬)、および当該第7の速度(固体/液体の分離器850から浸出タンク810へ戻された抽出物)の合計とほぼ同等である。当該充填速度、第2の速度、および第7の速度は、当該制御装置によって適宜変化させることができるが、粉砕された電極膜集合体材料が、十分な平均滞留時間の間浸出タンク810内に残存し、当該装置が申し分のない処理量速度、および、浸出タンク810内で粉砕された膜電極集合体材料に対する試薬の適切な比率を維持するという限定を伴う。一実施形態では、浸出タンク810内の混合物は約2%から約40%の固体である。別の実施形態では、浸出タンク810内の混合物は約5%から約25%の固体である。ライン852を通じて浸出タンク810内に添加されている浸出タンク812からの抽出物は、当該第7の速度を制御するために必要である場合、一時的に貯蔵するか(図示せず)、または廃棄すること(図示せず)ができる。
同様に、浸出タンク812を抜け出す物質の第6の速度は、タンク812に入る物質の速度とほぼ同等である。つまり、当該第6の速度は、当該第4の速度(タンク812に入る固体残留物)、および当該第5の速度(タンク812に入る試薬)の合計とほぼ同等である。当該固体残留物が浸出タンク812中に十分な平均共鳴時間の間残存し、当該装置が申し分のない処理量速度、および、浸出タンク810内で固体物質に対する液体の適切な比率を維持する場合、当該速度を調節できる。一実施形態では、浸出タンク812内の混合物は約1%から約40%の固体である。別の実施形態では、浸出タンク812内の混合物は約5%から約25%の固体である。
当該第3の速度は、第1の浸出タンク810内における固体物質に対する液体の比率に依存する第4の速度と相関している。しかしながら、第2の浸出タンク812からの排出における第6の速度は広範囲の値を有するが、その理由は、タンク812からの排出が、必要である場合、一時的に貯蔵するか完全に廃棄することができるからである。当該第7の速度に寄与する抽出物の任意の損失は、浸出タンク810に添加される追加の試薬によって補填できるが、可能な限りの抽出物をライン852内へむけると、得られる貴金属の収量が増加する。浸出タンク810および812内で十分な処理量および適切な体積を維持する一方で、当該制御装置は、様々な速度の大きさを計算し、貴金属の回収量を最大化するようにプログラムできる。
下記の実施例は本発明を説明する。下記の実施例、ならびに、本明細書および特許請求の範囲における他の箇所に別段の指示がなければ、全ての部分および百分率は重量により、全ての温度は摂氏温度であり、圧力は大気圧またはそれに近いものである。
10gの触媒被覆膜集合体または気体拡散電極集合体を、回分式の粉砕を用いた方法200に従って粉砕し、混合するために1時間ローラー上に載せた。0.5gの各粉砕された膜電極集合体材料を、再現性を評価するために全く同一に2回処理した。各0.5gの試料は、浸出酸としての過酸化水素を伴う王水または濃縮HClの何れか一方を用いて、それと接触させ、封止されたPTFE瓶中でマイクロ波場にて30分200℃で加熱するか、またはガラスビーカー内にて20分100℃で加熱して、試料を浸出させた。その後、得られた第1の抽出物を濾過し、当該濾過物を蒸発させて硝酸塩を除去し、その後濃縮HCl中で再構成した。当該濾過工程の後に濾過器内に残存していた残留物を空気下において500℃で発火させ、その後、第1の浸出工程と同一の方式で浸出酸と当該灰を接触させた。その後、当該残留物からの抽出物を蒸発させ、HCl中で再構成して第2の留分を生成した。白金含有量に関して両方の留分を分析し、そこで当該残留物の貴金属の含有量を質量平衡の計算に用い、その他の貴金属に関しては評価しなかった。触媒被覆膜集合体材料および気体拡散電極集合体材料を用いた稼働に関する相対標準偏差(RSD)は、それぞれ0.2%および0.6%であった。各加熱方法および用いた酸において、粉砕された膜電極集合体の第1の抽出から回収した白金の収率を、表1にまとめる。
表1は、申し分のない収率が、マイクロ波による加熱を用いて得ることができることを示す。しかしながら、マイクロ波場内のPTFE容器の加熱は、当該PTFE容器の内壁に粘着する炭素が原因で、当該容器の内壁に損傷をもたらし得る。炭素はマイクロ波の吸収体であり、当該容器の内壁上の炭素はPTFEを過熱する。
0.5gの30%(w/w)の水分散液のTamol(登録商標)731Aを、0.5gの粉砕された触媒被覆膜集合体に添加し、15%(w/w)のTamol(登録商標)731Aを有する糊状の物質を形成した。その後、水を添加した。当該糊状の物質を分散させ、当該固体を湿潤させて分散した状態にしておいたが、当該粒子はいくらかの造粒度を有した。濃縮HClを添加し、5mLが残るまで当該混合物を蒸発させ、当該分散は濃縮HClの添加によって安定していた。その後王水を添加し、実施例1に従って、貴金属の回収のために当該残留物を浸出および発火させ、質量平衡を計算する通常の手順を、浸出酸として王水を用い、100℃でガラスビーカー内にて加熱して行った。
0.5gの30%(w/w)の水分散液のTamol(登録商標)731Aを、0.5gの粉砕された触媒被覆膜集合体に添加し、15%(w/w)のTamol(登録商標)731Aを有する糊状の物質を形成した。濃縮HClを当該混合物に添加し、当該糊状の物質を塊のようなタールに凝固させた。その後王水を添加し、実施例1に従って、貴金属の回収のために当該残留物を浸出および発火させ、質量平衡を計算する通常の手順を、浸出酸として王水を用い、100℃でガラスビーカー内にて加熱して行った。
Tamol(登録商標)731Aを濃縮HClに添加し、界面活性剤および濃縮HClの1.5%(w/w)の混合物を形成した。当該濃縮HClに添加した時、Tamol(登録商標)731Aは凝集した。その後、1.5%(w/w)の界面活性剤/濃縮HClの混合物を、0.5gの粉砕された気体拡散電極集合体に添加した。当該酸性化された界面活性剤に添加した後、当該粉砕された膜電極集合体は不十分に分散した。その後王水を添加し、実施例1に従って、貴金属の回収のために当該残留物を浸出および発火させ、質量平衡を計算する通常の手順を、浸出酸として王水を用い、100℃でガラスビーカー内にて加熱して行った。
0.5gのTamol(登録商標)731Aを、0.5gの粉砕された触媒被覆膜集合体または気体拡散電極集合体の中に混合し、15%(w/w)の混合物を形成した。その後、10mLの水を添加した。当該粉末を十分に湿潤して粒状にし、その後、当該混合物を部分的に蒸発させた。その後王水を添加し、実施例1に従って、貴金属の回収のために当該残留物を浸出および発火させ、質量平衡を計算する通常の手順を、浸出酸として王水を用い、100℃でガラスビーカー内にて加熱して行った。
実施例2〜5から回収した収量を、表2にまとめる。
表2に示されているデータは、試薬の添加の順序が、特に触媒被覆膜集合体を用いる場合、高い白金の収率を得るために非常に重要であるということを示す。界面活性剤の使用も、封止された容器の抽出を用いる場合、当該PTFE容器の寿命に有益である。当該粉砕された膜電極集合体の湿潤性を増加させるだけでなく、PTFE容器の内壁に付着する炭素の影響力は緩和されるが、その理由は、当該湿潤し粉砕された膜電極集合体が当該液相中で分散した状態を保ち、それによって当該容器壁の過熱を低減するからである。
所定の特性に対する任意の図または数値範囲に関して、図または1つの範囲からのパラメータは、別の図または同一の特性に対する異なる範囲からのパラメータを組み合わせて数値範囲を生成できる。
本発明は特定の実施形態に関して説明されているが、その様々な修正は、本明細書を一読することにより当業者にとって明白となるということを理解されたい。それ故、本明細書で開示されている発明は、添付の特許請求の範囲内に含まれるような修正を含めることを目的とすることを理解されたい。

Claims (25)

  1. 膜電極集合体を約−75℃以下の温度まで冷却し、前記膜電極集合体を脆化させる工程と、
    前記脆化した膜電極集合体を粉砕する工程と、
    前記粉砕された膜電極集合体を、鉱酸および酸化剤を含む酸性溶液と接触させ、抽出物および残留物を生じさせる工程と、
    前記抽出物から貴金属を回収する工程と、
    を含む、燃料電池から貴金属を回収する方法。
  2. 界面活性剤を前記粉砕された膜電極集合体と接触させる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 続いて、1種以上の界面活性剤を含む水分散液を前記粉砕された膜電極集合体に添加し、得られたペーストを湿潤した固体として分散させるために水含有溶液を添加する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記界面活性剤が、カルボン酸アルカリ金属塩重合体の界面活性剤、およびリン酸エステルの界面活性剤の群から選択される1種以上の界面活性剤を含む、請求項2に記載の方法。
  5. 前記界面活性剤が、カルボン酸アルカリ金属塩重合体の界面活性剤、およびリン酸エステルの界面活性剤の群から選択される1種以上の界面活性剤を含む、請求項3に記載の方法。
  6. 前記鉱酸が、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、および次亜塩素酸の群から選択される1種以上を含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記酸化剤が、硝酸、過酸化水素、塩素ガス、亜塩素酸ナトリウム、および亜塩素酸塩の群から選択される1種以上を含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記残留物を鉱酸および酸化剤を含む別の酸性溶液と接触させて貴金属を浸出させ、第2の抽出物を生じさせる工程と、前記抽出物および前記第2の抽出物のうちの1つ以上の中にある貴金属の量を監視する工程と、前記監視された貴金属の量が所定量に到達した時、前記粉砕された膜電極集合体および前記残留物のうちの1つ以上の浸出を任意に終了させる工程とをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記膜電極集合体が、触媒被覆膜集合体および気体拡散電極集合体の群から選択される1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記酸性溶液が、王水、ならびに、塩酸および過酸化水素の混合物の群から選択される1種以上を含む、請求項1に記載の方法。
  11. 前記抽出物が、白金、白金塩、塩化白金酸、塩化白金酸塩、ルテニウム、およびルテニウム塩の群から選択される1種以上を含む、請求項1に記載の方法。
  12. 第1の浸出タンクおよび第2の浸出タンクと、
    粉砕された膜電極集合体を前記第1のタンクに供給するための構成要素と、
    試薬を前記第1のタンクおよび第2のタンクに供給するための構成要素と、
    前記第1の浸出タンクを出た物質を、固体残留物および第1の抽出物に分離するための構成要素と、
    前記第2の浸出タンクを出た物質を、固体残留物および第2の抽出物に分離するための構成要素と、
    固体残留物を前記第1の浸出タンクから前記第2の浸出タンクへ輸送するための構成要素と、
    前記第1の抽出物および第2の抽出物のうちの1つ以上の抽出物から貴金属を回収するための構成要素と、
    粉砕された電極材料および固体残留物の1つ以上が、貴金属を抽出するのに十分な平均滞留時間で前記第1の浸出タンクおよび第2の浸出タンクの何れかの中に残存し、満足な処理量速度が維持され、そして固体の粉砕された膜電極集合体および固体残留物のうちの1つ以上のものに対する試薬の適切な比率が維持されるように、前記第1の浸出タンクおよび第2の浸出タンクを出入りする、試薬、粉砕された膜電極集合体、抽出物、および固体残留物の量を制御するための制御装置と、
    を含む、燃料電池から貴金属を連続抽出するためのシステム。
  13. 前記第1の浸出タンクおよび第2の浸出タンクが、マイクロ波コイルおよび加熱コイルのうちの1つ以上をさらに含む、請求項12に記載のシステム。
  14. 前記膜電極集合体が、触媒被覆膜集合体および気体拡散電極集合体の群から選択される1つ以上を含む、請求項12に記載のシステム。
  15. 前記試薬が、界面活性剤、王水、塩酸、硝酸、過酸化水素、塩素ガス、硫酸、リン酸、次亜塩素酸、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸塩、および水の群から選択される1種以上の試薬を含む、請求項12に記載のシステム。
  16. 当該試薬が、少なくとも1種の鉱酸および少なくとも1種の酸化剤を含む、請求項12に記載のシステム。
  17. 前記鉱酸が、塩酸、硫酸、リン酸、および次亜塩素酸の群から選択される1種以上を含む、請求項16に記載のシステム。
  18. 前記酸化剤が、過酸化水素、硝酸、塩素ガス、亜塩素酸ナトリウム、および亜塩素酸塩の群から選択される1種以上を含む、請求項16に記載のシステム。
  19. 前記界面活性剤が、カルボン酸アルカリ金属塩重合体の前記界面活性剤、およびリン酸エステルの界面活性剤の群から選択される1種以上を含む、請求項15に記載のシステム。
  20. 前記貴金属が、白金およびルテニウムの群から選択される1種以上を含む、請求項12に記載のシステム。
  21. 膜電極集合体を約−75℃以下の温度まで冷却する工程と、
    前記膜電極集合体を粉砕する工程と、
    前記粉砕された膜電極集合体を、鉱酸および酸化剤を含む酸性溶液と接触させ、貴金属を含む抽出物を生じさせる工程と、
    前記抽出物から貴金属を回収する工程と、
    を含む、燃料電池から貴金属を回収する方法。
  22. さらに界面活性剤を前記粉砕された膜電極集合体と接触させる工程を含む、請求項21に記載の方法。
  23. 膜電極集合体を約−125℃以下の温度まで冷却する工程を含む、請求項21に記載の方法。
  24. 前記粉砕された膜電極集合体が約25kgm−3から約2,500kgm−3の密度を有し、前記粉砕された膜電極集合体が約250ミクロン以下の平均粒径を有する、請求項21に記載の方法。
  25. 少なくとも約70重量%の貴金属が前記燃料電池から回収する、請求項21に記載の方法。
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