JP3557685B2 - 白金族含有鉄合金からの白金族元素の分離回収方法。 - Google Patents

白金族含有鉄合金からの白金族元素の分離回収方法。 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は自動車の排ガスの浄化等に使用される白金系触媒の廃棄物から白金族、主に白金、パラジウム、ロジウムを分離精製する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
白金族系触媒の廃棄物(以下、「廃触媒」と示す。)から白金族を回収する方法は廃触媒をそのまま、あるいは銅、鉄などの金属と共に還元溶解し、白金含有合金を生成させ、得た合金を溶解し、得た溶解液より回収する方法が知られている。この方法では、回収対象となる白金族が微量であるにもかかわらず、溶解対象となる物量が多くなり、結果的に白金族の実収率も低くなり経済的に不利となる。
【0003】
また、白金族を上記と同様に合金とするものの、得られた合金を酸化浸出あるいは電気的に陽極酸化して溶解し、一旦、白金族を残渣あるいはスライムとして濃縮し、このスライムを処理して回収する方法も知られている。この方法では、合金を陽極酸化する場合、通電できる電流に限界があるため、その処理速度が遅く、大おきな設備が必要とされる。加えて、回収までに長時間が必要とされるため、高価な白金族の多量の仕掛りを持つことが強いられる。よって、この方法も経済的に有利な方法とは言えない。
【0004】
また、白金族を含有する合金を塩素等の酸化剤を用いて浸出し、白金族をクロロ錯体として溶液中に溶解することにより、収率を向上させる方法も検討はされているが、その処理速度が遅いことが大きな問題となっている。
【0005】
このようにして得られた白金、パラジウム、ロジウム等の数種類の白金族を含む溶液からそれぞれの金属を分離回収するための一般的方法は溶媒抽出法である。しかしながら廃触媒を原料として上記のようにして得られる溶液には、多種多様の不純物が存在する。このため、溶媒抽出法により白金族金属を分離しようとすると、不純物がそれぞれの白金族元素と挙動を同一にし、逆に不純物をそれぞれの白金族元素に分配させてしまう結果を招く。
【0006】
通常これらの不純物は、白金族の最終精製工程として採用される古典的な結晶化法でしか除去することができず、結晶化の繰り返しによる実収率の低下、繰り返し物の増加による白金族の仕掛り量の増大等、経済的に大きな問題を含んでいる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記状況に鑑みなされたものであり、廃触媒を還元溶解して得た白金族含有合金より効率よく、かつ安価に各白金族元素を分離回収する技術の提供を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の方法は、廃触媒を還元溶解して得られた白金族含有鉄合金を粉砕した後、塩素により浸出する塩素浸出工程と、塩素浸出工程より得られた浸出液に、金属を還元剤として用いて溶液中の白金族イオンを還元して白金族濃縮物として回収する還元PGM回収工程と、還元PGM回収工程より得られた白金族濃縮物を塩酸と酸化剤とを用いて溶解するPGM再溶解工程と、PGM再溶解工程より得られた塩酸性白金族溶液を中和して、この溶液中に共存する白金族元素以外の金属を澱物として分離除去する不純物中和除去工程と、不純物中和除去工程より得られた白金族溶液から、この溶液とジヘキシルスルファイド系有機抽出剤とを接触させ、パラジウムを抽出分離するPd分離工程と、Pd分離工程より得られたPd回収終液とカルボン酸系有機溶媒とを接触させてPd回収終液中の白金、ロジウム以外の金属を抽出分離する微量不純物除去工程と、微量不純物除去工程より得られた白金・ロジウム溶液とトリブチルフォスフェート系有機溶媒とを接触させて白金をロジウムより抽出分離するPt分離工程とから構成され、更には白金回収終液にアルカリを添加し、ロジウムを水酸化ロジウムとして回収するRh回収工程を含むものである。
【0009】
そして、各工程がそれぞれ以下の特徴を持つものである。
【0010】
塩素浸出工程が、pH1以下で行われ、鉄イオン濃度が少なくとも15g/lの溶液と、粒径が直径45μm以下の部分が少なくとも45%に粉砕した白金族金属含有鉄合金粉とを、該溶液1l当たり150〜250g、好ましくは200〜250gの割合で混合するものであること。そして、好ましくは溶解終了後に硝酸を添加し、3時間以上放置するものである。
【0011】
還元PGM回収工程に用いる還元剤として、金属、金属粉、好ましくは鉄粉などの塩酸に可溶な金属粉とすること
【0012】
PGM再溶解工程が、90℃以上の反応温度であり、スラリー濃度200〜400g/lで、かつ溶解終了時の溶液中の銅イオン濃度を20〜30g/l、塩素イオン濃度を9モル/l以上となるようにするものであり、この再溶解工程に用いる酸化剤として、塩素、過酸化水素、酸素、空気などの少なくとも1種、好ましくは塩素を用いるものであること。
【0013】
不純物中和除去工程が、pHを2.8〜3.3とするものであり、より好ましくは抜気などにより過剰の酸化剤を除去した後pHを調整するものであること。
【0014】
Pd分離工程が20〜40℃で行われ、好ましくはpH1以下の塩酸性溶液とした後ジヘキシルスルファイド系有機溶液と接触させるものであること。
【0015】
微量不純物除去工程が、水相のpHが5.9〜6.0とするものであること。
【0016】
Pt分離工程が、水相中の塩素イオン濃度を4〜5モル/lとした後トリブチルフォスフェート系有機溶媒と接触させるものであること。
【0017】
Rh回収工程が、反応温度90℃以上、pH9以上とするものであること。
【0018】
また、このよう方法により分離されたPd含有有機溶液よりPdを回収するに際しては、Pd含有有機溶液とアンモニア水とを接触させ、Pdを水相に逆抽出し、その後この水相より例えば還元法、あるいは沈澱法等の常法によりPdを金属粉や塩として回収する。
【0019】
そして、Ptを回収するに際しては、Pt含有溶液と温水とを接触させ、Ptを水相に逆抽出し、その後この水相より例えば還元法、あるいは沈澱法等の常法によりPtを金属粉や塩として回収する。
【0020】
【作用】
白金族を含有する鉄合金を塩素浸出する場合、その経済性から考えれば、反応時間が短くコンパクトな設備で大量の合金を処理でき、かつ使用する塩素の利用効率が高いことが必要条件となる。このため本発明では白金族含有合金を−45μm粒度が45%以上含まれるように粉砕し、その反応面積を確保することにより白金族の浸出率を99%以上確保するものである。
【0021】
また、白金族含有鉄合金粉を塩素と反応させる時、反応初期の段階から鉄イオンが15g/l以上存在すれば、塩素ガスを用いた溶解反応においてFe2+/Fe3+の酸化還元反応がエレクトロンキャリャーとして働く。
【0022】
しかしながら、合金粉をスラリー化する時、溶液のpHを1.0以下に保持しておかないと、鉄イオンを添加しても鉄の沈殿が生成し、塩素ガスと反応せずエレクトロンキャリャーとしての働きをしない。鉄のFe2+/Fe3+がエレクトロンキャリャーとして働く原理は Fe3+が鉄合金中の鉄またはニッケル、クロム、リン および白金族を酸化溶解し、生成したFe2+が塩素ガスによりFe3+に酸化され、再び酸化剤として働くことによる。一般に塩素によるFe2+の酸化速度は非常に速く、また反応界面が十分に粉砕により確保された金属のFe3+による酸化溶解反応も速い。
【0023】
すなわち、塩素のロスの多い気固反応を鉄イオンの存在により、反応系を気液反応、液固反応に2分割し、塩素ロスの少ない反応系に変えることができる。
【0024】
一方、鉄合金中に含有されるリンはリン化物の形態で含有され、リン1モルの酸化溶解に対して、H を8モル生成する。そしてこれらの酸は合金中の比較的溶解し易い元素を溶解するため有効に使用されている。それ故にスラリー濃度を上昇させて、生成されるH の濃度を上昇させることも効率的な浸出反応を提供することになる。
【0025】
また、後段の工程でロジウムをヘキサクロロロジウム錯塩として完全に錯化するには、浸出液の塩素イオン濃度を高く保持することが望ましい。更に、スラリー濃度を上昇させて浸出液中のトータル塩素イオン濃度を上昇させれば、塩化第一銅の還元電位を低下させることができる。これにより後工程で白金族を還元する際に銅が塩化第一銅として析出することを防止することができ、その結果、白金族濃縮物中の不純物濃度を低くできる。このため鉄合金粉のスラリー濃度は150g/l以上、好ましくは200g/l以上にすることが望ましい。
【0026】
スラリー濃度を高くした場合、反応系で塩化第一鉄結晶が析出したり、リン酸クロムが析出したりし、溶解後の固液分離においていくつかの問題を生じる場合がある。この場合、溶液のpHを0以下とし、温水にて洗浄することにより、これらの析出物を溶解することが可能である。
【0027】
しかしながら、初期のスラリー濃度を250g/lを超える濃度で調整した場合、リン酸塩の析出量がさらに増大する。この場合、白金族濃縮物生成後の固液分離に支障を来さないためには溶液中の酸濃度をさらに高くする必要があり、白金族自身の再溶解も招く恐れがある。またスラリー輸送の面からも過度にスラリー濃度を上昇させることは好ましくなく、上記の理由も含めて初期のスラリー濃度は150〜250g/l好ましくは200〜250g/lが適切である。
【0028】
反応温度についてはこの塩素による浸出反応が発熱反応であるため、特に加熱は必要ないが、反応をより円滑に進めるためには、初期の液温を60℃程度にすればよい。
【0029】
以上の条件で浸出を行った場合、通常白金、パラジウムが99%以上、ロジウムが98%以上浸出されるが、更に浸出率を向上させるには、高温にて硝酸を添加して3時間以上保持すればよい。硝酸の作用については不明な点も多いが、結果として、ロジウムの浸出率を99%以上とし、更に溶解したロジウムを完全にヘキサクロロロジウムの塩化錯体とし、次の還元PGM回収工程でロジウムの還元率を向上させ、最終収率を向上させる。
【0030】
白金族が溶出した溶液に還元剤を添加し、白金族元素を選択的に金属として析出させるためには、白金族元素を還元する能力がある還元剤であれば支障はない。しかし、その取扱い、選択性、後行程での浄液などを考慮すると鉄粉が好ましい。
【0031】
還元剤を添加するに伴い系の酸化還元電位は低下する。酸化還元電位が0〜100mv(Ag/AgCl)程度の電位まで還元剤を添加すると、溶液中の白金、パラジウム濃度は共に1mg/l以下となり、白金族のロスを防止できる。一方、系の酸化還元電位を−100mvを超えて低くすると他の不純物元素の析出も引き起こし、白金族濃縮物の白金族品位を低下させることになる。加えて、還元剤として鉄粉を用いた場合には、添加量の増加に対する電位の応答性が悪化し、過剰の鉄を添加しなければならなくなる。
【0032】
したがって、本発明で見つけ出された電位の範囲、−100〜+100mv好ましくは+100mv〜−60mvの範囲で鉄粉の添加量を管理すれば、白金族の合計品位が70%を超える濃縮物が得られる。
【0033】
鉄粉により還元された白金族濃縮物スラリーは、トータル塩濃度が濃いため、温度の低下に伴い塩化第一鉄等の塩が析出し、固液分離の効率が低下する場合がある。このため固液分離に際し、そのスラリーのpHを0または0以下に調整すればこれは回避できる。このとき得られる清澄液にはFeが150g/l以上含有しており、この溶液の一部を塩素浸出時に繰り返し使用することは可能である。
【0034】
このようにして得られた白金族濃縮物を再び塩酸と酸化剤とにより浸出するが、このときの初期のスラリー濃度が反応にとって重要となる。この浸出でも前述と同様に鉄イオンがエレクトロンキャリャーとして働き、効率的な浸出を提供する。しかしながら、この工程で多量の鉄をエレクトロンキャリャーとして用いれば、後工程の不純物中和除去工程で大量の水酸化鉄の沈殿を生じ、固液分離で大きな設備が必要となり、これに伴い実収率の低下を招く。そのため、本工程では白金不純濃縮物に含有される銅をエレントロンキャリャーとして使用する。Cu /Cu2+のリドックスカップルはFe2+/Fe3+とほぼ同様の働きをし、浸出終了時の銅濃度を20〜30g/lとすれば、塩素の利用効率を70%以上に保つことができる。これ以上の銅濃度では後工程の不純物中和除去工程で銅の析出が生じるため、鉄の場合と同様固液分離が阻害され好ましくない。
【0035】
通常、スラリー濃度をその銅品位に合わせて200〜400g/lに調整すれば、上記銅濃度に調整される。
【0036】
一方、塩素イオン濃度も重要な要素であり、本発明では浸出終了時の塩素イオン濃度が9モル以上になるように調整する。この塩素イオン濃度が不足した場合、ロジウムの塩化錯体としての錯化が不充分となり、不純物中和で多量のロジウムの共沈を招く。反応温度については高温が好ましく、また、ロジウムの塩化錯体化から90℃以上が好ましい。なお、本反応は通常発熱反応であり、90℃以上の温度の確保は容易である。
【0037】
PGM再溶解工程で使用しうる酸化剤としては、塩素、過酸化水素、酸素、空気などがあるが、上記全塩素イオン濃度を高くする必要から塩素を用いることが好ましい。
【0038】
本発明では、不純物の除去方法として中和によるFe、As、Sb、Snの除去を対象とする工程と、パラジウム分離後の溶媒抽出によるCu、Ni、Pbの除去を対象とする工程の2種類の不純物除去工程を採用した。
【0039】
初めの不純物中和除去工程では、先にも述べたように、Fe、As、Sb、Snの除去を主に行うことに主眼をおいている。この目的を達成するには、pHの範囲制御を2.8以上3.3未満とすることが重要であり、好ましくは、抜気などにより中和前の液中から残留塩素などの酸化剤を除去しておく
【0040】
As、Sb等V族元素とSn等が除去された溶液からジヘシルスルファイド系有機抽出剤を用いてパラジウムを選択的に抽出する場合、前述の不純物がないためクラッドの生成がない。よって、この方法は、操作上または白金族の実収率からも有利な方法といえる。更に抽出操作の前に一度溶液のpHを1以下の塩酸酸性に保持することよりロジウムの塩化錯体化を再度完全に行い、ロジウムのパラジウム精製液への混入を抑制することができる。
【0041】
ジヘキシルスルファイド系有機溶液はジヘキシスルファイド系の抽出剤を一般的な溶剤、例えばシェルゾールAB(シェル化学)で濃度25%程度に希釈して得ることができ、特に目新しいものではない。この有機溶液の使用方法も一般的な方法に習い、O/Wが1以上、温度20〜40℃に保持することが望ましい。接触時間は上記温度の範囲であれば、3〜4時間でよく、これによりパラジウムの99%以上を有機相に抽出できる。
【0042】
また、ロジウム、白金のパラジウムへの混入を低減するためには、常法に従いスクラビンを行えばよい。例えば、O/W=1/15(V/V)以上で1N塩酸溶液を用いてスクラビングを2回以上すればパラジウムの実収率をほぼ100%とし、白金、ロジウムのロス0.1%以上を防止できる。
【0043】
有機相からのパラジウムの逆抽出については一般的なアンモニア水、例えば6%アンモニア水を用いれば高回収率で逆抽出が可能である。
【0044】
このようにしてパラジウムを抽出分離した後の水相中の不純物、すなわち銅、ニッケル、鉛などの元素をカルボン酸系の抽出剤を用いて抽出する。この抽出方法自体は一般的なものであり、用いる有機溶液としてはカルボン酸系の抽出剤を前述の石油系希釈剤で50%程度に希釈したものを用いれば良い。相比については抽出する不純物金属量によるが、水相の有機相への懸濁など考慮すればO/Wは小さく取ることが好ましい。銅、鉛はクロロ錯体であるため、そのpH範囲は水相において5.9〜6.0の範囲で制御する必要がある。このとき上記pHで1時間以上攪拌保持することにより、鉛の抽出をより安定に行うことができる。
【0045】
有機相に抽出された不純物またごく微量の白金族については、常法に従いpH2以下に調整した塩酸溶液により逆抽出できる。逆抽出液の酸濃度についてはこれ以上の濃度にすると、逆抽出液に微量混入した白金、ロジウムを再度抽出する際に多くのアルカリが必要となり好ましくない。
【0046】
カルボン酸により不純物が除去された抽出残液は、溶液の塩酸濃度を調整し、白金分離工程へ送られる。白金を抽出する有機溶媒としては、トリブルフォスフェート(TBP)が一般的である。このTBPを用いた場合、少なくとも4段以上の抽出操作を行えば、水相中の白金濃度を50mg/l以下に低下できる。また、白金の抽出を効率的に行うためには、水溶液中の全塩素イオン濃度を4〜5モル/lに調整することが必要である。
【0047】
抽出後の洗浄についても極力白金の逆抽出を防止すると伴に、ロジウムのクロロ錯体を維持するために4モル/l以上好ましくは、6モル/lの塩酸溶液を極力少量使用することが望ましく、O/W=1/28〜30(V/V)で2回以上洗浄すればよい。
【0048】
これらの操作の結果、逆抽出液としてロジウム品位が低い白金精製液が回収され、白金の実収率も99%以上が可能となる。一方、ロジウムのロスについても0.1%以下となり、効率的な分離がなされる。
【0049】
以上のような操作により水溶液に残存するロジウム以外の元素はごく微量となるが、アルカリでpH9以上とし、90℃の温度にして、水酸化ロジウムとして析出させる。
【0050】
固液分離後、付着水を除去するために、まずpH12以上の温水で沈殿を洗浄し、さらに温水を使用してレパルプ水洗することが好ましい。この結果、精製された水酸化ロジウムの回収が可能となる。
【0051】
【実施例】
以下実施例を用いて本発明を更に説明する。
【0052】
(1)塩素浸出工程
白金族を含む鉄合金の品位(%);Pt;3.1〜10.9,Pd;0.9〜1.5,Rh;0.4〜0.6,Fe;49.7〜52.4,Ni;12.6〜17.6,Cu;0.91〜2.49,P;10.7〜15.8のものを用いて、800lの容量を持つ攪拌機付き反応槽で、鉄合金の浸出試験を行った。浸出は90℃で行い、反応はスラリー量400〜500lとしその電位が、800mV(Ag/AgCl)を超えてそれ以上塩素を吸い込んでも上昇しない点を持って終了とした。その後、硝酸を浸出液400lに対し2〜3l添加し、3時間以上保持し、固液分離して浸出液を得た。
【0053】
a.スラリー中のFe濃度と塩素利用効率
表1に鉄の存在下における塩素ガスの利用効率、塩素の吹き込み速度、浸出率を示した。但し、ここでの吹き込み速度とは合金粉1Kgに対する吹き込み速度で反応槽の気相中塩素が0.5%以下となる吹き込み速度であり、北川式塩素検知管を用いた気相中の塩素の測定により求めた。
【0054】
反応における塩素の使用量については使用前後の塩素ボンベの看量によった。利用効率については、浸出液中の元素の量を、Ptでは4価、Fe、Rhでは3価、Pd、Ni、Cuは2価、Pは5価までの酸化を仮定して下記の式から求めた。
【0055】
Cl 利用効率=(ΣnM/吹込塩素モル量)×100
M;元素のモル数
n;酸化状態による価数
FeP+7Cl +4H
→3Fe3++HPO +5H +14Cl
Fe +2H →Fe2++H
表1は合金の初期スラリー濃度を130g/lとしたときのそれぞれの鉄濃度における塩素の利用効率を示したものである。塩素の吹き込み速度については0.1〜0.07Kg/Hr・Kg合金粉とし、合金粉は直径45μm以下のものを使用した。
【0056】
Figure 0003557685
表1より鉄濃度が15g/l以上あれば塩素の利用効率が大きく改善されることがわかる。また、塩素の効率が100%を超える場合があるが、これは燐化物の酸化による塩酸の発生とその塩酸が合金粉の一部を酸溶解した結果と考えられる。なおこのときの白金族の浸出率は99%以上となっていた。
【0057】
b.スラリー濃度と浸出効率
表−2にはスラリー濃度を変化させた時の、浸出により発生した水素イオンも考慮した塩酸・塩素の利用効率を示した。合金粉は直径45μm以下のものを使用した。また浸出開始時のFe濃度は15g/lとした。
【0058】
Figure 0003557685
なお、塩酸・塩素利用効率は以下の式より求めた。
【0059】
塩酸・塩素利用効率(%)=
[ΣnM/(塩素吹き込みモル量+P×8)]×100
ここで、Pは浸出されたリンのモル量である。
【0060】
表2より、スラリー濃度は150g/l以上あれば塩素、塩酸のトータルの利用効率、75%以上の値が得られることが判る。なお、このときの塩素の利用効率自体はすべての試験で100%を超えている。
【0061】
一方、スラリー濃度を190g/l以上にすれば発生する塩酸が有効に利用される傾向にあり、また処理速度から考えてもスラリー濃度は高くする必要がある。しかしながら、250g/l程度の濃度で浸出を行う場合、塩素吹き込み速度を増加すると、反応熱による温度の上昇が激しく、大量のミストが発生し、生成した塩酸もロスする結果となる。したがって、高濃度スラリーで浸出を行う場合には、ミスト発生の防止から塩素の吹き込み速度を低下させなければならなくなる。とはいえ、吹き込み速度の低下は直接処理速度の低下を招く。よって、浸出の効率化と処理速度の上記の関係からスラリー濃度は150〜250g/l程度が経済的に最も有効な範囲と考えられる。
【0062】
さらに、白金族濃縮物を得るためには、浸出液の還元により、白金族を金属の形で析出させる。このとき不純物をできるだけ析出させないことが、後の工程の効率化に重要な要因となる。不純物の中で銅は種々の条件により、白金族濃縮物への析出の割合が大きく異なる。表−3に鉄粉還元終了時のトータル塩素イオン濃度と溶液中に残留する銅濃度の関係を示した。
【0063】
Figure 0003557685
表3より、還元スラリーの酸化還元電位にもよるが、トータル塩素イオン濃度が高い程銅は溶液中に残留し、白金族濃縮物への混入が避けられることがわかる。したがって出発原料である鉄合金中の銅品位により、スラリー濃度を調整し、必要以上の銅を白金族濃縮物に混入させないためには、トータル塩素イオン濃度を8モル/l以上にする必要がある。このことからも、スラリー濃度をほぼ150g/l以上としなければならないことがわかる。
【0064】
c.浸出率と粉砕粒度
白金族含有合金粉の粉砕粒度と浸出率との関係を表4に示した。
【0065】
表4はスラリー濃度200g/lで鉄の存在下で塩素浸出を行い、その後硝酸を添加して3時間保持したスラリーを固液分離した。それぞれの白金族の浸出率は、浸出に使用した合金粉の含有量と浸出残渣中に残留した白金族の量から求めた。
【0066】
Figure 0003557685
表4より、Pt、Pd、Rhのすべてをよりよく浸出するためには、45μm以下の合金粉が全体の45%以上となるように粉砕することが好ましいことがわかる。45μm以下の合金粉の含有率が45%を超えない場合、ロジウムの浸出を著しく低下させる恐れがある。
【0067】
(2)還元PGM回収工程
a.還元操作におけるORP
浸出液中の白金族を還元する場合、酸化還元電位により反応の制御が可能である。表5は90℃で鉄粉を用いて還元操作を行った時の、スラリーの電位と溶液中の白金族濃度を示した。スラリーの電位を100mV(Ag/AgCl)以下に制御することにより、溶液中の白金族はほとんど全て、白金族濃縮物の形で回収される。しかしながら、−100mVより電位を低下させると、使用鉄粉が増加し、さらには銅のような不純物の析出も生じるため(表−3参照)好ましくは100〜−60mV程度にその電位を制御する。また、鉄粉の溶解により溶液中に存在する塩酸が消費され、スラリーのpHが上昇し燐酸塩の析出を招くこともある。このため鉄粉で過度にスラリーの電位を低下、維持することは好ましくなく、上記電位に達した後1時間程度の保持時間で反応を終了すべきである。
【0068】
Figure 0003557685
b.白金族濃縮物の固液分離
白金族濃縮物の生成した還元スラリーはすでに述べたような理由で不純物が析出することが考えられるので、スラリーのpHを0に調整する。さらに固液分離のための温度の低下により、塩化第一鉄の析出があるため温水にて洗浄する。表6にはこれらの操作による効果を示した。温水量は白金族金属濃縮物スラリー500lに対して、100lとした。
【0069】
(3)PGM再溶解工程
全白金族品位が70.2〜75.2%、Cu品位が3.0〜16.1%を含む白金族濃縮物を20lの水と塩酸にて塩素イオン濃度を調整した溶液に懸濁させ、90℃で攪拌しながら、塩素ガスを吹き込み、白金族濃縮物を浸出した。反応の終了点はスラリーの酸化還元電位が800mvを超えて、塩素の吹き込みを継続しても、その電位が上昇しない電位とした。
【0070】
得られた結果より塩素の利用効率と浸出率を求めた。これを表7に示した。
【0071】
Figure 0003557685
表7より浸出後液中のトータル塩素イオン濃度(表中のT−Cl)、Cu濃度に塩素の利用効率が依存することが判る。溶解終了時のトータル塩素イオン濃度を8モル/l以上とし、かつ銅濃度を20g/l以上になるまで浸出すれば、70%以上の塩素利用効率が得られる。銅濃度の調整は白金族濃縮物の銅量から、溶解時の銅濃度が20g/l以上となるように、そのスラリー濃度を調整する。またトータル塩素イオン濃度は溶解する白金族と銅を、たとえば、白金が4価、パラジウムが2価、ロジウムが3価、銅が2価で溶解すると考えた塩素量から、添加塩酸量を調整すれば良い。なお塩素の利用率が100%を超えるのは、添加した塩酸の一部により、白金族金属や銅が溶解するためと考えられる。
【0072】
(4)不純物中和除去工程
白金族濃縮物を浸出して得たPt濃度が40〜175g/l、Pd濃度が37〜52g/l、Rh濃度が11〜21g/l、Cu濃度が20〜31g/l、Fe濃度が0.5〜6g/l、As濃度が1.0〜2.3g/l、Sb濃度が0.5〜1.5g/l、Sn濃度が0.5〜2.0g/lの溶液を用いて以下の試験を行った。
【0073】
a.不純物の中和除去
白金族濃縮物の浸出液を90℃に加熱し、空気を吹き込み残留塩素を除去した。その後、その溶液の酸化還元電位が700mv以下であることを確認し、銅濃度を20.3〜23.7g/lに調整した。この溶液に重曹を添加し、pHを2.8〜3.3まで上昇させて不純物を沈澱させ、固液分離して液中の不純物の濃度を求め、この結果より除去率を求めた。この結果を表8に示した。
【0074】
Figure 0003557685
溶液中のpHが2.8以上では、Fe、As、Sb、Sn等の除去率は99%以上となっている。液中に残留するV族元素濃度もすべて0.01g/l以下となっており、後の操作に悪影響はない。しかしながら、pHを3.3以上にした場合、銅の沈殿率の上昇が見られる。本発明では、銅をこの段階で除去し、沈殿量を増加させることは、必要な固液分離装置が大きくなったり、また水溶性の白金族澱物への不純物の付着量も多くなることから、極力銅の析出を抑制することが好ましい。したがって、溶液のpHの制御範囲はpH2.8以上でpH3.3を超えない範囲が最も好ましい。
【0075】
b.白金族元素の共沈
白金族濃縮物を塩素と塩酸とを用いて溶解して得た溶液を90℃で抜気後、トータル塩素イオン濃度を7モル/l、Cu濃度を20g/l、Fe濃度を2g/lに保持して、Pt濃度を130g/lと40g/l、Pd濃度を45g/lと20g/l、Rh濃度を15g/lと7g/lとになるように、水で調整した溶液20lを用いて、重曹にてpHを2.8〜3.3の範囲まで中和した。このとき発生したV族、鉄澱物を水洗後、分析し、得られた結果から各白金族金属の沈殿率を求めた。この結果を表9に示した。
【0076】
Figure 0003557685
表9より、白金では溶液中のpHが3.3を超えない範囲であれば、130g/lのPt濃度でも、共沈を防止できることがわかる。パラジウム、ロジウムでも同様の傾向が見られるが、pHが3.3まで上昇すると共沈を防止することは困難となる。
【0077】
(5)Pd分離工程
上記のようにして得たCuを10g/l、Niを0.18g/l、Pbを2.61g/lの割合で含む白金族金属溶液を、一度そのpHが1となるように濃塩酸を添加してからパラジウム抽出用のシヘキシルスルファイド系有機抽出剤SFI−6R(大八化学製)をその濃度が25%になるようにシェルゾールAB(シェル化学製)で希釈した抽出有機とを用い、0/Wが1.3となるようにし、温度35℃で3時間混合攪拌し、30分間静置して水相を分離した。更に有機相を10lの1N塩酸溶液を用いて洗浄し、この塩酸洗浄を再度繰り返した。
【0078】
洗浄した有機相相中のPdを0/W=1として6%アンモニア水を用いて逆抽出し、Pd精製液を回収した。そして、有機相を純水10lにて2回洗浄した。結果を表10に示した。パラジウムの精製液、すなわち逆抽出液への実収率はほぼ100%となり、このときのPt、Rhのロスも0.1%以下となっている。また、Cu、Ni、Pb等の不純物はすべて0.001g/l以下となっている。
【0079】
このようにして得られたパラジウム精製液は、パラジウムを1とした場合、Pt<500ppm、そしてRh,Ni,Cu,Fe,Pb,As,Sb,Snはいずれも<50ppmとなり、高純度の精製液が得られることが判る。
【0080】
また、この精製液よりPdを金属粉や塩として回収するに際しては常法に従い、還元し、あるいは沈澱剤を添加する。
【0081】
Figure 0003557685
(6)微量不純物除去工程
Cuを10.0g/l、Niを0.18g/l、Pbを2.61g/lの割合で含む白金ロジウム含有溶液 117lと、カルボン酸系抽出剤であるバーサティクアシッド−10(VA−10;シェル化学)をクリーンソルNG(日本石油)で50%に希釈した抽出有機をO/W=0.85で混合し、水相のpHが5.93になるように重曹を添加しつつ撹拌して抽出を行った。
【0082】
静置後、水相を分離し145lの抽出残液を得た。有機相は1モル/lのNaCl溶液を用い、O/W=0.1で2回洗浄した。得られた抽出残液はさらに、洗浄後にpH2の塩酸性溶液で逆抽出した有機相にCu、Ni、Pdの存在しない有機相とO/W=0.69で混合攪拌し、水相のpHが6.0となるように重曹を添加し、1時間保持後静置した。その後水相を分離し、一段目の抽出と同様に2モル/lのNaCl液で洗浄した。それぞれの得られた溶液中のPt、Rh、Cu、Ni、Pbの分析値を表11に示した。2段の抽出〜洗浄操作により、不純物としてのNi、Cu、Pbはほぼ全量除去が可能であり、かつ白金、ロジウムともそのロスは0.1%未満に抑えられることが判る。
【0083】
Figure 0003557685
(7)Pt分離工程
以上のようにして得られた白金を123g/l、ロジウムを9.82g/lの割合で含み、HClを5モル/l以上含み、他の不純物例えばCu、Ni、Fe、Pb、As、Sb、Sn濃度がそれぞれ0.01g/l以下である溶液を元液として、O/W=1.04〜1.52の範囲で、TBP(大八化学製)を抽出剤として用いて4段の抽出を行った。第1段目では上記白金族含有溶液を100lに対し、152lの有機相を混合攪拌し、静置後水相87lを得た。抽出有機を5lの4NHCl溶液を用いて洗浄し、この洗浄条件で再洗浄した。
【0084】
得られた抽出残液、洗浄水、有機相の分析値を表12に示した。表12より抽残液中の塩素濃度は4.5モル/lであるが、有機相中のPt濃度は46.7g/lとなっており、有機相中への白金の抽出が許容濃度と予想できる。
【0085】
第2段目では1段目の洗浄水と抽残液を混合し、新たな有機相140lと上記と同様の抽出操作を行い、102lの水相を得た。洗浄については1段目同様、5lの4NHCl溶液を用いて2回行った。このときの抽残液中の塩素イオン濃度は表12に見られるように3.7モル/lまで低下しており、有機相中の白金濃度も1段目の有機相に比較して高くない。さらに分配比(有機相中の白金/水相中の白金)も3段、4段目の分配比より1.05と低かった。
【0086】
第3段目の操作は2段目の抽出残液に濃度酸15lを添加し、3段目の洗浄液と混合し、塩素イオン濃度を4モル/l以上としてから、有機相152lを加え、攪拌した。静置後水相を分離し、4Nの塩酸溶液で上記と同様の洗浄を行った。抽出残液の塩素イオン濃度は4.2モル/lとなっており、分配比も表12に見られるように良好となっている。しかしながら、4Nの塩酸溶液で洗浄した場合、洗浄液中の白金が常に1.3g/lの濃度で検出され、この程度の塩酸濃度では少量ながら白金が逆抽出されることが判る。すなわち白金の実収率を上昇させる時は4Nを越える塩酸溶液を用いて洗浄することが好ましい。
【0087】
第4段目の抽出操作では、さらに濃塩酸を20l添加して塩素イオン濃度を5モル/l以上に保持して抽出操作を行った。また、洗浄水についても6NHClを使用し、5lづつ2回の有機洗浄を行った。結果は表12に見られるように分配比も50.5まで上昇し、洗浄液中白金濃度も3段目に比較し大幅に低下した。
【0088】
Figure 0003557685
Figure 0003557685
Figure 0003557685
上記抽出操作で得られた有機相を温水で、4段目の有機から1段目の有機に交流的に60℃の温水による逆抽出を行った。逆抽出は2回行い逆抽出液166l、160lをそれぞれ得た。その結果、逆抽出液すなわち、白金精製液中への白金の実収率は99%となり、ロジウムの混入は白金を1とした場合500ppm 以下に抑制されている。さらに、抽出残液中のロジウムの実収率も99.5%となっている。
【0089】
また、この精製液よりPtを金属粉や塩として回収するに際しては常法に従い、還元し、あるいは沈澱剤を添加する。
【0090】
(8)Rh回収工程
ロジウムを6.69g/l、白金を0.05g/l含み、その他不純物が0.01g/l以下である塩化ロジウム液146lを約73lまで濃縮し、これを回収始液とした。この回収始液のpHをNaOH溶液を用いて12に調整し、ジア塩素酸を2.4l添加し、その後昇温して90℃とし、次いで溶液が透明になるまでNaOH溶液を添加して水酸化ロジウムを生成させた。
【0091】
水酸化ロジウムを固液分離した後、pH12に調整した60℃のNaOH溶液20lを用いて60℃でレパルプ洗浄を行った。得られた溶液、固体の分析値を表13に示した。
【0092】
Figure 0003557685
加水分解とアルカリレパルプにより、白金が溶液側に除去され、得られた水酸化ロジウム中の白金は、ロジウムを1とすれば500ppm以下まで低下していた。
【0093】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、廃触媒を還元溶解して得た白金族金属含有合金より効率よく、かつ安価に、収率良く各白金族金属を回収できる。このため、本発明の方法によれば、従来の結晶化の繰り返しによる実収率の低下、繰り返し物の増加による白金族の仕掛り量の増大等といった問題を解消できる。

Claims (13)

  1. 廃触媒を還元溶解して得られた白金族含有鉄合金を粉砕した後、塩素により浸出する塩素浸出工程と、塩素浸出工程より得られた浸出液に、還元剤として金属を用いて溶液中の白金族イオンを還元して白金族濃縮物として回収する還元PGM回収工程と、還元PGM回収工程より得られた白金族濃縮物を塩酸と酸化剤とを用いて溶解するPGM再溶解工程と、PGM再溶解工程より得られた塩酸性白金族溶液を中和して、この溶液中に共存する白金族元素以外の金属を沈澱物として分離除去する不純物中和除去工程と、不純物中和除去工程より得られた白金族溶液とジヘキシルスルファイド系有機抽出剤とを接触させ、パラジウムを抽出分離するPd分離工程と、Pd分離工程より得られたPd回収終液とカルボン酸系有機溶媒とを接触させてPd回収終液中の白金、ロジウム以外の金属を抽出分離する微量不純物除去工程と、微量不純物除去工程より得られた白金・ロジウム溶液とトリブチルフォスフェート系有機溶媒とを接触させて白金をロジウムより抽出分離するPt分離工程とから構成されることを特徴とする白金族含有鉄合金からの白金族元素の分離回収方法。
  2. 塩素浸出工程が、pH1以下で行われ、鉄イオン濃度が少なくとも15g/lの溶液と、粒径が直径45μm以下の部分が少なくとも45%になるように粉砕した白金族金属含有鉄合金粉とを、該溶液1l当たり150〜250gの割合で混合することを特徴とする、請求項1記載の白金族含有鉄合金からの白金族元素の分離回収方法。
  3. 塩素浸出工程において、溶解終了後硝酸を添加し、少なくとも3時間放置することを特徴とする、請求項1又は2記載の白金族元素の分離回収方法。
  4. 還元PGM回収工程において、還元剤として鉄粉を用いることを特徴とする、請求項1〜3記載のいずれかの白金族元素の分離回収方法。
  5. PGM再溶解工程が、90℃以上の反応温度、スラリー濃度200〜400g/lで行われ、かつ溶解終了時の溶液中の銅イオン濃度を20〜30g/l、塩素イオン濃度を9モル/l以上となるようにするものであり、酸化剤として、塩素、過酸化水素、酸素、空気からなる群より選択される少なくとも1種を用いることを特徴とする、請求項1〜4記載のいずれかの白金族元素の分離回収方法。
  6. 不純物中和除去工程が、pHを2.8以上3.3未満とすることを特徴とする、請求項1〜5記載のいずれかの白金族元素の分離回収方法。
  7. 不純物中和除去工程が、過剰の酸化剤を除去した後pHを調整するものであることを特徴とする、請求項1〜6記載のいずれかの白金族元素の分離回収方法。
  8. Pd分離工程が20〜40℃で行われ、pH1以下の塩酸性溶液とした後ジヘキシルスルファイド系有機溶液と接触させるものであることを特徴とする、請求項1〜7記載のいずれかの白金族元素の分離回収方法。
  9. 微量不純物除去工程が、水相のpHを5.9〜6.0とするものであることを特徴とする、請求項1〜8記載のいずれかの白金族元素の分離回収方法。
  10. Pt分離工程が、水相中の塩素イオン濃度を4〜5モル/lとした後トリブチルフォスフェート系有機溶媒と接触させるものであることを特徴とする、請求項1〜8記載のいずれかの白金族元素の分離回収方法。
  11. 請求項1〜8記載のいずれかの方法で分離されたPd含有有機溶液とアンモニア水とを接触させ、Pdを水相に逆抽出し、その後この水相よりPd粉、あるいはPd塩を回収することを特徴とする白金族元素の分離回収方法。
  12. 請求項1〜10記載のいずれかの方法で分離されたPt含有有機溶液と温水とを接触させ、Ptを水相に逆抽出し、その後この水相よりPt粉、あるいはPt塩を回収することを特徴とする白金族元素の分離回収方法。
  13. 請求項1〜10記載のいずれかの方法により得られたロジウム溶液よりロジウムを回収するに際して、反応温度90℃以上、pH9以上とすることを特徴とする白金族元素の分離回収方法。
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