JP4406745B2 - Sn,Pb,Cu含有物質の処理方法 - Google Patents

Sn,Pb,Cu含有物質の処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、Sn,Pb,Cuを含有する物質からPbを分離し、あるいは更にSnとCuの分離を行う湿式処理方法であって、特に鉛製錬工程で発生するドロスの処理に適したSn,Pb,Cu含有物質の処理方法に関するものである。
鉛製錬では一般的に、PbS主体の鉛精鉱を焼結・焙焼してPbO主体の焼結塊とし、これを溶融還元および脱銅処理して「脱銅粗鉛」を得ている。この脱銅粗鉛を湿式あるいは乾式で精製することにより鉛地金が製造される。
溶融還元から脱銅処理に至る工程ではPb融体の表面に浮いたドロスの除去が何回か行われる。
溶融還元から脱銅処理の段階で除去されるドロスにはSn,PbおよびCuが多量に含まれており、これらの元素は主として金属Sn,金属Pb,金属Cuの状態、あるいはこれらの合金として存在していると考えられる。これらのドロスは通常、大部分が還元溶鉱炉に戻され、再度溶融することでCu品位40%程度のマットとPbに分離することができる。
近年の鉛製錬では、環境・資源の有効活用を目指したリサイクル志向から鉱石だけでなく各種様々な原料を処理するようになってきている。これに伴い工程内へ流入する不純物の量も増加の一途をたどっている。Snも例外ではない。Sn流入量の増加は系内滞留Sn量の増加、ひいては滞留ドロス量の増加という悪循環へと繋がる。特に滞留ドロスの増加は還元溶鉱炉をはじめとする各工程の操業キャパシティーを奪い、生産効率の低下を招く。さらにAu,Ag,Cu等の有価金属のキャッシュフローの悪化など重大な問題を引き起こす。
元来、鉛製錬工程系内からSnを意図的に除く手段として、乾式精製における酸化による手法がある。これは、SnがPbより酸素との親和力が大きいことを利用してSnを酸化させドロスとして回収するものである。この酸化は反射炉を用いる方法や、NaNO3を用いる方法(Harris法)により実施できる。しかし、前者には多大な設備投資が必要となり、後者には薬品購入や処理のために操業コストの増加がつきまとう。
下記特許文献1には、濃塩酸を使用して脱銅ドロスからSnを回収する湿式処理方法が記載されている。しかし、この脱銅ドロスは「錫製錬」で生じるものであり、Pb含有量は1%程度と少ない。特許文献1の方法は、多量に含まれるPbとSnとを分離させなけらばならない「鉛製錬」で生じるドロスの処理に適用できるものではない。
特許文献2には、錫製錬で生じる錫滓から金属Snを回収する湿式処理方法が記載されている。この錫滓にはSnが多量に含まれ、他にPbやCuも含まれている。はじめに塩酸,硫酸,硝酸等の混酸を用いた浸出を行い、Sn,Pb,Cuをいっしょに溶解させている。次いで置換析出を行って、Snと、Pb,Cu等の不純物とを分離している。このような手法はPbやCuの含有量が少ない錫滓だからこそ効果的に行えると言える。この文献の手法をPb,Cu含有量の多い「鉛製錬」起源のドロス処理に適用すると、浸出液にはSnよりもPb,Cuが多く溶けて存在することとなり、置換には多量の金属Snが必要となって採算性が極めて悪くなる。つまり、特許文献2の技術を「鉛製錬」で発生するドロスの処理に適用することには無理がある。
特開平5−98367号公報 特開平11−217634号公報
前述のように、昨今の鉛製錬工程では、系内に戻すドロスの量をできるだけ減少させることが急務になっている。そのために、工程で発生するドロスからPbを分離し、残りのSnやCuを系外で消費できるように回収する低廉なプロセスの開発が強く望まれている。一方、特許文献1,2に開示されるような従来の湿式処理法を適用することは困難である。
そこで、本発明は、Sn,Pb,Cuを含有する物質から、Pbと、SnおよびCuとを分離し、あるいは更にSnとCuを分離する低コストな手法を開発し提供することを目的とする。
発明者らは種々検討の結果、可溶性塩化物を含む硫酸水溶液において、SnとCuは溶解するがPbは溶解しないような液組成が存在することを見出した。ただし、処理する原料の成分組成によって適切な液組成は変動し、一定濃度範囲を設定することは困難であった。そこで、さらに詳細に検討を進めたところ、原料の組成に応じて、SnとCuの浸出率がいずれも70%以上、あるいは更に80%以上となり、且つPbの浸出は無視できる程度に抑止できる液組成にコントロールすることが可能であることがわかった。本発明はこのような知見に基づいて完成したものである。
すなわち、上記目的は、Sn,Pb,Cuを含有する物質、例えば鉛製錬工程で発生するSn,Cu含有ドロスに由来する固形物を含む物質を、SnおよびCuが選択的に浸出され且つPbの浸出が抑止されるように水素イオン濃度[H+]およびCl-濃度がコントロールされた可溶性塩化物を含む硫酸水溶液、に浸漬することにより、Pbと、SnおよびCuとを分離するSn,Pb,Cu含有物質の処理方法によって達成される。
ここで、「Pbの浸出が抑止される」とは、Pbの溶出量がSnおよびCuに比べ著しく小さく、例えば反応滞留時間60分以上でもPbの溶出は浸出率3%以上に進行しないことをいう。
具体的には、Sn,Pb,Cuを含有する物質を、下記条件(a),(b),(c)を全て満たす可溶性塩化物含有硫酸水溶液に浸漬してSnとCuを選択的に浸出させることにより、Pbと、SnおよびCuとを分離するSn,Pb,Cu含有物質の処理方法が提供される。
(a) 液中のCl-量(mol)が当該液に投入される被処理物質中のSn量(mol)の2倍以上であること
(b) Cl-濃度が1.3mol/L(リットル)以下であること
(c) 水素イオン濃度[H+]が、1.0mol/L≦[H+]≦3.5mol/Lであること
また、前記の処理方法において、更に、Pbと分離されたSn,Cu含有浸出液を、「酸化剤添加による酸化処理」および「アルカリ添加による中和処理」の1種以上の処理に供してSnを選択的に沈澱させることにより、SnとCuとを分離するSn,Pb,Cu含有物質の処理方法が提供される。
本発明に従えば、Cl-を含む硫酸水溶液に浸漬するという簡易な手法によりSn,Pb,Cuを含有する物質からPbと、SnおよびCuとを分離することが可能になった。この処理方法は、特にSn,PbおよびCuがいずれも10質量%以上含まれ、且つこれら3元素の合計が50質量%以上であるようなSn,Pb,Cuを含有する物質に適用すると効果が大きく、例えば、鉛製錬工程で発生するドロスの処理に好適に利用できる。ドロスからSnやCuを除いたPb主体の残渣を鉛製錬工程系内に戻すことにより、鉛製錬で処理すべき物質の量(従来はドロス中のSn,Cuも処理していた)を低減することができ、操業効率の向上に寄与できる。また、SnやCuは工程系外の用途、例えば錫製錬や銅製錬で有効利用することができ、鉛製錬工程系内におけるSnの滞留問題解消に寄与できる。
本発明では、SnおよびCuが選択的に浸出され、且つPbの浸出が抑止されるように水素イオン濃度およびCl-濃度がコントロールされた硫酸水溶液を処理液として使用することができる。塩酸水溶液を用いた場合はPbとSnが両方とも溶解してしまい、PbとSnの分離は困難である。一方、単なる硫酸水溶液を用いた場合はSnがあまり溶出せず、やはりPbとSnの分離は困難である。ところが、可溶性塩化物を適量添加した硫酸水溶液を使用すると、Snを選択的に浸出させ、Pbを実質的に浸出させないような処理が可能になる。このような処理を実現するには、被処理物質の成分組成に応じて水素イオン濃度[H+]およびCl-濃度をコントロールすればよいことが確認された。Cuについては本来的に硫酸に容易に溶解するので、結局、Snが溶解しPbが溶解しない条件とすればCuはSnとともに浸出液側に分離されることになる。
可溶性塩化物を含む硫酸水溶液中でSnおよびCuが選択的に浸出され、Pbの浸出が抑止されるときの化学反応は、以下に示す反応式に準じたものと考えられる。
Sn+1/2O2+2HCl → SnCl2(aq)+H2O ……(1)
Pb+1/2O2+H2SO4 → PbSO4(↓)+H2O ……(2)
Cu+1/2O2+H2SO4 → CuSO4(aq)+H2O ……(3)
すなわち、Snは塩化第一錫SnCl2として溶解し、Pbは硫酸鉛PbSO4として沈澱し、Cuは硫酸銅CuSO4として溶解すると考えられる。
液中のCl-濃度が低い場合、または水素イオン濃度[H+]が低い場合は、SnがSnCl2の形で安定に存在しにくくなるため、Snの浸出率は低下する。ただし、必要とされるCl-濃度は被処理物質中のSn品位によって変動する。種々検討の結果、液中のCl-量(mol)を当該溶液中に投入される被処理物質中のSn量(mol)の2倍以上とすることが好ましいことがわかった。5倍以上とすることが一層好ましい。水素イオン濃度[H+]については1.0mol/L以上を確保することが好ましい。1.5mol/L以上とすることが一層好ましい。
一方、Cl-濃度が高い場合はPbがPbCl2の形態で溶解しやすくなり、Snとの分離が困難となる。この意味でCl-濃度は1.3mol/L以下とすることが好ましい。
水素イオン濃度[H+]が必要以上に高い場合は操業上危険を伴いやすく、また、後工程で中和を行う場合に中和剤の使用量が増加するといった弊害が生じる。このため、水素イオン濃度[H+]は3.5mol/L以下とすることが好ましい。3.0mol/L以下とすることが一層好ましい。
上記の好ましい処理液条件をまとめると下記(a),(b),(c)のように表現される。
(a) 液中のCl-量(mol)が当該液に投入されるSn,Pb,Cu含有物質(被処理物質)中のSn量(mol)の2倍以上であること、一層好ましくは5倍以上であること
(b) Cl-濃度が1.3mol/L以下であること
(c) 水素イオン濃度[H+]が、1.0mol/L≦[H+]≦3.5mol/L、一層好ましくは1.5mol/L≦[H+]≦3.0mol/Lであること
なお、Cl-濃度の調整には例えばNaCl等の可溶性塩化物を添加すればよい。
被処理物(原料)の形状等には特段の制限は無いが、反応速度の観点からなるべく微粒のものが好ましい。前記(1)〜(3)式の反応はいずれも酸化型であるため、空気や純酸素、過酸化水素といった酸化剤を供給することが望ましく、また、それらのガスと溶液との気液接触面積を向上させるような攪拌あるいはバブリングの操作を加えることが好ましい。
反応後のスラリーは、一般的な手法により濾過し固液分離すればよい。Pbは残渣側に回収され、SnおよびCuは浸出液側に回収される。
分離されたSn,Cu含有浸出液からは、酸化または中和反応によりSnを選択的に沈澱させ、これを濾過することにより、Sn澱物とCu含有后液を得ることができる。Sn澱物が生成する反応式を以下に示す。
〔酸化型〕 SnCl2+1/2O2+H2O → SnO2(↓)+2HCl ……(4)
〔中和型〕 SnCl2+2NaOH → Sn(OH)2(↓)+2NaCl ……(5)
(4)式の酸化型沈澱反応を進行させるための酸化剤は空気でも十分可能である。したがって、空気を液中に吹き込む方法を採用すれば安価な操業を行うことができる。ただし、この反応は酸を発生させるタイプであるから水素イオン濃度が高い系では進行しにくい。したがって前工程の浸出においては、可能な範囲で水素イオン濃度[H+]を低くすることが(4)式の反応促進には有利となる。
(4)式による酸化型沈澱反応と(5)式による中和型沈澱反応のいずれか一方を利用すればSnの沈澱分離は可能となるが、これらを複合で行うことが好ましい。すなわち、「酸化剤添加による酸化処理」と「アルカリ添加による中和処理」を同時に行うことによって反応速度を向上が図れる。
中和に用いるアルカリとしては苛性ソーダNaOH等が挙げられる。
反応中、液を十分に攪拌することが望ましい。
こうして出来たSn澱物は、Snが比較的高濃度に含まれているため錫製錬の原料として使用できる。
Sn澱物を除去して残ったCu含有后液は、硫化,析出置換,電解採取,あるいは更に中和させるなどの一般的な操作で回収が可能である。
〔実施例1〕
硫酸試薬(一級)を蒸留水により希釈し、これに工業塩(NaCl)を添加することによってCl-濃度が0.15mol/L、水素イオン濃度[H+]が2.0mol/Lの浸出元液を調合した。元液4Lを5Lビーカーに注入した後、電熱ヒーターによって60℃まで加熱した。一方、表1に示すドロスA(鉛製錬工程で発生したもの)を篩にかけ、100μm以下の粒度に調整した。
粒度調整したドロスA40gを前記ビーカーの元液中に投入し、浸出反応を開始した。反応温度は60℃に維持し、攪拌は2段のタービン翼によって400rpmで行った。また、ビーカーの底部へφ5mmのガラス管を接続して空気を5L/minで吹き込んだ。
実施例1では、投入Sn量は40g×0.261=10.44g=0.088molであり、液中のCl-量は0.15×4=0.60molであるから、液中のCl-量(mol)は投入した被処理物質中のSn量(mol)の6.8倍である。
図1にSn,PbおよびCuの浸出率の経時変化を示す。図1からわかるように、SnおよびCuを選択的に浸出し、Pbの浸出を抑止することができた。すなわち、Pbと、SnおよびCuとを分離することが十分可能であった。なお、Snについては30分経過後わずかに浸出率の低下傾向が見られた。これは酸化作用を受けて若干の再沈澱があったためと考えられる。
次に浸出後のスラリーを濾過し、得られた浸出液を苛性ソーダによって水素イオン濃度[H+]が1.5mol/Lとなるまで中和処理した。この中和液について前記浸出と同じ条件で空気を吹き込みながら攪拌を行い、酸化を進行させた。反応温度は60℃に維持した。
図2に結果を示す。酸化の進行に伴いSnが沈澱していった。Cuは液中に溶解した状態で残り、SnとCuの分離が可能となった。表2に180分経過後の沈殿物の組成を示す。この沈殿物はSn品位が高く、錫製錬の原料として利用可能なものである。
〔比較例1〕
硫酸試薬(一級)を蒸留水により希釈し、これに工業塩(NaCl)を添加することによってCl-濃度が0.015mol/L、水素イオン濃度[H+]が2.0mol/Lの浸出元液を調合した。元液4Lを5Lビーカーに注入した後、電熱ヒーターによって60℃まで加熱した。
実施例1と同様に粒度調整したドロスA40gを前記ビーカーの元液中に投入し、浸出反応を開始した。反応温度は60℃に維持し、攪拌は2段のタービン翼によって400rpmで行った。また、ビーカーの底部へφ5mmのガラス管を接続して空気を5L/minで吹き込んだ。
比較例1では、投入Sn量は40g×0.261=10.44g=0.088molであり、液中のCl-量は0.015×4=0.06molであるから、液中のCl-量(mol)は投入した被処理物質中のSn量(mol)の0.7倍である。
図3にSn,PbおよびCuの浸出率の経時変化を示す。図3からわかるように、SnおよびCuは浸出し、Pbは浸出していない。しかし、Snは20分経過後に浸出率が低下し、60分経過時点ではほとんどが再沈澱してしまった。これは、Cl-濃度が低すぎたことにより、SnがSnCl2の形で安定して存在できなかったためであると考えられる。
〔比較例2〕
硫酸試薬(一級)を蒸留水により希釈し、これに工業塩(NaCl)を添加することによってCl-濃度が1.5mol/L、水素イオン濃度[H+]が2.0mol/Lの浸出元液を調合した。元液4Lを5Lビーカーに注入した後、電熱ヒーターによって60℃まで加熱した。
実施例1と同様に粒度調整したドロスA40gを前記ビーカーの元液中に投入し、浸出反応を開始した。反応温度は60℃に維持し、攪拌は2段のタービン翼によって400rpmで行った。また、ビーカーの底部へφ5mmのガラス管を接続して空気を5L/minで吹き込んだ。
比較例2では、投入Sn量は40g×0.261=10.44g=0.088molであり、液中のCl-量は1.5×4=6.0molであるから、液中のCl-量(mol)は投入した被処理物質中のSn量(mol)の68倍である。
図4にSn,PbおよびCuの浸出率の経時変化を示す。図4からわかるように、SnおよびCuは相当な量が浸出した。しかし、Cl-濃度が高すぎたことによりPbも30%以上溶出してしまった。
〔実施例2〕
硫酸試薬(一級)を蒸留水により希釈し、これに工業塩(NaCl)を添加することによってCl-濃度が1.0mol/L、水素イオン濃度[H+]が3.0mol/Lの浸出元液を調合した。元液4Lを5Lビーカーに注入した後、電熱ヒーターによって60℃まで加熱した。一方、表1に示すドロスB(鉛製錬工程で発生したもの)を篩にかけ、100μm以下の粒度に調整した。
粒度調整したドロスB200gを前記ビーカーの元液中に投入し、浸出反応を開始した。反応温度は60℃に維持し、攪拌は2段のタービン翼によって400rpmで行った。また、ビーカーの底部へφ5mmのガラス管を接続して空気を5L/minで吹き込んだ。
実施例2では、投入Sn量は200g×0.247=49.4g=0.416molであり、液中のCl-量は1.0×4=4.00molであるから、液中のCl-量(mol)は投入した被処理物質中のSn量(mol)の9.6倍である。
図5にSn,PbおよびCuの浸出率の経時変化を示す。図5からわかるように、SnおよびCuを選択的に浸出し、Pbの浸出を抑止することができた。すなわち、被処理物質の投入量を増やした場合でも適正なCl-濃度を設定することで、Snの十分な浸出とPbの不浸出を両立できる。
Figure 0004406745
Figure 0004406745
実施例1におけるドロスの浸出反応時間とSn,Pb,Cuの浸出率との関係を示すグラフ。 実施例1における浸出液を酸化処理したときの反応時間とSn,Cuの沈澱率の関係を示すグラフ。 比較例1におけるドロスの浸出反応時間とSn,Pb,Cuの浸出率との関係を示すグラフ。 比較例2におけるドロスの浸出反応時間とSn,Pb,Cuの浸出率との関係を示すグラフ。 実施例2におけるドロスの浸出反応時間とSn,Pb,Cuの浸出率との関係を示すグラフ。

Claims (3)

  1. Sn,Pb,Cuを含有する物質を、下記条件(a),(b),(c)を全て満たす可溶性塩化物含有硫酸水溶液に浸漬してSnとCuを選択的に浸出させることにより、Pbと、SnおよびCuとを分離するSn,Pb,Cu含有物質の処理方法。
    (a) 液中のCl-量(mol)が当該液に投入される被処理物質中のSn量(mol)の2倍以上であること
    (b) Cl-濃度が1.3mol/L以下であること
    (c) 水素イオン濃度[H+]が、1.0mol/L≦[H+]≦3.5mol/Lであること
  2. 更に、Pbと分離されたSn,Cu含有浸出液を、「酸化剤添加による酸化処理」および「アルカリ添加による中和処理」の1種以上の処理に供してSnを選択的に沈澱させることにより、SnとCuとを分離する請求項に記載のSn,Pb,Cu含有物質の処理方法。
  3. 前記Sn,Pb,Cuを含有する物質が、鉛製錬工程で発生するSn,Cu含有ドロスに由来する固形物を含むものである請求項1または2に記載のSn,Pb,Cu含有物質の処理方法。
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