JP7005384B2 - テルルの回収方法 - Google Patents

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Description

本発明はテルルを含有する塩酸酸性水溶液から、テルルを回収する方法に関する。特に銅製錬の電解精製工程で発生するスライム処理工程に適用する場合に関する。
銅乾式製錬では銅精鉱を熔解し、転炉、精製炉で99%以上の粗銅とした後に電解精製工程において純度99.99%以上の電気銅を生産する。近年では転炉においてリサイクル原料として電子部品由来の貴金属を含む金属屑が投入されており、これらの金属屑に含まれる銅以外の有価物は電解精製時にスライムとして沈殿する。
このスライムには貴金族類、希少金属、銅精鉱に含まれているセレンやテルルも同時に濃縮される。銅製錬副産物としてこれらの元素は個別に分離-回収される。
このスライムの処理には湿式製錬法が適用される場合が多い。例えば特許文献1においてはスライムを塩酸-過酸化水素により銀を回収し、溶解した金は溶媒抽出により回収した後に、その他の有価物を二酸化硫黄で順次還元回収する方法が開示されている。特許文献2には同様の方法で金銀を回収した後、二酸化硫黄で有価物を還元して沈殿せしめ、セレンのみを蒸留して除去して貴金属類を濃縮する方法が開示されている。
貴金属を回収した後の溶液には希少金属イオン、テルル、セレンが含まれておりさらにこれら有価物を回収することが必要である。回収方法としては還元剤により生じた沈殿を回収する方法、溶液ごと銅精鉱に混合しドライヤーで乾燥させて製錬炉に繰り返す方法が知られる。
セレンの回収方法に関する先行技術のうち、とりわけ特許文献1に示されている、二酸化硫黄により生じた沈殿を回収する方法はコストや製造規模の面で利点が多い。加えて各元素が順次沈殿することから分離精製にも効果がある。
特開2001-316735号公報 特開2004-190134号公報
二酸化硫黄を用いて有価物を回収する方法では溶解後に順次有価物を還元して回収するが、テルルオキソニウムアニオンは還元を受け難い。そのため反応時間が長期化してしまう。例えばセレン除去後のテルル沈殿工程では通常4時間以上二酸化硫黄含有ガスを吹き込む。場合によっては5時間以上二酸化硫黄で還元しても60%程度の還元率に留まることもある。
これにより、製造コストが上昇するばかりでなく、回収できないテルル化合物は排水処理工程において沈殿・除去されるがこの負荷が上がることは好ましくない。また還元剤として転炉ガス等の二酸化硫黄を含んだ排ガスが使用されることが多いが、突発的な事故や定期的なメンテナンスにより市販されている亜硫酸ガスや亜硫酸ナトリウムを使用する場合、反応時間が長くなるとコストの上昇に直結する。
本発明はこのような従来の事情を鑑み、テルルを含有する塩酸酸性水溶液からテルルを効率的に回収する方法を提供する。特に銅製錬における電解精製工程で発生するスライムを溶解した液は好対象である。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、テルルを含有する塩酸酸性水溶液に無機ヨウ素化合物を添加し、さらに二酸化硫黄を間歇的に供給することで、テルルを効率的に回収することが出来ることを見出した。本発明はかかる知見により完成されたものである。
すなわち本発明は以下の発明を包含する。
(1)テルルを含有する塩酸酸性水溶液に無機ヨウ素化合物を添加し、さらに二酸化硫黄を間歇的に供給して液中のテルルを沈殿させることを特徴とするテルルの回収方法。
(2)前記二酸化硫黄を間歇的に供給するにあたり、供給時間と供給停止時間の割合を1:5~2:1に調整することを特徴とする(1)に記載のテルルの回収方法。
(3)前記無機ヨウ素化合物はヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、ヨウ素酸カリウムのいずれか一種類以上であり、ヨウ素元素をヨウ化カリウムに換算して300mg/L以上になるように添加することを特徴とする(1)又は(2)に記載のテルルの回収方法。
(4)前記二酸化硫黄は空気との混合気体であること特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載のテルルの回収方法。
(5)前記テルルを含有する塩酸酸性水溶液は二酸化硫黄によりセレン濃度を5g/L以下に調整した後に前記無機ヨウ素化合物を添加することを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載のテルルの回収方法。
(6)前記テルルを含有する塩酸酸性水溶液は液中の銅と塩化物イオンのモル比率が銅1に対して塩化物イオン40以上であることを特徴とする(1)~(5)のいずれかに記載のテルルの回収方法。
(7)前記テルルを含有する塩酸酸性水溶液は液温70℃以上の状態で前記二酸化硫黄を間歇的に供給することを特徴とする(1)~(6)のいずれかに記載のテルルの回収方法。
本発明によれば、テルルを含有する塩酸酸性水溶液からテルルを効率的に回収することができる。
本発明実験例1の実験結果を示す図である。 本発明実験例2の実験結果を示す図である。 本発明実験例3の実験結果を示す図である。
非鉄金属製錬、とりわけ銅製錬の電解精製工程で生じる電解スライムはカルコゲン元素を多く含む。例えば、テルルを15~25kg/t、セレンを5~15wt%程度含有する。
塩酸と過酸化水素を添加してこの電解スライムを溶解するが、銀は溶解直後に塩化物イオンと不溶性の塩化銀沈殿を形成する。酸化剤と塩素を含む溶液、例えば王水や塩素水であれば貴金属類は溶解して銀を塩化銀として分離できる。塩化物浴であるため浸出貴液(PLS)には貴金属元素、希少金属元素、セレン、テルルが分配する。
浸出貴液(PLS)は一度冷却され、鉛やアンチモンといった卑金属類の塩化物を沈殿分離する。然る後に溶媒抽出により金を有機相に分離する。金の抽出剤はジブチルカルビトール(DBC)が広く使用されている
金を抽出した後のPLSを還元すれば有価物は沈殿-回収できるが、元素により酸化還元電位が異なるために自ずと沈殿の順序が決定されている。初めに貴金属類、次にセレンやテルルといったカルコゲン、さらに不活性貴金属類が沈殿する。
貴金属類を回収した後に液中のセレン、テルルを還元、固液分離して回収する。還元剤は亜硫酸、亜硫酸塩、二酸化硫黄等の水溶性硫黄酸化物が価格と効率の面から利用され、とりわけ、二酸化硫黄は転炉ガスや硫化鉱の焙焼により大量にしかも安価に供給できるため最適である。二酸化硫黄は水に溶けて電離すれば亜硫酸に、アルカリ塩と反応させると亜硫酸塩になるのでその還元能力は大差ない。
セレンは主に亜セレン酸として存在し、テルルは主に亜テルル酸として存在するが、亜セレン酸と亜テルル酸では亜セレン酸の方が酸化還元電位が高い。そのため、二酸化硫黄による還元ではセレンのみを先に還元して回収する。セレン濃度が5g/Lに低下するまで二酸化硫黄と反応させれば純度の高いセレンを沈殿させることが可能である。セレン濃度が5g/L以下まで低下すると供給する二酸化硫黄が過剰になりテルルも一部還元を受け沈殿する。
その後、沈殿したセレンを分離する。このとき、沈殿しているセレンが赤色セレンであれば含水率が多くなるので黒色セレンとして回収することが好ましい。そのためセレン回収工程で二酸化硫黄を吹き込む時の液温は70℃以上とすることが好ましい。セレンの固液分離は特に制限はなく、一般的なフィルタープレスによる濾過で実現できる。
その後、高純度のセレン回収後液に再度二酸化硫黄を供給して残セレンとテルルを回収する。ただしテルルの濃度はさほど高くなく、二酸化硫黄は還元反応を生じる前に大気中へ逸損してしまい、反応効率は高くない。
そこで、本発明において、二酸化硫黄の反応効率を高めるためにはヨウ化物イオン(すなわち、無機ヨウ素化合物)を添加する。テルルは塩酸酸性条件下ではTeCl6 2-として存在する。また通常の酸性条件では亜テルル酸として存在する。テルルは比較的軟らかい酸であり、同じく軟らかいヨウ化物イオンとは親和性が高い。これに対し酸素原子は硬い元素である。また塩化物イオンは中間程度の軟らかさである。
ヨウ化物イオンの添加によりヨウ化物イオンが配位したテルル、TeInCl6-n 2-が生じる。ヨウ化物イオンが配位したテルルでは電荷密度の分布変化や立体的込み合いの影響を受ける。その原因として、原子半径の大きさの近いヨウ化物イオンとテルル原子とはより強固に作用することが考えられる。ヨウ化物イオンが強力に配位すると塩化物イオンとテルル原子の結合距離が長くなることが予想される。酸素酸になっている場合も同様である。
その結果、ヨウ化物配位のテルル錯体はTeCl6 2-よりはるかに反応活性となり、加水分解や還元を受けやすくなる。加水分解を受けた場合は二酸化テルルとして、還元を受けた場合は単体テルルとして沈殿を生じる。同時に二つの反応が進行することも可能である。
過剰にヨウ化物塩を添加した場合はヨウ化物イオンはテルルと不溶性の四ヨウ化テルルを形成して沈殿する。四ヨウ化テルルは水溶液中で加水分解を受け二酸化テルルになる。過剰にヨウ化物イオンが存在しても試薬コストの上昇はあるが反応に問題が生じることはない。
添加する単体ヨウ素又は無機ヨウ素化合物としては、単にヨウ素イオンでなくとも、ヨウ素酸やその塩等の無機ヨウ素塩を還元剤と同時に添加しても良い。還元を受けてヨウ化物イオンとなり同じ機構で作用するからである。例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、ヨウ素酸カリウムのいずれか一種類以上を使用できる。
テルルを含有する塩酸酸性水溶液に添加するヨウ化物イオンの量は1.0mmol/L以上になるように添加することが好ましい。ヨウ化物イオンの量が少なすぎると圧倒的に高濃度の塩化物イオンが存在するのでテルルに配位する確率が低下して効果が薄いからである。より好ましくは2.5mmol/L以上になるように添加する。
無機ヨウ素化合物の添加前にはテルルを含有する塩酸酸性水溶液中のセレン濃度を5g/L以下、さらには3g/L以下に調整しておくことが好ましい。セレンは液中では亜セレン酸として存在しており、亜セレン酸はテルルがヨウ化物イオンと反応するより前にヨウ化物イオンを単体ヨウ素に酸化するからである。単体ヨウ素は揮散しやすく、ヨウ化物イオンの反応効率が下がる。
そして、二酸化硫黄を連続して供給する場合、一部のヨウ化物イオンは空気酸化により徐々に揮散していくことがある。これを抑えるために二酸化硫黄やその混合気は間歇的に供給することが好ましい。上記のようにヨウ化物イオンの効果は配位子交換に起因するので交換前に二酸化硫黄と接触しても反応は起こらないからである。反応しにくい状態でガスを供給するとヨウ化物イオンより生じたヨウ素が揮散してしまうことがある。
そこで、二酸化硫黄を間歇的に供給することにより使用する二酸化硫黄の量も削減することが可能になる。本発明において、二酸化硫黄を間歇的に供給することとは、二酸化硫黄の供給の開始から終了するまでの間に少なくとも1回二酸化硫黄の供給を停止することをいう。間歇的に供給する周期は単位時間当たりのガス供給量、テルル濃度、反応液量により最適化されればよいが、例を挙げると二酸化硫黄の、(吹き込み時間):(停止時間)が1:5~2:1とすればよい。また、二酸化硫黄の供給を長時間停止するとテルルの回収に所要の時間が伸びてしまうので、1時間に少なくとも1回以上二酸化硫黄を供給することがさらに好ましい。
また、テルルの二酸化硫黄ガス還元では100%ガスを使用しなくてもよい。液体に気体を吹き込む反応では反応効率は高くならないからである。そのためガスを希釈するが一般的には空気を利用することが好ましい。硫化物の燃焼ガスでも空気中の酸素が混入する。ところが二酸化硫黄と酸素の混合気は酸化反応を示すことがあり、鉄イオンや銅イオンはその反応を触媒するとされている。
二酸化硫黄と酸素の混合気が起こすと思われる酸化反応によりテルルの再溶解が生じる事がある。するとその見かけのテルル還元沈殿速度は大きく減じる、もしくはテルルの還元速度は負の値となる。これは生産コストや排水処理の面からも避けなければならない。
そのため、二酸化硫黄が空気との混合気体である場合、二酸化硫黄(すなわち、二酸化硫黄と空気との混合気体)を間歇的に供給することにより二酸化硫黄で酸化力が増した酸素が消失する時間が設けられ、その間にテルルの還元が進むことでテルルの再溶解を抑えることができる。
ヨウ化物イオンの反応効率を上げるには液中の銅イオンやパラジウムイオンをマスクしておく必要がある。ヨウ化物イオンと不溶性の沈殿を生じさせるためである。塩酸酸性溶液では塩化物イオンがこれらの金属イオンに配位してヨウ素との反応を阻害する。十分に反応を抑えるためには塩化物イオン濃度を銅濃度の40モル倍以上に調整しておくことが好ましい。銅電解澱物溶解液のような各種遷移金属イオンを含む場合には銅の200モル倍以上に調整しておくことが好ましい。
塩化物イオンを配位子にする遷移金属で代表的な元素は、テルル、鉛、ビスマス、アンチモン、銅、鉄である。4~6配位するため塩化物イオンは銅の200モル倍以上、電解澱物の溶解液の場合は塩化物イオン濃度で30g/L以上が好ましい。
還元剤は二酸化硫黄を代表として例示したが、亜硫酸塩やその溶液も酷似した反応傾向を示すため同じ効果が期待される。ただし、コストなどの工業上実用の観点から、本発明において、二酸化硫黄を使用する。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
銅製錬から回収された電解スライムを硫酸により銅を除いた。濃塩酸と60%過酸化水素水を添加して溶解し、固液分離してPLSを得た。PLSを6℃まで冷却して卑金属分を沈殿除去した。DBC(ジブチルカルビトール)とPLSを混合して金を抽出した。
金抽出後のPLSを70℃に加温し、銅製錬転炉排ガスを吹き込んで貴金属を還元し固液分離し、貴金属分離後液を得た。貴金属分離後液にさらに二酸化硫黄と空気の混合ガス(5~20vol%)を1.2L/分程度で吹き込んでセレンを沈殿させてその濃度を調整して固液分離することでセレン分離後液を得た。
(実験例1)
セレン分離後液300ml(成分は表1に示す。)を80~85℃に加温した。二酸化硫黄と空気の混合ガス(5~20vol%)を1.2L/分程度で間歇的に吹き込んで撹拌した。(吹き込み時間、単位:分)/(吹き込み停止時間、単位:分)はそれぞれ連続吹き込み、20/20、10/20、5/20とした。「無添加」と示される例以外、反応開始と同時にヨウ化カリウム(和光純薬工業社製、特級)150mgを添加した。一定時間ごとにサンプルを分取し、塩酸で適当に希釈した。時間の経過と共に液量が減少したので純水を添加して液量を維持した。各種元素濃度をICP-OES(セイコーインスツル社製SPS3000)で定量した。濃縮による影響を相殺するため、ヒ素をトレーサーとして定量値を補正した。結果を図1に示す。
Figure 0007005384000001
ヨウ化カリウムを添加しない場合は二酸化硫黄の添加で沈殿しないのでヨウ化カリウムの効果は明白である。さらに連続的に供給した場合と間歇的に供給した場合を比較すると間歇供給はより低いテルル濃度に達している。ヨウ化物イオンが単体ヨウ素として逸損する量が少ないためであると考えられる。
連続供給の場合は反応終盤にテルル濃度が上昇している。ヨウ化物イオンが消失後に二酸化硫黄と空気の混合気による酸化作用が現れて、沈殿したテルルを再度溶解した結果であると推察される。間歇供給ではヨウ化物イオンの逸損速度が遅いこと、系内の環境が酸化促進状態を維持できないことから再溶解が起こらない。
間歇供給時のオン・オフの間隔は5分/20分~20分/20分いずれも大きな差異は見られなかった。二酸化硫黄の濃度にもよるがその供給時間間隔比率として1/5~2/1はほとんど差が無いと予想できる。頻繁に繰り返すのは操業の上では現実的ではなく、反応器の大きさに応じて10~15分の吹き込み時間に対して吹き込まない時間を50分~15分設定することが好ましいといえる。
(実験例2)
実験例1と同じセレン分離後液300mlを分取した。75~83℃に加温しヨウ化カリウム(和光純薬工業社製、特級)0~300mgを添加した。二酸化硫黄と空気の混合ガス(5~20vol%)を1.2L/分程度で間歇的に吹き込んで撹拌した。(吹き込み時間、単位:分)/(吹き込み停止時間、単位:分)はそれぞれ連続吹き込み、20/20とした。一定時間ごとにサンプルを分取し、塩酸で適当に希釈した。時間の経過と共に液量が減少したので純水を添加して液量を維持した。各種元素濃度をICP-OES(セイコーインスツル社製SPS3000)で定量した。濃縮による影響を相殺するため、ヒ素をトレーサーとして定量値を補正した。結果を図2に示す。
間歇的に吹き込んだ場合はヨウ化物カリウムの添加量は150mgと300mgで大きな差は見られない。連続吹き込みでは両者に差がみられ、120分経過後にあって150mg添加では40mg/L程度のテルルが溶液中に存在しているが300mg添加では定量下限以下になっている。データは示していないがヨウ化カリウム100mg添加した時の連続吹き込みでは120分後のテルル濃度は60mg/Lであった。推測になるが二酸化硫黄ガスを間歇的に吹き込んだらヨウ化カリウム90mgでも(すなわち、ヨウ化カリウム濃度300mg/Lでも)十分機能すると思われる。
(実験例3)
実験例1と同様の操作を行ってセレン分離後液を得た。成分を表2に示す。上記実験例と比べてセレン濃度とテルル濃度が高い。300mlを2セット分取してそれぞれ70℃と80℃に加熱した。ヨウ化カリウム150mgを添加し二酸化硫黄と空気の混合ガス(5~20vol%)を1.2L/分程度で間歇的に20分間隔で吹き込んで撹拌した。一定時間ごとにサンプルを分取し、塩酸で適当に希釈した。時間の経過と共に液量が減少したので純水を添加して液量を維持した。各種元素濃度をICP-OES(セイコーインスツル社製SPS3000)で定量した。濃縮による影響を相殺するため、ヒ素をトレーサーとして定量値を補正した。結果を図3に示す。
Figure 0007005384000002
液温が高い方がテルルの沈殿効率が良いことが分かる。これは塩化物イオンとテルルの配位結合を切断するエネルギーであると考えられる。したがって、液温は70℃以上が好ましい。

Claims (5)

  1. テルルを含有し、銅と塩化物イオンのモル比率が銅1に対して塩化物イオン40以上であり、セレン濃度が5g/L以下である塩酸酸性水溶液に対して、単体ヨウ素又は無機ヨウ素化合物を添加し、さらに二酸化硫黄を間歇的に供給して液中のテルルを沈殿させることを特徴とするテルルの回収方法。
  2. 前記二酸化硫黄を間歇的に供給するにあたり、供給時間と供給停止時間の割合を1:5~2:1に調整することを特徴とする請求項1に記載のテルルの回収方法。
  3. 前記無機ヨウ素化合物はヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、ヨウ素酸カリウムのいずれか一種類以上であり、ヨウ素元素をヨウ化カリウムに換算して300mg/L以上になるように添加することを特徴とする請求項1又は2に記載のテルルの回収方法。
  4. 前記二酸化硫黄は空気との混合気体であること特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のテルルの回収方法。
  5. 前記テルルを含有する塩酸酸性水溶液は液温70℃以上の状態で前記二酸化硫黄を間歇的に供給することを特徴とする請求項1~のいずれかに記載のテルルの回収方法。
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