JPH10265863A - 製錬残渣からの貴金属回収方法 - Google Patents

製錬残渣からの貴金属回収方法

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JPH10265863A
JPH10265863A JP7612397A JP7612397A JPH10265863A JP H10265863 A JPH10265863 A JP H10265863A JP 7612397 A JP7612397 A JP 7612397A JP 7612397 A JP7612397 A JP 7612397A JP H10265863 A JPH10265863 A JP H10265863A
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platinum
palladium
extract
hydrochloric acid
platinum group
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JP7612397A
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Satoshi Okada
智 岡田
Hiromi Mochida
裕美 持田
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Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製錬残渣から白金族元素を汚染が少なく効
率良く回収する。 【解決手段】白金族元素を含有する製錬残渣に、塩酸存
在下で過酸化水素を導入し白金族元素を塩化物錯体に転
化して塩酸に溶解し、該溶解液に高濃度のジアルキルス
ルフィド抽出液を数分以内の接触時間で連続的に接触さ
せてパラジウムを他の白金族元素から選択的に抽出して
回収し、更に、パラジウムを抽出除去した水相にトリブ
チル燐酸を連続的に接触させて白金を抽出し回収するこ
とを特徴とする製錬残渣からの貴金属回収方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、白金族元素等の貴
金属元素を含有する製錬残渣から貴金属を効率よく回収
する貴金属回収に関する。
【0002】
【従来の技術】銅やニッケルの精練工程で生じる陽極ス
ライムあるいはニッケルの精練工程で生じる抽出残渣に
は、金、銀、白金、パラジウムおよびその他の貴金属元
素がかなりの量含まれており、従来、これらの製錬残渣
から貴金属が回収されている。例えば、銅製錬残渣は銅
やセレンおよびテルル等の親銅元素を回収する工程を経
る間に貴金属濃度が高められ、粗銀として回収される回
収した粗銀は電解処理され、析出銀と陽極スライム(銀
スライム)が得られる。銀スライムは主として銀と金と
を含み、さらに白金族元素を含有している。通常、銀ス
ライムは硝酸によって金以外の金属が溶解され、金は遠
心分離等により分離回収される。溶解液には塩酸が添加
され銀の大部分は塩化銀として除かれる。残った溶液に
ヒドラジンのような還元剤を添加すると、金属成分が微
粒子として析出した還元スライムが得られる。この還元
スライムには白金およびパラジウムと共に少量の金と銀
が含まれている。
【0003】従来、この貴金属スライムは王水により溶
解処理されていたが、溶解工程に数日程度の処理日数を
要するなどの問題があり、これに代わる方法として塩素
ガスをスライムに吹き込む方法なども検討されている
(特公昭 62-2014号)。しかし、この方法は塩素ガスを取
り扱うことから作業上の安全確保や周辺環境の汚染防止
のための設備が必要であり、実施するのが難しい。
【0004】また、従来、このような白金族元素を含有
する製錬残渣等から白金族元素、特に白金やパラジウム
を選択的に分離回収する方法としては、塩化物錯塩の水
溶性を利用した方法が知られている。この方法では、は
じめに白金族元素含有スライムを王水で溶解して白金お
よびパラジウムを液中に浸出させることにより他の白金
族元素と分離し、この浸出液からパラジウムを回収して
いる。しかし、この処理方法では白金およびパラジウム
と共にオスミウムやルテニウムも溶解し、これらが白金
やパラジウムに混入する問題がある。
【0005】以上のような王水処理方法に代えて、白金
およびパラジウムを選択的に分離回収する方法として、
ジアルキルスルフィド(DAS)やトリブチル燐酸(TBP)を用
いた方法が知られている(特開昭63-14824号など)。と
ころが、DAS中にはオスミウムやルテニウムも抽出さ
れ得るため、これらの混入を避けることができない。そ
こで、残渣を溶解した後に先ずオスミウムとルテニウム
を四酸化物にし、加熱してこの四酸化物を揮発除去した
後に、白金やパラジウムを抽出する方法が提案されてい
る(特公平1-30896号)。しかし、この方法は多量の酸
化剤を必要とし、また、抽出時間が長く、連続的な分離
回収処理ができない問題があった。
【0006】
【発明の解決課題】本発明は、従来の回収方法における
上記問題を解決したものであって、製錬残渣から白金族
元素を回収する方法において、残渣の溶解から抽出・回
収に至る一連の処理工程を効率よく連続的に実施でき、
白金族元素を汚染が少なく効率よく回収する方法を提供
することを目的とする。
【0007】
【課題解決の手段】すなわち本発明は、(1)白金族元素
を含有する製錬残渣に、塩酸存在下で過酸化水素を導入
し白金族元素を塩化物錯体に転化して塩酸に溶解し、該
溶解液に、濃度40vol%以上のジアルキルスルフィド
を含有する抽出液を、単位時間あたり、溶解液中のパラ
ジウム量に対して4モル倍以上のジアルキルスルフィド
量となる範囲で、かつ数分以内の接触時間で連続的に接
触させてパラジウムを他の白金族元素から選択的に抽出
し、次いで該抽出液中のパラジウムを水相に逆抽出した
後に該逆抽出液からパラジウムを回収することを特徴と
する製錬残渣からの貴金属回収方法に関する。
【0008】本発明は以下の回収方法を含む。 (2)白金族元素を含有する製錬残渣に、塩酸存在下で過
酸化水素を導入し白金族元素を塩化物錯体に転化して塩
酸に溶解し、該溶解液に、濃度40vol%以上のジアル
キルスルフィドを含有する抽出液を、単位時間あたり、
溶解液中のパラジウム量に対して4モル倍以上のジアル
キルスルフィド量となる範囲で、かつ数分以内の接触時
間で連続的に接触させてパラジウムを他の白金族元素か
ら選択的に抽出し、次いで、パラジウムを抽出除去した
水相にトリブチル燐酸を連続的に接触させて白金を抽出
し、さらに該白金を水相に逆抽出した後に該逆抽出液か
ら白金を回収することを特徴とする製錬残渣からの貴金
属回収方法。 (3)白金族元素と共に金を含有する製錬残渣を塩酸に溶
解した後に金を還元析出ないし溶媒抽出により除去し、
次いでパラジウムを選択的に抽出する貴金属回収方法。 (4)白金族元素と共にビスマスを含有する製錬残渣を塩
酸に溶解し、パラジウムを抽出除去した後にトリブチル
燐酸抽出液を連続的に接触させて白金を抽出させ、次い
で該抽出液を4.0〜5.5規定の塩酸で洗浄することに
より白金に随伴するビスマスを抽出液から除去して白金
を回収する貴金属回収方法。 (5)白金族元素と共にテルルを含有する製錬残渣を塩酸
に溶解した後に、該溶解液にメチルイソブチルケトンを
接触させてテルルを抽出除去し、次いでパラジウムを選
択的に抽出除去した水相にトリブチル燐酸連続的に接触
させて白金を抽出する貴金属回収方法。
【0009】
【発明の実施態様】本発明の回収方法の概略を図1に示
す。本回収方法は製錬残渣の溶解工程、パラジウムの抽
出工程、回収工程、白金の抽出工程、回収工程からな
る。(I)製錬残渣の溶解 本発明が適用される製錬残渣とは、銅やニッケル等の各
種製錬ないし精錬工程で生じる電解スライムや抽出残渣
などを云い、これらスライムや残渣などを硝酸や塩酸な
どによる酸処理あるいは還元処理したものを含む。ま
た、白金族元素を含む製錬残渣とは、通常、これら製錬
残渣において白金族元素に随伴する金、ビスマスなどの
微量元素を白金族元素と共に含有するものを含む。
【0010】本発明の溶解工程では、製錬残渣を過酸化
水素の存在下で塩酸によって溶解する。製錬残渣に含ま
れる白金、パラジウムあるいは金などの貴金属は過酸化
水素によって酸化され、これに塩素が反応して塩化物錯
体を生じることにより溶解する。すなわち、これら貴金
属M(Pt,Pd,Au)が過酸化水素H22と反応して貴金属イ
オンMx-となり、これと塩素 Cl-とが反応して塩化物
錯体MCln (x-n)-が生じて貴金属Mが液中に溶解す
る。なお、過酸化水素は塩酸と同時か塩酸を加えた後に
導入するのが良い。塩酸より先に過酸化水素を導入する
と、塩化物錯体が形成される前に過酸化水素が消費され
るので好ましくない。
【0011】塩酸の添加量は、残渣に含まれる白金族元
素や金などの付随金属を塩化物錯イオンに転じるに必要
な最低量(当量)以上であって、その2倍量以下が好まし
い。添加量が当量以下では当然ながらこれらの貴金属を
十分に溶解することができない。また添加量が当量の2
倍を超えても白金族元素の溶解は変わらず、むしろ残渣
中に銀が含有されている場合には、この銀が塩化物錯イ
オンとなって溶解し、後工程でのパラジウムあるいは白
金の分離の際に混入する等の問題を生じるので好ましく
ない。塩酸濃度は8〜12mol/l程度が好ましい。8mol
/l未満では液量が過剰となり後処理にコストがかかる。
【0012】過酸化水素の添加量は、残渣に含まれるパ
ラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)などをPd(II)、Pt
(IV)、Au(III)に酸化するのに必要な量の2倍以上で
あって4倍量以下が好ましい。添加量が2当量未満では
これらの貴金属を十分に酸化することができない。ま
た、添加量が当量の4倍を超えるとコストが高くなる。
過酸化水素濃度は8〜11mol/l程度が好ましい。濃度
が8mol/l未満では液量が過剰となり後処理にコストが
かかる。
【0013】過酸化水素の添加は60〜80℃で行なう
ことが好ましい。60℃未満では酸化溶解が進まず効率
が低下する。80℃を超えると添加した過酸化水素がス
ライムの溶解に寄与せずに分解するため、やはり効率が
低下する。過酸化水素は必要量を徐々に添加することが
好ましい。過酸化水素の全量を一時に添加すると急激に
分解反応が進行して激しい発熱を伴う。この熱によっ
て、過酸化水素の分解が促進され、反応効率が低下する
と共に過酸化水素の分解によって酸素が発生し、いわゆ
るフォーミングにより液体積が急激に増加するので危険
である。過酸化水素の添加量は、残渣の量や塩酸、過酸
化水素の濃度にもよるが、典型的には添加量の全量を1
00〜120分程度の時間をかけて平均して添加するこ
とが好ましい。
【0014】本発明の回収方法は、以上のように製錬残
渣を溶解した後に、この溶解工程で得た塩酸酸性溶解液
から白金とパラジウムを抽出分離して回収する。一例と
して上記溶解液には、概ね、Pdが1〜2%、Ptが
0.2〜0.5%、Osが0.01〜0.05%、Ruが
0.01〜0.05%程度含まれている。
【0015】(II)パラジウムの抽出 製錬残渣の上記溶解液からパラジウムを選択的に抽出し
て他の白金族元素から分離する。本抽出工程では、パラ
ジウムを連続的に選択抽出するために、従来より大幅に
濃度の高いジアルキルスルフィドを抽出液として用い、
これを短時間に貴金属溶液に連続的に接触させる。抽出
液中のジアルキルスルフィド濃度の増加に対してオスミ
ウムやルテニウムの抽出率の変化は極く僅少であるが、
ハラジウムの抽出率はジアルキルスルフィド濃度が一定
濃度に達すると急激に高くなる。従って、ジアルキルス
ルフィド濃度をこの範囲に調整し、抽出液を上記溶解液
に短時間の間に接触させることにより、オスミウムやル
テニウムの抽出を抑制してパラジウムを選択的に抽出す
ることができる。
【0016】具体的には、濃度40vol%以上、好まし
くは90vol%以上のジアルキルスルフィドを上記溶解
液中のパラジウム量に対して、単位時間あたり、4モル
倍以上のジアルキルスルフィド量となる範囲で、かつ数
分以内の接触時間で、上記貴金属溶液に連続接触させ
る。即ち、ジアルキルスルフィド抽出液を次の条件で貴
金属溶液に通液する。 (VO ×CAS)/(VA ×CPd)≧4 式中、VO 、VA はそれぞれ単位時間当たりに投入され
る抽出液(有機相)および水溶液の体積、CAS、CPdはそ
れぞれ抽出液中のジアルキルスルフィドないし水溶液中
のハラジウムの体積モル濃度である。
【0017】溶解液中のパラジウム量に対してジアルキ
ルスルフィドが4モル倍未満では十分な抽出効果が得ら
れない。一方、この量が10モル倍を超えると効果が飽
和する。従って、好ましい通液量は4モル倍〜10モル
倍の範囲である。接触時間は1〜5分程度が好ましい。
短時間の連続接触を行うには、溶解液と抽出液を所定の
速度で向流接触させれば良い。このような高濃度で、か
つ短時間の接触時間で抽出処理することにより、パラジ
ウム以外の白金族元素の抽出を抑制しつつ、パラジウム
を選択的に90%以上の高い効率で抽出することができ
る。
【0018】上記抽出液として用いられるジアルキルス
ルフィド(DAS)の具体的な例としては、ジヘキシルスル
フィド、ジオクチルスルフィド、あるいはメチルデシル
スルフィド、t−ブチルデシルスルフィド等が挙げられ
る。
【0019】上記溶解液が白金族元素と共に金を含有す
る場合には、該溶解液に蓚酸等を加えて金を還元して析
出させるか、ジブチルカルビトール等のジアルキルカル
ビトールを用いて金を溶媒抽出する等の方法により予め
金を回収除去する。また溶解液中に白金族元素に伴って
ビスマスやテルル、セレンなどが溶存している場合、ジ
アルキルスルフィドに対するビスマスやテルル、セレン
等の抽出効果は極めて低いので、ジアルキルスルフィド
によるパラジウムの抽出には大きな影響がない。これは
白金の抽出工程において分離することができる。
【0020】(III)パラジウムの回収 上記抽出工程で得たパラジウムを含む有機相にはパラジ
ウムに随伴して微量の白金が溶存する場合があるので、
この抽出液を塩酸で洗浄し、随伴する白金を逆抽出して
除去する。なお、この白金を含む逆抽出液は白金の回収
工程に回送して白金を回収することができる。塩酸で洗
浄した上記パラジウムを含む有機相にアンモニア水を通
じて液中のパラジウムを水相に逆抽出し、更に、この逆
抽出液に塩酸を添加して塩化パラジウム酸アンモニウム
の沈澱を生成させ、該沈殿を回収して大気下で焙焼する
ことにより、スポンジ状の金属パラジウムを得ることが
できる。或いは、このような沈殿焙焼法に代えて、パラ
ジウムの逆抽出液にヒドラジン等の還元剤を添加し、液
中のパラジウムを直接に還元しても良い。この還元によ
り金属パラジウムが沈殿する。
【0021】(III)白金の抽出 以上のパラジウム抽出回収工程とは別に、パラジウムを
抽出除去した上記溶解液をトリブチル燐酸(TBP)に接触
させて、該溶解液に含まれるパラジウム以外の白金族元
素を抽出する。TBP(有機相)と溶解液(水相)との接触
時間は5〜10分、流量比はO/A=1/4〜4/1、T
BPの白金濃度20g/l程度が適当である。
【0022】ここで、溶解液に白金族元素と共にビスマ
スが溶存する場合、TBPには白金族元素と共にビスマ
スが随伴して抽出されるので、溶解液の塩酸濃度の調整
や抽出液(TBP)の塩酸洗浄により白金族元素とビスマス
とを分離する。トリブチル燐酸(有機相)に対するビスマ
スと白金の分配比は、これらを含有する溶解液(水相)の
塩酸濃度によって大きく異なり、ビスマスは1規定以下
の範囲で抽出効果が高く、3規定以下では分配比が大き
く低下する。一方、白金は4.0〜5.5規定の範囲にお
いて分配比が大きく、2規定以下では抽出効果が大幅に
低下する。そこで、溶解液の塩酸濃度を5規定程度に調
整してTBPを接触させることによりビスマスの抽出を
抑制して白金族元素の抽出を促すことができる。さら
に、抽出後のTBP液を4〜5.5規定の塩酸で洗浄す
ることにより白金に随伴して抽出されたビスマスイオン
を水相(塩酸)に移行させて有機相の白金族イオンから分
離することができる。
【0023】また、溶解液に白金族元素と共にテルルが
溶存する場合、TBPに対してテルルは白金と同様の分
配比を示すため、塩酸濃度の調整だけでは白金とテルル
を分離することができない。一方、メチルイソブチルケ
トン(MIBK)はテルルに対して選択的な抽出効果を示し、
共存する白金やビスマスは抽出されない。そこで、MI
BKを抽出液として用い、TBPによる抽出に先立って
MIBKによる抽出を行い、テルルを溶解液から分離す
る。MIBK(有機相)と溶解液(水相)との接触時間は5
〜10分、流量比はO/A=1/1が適当であり、溶解液
の塩酸濃度は5規定程度が適当である。なお、MIBK
によるテルルの抽出はジアルキルスルフィドによるパラ
ジウムの抽出に先立って行っても良い。
【0024】TBPによる白金族元素の抽出後、あるい
は以上のように5規定塩酸による洗浄後、更にTBPを
1規定程度の塩酸で洗浄することにより、白金族元素に
随伴してTBPに僅かに抽出された銅やセレンを水相に
移行させて有機相から分離する。
【0025】(IV)白金の回収 次に、上記TBP液に水または希薄塩酸を通じて液中の
白金族元素を水相に逆抽出し、この逆抽出液に塩化アン
モニウムを添加して塩化白金酸アンモニウムの沈澱を生
成させ、該沈殿を回収して大気下で焙焼することによ
り、金属状態の白金スポンジを得ることができる。或い
は、このような沈殿焙焼法に代えて、白金族元素の逆抽
出液にヒドラジン等の還元剤を添加し、液中の白金等を
直接に還元しても良い。この還元により金属状態の白金
が沈殿する。逆抽出後のTBP液は再び溶解液の抽出工
程に回送して再利用することができる。
【0026】
【発明の効果】本発明の上記回収方法によれば、白金族
元素を含む製錬残渣を効率良く溶解することができるの
で溶解時間が短い。また従来の溶解方法にみられた脱硝
等の後処理を行う必要がない。さらに、溶解工程から白
金族元素の回収に至る処理工程を連続的に行うことがで
き、短時間に抽出処理できるので処理効率が良い。ま
た、本発明の回収方法では、パラジウムがオスミウムや
ルテニウムなどの他の白金族元素から選択的に分離抽出
されるので、これらによる汚染が少ないパラジウムを回
収することができる。さらに、パラジウムが予め分離さ
れるので、パラジウムによる汚染の少ない白金を回収す
ることができる。また、白金族元素と共にビスマスやテ
ルルが溶存する場合にも、これらが効果的に分離除去さ
れるので不純物の少ない白金を回収することができる。
【0027】
【実施例】以下に本発明の実施例を示す。なお、これら
は例示であり本発明の範囲を限定するものではない。各
例の%は体積%である。
【0028】実施例1 白金族元素を含有する製錬残渣75gに5M塩酸150m
lを添加してスラリー状とした後、31%過酸化水素4
5mlを少量ずつ添加して白金族元素を浸出させた。浸出
液(溶解液)中の貴金属含有量は、Pd:92g/l、Pt:
28g/l、Au:2.5g/l、Os:0.1g/l、Ru:0.1g
/lであった。この浸出液100mlにジブチルカルビトー
ルを接触させてAuを析出除去した後に、ジヘキシルス
ルフィド(大八化学社製、商品名:SFI-6)70%−ケロシ
ン30%からなる抽出液を、浸出液(水相):抽出液(有
機相)=1:2の液量比で2分間接触させてPdを抽出
した。このパラジウム抽出液を分析したところ、Osと
Ruの含有量はいずれも検出限度以下であった。この抽
出液には微量のPtが検出されたが、希塩酸で洗浄する
ことにより検出限度以下まで除去された。引き続き、こ
の抽出液にアンモニア水を通じて水相にPdを逆抽出
し、この逆抽出液に塩化アンモニウムを加えて塩化パラ
ジウム(IV)酸アンモニウムを析出させた。この沈殿を回
収後、大気下で、900℃に焙焼することによりスポン
ジ状の金属Pd9.0g(回収率97.8%)を回収した。
回収したPdの純度は99.97%であった。一方、ジ
ヘキシルスルフィドを接触させた浸出液に100%濃度
のTBP液を接触させて白金を抽出し、さらに該白金を
含有するTBP抽出液に0.1N塩酸を通じて白金を逆
抽出し、これに塩化アンモニウムを加えて塩化白金(IV)
酸アンモニウムを析出させた。この沈殿を回収後、大気
下で、900℃に焙焼することによりスポンジ状の白金
2.7g(回収率:96.4%)を回収した。この白金の純度
は99.6%であった。
【0029】実施例2 白金族元素とビスマスを含有する製錬残渣75gに5M
塩酸150mlを添加してスラリー状とした後、31%過
酸化水素45mlを少量ずつ添加して白金族元素を浸出さ
せた。浸出液(溶解液)中の貴金属含有量は、Pd:92g
/l、Pt:28g/l、Au:2.5g/l、Os:0.1g/l、R
u:0.1g/lであった。この浸出液100mlにジブチル
カルビトールを接触させてAuを析出除去した後に、ジ
ヘキシルスルフィド(大八化学社製、商品名:SFI-6)70
%−ケロシン30%からなる抽出液を、浸出液(水相):
抽出液(有機相)=1:2の液量比で2分間接触させてパ
ラジウムを抽出した。このパラジウム抽出液を分析した
ところ、OsとRuの含有量はいずれも検出限度以下で
あった。この抽出液には微量のPtが検出されたが、希
塩酸で洗浄することにより検出限度以下まで除去され
た。引き続き、この抽出液にアンモニア水を通じて水相
にPdを逆抽出し、この逆抽出液に塩化アンモニウムを
加えて塩化パラジウム(IV)酸アンモニウムを析出させ
た。この沈殿を回収後、大気下で、900℃に焙焼する
ことによりスポンジ状の金属Pd9.0g(回収率97.8
%)を回収した。回収したPdの純度は99.6%であっ
た。一方、ジヘキシルスルフィドを接触させた浸出液を
塩酸濃度5規定に調整した後に、100%濃度のTBP
液を接触させて白金を抽出し、更にこのTBP液を5規
定塩酸で洗浄した。塩酸洗浄した上記TBP液を更に1
規定の塩酸で洗浄した後に、0.1規定塩酸を通じて白
金を逆抽出し、これに塩化アンモニウムを加えて塩化白
金(IV)酸アンモニウムを析出させた。この沈殿を回収
後、大気下で、900℃に焙焼することによりスポンジ
状の白金2.7g(回収率:96.4%)を回収した。この白
金の純度は99.6%であり、ビスマスは検出されなか
った。
【0030】実施例3 白金族元素、ビスマスおよびテルルを含有する製錬残渣
75gに5M塩酸150mlを添加してスラリー状とした
後、31%過酸化水素45mlを少量ずつ添加して白金族
元素を浸出させた。この浸出液(溶解液)中の貴金属含有
量は、Pd:92g/l、Pt:28g/l、Au:2.5g/l、
Os:0.1g/l、Ru:0.1g/lであった。この浸出液1
00mlにジブチルカルビトールを接触させてAuを析出
除去した後に、ジヘキシルスルフィド(大八化学社製、
商品名:SFI-6)70%−ケロシン30%からなる抽出液
を、浸出液(水相):抽出液(有機相)=1:2の液量比で
2分間接触させてPdを抽出した。このパラジウム抽出
液を分析したところ、OsとRuの含有量はいずれも検
出限度以下であった。この抽出液には微量のPtが検出
されたが、希塩酸で洗浄することにより検出限度以下ま
で除去された。引き続き、この抽出液にアンモニア水を
通じて水相にPdを逆抽出し、この逆抽出液に塩化アン
モニウムを加えて塩化パラジウム(IV)酸アンモニウムを
析出させた。この沈殿を回収後、大気下で、900℃に
焙焼することによりスポンジ状の金属Pd9.0g(回収
率97.8%)を回収した。回収したPdの純度は99.
6%であった。一方、ジヘキシルスルフィドに接触させ
た浸出液を塩酸濃度5規定に調整した後に、100%濃
度のメチルイソブチルケトンをO/A=1/1の液量比で
10分間接触させてテルルを抽出した。次いで、該浸出
液に100%濃度のTBP液を接触させて白金を抽出
し、さらに、このTBP液を5規定塩酸で洗浄した。塩
酸洗浄した上記TBP液をさらに1規定の塩酸で洗浄し
た後に、0.1規定塩酸を通じて白金を逆抽出し、これ
に塩化アンモニウムを加えて塩化白金(IV)酸アンモニウ
ムを析出させた。この沈殿を回収後、大気下で、900
℃に焙焼することによりスポンジ状の白金2.7g(回収
率:96.4%)を回収した。この白金の純度は99.6%
であり、テルルおよびビスマスは検出されなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る回収方法の工程図

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 白金族元素を含有する製錬残渣に、塩酸
    存在下で過酸化水素を導入し白金族元素を塩化物錯体に
    転化して塩酸に溶解し、該溶解液に、濃度40vol%以
    上のジアルキルスルフィドを含有する抽出液を、単位時
    間あたり、溶解液中のパラジウム量に対して4モル倍以
    上のジアルキルスルフィド量となる範囲で、かつ数分以
    内の接触時間で連続的に接触させてパラジウムを他の白
    金族元素から選択的に抽出し、次いで該抽出液中のパラ
    ジウムを水相に逆抽出した後に該逆抽出液からパラジウ
    ムを回収することを特徴とする製錬残渣からの貴金属回
    収方法。
  2. 【請求項2】 白金族元素を含有する製錬残渣に、塩酸
    存在下で過酸化水素を導入し白金族元素を塩化物錯体に
    転化して塩酸に溶解し、該溶解液に濃度40vol%以上
    のジアルキルスルフィドを含有する抽出液を、単位時間
    あたり、溶解液中のパラジウム量に対して4モル倍以上
    のジアルキルスルフィド量となる範囲で、かつ数分以内
    の接触時間で連続的に接触させてパラジウムを他の白金
    族元素から選択的に抽出し、次いで、パラジウムを抽出
    除去した水相にトリブチル燐酸を連続的に接触させて白
    金を抽出し、さらに該白金を水相に逆抽出した後に該逆
    抽出液から白金を回収することを特徴とする製錬残渣か
    らの貴金属回収方法。
  3. 【請求項3】 白金族元素と共に金を含有する製錬残渣
    を塩酸に溶解した後に金を還元析出ないし溶媒抽出によ
    り除去し、次いでパラジウムを選択的に抽出する請求項
    1または2に記載する貴金属回収方法。
  4. 【請求項4】 白金族元素と共にビスマスを含有する製
    錬残渣を塩酸に溶解し、パラジウムを抽出除去した後に
    トリブチル燐酸抽出液を連続的に接触させて白金を抽出
    させ、次いで該抽出液を4.0〜5.5規定の塩酸で洗浄
    することにより白金に随伴するビスマスを抽出液から除
    去して白金を回収する請求項1〜3のいずれかに記載す
    る貴金属回収方法。
  5. 【請求項5】 白金族元素と共にテルルを含有する製錬
    残渣を塩酸に溶解した後に、該溶解液にメチルイソブチ
    ルケトンを接触させてテルルを抽出除去し、次いでパラ
    ジウムを選択的に抽出除去した水相にトリブチル燐酸連
    続的に接触させて白金を抽出する請求項1〜4のいずれ
    かに記載の貴金属回収方法。
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