JP2010534719A - 沈殿化による抗体精製方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、抗体の精製方法に関する。本発明の目的は、1種または複数種の抗体を含有する溶液から抗体を単離する方法であって、抗体を沈殿させるステップと、固体沈殿物を洗浄緩衝液で洗浄するステップとを含む方法を提供することである。抗体は、PEG溶液またはリン酸ナトリウムを用いることによって沈殿させることが好ましい。

Description

本発明は、抗体の精製方法に関する。本発明の目的は、1種または複数種の抗体を含有する溶液から抗体を単離する方法であって、抗体を沈殿させるステップと、固体沈殿物を洗浄緩衝液で洗浄するステップとを含む方法を提供することである。抗体は、PEG溶液またはリン酸ナトリウムを用いることによって沈殿させることが好ましい。
タンパク質は、一般的に「生物製剤」とも呼ばれる薬物として、商業的に重要となってきている。最も大きな課題の1つは、工業規模でタンパク質を精製するための費用効率に優れており、かつ効率的な方法の開発である。現在、多くの方法がタンパク質の大規模調製に利用可能であるが、体液または細胞収集物などの未精製物は、所望の産物だけでなく、不純物も含有しており、それらを所望の産物から分離することが困難である。さらに、タンパク質の生物供給源は通常、物質の複雑な混合物を含有している。
所望のタンパク質産物を発現する細胞から得られた細胞培養条件培地などの生物供給源は、とりわけ細胞が無血清培地中で培養される場合、少量の不純物しか含有していない可能性がある。しかし、保健当局は、ヒト投与用に意図されているタンパク質には、純度に関する高い基準を要求する。加えて、多くの精製方法が、低pHもしくは高pH条件、高塩濃度、または所与のタンパク質の生物活性を危うくしうる他の極端な条件の適用を必要とするステップを含有しうる。
したがって、いかなるタンパク質に関しても、そのタンパク質の生物活性を保持しながら、十分な純度を可能にする効率的な精製方法を確立することが課題となる。
タンパク質精製は通常、少なくとも3つの相またはステップ、すなわち、所望のタンパク質を、DNAおよびRNAなど、その流体中に存在している他の成分から分離し、その結果、理想的には予備精製ももたらす捕捉ステップと、サイズおよび/または物理的/化学的特性が類似している夾雑物から上記タンパク質を単離する中間ステップと、最後に、例えば、ヒトまたは動物での治療投与用に意図されているタンパク質に要求されている高レベルの純度を結果としてもたらすポリッシングステップとを含む。
通常、タンパク質精製ステップは、所与の流体中に存在する化合物のクロマトグラフィー分離に基づく。広範に適用されているクロマトグラフ法は、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーまたは逆相クロマトグラフィーである。
抗体または免疫グロブリンは、哺乳動物、魚、トリおよび他の動物の天然存在の免疫系の一部を形成する重要な一クラスのタンパク質である。抗体は、外来の薬剤、物質、およびウイルスまたは細菌感染に応答し、宿主動物に与えられた脅威を、免疫系が低減または排除するのを補助する。抗体は通常、特定の物質または感染型(抗原)に対して産生される。抗体と、その抗原標的との間の親和性は、高度に特異的であり、かつ極めて強い。
抗体は、様々な使用のためにin vivoまたはin vitroで製造することもできる。これらの使用の一部には、特定の物質、ウイルスもしくは細菌の診断用検査室試験、または特定の標的に対する指向性を有する医薬物質(またはワクチン)として投与する目的での使用が含まれうる。
抗体は、多くの方法で産生できる。1つの方法は、対象とする抗原に対する抗体を生産するのに、その動物それ自体の免疫系を用いる目的で、マウスまたはウサギなどの宿主動物をその抗原に曝露することである。抗体は、動物それ自体の体液または組織から精製される。別の生産方法は、細胞培養によって抗体をつくることである。ヒト用の医薬品またはワクチン使用に供する抗体は、細胞培養法によってつくることが望ましい。
抗体の細胞培養生産法においても動物生産法においても、抗体は通常、他の種類のタンパク質、糖質、脂質および他の分子を含む混合物中に存在している。したがって、意図されている目的に有用となるためには、抗体は精製されなければならない。
工業的状況と同様に、実験的状況でも、抗体の最も一般的な精製方法は、アフィニティークロマトグラフィーを用いたものである。詳細には、プロテインA、プロテインGまたは同様のものを用いたアフィニティークロマトグラフィーが使用される。プロテインAおよびプロテインGは、抗体に高い特異性を有し、強力かつ可逆的に抗体に結合する分子である。プロテインAまたはプロテインGは、通常、アガロースまたはセファロースなど、カラム内に詰め込むことができる樹脂ビーズの不活性マトリックスに化学結合/共有結合している。とりわけプロテインAは、工業規模で抗体を精製するのに、バイオテクノロジー産業で広く用いられている。市販されているプロテインAクロマトグラフィー媒体の例は、GE Healthcare(Pollards Wood、Nightingales Lane、Chalfont St Giles、Buckinghamshire、UK)から利用可能なmAb Select(商標)媒体である。
プロテインAクロマトグラフィー操作を実施する場合、通常、カラムをpH中性の緩衝液中で平衡化させる。その後、細胞培養または動物体液から得られた、無細胞の抗体含有未精製混合物をカラムに通す。抗体はプロテインAに結合し、カラムに保持されるが、廃棄物および夾雑物はカラムを通り抜ける。産物添加の後、抗体含有カラムをpH中性の緩衝液で洗浄し、その後、酸性緩衝液で溶出させ、抗体を含有する酸性液流を産することができる。
プロテインA、プロテインGおよび他のアフィニティークロマトグラフィー操作の使用に関連したいくつかの問題がある。1つの欠点は、費用である。アフィニティークロマトグラフィー樹脂の費用は、しばしば、イオン交換など、他のタイプのクロマトグラフィーのものより、何桁か高い。さらに、プロテインA分子およびプロテインG分子は、時々、樹脂から抗体産物中に浸出し、かつ毒性である。それゆえ、いかなる浸出液も除去およびモニターするために、プロテインAおよびGの除去処理などの追加処理ステップ、ならびに制御処置およびアッセイを行わなければならない。さらなるマイナス面は、クロマトグラフィー樹脂上での抗体の最大添加量がしばしばかなり低い(樹脂1リットルあたり何十グラムかの抗体)ということである。
これらのアフィニティー樹脂の抗体結合容量が低いことは、現在および将来の両方において、製造プラントのボトルネックを生むことになりうる。これらの方法に関する研究開発が続くにつれて、細胞培養系で生産される抗体の量は増大している。それゆえ、製造プラントのプロテインAカラムに送られる抗体の量は将来、増大するであろう。これらのプラントにおけるプロテインAカラムの直径は現在、最大に達しつつあるので、プラントにとっての唯一の代替手段は、生産速度を落とすか、または追加のプロテインAプラント能力に大きく投資するかのいずれかかであるが、後者はかなりの資本投資が必要となる。したがって、収率および純度に関して、現在用いられているプロテインAクロマトグラフィーと同等であるか、それよりよい成績を与える、アフィニティークロマトグラフィー方法の代替手段が強く望まれている。
他のタイプのクロマトグラフィーを用いる方法は、そのような方法が、プロテインAによって排除されたのと同じだけの量の不純物、とりわけ、完全に組み立てられた抗体分子の構成要素である除去困難な重鎖および軽鎖を除去しないので、あまり魅力的でない。さらに、すべてのタイプのクロマトグラフィーは、容量およびカラムサイズの上限を有する。したがって、将来的な方法に要求されているようなタイプの拡張性を提供しないであろう。
モノクローナル抗体の処理技術として、持続処理は、生産設備用資本支出の低減を含めた、バッチ処理を上回る実質的な利益を提供しうる。モノクローナル抗体(プロテインAクロマトグラフィー)の現在の精製処理技術は、それらに持続生産性を与えるのがあまり容易でない。詳細には、これらのアフィニティー樹脂の抗体結合容量が低いことの結果として、製造プラントにおけるボトルネックが生じている。
したがって、現在用いられている抗体精製方法をさらに洗練させて、それを持続処理フォーマットに移行させる方法を見出すことが望ましい。
抗体精製方法からプロテインAを排除し、沈殿/洗浄系を使用して置換することができる方法がついに見出された。ポリエチレングリコール(PEG)またはリン酸緩衝液を用いた沈殿化によって、抗体および他のタンパク質は、強制的に溶液から外に出され、固相中に入り、一方、他の夾雑物は可溶性のまま残る。その後、異なった組成のいくつかの洗浄ステップで沈殿物を洗浄して、重鎖および軽鎖不純物を含めた様々な夾雑物を除去することができる。
PEGは、古典的なクロマトグラフィー精製方法に代わる手段として、文献(Andrews BA、Nielsen S、Asenjo JA、「Partitioning and purification of monoclonal antibodies in aqueous two−phase systems」、Bioseparation 1996;6(5):303−13)に開示されている水性二相抽出系で既に使用されている。
しかし、生体物質の分配を支配する作用機序は、未だによく理解されていない。それは、相形成重合体の濃度および分子量、塩のタイプおよび量、ならびに添加物(通常無機塩)のタイプおよび濃度などの多くの因子に依存している。したがって、所与のタンパク質を所与の供給源から精製するのに適した水性二相抽出系を見出すことは極めて困難である。
同様に、Brooksら(Journal of Immunological Methods、155巻(1992)、129〜132頁)は、ハイブリドーマ培養上清からマウスモノクローナル抗体を精製する方法を開示する。上記方法は、PEG6000で抗体を沈殿させ、遠心分離によってペレットを回収し、最後に、溶解したペレットから得られた抗体を、飽和硫酸アンモニウムを用いることによって再沈殿させるものである。この沈殿化方法は、免疫グロブリンの濃縮調製物を提供するが、このようにして得られる収率および純度レベルの低さは、最高の純度が要求される、患者における治療適用には適さない。適切なレベルの純度に達するには、さらなる古典的クロマトグラフィー精製方法が必要であろう。
さらに、上記のBrooksの方法では、精製するべき抗体が数回の変化(液体から沈殿物に、次に溶解され、それに続いて再沈殿化)を受けており、これによって、凝集または切断の危険性が増大し、抗体の構造および機能が不適切に影響を受ける可能性がある。
最後に、PEGを用いる精製方法は、依然としてヒト抗体で試験する必要があり、治療用モノクローナル抗体を製造するための、より大きな工業規模に適合させるには、いくつかの修正が必要であろう。
治療適用が意図されているタンパク質は、構造の面でも(例えば凝集も切断もない)、機能の面でも共に完全に機能的なままでなければならないということもあるので、いかなる変化でも、その方法を、患者における治療適用に適さないものにしうる。
したがって、上記方法の代替手段であって、ただし、収率および純度に関して、現在使用されているプロテインAクロマトグラフィーと同等であるか、それよりよい成績を与える手段が強く望まれている。
従来技術の方法の上記マイナス面を克服するために、本発明の方法は、沈殿した抗体固体を洗浄し、固相中に抗体を保持し、様々な洗浄緩衝液を用いるものであり、よい収率で高度に精製された抗体産物を得る。
抗体を単離および/または精製する、本発明の方法では、いまや、驚いたことに、沈殿抗体固体を洗浄して、重鎖および軽鎖不純物を含めた様々な夾雑物を除去できることが見出されている。本発明は、本明細書において沈殿物と定義されている沈殿抗体固体を洗浄すること、固相中に抗体を保持すること、洗浄緩衝液を使用することを可能にする。本発明の方法は、収率および純度の両方に関して高効率かつ高成績で、様々な種類の抗体の単離および/または精製に使用できる。さらに、本発明の方法は、治療用モノクローナル抗体を製造するための、より大きな工業規模に求められる厳格かつ水準の高い要求を満足させるものである。
本発明は、ポリエチレングリコール/リン酸ナトリウムの二相系において、モノクローナル抗体の大部分が液液界面における固体として分配されるという発見に基づいている。次に、沈殿物中のモノクローナル抗体と、可溶性のまま残る重鎖/軽鎖夾雑物との間に分離があったことが見出された。
したがって、第1の態様では、本発明は、流体から抗体を単離する方法であって、(a)PEGおよびリン酸ナトリウムを含む沈殿化溶液を用いて抗体を沈殿させるステップと、(b)抗体を固相中に保持するのに適した濃度のPEGおよびリン酸ナトリウムを含む洗浄溶液で、ステップa)の沈殿物を洗浄するステップとを含む方法に関する。
概して、本発明の方法は、単純なアフィニティークロマトグラフィー法より多く方法ステップの排除を可能にする。
本発明の第2の態様は、本発明による方法によって得ることができるバルク抗体調製物に関する。
本発明の第3の態様は、本発明のバルクから得ることができる抗体製剤に関する。
さらに別の実施形態では、本発明の方法は、他の、細胞培養によって生産される非抗体タンパク質およびそれらの精製を用いる作業にまで及ぶ。
定義および一般技術
本明細書中で別段に定義されない限り、本発明に関連して使用する科学用語および技術用語は、当業者によって一般的に理解されている意味を有するものとする。さらに、文脈が別段のことを要求しない限り、単数形の用語には複数が含まれるものとし、複数形の用語には単数が含まれるものとする。概して、本明細書で記載する細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、ならびにタンパク質および核酸の化学およびハイブリダイゼーションに関連して使用される用語およびこれらの技術は、よく知られており、当技術分野で一般的に使用されているものである。
本発明の方法および技術は、別段の指示がない限り、当技術分野でよく知られており、かつ本明細書全体で引用され、論じられている様々な一般的参考文献またはより専門的な参考文献に記載されている従来法に従って通常行われる。例えば、参照によりその開示が本明細書に組み込まれている、Sambrookら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(2000);Ausubelら、「Short Protocols in Molecular Biology:A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology」、Wiley,John & Sons,Inc.(2002);HarlowおよびLane、「Using Antibodies:A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(1998);ならびにColiganら、「Short Protocols in Protein Science」、Wiley,John & Sons,Inc.(2003)。酵素反応および精製技術は、製造者の指示に従って、当技術分野で一般的に遂行されている通りに、または本明細書に記載の通りに行われる。本明細書で記載する、分析化学、合成有機化学ならびに医薬および製薬化学に関連して使用される用語ならびにこれらの実験室手順および技術は、よく知られており、当技術分野で一般的に使用されているものである。化学合成、化学分析、医薬品の調製、処方および送達、ならびに患者の治療には、標準技術が使用される。
基本的抗体構造単位は四量体を含むことが知られている。各四量体は、2つの同一なポリペプチド鎖対から構成されており、各対は、1本の「軽鎖」(約25kDa)および1本の「重鎖」(約50〜70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、主として抗原認識の原因となる約100〜120アミノ酸以上の可変領域を含有している。各鎖のC末端部分は、主としてエフェクター機能の原因となる定常領域を画定している。ヒト軽鎖は、κ軽鎖とλ軽鎖とに分類される。重鎖は、μ、δ、γ、αまたはεに分類され、それぞれ、その抗体のアイソタイプをIgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEに規定する。軽鎖および重鎖の中で、可変領域および定常領域は、約12アミノ酸以上の「J」領域によって連結されており、重鎖は、約3アミノ酸以上の「D」領域も含有する。大まかには、「Fundamental Immunology」、第7章(Paul,W.編集、第2版、Raven Press、N.Y.(1989))(参照によりこの開示をすべての目的に関して全体として本明細書に組み込む)を参照のこと。各重鎖/軽鎖対の可変領域(VHおよびVL)が抗体結合部位を形成する。したがって、完全なIgG抗体は、例えば、2箇所の結合部位を有する。二機能性抗体または二重特異性抗体を除いて、これら2箇所の結合部位は同一である。
重鎖および軽鎖の可変領域は、比較的よく保存されているフレームワーク領域(FR)が、相補性決定領域またはCDRとも呼ばれる3箇所の高頻度可変領域によって連結されている同じ一般構造を示す。「可変」という用語は、可変ドメインにおける特定の部分が、抗体間で著しく異なる配列を有し、特定の抗体それぞれによる、その特定の抗原への結合および特異性に用いられるという事実を指す。しかし、可変性は、抗体の可変ドメイン内で均等に分布しているのではなく、複数のCDRに濃縮されており、それらは、保存性がより高いFRによって分離されている。各対における2本の鎖からのCDRがFRによって位置合わせされ、これにより特異的なエピトープへの結合が可能となる。N末端からC末端に向けて、軽鎖も重鎖も共に、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4ドメインを含む。各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、「Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest」(National Institutes of Health、Bethesda、Md(1987年および1991年))、ChothiaおよびLesk、J.Mol.Biol.196:901−917(1987);Chothiaら、Nature 342:878−883(1989)の定義に従っている。
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、免疫グロブリンと同義であり、当技術分野で一般的に知られているように理解するべきである。詳細には、抗体という用語は、その抗体を産生するいかなる特定の方法によっても限定されない。例えば、抗体という用語には、限定されるものではないが、組換え抗体、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体が含まれる。本発明で用いられる抗体は、いかなるクラスまたはサブクラスの抗体でもよい。さらに、それは、精製出発物質の純度にかかわらずに用いられうる。例には、天然ヒト抗体、遺伝的組換えによって調製されるヒト化抗体およびヒト型抗体、ならびにマウスのモノクローナル抗体が含まれる。産業上の観点からは、ヒト化およびヒト型のモノクローナル抗体が最も有用である。
抗体の「抗原結合部分」(または単に「抗体部分」)という用語は、本明細書で使用される場合、抗原に特異的に結合する能力を保持している、抗体の1つまたは複数の断片を指す。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体の断片によって遂行されうることが示されている。抗体の「抗原結合部分」という用語に包含される結合断片の例には、(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価断片であるFab断片と、(ii)ヒンジ領域のジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab’)2断片と、(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片と、(iv)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFvフラグメントと、(v)VHドメインからなるdAb断片(Wardら(1989)、Nature、341:544−546)と、(vi)単離された相補性決定領域(CDR)とが含まれる。
本明細書で本発明に関連して「抗体」が言及される場合、その抗原結合部分も使用できるということを理解するべきである。抗原結合部分は、特異的な結合に関して、完全な抗体と競合する。大まかには、「Fundamental Immunology」、第7章(Paul、W.編集、第2版、Raven Press、N.Y.(1989))(参照によりこの開示をすべての目的に関して全体として本明細書に組み込む)を参照のこと。抗原結合部分は、組換えDNA技術によって産生されたものでも、完全な抗体の酵素的または化学的の切断によって産生されたものでもよい。一部の実施形態では、抗原結合部分には、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、Fv、dAbおよび相補性決定領域(CDR)断片、一本鎖抗体(scFv)、キメラ抗体、ダイアボディ、ならびにそのポリペプチドに特異的抗原結合性を与えるのに十分な、抗体の少なくとも一部分を含有するポリペプチドが含まれる。1つまたは複数の結合部位を有する実施形態では、それらの結合部位が、相互に同一であっても、異なっていてもよい。
本明細書で使用される場合、「ヒト抗体」という用語は、可変ドメインおよび定常ドメインの配列がヒト配列である任意の抗体を意味する。この用語には、ヒト遺伝子に由来するが、例えば、潜在的免疫原性の低減、アフィニティーの増大、および望ましくないフォールディングを引き起こしうるシステインの除去などのために、改変されている配列を有する抗体も包含される。この用語には、ヒト細胞に典型的でないグリコシル化を与えうる非ヒト細胞で組換え産生されたそのような抗体も包含される。これらの抗体は、以下に記載する様々な方法で調製できる。
「キメラ抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、異なった種に由来する抗体を含めた、2つ以上の異なった抗体の領域を含む抗体を意味する。
本明細書で使用される場合、「ヒト化抗体」という用語は、非ヒト種の抗体配列に特徴的なアミノ酸残基が、ヒト抗体における対応する位置に見出される残基で置換されている非ヒト起源の抗体を指す。この「ヒト化」処理は、その結果得られる抗体の、ヒトでの免疫原性を低減すると考えられている。非ヒト起源の抗体は、当技術分野でよく知られている技術を用いてヒト化できることが理解されるであろう。例えば、Winterら、Immunol.Today 14:43−46(1993)を参照のこと。組換えDNA技術によって、対象とする抗体を操作して、CH1、CH2、CH3、ヒンジドメインおよび/またはフレームワークドメインを対応するヒト配列で置換してもよい。例えば、WO92/02190、ならびに米国特許第5,530,101号、第5,585,089号、第5,693,761号、第5,693,792号、第5,714,350号および第5,777,085号を参照。本明細書で使用される場合、「ヒト化抗体」という用語には、その意味の中に、キメラヒト抗体およびCDR移植抗体が含まれる。本発明のキメラヒト抗体は、非ヒト種抗体のVHおよびVLドメインと、ヒト抗体のCHおよびCLドメインとを含有する。本発明のCDR移植抗体は、ヒト抗体のVHおよびVLのCDRを、ヒトではない動物の抗体のVHおよびVLのCDRでそれぞれ置換した結果として生じる。
「単離抗体」という用語は、その起源または派生源により、(1)その天然状態でそれに随伴している天然共在成分と共在していない抗体、または(2)同一種由来の他のタンパク質を含まない抗体である。
「in vitro」とは、人工的環境、例えば、限定されるものではないが、試験管内または培養培地中で行われた手順を指す。
「in vivo」とは、限定されるものではないが、マウス、ラットまたはウサギなど、生物の体内で行われた手順を指す。
「ポリエチレングリコール」(PEG)は、一般式H−(OCHCH−OH(式中、n>4である)の親水性、生体適合性かつ無毒の水溶性重合体である。その分子量は、200から60000ダルトンまで様々である。
抗体は、宿主細胞内で免疫グロブリンの軽鎖遺伝子および重鎖遺伝子を組換え発現することによって調製できる。例えば、抗体を組換え発現するために、軽鎖および重鎖が宿主細胞内で発現され、好ましくはさらに、宿主細胞がその中で培養されており、かつ抗体をそこから回収できる培地中に分泌されるように、抗体の免疫グロブリン軽鎖および重鎖をコードするDNA断片を保持する1種または複数種の組換え体発現ベクターで、宿主細胞に形質移入する。参照によりその開示が本明細書に組み込まれている、Sambrook、FritschおよびManiatis(編集)、「Molecular Cloning;A Laboratory Manual」、第2版、Cold Spring Harbor、N.Y.(1989)、Ausubel,F.M.ら(編集)、「Current Protocols in Molecular Biology」、Greene Publishing Associates(1989)、および米国特許第4,816,397号に記載のものなど、標準的な組換えDNA方法を用いて、抗体重鎖遺伝子および軽鎖遺伝子を得、これらの遺伝子を組換え体発現ベクターに組み込み、それらのベクターを宿主細胞内に導入する。
「バルク抗体調製物」という用語は、生物学的産物の構成要素として使用することが意図されている抗体物質を指す。これらには、組換えDNA法または他の生物工学的方法、および天然源からの単離/回収などの方法によって製造される物質が含まれる。詳細には、それは、本発明の方法によって得ることができ、かつ任意のさらなる精製または処方ステップの前の抗体産物を指す。好ましい実施形態では、バルク抗体調製物は、再構成緩衝液中に溶解されているか、または溶解されていない、洗浄された固体沈殿物を示す。
「抗体調製物のバッチ」という用語は、1つまたは一連の工程で、詳細には本発明の方法によって生産され、それゆえ特定の制限内で均質であると予測されている特定量のバルク抗体調製物を指す。持続生産の場合、バッチは、その意図されている均質性を特徴とする、生産の特定の部分に対応しうる。バッチサイズは、一定量または一定時間間隔で生産される量によって定義できる。
「抗体製剤」という用語は、本発明の方法によって得られた抗体または得ることができる抗体と、さらなる賦形剤とを含む製剤を指す。バルク抗体調製物は、薬学的に許容できる担体媒体との混合物中に抗体が混合される、薬学的に有用な組成物を調製する既知な方法に従って処方できる。適した媒体およびそれらの処方は、例えば、「REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES」(第18版、Alfonso R.Gennaro編集、Easton、Pa.:Mack Pub.Co.、1990)に記載されている。効果的な投与に適した薬学的に許容できる組成物を生成するために、そのような組成物は、適量の担体媒体と共に、1種または複数種の本発明の抗体を有効量含有する。
活性化合物の放出制御が得られるように、調製物を適切に処方することができる。放出制御調製物は、重合体を使用して、抗体と複合体を形成させるか、抗体を吸収させることを通して実現できる。制御送達は、放出を制御するために適切な高分子(例えば、ポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニル、ピロリドン、エチレン酢酸ビニル、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたは硫酸プロタミン)および高分子の濃度、ならびに組込み方法を選択することによって遂行できる。放出制御調製物によって作用時間を制御する別の潜在的方法は、ポリエステル、ポリアミノ酸、ヒドロゲル、ポリ(乳酸)またはエチレン酢酸ビニル共重合体などの重合物質の粒子内に抗体を組み込むことである。代替として、これらの薬剤を重合体粒子に組み込む代わりに、例えば、コアセルベーション技術によって、もしくは界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチンマイクロカプセル、およびポリ(メタクリル酸メチル)マイクロカプセルの中に、またはコロイド薬物送達系、例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子およびナノカプセルの中に、またはマクロエマルションの中に、これらの物質を捕捉することが可能である。そのような技術は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」(1980)に開示されている。
本発明の調製物は、注射、例えばボーラス注射または持続注入による非経口投与用に処方できる。注射用製剤は、添加された保存剤を伴う単位剤形で、例えば、アンプルまたは多用量容器中に提供することができる。組成物は、油性もしくは水性媒体中の懸濁液、溶液、またはエマルションなどの形態を取ることができ、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤などの処方剤を含有できる。代替として、活性成分は、使用する前に適した溶媒、例えば発熱因子を含まない滅菌水で構成させるのに用いる粉末形態であってもよい。
ベースライン沈殿方法のダイヤグラムである。 大規模持続沈殿方法のダイヤグラムである。 ベースライン(2mg/ml)沈殿実験のSDS−PAGE電気泳動を示す図である。 生理活性の比較競合結合アッセイ(ELISA)を示す図である。 抗CTLA4沈殿実験の非還元SDS−PAGE分析を示す図である。 IGF1R沈殿実験の非還元SDS−PAGE分析を示す図である。
本発明は、ポリエチレングリコール/リン酸ナトリウムの二相系において、モノクローナル抗体の大部分が液液界面における固体として分配されるという発見に基づいている。次に、沈殿物中のモノクローナル抗体と、可溶性のまま残る重鎖/軽鎖夾雑物との間に分離があったことが見出された。PEGおよび/またはリン酸ナトリウムの希薄溶液条件下において、抗体は可溶性である。PEGおよび/またはリン酸ナトリウムの適切な濃度において、抗体は、不溶性となり、固相中で存在しうる。
本発明は、流体から抗体を単離する方法であって、(a)PEGおよびリン酸ナトリウムを含む沈殿化溶液を用いて抗体を沈殿させるステップと、(b)抗体を固相中に保持するのに適した濃度のPEGおよびリン酸ナトリウムを含む洗浄溶液で、ステップa)の沈殿物を洗浄するステップとを含む方法に関する。
本発明によれば、この方法が、収率および純度に関して高効率および高成績での、抗体の単離を提供する限り、沈殿化溶液または洗浄溶液中のPEGおよびリン酸ナトリウムの適切な濃度は、抗体を固相中に保持するのに適したいかなる濃度でもよい。加えて、沈殿化および固体mAbの洗浄に、限定されるものではないが、リン酸カリウムおよび他のリン酸塩、酢酸ナトリウムおよび他の酢酸塩、硫酸ナトリウムおよび他の硫酸塩などを含めた、PEGまたはリン酸ナトリウムの代替物を用いることによって、同じ処理成績が実現されうることを理解するべきである。
抗体またはタンパク質を強制的に固相中に存在させるのに必要なPEGおよび/またはリン酸塩の濃度は、抗体またはタンパク質のタイプ、pH、温度、他の溶液成分(NaCl、溶液塩、他の試薬および不純物)の濃度を含めた、多くの因子に依存する。抗体を固相中に保持するのに適切な、沈殿化溶液中または洗浄溶液中のPEGおよびリン酸ナトリウムの濃度は、当業者の知識と併せて、本明細書に提示する教示および教導に照らして、当業者が解釈するべきものであることを理解するべきである。
本発明の好ましい実施形態では、一定の攪拌および一定流量の下で流体を沈殿化溶液に添加する。
本発明のさらに別の実施形態では、上記方法は、沈殿化ステップ(a)の沈殿物またはステップ(b)の洗浄された沈殿物を回収するステップをさらに含む。
本発明の好ましい実施形態では、上記回収するステップが、少なくとも1枚のフィルター上に沈殿物を捕捉することを含む。限定されるものではないが、「フィルター」という用語には、廃棄される溶液または緩衝液が通過する一方で、固体抗体を捕捉するように適応したデプスフィルターまたは任意の適切なフィルターが含まれると理解するべきである。
極めて好ましい実施形態では、上記回収するステップが、連続して用いられる2枚のフィルター、好ましくはデプスフィルター上に沈殿を捕捉することを含む。第1のデプスフィルターが、より目の粗い細孔構造を有し、第2のデプスフィルターが、より目の詰まった細孔構造を有することが好ましい。第1のデプスフィルターが約0.2〜1.0ミクロンの細孔構造を有し、第2のデプスフィルターが約0.1〜0.5ミクロンの細孔構造を有することがより好ましい。許容できるデプスフィルターの一例は、CUNO Limited(3M Centre、Bracknell、Berkshire、UK)から入手可能な50SPおよび90SPグレードである。少なくとも1枚のデプスフィルターを通して洗浄溶液を流すことも有利である。
特定の実施形態では、沈殿物が遠心分離によって回収される。
この単離方法の特定の実施形態では、上記沈殿化ステップが少なくとも2回反復される。さらに別の実施形態では、上記洗浄ステップb)が少なくとも2回反復される。1回の沈殿化ステップが好ましいが、本発明の方法のステップは、何回反復してもよい。
好ましい実施形態では、沈殿物を少なくとも2回の連続した洗浄で洗浄する。特定の実施形態では、6回の連続した洗浄が実施される。数回の洗浄が実施される場合、必要ではないが、洗浄ステップの1つで使用される洗浄溶液、好ましくは第1の洗浄溶液が沈殿化溶液と同一であることが好ましい。
数回の洗浄が実施される場合、洗浄ステップの1つの洗浄溶液が沈殿化溶液と同一であることが有利でありうる。
好ましい実施形態では、本発明の方法は、沈殿物を再構成緩衝液中に溶解させるステップ(c)をさらに含む。極めて好ましい実施形態では、上記溶解ステップ(c)が、少なくとも1枚のデプスフィルターを通して再構成緩衝液を流すことによって実現される。
沈殿化、洗浄、または溶解ステップに関連して上述されたフィルター、詳細にはデプスフィルターは、上記方法のいずれのステップの後またはステップ中に固体抗体または沈殿物を回収するのに用いてもよく、数枚の別々のフィルターを、本発明の方法の各ステップで用いてもよいことが理解されている。
本発明の方法の好ましい実施形態では、沈殿化溶液のPEG濃度または洗浄溶液のPEG濃度が、20%(w/w)〜50%(w/w)、好ましくは25〜35%(w/w)、より好ましくは28%(w/w)である。そのような好ましい実施形態では、沈殿化溶液または洗浄溶液のリン酸ナトリウム濃度が25mM〜200mM、好ましくは100mMである。
本発明の方法の好ましい実施形態では、沈殿化溶液のPEG濃度または洗浄溶液のPEG濃度が、1%(w/w)未満は、好ましくは0.3%(w/w)である。そのような好ましい実施形態では、上記溶液のリン酸ナトリウム濃度が1M〜3M、好ましくは1.5Mである。
本発明のさらに別の好ましい実施形態では、沈殿化溶液のPEGおよび/または洗浄溶液のPEGが、200〜10,000ダルトン、好ましくは800〜3000ダルトン、好ましくは1450ダルトンの分子量を有する。
本発明の方法の好ましい実施形態では、沈殿化溶液または洗浄溶液の塩化ナトリウムの濃度が10%(w/w)未満である。極めて好ましい実施形態では、上記溶液の塩化ナトリウム濃度が0%(w/w)、2%(w/w)または4%(w/w)である。
さらに別の好ましい実施形態では、沈殿化溶液のpHおよび洗浄溶液のpHが、3〜10、好ましくは4〜7、より好ましくは6である。
好ましい実施形態では、沈殿化溶液に添加される抗体の濃度が、1g/l〜8g/l、好ましくは2g/lまたは5.5g/lである。
一実施形態では、抗体を含有する流体は細胞培養物であり、細胞は、限定されるものではないが、遠心分離、濾過、クロスフロー濾過またはこれらの組合せを含めた様々な方法によって、培養物から除去される。
好ましい実施形態では、精製されるべき抗体を含有する流体は細胞培養収集物である。細胞および破片は、限定されるものではないが、遠心分離、濾過、クロスフロー濾過またはこれらの組合せを含めた、様々な方法によって培養収穫物から除去できる。好ましくは、上記流体が限外濾過され、沈殿化溶液または洗浄溶液と混合されうる。上記流体は、清澄化された細胞培養収集物であることがより好ましい。
本発明の極めて好ましい実施形態では、上記流体中の抗体の濃度が1〜10g/lである。流体中の初期沈殿前抗体濃度は、本発明の方法の終わりに実現できる最終純度に関係しうる。
さらに別の極めて好ましい実施形態では、本発明の方法のいかなるステップでも、硫酸アンモニウムが使用されない。
本発明の第2の態様は、本発明による方法によって得られたか、得ることができるバルク抗体調製物に関する。極めて好ましい実施形態では、本発明のバルク抗体調製物はプロテインAを含まない。「プロテインAを含まない」という用語は、当業者に利用可能な任意の手段によって検出可能なレベルよりプロテインA濃度が低いことを意味すると理解されている。
本発明の調製物の好ましい実施形態では、抗体は、モノクローナル抗CTLA4抗体またはモノクローナル抗IGF1R抗体である。
好ましい抗CTLA−4抗体は、ヒトCTLA−4に特異的に結合するヒト抗体である。例示的なヒト抗CTLA−4抗体は、参照によりそれらの全開示が本明細書に組み込まれている、Hansonらの、WO00/37504として2000年6月29日公開の国際出願第PCT/US99/30895号、2002年4月12日公開の欧州特許出願第EP1262193A1号、および現在米国特許第6,682,736号として発行されている米国特許出願第09/472,087号、ならびにUS2002/0086014として公開の米国特許出願第09/948,939号に詳細に記載されている。そのような抗体には、3.1.1、4.1.1、4.8.1、4.10.2、4.13.1、4.14.3、6.1.1、11.2.1、11.6.1、11.7.1、12.3.1.1および12.9.1.1、ならびMDX−010が含まれるが、これらに限定されない。ヒト抗体は、ヒト患者における非ヒト抗体の使用に伴う免疫原性およびアレルギー反応をそれらが最小にすると予測されるので、本発明の治療法に実質的な利点を提供する。本発明の有用なヒト抗CTLA−4抗体の特徴は、WO00/37504、EP1262193および米国特許第6,682,736号ならびに米国特許出願第US2002/0086014号および第US2003/0086930号に詳細に論じられており、これらに記載のアミノ酸配列および核酸配列は、参照により全体として本明細書に組み込まれている。簡潔には、本発明の抗体には、限定されるものではないが、抗体3.1.1、4.1.1、4.8.1、4.10.2、4.13.1、4.14.3、6.1.1、11.2.1、11.6.1、11.7.1、12.3.1.1、12.9.1.1およびMDX−010などの抗体のアミノ酸配列を有する抗体が含まれる。さらに好ましい実施形態では、抗CTLA−4抗体は11.2.1である。
さらに別の好ましい抗体は、ヒトIGF1Rに特異的に結合するヒト抗体である抗IGF1R抗体である。例示的なヒト抗IGF1R抗体は、参照によりその全開示が本明細書に組み込まれている、2002年7月11日公開の国際特許出願WO02/053596;共に2005年2月24日公開の国際特許出願WO05/016967およびWO05/016970;2003年12月24日公開の国際特許出願WO03/106621;2004年9月30日公開の国際特許出願WO04/083248;2003年12月4日公開の国際特許出願WO03/100008;2004年10月14日公開の国際特許公開WO04/087756;ならびに2005年1月26日公開の国際特許出願WO05/005635に詳細に記載されている。
腫瘍細胞生存経路を遮断する能力をそれらが有するので、標準的な癌治療レジームのみと比較して改善された臨床的な利益を得るために、患者の癌、とりわけ非血液悪性腫瘍を治療するのに、そのような抗IGF−1R抗体を用いることは望ましい。上記抗体は、ヒトIGF 1Rに特異的に結合するものが好ましい。本発明の好ましい実施形態では、抗IGF−1R抗体が、以下の特性、すなわち、(a)8×10−9以下のKdであるヒトIGF−1Rへの結合親和性、および(b)IC50が100nM未満である、ヒトIGF−1RとIGF−1との間の結合の阻害を有する。本発明の別の好ましい実施形態では、抗IGF−1R抗体は、(a)2.12.1、2.13.2、2.14.3、4.9.2、4.17.3および6.1.1からなる群から選択された、抗体のCDR−1、CDR−2およびCDR−3のアミノ酸配列を含む重鎖、ならびに(b)2.12.1、2.13.2、2.14.3、4.9.2、4.17.3および6.1.1からなる群から選択される抗体のCDR−1、CDR2およびCDR−3のアミノ酸配列を含む軽鎖、または(c)2.12.1、2.13.2、2.14.3、4.9.2、4.17.3および6.1.1からなる群から選択された、抗体のCDR配列からの変化を有する配列であって、前記配列が、非極性残基から他の非極性残基への置換、極性荷電残基から他の極性無電荷残基への置換、極性荷電残基から他の極性荷電残基への置換、および構造類似残基の置換からなる群から選択される保存的変化、ならびに極性荷電残基から極性無電荷残基への置換、非極性残基から極性残基への置換、付加および欠失からなる群から選択される非保存的置換からなる群から選択される配列を含む。さらに好ましい実施形態では、抗IGF−1R抗体は、国際特許出願WO02/053596に詳細に記載されている2.13.2および4.9.2である。
本発明の第3の態様は、本発明のバルクから得られたか、得ることができる抗体製剤に関する。
「抗体製剤」という用語は、本発明の方法によって得られた抗体または得ることができる抗体と、さらなる賦形剤とを含む製剤を指す。バルク抗体調製物は、薬学的に許容できる担体媒体との混合物中に抗体が混合される、薬学的に有用な組成物を調製する既知な方法に従って処方できる。適した媒体およびそれらの処方は、例えば、「REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES」(第18版、Alfonso R.Gennaro編集、Easton、Pa.:Mack Pub.Co.、1990)に記載されている。効果的な投与に適した薬学的に許容できる組成物を生成するために、そのような組成物は、適量の担体媒体と共に1種または複数種の本発明の抗体を有効量含有する。
活性化合物の放出制御が得られるように、調製物を適切に処方することができる。放出制御調製物は、重合体を使用して、抗体と複合体を形成させるか、抗体を吸収させることを通して実現できる。制御送達は、放出を制御するために適切な高分子(例えば、ポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニル、ピロリドン、エチレン酢酸ビニル、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたは硫酸プロタミン)および高分子の濃度、ならびに組込み方法を選択することによって遂行できる。放出制御調製物によって作用時間を制御する別の潜在的方法は、ポリエステル、ポリアミノ酸、ヒドロゲル、ポリ(乳酸)またはエチレン酢酸ビニル共重合体などの重合物質の粒子内に抗体を組み込むことである。代替として、これらの薬剤を重合体粒子に組み込む代わりに、例えば、コアセルベーション技術によって、もしくは界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチンマイクロカプセル、およびポリ(メタクリル酸メチル)マイクロカプセルの中に、またはコロイド薬物送達系、例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子およびナノカプセルの中に、またはマクロエマルションの中に、これらの物質を捕捉することが可能である。そのような技術は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」(1980)に開示されている。
本発明の調製物は、注入、例えばボーラス注入または持続注入による非経口投与用に処方できる。注射用製剤は、添加された保存剤を伴う単位剤形で、例えば、アンプルまたは多用量容器中に提供することができる。組成物は、油性もしくは水性媒体中の懸濁液、溶液、またはエマルションなどの形態を取ることができ、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤などの処方剤を含有できる。代替として、活性成分は、使用する前に適した溶媒、例えば発熱因子を含まない滅菌水で構成させるのに用いる粉末形態であってもよい。
I)沈殿化溶液および洗浄溶液
沈殿化ステップおよび洗浄ステップは、下記に定義する通りのPEG溶液またはリン酸塩溶液のいずれかによって実現できる。
a)PEG溶液:
PEG溶液は、水、PEGおよびリン酸ナトリウムを含む。固体PEG試薬およびリン酸ナトリウム試薬は、Sigma Chemical(Poole、Dorset、UK)から入手する。
特定の実施形態では、PEG溶液のPEG分子量が200〜10,000ダルトンである。特定の一実施形態では、800〜3000、好ましくは1450ダルトンのPEG分子量が用いられる。好ましい実施形態では、沈殿化反応中のPEGの濃度は、20〜50%(w/w)、好ましくは25〜35%(w/w)、最も好ましくは28%(w/w)である。
PEG溶液のリン酸ナトリウム濃度は、25〜200mM、好ましくは100mMである。
特定の実施形態では、不純物の除去を補助するために、PEG溶液中に、特定の量の塩化ナトリウムが存在している。詳細には、塩化ナトリウムの量は、10%(w/w)未満、好ましくは2%(w/w)である。
特定の実施形態では、PEG溶液のpHが、3〜10、好ましくは4〜7、より好ましくは6に制御されている。
b)リン酸塩溶液:
リン酸塩溶液は、水、PEGおよびリン酸ナトリウムを含む。固体PEG試薬およびリン酸ナトリウム試薬は、Sigma Chemical(Poole、Dorset、UK)から入手する。
特定の実施形態では、PEG溶液のPEG分子量が200〜10,000ダルトンである。特定の実施形態では、800〜3000、好ましくは1450ダルトンのPEG分子量が用いられる。好ましい実施形態では、沈殿化反応中のPEGの濃度は、1%(w/w)未満、好ましくは0.3(w/w)である。
リン酸塩溶液のリン酸ナトリウム濃度は、1〜3M、好ましくは1.5Mである。
特定の実施形態では、不純物の除去を補助するために、PEG溶液中に、特定の量の塩化ナトリウムが存在している。詳細には、塩化ナトリウムの量は、10%(w/w)未満、好ましくは4%(w/w)、より好ましくは0%である。塩化ナトリウム固体試薬は、Sigma Chemical(Dorset、Poole、UK)から入手した。
特定の実施形態では、PEG溶液のpHが、3〜10、好ましくは4〜7、より好ましくは6に制御されている。
II)本発明のベースライン方法
本発明のベースライン精製方法を図1に示す。
通常、沈殿化および洗浄を用いて抗体を捕捉および精製する方法は、
− 精製するべき抗体を含有する流体、例えば清澄化細胞培養物からの抗体の沈殿化、
− 沈殿物または固体抗体の回収、
− 固体抗体(沈殿物)の洗浄、
− 精製された抗体の再溶解
という4つのステップに分割できる。
どのステップが必要であるか、反復されるか、およびどんな順序で行うかは、対象とする特定な系(細胞培養生産系、抗体のタイプ、使用規模、抗体の意図されている使用など)によって決定されるであろう。
a)沈殿化
沈殿化ステップは、PEG溶液またはリン酸塩溶液のいずれかによって実現できる。
抗体を含有する流体、例えば清澄化細胞培養物は、限定されるものではないが限外濾過を含めた様々な方法で濃縮してもまたはしなくてもよく、これをPEG溶液またはリン酸塩溶液に添加する。
特定の実施形態では、沈殿化溶液を含有する容器に流体を添加する。
この溶液中で、一部の不純と共に、抗体が沈殿する。この固液スラリーは、以上の記述でより詳細に開示した遠心分離または濾過によって分離されることが好ましい。
極めて好ましい実施形態では、沈殿化を実現するために、よく混合された系の中の溶液に上記流体を添加する。より詳細には、沈殿化溶液をマグネチックスターラプレート上に置き、300rpmで攪拌する。
その後、適切なサイズの沈殿物形成を促進するために、上記流体を管に通して、例えばピペットを直接的に沈殿化溶液中に入れて添加してもよい。好ましい実施形態では、上記管のノズルが浸される。流体は、攪拌されている溶液の渦の近くで、緩徐に、例えば0.5ml/sで放出することが好ましい。
この混合溶液中の初期沈殿前抗体濃度は、この方法の終わりに実現できる最終純度に関係しうる。特定の一実施形態では、この最初の容器の中の抗体濃度は、1〜8g/l、好ましくは5.5g/Lである。
他の選択肢には、溶液容積に対する固体質量の比率、PEGの平均分子量、PEGの濃度、溶液のpH溶液の塩化ナトリウム濃度、固体/液体接触時間、流体の添加流量および温度が含まれるが、これらに限定されない。
固相および液相が平衡化するのを可能にするため、固体/液体間の接触時間は、制御されていることが好ましく、通常は0〜100分、より好ましくは10〜60分である。
許容できる結果を与えるこれらの変数の組合せは多数ありうることが理解されている。さらに、用いられる系、規模および抗体によって、各変数の最適値が相違しうることが理解されている。
b)沈殿物または固体抗体の回収;
好ましい実施形態では、沈殿化ステップの結果として得られる固体/液体スラリーは、遠心分離または濾過などの標準的方法によって回収できる。
さらに別の好ましい実施形態では、さらなる処理のために固体産物を排出できる連続遠心分離機によって、沈殿化ステップの結果として得られる固体/液体スラリーを回収できる。固体の捕捉および保持ができるこの種類の遠心分離機は、当技術分野でよく知られており、Carr(商標)Separations型または同等なものでもよい。不純物を含有している母液または分離された上清は廃棄できる。この廃液流は、後で再処理するために再循環ユニットに送ることもできる。抗体および不純物を含有する固体は保持される。
c)沈殿物の洗浄
遠心分離によって回収された固体沈殿物は、保持され、洗浄される。
好ましい実施形態では、手持ち式組織ホモジナイザーなどの標準的な再懸濁法を用いて、沈殿物を洗浄溶液中に再懸濁する。
好ましい実施形態では、少なくとも2回の連続した洗浄で沈殿物を洗浄する。特定の実施形態では、6回の連続した洗浄を実施する。洗浄ステップは、所望の抗体純度を実現するのに必要なだけ反復できる。
数回の洗浄が実施される場合、必要ではないが、洗浄ステップの1つで使用される洗浄溶液、好ましくは第1の洗浄溶液が沈殿化溶液と同一であることが好ましい。
この方法に重要な変数には、溶液容積に対する固体質量の比率、PEGの平均分子量、PEGの濃度、溶液のpH、溶液の塩化ナトリウム濃度、固体/液体接触時間、溶液のリン酸濃度および温度が含まれるが、これらに限定されない。
固体/液体間の接触時間は、制御されていることが好ましく、通常は0〜100分、より好ましくは10〜60分である。
許容できる結果を与えるこれらの変数の組合せは多数ありうることが理解されている。さらに、用いられる系、規模および抗体によって、各変数の最適値が相違しうることが理解されている。
所望の抗体純度レベルを実現するのに必要な場合、複数回のPEGおよび/またはリン酸塩溶液洗浄を行うことができる。代替として、望ましい場合には、洗浄をすべて省くことができる。
特定の実施形態では、各洗浄の後に、上記に開示した回収ステップが続く。
好ましい実施形態では、1回のPEG洗浄および2回のさらなるリン酸塩洗浄を行う。
d)固体抗体の溶解
固体の洗浄された沈殿は、当技術分野で通常使用されるタイプの再構成緩衝液中に溶解する。特定の実施形態では、溶解させる前に、沈殿物を遠心分離によって回収する。
再溶解ステップに有用でありうる緩衝液には、希薄なリン酸緩衝液、酢酸緩衝液、トリス緩衝液などが含まれるが、これらに限定されない。希薄とは通常、0〜200mMの範囲、好ましくは5〜100mMの範囲の濃度を意味するが、これらに限定されない。特定の実施形態では、再構成緩衝液のpHは、4.0〜7.0である。
固体を溶解させるのに使用される緩衝液の容積は、様々でありえ、所望の抗体濃度に基づいて選択できる。
好ましい実施形態では、溶解緩衝液は、リン酸ナトリウム濃度0.1M、およびpH4.9を有する希薄なリン酸緩衝液である。
III)ベースライン方法の最適化−持続モード−規模拡大
本発明の方法は、バッチモードまたは持続モードで実施できる。
バッチモードは、バッチ型細胞培養生産または持続潅流系に有利でありうる。バッチ方法は、所与の濃度で抗体を産生した細胞培養または動物体液抽出物で始まる。持続モードは、灌流細胞培養系または高度にハイスループットな適用に、より適したものでありうる。そのような持続モード方法は、沈殿化および沈殿物の洗浄をその中で行う反応器または複数反応器の系の中への、清澄化細胞培養物の持続流の供給を用いうる。
本発明の方法の好ましい持続モードでは、さらなる処理のために固体産物を排出できる連続遠心分離機によって、沈殿化ステップの結果として得られる固体/液体スラリーを回収できる。固体の捕捉および保持ができるこの種類の遠心分離機は、当技術分野でよく知られており、Carr(商標)Separations型または同等なものでもよい。不純物を含有している母液または分離された上清は廃棄できる。この廃液流は、後で再処理するために再循環ユニットに送ることもできる。抗体および不純物を含有する固体は保持される。
本発明の特定の一実施形態では、抗体精製方法を持続的様式で実施するため、とりわけ、より小さいフットプリントの製造設備における潅流バイオリアクターで使用するために、本発明の方法が開発されており、その方法は、沈殿物を少なくとも1枚のデプスフィルター上に捕捉することによって、それを回収するステップと、そのフィルターを通して、かつ捕捉された固体抗体を通りすぎて洗浄溶液を流すステップとを含む。
洗浄ステップの終わりに、固体抗体の再溶解は、デプスフィルターを通して再構成緩衝液を流すことによって実現できる。好ましい実施形態では、デプスフィルターセットアップが最初にリン酸塩溶液で平衡化される。
本発明の持続的方法のダイヤグラムを図2に示す。
好ましい実施形態では、本発明の方法の収率を最大にするために、回復ステップは、連続的に使用される2枚のデプスフィルター上に沈殿を捕捉するものである。
特定の実施形態では、第1のデプスフィルターが、より目の粗い細孔構造を有し、第2のデプスフィルターが、より目の詰まった細孔構造を有する。より具体的な実施形態では、第1のデプスフィルターが約0.2〜1.0ミクロンの細孔構造を有し、第2のデプスフィルターが約0.1〜0.5ミクロンの細孔構造を有する。
特定の実施形態では、デプスフィルターによる捕捉を容易にするために、沈殿化ステップで、正しい粒径が生成されていなければならない。これは、最初に沈殿化溶液(PEG溶液またはリン酸塩溶液)を沈殿用容器に添加し、この混合液を攪拌して、渦の発生を確実にし、チップを浸しながらピペットを用いて、抗体を含有する流体を緩徐に添加することによって実現できる。これは、良好な混合を確実にし、それゆえ、沈殿物またはフロックサイズの再現可能な生成を確実にする。
IV)さらなる精製
再溶解された精製抗体は、所望の最終純度を実現するために、他の下流精製ステップでさらに処理できる。そのようなさらなる処理ステップには、イオン交換クロマトグラフィー(陽イオン交換または陰イオン交換クロマトグラフィー)、限外濾過、ダイアフィルトレーション、ウイルス/ナノフィルトレーションなどが含まれうる。陰イオン交換クロマトグラフィーは、DEAE(ジエチルアミノエチル)またはQ(四級アンモニウム)などのクロマトグラフィー樹脂を用いて実施でき、残留DNAおよびエンドトキシンなどの夾雑物の除去に有用である。陽イオン交換クロマトグラフィーは、SP(スルフォプロピル)および他のものなどのクロマトグラフィー樹脂を用いて実施でき、DNA、宿主細胞タンパク質、および他のものなど、様々な産物夾雑物を除去するのに有用である。イオン交換クロマトグラフィー樹脂は、GE Healthcare(Buckinghamshire、UK)などの様々な供給業者から入手できる。ウイルスフィルトレーションまたはナノフィルトレーションは、様々な供給業者(Pall Limited、Portsmouth UKまたは日本国所在の旭化成株式会社)から入手できるウイルスフィルターを使用して実施され、ウイルス汚染の除去または低減に極めて有用である。そのような処理ステップは、当技術分野でよく知られている。Janson JCおよびRyden L、「Protein Purification」、Wiley and Sons(New York)、1998、Ladisch MR、「Bioseparations Engineering:Principles,Practice and Economics」、Wiley InterScience(New York)、2001、またはScopes RK、「Protein Purification:Principles and Practice」、Springer−Verlag(New York)、1994を参照のこと。
特定の実施形態に関する以上の記述は、それがさらに改変できるものと理解されるであろう。本出願は、本発明の原則に全般的に従い、本発明が属する技術分野内で公知または通例となっている実施の範囲内にあって、かつ添付されている特許請求の範囲に記載されている本質的特徴に適用されうる、本開示からの逸脱を含む、本発明のいかなる変形形態、使用または適用も包含すると意図されている。
本発明の特定の実施形態についての以上の記述は、本発明の一般的な本質を完全に明らかにするものであり、他の者も、当該技術の範囲内における知識(本明細書に引用された文献の内容も含む)を応用することによって、過度の実験をすることなく容易に、本発明の一般概念から逸脱せずに、特定の実施形態を改変し、かつ/または様々な適用のために適応させることができる。したがって、そのような適応および改変は、本明細書に示された教示および教導に基づいて、開示された実施形態の均等物の範囲内にあるものとする。
調製物および実施例
(実施例1)
ベースライン実験的方法
ベースライン方法は、実験室規模で何回か行っており、図1に示されている。清澄化および濃縮されている抗CTLA−4細胞培養物を用いた。抗CTLA−4抗体である11.2.1は、組換えDNA技術および細胞培養を用いて、Pfizerが生産しているIgG2抗体である。11.2.1をつくるのに使用される細胞系は、NS0マウス骨髄腫細胞系である。
a)第1回実施
沈殿化ステップは、20mLの系容積で行った。清澄化された細胞培養物溶液を、限外濾過(分子量50kDaでカットオフ)を用いて、7.8g/L(HPLCによる測定)の抗体濃度にまで濃縮した。
PEG系は、上記の試料5.2mlに以下の成分、すなわち、
50%w/wポリエチレングリコール(PEG)、保存液、分子量1450(Sigmaカタログ番号P5402−500g)11.2mL、2Mリン酸ナトリウム保存液(Acros Organics、CAS番号10049−21−5)1mL、NaCl 20%w/w保存溶液(Fisherカタログ番号S/3120/60)2mL、および脱イオン水0.65mL
を添加し、その結果、系容積20mlおよび抗体濃度2g/Lを得ることによって生成させた。
系容積20ml中の最終濃度は、PEG−1450 28%w/w、リン酸0.1M、NaCl 2%w/w、名目上の抗体濃度2g/L、およびpH約6.7であった。
この系を、オービタルシェーカー上、約400rpmで30分間攪拌し、それに続いて、遠心分離(2400gで5分間)によって固相の分離を行った。液体上清を取り出し、廃棄し、さらに新たなPEG溶液を沈殿物に添加した。このPEG溶液は、その前の沈殿化溶液と同一であり、名目上の抗体濃度が約2g/L、pHが約6.6であった。
このPEG系を、上記の通り、攪拌、遠心分離およびデカントした。沈殿物を残し、液相を廃棄した。
洗浄ステップは、リン酸塩溶液で構成されており、その前のステップで収集された沈殿物に添加された。リン酸塩溶液は、
2Mリン酸ナトリウム15mL、20%w/w NaCl 4mL、50%w/w PEG−1450 0.12mL、および脱イオン水0.88mL
で構成されており、その結果、
1.5Mリン酸、0.3%PEG、4%NaCl、約2g/L抗体およびpH約5.9
を含有する系が生じた。
この系を、上記の通り、再び攪拌し、遠心分離し、上清をデカントした。この前のと同じ最終リン酸塩溶液を添加し、系を再び攪拌し、約2400×gで15分間遠心分離し、液体をデカントした。
残っている沈殿物を容積10mLの0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液、pH4.9中に溶解させた。
結果
最終の再溶解沈殿物をアッセイし、以下の結果が得られた。
Figure 2010534719
「ELISA:Theory and Practice」、JR Crowther、Humana Press、New Jersey、USA(1995)に記載の通り、競合的ELISAアッセイは、2種の反応体が第3の試薬に結合しようとするアッセイであって、上記の競合する試薬が同時に添加されるアッセイである。
b)追加実施
最初の2回のベースライン方法実験では、上述の通り、最初のPEG沈殿で、20mlの系容積、2400g遠心速度、および2mg/mlのmAbを用いた。
3回目のベースライン実験では、系容積が100mlであり、遠心速度が10,000gであった。これらの実験からの最終再溶解沈殿物を様々な方法で分析した。これらの沈殿実験およびプロテインAクロマトグラフィーからの結果の比較を表2に示す。
収率は、これら2通りの方法の間で匹敵しており、これらの沈殿列中の収率の減失は、これらの実験の規模が小さい(20ml)ことによって説明できるであろう。洗浄液中には、SDS−PAGEゲルによって観察される完全なmAbの持ち越しがまったくないか、あってもほとんどなかった(図3)。DNA、宿主細胞タンパク質および残留プロテインAを含めた、工程不純物の他の尺度も、プロテインAで精製された物質と比較して、沈殿後にはすべて低くなっていた。最終沈殿物(PPT4)のSDS−PAGEプロファイルは、標準品(ARS101)のもの、またはプロテインA精製された物質からのものと識別不能である。
標準品であるARS101は、抗CTLA4抗体の完全に精製された標準生産実施の一部として作製された。ARS101は、クローン方法を用いて製造されていた最初のGMPバッチであったバッチからバイアル保存した。このバッチは400L規模で製造された。
プロテインA精製された物質とは、細胞培養によって生産され、かつ標準的な生産方法の第1のクロマトグラフィーステップ(プロテインA)で精製された抗CTLA4抗体を指す。この例で言及されているプロテインA精製された物質は、実験室規模で製造されたものであるが、上述の既知なプロテインA精製方法のいずれを用いたものでもよい。プロテインAクロマトグラフィーによって精製される抗体は、かなり純粋であると考えられるであろうが、通常の製造実施では、さらなる処理ステップ(クロマトグラフィーおよび濾過)にかけられるであろう。プロテインAクロマトグラフィーを用いて試料を精製するには、リン酸、Trisまたは同等な中性緩衝液(pH約7)によって予め平衡化したプロテインA媒体のカラムに、未精製の無細胞バイオリアクター収集物を通す。プロテインAカラムは、mAbのための最大容量を有するであろう。これは媒体1Lあたり30〜40g mAbの規模でありうる。mAbはこれらの条件下でカラムに結合するので、このローディング段階からの流出液は廃棄される。カラムはその後、いかなる非結合の夾雑物も除去するために、中性緩衝液(pH約7)で洗浄される。カラムは、様々な結合構成成分を除去するために、様々なpHレベルでのさらなる洗浄ステップにかけてもよく、その後、酸性緩衝液(pH約3.5)で溶離させる。酸性緩衝液の組成物は、低イオン強度リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、またはTris、または他の緩衝剤化合物でありうる。mAbは、カラムから酸性緩衝液中に溶出し、さらなる処理に用いることができる。カラムが後続の処理サイクル用に使用可能となるように、その後、様々な異なった緩衝液を用いてカラムを再生させることができる。
加えて、3通りのベースライン実験すべてから得られた沈殿mAbを、競合結合アッセイ(ELISA)で生理活性があるかどうか試験した(図4)。この点検は、タンパク質が相変化を経ていたので、活性に影響を与える改変がその構造または立体配座に生じなかったことを確認するのに必要であった。図4では、バイオアッセイの結果によって、沈殿したmAbの活性が標準品(ARS101)のものと識別不能であることが示された。
Figure 2010534719
(実施例2)
より大規模な方法の条件
第2の実施例は、名目上の抗体濃度約5.5g/L、およびpH5.0の洗浄リン酸塩溶液を用いた方法を例示する。
より高い名目上の抗体系濃度と、それゆえ低減された量の緩衝剤物質、およびより短い実施時間とで許容純度が実現できるならば、抗体精製のこの方法の産業応用が、より実現可能なものとなる。リン酸洗浄溶液のpHを、第1の実施例で用いられた6.0ではなく、5.0に低下させることによって、高抗体濃度での高純度が実現できる。
清澄化された細胞培養液を、抗体濃度13.0g/Lにさらに濃縮した(HPLC)。最初の沈殿は全容積160mlで行った。
沈殿系組成は、以下の通り、すなわち、
濃縮細胞培養液67.1mL、65%w/w PEG−1450 68.9mL、20%w/w NaCl 16mL、および2Mリン酸ナトリウム緩衝液pH6.0 8.0mL
であり、この結果、名目上5.43g/lの抗体、28%w/w PEG−1450、2%w/w NaClおよび0.1Mリン酸を含有し、かつpH6.8を有するPEG溶液が得られた。
この系をオービタルシェーカー上で、約300rpmで10分間攪拌し、均質化された懸濁液80mLを取り出し、10,000gで10分間遠心分離して、懸濁液から沈殿物を取り出した。上清をデカントおよび廃棄し、手持ち式組織ホモジナイザー(IKA Labrotechnik Ultra Turrax T8、独国)を用いて、以下の通り、すなわち、
50%w/w PEG−1450 44.8mL、20%w/w NaCl 8mL、2Mリン酸ナトリウム緩衝液pH6.0 4mL、および脱イオン水5.8mL
という系組成を有する新たなPEG溶液中に沈殿物を再懸濁し、この結果、名目上約5.4g/Lの抗体、28%w/w PEG−1450、2%w/w NaClおよび0.1Mリン酸を含有し、かつpH約6.6を有する溶液が得られた。
沈殿物を新たなPEG溶液中に再懸濁させた後、スラリー20mLを取り出し、遠心分離し、上清を廃棄し、以前の通り沈殿物を収集した。この沈殿物を、以下の通り、すなわち、
2Mリン酸緩衝液pH5.0 15mL、20%w/w NaCl 4mL、および脱イオン水1mL
から構成される洗浄リン酸塩溶液20mL中に再懸濁し、この結果、名目上約5.4g/Lの抗体、1.5Mリン酸、4%w/w NaCl、および少量のPEG(湿った沈殿物ペレット中の残留洗浄PEG溶液により存在するもの)を含有し、かつpH約5.1を有する洗浄溶液が得られた。
再懸濁の後、スラリーを攪拌し、遠心分離し、上清を廃棄し、以前の通り沈殿物を回収した。
唯一の相違が、洗浄液中のPEG濃度を0.3%w/wにする、50%w/w PEG−1450 0.12mLの添加である、上述のものとほぼ同一な第2の洗浄リン酸塩溶液中に、沈殿物を再懸濁し、攪拌して、もう一度遠心分離した。系の総容積が20mLのままとなるように、水を0.88mLにまで減少させた。
第2かつ最終のリン酸塩洗浄液の遠心分離の後に収集された最終沈殿物を0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液、pH4.9中に溶解させて、容積25mLにした。ホモジナイザーを用いて、沈殿物をこの緩衝液中に自由かつ容易に溶解させた。
結果
5.5g/Lの名目上の濃度で抗体試料を精製するためには、リン酸塩洗浄液のpHを、第1の実施例における6から、実施例2における5にまで低下させることが好ましい。純度は、SDS−PAGEによって確認され、この抗体の標準品試料に匹敵していた。結果を図4に提示する。最終収率は83%である。
(実施例3)
「リバース」法
同じ清澄化および濃縮されたCP−抗CTLA−4細胞培養物、すなわち11.2.1細胞培養物を用いて、実施例1のベースライン実験的方法を実施した。唯一の相違は、リン酸塩溶液を用いた沈殿、および連続的な洗浄に第1にリン酸塩溶液、第2にPEG溶液を用いることである。実施例1の方法は、沈殿および第1の洗浄にPEG溶液、それに続く最終洗浄にリン酸塩溶液を用いた。リバース技術は、再現可能であることが示されており、この技術の典型的な収率は92%である。結論として、「リバース」沈殿技術は、実施例1の「フォワード」技術と同等な様式で作用することが示されている。
(実施例4)
デプスフィルターを用いた持続的方法
1)抗CTLA4
以下の通りに、リバース技術およびデプスフィルターモデルを用いて、8.3mg/mlのmAb力価を有する、抗CTLA4モノクローナル抗体11.2.1の清澄化ブロスの試料を沈殿化および精製した。沈殿系の総容積は160mlであった。名目上約3g/L抗体、1.5Mリン酸および少量のPEGの系濃度を実現し、pH約6を有するように、沈殿組成物は、以下の通り、すなわち、
清澄化ブロスの57ml試料、3Mリン酸pH6.0 80ml、50% PEG 1.0mLおよびDI水21.8mlであった。
沈殿化を起こすために、よく混合された系内の試薬に試料を添加した。最初に、試薬混合物をマグネチックスターラプレート上に置き、300rpmで攪拌した。その後、ピペットノズルを渦の近くに浸して、57mlのmAb試料を混合物中にピペッティングした。この混合物中に白い沈殿物が形成された。
デプスフィルターセットアップ(連続した2枚の27cmのデプスフィルター)は、最初に、3Mリン酸ナトリウムpH6.0 200mLで平衡化した。平衡化濾液として、合計約185mLを収集し、廃棄した。その後、ぜん動ポンプを用いてモノクローナル固体/液体混合物をデプスフィルターに移した。これらのデプスフィルターは、3M Cuno Corporation(Bracknell、UK)から入手したものであり、2つの異なったグレードのものであった。このフィルター列中の第1のフィルターは、BC0030A50SPフィルター(50SPグレード)であり、列中の第2のフィルターはBC0030A90SPフィルター(90SPグレード)であった。固体mAbは、これらのデプスフィルターで捕捉され、液体濾液は、固体を含んでおらず、廃棄された。その後、フィルター列に、リン酸緩衝液の160ml洗浄液を、別々に3回分通した。
名目上、約1.5Mリン酸および少量のPEGという洗浄濃度を実現し、かつpH約6を有するように、各洗浄液は、以下の組成、すなわち、3Mリン酸ナトリウムpH6.0 80ml、50%PEG(MW1450)1mlおよびDI水79mlを有する。
これらの洗浄から生じた濾液は廃棄した。その後、フィルター列にPEG緩衝液のさらなる160ml洗浄液3回分を通した。
PEG洗浄液のそれぞれは、以下の組成、すなわち、50%PEG 90ml、3Mリン酸緩衝液pH6.0 5ml、20%NaCl水溶液16mlおよびDI水49mlを有し、この結果、約28%w/w PEG−1450、2%w/w NaClおよび0.1Mリン酸の洗浄濃度となり、pH約6.0を有した。
PEG洗浄から生じた濾液も廃棄した。
洗浄ステップに続いて、固体mAbは、希釈されたリン酸緩衝液372mlをフィルター列に通すことによって、この緩衝液中に再溶解させた。使用された緩衝剤は、0.1Mリン酸ナトリウムpH4.9であった。この再溶解から生じた濾液は収集した。収集された濾液は、抗CTLA4 mAbを含有しており、総収率は、プロテインA HPLCアッセイによると、100%であった。すべてのmAbが取り除かれたことを確認するために、フィルターに、さらに200mlの溶解緩衝液を通した。洗浄物質(レーン2〜8)、372ml中に再溶解されたmAb(レーン9)、およびさらなる200ml再溶解物(レーン10)における産物の純度を、図5中の非還元SDS−PAGEゲルとして示す。ゲル最上部の大きなバンドは、150kDa IgG2に相当し、2番レーンおよび3番レーンの50kDaバンドおよび25kDaバンドは、それぞれ重鎖および軽鎖不純物に相当する。結論として、デプスフィルター捕捉および洗浄技術は、抗体の洗浄および再溶解に関して、遠心法と同等であることが示された。
2)抗IGF1R
mAb力価1.3mg/mlを有する、抗IGF1Rモノクローナル抗体2.13.2の清澄化ブロスの試料を、以下の通りのリバース技術およびデプスフィルターモデルを用いて、沈殿させ、精製した。沈殿系の全容積は160mlであった。沈殿化組成物は、以下の通り、すなわち、
清澄化ブロスの試料57ml、3Mリン酸緩衝液pH6.0 80ml、50%PEG 1.0mLおよびDI水21.8mlであり、この結果、名目上0.5g/Lの抗体、1.5Mリン酸および少量のPEGを含有し、pH約6を有する溶液が得られた。
沈殿化を行うために、よく混合された系内の試薬に試料を添加した。最初に、試薬混合物をマグネチックスターラプレート上に置き、300rpmで攪拌した。その後、ピペットノズルを渦の近くに浸して、57mlのmAb試料を混合物中にピペッティングした。この混合物中に白い沈殿物が形成された。
デプスフィルターセットアップ(連続した2枚の27cmのデプスフィルター)は、最初に、3Mリン酸ナトリウムpH6.0 200mLで平衡化した。平衡化濾液として、合計約185mLを収集し、廃棄した。その後、ぜん動ポンプを用いてモノクローナル固体/液体混合物をデプスフィルターに移した。これらのデプスフィルターは、3M Cuno Corporation(Bracknell、UK)から入手したものであり、2つの異なったグレードのものであった。このフィルター列中の第1のフィルターは、BC0030A50SPフィルター(50SPグレード)であり、列中の第2のフィルターはBC0030A90SPフィルター(90SPグレード)であった。固体mAbは、これらのデプスフィルターで捕捉され、液体濾液は、固体を含んでおらず、廃棄された。その後、フィルター列に、リン酸緩衝液の160ml洗浄液を、別々に3回分通した。
各洗浄液は、以下の組成、すなわち、3Mリン酸ナトリウムpH6.0 80ml、50%PEG(MW1450)1mlおよびDI水79mlを有し、この結果、名目上約1.5Mリン酸および少量のPEGを含有し、かつpH約6を有する溶液が得られた。
これらの洗浄から生じた濾液は廃棄した。その後、フィルター列にPEG緩衝液のさらなる160ml洗浄液3回分を通した。
PEG洗浄液のそれぞれは、以下の組成、すなわち、50%PEG 90ml、3Mリン酸緩衝液pH6.0 5ml、20%NaCl水溶液16mlおよびDI水49mlを有し、この結果、約28%w/w PEG−1450、2%w/w NaClおよび0.1Mリン酸の洗浄濃度となり、pH約6.0を有した。
PEG洗浄から生じた濾液も廃棄した。
洗浄ステップに続いて、固体mAbは、希釈されたリン酸緩衝液400mlをフィルター列に通すことによって、この緩衝液中に再溶解させた。使用された緩衝剤は、0.1Mリン酸ナトリウムpH4.9であった。この再溶解から生じた濾液は収集した。収集された濾液は、IGF1R mAbを含有しており、総収率は、プロテインA HPLCアッセイによると、100%であった。供給物質、洗浄物質および再溶解mAbにおける産物の純度を、図6中の非還元SDS−PAGEゲルとして示す。結論として、デプスフィルター捕捉および洗浄技術は、抗体の洗浄および再溶解に関して、遠心法と同等であることが示された。

Claims (41)

  1. 流体から抗体を単離する方法であって、
    a)PEGおよびリン酸ナトリウムを含む沈殿化溶液を用いて前記抗体を沈殿させるステップと、
    b)前記抗体を固相中に保持するのに適した濃度のPEGおよびリン酸ナトリウムを含む洗浄溶液で、ステップa)の沈殿物を洗浄するステップと
    を含む方法。
  2. 一定の攪拌および一定流量の下で、前記流体を前記沈殿化溶液に添加する、請求項1に記載の方法。
  3. ステップ(a)の沈殿物またはステップ(b)の洗浄された沈殿物を回収するさらなるステップをさらに含む、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
  4. 前記回収するステップが、少なくとも1枚のデプスフィルター上に前記沈殿物を捕捉することを含む、請求項1、2または3に記載の方法。
  5. 2枚のデプスフィルターを連続して用いる、請求項4に記載の方法。
  6. 第1のデプスフィルターが、より目の粗い細孔構造を有し、第2のデプスフィルターが、より目の詰まった細孔構造を有する、請求項5に記載の方法。
  7. 第1のデプスフィルターが約0.2〜1.0ミクロンの細孔構造を有し、第2のデプスフィルターが約0.1〜0.5ミクロンの細孔構造を有する、請求項6に記載の方法。
  8. 前記洗浄溶液が少なくとも1枚のデプスフィルターを通して流れる、請求項1または請求項4から7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記沈殿化ステップa)が少なくとも2回反復される、前記請求項のいずれかに記載の方法。
  10. 前記洗浄ステップb)が少なくとも2回反復される、前記請求項のいずれかに記載の方法。
  11. 前記洗浄ステップ(b)のうち1つの洗浄溶液が前記沈殿化溶液と同一である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記沈殿物が遠心分離によって回収される、請求項3に記載の方法。
  13. 前記沈殿物を再構成緩衝液中に溶解させるステップ(c)をさらに含む、前記請求項のいずれかに記載の方法。
  14. 前記溶解ステップ(c)が、少なくとも1枚のデプスフィルターを通して前記再構成緩衝液を流すことによって実現される、請求項13に記載の方法。
  15. 前記沈殿化溶液のPEG濃度または前記洗浄溶液のPEG濃度が、20%(w/w)〜50%(w/w)である、請求項1に記載の方法。
  16. 前記PEG濃度が25〜35%(w/w)である、請求項15に記載の方法。
  17. 前記PEG濃度が28%(w/w)である、請求項16に記載の方法。
  18. 前記沈殿化溶液または前記洗浄溶液のリン酸ナトリウム濃度が25mM〜200mMである、請求項15から17のいずれかに記載の方法。
  19. 前記リン酸ナトリウム濃度が100mMである、請求項18に記載の方法。
  20. 前記沈殿化溶液のPEG濃度または前記洗浄溶液のPEG濃度が1%(w/w)未満である、請求項1に記載の方法。
  21. 前記PEG濃度が0.3%(w/w)である、請求項20に記載の方法。
  22. 前記溶液のリン酸ナトリウム濃度が1M〜3Mである、請求項20または21に記載の方法。
  23. 前記リン酸ナトリウム濃度が1.5Mである、請求項22に記載の方法。
  24. 前記沈殿化溶液のPEGおよび/または前記洗浄溶液のPEGが、200〜10,000ダルトン、好ましくは800〜3000ダルトンの分子量を有する、前記請求項のいずれかに記載の方法。
  25. PEGの分子量が1450ダルトンである、請求項24に記載の方法。
  26. 前記沈殿化溶液または前記洗浄溶液の塩化ナトリウム濃度が10%(w/w)未満である、前記請求項のいずれかに記載の方法。
  27. 前記塩化ナトリウム濃度が0%(w/w)、2%(w/w)または4%(w/w)である、請求項26に記載の方法。
  28. 前記沈殿化溶液のpHおよび前記洗浄溶液のpHが3〜10である、前記請求項のいずれかに記載の方法。
  29. 前記pHが4〜7である、請求項28に記載の方法。
  30. 前記pHが6である、請求項28に記載の方法。
  31. 前記沈殿化溶液に添加される抗体の濃度が1g/l〜8g/lである、請求項1に記載の方法。
  32. 前記沈殿化溶液に添加される抗体の濃度が2g/l〜5.5g/lである、請求項31に記載の方法。
  33. 前記流体が清澄化された細胞培養収集物である、請求項1に記載の方法。
  34. 遠心分離、濾過、クロスフロー濾過またはこれらの組合せによって、前記細胞培養収集物から細胞および破片を除去する、請求項34に記載の方法。
  35. 前記流体がさらに限外濾過される、請求項33から35のいずれかに記載の方法。
  36. 前記流体中の抗体の濃度が1〜10g/lである、請求項1または請求項33から35のいずれかに記載の方法。
  37. 硫酸アンモニウムが使用されない、前記請求項のいずれかに記載の方法。
  38. 前記請求項のいずれかに記載の方法によって得ることができるバルク抗体調製物。
  39. 前記調製物がプロテインAを含まず、かつ/またはプロテインGを含まない、請求項38に記載のバルク抗体調製物。
  40. 前記抗体がモノクローナル抗CTLA4抗体またはモノクローナル抗IGF1R抗体である、請求項39に記載のバルク抗体調製物。
  41. さらなる賦形剤を添加することによって、請求項38から40のいずれかに記載のバルクから得ることができる抗体製剤。
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