JP2023523823A - タンパク質の精製の改善されたプロセス - Google Patents

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Abstract

「タンパク質の精製の改善されたプロセス」本発明は、生成物及びプロセスに関連する不純物を含むタンパク質混合物から、抗体又は融合タンパク質を精製するプロセスを提供する。前記プロセスは、低分子量不純物と塩基性バリアントを分離するために、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーを使用する。また、本発明は、更に、生成物及びプロセスに関連する不純物を除去するスケーラブルな精製プロセスを提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、低分子量不純物及び塩基性バリアントを含むタンパク質混合物から、少なくとも1つの抗体又は融合タンパク質を精製するためのハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーに関する。
更に、本発明は、クロマトグラフィー工程を使用することによる、抗体又は融合タンパク質のスケーラブルな精製プロセスを提供する。より詳細には、本発明は、薬学的に許容され、生成物及びプロセスに関連する不純物を実質的に含まない、精製された抗体組成物を提供する。
治療用分子のクラスとしてのモノクローナル抗体は、疾患の治療用に、バイオテクノロジー産業でますます需要が高まっている。また、これらの抗体は、製造中に生じる複数の翻訳後修飾及び分解事象により、生化学的及び生物物理学的性質が不均一である。上流における技術の進歩に伴い、モノクローナル抗体(mAb)の生産能力は、1リットル当たり数ミリグラムから数グラムになっている。これらの力価は、下流プロセス(DSP)に多大なプレッシャーをもたらし、下流プロセスは、利用可能なリソースの、より高い効率とより良好な利用性を達成するために手直しされる必要がある。これらの重要なパラメータのいずれかが、設備設計の段階で決まっていないと、プロセスが崩壊し、更に商業的損失をもたらすと共に製品の市場への参入が遅れる。
抗体及び融合タンパク質の商品化の成功に関連する重要な課題は、規制要件に準拠するために、生成物及びプロセスに関連する不純物が許容量まで除去された純粋な製品を開発することである。生成物及びプロセスに関連する不純物は、規制機関によって設定された、承認のための許容限度内である必要がある。各種不純物は、しばしば、サイズバリアントやチャージバリアントなどの望ましくない成分を含む。サイズバリアント、チャージバリアント、及びその他の望ましくない種、例えば、低分子量凝集体(LMW)及び塩基性バリアントなどの形成は、投与時に補体活性化又はアナフィラキシーを引き起こすことにより、製品の安全性に悪影響を及ぼすことがある。更に、凝集体及びチャージバリアントの形成は、生成物の収量の減少、ピークの広がり、及び活性の喪失を引き起こすことにより、製造プロセスを妨げ得る。
ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーは、モノクローナル抗体(Mab)をクロマトグラフィーで精製するための方法であることが示されている。セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)クロマトグラフィーは、塩化ナトリウム又は塩化カルシウムを使用することによる、HMWの分離について報告されている。
本発明においては、セラミックハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーを用いて、抗体調製物から低分子量凝集体(LMW)及び塩基性バリアント(BV)を分離する試みに成功した。
本発明において、本発明者らは、プロセス及び生成物に関連する他の不純物、例えば、高分子量凝集体(HMW)及び酸性バリアントを分離するための他のクロマトグラフィー技術にも注目している。
例えば、イオン交換及び疎水性相互作用クロマトグラフィーは、タンパク質濃度の上昇、又は溶出中のバッファー濃度及び/又はpHの必要な変化により、凝集体の形成を誘発し得ることが報告されている。更に、いくつかの例においては、抗体は、イオン交換クロマトグラフィーによる分離が可能になるには小さ過ぎる等電点の違いを示す(非特許文献1)。しかし、本発明は、高分子量不純物及び酸性バリアントを有意に低減するアニオン交換を用いる。
サイズ排除クロマトグラフィーは面倒であり、生成物を高度に希釈することになり、このことは、大規模な効率ベースの製造プロセスの障害である。アフィニティークロマトグラフィーカラムからのリガンドの漏れも生じることがあり、溶出された生成物に望ましくない汚染がもたらされる(非特許文献2)
製薬用途に適した十分に純粋な形態で目的の抗体を産生及び精製する方法が、現在、必要とされている。本発明は、この必要性に対処する。
本発明は、抗体又は融合タンパク質に関連する不純物を有意に低減させる、スケーラブルで堅牢な精製プロセスを提供する。
Tarditi, J. Immunol. Methods 599:13-20 (1992) Steindl, J. Immunol. Methods 235:61-69 (2000)
一実施形態においては、本発明は、NaCl、CaCl、又はその他の添加剤を使用せずにリン酸塩溶出勾配を使用することにより、LMW及び塩基性バリアントから選択される少なくとも1つの不純物を除去する、簡単でスケーラブルなCHTプロセスを提供する。
かかる実施形態の一態様においては、精製されたタンパク質混合物は、宿主細胞タンパク質、宿主細胞DNA、浸出タンパク質、半抗体、欠損抗体(clipped antibodies)、二量体、四量体、酸性又は塩基性のチャージバリアント、凝集体、低分子量(LMW)種、及び高分子量(HMW)種などの、プロセス及び生成物に関連する不純物を含まない、又は最低限の許容可能な量で含む。
一実施形態においては、精製プロセスは、90%、又は91%、又は92%、又は93%、又は94%、又は95%、又は96%、又は97%、又は98%、又は99%を超える純度から選択されるモノマーの純度を提供する。
一実施形態においては、本発明は、目的のタンパク質と、1以上の低分子量(LMW)バリアントとを含むタンパク質混合物から前記目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
a.前記タンパク質混合物を、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)カラムに、適切なバッファーでロードすることと;
b.前記CHTカラムを、適切なバッファーで洗浄することと;
c.精製された前記目的のタンパク質を、適切な勾配のリン酸バッファーで溶出することと、
を含み、
前記精製された前記目的のタンパク質が実質的に純粋であり、SE-HPLC分析によって分析したときに、LMWが0.4%未満であるプロセスを提供する。
別の実施形態においては、本発明は、目的のタンパク質と、1以上の塩基性バリアント(BV)とを含むタンパク質混合物から前記目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
a.前記タンパク質混合物を、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)カラムに、適切なバッファーでロードすることと;
b.前記CHTカラムを、適切なバッファーで洗浄することと;
c.精製された前記目的のタンパク質を、適切な勾配のリン酸バッファーで溶出することと、
を含み、
前記精製された前記目的のタンパク質が実質的に純粋であり、CEX-HPLC分析によって分析したときに、前記塩基性バリアントが15%未満であるプロセスを提供する。
一実施形態においては、本発明は、目的のタンパク質と、1以上の低分子量(LMW)バリアントと、1以上の塩基性バリアント(BV)とを含むタンパク質混合物から前記目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
a.前記タンパク質混合物を、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)カラムに、適切なバッファーでロードすることと;
b.前記CHTカラムを、適切なバッファーで洗浄することと;
c.精製された前記目的のタンパク質を、適切な勾配のリン酸バッファーで溶出することと、
を含み、
前記精製された前記目的のタンパク質が実質的に純粋であり、SE-HPLC分析によって分析したときに、LMWが0.4%未満であり、
前記精製された前記目的のタンパク質が実質的に純粋であり、CEX-HPLC分析によって分析したときに、前記塩基性バリアントが15%未満であるプロセスを提供する。
かかる実施形態の一態様においては、CHTカラムから溶出されたタンパク質混合物は、SE-HPLC分析によって分析したときに、約0.3%以下のLMW、0.2%以下のLMW、0.1%以下のLMWから選択されるLMWを含む。
かかる実施形態の一態様においては、CHTカラムから溶出されたタンパク質混合物は、約14%以下のBV、13%以下のBV、12%以下のBV、11%以下のBV、10%以下のBV、9%以下のBV、8%以下のBV、7%以下のBV、6%以下のBV、5%以下のBV、4%以下のBV、3%以下のBV、2%以下のBV、1%以下のBVから選択される低いBVを含む。
一実施形態においては、本発明は、目的のタンパク質と、低分子量(LMW)バリアント2H1Lとを含むタンパク質混合物から前記目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
a.前記タンパク質混合物を、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)カラムに、適切なバッファーでロードすることと;
b.前記CHTカラムを、適切なバッファーで洗浄することと;
c.精製された前記目的のタンパク質を、適切な勾配のリン酸バッファーで溶出することと、
を含み、
前記精製された前記目的のタンパク質が実質的に純粋であり、CE-SDSによって測定したときに、2H1Lが3%未満であるプロセスを提供する。
かかる実施形態の一態様においては、CHTカラムから溶出されたタンパク質混合物は、約3%以下、2.6%以下、2.5%以下、2.3%以下、2%以下、1.7%以下、1.5%以下、1.4%以下から選択される低い2H1Lを含む。
一実施形態においては、本発明は、目的のタンパク質と、低分子量(LMW)バリアントHHとを含むタンパク質混合物から前記目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
a.前記タンパク質混合物を、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)カラムに、適切なバッファーでロードすることと;
b.前記CHTカラムを、適切なバッファーで洗浄することと;
c.精製された前記目的のタンパク質を、適切な勾配のリン酸バッファーで溶出することと、
を含み、
前記精製された前記目的のタンパク質が実質的に純粋であり、CE-SDSによって測定したときに、HHが0.2%未満であるプロセスを提供する。
かかる実施形態の一態様においては、CHTカラムから溶出されたタンパク質混合物は、約0.2%以下、0.24%以下、0.21%以下、0.15%以下、0.12%以下、0.09%以下、又は0.08%以下、0.06%以下、又は0.04%以下、及び0.03%以下から選択される低いHHを含む。
一実施形態においては、本発明は、目的のタンパク質と、低分子量(LMW)バリアントHCとを含むタンパク質混合物から前記目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
a.前記タンパク質混合物を、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)カラムに、適切なバッファーでロードすることと;
b.前記CHTカラムを、適切なバッファーで洗浄することと;
c.精製された前記目的のタンパク質を、適切な勾配のリン酸バッファーで溶出することと、
を含み、
前記精製された前記目的のタンパク質が実質的に純粋であり、CE-SDSによって測定したときに、HCが0.4未満であるプロセスを提供する。
かかる実施形態の一態様においては、CHTカラムから溶出されたタンパク質混合物は、約0.4%以下、0.16%以下、0.15%以下、0.12%以下、及び0.18%以下から選択される低いHCを含む。
一実施形態においては、本発明は、目的のタンパク質と、低分子量(LMW)バリアントLCとを含むタンパク質混合物から前記目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
a.前記タンパク質混合物を、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)カラムに、適切なバッファーでロードすることと;
b.前記CHTカラムを、適切なバッファーで洗浄することと;
c.精製された前記目的のタンパク質を、適切な勾配のリン酸バッファーで溶出することと、
を含み、
前記精製された前記目的のタンパク質が実質的に純粋であり、CE-SDSによって測定したときに、LCが0.5%まで低減されるプロセスを提供する。
かかる実施形態の一態様においては、CHTカラムから溶出されたタンパク質混合物は、約0.5%以下、0.4%以下、0.3%以下、及び0.2以下から選択される低いLCを含む。
一実施形態においては、本発明は、目的のタンパク質と、低分子量(LMW)バリアントLC、HC、HH、及び2H1Lとを含むタンパク質混合物から前記目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
a.前記タンパク質混合物を、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)カラムに、適切なバッファーでロードすることと;
b.前記CHTカラムを、適切なバッファーで洗浄することと;
c.精製された前記目的のタンパク質を、適切な勾配のリン酸バッファーで溶出することと、
を含み、
前記精製された前記目的のタンパク質が実質的に純粋であり、CE-SDSによって測定したときに、LC、HC、HH、及び2H1Lが3%まで低減されるプロセスを提供する。かかる実施形態の一態様においては、CHTカラムから溶出されたタンパク質混合物は、CE-SDSによって測定したときに、LC、HC、HH、及び2H1Lから選択されるLMWを2.2%~2.6%含む。
別の実施形態においては、前記プロセスは、リン酸塩の濃度を約32mMから88mMまで徐々に上昇させて、約23kDa~約125kDaの分子量を有するLMWを分離又は低減し、塩基性バリアントを約33%低減する、CHTカラムの線形溶出勾配を提供する。
別の実施形態においては、前記プロセスは、リン酸塩の濃度を約40mMから96mMまで徐々に上昇させて、約23kDa~約125kDaの分子量を有するLMWを分離又は低減し、塩基性バリアントを約33%低減する、CHTカラムの線形溶出勾配を提供する。
別の実施形態においては、本発明は、抗体又は融合タンパク質の実質的に純粋な単量体の形態と、宿主細胞タンパク質、宿主細胞DNA、浸出タンパク質、半抗体、二量体、四量体、酸性又は塩基性チャージバリアント、凝集体、低分子量(LMW)種、及び高分子量(HMW)種から選択される低い許容量の不純物とを提供することができる、50L、100L、200Lでスケーラブルな精製プロセスを提供する。
別の実施形態においては、本発明は、目的のタンパク質と、その酸性種又はバリアントとを含むタンパク質混合物から前記目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
a.前記タンパク質混合物を、アフィニティークロマトグラフィープロテインA又はプロテインGによって精製することと;
b.アフィニティークロマトグラフィーで得られた前記タンパク質混合物を、ウイルス不活化に付すことと;
c.工程(b)で得られた前記タンパク質混合物を、pH7.0~7.5から選択される適切なpHにて、適切なバッファーでアニオン交換樹脂にロードすることと;
d.前記タンパク質混合物をフロースルーモードで溶出して、前記目的のタンパク質の酸性種又はバリアントを前記アニオン交換樹脂に結合させることと、
を含み、
工程(d)で得られた、溶出された前記タンパク質混合物が、実質的に精製された目的のタンパク質と、CEX-HPLC分析によって分析したときに、15%未満の酸性種又はバリアントとを含むプロセスを提供する。
かかる実施形態の一態様においては、前記プロセスは、前記酸性バリアントを、約14%以下のAV、13%以下のAV、12%以下のAV、11%以下のAV、10%以下のAV、9%以下のAV、8%以下のAV、7%以下のAV、6%以下のAV、5%以下のAV、4.5%以下のAV、4%以下のAV、3%以下のAV、2%以下のAV、1%以下未満のAVを含む前記タンパク質混合物を提供する。
別の実施形態においては、本発明は、目的のタンパク質と、高分子量(HMW)不純物とを含むタンパク質混合物から前記目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
a.前記タンパク質混合物を、アフィニティークロマトグラフィープロテインA又はプロテインGによって精製することと;
b.アフィニティークロマトグラフィーで得られた前記タンパク質混合物を、ウイルス不活化に付すことと;
c.工程(b)で得られた前記タンパク質混合物を、pH7.0~7.5から選択される適切なpHにて、適切なバッファーでアニオン交換樹脂にロードすることと;
d.前記タンパク質混合物をフロースルーモードで溶出して、HMW不純物を前記アニオン交換樹脂に結合させることと、
を含み、
工程(d)で得られた、溶出された前記タンパク質混合物が、実質的に精製された目的のタンパク質と、SE-HPLC分析によって分析したときに、0.5%未満のHMW不純物とを含むプロセスを提供する。
かかる実施形態の一態様においては、前記プロセスは、0.5%以下、約0.4%以下、又は0.3%以下、又は0.2%以下、又は0.1%以下未満のHMWを含むタンパク質混合物を提供する。
別の実施形態においては、本発明は、タンパク質混合物から目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
a.前記目的のタンパク質と、酸性バリアント、塩基性バリアント、低分子量(LMW)、高分子量(HMW)から選択される少なくとも1つの不純物とを含む哺乳動物発現系からタンパク質混合物を得ることと;
b.前記タンパク質混合物を、アフィニティークロマトグラフィーカラムにアプライすることと;
c.前記タンパク質混合物を、アフィニティークロマトグラフィーカラムから溶出することと;
d.工程(c)で得られた前記タンパク質混合物のウイルス不活化を行うことと;
e.工程(d)で得られた前記タンパク質混合物を、アニオン交換クロマトグラフィーにアプライすることと;
f.前記タンパク質混合物を、フロースルーモードで溶出することと;
g.工程(f)で得られた前記タンパク質混合物を、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)カラムにアプライすることと;
h.任意に、前記CHTカラムを、適切な洗浄バッファーで洗浄することと;
i.前記タンパク質混合物を、適切なバッファーで前記CHTカラムから溶出することとを含むプロセスを提供する。特定の実施形態においては、前記目的のタンパク質は、IgG1抗体又は融合タンパク質である。ここで、溶出された前記タンパク質混合物は、目的のタンパク質で濃縮されており、不純物であるHMW、LMW、酸性及び塩基性バリアント(BV)を実質的に含まない。
一実施形態においては、目的のタンパク質は、IgEに結合するIgG1抗体である。好ましい実施形態においては、IgG1抗体は、オマリズマブのバイオシミラーである。
図1は、AEXランのプロセスクロマトグラムを示す。 図2は、AEXランのCEX-HPLCクロマトグラム(チャージバリアント)を示す。 図3は、AEXランのSE-HPLCクロマトグラム(サイズバリアント)を示す。 図4は、AEXランのSE-HPLCクロマトグラム(サイズバリアント)の拡大図を示す。 図5は、CHTランのプロセスクロマトグラムを示す。 図6は、CHTランのSE-HPLCクロマトグラム(サイズバリアント)を示す。 図7は、CHTランのCEX-HPLCクロマトグラム(チャージバリアント)を示す。本発明の詳細な説明
本発明は、生成物及びプロセスに関連する各種不純物を低減することができる精製プロセスを提供する。
特定の実施形態においては、本発明は、CHTクロマトグラフィーを使用することにより、少数の生成物関連不純物の低減を提供する。
特定の実施形態においては、本発明は、アニオン交換クロマトグラフィーを使用することにより、少数の生成物関連不純物の低減を提供する。
特定の実施形態においては、本発明は、CHT及びアニオン交換クロマトグラフィーを使用することにより、生成物関連不純物の低減を提供する。
特定の実施形態においては、本発明は、アフィニティークロマトグラフィー、CHT、及びアニオン交換クロマトグラフィーを使用することにより、生成物関連不純物の低減を提供する。
用語「抗体」は、4つのポリペプチド鎖、即ち、2個の重鎖(H)及び2個の軽鎖(L)がジスルフィド結合によって相互に結合されて構成される免疫グロブリン分子を含む。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書中、HCVR又はVHと略す)と重鎖定常領域(CH)とから構成される。重鎖定常領域は、3個のドメイン、即ち、CH1、CH2、及びCH3から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書中、LCVR又はVLと略す)と軽鎖定常領域とから構成される。軽鎖定数領域は、1つのドメインCLから構成される。VH領域とVL領域は、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性領域に更に細分化することができ、前記超可変性領域には、フレームワーク領域(FR)と称される、より保存された領域が点在している。VHとVLは、それぞれ、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4の順に配列された3個のCDRと4個のFRから構成される。
オマリズマブ(Xolair(登録商標))は、ヒト免疫グロブリン(IgE)に選択的に結合する組換えDNA由来ヒト化IgGlKモノクローナル抗体である。前記抗体の分子量は、約149kDである。Xolair(登録商標)は、抗生物質であるゲンタマイシンを含む栄養培地で、チャイニーズハムスター卵巣細胞の懸濁培養によって製造される。ゲンタマイシンは、最終生成物中に検出されない。Xolair(登録商標)は、単回使用のバイアルに含まれる、滅菌された白色の、保存料を含まない凍結乾燥粉末で、注射用滅菌水(SWFI)USPで再構成され、皮下(SC)注射剤として投与される。
本明細書で使用される用語「酸性バリアント」又は「酸性種」及び「AV」は、全体的に酸性の電荷によって特徴付けられる、タンパク質、例えば、抗体又はその抗原結合部分のバリアントを意味する。例えば、モノクローナル抗体(mAb)製剤では、かかる酸性種は、イオン交換、例えば、WCX-10 HPLC(弱カチオン交換クロマトグラフィー)又はIEF(等電点電気泳動)などの各種方法で検出することができる。抗体の酸性バリアントは、脱アミド化及びシアル化などの化学修飾及び酵素修飾によってそれぞれ形成され、その結果、抗体の正味の負電荷が増加し、pI値が低下するため、酸性バリアントが形成される。C末端リジンの分解は、正味の正電荷を失わせ、酸性バリアントの形成がもたらされる。酸性バリアントを生成する別のメカニズムは、各種共有結合付加体の生成であり、例えば、糖化が挙げられ、糖化では、グルコース又はラクトースが、グルコースが豊富な培地における製造中又は製剤中に還元糖が存在する場合は保管中に、リジン残基の第一アミンと反応し得る(MAbs. 2010 Nov-Dec; 2(6):613-624)。
用語「酸性バリアント」は、プロセスに関連する不純物は含まない。本明細書においては、用語「プロセスに関連する不純物」は、タンパク質を含む組成物中に存在するが、タンパク質自体には由来しない不純物を意味する。プロセスに関連する不純物としては、宿主細胞タンパク質(HCP)、宿主細胞核酸、クロマトグラフィー材料、及び培地成分が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書においては、用語「アニオン交換クロマトグラフィー」、又は「アニオン交換カラム」、又は「AEX」は、イオン交換クロマトグラフィー(IEX)の一形態であり、正味の表面電荷に基づいて分子を分離するために使用される。アニオン交換クロマトグラフィーは、より具体的には、正味の負の表面電荷を有する分子に親和性を持つ正に帯電したイオン交換樹脂を使用する。アニオン交換クロマトグラフィーは、分取及び分析目的の両方で使用され、アミノ酸及びヌクレオチドから大きなタンパク質まで、広範囲の分子を分離することができる。ここでは、本発明者らは、タンパク質の分取アニオン交換クロマトグラフィーに着目している。
本明細書においては、用語「POROS 50 HQ」は、Thermo ScientificTM POROSTM強アニオン交換樹脂(POROS AEX樹脂)であり、組換えタンパク質、モノクローナル抗体を含む生体分子の電荷ベースのクロマトグラフィーによる分離用に設計されている。Thermo ScientificTM POROSTM50HQ樹脂は、四級化ポリエチレンイミン基で官能化されている。
「強アニオン交換」をフロースループロセスで使用すると、平衡が変化し、不純物が目的のタンパク質から区別される。即ち、強アニオン交換は、抗体精製におけるプロテインA混入物質、HCP、DNA、又はウイルスの除去用として一般に知られている。フロースループロトコルでは、サンプルと平衡化バッファーは、混入分子が樹脂に依然として結合するが、目的のタンパク質は(電荷のため)結合しない条件に調整される。これは、塩濃度を上げる、及び/又はバッファーのpHを目的の分子のpIよりも低い点まで上げることによって達成される。
本明細書においては、用語「フロースルーモード」又は「フロースルー」は、目的の抗体がクロマトグラフィー樹脂に結合しない精製プロセスを意味する。特定の実施形態においては、少なくとも50%の目的の抗体がクロマトグラフィー樹脂に結合しない。特定の実施形態においては、少なくとも60%、70%、又は80%の目的の抗体がクロマトグラフィー樹脂に結合しない。しかし、プロセス及び生成物に関連する不純物は、クロマトグラフィー樹脂に結合する。特定の実施形態においては、少なくとも50%の、プロセス及び生成物に関連する不純物がクロマトグラフィー樹脂に結合する。特定の実施形態においては、少なくとも60%、70%、又は80%の、プロセス及び生成物に関連する不純物がクロマトグラフィー樹脂に結合する。
本明細書においては、用語「カラム」、又は「樹脂」、又は「クロマトグラフィー樹脂又はクロマトグラフィーカラム」は、相互変換可能である。
用語「CHT」又は「セラミックハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー」は、生体分子のクロマトグラフィー分離に使用されるリン酸カルシウムの一形態である。5個のカルシウムダブレット(Cサイト)と-OH含有リン酸トリプレット(Pサイト)のペアとのセットが、繰り返し幾何学的パターンで配置される。この物質の電子顕微鏡写真には、繰り返しの六角形構造がみられる。また、ラマン分光法による空間充填モデルと繰り返し構造も構築されている。ハイドロキシアパタイトは特異な分離特性と、比類ない選択性及び分解能とを有する。多くの場合、電気泳動やその他のクロマトグラフィー技術によって均一であることが示されたタンパク質を分離する。
ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーの応用としては、モノクローナル抗体とポリクローナル抗体の各種サブクラス、軽鎖の組成が異なる抗体、抗体断片、アイソザイム、直鎖デュープレックスからのスーパーコイルDNA、及び二本鎖DNAからの一本鎖の精製が挙げられる。CHTセラミックハイドロキシアパタイトは、球状のマクロポーラス状のハイドロキシアパタイトである。高温で焼結すると、結晶性からセラミック形態に変化する。
本明細書においては、用語「実質的に純粋な抗体」は、生成物又はプロセスに関連する不純物から選択される不純物を実質的に含まない抗体を含む。特定の実施形態においては、抗体が、酸性バリアント、塩基性バリアント、低分子量、及び高分子量を含まず、実質的に純粋な抗体は、約99%未満、又は約98%未満、又は約97%未満、又は約95%未満、又は約92%未満、又は約90%未満、又は約88%未満、又は約85%未満、又は約82%未満、又は約80%未満、又は約75%未満、又は約70%未満、又は約65%未満、又は約60%未満、又は50%未満の純度を有する。
「サイズバリアント」として使用される用語は、LMW、HMW、又は凝集体を意味する。
「低分子量」又は「LMW」種として使用される用語は、タンパク質骨格が切断された断片であり、抗体のサイズ不均一性の要因となる生成物関連不純物と考えられる。多くの場合、LMW種は、単量体の抗体に対して活性が低い又は著しく低下しており、免疫原性をもたらす、又はインビボでの薬物動態学的特性に影響を与える可能性がある。その結果、LMW種は、医薬品開発中に、製造時の精製医薬品の放出試験の一部として定期的にモニターされる重要な品質特性と考えられる。LMWは、23kDa、24kDa、25kDa、26kDa、30kDa、35kDa、40kDa、45kDa、50kDa、55kDa、60kDa、65kDa、70kDa、75kDa、80kDa、85kDa、90kDa、95kDa、100kDa、105kDa、110kDa、115kDa、120kDa、125kDa、126kDa、及び127kDaから選択される分子量を有する。特定の実施形態においては、LMWは、LC、HC、HH、及び2HL1から選択される。
25kDaの重量を有する、抗体の「軽鎖」又は「LC」という用語は、軽鎖又はL鎖である。典型的な抗体は、2個の軽鎖、即ち、ラムダ(λ)とカッパ(κ)を含む。抗体は、κ鎖又はλ鎖のいずれかを有し、いずれかを1個ずつ有することはない。λ軽鎖又はκ軽鎖を有する抗体の間には機能的な違いはみられず、いずれのタイプの軽鎖も5つの主要クラスのいずれの抗体にもみられる。2種類の軽鎖の比率は、種によって異なる。しかし、タンパク質混合物が、LMW不純物と考えられるLCを1個だけ含むこともある。
それぞれ50kDaの重量を有する、抗体の「重鎖」又は「HC」という用語は、重鎖又はH鎖である。抗体のクラス又はアイソタイプを定義する重鎖には、いくつかの異なるタイプがある。これらの重鎖のタイプは動物によって異なる。重鎖は、抗原と結合するための1個の可変ドメイン(VH)と、定常ドメイン(CH1、CH2など)とを有する一連の免疫グロブリンドメインを含む。αとγの重鎖は、約450アミノ酸を有し、μとεの重鎖は、約550アミノ酸を有する。しかし、タンパク質混合物が、LMW不純物と考えられるHCを1個だけ含むこともある。
抗体種における用語「Two Heavy One Light Chain」、又は「2H1L」、又は「H2L」は、単一の軽鎖を有する。抗体の2H1L種は、H2L種の形成をもたらす、重鎖軽鎖間ジスルフィド結合を形成する重鎖システイン残基のβ脱離により形成される。
「高分子量」又は「HMW」として用いられる用語は、抗体生成物のサイズ不均一性をもたらす生成物関連不純物である。タンパク質凝集の結果として、治療用抗体医薬品にHMW種が生成すると、薬剤の有効性及び安全性の両方が損なわれる可能性がある(例えば、望ましくない免疫原性応答を誘発する)。HMWは、医薬品開発中に、製造時の精製医薬品の放出試験の一部として定期的にモニターされる重要な品質特性と考えられる。特定の実施形態においては、HMWは、凝集体に関する。
「凝集体」として使用される用語は、相互作用の種類と溶解度とに基づいて分類される。可溶性の凝集体は目に見えない粒子であり、フィルターで除去することができない。不溶性の凝集物はろ過によって除去することができ、人の目に見えることが多い。いずれの種類の凝集体も、バイオ医薬品の開発において問題を引き起こす。共有結合性凝集体は、所定ペプチドの複数のモノマー間に共有結合が形成されることによって生じる。遊離チオールのジスルフィド結合の形成は、共有結合性凝集の一般的な機構である。チロシン残基の酸化は、しばしば凝集をもたらすビチロシンの形成をもたらし得る。可逆的なタンパク質凝集は通常、二量体、三量体、多量体などの、より弱いタンパク質相互作用に起因する。
「塩基性バリアント」として使用される用語は、更なる正電荷を導入する又は負電荷を除去する、C末端リジンの存在又はグリシンのアミド化、スクシンイミドの形成、アミノ酸の酸化、若しくはシアル酸の除去によって生じるバリアントを意味し、いずれの種類の修飾でも、pI値を上昇させる。
「高塩バッファー」として使用される用語は、高強度又は高モル濃度バッファーを意味する。
「バッファーA」及び「バッファーB」として使用される用語は、それぞれ、CHTクロマトグラフィーにおける「第1のバッファー」又は「第2のバッファー」と相互変換可能である。
本明細書においては、「ウイルスの低減/不活化」という表現は、特定サンプル中のウイルス粒子の数の低下(「低減」)、及び特定サンプル中のウイルス粒子の活性の低下、例えば、限定されるものではないが、感染能力又は複製能力の低下(「不活化」)を意味することが意図される。かかるウイルス粒子の数及び/又は活性の低下は、約1%~約99%、好ましくは約20%~約99%、より好ましくは約30%~約99%、より好ましくは約40%~約99%、更により好ましくは約50%~約99%、更により好ましくは約60%~約99%、更により好ましくは約70%~約99%、更により好ましくは約80%~99%、更により好ましくは約90%~約99%のオーダーであり得る。
本明細書で使用される「含む(comprises)」又は「含む(comprising)」は、他の要素又は工程を排除しない。本発明の目的において、用語「からなる(consisting of)」は、用語「含む(comprising of)」の任意の実施形態であると考えられる。以下、群が、少なくとも一定の数の実施形態を含むように定義される場合、これはまた、これらの実施形態のみからなっていてもよい群を開示すると理解される。
明細書及び添付の請求項全体を通して、単数形「a」、「an」、及び「the」は複数への言及を含むが、文脈上、明確に複数ではないことが示されている場合は、この限りでない。
本明細書においては、用語「約」は、参照値よりも約10~20%大きい又は小さい範囲を意味することが意図される。特定の状況においては、当業者は、参照値の性質により、用語「約」は、その値から10~20%の偏差より大きい又は小さい値を意味し得ることを認識する。
本明細書においては、用語「CE-SDS」は、LC、HC、HH、及び2HL1から選択されるLMWを分析するために用いられる。
用語「分析HPLC」は、チャージバリアントの推定に使用されるCEX HPLCと、HMW及びLMWの推定に使用されるSE-HPLCとを含む。
一実施形態においては、本発明は、目的のタンパク質と、1以上の低分子量(LMW)バリアントとを含むタンパク質混合物から前記目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
a.セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)カラムに、適切なバッファーで前記タンパク質混合物をロードすることと;
b.前記CHTカラムを適切なバッファーで洗浄することと;
c.適切な勾配のリン酸バッファーで、精製された前記目的のタンパク質を溶出することと、
を含み、
前記精製された前記目的のタンパク質が実質的に純粋であり、SE-HPLC分析によって分析したときに、LMWが0.4%未満であるプロセスを提供する。
かかる実施形態の一態様においては、CHTカラムから溶出するタンパク質混合物は、SE-HPLC分析によって分析したときに、約0.3%以下のLMW、0.2%以下のLMW、0.1%以下のLMWから選択されるLMWを含む。
一実施形態においては、LMWは、23kDa、24kDa、25kDa、26kDa、30kDa、35kDa、40kDa、45kDa、50kDa、55kDa、60kDa、65kDa、70kDa、75kDa、80kDa、85kDa、90kDa、95kDa、100kDa、105kDa、110kDa、115kDa、120kDa、125kDa、126kDa、及び127kDaから選択される分子量を有する。
別の実施形態においては、本発明は、目的のタンパク質と、1以上の塩基性バリアント(BV)とを含むタンパク質混合物から前記目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
a.前記タンパク質混合物を、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)カラムに、適切なバッファーでロードすることと;
b.前記CHTカラムを、適切なバッファーで洗浄することと;
c.精製された前記目的のタンパク質を、適切な勾配のリン酸バッファーで溶出することと、
を含み、
前記精製された前記目的のタンパク質が実質的に純粋であり、CEX-HPLC分析によって分析したときに、前記塩基性バリアントが15%未満であるプロセスを提供する。
かかる実施形態の一態様においては、CHTカラムから溶出されたタンパク質混合物は、約14%以下のBV、13%以下のBV、12%以下のBV、11%以下のBV、10%以下のBV、9%以下のBV、8%以下のBV、7%以下のBV、6%以下のBV、5%以下のBV、4%以下のBV、3%以下のBV、2%以下のBV、1%以下のBVから選択される低いBVを含む。
一実施形態においては、本発明は、目的のタンパク質と、1以上の低分子量(LMW)バリアントと、1以上の塩基性バリアント(BV)とを含むタンパク質混合物から前記目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
a.前記タンパク質混合物を、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)カラムに、適切なバッファーでロードすることと;
b.前記CHTカラムを、適切なバッファーで洗浄することと;
c.精製された前記目的のタンパク質を、適切な勾配のリン酸バッファーで溶出することと、
を含み、
前記精製された前記目的のタンパク質が実質的に純粋であり、SE-HPLC分析によって分析したときに、LMWが0.4%未満であり、
前記精製された前記目的のタンパク質が実質的に純粋であり、CEX-HPLC分析によって分析したときに、前記塩基性バリアントが15%未満であるプロセスを提供する。
かかる実施形態の一態様においては、CHTカラムから溶出されたタンパク質混合物は、SE-HPLC分析によって分析したときに、約0.3%以下のLMW、0.2%以下のLMW、0.1%以下のLMWから選択されるLMWを含む。
かかる実施形態の一態様においては、CHTカラムから溶出されたタンパク質混合物は、約14%以下のBV、13%以下のBV、12%以下のBV、11%以下のBV、10%以下のBV、9%以下のBV、8%以下のBV、7%以下のBV、6%以下のBV、5%以下のBV、4%以下のBV、3%以下のBV、2%以下のBV、1%以下のBVから選択される低いBVを含む。
一実施形態においては、本発明は、目的のタンパク質と、低分子量(LMW)バリアント2H1Lとを含むタンパク質混合物から前記目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
a.前記タンパク質混合物を、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)カラムに、適切なバッファーでロードすることと;
b.前記CHTカラムを、適切なバッファーで洗浄することと;
c.精製された前記目的のタンパク質を、適切な勾配のリン酸バッファーで溶出することと、
を含み、
前記精製された前記目的のタンパク質が実質的に純粋であり、CE-SDSによって測定したときに、2H1Lが3%未満であるプロセスを提供する。
かかる実施形態の一態様においては、CHTカラムから溶出されたタンパク質混合物は、約3%以下、2.6%以下、2.5%以下、2.3%以下、2%以下、1.7%以下、1.5%以下、1.4%以下から選択される低い2H1Lを含む。
一実施形態においては、本発明は、目的のタンパク質と、低分子量(LMW)バリアントHHとを含むタンパク質混合物から前記目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
a.前記タンパク質混合物を、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)カラムに、適切なバッファーでロードすることと;
b.前記CHTカラムを、適切なバッファーで洗浄することと;
c.精製された前記目的のタンパク質を、適切な勾配のリン酸バッファーで溶出することと、
を含み、
前記精製された前記目的のタンパク質が実質的に純粋であり、CE-SDSによって測定したときに、HHが0.2%未満であるプロセスを提供する。
かかる実施形態の一態様においては、CHTカラムから溶出されたタンパク質混合物は、約0.2%以下、0.24%以下、0.21%以下、0.15%以下、0.12%以下、0.09%以下、又は0.08%以下、0.06%以下、又は0.04%以下、及び0.03%以下から選択される低いHHを含む。
一実施形態においては、本発明は、目的のタンパク質と、低分子量(LMW)バリアントHCとを含むタンパク質混合物から前記目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
a.前記タンパク質混合物を、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)カラムに、適切なバッファーでロードすることと;
b.前記CHTカラムを、適切なバッファーで洗浄することと;
c.精製された前記目的のタンパク質を、適切な勾配のリン酸バッファーで溶出することと、
を含み、
前記精製された前記目的のタンパク質が実質的に純粋であり、CE-SDSによって測定したときに、HCが0.4未満であるプロセスを提供する。
かかる実施形態の一態様においては、CHTカラムから溶出されたタンパク質混合物は、約0.4%以下、0.16%以下、0.15%以下、0.12%以下、及び0.18%以下から選択される低いHCを含む。
一実施形態においては、本発明は、目的のタンパク質と、低分子量(LMW)バリアントLCとを含むタンパク質混合物から前記目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
a.前記タンパク質混合物を、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)カラムに、適切なバッファーでロードすることと;
b.前記CHTカラムを、適切なバッファーで洗浄することと;
c.精製された前記目的のタンパク質を、適切な勾配のリン酸バッファーで溶出することと、
を含み、
前記精製された前記目的のタンパク質が実質的に純粋であり、CE-SDSによって測定したときに、LCが0.5%まで低減されるプロセスを提供する。
かかる実施形態の一態様においては、CHTカラムから溶出されたタンパク質混合物は、約0.5%以下、0.4%以下、0.3%以下、及び0.2以下から選択される低いLCを含む。
一実施形態においては、本発明は、目的のタンパク質と、低分子量(LMW)バリアントLC、HC、HH、及び2H1Lとを含むタンパク質混合物から前記目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
a.前記タンパク質混合物を、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)カラムに、適切なバッファーでロードすることと;
b.前記CHTカラムを、適切なバッファーで洗浄することと;
c.精製された前記目的のタンパク質を、適切な勾配のリン酸バッファーで溶出することと、
を含み、
前記精製された前記目的のタンパク質が実質的に純粋であり、CE-SDSによって測定したときに、LC、HC、HH、及び2H1Lが3%まで低減されるプロセスを提供する。
かかる実施形態の一態様においては、CHTカラムから溶出されたタンパク質混合物は、CE-SDSによって測定したときに、LMWであるLC、HC、HH、及び2H1Lを2.2%~2.6%含む。
別の実施形態においては、前記プロセスは、リン酸塩の濃度を約32mMから88mMまで徐々に上昇させて、約23kDa~約125kDaの分子量を有するLMWを分離又は低減し、塩基性バリアントを約33%低減する、CHTカラムの線形溶出勾配を提供する。
別の実施形態においては、前記プロセスは、リン酸塩の濃度を約40mMから96mMまで徐々に上昇させて、約23kDa~約125kDaの分子量を有するLMWを分離又は低減し、塩基性バリアントを約33%低減する、CHTカラムの線形溶出勾配を提供する。
一実施形態においては、本発明は、目的のタンパク質と、1以上の低分子量(LMW)バリアントと、1以上の塩基性バリアント(BV)とを含むタンパク質混合物から前記目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
a.前記タンパク質混合物を、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)カラムに、適切なバッファーでロードすることと;
b.前記CHTカラムを、適切なバッファーで洗浄することと;
c.精製された前記目的のタンパク質を、適切な勾配のリン酸バッファーで溶出することと、
を含み、
前記精製された前記目的のタンパク質が実質的に純粋であり、SE-HPLC分析によって分析したときに、LMWが0.4%未満であるプロセスを提供する。
一実施形態においては、前記精製プロセスは、LMWを、少なくとも約99%、約98%、約97%、約96%、約95%、約94%、約93%、約92%、約91%、約90%、約89%、約88%、約87%、約86%、約85%、約84%、約83%、約82%、約81%、約80%、約75%、約70%、約65%、約60%、約55%、及び約50%以下未満程度低減する。
一実施形態においては、本発明は、目的のタンパク質と、1以上の塩基性バリアント(BV)とを含むタンパク質混合物から前記目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
a.前記タンパク質混合物を、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)カラムに、適切なバッファーでロードすることと;
b.前記CHTカラムを、適切なバッファーで洗浄することと;
c.精製された前記目的のタンパク質を、適切な勾配のリン酸バッファーで溶出することと、
を含み、
前記精製された前記目的のタンパク質が実質的に純粋であり、CEX-HPLC分析によって分析したときに、前記塩基性バリアントが15%未満であるプロセスを提供する。
一実施形態においては、前記精製プロセスは、塩基性バリアントを、少なくとも、約5%、又は約10%、又は約15%、又は約20%、又は約25%、又は約30%、又は約31%、又は約32%、又は約33%、又は約34%、約35%、約40%、又は約45%、及び約50%低減する。
好ましい実施形態においては、前記精製プロセスは、塩基性バリアントを、少なくとも約33%低減する。
別の実施形態においては、前記精製プロセスは、5L、又は50L、又は100L、又は200Lのスケールで、塩基性バリアントを少なくとも約33%低減する。
別の実施形態においては、本発明は、抗体又は融合タンパク質の実質的に純粋な単量体の形態と、宿主細胞タンパク質、宿主細胞DNA、浸出タンパク質、半抗体、二量体、四量体、酸性又は塩基性チャージバリアント、凝集体、低分子量(LMW)種、及び高分子量(HMW)種から選択される低い許容量の不純物とを提供することができる、5L、50L、100L、及び200Lでスケーラブルな精製プロセスを提供する。
本発明は、小スケール(5L)から50L~200L以上の大スケールまで同一効率で利用でき、均一な結果を提供することができる堅牢な標準化された精製プロセスを提供することによって、信頼性の高い製品品質も提供する。ここで、更なる利点は、抗体又は融合タンパク質などの、効果的で高信頼性の、規制(米国FDA及び/又はEMA基準の観点など)に準拠した目的のタンパク質を開発できることである。
特定の実施形態においては、CHTカラムのロード、洗浄、及び溶出の各工程は、約30分間~約105分間以内に完了する。特定の実施形態においては、CHTカラムのロード、洗浄、及び溶出の各工程は、104分間以内に完了する。
特定の実施形態においては、前記哺乳動物細胞は、CHO細胞である。
一実施形態においては、ロード、洗浄、溶出バッファーは、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、及びグリシンから選択される添加剤を含まない。
一実施形態においては、前記適切なバッファーは、極性プロトン性分子、リン酸ナトリウム、トリス、HEPESなどである。
一実施形態においては、前記ロード、洗浄、及び溶出バッファーは、約6.5~約7.2の範囲のpHを有する。
一実施形態においては、前記ロード、洗浄、及び溶出バッファーは、約7.0±0.2のpHを有する。
一実施形態においては、前記ロード及び洗浄バッファーは、約3~約7mS/cmの範囲の導電率を有する。
好ましい実施形態においては、前記ロード及び洗浄バッファーは、約6mS/cmの導電率を有する。
別の実施形態においては、溶出リン酸塩勾配は、リン酸塩の濃度が、バッファーBが約5%から25%まで徐々に増加する線形勾配である。
別の実施形態においては、前記リン酸塩の濃度が、約8%から22%まで徐々に増加するプロセスである。
別の実施形態においては、前記リン酸塩の濃度が、約10%から24%まで徐々に増加するプロセスである。
かかる実施形態の一態様においては、前記CHTカラムから溶出された前記タンパク質混合物は、SE-HPLC分析によって分析したときに、0.4%未満のLMWを含む。
かかる実施形態の一態様においては、前記CHTカラムから溶出された前記タンパク質混合物は、SE-HPLC分析によって分析したときに、約0.3%以下のLMW、0.2%以下のLMW、0.1%以下のLMWから選択されるLMWを含む。
かかる実施形態の一態様においては、前記CHTカラムから溶出された前記タンパク質混合物は、約14%以下のBV、13%以下のBV、12%以下のBV、11%以下のBV、10%以下のBV、9%以下のBV、8%以下のBV、7%以下のBV、6%以下のBV、5%以下のBV、4%以下のBV、3%以下のBV、2%以下のBV、1%以下のBVから選択される低いBVを含む。
かかる実施形態の一態様においては、前記CHTカラムから溶出された前記タンパク質混合物は、10%未満のBVを含む。
別の実施形態においては、前記プロセスは、前記リン酸塩の濃度が、約24mMから100mMまで徐々に増加する線形溶出勾配を提供する。
別の実施形態においては、前記プロセスは、前記リン酸塩の濃度が、約32mMから88mMまで徐々に増加する、CHTカラムの線形溶出勾配を提供する。
別の実施形態においては、前記プロセスは、前記リン酸塩の濃度が、約40mMから96mMまで徐々に増加する、CHTカラムの線形溶出勾配を提供する。
一実施形態においては、本発明は、IgEと結合する抗体と、1以上の低分子量(LMW)バリアントと、1以上の塩基性バリアント(BV)とを含むタンパク質混合物から前記抗体を精製するプロセスであって、
a.前記タンパク質混合物を、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)カラムに、適切なバッファーでロードすることと;
b.前記CHTカラムを、適切なバッファーで洗浄することと;
c.精製された目的のタンパク質を、適切な勾配のリン酸バッファーで溶出することと、
を含み、
前記精製された抗体が実質的に純粋であり、SE-HPLC分析によって分析したときに、LMWが0.4%未満であり、
前記精製された抗体が実質的に純粋であり、CEX-HPLC分析によって分析したときに、塩基性バリアントが15%未満であるプロセスを提供する。
かかる実施形態の一態様においては、前記CHTカラムから溶出された前記抗体は、SE-HPLC分析によって分析したときに、約0.3%以下のLMW、0.2%以下のLMW、0.1%以下のLMWから選択されるLMWを含む。
かかる実施形態の一態様においては、前記CHTカラムから溶出された前記抗体は、約14%以下のBV、13%以下のBV、12%以下のBV、11%以下のBV、10%以下のBV、9%以下のBV、8%以下のBV、7%以下のBV、6%以下のBV、5%以下のBV、4%以下のBV、3%以下のBV、2%以下のBV、1%以下のBVから選択される低いBVを含む。
特定の実施形態においては、前記目的のタンパク質は、IgG1抗体又は融合タンパク質である。一実施形態においては、前記目的のタンパク質は、IgEに結合するIgG1抗体である。好ましい実施形態においては、IgG1抗体は、オマリズマブのバイオシミラーである。
一実施形態においては、前記精製プロセスは、90%、又は91%、又は92%、又は93%、又は94%、又は95%、又は96%、又は97%、又は98%、又は99%超から選択されるモノマーの純度を提供する。
一実施形態においては、本発明は、前記オマリズマブの実質的に精製された単量体と、SE-HPLCによって測定したときに、約0.2%未満のLMWとを含む、オマリズマブの医薬用精製組成物を提供する。
別の実施形態においては、本発明は、前記オマリズマブの実質的に精製された単量体と、SE-HPLCによって測定したときに、約0.2%未満のLMWとを含む、CHTクロマトグラフィーによって精製されたオマリズマブの医薬用精製組成物を提供する。
別の実施形態においては、本発明は、前記オマリズマブの実質的に精製された単量体と、CE-SDSによって測定したときに、2.2%~2.6%の、LC、HC、HH、及び2H1Lから選択されるLMWとを含む、CHTクロマトグラフィーによって精製されたオマリズマブの医薬用精製組成物を提供する。
別の実施形態においては、本発明は、前記オマリズマブの実質的に精製された単量体と、CEX-HPLCによって測定したときに、5%未満の塩基性バリアントとを含む、オマリズマブの医薬用精製組成物を提供する。
別の実施形態においては、本発明は、前記オマリズマブの実質的に精製された単量体と、CEX-HPLCによって測定したときに、5%未満の塩基性バリアントとを含む、CHTクロマトグラフィーによって精製されたオマリズマブの医薬用精製組成物を提供する。
別の実施形態においては、本発明は、目的のタンパク質と、酸性種又はそのバリアントとを含むタンパク質混合物から前記目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
a.前記タンパク質混合物を、pH7.0~7.5から選択される適切なpHにて、適切なバッファーでアニオン交換樹脂にロードすることと;
b.前記タンパク質混合物をフロースルーモードで溶出して、前記目的のタンパク質の酸性種又はバリアントを前記アニオン交換樹脂に結合させることと、
を含み、
溶出された前記タンパク質混合物が、前記目的のタンパク質の実質的に純粋な単量体と、CEX-HPLC分析によって分析したときに、15%未満の酸性種又はバリアントとを含むプロセスを提供する。
かかる実施形態の一態様においては、前記プロセスは、約14%以下のAV、13%以下のAV、12%以下のAV、11%以下のAV、10%以下のAV、9%以下のAV、8%以下のAV、7%以下のAV、6%以下のAV、5%以下のAV、4.5%以下のAV、4%以下のAV、3%以下のAV、2%以下のAV、1%以下未満のAVである前記酸性バリアントを含む前記タンパク質混合物を提供する。
別の実施形態においては、本発明は、前記オマリズマブの実質的に精製された単量体と、CEX-HPLCによって測定したときに、12%未満の酸性バリアントとを含む、オマリズマブの医薬用精製組成物を提供する。
別の実施形態においては、本発明は、前記オマリズマブの実質的に精製された単量体と、CEX-HPLCによって測定したときに、12%未満の酸性バリアントとを含む、AEXクロマトグラフィーによって精製されたオマリズマブの医薬用精製組成物を提供する。
別の実施形態においては、本発明は、前記オマリズマブの実質的に精製された単量体と、CEX-HPLCによって測定したときに、10%未満の酸性バリアントとを含む、AEXクロマトグラフィーによって精製されたオマリズマブの医薬用精製組成物を提供する。
別の実施形態においては、本発明は、目的のタンパク質と、高分子量(HMW)不純物とを含むタンパク質混合物から前記目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
a.得られた前記タンパク質混合物を、pH7.0~7.5から選択される適切なpHにて、適切なバッファーでアニオン交換樹脂にロードすることと;
b.前記タンパク質混合物をフロースルーモードで溶出して、前記HMW不純物を前記アニオン交換樹脂に結合させることと、
を含み、
溶出された前記タンパク質混合物が、前記目的のタンパク質の実質的に純粋な単量体と、SE-HPLC分析によって分析したときに、0.5%未満の前記HMW不純物とを含むプロセスを提供する。
かかる実施形態の一態様においては、前記プロセスは、0.5%以下、約0.4%以下、又は0.3%以下、又は0.2%以下、又は0.1%以下未満のHMWを含むタンパク質混合物を提供する。
別の実施形態においては、本発明は、前記オマリズマブの実質的に精製された単量体と、SE-HPLCによって測定したときに、0.5%未満のHMWとを含む、AEXクロマトグラフィーによって精製されたオマリズマブの医薬用精製組成物を提供する。
別の実施形態においては、本発明は、目的のタンパク質と、酸性種又はそのバリアントとを含むタンパク質混合物から前記目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
a.前記タンパク質混合物を、アフィニティークロマトグラフィープロテインA又はプロテインGによって精製することと;
b.アフィニティークロマトグラフィーで得られた前記タンパク質混合物を、ウイルス不活化に付すことと;
c.工程(b)で得られた前記タンパク質混合物を、pH7.0~7.5から選択される適切なpHにて、適切なバッファーでアニオン交換樹脂にロードすることと;
d.前記タンパク質混合物をフロースルーモードで溶出して、前記目的のタンパク質の酸性種又はバリアントを前記アニオン交換樹脂に結合させることと、
を含み、
工程(d)で得られた、溶出された前記タンパク質混合物が、前記目的のタンパク質の実質的に純粋な単量体と、CEX-HPLC分析によって分析したときに、15%未満の酸性種又はバリアントとを含むプロセスを提供する。
かかる実施形態の一態様においては、前記プロセスは、約14%以下のAV、13%以下のAV、12%以下のAV、11%以下のAV、10%以下のAV、9%以下のAV、8%以下のAV、7%以下のAV、6%以下のAV、5%以下のAV、4.5%以下のAV、4%以下のAV、3%以下のAV、2%以下のAV、1%以下未満のAVである前記酸性バリアントを含む前記タンパク質混合物を提供する。
かかる実施形態の一態様においては、前記精製プロセスは、強アニオン交換のフロースルーモードで得られるタンパク質混合物において、酸性バリアントを少なくとも40%、好ましくは50%低減する。
別の実施形態においては、本発明は、目的のタンパク質と、高分子量(HMW)不純物とを含むタンパク質混合物から前記目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
a.前記タンパク質混合物を、アフィニティークロマトグラフィープロテインA又はプロテインGによって精製することと;
b.アフィニティークロマトグラフィーで得られた前記タンパク質混合物を、ウイルス不活化に付すことと;
c.工程(b)で得られた前記タンパク質混合物を、pH7.0~7.5から選択される適切なpHにて、適切なバッファーでアニオン交換樹脂にロードすることと;
d.前記タンパク質混合物をフロースルーモードで溶出して、前記HMW不純物を前記アニオン交換樹脂に結合させることと、
を含み、
工程(d)で得られた、溶出された前記タンパク質混合物が、前記目的のタンパク質の実質的に純粋な単量体と、SE-HPLC分析によって分析したときに、0.5%未満のHMW不純物とを含むプロセスを提供する。
かかる実施形態の一態様においては、前記プロセスは、0.5%以下、約0.4%以下、又は0.3%以下、又は0.2%以下、又は0.1%以下未満のHMWを含むタンパク質混合物を提供する。
かかる実施形態の一態様においては、前記精製プロセスは、強アニオン交換のフロースルーモードで得られるタンパク質混合物において、HMWを少なくとも80%、好ましくは90%低減する。
一実施形態において、本発明は、驚くべきことに、バッファー溶液のpHがオマリズマブのpIより僅かに低い7.0~7.3であるフロースルーモードで、強アニオン交換カラムを実行することによって、前記カラムを通して酸性バリアント及びHMWが除去されることを見出した。バッファーの望ましいpHを最適化することによって、酸性バリアント又はHMWの少なくとも40%超が強アニオン交換に実質的に結合する。特定の実施形態においては、80%超のHMWが強アニオン交換に結合する。
一実施形態において、本発明は、酸性バリアントが15%未満、好ましくは12%未満であり、HMWが0.5%未満、好ましくは、規制機関の許容限界未満である0.3%である、強アニオン交換から得られる精製抗体組成物を提供する。
一実施形態においては、本発明は、複数のカラムを使用しないことにより、下流での処理の負担を軽減する上で非常に有用である。特定の実施形態においては、本発明は、HIC、及びマルチモーダルクロマトグラフィーを使用しない。
別の実施形態においては、本発明は、タンパク質混合物から目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
a.前記目的のタンパク質と、酸性バリアント、塩基性バリアント、低分子量(LMW)、高分子量(HMW)から選択される少なくとも1つの不純物とを含む哺乳動物発現系からタンパク質混合物を得ることと;前記タンパク質混合物を、アフィニティークロマトグラフィーカラムにアプライすることと;
b.前記タンパク質混合物を、アフィニティークロマトグラフィーカラムから溶出することと;
c.工程(c)で得られた前記タンパク質混合物のウイルス不活化を行うことと;
d.工程(d)で得られた前記タンパク質混合物を、アニオン交換クロマトグラフィーにアプライすることと;
e.前記タンパク質混合物を、フロースルーモードで溶出することと;
f.工程(f)で得られた、HMWと酸性バリアントとを実質的に含まない前記タンパク質混合物を、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)カラムにアプライすることと;
g.任意に、前記CHTカラムを、適切な洗浄バッファーで洗浄することと;
h.前記タンパク質混合物を、適切なバッファーで前記CHTカラムから溶出することと、
を含み、
溶出された前記タンパク質混合物が、前記目的のタンパク質で濃縮されており、不純物であるHMW、LMW、塩基性バリアント(BV)を実質的に含まないプロセスを提供する。
一実施形態においては、本発明は、目的の抗体が濃縮され、且つ酸性バリアント及びHMW又は凝集体が実質的に低減された抗体組成物を製造するアニオン交換プロセスを提供する。
一実施形態においては、本発明は、目的の抗体が濃縮され、且つ酸性バリアントが実質的に低減され、約14%以下のAV、13%以下のAV、12%以下のAV、11%以下のAV、10%以下のAV、9%以下のAV、8%以下のAV、7%以下のAV、6%以下のAV、5%以下のAV、4.5%以下のAV、4%以下のAV、3%以下のAV、2%以下のAV、1%以下のAVを含む抗体組成物を製造する、ネガティブモードで行われるアニオン交換プロセスを提供する。
一実施形態においては、本発明は、目的の抗体が濃縮され、且つHMWが実質的に低減され、約0.5%以下のHMWを含む抗体組成物を製造する、ネガティブモードで行われるアニオン交換プロセスを提供する。この実施形態の一態様においては、低HMW組成物は、約0.4%以下のHMW、0.3%以下のHMW、0.2%以下のHMW、0.1%以下のHMWを含む。
一実施形態においては、本発明は、目的の抗体が濃縮され、且つ塩基性バリアント及びLMW不純物が低減された抗体組成物を製造する、CHTカラムクロマトグラフィープロセスを提供する。
一実施形態においては、本発明は、SE-HPLC分析によって分析したときに、約0.3%以下のLMW、0.2%以下のLMW、0.1%以下のLMWから選択されるLMWを含む、CHTカラムから溶出されたタンパク質混合物を提供する。
一実施形態においては、本発明は、SE-HPLC分析によって分析したときに、0.4%未満のLMWを含む、CHTカラムから溶出されたタンパク質混合物を提供する。
一実施形態においては、本発明は、約14%以下のBV、13%以下のBV、12%以下のBV、11%以下のBV、10%以下のBV、9%以下のBV、8%以下のBV、7%以下のBV、6%以下のBV、5%以下のBV、4%以下のBV、3%以下のBV、2%以下のBV、1%以下のBVから選択される低いBVを含む、CHTカラムから溶出されたタンパク質混合物を提供する。
一実施形態においては、本発明は、10%未満のBVを含む、CHTカラムから溶出されたタンパク質混合物を提供する。
一実施形態においては、本発明は、5%未満のBVを含む、CHTカラムから溶出されたタンパク質混合物を提供する。
別の実施形態においては、本発明は、タンパク質混合物から、50Lのスケール又は200Lのスケールで、オマリズマブを精製するプロセスであって、
a.目的のタンパク質と、酸性バリアント、塩基性バリアント、低分子量(LMW)、高分子量(HMW)から選択される少なくとも1つの不純物とを含む哺乳動物発現系からタンパク質混合物を得ることと;
b.前記タンパク質混合物を、アフィニティークロマトグラフィーカラムにアプライすることと;
c.前記タンパク質混合物を、アフィニティークロマトグラフィーカラムから溶出することと;
d.工程(c)で得られた前記タンパク質混合物のウイルス不活化を行うことと;
e.工程(d)で得られた前記タンパク質混合物を、アニオン交換クロマトグラフィーにアプライすることと;
f.前記タンパク質混合物を、フロースルーモードで溶出することと;
g.工程(f)で得られた、HMWと酸性バリアントとを実質的に含まない前記タンパク質混合物を、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)カラムにアプライすることと;
h.適切な洗浄バッファーで、前記CHTカラムを洗浄することと;
i.適切なバッファーで、前記CHTカラムから前記タンパク質混合物を溶出することと、
を含み、
溶出された前記タンパク質混合物が、オマリズマブで濃縮されており、不純物であるLMW、及び塩基性バリアント(BV)を実質的に含まないプロセスを提供する。
一実施形態においては、CHT洗浄は、緩く結合した不純物を除去する。
一実施形態においては、本発明は、目的の抗体が濃縮され、且つ酸性バリアント及びHMW又は凝集体が実質的に低減されたオマリズマブ組成物を製造する、アニオン交換プロセスを提供する。
一実施形態においては、本発明は、オマリズマブが濃縮され、且つ酸性バリアントが実質的に低減され、約14%以下のAV、13%以下のAV、12%以下のAV、11%以下のAV、10%以下のAV、9%以下のAV、8%以下のAV、7%以下のAV、6%以下のAV、5%以下のAV、4.5%以下のAV、4%以下のAV、3%以下のAV、2%以下のAV、1%以下のAVを含む抗体組成物を製造する、ネガティブモードで行われるアニオン交換プロセスを提供する。
一実施形態においては、本発明は、オマリズマブが濃縮され、且つHMWが実質的に低減され、約0.5%以下のHMWを含む抗体組成物を製造する、ネガティブモードで行われるアニオン交換プロセスを提供する。この実施形態の一態様においては、低HMW組成物は、SE-HPLC分析で分析したときに、約0.4%以下のHMW、0.3%以下のHMW、0.2%以下のHMW、0.1%以下のHMWを含む。
一実施形態においては、本発明は、オマリズマブが濃縮され、且つ塩基性バリアント及びLMW不純物が低減された抗体組成物を製造する、CHTカラムクロマトグラフィープロセスを提供する。
一実施形態においては、本発明は、SE-HPLC分析によって分析したときに、約0.3%以下のLMW、0.2%以下のLMW、0.1%以下のLMWから選択されるLMWを含む、CHTカラムから溶出されたタンパク質混合物を提供する。
一実施形態においては、本発明は、SE-HPLC分析によって分析したときに、0.4%未満のLMWを含む、CHTカラムから溶出されたタンパク質混合物を提供する。
一実施形態においては、本発明は、約14%以下のBV、13%以下のBV、12%以下のBV、11%以下のBV、10%以下のBV、9%以下のBV、8%以下のBV、7%以下のBV、6%以下のBV、5%以下のBV、4%以下のBV、3%以下のBV、2%以下のBV、1%以下のBVから選択される低いBVを含む、CHTカラムから溶出されたタンパク質混合物を提供する。
一実施形態においては、本発明は、10%未満のBVを含む、CHTカラムから溶出されたタンパク質混合物を提供する。
一実施形態においては、本発明は、5%未満のBVを含む、CHTカラムから溶出されたタンパク質混合物を提供する。
一実施形態においては、前記抗体は、IgEに結合することができ、それによって、アレルギー疾患、喘息、鼻茸、及び蕁麻疹を治療することができる。好ましい実施形態においては、前記抗体は、オマリズマブである。
一実施形態においては、実質的に精製された単量体と、不純物である12%未満の酸性バリアント、5%未満の塩基性バリアント、0.4%未満のLMW、及び0.5%未満のHMWとを含むオマリズマブのバイオシミラーの精製医薬組成物である。
一実施形態においては、抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、及び融合タンパク質から選択される。特定の実施形態においては、前記抗体は、エタネルセプト、リツキシマブ、パリビズマブ、インフリキシマブ、トラスツズマブ、アレムツズマブ、アダリムマブ、イブリツモマブチウキセタン、オマリズマブ、セツキシマブ、ベバシズマブ、ナタリズマブ、エクリズマブ、セルトリズマブペゴル、ウステキヌマブ、カナキヌマブ、ゴリムマブ、オファツムマブ、トシリズマブ、デノスマブ、ベリムマブ、イピリムマブ、ブレンツキシマブベドチン、ペルツズマブ、トラスツズマブエムタンシン、ラキシバクマブ、オビヌツズマブ、シルツキシマブ、ラムシルマブ、ベドリズマブ、ブリナツモマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ダルシズマブ、ネシツムマブ、ジヌツキシマブ、セクキヌマブ、メポリズマブ、アリロクマブ、エボロクマブ、ダラツムマブ、エロツズマブ、イキセキズマブ、レスリズマブ、オララツマブ、ベズロトクスマブ、アテゾリズマブ、オビルトキサキシマブ、サリルマブ、オクレリズマブ、チルドラキズマブ、ロモソズマブ、ブロルシズマブ、クリザンリズマブから選択される。
一実施形態においては、前記目的のタンパク質は、IgEに結合するIgG1抗体である。好ましい実施形態においては、前記IgG1抗体は、オマリズマブのバイオシミラーである。
一実施形態においては、アフィニティークロマトグラフィーの後に連続して行われるクロマトグラフィー工程は、相互に調整又は交換可能である。特定の実施形態においては、アフィニティークロマトグラフィーの後に、CHTクロマトグラフィーを行うことができる。特定の実施形態においては、アフィニティークロマトグラフィーとAEXクロマトグラフィーとの間に、CHTを行うことができる。
特定の実施形態においては、アフィニティークロマトグラフィーの後に、CHTを行うことができる。
特定の実施形態においては、アフィニティークロマトグラフィーとAEXクロマトグラフィーとの間に、CHTを行うことができる。
アフィニティークロマトグラフィーの条件:
一実施形態においては、前記アフィニティークロマトグラフィーは、プロテインA又はプロテインGから選択される。
一実施形態においては、前記アフィニティークロマトグラフィー樹脂は、Mabselect、Mabselect SuRe、Mabselect SuRe LX、Prosep Ultra Plus、Eshmuno Aから選択される。好ましい実施形態においては、前記アフィニティークロマトグラフィー樹脂は、Mabselect Sure LXである。
一実施形態においては、平衡化バッファー、又はロードバッファー、又は洗浄バッファーは、リン酸ナトリウム、トリス-HCl、トリス-アセテート、HEPES、グリシン-NaOHから選択される。
好ましい実施形態においては、前記ロードバッファーは、トリス-アセテート又はトリス-HClである。
特定の実施形態においては、前記平衡化バッファー、又はロードバッファー、又は洗浄バッファーは、塩と組み合わせて使用される。特定の実施形態においては、前記塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウムから選択される。好ましい実施形態においては、前記塩は、塩化ナトリウムである。
一実施形態においては、前記平衡化バッファーは、約5mM~約40mMの濃度範囲を有する。特定の実施形態においては、前記平衡化バッファーは、約10mM~約25mMの濃度範囲を有する。好ましい実施形態においては、前記平衡化バッファーの濃度は、約20mMである。
特定の実施形態においては、前記平衡化バッファー、又はロードバッファー、又は洗浄バッファーは、任意に、約50mM~約400mMから選択される塩を含む。一実施形態においては、前記平衡化バッファーは、約100mM~約200mMから選択される塩バッファー濃度を含む。一実施形態においては、前記平衡化バッファーの濃度は、約150mMである。別の実施形態においては、前記平衡化バッファーの濃度は、約100mMである。
一実施形態においては、前記平衡化バッファー、又はロードバッファー、又は洗浄バッファーは、約10mS/cm~約20mS/cmの導電率範囲を有する。一実施形態においては、前記平衡化バッファー、又はロードバッファー、又は洗浄バッファーの導電率は、約15.0mS/cm~18.0mS/cmである。別の実施形態においては、前記平衡化バッファー、又はロードバッファー、又は洗浄バッファーの導電率は、約10.0mS/cm~13.0mS/cmである。
一実施形態においては、前記平衡化バッファー、又はロードバッファー、又は洗浄バッファーのpHは、約6.5~約7.5から選択される。好ましい実施形態においては、前記平衡化バッファーのpHは、約7.0である。
一実施形態においては、前記ロードバッファーは、約5mM~約40mMの濃度範囲を有する。一実施形態においては、前記ロードバッファーは、約10mM~約30mMの濃度範囲を有する。好ましい実施形態においては、前記ロードバッファーの濃度は、約20mMである。
特定の実施形態においては、前記アフィニティークロマトグラフィーは、少なくとも1種の洗浄バッファーを有する。別の実施形態においては、前記アフィニティークロマトグラフィーは、3種の洗浄バッファーを有する。
一実施形態においては、第1の洗浄バッファーは、約5mM~約40mMの濃度範囲を有する。特定の実施形態においては、第1の洗浄バッファーは、約10mM~約25mMの濃度範囲を有する。好ましい実施形態においては、第1の洗浄バッファーの濃度は、約20mMである。
一実施形態においては、第2の洗浄バッファーは、リン酸ナトリウム、トリス-HCl、トリス-アセテート、HEPES、及びグリシン-NaOHから選択される。
特定の実施形態においては、第2の洗浄バッファーは、塩と組み合わせて使用される。
特定の実施形態においては、前記塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウムから選択される。好ましい実施形態においては、前記塩は、塩化ナトリウムである。
一実施形態においては、第2の洗浄バッファーは、約5mM~約40mMの濃度範囲を有する。特定の実施形態においては、第2の洗浄バッファーは、約10mM~約25mMの濃度範囲を有する。好ましい実施形態においては、第2の洗浄バッファーの濃度は、約20mMである。
一実施形態においては、第2の洗浄バッファーは、約0.5M~約1.5Mの塩バッファー濃度範囲を有する。好ましい実施形態においては、第2の洗浄バッファーの濃度は、約1.0Mである。
一実施形態においては、第2の洗浄バッファーは、約70mS/cm~約120mS/cmの導電率範囲を有する。一実施形態においては、第2の洗浄バッファーは、約80mS/cm~約100mS/cmの導電率範囲を有する。好ましい実施形態においては、、第2の洗浄バッファーの導電率は、約90mS/cmである。
一実施形態においては、第2の洗浄バッファーのpHは、約6.5~約7.5から選択される。好ましい実施形態においては、第2の洗浄バッファーのpHは、約7.0である。
一実施形態においては、第2の洗浄バッファーは、ポリソルベート20、ポリソルベート80、及びトリトンX-100から選択される界面活性剤を更に含む。一実施形態においては、好ましい界面活性剤は、ポリソルベート20である。
一実施形態においては、第2の洗浄バッファー中の界面活性剤の割合は、約0.01%~約1%である。好ましい実施形態においては、第2の洗浄バッファー中の界面活性剤は、0.1%(w/v)である。
一実施形態においては、第3の洗浄バッファーは、約5mM~約40mMの濃度範囲を有する。特定の実施形態においては、第3の洗浄バッファーは、約10mM~約30mMの濃度範囲を有する。好ましい実施形態においては、第3の洗浄バッファーの濃度は、約20mMである。
一実施形態においては、第3の洗浄バッファーは、約5mM~約40mMの濃度範囲を有する。特定の実施形態においては、第3の洗浄バッファーは、約10mM~約40mMの濃度範囲を有する。好ましい実施形態においては、第3の洗浄バッファーの濃度は、約30mMである。
一実施形態においては、第3の洗浄バッファーは、約0.5mS/cm~約2.5mS/cmの導電率範囲を有する。好ましい実施形態においては、第3の洗浄バッファーの導電率は、2.5mS/cm未満である。
一実施形態においては、第3の洗浄バッファーのpHは、約5~約6から選択される。好ましい実施形態においては、第3の洗浄バッファーのpHは、約5.5である。
一実施形態においては、前記溶出バッファーは、酢酸、リン酸、酢酸ナトリウム、及びHClから選択される。好ましい実施形態においては、前記溶出バッファーは、酢酸である。
一実施形態においては、前記溶出バッファーは、酢酸、リン酸、酢酸ナトリウム、及びHClから選択される。好ましい実施形態においては、前記溶出バッファーは、酢酸ナトリウムである。
一実施形態においては、前記溶出バッファーは、約25mM~約250mMから選択される濃度範囲を有する。
一実施形態においては、前記溶出バッファーは、約100mM~約250mMから選択される濃度範囲を有する。一実施形態においては、前記溶出バッファーは、約125mM~200mMから選択される濃度範囲を有する。
一実施形態においては、前記溶出バッファーは、約0.2mS/cm~約1.0mS/cmの導電率範囲を有する。一実施形態においては、前記溶出バッファーは、約0.5mS/cm~約1.0mS/cmの導電率範囲を有する。一実施形態においては、前記溶出バッファーは、約0.5mS/cm~約0.6mS/cmの導電率範囲を有する。一実施形態においては、前記溶出バッファーは、約0.2mS/cm~約0.3mS/cmの導電率範囲を有する。
一実施形態においては、前記溶出バッファーのpHは、2.5~約3.5から選択される。好ましい実施形態においては、前記溶出バッファーのpHは、約3.5である。
一実施形態においては、前記溶出バッファーは、約0.2mS/cm~約0.3mS/cmの導電率範囲を有する。一実施形態においては、前記溶出バッファーのpHは、2.5~約3.5から選択される。好ましい実施形態においては、前記溶出バッファーのpHは、約3.0である。
特定の実施形態においては、前記溶出は、線形勾配で行われる。特定の実施形態においては、前記溶出は、段差勾配で行われる。
一実施形態においては、溶出ピークの回収は、約2.5AU/cm上方値で開始し、約2.5AU/cm下方値で終了する。
一実施形態においては、溶出ピークの回収は、約0.25AU/cm上方値で開始し、約0.25AU/cm下方値で終了する。
一実施形態においては、本発明は、前記溶出バッファーが約200mMの濃度を有するアフィニティークロマトグラフィーから得られる、約100NTU未満、約50NTU未満、約30NTU未満、約10NTU未満から選択される濁度を有する抗体組成物を提供する。
別の実施形態においては、本発明は、低塩濃度で溶出を行うアフィニティークロマトグラフィーを用いることによる、抗体又はその断片の精製プロセスを提供する。
別の実施形態においては、本発明は、低塩濃度で溶出を行うアフィニティークロマトグラフィーを用いることによる、抗体又はその断片の精製プロセスであって、ウイルス不活化中に、溶出したタンパク質混合物の高塩濃度で行われる溶出と比較して濁度が低下しない精製プロセスを提供する。
一実施形態においては、前記平衡化は、約3CV~約10CVで行われる。好ましい実施形態においては、前記平衡化は、約5CVで行われる。一実施形態においては、前記平衡化は、前記平衡化バッファーの導電率のエンドポイントが達成されるまで行われる。
一実施形態においては、ロード時にカラムにロードされるタンパク質量は、約10g/L~約45g/Lである。一実施形態においては、ロード時にカラムにロードされるタンパク質量は、約10g/L~約50g/Lである。
一実施形態においては、第1の洗浄は、少なくとも1~約5CVで行われる。好ましい実施形態においては、第1の洗浄は、3CVで行われる。一実施形態においては、第1の洗浄は、バッファー導電率のエンドポイントが達成されるまで行われる。
一実施形態においては、第2の洗浄は、少なくとも1CV~約5CVで行われる。好ましい実施形態においては、第2の洗浄は、3CVで行われる。一実施形態においては、第2の洗浄は、バッファー導電率のエンドポイントが達成されるまで行われる。
一実施形態においては、第3の洗浄は、少なくとも4CV~約8CVで行われる。好ましい実施形態においては、第3の洗浄は、5CVで行われる。一実施形態においては、第3の洗浄は、バッファー導電率のエンドポイントが達成されるまで行われる。
一実施形態においては、プロテインA精製時のカラム内のタンパク質の滞留時間は、約2分間~約6分間の範囲を有する。好ましい実施形態においては、カラム内のタンパク質の滞留時間は、約4分間である。
AEXクロマトグラフィーの条件:
一実施形態においては、アニオン交換クロマトグラフィー樹脂は、Capto Q、DEAE Sepharose fast flow、Fractogel EMD DEAE(M)、Toyopearl DEAE - 650、Q Sepharose Fast Flow、POROS XQ、POROS 50 HQ、POROS 50 PI、及びPOROS 50 Dから選択される。特定の実施形態においては、アニオン交換クロマトグラフィー樹脂は、強アニオン交換POROS 50 HQである。
一実施形態においては、前記平衡化バッファー又はロードバッファーは、リン酸ナトリウム、トリス-HCl、HEPES、グリシン-NaOH、及びトリス-アセテートから選択される。特定の実施形態においては、前記平衡化バッファー又はロードバッファーは、トリスアセテート又はトリス-HClである。
一実施形態においては、前記平衡化バッファーは、約40mM~約60mMの濃度範囲を有する。特定の実施形態においては、前記ロードバッファーの濃度は、約50mMである。特定の実施形態においては、前記ロードバッファーの濃度は、約20mMである。
一実施形態においては、前記平衡化バッファーは、約1.5mS/cm~約3.5mS/cmの導電率範囲を有する。特定の実施形態においては、前記平衡化バッファーの導電率は、2.6mS/cm未満である。
一実施形態においては、前記平衡化バッファーのpHは、約6.5~約7.5から選択される。特定の実施形態においては、前記ロードバッファーのpHは、約7.0~約7.5である。一実施形態においては、前記ロードバッファーのpHは、7.2~7.4である。
特定の実施形態においては、前記平衡化バッファーの導電率は、≦2.0mS/cmである。
一実施形態においては、前記平衡化バッファーのpHは、約6.5~約7.5から選択される。
特定の実施形態においては、前記ロードバッファーのpHは、約7.0~約7.5である。一実施形態においては、前記ロードバッファーのpHは、7.2~7.3である。
一実施形態においては、前記ロードバッファーは、約40mM~約60mMの濃度範囲を有する。特定の実施形態においては、前記ロードバッファーの濃度は、約50mMである。
一実施形態においては、前記ロードバッファーは、約10mM~約30mMの濃度範囲を有する。特定の実施形態においては、前記ロードバッファーの濃度は、約20mMである。
一実施形態においては、前記ロードバッファーは、約1.5mS/cm~約3.5mS/cmの導電率範囲を有する。特定の実施形態においては、前記ロードバッファーの導電率は、2.6mS/cm未満である。
一実施形態においては、前記ロードバッファーのpHは、約6.5~約7.5から選択される。
特定の実施形態においては、前記ロードバッファーのpHは、約7.0~約7.5である。一実施形態においては、前記ロードバッファーのpHは、7.2~7.3である。
特定の実施形態においては、前記ロードバッファーの導電率は、約≦3.0mS/cmである。
一実施形態においては、前記ロードバッファーのpHは、約6.5~約7.5から選択される。
特定の実施形態においては、前記ロードバッファーのpHは、約7.0~約7.5である。一実施形態においては、前記ロードバッファーのpHは、7.2~7.3である。
一実施形態においては、本発明は、約2.5AU/cm上方値、及び約1.5AU/cm下方値で終了することから選択されるタンパク質ピーク回収基準を提供する。
一実施形態においては、本発明は、約1.5AU/cm上方値、及び約1.5AU/cm下方値で終了することから選択されるタンパク質ピーク回収基準を提供する。
一実施形態においては、本発明は、ピーク回収基準が約2.5AU/cm~約1.5AU/cmから選択されるAEXクロマトグラフィーから得られる目的の抗体と、約10%~12%の酸性バリアントとを含む抗体組成物を提供する。
別の実施形態においては、本発明は、約1.5AU/cm上方値、及び約1.5AU/cm下方値で終了することから選択されるタンパク質ピーク回収基準を提供する。
一実施形態においては、前記洗浄バッファーは、リン酸ナトリウム、トリス-HCl、HEPES、グリシン-NaOH、及びトリス-アセテートから選択される。
一実施形態においては、前記洗浄バッファーは、約40mM~約60mMの濃度範囲を有する。特定の実施形態においては、前記洗浄バッファーの濃度は、約50mMである。
別の実施形態においては、前記洗浄バッファーは、約10mM~約30mMの濃度範囲を有する。特定の実施形態においては、前記洗浄バッファーの濃度は、約20mMである。
一実施形態においては、前記洗浄バッファーは、約1.5mS/cm~約3.5mS/cmの導電率範囲を有する。好ましい実施形態においては、前記洗浄バッファーの導電率は、2.6mS/cm未満である。
特定の実施形態においては、前記洗浄バッファーの導電率は、≦2.0mS/cmである。
一実施形態においては、前記洗浄バッファーのpHは、約6.5~約7.5から選択される。特定の実施形態においては、前記洗浄バッファーのpHは、約7.2である。
一実施形態においては、前記再生バッファーは、リン酸ナトリウム、トリス-HCl、HEPES、グリシン-NaOH、及びトリス-アセテートから選択される。
一実施形態においては、前記再生バッファーは、約5mM~約30mMの濃度範囲を有する。特定の実施形態においては、前記再生バッファーの濃度は、約20mMである。
一実施形態においては、前記再生バッファーは、また、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及び塩化カルシウムから選択される塩も含む。特定の実施形態においては、前記再生バッファー中の塩は、塩化ナトリウムである。
一実施形態においては、前記再生バッファー中の前記塩は、約0.5M~約1.5Mの濃度範囲を有する。特定の実施形態においては、前記再生バッファー中の前記塩は、約1.0Mの濃度を有する。
一実施形態においては、前記再生バッファーは、約80mS/cm~約90mS/cmの導電率範囲を有する。特定の実施形態においては、前記再生バッファーの導電率は、約85mS/cmである。
一実施形態においては、前記再生バッファーは、約90mS/cm~約110mS/cmの導電率範囲を有する。特定の実施形態においては、前記再生バッファーの導電率は、約100mS/cmである。
一実施形態においては、前記再生バッファーのpHは、約6.5~約7.5から選択される。好ましい実施形態においては、前記再生バッファーのpHは、約7.0である。
一実施形態においては、前記再生バッファーのpHは、約6.5~約7.5から選択される。好ましい実施形態においては、前記再生バッファーのpHは、約7.2である。
一実施形態においては、前記溶出は、フロースルーモードで行われる。
一実施形態においては、前記サニタイゼーションバッファーは、NaOH、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコールから選択される。特定の実施形態においては、前記サニタイゼーションバッファーは、NaOHである。
一実施形態においては、前記サニタイゼーションバッファーは、約300mM~約1500mMの濃度範囲を有する。特定の実施形態においては、前記再生バッファーの濃度は、約500mMである。
一実施形態においては、前記ロードは、少なくとも約5CV以上で行われる。特定の実施形態においては、前記ロードは、約30CVで行われる。
一実施形態においては、前記平衡化は、少なくとも約3CV~約10CVで行われる。特定の実施形態においては、前記平衡化は、約5CVで行われる。
一実施形態においては、前記平衡化は、前記平衡化バッファーの導電率のエンドポイントが達成されるまで行われる。
一実施形態においては、ロード時にカラムにロードされるタンパク質量は、約150g/L未満、約130g/L未満、約120g/L未満、約110g/L未満、約100g/L未満から選択される。
一実施形態においては、前記洗浄は、少なくとも約5CVで行われる。
一実施形態においては、前記洗浄は、少なくとも約2CVで行われる。
一実施形態においては、前記再生は、少なくとも2CV~約5CVで行われる。特定の実施形態においては、前記再生は、約3CVで行われる。
一実施形態においては、前記再生は、不純物の大部分を除去する。好ましい実施形態においては、前記再生は、HMW、及び酸性チャージバリアントベースの不純物の大部分を除去する。
一実施形態においては、前記サニタイゼーションは、少なくとも2CV~約5CVで行われる。特定の実施形態においては、前記サニタイゼーションは、約3CVで行われる。
一実施形態においては、前記サニタイゼーションバッファーは、約15分間~約60分間、カラム内に保持される。特定の実施形態においては、前記サニタイゼーションバッファーは、約20分間、カラム内に保持される。
一実施形態においては、AEX精製時のカラム内のタンパク質の滞留時間は、約2分間~約6分間の範囲を有する。特定の実施形態においては、カラム内のタンパク質の滞留時間は、約4分間である。
セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)の条件:
一実施形態においては、セラミックハイドロキシアパタイトは、CHT(セラミックハイドロキシアパタイト)-タイプ1及びCHT(セラミックハイドロキシアパタイト)XTである。
一実施形態においては、バッファーAとバッファーBとを組み合わせて、前記ロードバッファー、洗浄バッファー、平衡化バッファー、及び溶出バッファーを調製する。
特定の実施形態においては、バッファーAは、極性プロトン性分子である。特定の実施形態においては、前記極性プロトン分子は、水(H-OH)、酢酸(CH3CO-OH)、メタノール(CH3-OH)、エタノール(CH3CH2-OH)、n-プロパノール(CH3CH2CH2-OH)、n-ブタノール(CH3CH2CH2CH2-OH)から選択される。
好ましい実施形態においては、前記極性プロトン分子は、水である。
一実施形態においては、バッファーBは、リン酸ナトリウム、トリス、HEPES、グリシン-NaOHから選択される。好ましい実施形態においては、前記バッファーBは、リン酸ナトリウムである。
一実施形態においては、バッファーBの濃度範囲は、約20mM~約40mMである。特定の実施形態においては、バッファーBの濃度は、約32mMである。
一実施形態においては、バッファーBの濃度範囲は、約20mM~約40mMである。特定の実施形態においては、バッファーBの濃度は、約40mMである。
一実施形態においては、平衡化バッファーとロードバッファーの濃度範囲は、約20mM~約40mMである。特定の実施形態においては、平衡化バッファーとロードバッファーの濃度は、約32mMである。
特定の実施形態においては、前記平衡化バッファー、ロードバッファー、及び洗浄バッファーの強度は同一である。一実施形態においては、溶出バッファーの強度は、ロードバッファーより高い。
一実施形態においては、前記平衡化バッファー及びロードバッファーは、約20~約50mMの濃度範囲を有する。特定の実施形態においては、前記平衡化バッファーの濃度は、約40mMである。
一実施形態においては、前記平衡化バッファーは、約20mM~50mMの濃度を有する。特定の実施形態においては、前記平衡化バッファーは、約32mMの濃度を有する。一実施形態においては、前記平衡化バッファー、又はロードバッファー、又は洗浄バッファー、又は溶出バッファーのpHは、約6.5~約7.5から選択される。
一実施形態においては、前記バッファーのpHは、約7.0±0.2である。
一実施形態においては、前記平衡化バッファーは、約3.0~約7.0mS/cmの導電率範囲を有する。好ましい実施例においては、前記平衡化バッファーの導電率は、約6.0mS/cmである。
一実施形態においては、前記平衡化バッファーのpHは、約6.5~約7.5から選択される。
一実施形態においては、前記平衡化バッファーのpHは、約7.0±0.2である。
一実施形態においては、バッファーAの濃度がバッファーBの濃度の少なくとも10%である、少なくとも2種類のバッファーの組合せを使用することによって、前記平衡化をアイソクラティック勾配で行う。好ましい実施形態においては、バッファーAの濃度は、バッファーBの濃度の少なくとも8%である。
一実施形態においては、前記ロードバッファーは、約30~約60mMの濃度範囲を有する。好ましい実施例においては、前記ロードバッファーは、約40mMである。
一実施形態においては、前記ロードバッファーは、約10mM~40mMの濃度を有する。特定の実施形態においては、前記ロードバッファーは、約32mMの濃度を有する。
一実施形態においては、前記ロードバッファーは、約3.0~約7.0mS/cmの導電率範囲を有する。好ましい実施例においては、前記ロードバッファーの導電率は、約6.0mS/cmである。
一実施形態においては、前記ロードバッファーのpHは、約6.5~約7.5から選択される。
一実施形態においては、前記ロードバッファーのpHは、約7.0±0.2である。
一実施形態においては、バッファーAの濃度がバッファーBの濃度の少なくとも10%である、少なくとも2種類のバッファーの組合せを使用することによって、前記ロードをアイソクラティック勾配で行う。好ましい実施形態においては、バッファーAの濃度は、バッファーBの少なくとも8%である。
一実施形態においては、前記洗浄バッファーは、約30mM~約60mMの濃度範囲を有する。好ましい実施形態においては、前記洗浄バッファーの濃度は、約40mMである。
一実施形態においては、前記洗浄バッファーは、約10mM~40mMの濃度を有する。特定の実施形態においては、前記洗浄バッファーは、約32mMの濃度を有する。
一実施形態においては、前記洗浄バッファーは、約3.0mS/c~約7.0mS/cmの導電率範囲を有する。好ましい実施例においては、前記洗浄バッファーの導電率は、約6.0mS/cmである。
一実施形態においては、前記洗浄バッファーのpHは、約6.5~約7.5から選択される。
一実施形態においては、前記洗浄バッファーのpHは、約7.0±0.2である。
一実施形態においては、バッファーAの濃度がバッファーBの少なくとも10%以下である、少なくとも2種類のバッファーの組合せを使用することによって、前記洗浄をアイソクラティック勾配で行う。好ましい実施形態においては、バッファーAの濃度は、バッファーBの濃度の少なくとも10%である。
一実施形態においては、前記溶出バッファーは、約10mM~約400mMの濃度範囲を有する。好ましい実施形態においては、前記溶出バッファーは、約32mM~約104mMの濃度範囲を有する。
一実施形態においては、前記溶出バッファーは、約10mM~約400mMの濃度範囲を有する。好ましい実施形態においては、前記溶出バッファーは、約24mM~約100mMの濃度範囲を有する。
一実施形態においては、前記溶出バッファーは、約10mM~約400mMの濃度範囲を有する。好ましい実施形態においては、前記溶出バッファーは、約32mM~約88mMの濃度範囲を有する。
一実施形態においては、前記溶出バッファーは、約10mM~約400mMの濃度範囲を有する。好ましい実施形態においては、前記溶出バッファーは、約40mM~約96mMの濃度範囲を有する。
一実施形態においては、前記溶出バッファーは、約6mS/cm~約12mS/cmの導電率範囲を有する。
一実施形態においては、前記溶出バッファーのpHは、約6.5~約7.5から選択される。一実施形態においては、前記溶出バッファーのpHは、約7.0±0.2である。
一実施形態においては、前記溶出は、線形勾配で行われる。特定の実施形態においては、前記溶出は、段差勾配で行われる。
一実施形態においては、バッファーAの濃度がバッファーBの濃度の少なくとも10%である、少なくとも2種類のバッファーの組合せを使用することによって、前記溶出を線形勾配で行う。かかる実施形態においては、バッファーAの濃度はバッファーBの濃度の少なくとも10%である。かかる実施形態においては、バッファーBを約10%から約24%まで徐々に増加させ、それに応じて、バッファーBの濃度を最適化する。
更に、当業者であれば、ランタイムと、除去すべき具体的な不純物に関して勾配が僅かに変化することを理解するであろう。
かかる実施形態においては、15%のバッファーBで、アイソクラティック勾配にて溶出を行う。かかる実施形態においては、20%のバッファーBで、アイソクラティック勾配にて溶出を行う。かかる実施形態においては、15%、16%、17%、18%、19%、20%のバッファーBで、アイソクラティック勾配にて溶出を行う。
別の実施形態においては、バッファーAの濃度がバッファーBの濃度の少なくとも8%である、少なくとも2種類のバッファーの組合せを使用することによって、前記溶出を線形勾配で行う。かかる実施形態においては、バッファーAの濃度は、バッファーBの%濃度の少なくとも8である。かかる実施形態においては、バッファーBを約8%から約22%まで徐々に増加させ、それに応じて、バッファーBの濃度を最適化する。
一実施形態においては、LMWを最低限にするために、前記溶出ピークの回収は、約1.5AU/cm上方値で開始し、約2.0AU/cm下方値で終了する。
一実施形態においては、LMWを最低限にするために、前記溶出ピークの回収は、約1.0AU/cm上方値で開始し、約1.5AU/cm下方値で終了する。
特定の実施形態においては、前記CHTは、結合及び溶出モードで行われる。
特定の実施形態においては、前記CHTは、塩化カルシウムを含まないバッファー又は溶媒で行われる。
特定の実施形態においては、前記溶出バッファーの濃度は、洗浄バッファーより高い。
一実施形態においては、前記溶出バッファーは、400mMの塩バッファーの濃度の少なくとも8%を含む。一実施形態においては、前記溶出バッファーは、400mMの塩バッファーの濃度の少なくとも10%を含む。一実施形態においては、前記溶出バッファーは、400mMの塩バッファーの濃度の少なくとも15%を含む。一実施形態においては、前記溶出バッファーは、400mMの塩バッファーの濃度の少なくとも20%を含む。一実施形態においては、前記溶出バッファーは、400mMの塩バッファーの濃度の少なくとも26%を含む。
一実施形態においては、前記溶出は、約5CV~約10CVで行われる。
一実施形態においては、前記溶出は、約10CV~約15CVで行われる。
一実施形態においては、前記溶出は、約15~約20CV以上で行われる。好ましい実施形態においては、前記溶出は、約19CVで行われる。
一実施形態においては、前記平衡化は、約3~約10CVで行われる。好ましい実施形態においては、前記平衡化は、約5CVで行われる。
一実施形態においては、前記平衡化は、前記平衡化バッファーの導電率のエンドポイントが達成されるまで行われる。
一実施形態においては、ロード時にカラムにロードされるタンパク質量は、約5g/L~約25g/Lの範囲である。一実施形態においては、ロード時にカラムにロードされるタンパク質量は、12.5g/Lである。
一実施形態においては、前記洗浄は、約2CV~約5CVで行われる。好ましい実施形態においては、前記洗浄は、約3CVで行われる。一実施形態においては、前記洗浄は、前記バッファーの導電率のエンドポイントが達成されるまで行われる。
一実施形態においては、平衡化、洗浄、及びロード中のCHTカラムにおけるタンパク質の滞留時間は、約2分間~約6分間の範囲である。好ましい実施形態においては、平衡化、洗浄、及びロード中のカラム内のタンパク質の滞留時間は、約4分間である。
一実施形態においては、溶出中のカラム内のタンパク質の滞留時間は、約2分間~約6分間の範囲である。好ましい実施形態においては、溶出中のカラムにおけるタンパク質の滞留時間は、約4分間である。
本発明は、例示のみを目的として以下に実施例を提供するが、本発明は、以下の実施例に限定されると解釈されるべきではない。
実施例1-アフィニティーカラムと、それに続くアニオン交換カラムを行うことによる、モノクローナル抗体の精製:
クロマトグラフィープロセスはいずれも、GE HealthcareのAKTA Pure 150システムを用いて行った。タンパク質試料の濃度は、島津分光光度計を用いて、280nmの吸光度を測定することによって決定した。Mabselect Sure LX樹脂メディアを、GE Healthcareから入手した。Vantageカラム及びC10/20カラムは、それぞれ、Millipore Corporation及びGE Healthcareから入手した。濁度測定は、Thermo scientificから入手したものを用いて測定した。化学薬品はいずれも、JTB又はMerck Milliporeから入手し、GMPグレードであった。
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株に発現するIgE分子に結合できるモノクローナル抗体分子を、VL11/250又はC10/20カラムに充填したプロテインA(Mab Select Sure LX、GE Healthcare)を用いて捕捉する。滞留時間は、全ての段階において4分間である。トリスアセテート+100mM NaCl、pH6.8~7.2で平衡化した後、清澄化ハーベストを、樹脂≦45mg/mLでロードする。ロード後、表1に記載するように、カラムを平衡化バッファー(洗浄1)で洗浄し、その後、洗浄2及び洗浄3バッファーで洗浄する。アフィニティークロマトグラフィー工程は、結合及び溶出モードで行い、ピークの50mAU(0.25AU/cm)上方から50mAU(0.25AU/cm)下方まで回収を行う。プロテインAアウトプットを、SE-HPLC、CEX-HPLCを用い、サイズ及びチャージバリアントについて分析する。プロテインA工程の実験デザインを、表1にまとめる。
表1:プロテインAの実験デザイン

Figure 2023523823000001
溶出したタンパク質を、更に、ウイルス不活化と中和に付す。中和後、タンパク質を、0.2μmフィルターでろ過する。
ウイルス不活化及び中和工程の後、溶出したタンパク質混合物を、C10/20カラムに充填したアニオン交換クロマトグラフィー樹脂(Poros HQ、Thermofisher)を用いて、更に精製する。
滞留時間は、全ての段階において4分間である。トリスアセテート、pH7.0~7.3で平衡化した後、中和プロテインAアウトプットを、樹脂に対して≦100mg/mLでロードする。前記ロード物は、AEXカラム導入前に、(mS/cm)導電率の仕様、即ち、≦3.0mS/cmを満たすように水で希釈する。
AEX工程は、フロースルー(ネガティブ)モードで行い、ピークの500mAU上方から300mAU下方まで回収を行う。カラムは、トリスアセテート、pH7.0~7.3を用いて洗浄する。AEXアウトプットは、SE-HPLC、CEX-HPLCを用い、サイズ及びチャージバリアントについて分析する。POROS 50 HQ工程の実験デザインを、表2にまとめる。
表2:POROS 50 HQの実験デザイン(AEX)
Figure 2023523823000002
表3:SE(サイズ排除)-HPLC(高速液体クロマトグラフィー分析)
Figure 2023523823000003
表3は、SE-HPLCで決定される、メインピークの99%の純度及びHMWの98%の低減を示す。
表4は、メインピークを酸性バリアントと比較する、カチオン交換-高速液体クロマトグラフィーの結果を示す。
Figure 2023523823000004
表4は、CEX-HPLCで決定される、メインピークの74%の純度及び酸性バリアントの約55%の低減を示す。
実施例2-アフィニティークロマトグラフィー後のAEXクロマトグラフィーと、それに続くCHTタイプ1樹脂を行うことによる、モノクローナル抗体の精製:
クロマトグラフィープロセスはいずれも、GE HealthcareのAKTA Pure 150システムを用いて行った。タンパク質試料の濃度は、島津分光光度計を用いて、280nmの吸光度を測定することによって決定した。CHTタイプ1樹脂メディアを、Bio-radから入手した。Vantageカラム及びC10/20カラムは、それぞれ、Millipore Corporation及びGE Healthcareから入手した。濁度測定は、Thermo scientificから入手したものを用いて測定した。化学薬品はいずれも、JTB又はMerck Milliporeから入手し、GMPグレードであった。
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株に発現するIgE分子に結合できるモノクローナル抗体分子を、VL11/250カラムに充填したプロテインA(Mab Select Sure LX、GE Healthcare)を用いて捕捉する。溶出したタンパク質を、更に、ウイルス不活化と中和に付す。中和後、タンパク質を、0.2μmフィルターでろ過する。
ウイルス不活化及び中和工程の後、タンパク質混合物を、C10/20カラムに充填したアニオン交換クロマトグラフィー樹脂(Poros HQ、Thermofisher)を用いて、更に精製する。
アニオン交換クロマトグラフィー(AEX)から溶出したタンパク質は、VL11/250カラムに充填された混合モード樹脂(CHTタイプI、Bio-rad)を使用して、更にポリッシュする。滞留時間は、全ての段階において4分間/3分間である。リン酸ナトリウム、pH6.8で平衡化した後、アニオン交換(AEX)アウトプットを、樹脂に対して12.5mg/mLでロードする。カラムは、3CVの、リン酸ナトリウム、pH6.8を使用して洗浄する。結合した目的タンパク質は、32mMリン酸ナトリウム~400mMリン酸ナトリウム、pH6.8の線形勾配を用いて溶出する。目的の溶出ピークは、SE-HPLC、CEX-HPLCを用い、サイズ及びチャージバリアントについて分析する。CHTタイプI工程の実験デザインとプロセスを、表5にまとめる。
表5:CHTタイプIの実験デザイン

Figure 2023523823000005
実施例3-アフィニティークロマトグラフィー後のAEXクロマトグラフィーと、それに続くCHT XT樹脂を行うことによる、モノクローナル抗体の精製:
クロマトグラフィープロセスはいずれも、GE HealthcareのAKTA Pure 150システムを用いて行った。タンパク質試料の濃度は、島津分光光度計を用いて、280nmの吸光度を測定することによって決定した。CHT XT樹脂メディアを、Bio-radから入手した。Vantageカラム及びC10/20カラムは、それぞれ、Millipore Corporation及びGE Healthcareから入手した。濁度測定は、Thermo scientificから入手したものを用いて測定した。化学薬品はいずれも、JTB又はMerck Milliporeから入手し、GMPグレードであった。
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株に発現するIgEに結合できるモノクローナル抗体を、VL11/250カラムに充填したプロテインA(Mab Select Sure LX、GEヘルスケア)を用いて捕捉する。
溶出したタンパク質を、更に、ウイルス不活化と中和に付す。中和後、タンパク質を、0.2μmフィルターでろ過する。
ウイルス不活化及び中和工程の後、溶出したタンパク質混合物を、C10/20カラムに充填したアニオン交換クロマトグラフィー樹脂(Poros HQ、Thermofisher)を用いて、更に精製する。
アニオン交換クロマトグラフィー(AEX)から溶出したタンパク質は、VL11/250カラムに充填された混合モード樹脂(CHT XT、Bio-rad)を使用して、更にポリッシュする。滞留時間は、全ての段階において4分間/3分間である。リン酸ナトリウム、pH6.8で平衡化した後、アニオン交換(AEX)アウトプットを、樹脂に対して12.5mg/mLでロードする。カラムは、3CVの、リン酸ナトリウム、pH6.8を使用して洗浄する。結合した目的タンパク質は、40mMリン酸ナトリウム~400mMリン酸ナトリウム、pH6.8の線形勾配を用いて溶出する。目的の溶出ピークは、SE-HPLC、CEX-HPLCを用い、サイズ及びチャージバリアントについて分析する。CHT XT工程の実験デザインとプロセスを、表6~9にまとめる。
表6:CHT XTの実験デザイン

Figure 2023523823000006
表7:CHTタイプI/XTカラムの溶出液のSE-HPLC分析
Figure 2023523823000007
SE-HPLCによるデータから、CHTから得られた組成物は、大幅に低減された(約100%)LMWを有し、タンパク質の純度が99.99%であることが明らかである。
表8:サイズ関連バリアント:CE-SDS
Figure 2023523823000008
データから、CHTから得られた組成物は、大幅に低減された(約81%)LMWを有することが明らかである。
表9:電荷関連バリアント:CEX-HPLC
Figure 2023523823000009
表9は、CEX-HPLCで決定される、メインピークの84%の純度及びLMWの約56%の低減を示す。
実施例4-アフィニティーカラムと、それに続くアニオン交換カラムを行うことによる、モノクローナル抗体の精製(50Lスケール)
クロマトグラフィープロセスはいずれも、GE HealthcareのAKTA Pilot又はAKTA Processを用いて行った。タンパク質試料の濃度は、分光光度計を用いて、280nmの吸光度を測定することによって決定した。Mabselect Sure LX樹脂メディアを、GE Healthcareから入手した。クロマトグラフィー100/250カラムは、Millipore Corporation、又はGE Healthcare、又はRepligenから入手した。製造プロセスで使用した化学薬品はいずれも、GMPグレードであった。
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株に発現するIgE分子に結合できるモノクローナル抗体分子を、クロマトグラフィー100/250カラムに充填したプロテインA(Mab Select Sure LX、GE Healthcare)を用いて捕捉する。滞留時間は、全ての段階において4分間である。トリスHCl+150mM NaCl、pH6.8~7.2で平衡化した後、清澄化ハーベストを、樹脂に対して≦45mg/mLでロードする。ロード後、表10に記載するように、カラムを平衡化バッファー(洗浄1)で洗浄し、その後、洗浄2及び洗浄3バッファーで洗浄する。アフィニティークロマトグラフィー工程は、結合及び溶出モードで行い、ピークの0.25AU/cm上方から0.25AU/cm下方まで回収を行う。プロテインAアウトプットを、SE-HPLC、CEX-HPLCを用い、サイズ及びチャージバリアントについて分析する。プロテインA工程の実験デザインを、表10にまとめる。
表10:プロテインAの実験デザイン
Figure 2023523823000010
溶出したタンパク質を、クロマトグラフィー100/250カラムに充填したアニオン交換クロマトグラフィー樹脂(Poros 50 HQ、Thermofisher)を用いて、更に精製する。滞留時間は、全ての段階において4分間である。トリスHCl、pH7.1~7.3で平衡化した後、中和プロテインAアウトプットを、樹脂に対して70~145mg/mLでロードする。前記ロード物は、AEXカラム導入前に、(mS/cm)導電率の仕様、即ち、≦2.0mS/cmを満たすように水で希釈する。
AEX工程は、フロースルー(ネガティブ)モードで行い、ピークの2.0AU/cm上方から2.5AU/cm下方まで回収を行う。カラムは、トリスHCl、pH7.1~7.3を用いて洗浄する。AEXアウトプットは、SE-HPLC、CEX-HPLCを用い、サイズ及びチャージバリアントについて分析する。POROS 50 HQ工程の実験デザインを、表11にまとめる。
表11:AEXの実験デザイン
Figure 2023523823000011
表12:SE(サイズ排除)-HPLC(高速液体クロマトグラフィー分析)
Figure 2023523823000012
表12は、SE-HPLCで決定される、メインピークの99%の純度及びHMWの96%の低減を示す。
表13:メインピークを酸性バリアントと比較する、カチオン交換-高速液体クロマトグラフィーの結果を示す。
Figure 2023523823000013
表13は、CEX-HPLCで決定される、メインピークの67%の純度及び酸性バリアントの約25%の低減を示す。
実施例5-アフィニティークロマトグラフィー後のAEXクロマトグラフィーと、それに続くCHT XT樹脂を行うことによる、モノクローナル抗体の精製:
クロマトグラフィープロセスはいずれも、GE HealthcareのAKTA Pilot又はAKTA Processシステムを用いて行った。タンパク質試料の濃度は、分光光度計を用いて、280nmの吸光度を測定することによって決定した。CHT XT樹脂メディアを、Bio-radから入手した。クロマトグラフィー100/250カラムは、Millipore Corporation、又はGE Healthcare、又はRepligenから入手した。製造プロセスで使用した化学薬品はいずれも、GMPグレードであった。
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株に発現するIgEに結合できるモノクローナル抗体を、クロマトグラフィー100/250カラムに充填したプロテインA(Mab Select Sure LX、GE Healthcare)を用いて捕捉する。溶出したタンパク質を、更に、ウイルス不活化と中和に付し、次いで、深層ろ過を行う。深層ろ過後、タンパク質を、0.2μmフィルターでろ過する。
深層ろ過工程後、タンパク質混合物を、クロマトグラフィー100/250カラムに充填したアニオン交換クロマトグラフィー樹脂(Poros HQ、Thermofisher)を用いて、更に精製する。
アニオン交換クロマトグラフィー(AEX)から溶出したタンパク質は、クロマトグラフィー100/250カラムに充填された混合モード樹脂(CHT XT、Bio-rad)を使用して、更にポリッシュする。滞留時間は、全ての段階において4分間/5分間である。リン酸ナトリウム、pH6.8で平衡化した後、アニオン交換(AEX)アウトプットを、樹脂に対して12.5mg/mLでロードする。カラムは、3CVの、リン酸ナトリウム、pH6.8を使用して洗浄する。結合した目的タンパク質は、40mMリン酸ナトリウム~400mMリン酸ナトリウム、pH6.8の線形勾配を用いて溶出する。目的の溶出ピークは、SE-HPLC、CEX-HPLCを用い、サイズ及びチャージバリアントについて分析する。CHT XT工程の実験デザインとプロセスを、表14~17にまとめる。
表14:CHT XTの実験デザイン
Figure 2023523823000014
表15:LMWのSE HPLC分析
Figure 2023523823000015
表16:CEX HPLC-BV分析
Figure 2023523823000016
表17:CE-SDSによるLMWの分析
Figure 2023523823000017
結果:表は、LMWが、合計40%低減したことを示す。
実施例6-アフィニティーカラムと、それに続くアニオン交換カラムを行うことによる、モノクローナル抗体の精製(200Lスケール)
クロマトグラフィープロセスはいずれも、GE HealthcareのAKTA Pilot又はAKTA Processを用いて行った。タンパク質試料の濃度は、分光光度計を用いて、280nmの吸光度を測定することによって決定した。Mabselect Sure LX樹脂メディアを、GE Healthcareから入手した。クロマトグラフィー250/250カラムは、Millipore Corporation、又はGE Healthcare、又はRepligenから入手した。製造プロセスで使用した化学薬品はいずれも、GMPグレードであった。
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株に発現するIgE分子に結合できるモノクローナル抗体分子を、クロマトグラフィー250/250カラムに充填したプロテインA(Mab Select Sure LX、GE Healthcare)を用いて捕捉する。滞留時間は、全ての段階において4分間である。トリスHCl+150mM NaCl、pH6.8~7.2で平衡化した後、清澄化ハーベストを、樹脂に対して≦45mg/mLでロードする。ロード後、表18に記載するように、カラムを平衡化バッファー(洗浄1)で洗浄し、その後、洗浄2及び洗浄3バッファーで洗浄する。アフィニティークロマトグラフィー工程は、結合及び溶出モードで行い、ピークの0.25AU/cm上方から0.25AU/cm下方まで回収を行う。プロテインAアウトプットを、SE-HPLC、CEX-HPLCを用い、サイズ及びチャージバリアントについて分析する。プロテインA工程の実験デザインを、表18にまとめる。
表18:プロテインAの実験デザイン
Figure 2023523823000018
溶出したタンパク質を、クロマトグラフィー350/250又は200/350カラムに充填したアニオン交換クロマトグラフィー樹脂(POROS 50 HQ、Thermofisher)を用いて、更に精製する。滞留時間は、全ての段階において4分間である。トリスHCl、pH7.1~7.3で平衡化した後、中和プロテインAアウトプットを、樹脂に対して70~145mg/mLでロードする。前記ロード物は、AEXカラム導入前に、(mS/cm)導電率の仕様、即ち、≦2.0mS/cmを満たすように水で希釈する。
AEX工程は、フロースルー(ネガティブ)モードで行い、ピークの2.0AU/cm上方から2.5AU/cm下方まで回収を行う。カラムは、トリスHCl、pH7.1~7.3を用いて洗浄する。AEXアウトプットは、SE-HPLC、CEX-HPLCを用い、サイズ及びチャージバリアントについて分析する。POROS 50 HQ工程の実験デザインを、表19にまとめる。
表19:AEXの実験デザイン
Figure 2023523823000019
表20:SE(サイズ排除)-HPLC(高速液体クロマトグラフィー分析)
Figure 2023523823000020
表20は、SE-HPLCで決定される、メインピークの99%の純度及びHMWの91%の低減を示す。
表21:メインピークを酸性バリアントと比較する、カチオン交換-高速液体クロマトグラフィーの結果を示す。
Figure 2023523823000021
表21は、CEX-HPLCで決定される、メインピークの74%の純度及び酸性バリアントの約46%の低減を示す。
実施例7-アフィニティークロマトグラフィー後のAEXクロマトグラフィーと、それに続くCHT XT樹脂を行うことによる、モノクローナル抗体の精製(200Lスケールの場合):
クロマトグラフィープロセスはいずれも、GE HealthcareのAKTA Pilot又はAKTA Processシステムを用いて行った。タンパク質試料の濃度は、分光光度計を用いて、280nmの吸光度を測定することによって決定した。CHT XT樹脂メディアを、Bio-radから入手した。クロマトグラフィー300/250カラムは、Millipore Corporation、又はGE Healthcare、又はRepligenから入手した。製造プロセスで使用した化学薬品はいずれも、GMPグレードであった。
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株に発現するIgEに結合できるモノクローナル抗体を、クロマトグラフィー250/250カラムに充填したプロテインA(Mab Select Sure LX、GE Healthcare)を用いて捕捉する。溶出したタンパク質を、更に、ウイルス不活化と中和に付し、次いで、深層ろ過を行う。深層ろ過後、タンパク質を、0.2μmフィルターでろ過する。
深層ろ過工程後、タンパク質混合物を、クロマトグラフィー350/250又は200/250カラムに充填したアニオン交換クロマトグラフィー樹脂(Poros HQ、Thermofisher)を用いて、更に精製する。
アニオン交換クロマトグラフィー(AEX)から溶出したタンパク質は、クロマトグラフィー300/250カラムに充填された混合モード樹脂(CHT XT、Bio-rad)を使用して、更にポリッシュする。滞留時間は、全ての段階において4分間/5分間である。リン酸ナトリウム、pH6.8で平衡化した後、アニオン交換(AEX)アウトプットを、樹脂に対して最大12.5mg/mLでロードする。カラムは、3CVの、リン酸ナトリウム、pH6.8を使用して洗浄する。結合した目的タンパク質は、40mMリン酸ナトリウム~400mMリン酸ナトリウム、pH6.8の線形勾配を用いて溶出する。目的の溶出ピークは、SE-HPLC、CEX-HPLCを用い、サイズ及びチャージバリアントについて分析する。CHT XT工程の実験デザインとプロセスを、表22~24にまとめる。
表22:CHT XTの実験デザイン
Figure 2023523823000022
表23:LMWのSE HPLC分析
Figure 2023523823000023
表24:CEX HPLC-BV分析
Figure 2023523823000024

Claims (48)

  1. 目的のタンパク質と、1以上の低分子量(LMW)バリアントとを含むタンパク質混合物から前記目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
    a.前記タンパク質混合物を、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)カラムに、適切なバッファーでロードすることと;
    b.前記CHTカラムを、適切なバッファーで洗浄することと;
    c.精製された前記目的のタンパク質を、適切な勾配のリン酸バッファーで溶出することと、
    を含み、
    前記目的のタンパク質が実質的に純粋であり、SE-HPLC分析によって分析したときに、LMWが0.4%未満であることを特徴とするプロセス。
  2. 目的のタンパク質と、1以上の低分子量(LMW)バリアントと、1以上の塩基性バリアント(BV)とを含むタンパク質混合物から前記目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
    a.前記タンパク質混合物を、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)カラムに、適切なバッファーでロードすることと;
    b.前記CHTカラムを、適切なバッファーで洗浄することと;
    c.精製された前記目的のタンパク質を、適切な勾配のリン酸バッファーで溶出することと、
    を含み、
    前記精製された前記目的のタンパク質が実質的に純粋であり、CEX-HPLC分析によって分析したときに、前記塩基性バリアントが15%未満であることを特徴とするプロセス。
  3. 前記精製された前記目的のタンパク質が、SE-HPLC分析によって測定したときに、少なくとも97%低減されたLMWを含む、請求項1又は請求項2に記載のプロセス。
  4. 前記精製された前記目的のタンパク質が、SE-HPLC分析によって測定したときに、少なくとも95%低減されたLMWを含む、請求項1又は請求項2に記載のプロセス。
  5. 前記CHTカラムから溶出された前記タンパク質混合物が、SE-HPLC分析によって分析したときに、約0.3%以下のLMW、0.2%以下のLMW、0.1%以下のLMWから選択されるLMWを含む、請求項1又は請求項2に記載のプロセス。
  6. 前記CHTカラムから溶出された前記タンパク質混合物が、SE-HPLC分析によって分析したときに、0.4%未満のLMWを含む、請求項1又は請求項2に記載のプロセス。
  7. 前記LMWが、LC、HC、HH、及び2H1Lから選択される、請求項1又は請求項2に記載のプロセス。
  8. 前記2H1Lの量が、CE-SDSによって測定したときに、約3%以下、2.6%以下、2.5%以下、2.3%以下、2%以下、1.7%以下、1.5%以下、1.4%以下から選択される、請求項7に記載のプロセス。
  9. 前記HHの量が、CE-SDSによって測定したときに、約0.2%以下、0.24%以下、0.21%以下、0.15%以下、0.12%以下、0.09%以下、又は0.08%以下、0.06%以下、又は0.04%以下、及び0.03%以下から選択される、請求項7に記載のプロセス。
  10. 前記HCの量が、CE-SDSによって測定したときに、約0.4%以下、0.16%以下、0.15%以下、0.12%以下、及び0.18%以下から選択される、請求項7に記載のプロセス。
  11. 前記LCの量が、CE-SDSによって測定したときに、約0.5%以下、0.4%以下、0.3%以下、及び0.2以下から選択される、請求項7に記載のプロセス。
  12. 前記LC、HC、HH、及び2H1Lが、CE-SDSによって測定したときに、約2.2%~約2.6%の量で存在する、請求項7に記載のプロセス。
  13. 目的のタンパク質と、1以上の塩基性バリアント(BV)とを含むタンパク質混合物から前記目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
    a.前記タンパク質混合物を、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)カラムに、適切なバッファーでロードすることと;
    b.前記CHTカラムを、適切なバッファーで洗浄することと;
    c.精製された前記目的のタンパク質を、適切な勾配のリン酸バッファーで溶出することと、
    を含み、
    前記精製された前記目的のタンパク質が実質的に純粋であり、CEX-HPLC分析によって分析したときに、前記塩基性バリアントが15%未満であることを特徴とするプロセス。
  14. 前記CHTカラムから溶出された前記タンパク質混合物が、約14%以下のBV、13%以下のBV、12%以下のBV、11%以下のBV、10%以下のBV、9%以下のBV、8%以下のBV、7%以下のBV、6%以下のBV、5%以下のBV、4%以下のBV、3%以下のBV、2%以下のBV、1%以下のBVから選択される低いBVを含む、請求項2又は請求項13に記載のプロセス。
  15. 前記CHTカラムから溶出された前記タンパク質混合物が、10%未満のBVを含む、請求項14に記載のプロセス。
  16. 前記CHTカラムから溶出された前記タンパク質混合物が、5%のBVを含む、請求項14に記載のプロセス。
  17. 溶出リン酸塩勾配が、リン酸塩の濃度を、約24mMから104mMまで徐々に増加させる線形勾配である、請求項1、請求項2、又は請求項13に記載のプロセス。
  18. 前記リン酸塩の濃度を、約40mMから96mMまで徐々に増加させる、請求項17に記載のプロセス。
  19. 前記リン酸塩の濃度を、約32mMから88mMまで徐々に増加させる、請求項17に記載のプロセス。
  20. 前記溶出リン酸塩勾配が、前記リン酸塩の濃度が、バッファーBを約5%から25%まで徐々に増加させる線形勾配である、請求項17に記載のプロセス。
  21. 前記溶出リン酸塩勾配が、前記リン酸塩の濃度が、バッファーBを約10%から24%まで徐々に増加させる線形勾配である、請求項20に記載のプロセス。
  22. 前記リン酸塩の濃度が、バッファーBを約8%から22%まで徐々に増加させる、請求項21に記載のプロセス。
  23. 勾配溶出が、19CVで行われる、請求項1、請求項2、又は請求項13に記載のプロセス。
  24. 前記溶出が、約1.0AU/cm上方値で開始し、約1.5AU/cm下方値で終了する、請求項1、請求項2、又は請求項13に記載のプロセス。
  25. 前記CHTカラムが、ロードバッファーによる処理の前に、平衡化バッファーで処理される、請求項1、請求項2、又は請求項13に記載のプロセス。
  26. 前記ロード及び洗浄バッファーが、同一の導電率及びpHを有する、請求項1、請求項2、又は請求項13に記載のプロセス。
  27. 前記ロード、洗浄、及び溶出バッファーが、pH7.0±0.2を有する、請求項1、請求項2、又は請求項13に記載のプロセス。
  28. 前記ロード、洗浄、及び溶出バッファーは、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、及びグリシンから選択される添加剤を含まない、請求項1、請求項2、又は請求項13に記載のプロセス。
  29. 前記CHTカラムが、プロテインAクロマトグラフィーの後に行われる、請求項1、請求項2、又は請求項13に記載のプロセス。
  30. 前記CHTカラムが、アニオン交換クロマトグラフィーの後に行われる、請求項1、請求項2、又は請求項13に記載のプロセス。
  31. タンパク質混合物から目的のタンパク質を精製するプロセスであって、
    a.前記目的のタンパク質と、酸性バリアント、塩基性バリアント、低分子量(LMW)、高分子量(HMW)から選択される少なくとも1つの不純物とを含む哺乳動物発現系からタンパク質混合物を得ることと;
    b.前記タンパク質混合物を、アフィニティークロマトグラフィーカラムにアプライすることと;
    c.前記タンパク質混合物を、アフィニティークロマトグラフィーカラムから溶出することと;
    d.工程で得られた前記タンパク質混合物のウイルス不活化を行うことと;
    e.工程(d)で得られた前記タンパク質混合物を、アニオン交換クロマトグラフィーにアプライすることと;
    f.前記タンパク質混合物を、フロースルーモードで溶出することと;
    g.工程(f)で得られた前記タンパク質混合物を、セラミックハイドロキシアパタイト(CHT)カラムにアプライすることと;
    h.任意に、前記CHTカラムを、適切な洗浄バッファーで洗浄することと;
    i.前記タンパク質混合物を、適切なバッファーで前記CHTカラムから溶出することと、
    を含み、
    溶出された前記タンパク質混合物が、前記目的のタンパク質で濃縮されており、酸性バリアント、塩基性バリアント、低分子量(LMW)、及び高分子量(HMW)から選択される不純物が実質的に低減されていることを特徴とするプロセス。
  32. 前記CHTカラムから溶出された前記タンパク質混合物が、SE-HPLC分析によって分析したときに、約0.3%以下のLMW、0.2%以下のLMW、0.1%以下のLMWから選択されるLMWを含む、請求項31に記載のプロセス。
  33. 前記CHTカラムから溶出された前記タンパク質混合物が、SE-HPLC分析によって分析したときに、0.4%未満のLMWを含む、請求項32に記載のプロセス。
  34. 前記CHTカラムから溶出された前記タンパク質混合物が、約14%以下のBV、13%以下のBV、12%以下のBV、11%以下のBV、10%以下のBV、9%以下のBV、8%以下のBV、7%以下のBV、6%以下のBV、5%以下のBV、4%以下のBV、3%以下のBV、2%以下のBV、1%以下のBVから選択される低いBVを含む、請求項31に記載のプロセス。
  35. 前記CHTカラムから溶出された前記タンパク質混合物が、10%未満のBVを含む、請求項34に記載のプロセス。
  36. 前記CHTカラムから溶出された前記タンパク質混合物が、5%のBVを含む、請求項35に記載のプロセス。
  37. アニオン交換クロマトグラフィーにより、酸性バリアントが実質的に除去される、請求項31に記載のプロセス。
  38. 前記酸性バリアントが、約14%以下のAV、13%以下のAV、12%以下のAV、11%以下のAV、10%以下のAV、9%以下のAV、8%以下のAV、7%以下のAV、6%以下のAV、5%以下のAV、4.5%以下のAV、4%以下のAV、3%以下のAV、2%以下のAV、1%以下未満のAVである、請求項37に記載のプロセス。
  39. アニオン交換クロマトグラフィーにより、高分子量不純物(HMW)が実質的に除去される、請求項31に記載のプロセス。
  40. 前記高分子量不純物が、約0.5%以下、約0.4%以下、又は0.3%以下、又は0.2%以下、又は0.1%以下から選択される、請求項39に記載のプロセス。
  41. 前記目的のタンパク質が、IgG1抗体又はその断片、及び融合タンパク質から選択される、請求項1から40のいずれかに記載のプロセス。
  42. 前記IgG1抗体又は融合タンパク質が、6~9の等電点を有する、請求項41に記載のプロセス。
  43. 前記IgG1抗体又は融合タンパク質が、エタネルセプト、リツキシマブ、パリビズマブ、インフリキシマブ、トラスツズマブ、アレムツズマブ、アダリムマブ、イブリツモマブ、オマリズマブ、セツキシマブ、ベバシズマブ、ナタリズマブ、エクリズマブ、セルトリズマブペゴル、ウステキヌマブ、カナキヌマブ、ゴリムマブ、オファツムマブ、トシリズマブ、デノスマブ、ベリムマブ、イピリムマブ、ブレンツキシマブベドチン、ペルツズマブ、トラスツズマブエムタンシン、ラキシバクマブ、オビヌツズマブ、シルツキシマブ、ラムシルマブ、ベドリズマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ダルシズマブ、ネシツムマブ、ジヌツキシマブ、セクキヌマブ、メポリズマブ、アリロクマブ、エボロクマブ、ダラツムマブ、エロツズマブ、イキセキズマブ、レスリズマブ、オララツマブ、ベズロトクスマブ、アテゾリズマブ、オビルトキサキシマブ、サリルマブ、オクレリズマブ、チルドラキズマブ、ロモソズマブ、ブロルシズマブ、クリザンリズマブから選択される、請求項41に記載のプロセス。
  44. 前記IgG1抗体が、IgEに結合する、請求項41に記載のプロセス。
  45. 前記結合するIgG1抗体が、オマリズマブである、請求項44に記載のプロセス。
  46. IgEに結合する抗体の医薬組成物であって、少なくとも90%の純度を有する前記抗体の実質的に精製された単量体と、SE-HPLCによって測定したときに、約0.2%未満のLMWとを含むことを特徴とする医薬組成物。
  47. オマリズマブの医薬組成物であって、少なくとも90%の純度を有する前記オマリズマブの実質的に精製された単量体と、SE-HPLCによって測定したときに、約5%未満のLMWとを含むことを特徴とする医薬組成物。
  48. 前記単量体の純度が、90%、又は91%、又は92%、又は93%、又は94%、又は95%、又は96%、又は97%、又は98%、又は99%を超える純度から選択される、請求項46又は請求項47に記載の医薬組成物。
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