図1は、従来の印刷システム100を示す。このシステム100によると、印刷ジョブ102は、付随する処理回路を有する事実上のユーザインタフェースであるプリンタフロントエンド104に提供される。従来の非バリアブルデータ印刷によれば、印刷ジョブ102は、複数部のコピーが印刷される複数のドキュメントを典型的に表している。つまり、例えば、2ページからなる1つのドキュメントがあり、操作者はそのドキュメントを3セット印刷することを望んでいる。このように単純化された例を、図1に「セット1」106、「セット2」108、「セット3」110として示す。「セット1」106は、この2ページからなるドキュメントの第1のコピーを表し、「セット2」108は、この2ページからなるドキュメントの第2のコピーを表し、「セット3」110は、この2ページからなるドキュメントの第3のコピーを表している。
プリンタフロントエンド104にて印刷ジョブ102が受け取られると、印刷ジョブ102は、ラスタ画像プロセッサ(RIP)によってラスタライズされ、これによって印刷ジョブ102は、プリンタ112のネイティブフォーマットへ変換される。印刷ジョブ102をラスタライズした後、プリンタフロントエンド104は、ラスタライズされた印刷ジョブを印刷のためにプリンタ112へ提供する。印刷の後、印刷ジョブに対して、ステープル止め、裁ち落とし、綴じ込み、光沢化などの1つ又は複数の仕上げ作業を施す必要がある場合もある。通常、2種類のフィニッシング装置、すなわち、インラインフィニッシング要素116及びオフラインフィニッシング要素120が存在している。
本明細書では、インラインフィニッシング要素116を、プリンタフロントエンド104へのフィードバックループにおいてステータス情報を提供することができるフィニシング要素として定義する。ステータス情報118は、具体的には、インラインフィニシング要素が、そのフィニシング作業を問題なく完了したかどうかをプリンタフロントエンド104に知らせる。例えば、「セット2」108の仕上げ処理の際に、インライン要素がこのセットの2ページ目の適切な仕上げに失敗した場合、インラインフィニシング要素は、参照番号124で示されるように、その失敗を示したステータス情報118をプリンタフロントエンド104へ送信する。それに応じて、プリンタフロントエンド104は、「セット2」108の2ページ目から始まる印刷ジョブ102の再印刷を開始する。この反復処理は、全てのインラインフィニッシング要素116が、それらの要素116によって印刷ジョブ102が問題なく終了したことを、ステータス情報118を介してプリンタフロントエンド104に対して示すまで繰り返される。
本明細書では、オフラインフィニッシング要素120を、ステータス情報118などのステータス情報をプリンタフロントエンド104に提供しないフィニッシング要素として定義する。したがって、プリンタフロントエンド104は、印刷された印刷ジョブがオフラインフィニッシング要素120によって問題なく仕上げされたかどうか分からない。よって、従来のスキームによれば、オフラインフィニッシングを実施している間に、「セット2」108の2ページ目でエラーが生じた場合、操作者は、問題なく仕上げされたページのセット全体を手作業で見直し、どこでエラーが生じたかを手作業で判断しなければならず、図1に示された単純化された例においては、操作者は、エラーが「セット2」108の2ページ目で生じたことを判断するのに1,2ページめくって調べる必要があり、それからセット2の2ページ目から始まる印刷ジョブの再印刷を手動で開始しなければならない。
しかし、印刷ジョブがページ番号のない長いドキュメントのコピーを多数含んでいる場合には、さらに複雑な事態が生じ、そのため、操作者がその印刷ジョブのどのページが仕上げに成功したか、どのページが仕上げに成功しなかったかを見直すのにはかなりの時間が必要となる。
また、印刷ジョブがバリアブルデータを含み、各ドキュメントセットが異なるページ番号を含んでいる場合、操作者にとってどのページの再印刷が必要かを判断する作業はさらに複雑になる。例えば、図2に示される従来の印刷システム200は、それらの物理的要素がバリアブルデータ印刷を実行するように構成されていることを除いては、図1の要素と同一の物理的要素を備えている。バリアブルデータ印刷の場合、印刷ジョブ202は、「セット1」206、「セット2」208、「セット3」210で表される、印刷対象である複数のドキュメントセットも含む。図1に示された固定印刷とは対照的に、図2におけるドキュメントは、異なるコンテンツ及び異なるページ数を含む。例えば、「セット1」206は、3ページ、すなわち、ページ1、ページ2、ページ3を含む。「セット2」208は、1ページのみを含むが、そのページは、「セット1」206のページ2に相当している。「セット2」208には「セット1」206のページ1及びページ3がない。さらに、「セット3」210は、「セット1」206のページ1及びページ3にそれぞれ相当する2ページを有するドキュメントを含む。ただし、「セット1」206のページ2に相当するページは、「セット3」210にはない。
図2に示されたような印刷ジョブの実用的かつ単純な例としては、特定の顧客を対象としたカスタマイズ広告がある。顧客は、その顧客の興味に応じて、特定の広告を受け取る。例えば、顧客が、ゴルフ、乗馬、テニスに関心があることを示した場合、彼女は、3枚のクーポン券、すなわち、一枚はゴルフ用品、一枚は馬術用品、一枚はテニス用品のクーポン券を受け取る。しかし、第2の顧客は、ゴルフに関心があることを示すかもしれない。この場合、彼は、ゴルフ用品に関するクーポン券のみを受け取ることになるだろう。
図2に戻る。バリアブルデータ印刷ジョブ202が、プリンタフロントエンド204へ提供され、プリンタフロントエンド204は、印刷ジョブ202をラスタライズして、印刷のためにプリンタ212へ提供する。次に、既に述べたように、インラインフィニッシング要素216とオフラインフィニッシング要素220とを含むフィニッシング装置214によって、仕上げ処置が施される。インラインフィニッシング要素216は、オフラインフィニッシング要素220にはない、プリンタフロントエンド204へのステータスフィードバックループ218を含む。図1に示された固定データ印刷の場合と同様に、プリンタフロントエンド204は、フィードバックループ218を介してインラインフィニッシング要素216における仕上げエラーの通知を受け取り、失敗したページの再印刷を自動的に開始する。だが、また固定データ印刷の場合と同様に、オフラインフィニッシング要素が印刷ジョブ202のページを仕上げるのに失敗した場合には、プリンタフロントエンド204はオフラインフィニッシング要素220においていつエラーが生じたのが分からない。したがって、操作者は、バリアブルデータ印刷ジョブ202のどのページがそのようなオフラインフィニッシング要素220による仕上げに失敗したかを把握しなければならず、また、そのページの再印刷を手作業で開始しなければならない。しかし、固定印刷と比べると、どのページを再印刷する必要があるかを判断するのは直感的にはいかないため、この状況はより複雑である。例えば、参照番号224で示されるように、「セット1」のページ3以降の全ページが、オフラインフィニッシング要素による仕上げに失敗したとする。操作者は、完了したページを見ただけでは、「セット1」206が適切に仕上げされたこと、また、再印刷の必要な「セット2」208が「セット1」206のページ2に相当する1ページのみを含んでいることは分からない。したがって、操作者が、どのページがオフラインフィニッシング要素220による仕上げに失敗したか、また、結果的にどのページを再印刷する必要があるかを判断するのにかかる時間は、大幅に増加する。
本発明は、中断した印刷ジョブから回復する際に操作者を支援する。本明細書で使用される「中断された印刷ジョブ」という用語は、印刷ジョブが実際に失敗によって停止しなければならなかったかどうかに係らず、適切な印刷に失敗したページを有するいかなる印刷ジョブも表すことを目的とする。本発明の様々な実施形態によれば、障害回復は、ユーザ定義可能なフォーマットを有するマーキングセットが、印刷ジョブの様々な位置において挿入されることにより達成される。マーキングセットは、印刷ジョブにおける位置を特定するように構成される。印刷ジョブが中断された(すなわち、適切な印刷に失敗したページを有する)場合、操作者は、印刷ジョブの、マーキングセットを含むページを取って読取装置に提供する。中断から回復するために、印刷ジョブ制御システムが印刷ジョブのどの一部分又は複数部分を再印刷する必要があるかを判断することができるように、読取装置は、このマーキングセットを読み取り、印刷ジョブ制御システムに通知することができる。したがって、操作者は、中断された印刷ジョブを通して手作業で仕分けしたり、印刷ジョブのどの一部分又は複数部分を再印刷する必要があるかを手作業で判断したりする必要はない。本発明によれば、操作者は、印刷ジョブ失敗時点の間際又はそれに近接する、問題なく印刷された印刷ジョブのページのみを取り出し、どの一部分又は複数部分を再印刷する必要があるかを印刷ジョブ制御システムに通知するために、そのページのマーキングセットを読取装置に提供するだけでよい。
詳細には、本発明の実施形態による、中断された印刷ジョブからの回復を促進するシステム300を示す図3について次に説明する。この実施形態によると、印刷ジョブ定義302がデータ入力システム304に入力される。印刷ジョブ定義302は、以下に図4を参照してさらに詳細に説明されるような、マーキングセットの印刷ジョブへの挿入に関連するあらゆるユーザ定義可能なパラメータだけではなく、印刷のために印刷ジョブを説明するのに必要な情報も含む。図3の例では、印刷ジョブ定義302は、図2に、「セット1」206、「セット2」208、「セット3」210で示されたジョブ構造にそれぞれ相当する3つのドキュメントセット、すなわち、「セット1」306、「セット2」308、「セット3」310を有する印刷ジョブを定義している。
印刷ジョブ定義302は、データ入力システム304に含まれるユーザインターフェース又はプリンタフロントエンドを介して、手入力でデータ入力システム304に与えられる。あるいは、印刷ジョブ定義302は、データ記憶システム(図示しない)に記憶され、データ入力システム304によって検索されることもできる。データ記憶システムは、1つ又は複数のコンピュータアクセス可能なメモリを含んでいる。一方で、このようなデータ記憶システムは、分散型データ記憶システムである必要はなく、したがって、1つのコンピュータ又は装置内に位置する、1つ又は複数のコンピュータアクセス可能なメモリを含んでもよい。
「コンピュータアクセス可能なメモリ」という用語は、揮発性又は非揮発性、電子、磁気、光学、又はその他に係らず、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、コンパクトディスク、DVD、フラッシュメモリー、ROM、RAMを含むが、これらに限定されない、いかなるコンピュータアクセス可能なデータ記憶装置も含むことを目的とする。このようなデータ記憶システムは、複数のコンピュータ及び/又は装置を介して通信可能に接続されたコンピュータアクセス可能な複数のメモリを含む分散型データ記憶システムであってもよい。
「通信可能に接続された」という用語は、有線、無線、あるいはその両方に係らず、装置間、及び/又はコンピュータ間、及び/又はプログラム間のいかなる種類の接続も含むことを目的とする。「コンピュータ」という用語は、その実装が、電気、及び/又は磁気、及び/又は光学、及び/又は生物学的要素、及び/又はその他に係らず、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、メインフレームコンピュータ、携帯型情報端末(PDA)、ブラックベリー(登録商標)、及び/又はデータを処理する、及び/又はデータを制御する、及び/又はデータを取り扱うその他の装置などのどんなデータ処理装置も含むことを目的とする。
印刷ジョブ定義302を受信すると、データ入力システム304は、印刷ジョブ定義302又はその派生物を、印刷ジョブ制御システム312へ送信する。印刷ジョブ制御システムは、印刷ジョブの印刷を促進し、制御するコンピュータである。印刷ジョブ制御システム312は、その内部にラスタ画像プロセッサ313を備えていてもよい。印刷ジョブ制御システム312は、印刷ジョブ定義302の情報に基づき、印刷ジョブ定義302のパラメータにしたがってマーキングセットを印刷ジョブに挿入する。図3の実施形態例では、マーキングセットは、専用のシート315に記載されて印刷ジョブに挿入される。また、この実施形態の例では、マーキングセットは、各ドキュメントセット、すなわち、「セット1」306、「セット2」308、「セット3」310の間に挿入されている。具体的には、マーキングシート315は、「セット1」の完成後及び「セット2」の完成後に挿入される。図4を参照しながら、マーキングセットの代替的な配置を以下により詳細に説明する。ただし、マーキングセットを、専用のシート315に記載する長所は、マーキングセットが、印刷ジョブコンテンツを全く妨げないことにある。つまり、マーキングセットが、印刷ジョブにおいてコンテンツを有するページには加えられないということである。
印刷ジョブ制御システムは、マーキングセットの挿入された変更印刷ジョブ313を、印刷のために1つ又は複数の印刷要素314に渡す。印刷要素314の例は、第1の印刷要素316及び第2の印刷要素320を含む。第1の印刷要素316の例は、印刷エンジン316a及びインラインフィニッシング要素316bを含む。印刷エンジン316aは、インク又はトナーなどの画像形成材料で画像を形成する印刷要素を表す。インラインフィニッシング要素316bは、ステータスフィードバック318を印刷ジョブ制御システム312に提供することができる、ステープル止め装置、裁ち落とし(裁断)装置、綴じ込み装置、又は光沢化装置などのフィニッシング要素に相当する。詳細に言えば、第1の印刷要素は、第1の印刷要素に割り当てられた印刷ジョブの部分を問題なく印刷、又は終了した場合に、又は、第1の印刷要素に割り当てられた印刷ジョブの部分を印刷又は終了するのに失敗した場合に、印刷ジョブ制御システム312に通知することができる。印刷ジョブ制御システム312は、インラインフィニッシング要素316bによる仕上げの際にエラーが生じた場合、通知を受け、印刷ジョブの不適切に終了した部分の再印刷を開始する。これに対して、当技術分野で公知のオフラインフィニッシング要素を含む第2の印刷要素320では、こうしたステータス情報を印刷ジョブ制御システム312へ提供することはできない。
図3の実施形態によれば、第2の印刷要素の1つにおいてエラーが生じた場合、従来の処理と比較すると、失敗したページを再印刷する操作者の作業は大きく簡便化されている。具体的に言うと、「セット2」308と「セット3」310の全てのページが、参照番号325で示されるように、第2の印刷要素320による仕上げに失敗したとする。この場合、操作者は、マーキング又はマーキングセットを有する最後に(most recently)印刷されたシートであるマーキングシート323を読取装置に提供する。読取装置は、そのマーキングを読み取り、そのマーキングに関するデータを印刷ジョブ制御システム312に提供する。このデータを使って、印刷ジョブ制御システム312は、オフラインフィニッシング要素320におけるエラーにより印刷ジョブのどの部分の再印刷が必要となったのかを判断する。この例では、シート323のマーキングは、その位置が「セット1」306の直後、又は「セット2」308の直前であることを示している。したがって、印刷ジョブ制御システム312は、「セット2」308及びそれ以降の全てを再印刷する必要があると判断する。印刷ジョブ制御システムは、印刷ジョブ定義を参照することにより「セット2」308及び「セット3」310にどんなコンテンツが属しているのかを正確に知る。
図4は、本発明の様々な実施形態によるマーキングセットを示す。例えば、説明図402は、マーキングのセット408、410、412、450、452、454、456、458、460が、図3のシート323などの一枚のシートに備えられ、必要な情報を印刷ジョブ制御システム312に提供することを示す。説明図402では、マーキングのセットは、バーコードマーキング408、410、412のサブセットを含む。この場合、読取装置324は、バーコード408、410、412を読み取るように構成されたバーコードリーダであってもよい。バーコードリーダは、第1のバーコード408を読み取ると、第1のバーコード408に付随する番号を印刷ジョブ制御システム312へ送信する。この制御システム312は、(テーブル、又は他のデータ、あるいはプログラムソースを介して)第1のバーコード408に付随する番号が、当該マーキングシートの配置されているジョブ番号を特定していることを知らされる。第2のバーコード410のスキャニングをすると、印刷ジョブ制御システム312は、このバーコードに付随する番号がセット番号を特定するものであり、そのセット番号の前に(又は設計上の選択次第では、そのセット番号の後に)当該マーキングシートが配置されていることを知らされる。第3に、最後のバーコード412をスキャニングすると、印刷ジョブ制御システム312は、このバーコードに付随する番号がセットページ番号を特定するものであり、そのセットページ番号の前に(又は後に)当該マーキングシートが配置されていることを知らされる。この情報を使用して、印刷ジョブ制御システム312は、印刷ジョブの一部分の再印刷を開始する。説明図402の例では、印刷ジョブ制御システムは、「セット2」の「ページ1」から始まる「印刷ジョブ1」の再印刷を開始することになる。
また、説明図402に示されるように、マーキングセット408、410、412、450、452、454、456、458、460は、異なるフォーマットを有する冗長なマーキングを含む。例えば、マーキング450、452、454、456、458、460のサブセットは、コンピュータで読み取り可能なバーコードマーキングであるマーキング408、410、412のサブセットと印刷ジョブにおける同じ位置を特定する、人間が読み取り可能なマーキング(文字列456、458、460及び数字450、452、454)を含む。このような配置の長所としては、万一、読取装置324などの読取装置が使用できない又は操作できない場合でもマーキング情報を読み取ることができるという、異なるフォーマットによってもたらされる冗長性がある。例えば、説明図402の例において、万一、読取装置324が接続されていない又は操作できない場合にも、人間である操作者は、バーコード450に符号化された情報を直ちに判断することができる。したがって、操作者は、シート402を見て、そのエラーが、ジョブ1のセット2のページ1の直前(又は設計上の選択次第では、その直後に)で生じたものであることを直ちに判断することができる。
説明図404は、マーキングセットが、説明図402に示された複数のマーキング408、410、412、450、452、454、456、458、460の代わりに、例えば、バーコード414などの1つのマーキングのみを含むことが可能であることを示している。説明図404の配置は、読取装置324による情報の読取処理を単純化するものの、印刷ジョブ制御システム312による追加処理を必要とする。すなわち、読取装置は、マーキング414を読み取ると、印刷ジョブ制御システム312にこの番号を提供する。印刷ジョブ制御システム312は、その番号をデータ記憶システムに提供することによって、その番号の意味を復号化する。データ記憶システムは、マーキング414から番号を復号化して、マーキング414に付随するジョブ番号、セット番号、ページ番号をもとの印刷ジョブ制御システム312に送信して再印刷を促進するデータベースを備える。
説明図406は、マーキングシート323などの別の(専用の)マーキングページを備える必要がない場合を示している。具体的には、マーキングセットは、すでに印刷ジョブ中に存在しているページに組み込まれている。例えば、マーキングセットは、印刷ジョブの各セットの最後のページにおいて最終的な印刷済み印刷ジョブの外観又は値に影響のない余白領域(margin area)に印刷されるバーコード416を含む。このような配置の長所は、マーキングセットのために余計なシートを印刷する必要がないということである。しかし、この配置は、マーキングセットがジョブの美的価値を損なうような印刷ジョブには不向きである。
図4の例では、バーコードがマーキングとして使用される場合を示しているが、本発明は、それに限定されるものではない。具体的には、バーコードの代わりに、マーキングとなる透かし又はその他の種類の情報を使用することができる。このようなマーキングは、読取装置324又は操作者によって読み取りできる限り使用することができる。その際、マーキングが人間によってのみ読み取り可能であれば、読取装置324は必要ない。この場合、操作者は手作業でマーキングセットから情報を読み取り、その情報を、データ入力システム304などを介して手作業で印刷ジョブ制御システム312へ提供する。
図5は、本発明の実施形態による、別の種類のエラーの処置を示している。この例では、印刷ジョブの隣接しない複数のページが、適切な印刷又は終了に失敗しているが、それらの隣接しないページ同士の間にあるページは問題なく印刷又は終了されている。図5の例では、操作者は、「セット1」の3ページ目のマーキングセット及び「セット3」の2ページ目にマーキングセットを準備している。両方のマーキングセットを読取装置324に提供することによって、コントロールシステム312は、「セット1」及び「セット3」が適切に印刷されたことを判断することができる。その結果、制御システム312は、「セット2」の再印刷を指示する。また、マーキングセットを「セット5」の2ページ目に追加して準備することによって、制御システム312は、「セット5」が正しく印刷されたことを知る。したがって、印刷ジョブ制御システム312は、「セット4」も適切に印刷されなかったこと、及び再印刷の必要があることを判断することができる。
上記の図5の例は、マーキングセットが各ドキュメントセットの終わりにある場合を示しているが、当業者には、マーキングセットが印刷ジョブ内のどの位置に提供されてもよいことが理解されるであろう。例えば、マーキングセットは、印刷ジョブの各ページ、印刷ジョブの1ページおき、印刷ジョブの10ページおき、各ドキュメントセットの1ページ目、各ドキュメントセットの最後のページに提供されてもよいが、これに限定されるものではない。また、別のマーキングシートを使用する限り、他の実施形態で提供されるよりも少ないマーキングセットを準備する方が都合がよい。特に、より多くのマーキングシートを提供するほど、より多くのページをマーキングシート用に使用してしまうことになる。ただし、マーキングシートが多いと、エラーの場合に再印刷する必要がある余計なページの数が減少する。また、その際、本発明の実施形態によると、印刷ジョブに挿入されるマーキングセットのフォーマット及び位置は、ユーザによって定義可能である。マーキングセットのフォーマット及び位置をユーザが定義できるようにすることの長所は、ユーザに対して、マーキングセットの印刷ジョブに及ぼす美的影響を制御する能力を与える点にある。例えば、ユーザが、マーキングセットを記載するためのスペースがない印刷ジョブを処理している場合、ユーザは、マーキングセットを、印刷ジョブのコンテンツを含むあらゆるシートとは別の、印刷ジョブにおける専用のシートに印刷されるように構成することができる。この場合、ユーザがそのようなマーキングセットを含むために必要となる余計なシートの枚数について懸念する場合には、ユーザは、これらのマーキングシートの出現を低頻度に指定してもよい。例えば、ユーザは、マーキングセットが、500シート毎又は100ドキュメントセット毎に出現するように設定してもよい。使用するマーキングシートの枚数を減少させる代わりに、ユーザは、失敗の際に再印刷しなければならないページ数を増加させることになる。
ユーザが定義可能なマーキングセットの位置の他の例として、マーキングセットをシートのどこに記載するかをユーザが指定できるようにすることがある。特定の印刷ジョブの上部マージンに余分なスペースがあった場合、ユーザは、マーキングセットをそこに配置するように指定することができる。しかし、別の印刷ジョブでは、下部マージンに余分なスペースがある場合もある。この場合、ユーザは、マーキングセットを下部マージンに配置するよう指定することができる。
さらに、ユーザは、マーキングセットのフォーマットを指定することができる。ある種の印刷ジョブには、マーキングセットとしてバーコードマーキングで十分である。しかし、別の印刷ジョブでは、透かしの方が適当かもしれない。ただし、ユーザが読取装置324の使用を希望しているのであれば、ユーザの選ぶフォーマットは、それが何であれ、読取装置324によって読み取り可能でなければならない。
本発明は、バリアブルデータ印刷との関連で説明されるものであるが、当業者には、本発明が固定データ印刷の環境にも等しく適用されるものであることが理解されるであろう。