JP2010286610A - トナー、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents

トナー、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成方法及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】超高速システムにも対応可能なレベルで低温定着性と、耐オフセット性、及び耐熱保存性を両立し、臭気の発生も低減でき、さらに、超高速システムにおいて現像ローラ等への防汚染性に優れ、かつ生産性に優れたトナー及び該トナーを用いた現像剤、トナー入り容器、電子写真画像形成方法及び装置の提供。
【解決手段】トナーは、樹脂微粒子を含む水性溶媒に、ポリエステル系樹脂を含むトナー材料が有機溶媒に溶解乃至分散されたトナー材料液を分散して製造されるトナーであって、ポリエステル系樹脂がアルコール成分と、変性されたロジンを含有するカルボン酸成分とが縮重合されたポリエステル樹脂を含有することを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷等に於ける静電荷像を現像する為のトナー、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成方法及び画像形成装置に関する。
近年、プリンター、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置に対し、省エネルギー化及び高速化についての市場要求が強くなってきている。それに伴い、電子写真用トナー(以下、単に「トナー」と称することもある)においても、低温定着性に優れたトナーが要求される一方で、耐オフセット性、及び耐熱保存性(耐ブロッキング性)、現像ローラ等への防汚染性など、前記した低温定着性と相反する特性を持ったトナーが要求されている。
このような要求に対し、分子量等の物性を規定した線状ポリエステル樹脂を含有したトナー(例えば、特許文献1参照)、酸成分としてロジン類を使用した非線状架橋型ポリエステル樹脂を含有したトナー(例えば、特許文献2参照)、マレイン酸で変性したロジンを使用し、定着性を改良したトナー(例えば、特許文献3参照)、アルコール成分と、(メタ)アクリル酸変性ロジンを含有するカルボン酸成分からなるポリエステルを結着樹脂として用いたトナー(例えば、特許文献4及び5参照)が提案されている。また、低分子量樹脂と高分子量樹脂をブレンドする方法が提案されている(例えば、特許文献6参照)。
一方、近年、プリントオンデマンド(POD)分野が成長し、印刷市場からトナーに求める要求も益々高いものになってきている。電子写真方式を活かしたPODは、少部数印刷、バリアブル印刷を得意とし、軽印刷の代替技術として期待される。しかしながら、従来の高速複写機のプリントスピードよりも更に速い超高速システムや、幅広い紙種への対応性が求められている為、より低熱量で良好な定着性、より現像ローラ等への汚染の少ないトナーが新たに要求されるようになってきた。
前記したように、電子写真方式を活かしたプリントオンデマンド(POD)分野は、従来の高速複写機のプリントスピードよりも更に速い超高速システムや、幅広い紙種対応性が求められており、トナー消費量が多く、特許文献1の分子量等の物性を規定した線状ポリエステル樹脂を含有したトナーのように、粉砕性が悪く生産性の低いトナーは、好ましくない。また、特許文献2、3で用いられているロジン類は、低温定着性の向上には有効であるが、ロジン類の種類によっては、臭気が発生しやすいという欠点がある。さらに特許文献4、5のアルコール成分と、(メタ)アクリル酸変性ロジンを含有するカルボン酸成分からなるポリエステルを結着樹脂として用いたトナーは、従来の低速機から高速機の幅広い画像形成装置に対して優れた定着性能を発揮できたが、超高速システムでは、低温定着性とキャリア、現像ローラ等への汚染の両立が課題となり、上述したプリントオンデマンド(POD)分野での要求に応えられなかった。
従来、電子写真、静電記録、静電印刷などに用いられる乾式トナーとしては、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂などのトナーバインダーを着色剤などと共に溶融混練し、微粉砕した、粉砕型トナーが広く用いられている。粉砕型トナーでは、溶融混錬、粉砕のために多大なエネルギーを消費するばかりでなく、粉砕後の粒度分布を広げないために分級する工程が必要であり、さらに生産性を低下させてしまう。また、近年の高速化、省エネルギー化により、低温定着性が要求され、樹脂の軟化点を下げたり、粉砕工程での過粉砕による生産性の低下が課題となっている。
また、粉砕型トナーは、結着樹脂に、着色剤、帯電制御剤、離型剤などの内添剤を溶融混練して分散させている(例えば特許文献7、8参照)。しかしながら、このような粉砕法では、粉砕時に前記内添剤と結着樹脂との界面で粉砕されやすく、個々のトナー粒子間及び、1つのトナー粒子表面において不均一性となり、トナーの品質面でも問題を起こしやすいという問題点がある。さらに、分級しても、トナーの粒度分布が広いため、現像を繰り返すことにより画像品質が変化してしまう。これは、現像工程において、現像され易いトナー粒径が存在するためで、キャリアを用いる二成分現像剤では、大きい粒径のトナーが現像に供され易い傾向があるため現像を繰り返すと現像剤中のトナーの粒径が小さくなり画像濃度が低下する傾向となる。一方、一成分現像では小さい粒径のトナーが現像され易いため、現像を繰り返すと現像剤中のトナーの粒径が大きくなってドット再現性や階調性が低下する傾向となる。
これらの欠点の改良とともに、近年、懸濁重合法、乳化重合凝集法、ポリマー溶解懸濁重合法などの重合型トナーが検討されている。上記懸濁重合法、乳化重合法、溶解懸濁法のいずれの重合法によるトナーでもスチレン-アクリル酸エステル系共重合体を用いることが一般的であり、ポリエステル系樹脂では、耐熱保存性、低温定着を目的として、ウレア結合で変性されたポリエステルの使用(例えば、特許文献9参照)及び、1,2−プロパンジオールと精製ロジンを含有するカルボン酸成分とを重縮合させてなる、ポリエステルの使用(例えば、特許文献10参照)が提案されている。このポリエステルの使用においても近年の電子写真方式を活かしたプリントオンデマンド(POD)分野における超高速システムにおける、低温定着性と耐オフセット性、及び耐熱保存性(耐ブロッキング性)、現像ローラ等への防汚染性という低温定着性とは相反する特性の両立及び、ロジン類の種類によっては臭気が発生しやすいことを早急に解決することが課題となっている。
本発明は、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、超高速システムにも対応可能なレベルで低温定着性と、耐オフセット性、及び耐熱保存性を両立し、臭気の発生も低減でき、さらに、超高速システムにおいて現像ローラ等への防汚染性に優れ、かつ生産性に優れたトナー及び該トナーを用いた現像剤を提供し、これを用いたトナー入り容器、プロセスカートリッジ、電子写真画像形成方法及び装置を提供することにある。
上記課題を解決するための手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
(1)樹脂微粒子を含む水性溶媒に、ポリエステル系樹脂を含むトナー材料が有機溶媒に溶解乃至分散されたトナー材料液を分散して製造されるトナーであって、前記ポリエステル系樹脂がアルコール成分と、変性された精製ロジンを含有するカルボン酸成分との縮重合によるポリエステル樹脂であることを特徴とするトナーである。
(2)前記アルコール成分が、1,2−プロパンジオールを2価のアルコール成分中65モル%以上含有する前記(1)記載のトナーである。
(3)前記変性された精製ロジンがアクリル酸、フマル酸、及びマレイン酸の少なくともいずれかで変性されている前記(1)または(2)に記載のトナーである。
(4)前記ポリエステル系樹脂を含むトナー材料液のポリエステル系樹脂の一部は、官能基を含有する官能基含有ポリエステル系樹脂であり、該ポリエステル系樹脂が溶解されている有機溶媒相と、活性水素含有化合物と、着色剤とを、樹脂微粒子が分散されている水系媒体相中に分散させて、前記官能基含有ポリエステル系樹脂と前記活性水素含有化合物との伸長反応および/または架橋反応を起こさせて得られた分散液からトナーを形成することを特徴とする前記(1)から(3)のいずれかに記載のトナーである。
(5)前記トナーの円形度が、0.94〜0.98の範囲にあることを特徴とする前記(1)から(4)のいずれかに記載のトナーである。
(6)前記トナーの体積平均粒径(Dv)が3〜8μmであることを特徴とする前記(1)から(5)のいずれかに記載のトナーである。
(7)前記トナーの体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)の比(Dv/Dn)が1.25以下であることを特徴とする前記(1)から(6)のいずれかに記載のトナーである。
(8)少なくとも前記(1)から(7)のいずれかに記載のトナーと磁性粒子からなるキャリアとを含むことを特徴とする二成分系の現像剤である。
(9)前記(1)〜(7)のいずれかに記載のトナーが収容されてなることを特徴とするトナー入り容器である。
(10)静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、トナーを用いて現像した可視像を形成する現像手段とを少なくとも有する、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、前記トナーが、前記(1)〜(7)のいずれかに記載のトナーであることを特徴とするプロセスカートリッジである。
(11)静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含む画像形成方法であって、前記トナーが、前記(1)〜(7)のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成方法である。
(12)電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、前記帯電された電子写真感光体上に静電潜像を形成する露光手段と、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーを用いて可視像化しトナー像を形成する現像手段と、前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を直接又は中間転写体を介して記録材上に転写する転写手段と、前記記録材上に転写されたトナー像を定着させる定着手段とを備えた画像形成装置であって、前記トナーが、前記(1)〜(7)のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置である。
超高速システムにも対応可能なレベルで低温定着性と、耐オフセット性、及び耐熱保存性を両立し、臭気の発生も低減でき、さらに、超高速システムにおいて現像ローラ等への防汚染性に優れ、かつ生産性に優れたトナー及び該トナーを用いた現像剤を提供し、これを用いたトナー入り容器、プロセスカートリッジ、電子写真画像形成方法及び装置を提供することができる。
本発明の画像形成装置の一例を示す図である。 本発明の画像形成装置の他の例を示す図である。 図2のタンデム型現像器を示す図である。 本発明のプロセスカートリッジの一例を示す図である。
次に、発明を実施するための形態により、本発明を説明する。
〔トナー〕
本発明のトナーの第一の実施形態は、ポリエステル系樹脂を含むトナー材料が有機溶媒に溶解乃至分散されたトナー材料液を、樹脂微粒子を含む水性溶媒に分散し、その水性溶媒中で乳化、造粒させた後、得られた乳化分散液の溶媒を除去し、トナーの表面に付着した樹脂粒子を洗浄・脱離することにより製造される。ポリエステル系樹脂は、アルコール成分と、変性された精製ロジンを含有するカルボン酸成分とを縮重合させてなる、ポリエステル樹脂を含有する。
本発明のトナーの第二の実施形態は、有機溶媒にポリエステル系樹脂及びポリエステル系樹脂前駆体を含むトナー材料を溶解又は分散させたトナー材料液を、樹脂粒子を含む水性溶媒に分散し、その中で乳化、造粒させた後、ポリエステル系樹脂前駆体を反応させることにより得られた乳化分散液の溶媒を除去し、トナーの表面に付着した樹脂粒子を洗浄・脱離することにより製造される。ポリエステル系樹脂及ポリエステル系樹脂前駆体は、アルコール成分と、変性された精製ロジンを含有するカルボン酸成分とを縮重合させてなる、ポリエステル樹脂を含有する。
なお、上記トナー材料は、ポリエステル系樹脂またはこれとポリエステル系樹脂前駆体の他に、後述する着色剤、離型剤、荷電制御剤等を含有することができる。
(水性分散液を形成する樹脂微粒子)
本発明において、樹脂粒子を構成する樹脂は、水性分散液を形成することが可能な樹脂であれば特に限定されず、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよいが、例えば、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂粒子を構成する樹脂は、上記樹脂の1種でもよく、また二種以上を併用しても差し支えない。なお、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすいという観点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。
以下、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂について説明するが、他の樹脂についても同様に使用できる。
樹脂粒子を構成する樹脂の特に好ましい例として、ビニル系樹脂が挙げられ、ビニル系モノマーを単独重合又は共重合したポリマーを用いることができる。重合には、公知の重合触媒等を使用することができる。
ビニル系モノマーとしては、下記(1)〜(10)等が挙げられる。
(1)ビニル炭化水素:
(1−1)以下に記載の脂肪族ビニル炭化水素:
炭素数2〜12のアルケン(例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、炭素数3〜24のα−オレフィン等)の一価のビニル基を有する炭化水素;炭素数4〜12のアルカジエン(例えば、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン等)などの二価のビニル基を有する炭化水素。
(1−2)脂環式ビニル炭化水素:
炭素数6〜15のシクロアルケン又はジシクロアルケン(例えば、シクロヘキセン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン等);炭素数5〜12のシクロアルカジエン又はジシクロアルカジエン(例えば、(ジ)シクロペンタジエン等);テルペン(例えば、ピネン、リモネン、インデン等)等。
(1−3)芳香族ビニル炭化水素:
スチレン;スチレンのハイドロカルビル(炭素数1〜24のアルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体(例えば、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン等);ビニルナフタレン等。
(2)カルボキシル基を有するビニルモノマー及びその塩:
炭素数3〜30の不飽和モノカルボン酸(例えば、(メタ)アクリル酸(アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表す。以下同様に表現する。)、クロトン酸、イソクロトン酸、桂皮酸等);炭素数3〜30の不飽和ジカルボン酸又はその無水物(例えば、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸、メサコン酸等);炭素数3〜30の不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜24)エステル(例えば、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノオクタデシル、フマル酸モノエチル、イタコン酸モノブチル等)等。
カルボキシル基を有するビニルモノマーの塩としては、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩、4級アンモニウム塩などのカルボキシル基を有するビニルモノマーの塩が挙げられる。アミン塩としては、アミン化合物であれば特に限定されないが、例えば、1級アミン塩(エチルアミン塩、ブチルアミン塩、オクチルアミン塩等)、2級アミン塩(ジエチルアミン塩、ジブチルアミン塩等)、3級アミン塩(トリエチルアミン塩、トリブチルアミン塩等)が挙げられる。4級アンモニウム塩としては、テトラエチルアンモニウム塩、トリエチルラウリルアンモニウム塩等)が挙げられる。
カルボキシル基を有するビニルモノマーの塩の具体例としては、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、マレイン酸モノナトリウム、マレイン酸ジナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、マレイン酸モノカリウム、アクリル酸リチウム、アクリル酸セシウム、アクリル酸アンモニウム、アクリル酸カルシウム、アクリル酸アルミニウム等が挙げられる。
(3)スルホ基を有するビニルモノマー及びその塩:
炭素数2〜14のアルケンスルホン酸(例えば、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸等);スチレンスルホン酸及びアルキル(炭素数2〜24)誘導体(例えば、α−メチルスチレンスルホン酸等;炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリレート(例えば、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸等);炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリルアミド(例えば、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸);アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸(例えば、プロピルアリルスルホコハク酸、ブチルアリルスルホコハク酸);ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン:単独、ランダム、ブロックでもよい)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル(例えば、ポリ(n=5〜15)オキシエチレンモノメタクリレート硫酸エステル等);下記一般式(3−1)〜(3−3)で表される化合物あるいはこれらの塩等が挙げられる。
Figure 2010286610
(式中、Rは、炭素数1〜15のアルキル基を表す。Aは、炭素数2〜4のアルキレン基を示し、nが複数の場合、同一でも異なっていてもよく、異なる場合はランダム、ブロック及び/又はこれらの混合である。Arは、ベンゼン環を示し、nは、1〜50の整数を示し、R’は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキル基を示す。)
なお、塩としては、(2)カルボキシル基を有するビニルモノマー及びその塩で示した対イオン等が用いられる。
(4)ホスホノ基を有するビニルモノマー及びその塩:
(メタ)アクリロイルオキシアルキルリン酸モノエステル(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート等)、(メタ)アクリロイルオキシアルキルホスホン酸(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば、2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸等)。
なお、塩としては、(2)カルボキシル基を有するビニルモノマー及びその塩で示した対イオン等が用いられる。
(5)ヒドロキシル基を有するビニルモノマー:
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、ショ糖アリルエーテル等。
(6)含窒素ビニルモノマー:
(6−1)アミノ基を有するビニルモノマー:
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、α−アセトアミノアクリル酸メチル、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、これらの塩等。
(6−2)アミド基を有するビニルモノマー:
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等。
(6−3)炭素数3〜10のニトリル基を有するビニルモノマー:
(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアクリレート等。
(6−4)4級アンモニウムカチオンからなる基を有するビニルモノマー:
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の3級アミノ基を有するビニルモノマーの4級化物(塩化メチル、ジメチル硫酸、塩化ベンジル、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの。例えば、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、トリメチルアリルアンモニウムクロリド等)。
(6−5)炭素数8〜12のニトロ基を有するビニル系モノマー:
ニトロスチレン等。
(7)炭素数6〜18のエポキシ基を有するビニルモノマー:
グルシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、p−ビニルフェニルフェニルオキシド等。
(8)炭素数2〜16のハロゲン基を有するビニルモノマー:
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジクロロスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン、クロロプレン等。
(9)ビニルエステル、ビニル(チオ)エーテル、ビニルケトン、ビニルスルホン:
(9−1)炭素数4〜16のビニルエステル:
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、安息香酸ビニル、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート等)、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリルオキシアルカン類(ジアリルオキシエタン、トリアリルオキシエタン、テトラアリルオキシプロパン等)等、ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系モノマー(ポリエチレングリコール(分子量300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、メチルアルコールエチレンオキシド(以下、エチレンオキシドをEOと記載する)10モル付加物(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールEO 30モル付加物(メタ)アクリレート等)、ポリ(メタ)アクリレート類(多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等)等。
(9−2)炭素数3〜16のビニル(チオ)エーテル:
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、フェノキシスチレン等。
(9−3)炭素数4〜12のビニルケトン:
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルフェニルケトン等。
(9−4)炭素数2〜16のビニルスルホン:
ジビニルスルフィド、p−ビニルジフェニルスルフィド、ビニルエチルスルフィド、ビニルエチルスルホン、ジビニルスルホン、ジビニルスルホキシド等。
(10)その他のビニル系モノマー:
イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等。
ビニル樹脂のうち、ビニルモノマーを共重合したポリマー(ビニルモノマーの共重合体)としては、上記(1)〜(10)の任意の2種以上のモノマーを、任意の割合で共重合したポリマーを用いることができ、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−(無水)マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−ジビニルベンゼン共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
(溶解懸濁法に適した水性分散液を形成する樹脂微粒子)
溶解懸濁法を用いてトナーを得る場合、樹脂粒子を構成する樹脂は、水性樹脂分散体中で樹脂粒子を形成する必要があることから、少なくともトナーの水性分散体を形成する条件下(通常、5〜90℃)で水に完全に溶解しないことが必要である。このため、ビニル系樹脂が共重合体である場合には、ビニル系樹脂を構成する疎水性モノマーと親水性モノマーの比率は、選ばれるモノマーの種類によるが、一般に疎水性モノマーが10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。疎水性モノマーの比率が、10%未満になると、ビニル系樹脂が水溶性になりやすく、トナーの粒径均一性が低下することがある。なお、上記および以下において、%は、特に断りの無い限り、重量%を意味する。
ここで、親水性モノマーとは、25℃の水100gに100g以上溶解するモノマーを意味し、疎水性モノマーとは、それ以外のモノマー(25℃の水100gに100g以上溶解しないモノマー)を意味する(以下の樹脂についても同じ。)。
ポリエステル樹脂としては、ポリオールと、ポリカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとの重縮合物、後述するアルコール(m)と環状エステル(n)の付加重合物等が挙げられる。
ポリオールとしては、ジオール(11)及び3〜8価又は9価以上のポリオール(12)が用いられる。
ポリカルボン酸、その酸無水物、その低級アルキルエステルとしては、ジカルボン酸(13)及び3〜6価又は7価以上のポリカルボン酸(14)、これらの酸無水物、これらの低級アルキルエステルが用いられる。
重縮合時のポリオールとポリカルボン酸の比率は、ポリオールの水酸基[OH]とポリカルボン酸のカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]が2/1〜1/1であることが好ましく、1.5/1〜1/1がさらに好ましく、1.3/1〜1.02/1が特に好ましい。
ジオール(11)としては、炭素数2〜30のアルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等);分子量106〜10000のアルキレンエーテルグリコール(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数6〜24の脂環式ジオール(例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等);分子量100〜10000の上記脂環式ジオールのアルキレンオキシド(アルキレンオキシド:以下、AOと記載する)(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド(以下、それぞれ、EO、PO、BOと記載する)等)付加物(付加モル数:2〜100)(例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノールのEO 10モル付加物等);炭素数15〜30のビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)又は炭素数12〜24のポリフェノール(例えば、カテコール、ハイドロキノン、レゾルシン等)のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数:2〜100)(例えば、ビスフェノールAのEO 2〜4モル付加物、ビスフェノールAのPO 2〜4モル付加物等)、100〜5000のポリラクトンジオール(例えば、ポリ(ε−カプロラクトンジオール)等);Mw1000〜20000のポリブタジエンジオール等(Mw:重量平均分子量(GPC:Gel Permeation Chromatographyにより測定)以下同様に表記。)が挙げられる。
これらのうち、アルキレングリコール及びビスフェノール類のAO付加物が好ましく、ビスフェノール類のAO付加物及びこれとアルキレングリコールとの混合物がさらに好ましい。
3〜8価又は9価以上のポリオール(12)としては、炭素数3〜8の脂肪族多価アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ソルビトール等);炭素数25〜50のトリスフェノール(例えば、トリスフェノールPA等)のAO(炭素数2〜4)付加物(付加モル数:2〜100)(例えば、トリスフェノールPAのEO 2〜4モル付加物、トリスフェノールPAのPO 2〜4モル付加物等);重合度3〜50のノボラック樹脂(例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)のAO(炭素数2〜4)付加物(付加モル数:2〜100)(フェノールノボラックのPO 2モル付加物、フェノールノボラックのEO 4モル付加物等);炭素数6〜30のポリフェノール(例えば、ピロガロール、フロログルシノール、1,2,4−ベンゼントリオール等)のAO(炭素数2〜4)付加物(付加モル数:2〜100)(ピロガロールのEO 4モル付加物等);重合度20〜2000のアクリルポリオール(ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニルモノマー(例えば、スチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等との共重合体等)等が挙げられる。
これらのうち、脂肪族多価アルコール及びノボラック樹脂のAO付加物が好ましく、ノボラック樹脂のAO付加物がさらに好ましい。
ジカルボン酸(13)としては、炭素数4〜32のアルカンジカルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸等);炭素数4〜32のアルケンジカルボン酸(例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸等);炭素数8〜40の分岐アルケンジカルボン酸(例えば、ダイマー酸、アルケニルコハク酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸等);炭素数12〜40の分岐アルカンジカルボン酸(例えば、アルキルコハク酸(デシルコハク酸、ドデシルコハク酸、オクタデシルコハク酸等);炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸(例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)等が挙げられる。
これらのうち、アルケンジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸が好ましく、芳香族ジカルボン酸がさらに好ましい。
3〜6価又は7価以上のポリカルボン酸(14)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等)等が挙げられる。
なお、ジカルボン酸(13)、3〜6価又は7価以上のポリカルボン酸(14)の酸無水物としては、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物等が挙げられる。また、これらの低級アルキルエステルとしては、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等が挙げられる。
ポリウレタン樹脂としては、ポリイソシアネート(15)と活性水素基を有する化合物(D)(例えば、水、ジオール(11)、3〜8価又は9価以上のポリオール(12)、ジカルボン酸(13)、3〜6価又は7価以上のポリカルボン酸(14)、ポリアミン(16)、ポリチオール(17)等)との重付加物等が挙げられる。
重付加反応には、公知の重付加反応触媒等を用いることができる。
ポリイソシアネート(15)としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ポリイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基を有する変性物等)、これらの2種以上の混合物等が用いられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI(粗製ジ(アミノフェニル)メタン(ホルムアルデヒドと、芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物;ジ(アミノフェニル)メタンと、少量(例えば、5〜20%)の3官能以上のポリアミンとの混合物)のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI))、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−又はp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、これらの混合物等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、これらの混合物等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート、これらの混合物等が挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、m−又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、これらの混合物等が挙げられる。
ポリイソシアネートの変性物には、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及び/又はオキサゾリドン基を含有する変性物等が用いられ、例えば、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI、これらの混合物(例えば、変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート基を有するプレポリマー)との混合物)等が挙げられる。
これらのうち、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート及び脂環式ポリイソシアネートが好ましく、TDI、MDI、HDI、水添MDI及びIPDIがさらに好ましい。
ポリアミン(16)としては、炭素数2〜18の脂肪族ポリアミン、炭素数6〜20の芳香族ポリアミン等を用いることができる。
炭素数2〜18の脂肪族ポリアミンとしては、脂肪族ポリアミン、脂肪族ポリアミンのアルキル(炭素数1〜4)又はヒドロキシアルキル(炭素数2〜4)置換体、脂環式ポリアミン又は複素環を有する脂肪族ポリアミン、芳香環を有する脂肪族ポリアミン(炭素数8〜15)等が用いられる。
脂肪族ポリアミンとしては、炭素数2〜12のアルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)、ポリアルキレン(炭素数2〜6)ポリアミン(ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン等)等が挙げられる。
脂肪族ポリアミンのアルキル(炭素数1〜4)又はヒドロキシアルキル(炭素数2〜4)置換体としては、ジアルキル(炭素数1〜3)アミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミン等が挙げられる。
脂環式ポリアミン又は複素環を有する脂肪族ポリアミンとしては、炭素数4〜15の脂環式ポリアミン(1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等)、炭素数4〜15の複素環式ポリアミン(ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン等)等が挙げられる。
芳香環を有する脂肪族ポリアミン(炭素数8〜15)としては、キシリレンジアミン、テトラクロロ−p−キシリレンジアミン等が挙げられる。
芳香族ポリアミン(炭素数6〜20)としては、非置換芳香族ポリアミン、核置換アルキル基(メチル基、エチル基、n−又はi−プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基)を有する芳香族ポリアミン、核置換電子吸引基(クロロ基、ブロモ基、ヨード基、フルオロ基等のハロゲン基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;ニトロ基等)を有する芳香族ポリアミン、2級アミノ基を有する芳香族ポリアミン等が使用できる。
非置換芳香族ポリアミンとしては、1,2−、1,3−又は1,4−フェニレンジアミン、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリアミン、ナフチレンジアミン、これらの混合物等が挙げられる。
核置換アルキル基を有する芳香族ポリアミンとしては、例えば、2,4−又は2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、これらの混合物等が挙げられる。
核置換電子吸引基を有する芳香族ポリアミンとしては、例えば、メチレンビス(o−クロロアニリン)、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロロ−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン等が挙げられる。
2級アミノ基を有する芳香族ポリアミンとしては、上記の芳香族ポリアミンの1級アミノ基の一部又は全部が一般式 −NHR’で示される2級アミノ基(R’は、アルキル基、例えば、メチル基、エチル基等の炭素数1〜4の低級アルキル基)で置換されたもの(例えば、4,4’−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼン等)、ポリアミドポリアミン(ジカルボン酸(ダイマー酸等)と過剰(カルボン酸1モル当たり2モル以上)のポリアミン(アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミン等)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミン等)、ポリエーテルポリアミン(ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコール等)のシアノエチル化物の水素化物等)が挙げられる。
ポリチオール(17)としては、炭素数2〜24のジチオール、3〜6価又は7価以上、炭素数5〜30のポリチオール等を用いることができる。
ジチオールとしては、例えば、エチレンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール等が挙げられる。
ポリチオールとしては、例えば、カプキュア3800(ジャパンエポキシレジン社製)、ポリビニルチオール等が挙げられる。
活性水素基を有する化合物(D)のうち、水、ジオール(11)、ポリオール(12)、ジカルボン酸(13)及びポリアミン(16)が好ましく、水、ジオール(11)、ポリオール(12)及びポリアミン(16)がさらに好ましく、ジオール(11)、ポリオール(12)及びポリアミン(16)が特に好ましい。
エポキシ樹脂としては、ポリエポキシド(18)の開環重合物、ポリエポキシド(18)と活性水素基を有する化合物(D)(水、ジオール(11)、3価以上のポリオール(12)、ジカルボン酸(13)、3価以上のポリカルボン酸(14)、ポリアミン(16)、ポリチオール(17)等)との重付加物、ポリエポキシド(18)とジカルボン酸(13)又は3価以上のポリカルボン酸(14)の酸無水物との硬化物等が挙げられる。
本発明で用いられるポリエポキシド(18)は、分子中に2個以上のエポキシ基を有していれば、特に限定されない。ポリエポキシド(18)としては、硬化物の機械的性質の観点から、分子中にエポキシ基を2〜6個有するものが好ましい。ポリエポキシド(18)のエポキシ当量(エポキシ基1個当たりのポリエポキシド(18)の分子量)は、通常、65〜1000g/当量であり、90〜500g/当量が好ましい。エポキシ当量が1000g/当量を超えると、架橋構造がルーズになり、硬化物の耐水性、耐薬品性、機械的強度等の物性が悪くなり、一方、エポキシ当量が65g/当量未満のポリエポキシド(18)を合成するのは困難である。
ポリエポキシド(18)の具体例としては、芳香族系ポリエポキシ化合物、複素環系ポリエポキシ化合物、脂環族系ポリエポキシ化合物、脂肪族系ポリエポキシ化合物が挙げられる。
芳香族系ポリエポキシ化合物としては、多価フェノール類のグリシジルエーテル体及びグリシジルエステル体、グリシジル芳香族ポリアミン、アミノフェノールのグリシジル化物等が挙げられる。
多価フェノールのグリシジルエーテル体としては、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ハロゲン化ビスフェノールAジグリシジル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ピロガロールトリグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、トリス(ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル、ジナフチルトリオールトリグリシジルエーテル、ビス(ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル、フェノール又はクレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル体、ビスフェノールA2モルとエピクロロヒドリン3モルの反応から得られるジグリシジルエーテル体、フェノールとグリオキザール、グルタールアルデヒド又はホルムアルデヒドの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体、レゾルシンとアセトンの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体等が挙げられる。
多価フェノールのグリシジルエステル体としては、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
グリシジル芳香族ポリアミンとしては、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジフェニルメタンジアミン等が挙げられる。
さらに、本発明において、芳香族系ポリエポキシ化合物は、p−アミノフェノールのトリグリシジルエーテル、トリレンジイソシアネート又はジフェニルメタンジイソシアネートとグリシドールの付加反応によって得られるジグリシジルウレタン化合物、前記2反応物にポリオールも反応させて得られるグリシジル基を有するポリウレタン(プレ)ポリマー及びビスフェノールAのAO(EO又はPO)付加物のジグリシジルエーテル体も含む。
複素環系ポリエポキシ化合物としては、トリスグリシジルメラミンが挙げられる。
脂環族系ポリエポキシ化合物としては、ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエール、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミン、ダイマー酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。また、脂環族系ポリエポキシ化合物は、芳香族系ポリエポキシド化合物の核水添化物も含む。
脂肪族系ポリエポキシ化合物としては、多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体、多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体及びグリシジル脂肪族アミンが挙げられる。
多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルおよびポリグリセロールンポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体としては、ジグリシジルオキサレート、ジグリシジルマレート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルグルタレート、ジグリシジルアジペート、ジグリシジルピメレート等が挙げられる。
グリシジル脂肪族アミンとしては、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミンが挙げられる。
また、本発明において、脂肪族系ポリエポキシ化合物は、ジグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体も含む。
これらのうち、好ましいのは、脂肪族系ポリエポキシ化合物及び芳香族系ポリエポキシ化合物である。
本発明において、ポリエポキシドは、2種以上併用しても差し支えない。
本発明においては、樹脂粒子を含む水性溶媒中に、ポリエステル系樹脂又はその溶液(ポリエステル系樹脂前駆体又はその溶液)を分散させて、(ポリエステル系樹脂前駆体の反応を行い、)トナーが形成される際に、樹脂粒子をトナーの表面に吸着させることにより、樹脂粒子同士又はトナー同士が合一するのを抑制し、また、高せん断条件下でトナーが分裂しにくくすることができる。これにより、トナーの粒径を一定の値に収斂させ、粒径の均一性を高めることができる。このため、樹脂粒子は、分散する際の温度において、せん断により破壊されない程度の強度を有すること、水に溶解したり、膨潤したりしにくいこと、ポリエステル系樹脂又はその溶液(及びポリエステル系樹脂前駆体又はその溶液)に溶解したり、膨潤したりしにくいことが好ましい特性として挙げられる。
樹脂粒子を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)は、トナーの粒径の均一性、流動性、保存時の耐熱性、耐ストレス性の観点から、通常、0〜300℃であり、20〜250℃が好ましく、50〜200℃がさらに好ましい。トナーの水性分散体を作成する温度より樹脂粒子を構成する樹脂のTgが低いと、樹脂粒子同士又はトナー同士が合一するのを抑制したり、高せん断条件下でトナーが分裂するのを抑制したりする効果が小さくなり、粒径の均一性を高める効果が小さくなることがある。なお、Tgは、DSCを用いた測定により求められる。
樹脂粒子の硬さは、硬さの規格であるショアD硬度において、30以上であることが好ましく、45〜100が特に好ましい。また、水中、有機溶媒中に一定時間浸漬した場合における硬度も上記範囲にあることが好ましい。
樹脂粒子が水や分散時に用いられる有機溶媒に、溶解したり、膨潤したりするのを抑制する観点から、樹脂粒子を構成する樹脂の分子量、SP値(SP値はPolymer Engineering and Science,February,1974,Vol.14,No.2 P.147〜154による計算方法を用いて求められる)を有することが、結晶性、架橋点間分子量等を適宜調整することが好ましい。
樹脂粒子を構成する樹脂の数平均分子量(GPCにより測定、以下、Mnと略記)は、通常、200〜500万であり、2000〜50万が好ましい。また、樹脂粒子を構成する樹脂のSP値は、7〜18であることが好ましく、8〜14がさらに好ましい。
樹脂粒子を構成する樹脂の融点(DSCにて測定)は、50℃以上であることが好ましく、80℃以上がさらに好ましい。
また、トナーの、耐熱性、耐水性、耐薬品性、粒径の均一性等を向上させたい場合には、樹脂粒子を構成する樹脂に架橋構造を導入してもよい。ここでいう架橋構造は、共有結合性、配位結合性、イオン結合性、水素結合性等、いずれの架橋形態であってもよい。樹脂粒子を構成する樹脂に架橋構造を導入する場合の架橋点間分子量は、30以上であることが好ましく、50以上がさらに好ましい。
一方、後述するように、トナーに付着している樹脂粒子を溶解させ、トナーの水性分散体を形成させたい場合は、架橋構造を導入しない方が好ましい。
(水性分散液の製造方法)
樹脂粒子の水性分散液を製造する方法は、特に限定されないが、以下の〔1〕〜〔8〕が挙げられる。
〔1〕ビニル系樹脂の場合において、モノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法、分散重合法等の重合反応法を用いることにより、直接、樹脂粒子の水性分散液を製造する方法。
〔2〕ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加又は縮合系樹脂の場合において、前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶液を適当な分散剤の存在下で水性媒体中に分散させ、その後に加熱したり、硬化剤を加えたりして硬化させて樹脂粒子の水性樹脂分散液を製造する方法。
〔3〕ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加又は縮合系樹脂の場合において、前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶液(液体であることが好ましい。加熱により液状化してもよい)中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法。
〔4〕予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により合成した樹脂を機械回転式、ジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分級することによって樹脂粒子を得た後、適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法。
〔5〕予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により合成した樹脂の溶液を霧状に噴霧することにより樹脂粒子を得た後、この樹脂粒子を適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法。
〔6〕予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により合成した樹脂の溶液に貧溶剤を添加するか又は予め加熱溶解させた樹脂の溶液を冷却することにより樹脂粒子を析出させ、次いで、溶剤(貧溶剤)を除去して樹脂粒子を得た後、樹脂粒子を適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法。
〔7〕予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により合成した樹脂の溶液を、適当な分散剤存在下で水性媒体中に分散させ、これを加熱、減圧等によって溶剤を除去する方法。
〔8〕予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により合成した樹脂の溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法。
(乳化剤、分散剤又は乳化助剤、分散助剤)
上記〔1〕〜〔8〕の方法において、併用する乳化剤又は分散剤としては、公知の界面活性剤(S)、水溶性ポリマー(T)等を用いることができる。また、乳化又は分散の助剤として有機溶媒(U)、可塑剤(V)等を併用することができる。
界面活性剤(S)としては、アニオン界面活性剤(S−1)、カチオン界面活性剤(S−2)、両性界面活性剤(S−3)、非イオン界面活性剤(S−4)等が挙げられる。界面活性剤(S)は、2種以上の界面活性剤を併用したものであってもよい。
アニオン界面活性剤(S−1)としては、カルボン酸及びその塩、硫酸エステル塩、カルボキシメチル化物の塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩が挙げられる。
カルボン酸及びその塩としては、炭素数8〜22の飽和又は不飽和脂肪酸及びその塩が挙げられ、具体的には、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸及びヤシ油、パーム核油、米ぬか油、牛脂等をケン化して得られる高級脂肪酸の混合物が挙げられる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩が挙げられる。
硫酸エステル塩としては、高級アルコール硫酸エステル塩(炭素数8〜18の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩)、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩(炭素数8〜18の脂肪族アルコールのEO1〜10モル付加物の硫酸エステル塩)、硫酸化油(天然の不飽和油脂又は不飽和のロウをそのまま硫酸化して中和したもの)、硫酸化脂肪酸エステル(不飽和脂肪酸の低級アルコールエステルを硫酸化して中和したもの)及び硫酸化オレフィン(炭素数12〜18のオレフィンを硫酸化して中和したもの)が挙げられる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩が挙げられる。
高級アルコール硫酸エステル塩の具体例としては、オクチルアルコール硫酸エステル塩、デシルアルコール硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、ステアリルアルコール硫酸エステル塩、チーグラー触媒を用いて合成されたアルコール(例えば、ALFOL 1214(CONDEA社製))の硫酸エステル塩、オキソ法で合成されたアルコール(例えば、ドバノール23、25、45(三菱油化社製)、トリデカノール(協和発酵社製)、オキソコール1213、1215、1415(日産化学社製)、ダイヤドール115−L、115H、135(三菱化成社製)の硫酸エステル塩;高級アルキルエーテル硫酸エステル塩の具体例としては、ラウリルアルコールのEO 2モル付加物の硫酸エステル塩、オクチルアルコールのEO 3モル付加物の硫酸エステル塩;硫酸化油の具体例としては、ヒマシ油、オリーブ油、ナタネ油、牛脂等の硫酸化物のナトリウム、カリウム、アンモニウム、アルカノールアミン塩;硫酸化脂肪酸エステルの具体例としては、オレイン酸ブチル、リシノレイン酸ブチル等の硫酸化物のナトリウム、カリウム、アンモニウム、アルカノールアミン塩;硫酸化オレフィンの具体例としては、ティーポール(シェル社製)が挙げられる。
カルボキシメチル化物の塩としては、炭素数8〜16の脂肪族アルコールのカルボキシメチル化物の塩及び炭素数8〜16の脂肪族アルコールのEO 1〜10モル付加物のカルボキシメチル化物の塩が挙げられる。
脂肪族アルコールのカルボキシメチル化物の塩の具体例としては、オクチルアルコールのカルボキシメチル化ナトリウム塩、ラウリルアルコールのカルボキシメチル化ナトリウム塩、トリデカノールmpカルボキシメチル化ナトリウム塩;脂肪族アルコールのEO 1〜10モル付加物のカルボキシメチル化物の塩の具体例としては、オクチルアルコールのEO 3モル付加物のカルボキシメチル化ナトリウム塩、ラウリルアルコールのEO 4モル付加物のカルボキシメチル化ナトリウム塩、ドバノール23のEO 3モル付加物のカルボキシメチル化ナトリウム塩等が挙げられる。
スルホン酸塩としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸ジエステル型、α−オレフィンスルホン酸塩、イゲポンT型、その他芳香環を有する化合物のスルホン酸塩が挙げられる。
アルキルベンゼンスルホン酸塩の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム;アルキルナフタレンスルホン酸塩の具体例としては、ドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム;スルホコハク酸ジエステル型の具体例としては、スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルエステルのナトリウム塩等が挙げられる。芳香環を有する化合物のスルホン酸塩としては、アルキル化ジフェニルエーテルのモノ又はジスルホン酸塩、スチレン化フェノールスルホン酸塩等が挙げられる。
リン酸エステル塩としては、高級アルコールリン酸エステル塩及び高級アルコールEO付加物リン酸エステル塩が挙げられる。
高級アルコールリン酸エステル塩の具体例としては、ラウリルアルコールリン酸モノエステルジナトリウム塩、ラウリルアルコールリン酸ジエステルナトリウム塩;高級アルコールEO付加物リン酸エステル塩の具体例としては、オレイルアルコールEO 5モル付加物リン酸モノエステルジナトリウム塩が挙げられる。
カチオン界面活性剤(S−2)としては、第4級アンモニウム塩型、アミン塩型等が挙げられる。
第4級アンモニウム塩型としては、3級アミンと4級化剤(塩化メチル、臭化メチル、塩化エチル、塩化ベンジル、ジメチル硫酸等のアルキル化剤;EO等)との反応で得られ、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド(塩化ベンザルコニウム)、セチルピリジニウムクロリド、ポリオキシエチレントリメチルアンモニウムクロリド、ステアラミドエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェート等が挙げられる。
アミン塩型としては、1〜3級アミン類を無機酸(塩酸、硝酸、硫酸、ヨウ化水素酸等)又は有機酸(酢酸、ギ酸、シュウ酸、乳酸、グルコン酸、アジピン酸、アルキルリン酸等)で中和することにより得られる。
例えば、第1級アミン塩型のものとしては、脂肪族高級アミン(ラウリルアミン、ステアリルアミン、セチルアミン、硬化牛脂アミン、ロジンアミン等の高級アミン)の無機酸塩又は有機酸塩;低級アミン類の高級脂肪酸(ステアリン酸、オレイン酸等)塩等が挙げられる。
第2級アミン塩型のものとしては、例えば、脂肪族アミンのEO付加物等の無機酸塩又は有機酸塩が挙げられる。
また、第3級アミン塩型のものとしては、例えば、脂肪族アミン(トリエチルアミン、エチルジメチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等)、脂肪族アミンのEO(2モル以上)付加物、脂環式アミン(N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルヘキサメチレンイミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセン等)、含窒素ヘテロ環芳香族アミン(4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾール、4,4’−ジピリジル等)の無機酸塩又は有機酸塩;トリエタノールアミンモノステアレート、ステアラミドエチルジエチルメチルエタノールアミン等の3級アミンの無機酸塩又は有機酸塩等が挙げられる。
本発明で用いられる両性界面活性剤(S−3)としては、カルボン酸塩型両性界面活性剤、硫酸エステル塩型両性界面活性剤、スルホン酸塩型両性界面活性剤、リン酸エステル塩型両性界面活性剤等を用いることができる。
カルボン酸塩型両性界面活性剤としては、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤、イミダゾリン型両性界面活性剤等が挙げられ、これらのうち、アミノ酸型両性界面活性剤は、分子内にアミノ基とカルボキシル基を有する両性界面活性剤で、例えば、下記一般式で示される化合物が挙げられる。
Figure 2010286610
(上記式中、Rは、1価の炭化水素基であり、nは、通常、1又は2であり、mは、1又は2であり、Mm+は、プロトン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、アミンカチオン、アルカノールアミンカチオン等である。)
具体的には、例えば、アルキルアミノプロピオン酸型両性界面活性剤(ステアリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等);アルキルアミノ酢酸型両性界面活性剤(ラウリルアミノ酢酸ナトリウム等)等が挙げられる。
ベタイン型両性界面活性剤は、分子内に第4級アンモニウム塩型のカチオン部分とカルボン酸型のアニオン部分を有する両性界面活性剤で、例えば、アルキルジメチルベタイン(ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等)、アミドベタイン(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等)、アルキルジヒドロキシアルキルベタイン(ラウリルジヒドロキシエチルベタイン等)等が挙げられる。
さらに、イミダゾリン型両性界面活性剤としては、例えば、2−ウンデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
その他の両性界面活性剤としては、例えば、ナトリウムラウロイルグリシン、ナトリウムラウリルジアミノエチルグリシン、ラウリルジアミノエチルグリシン塩酸塩、ジオクチルジアミノエチルグリシン塩酸塩等のグリシン型両性界面活性剤;ペンタデシルスルホタウリン等のスルホベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
非イオン界面活性剤(S−4)としては、AO付加型非イオン界面活性剤、多価アルコール型非イオン界面活性剤等が挙げられる。
AO付加型非イオン界面活性剤は、高級アルコール、高級脂肪酸、アルキルアミン等に直接AOを付加させるか、グリコール類にAOを付加させて得られるポリアルキレングリコール類に高級脂肪酸等を反応させるか、多価アルコールに高級脂肪酸を反応させて得られたエステルにAOを付加させるか、高級脂肪酸アミドにAOを付加させることにより得られる。
AOとしては、例えば、EO、PO及びBOが挙げられるが、AO付加部位は、EOの単独重合体及びEOとPOのランダム又はブロック共重合体が好ましい。
AOの重合度は、10〜50であることが好ましく、AOの50〜100%がEOであることが好ましい。
AO付加型非イオン界面活性剤の具体例としては、オキシアルキレンアルキルエーテル(例えば、オクチルアルコールのEO付加物、ラウリルアルコールのEO付加物、ステアリルアルコールのEO付加物、オレイルアルコールのEO付加物、ラウリルアルコールのEO・POブロック付加物等);ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル(例えば、ステアリル酸のEO付加物、ラウリル酸のEO付加物等);ポリオキシアルキレン多価アルコール高級脂肪酸エステル(例えば、ポリエチレングリコールのラウリン酸ジエステル、ポリエチレングリコールのオレイン酸ジエステル、ポリエチレングリコールのステアリン酸ジエステル等);ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル(例えば、ノニルフェノールのEO付加物、ノニルフェノールのEO・POブロック付加物、オクチルフェノールのEO付加物、ビスフェノールAのEO付加物、ジノニルフェノールのEO付加物、スチレン化フェノールのEO付加物等);ポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル(例えば、ラウリルアミンのEO付加物、ステアリルアミンのEO付加物等);ポリオキシアルキレンアルキルアルカノールアミド(例えば、ヒドロキシエチルラウリン酸アミドのEO付加物、ヒドロキシプロピルオレイン酸アミドのEO付加物、ジヒドロキシエチルラウリン酸アミドのEO付加物等)が挙げられる。
多価アルコール型非イオン界面活性剤としては、多価アルコールの脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステルのAO付加物、多価アルコールのアルキルエーテル、多価アルコールのアルキルエーテルのAO付加物が挙げられる。
多価アルコール脂肪酸エステルの具体例としては、ペンタエリスリトールモノラウレート、ペンタエリスリトールモノオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンジラウレート、ソルビタンジオレート、ショ糖モノステアレート等が挙げられる。
多価アルコールの脂肪酸エステルのAO付加物の具体例としては、エチレングリコールモノオレートのEO付加物、エチレングリコールモノステアレートのEO付加物、トリメチロールプロパンモノステアレートのEO・POランダム付加物、ソルビタンモノラウレートのEO付加物、ソルビタンモノステアレートのEO付加物、ソルビタンジステアレートのEO付加物、ソルビタンジラウレートのEO・POランダム付加物等が挙げられる。
多価アルコールのアルキルエーテルの具体例としては、ペンタエリスリトールモノブチルエーテル、ペンタエリスリトールモノラウリルエーテル、ソルビタンモノメチルエーテル、ソルビタンモノステアリルエーテル、メチルグリコシド、ラウリルグリコシド等が挙げられる。
多価アルコールのアルキルエーテルのAO付加物の具体例としては、ソルビタンモノステアリルエーテルのEO付加物、メチルグリコシドのEO・POランダム付加物、ラウリルグリコシドのEO付加物、ステアリルグリコシドのEO・POランダム付加物等が挙げられる。
水溶性ポリマー(T)としては、セルロース系化合物(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、これらのケン化物等)、ゼラチン、デンプン、デキストリン、アラビアゴム、キチン、キトサン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、アクリル酸(塩)含有ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸の水酸化ナトリウム部分中和物、アクリル酸ナトリウム−アクリル酸エステル共重合体)、スチレン−無水マレイン酸共重合体の水酸化ナトリウム(部分)中和物、水溶性ポリウレタン(ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトンジオール等とポリイソシアネートの反応生成物等)等が挙げられる。
本発明で用いられる有機溶媒(U)は、乳化分散の際に、必要に応じて、水性分散液を形成する水性溶媒中に加えても、被乳化分散体中(ポリエステル系樹脂を含む油相中)に加えてもよい。その添加量は、水性溶媒中に加える場合は、0〜30%であることが好ましく、0〜25%がさらに好ましく、1〜20%が特に好ましい。また、被乳化分散媒体中に加える場合は、0〜80%であることが好ましく、0〜70%がさらに好ましく、1〜60%が特に好ましい。
有機溶媒(U)の具体例としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネラルスピリット、シクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素系溶媒;塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、塩化メチレン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレン等のハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエステル系又はエステルエーテル系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチルピロリドン等の複素環式化合物系溶媒などが挙げられ、これらの中の1種の溶媒または2種以上の混合溶媒が挙げられる。
水性溶媒中に加える有機溶媒(U)としては、水に対する溶解度が0〜40%であることが好ましく、1〜25%がさらに好ましい。このような溶解度を有する溶媒の具体例としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
可塑剤(V)は、乳化分散の際に、必要に応じて、水性溶媒中に加えても、被乳化分散体中(ポリエステル系樹脂を含む油相中)に加えてもよい。可塑剤(V)は、特に限定されず、例えば、フタル酸エステル(フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジイソデシル等);脂肪族二塩基酸エステル(アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、セバシン酸2−エチルヘキシル等);トリメリット酸エステル(トリメリット酸トリ(2−エチルヘキシル)、トリメリット酸トリオクチル等);リン酸エステル(リン酸トリエチル、リン酸トリ(2−エチルヘキシル)、リン酸トリクレジール等);脂肪酸エステル(オレイン酸ブチル等);これらの二種以上の混合物が挙げられる。
樹脂粒子の粒径は、通常、トナーの粒径よりも小さくなり、粒径の均一性の観点から、粒径比(樹脂粒子の体積平均粒径/トナーの体積平均粒径)は、0.001〜0.3であることが好ましく、0.003〜0.25がさらに好ましい。粒径比が、0.3より大きいと樹脂粒子がトナーの表面に効率よく吸着しないため、トナーの粒度分布が広くなる傾向がある。
樹脂粒子の体積平均粒径は、所望の粒径のトナーを得るのに適した粒径になるように、上記粒径比の範囲で適宜調整することができる。
樹脂粒子の体積平均粒径は、0.005〜2μmであることが好ましい。樹脂粒子の体積平均粒径の上限は、1μmがさらに好ましく、0.5μmが特に好ましい。また、下限は、0.01μmがさらに好ましく、0.02μmが特に好ましく、0.04μmが最も好ましい。ただし、例えば、体積平均粒径1μmのトナーを得たい場合には、樹脂粒子の体積平均粒径は、0.005〜0.3μmが好ましく、0.001〜0.2μmが特に好ましい。また、体積平均粒径が10μmのトナーを得たい場合には、樹脂粒子の体積平均粒径は、0.005〜3μmが好ましく、0.05〜2μmが特に好ましい。なお、体積平均粒径は、レーザー式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所社製)やコールターカウンター(例えば、マルチサイザーIII(コールター社製))、光学系として、レーザードップラー法を用いるELS−800(大塚電子社製)等を用いて測定することができる。
(ポリエステル系樹脂)
前記ポリエステル系樹脂としては、アルコール成分とカルボン酸成分とを、好ましくはエステル化触媒の存在下で縮重合させて得られるポリエステル系樹脂である。
−カルボン酸成分−
カルボン酸成分中に変性された精製ロジンが含有されている点に大きな特徴を有する。変性された精製ロジンを用いることにより、極めて低い温度で定着が可能となり、保存性が向上する。アクリル酸、フマル酸及びマレイン酸により変性された精製ロジンが好ましい。
アクリル酸変性ロジンは、2つの官能基を有するロジンであるため、ポリエステルの主鎖の一部として分子鎖を伸ばし、分子量を上げることができる一方、分子量500以下の低分子量成分、即ち、残存モノマー成分やオリゴマー成分が低減されるため、低温定着性と耐オフセット性及び保存性という相反する物性の両立が可能となるという驚くべき効果を奏するものと推定される。
フマル酸変性ロジンは、従来のロジンと比較して極めて高いガラス転移温度(Tg)を有しているため、低分子量成分が低減され、低温定着性と耐オフセット性及び保存性という相反する特性の両立が可能となるという予想できない驚くべき効果が奏されるものと推定される。
マレイン酸変性ロジンは、3つの官能基を有するため架橋剤として機能するため、低温定着性と耐オフセット性及び保存性という相反する物性の両立が可能となるという驚くべき効果を奏するものと推定される。
−アルコール成分−
アルコール成分には、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物などの芳香族アルコールが含有されていてもよいが、脂肪族アルコールのみからなるものが好ましい。ここで、本発明において、「実質的に脂肪族アルコールのみからなるアルコール成分」とは、脂肪族アルコールの含有量が、アルコール成分中90モル%以上であることを意味する。
さらに、前記脂肪族アルコール成分に用いられる炭素数3の分岐鎖型のアルコールが好ましい。特に、炭素数3の分岐鎖型のアルコールである1,2−プロパンジオールは、炭素数2以下のアルコールと対比して耐オフセット性を維持したまま低温定着性を向上させるのに有効であり、炭素数4以上の分岐鎖型アルコールと対比してガラス転移温度の低下に伴う保存性の低下防止に有効であり、極めて低い温度での定着が可能となり、同時に耐熱保存性、耐ホットオフセット性が両立できる。特に1,2−プロパンジオールの含有量が、2価のアルコール成分中、65モル%以上であるときは、優れた低温定着性と耐オフセット性を発揮する。
前記アルコール成分としては、本発明の目的及び作用効果が損なわれない範囲で、1,2−プロパンジオール以外のアルコールが含有されていてもよいが、1,2−プロパンジオールの含有量は、2価のアルコール成分中65モル%以上であり、70モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、90モル%以上が更に好ましい。
前記1,2−プロパンジオール以外の2価のアルコール成分としては、1,3−プロパンジオール、炭素数の異なるエチレングリコール、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールF、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等の脂肪族ジアルコールなどが挙げられる。前記2価のアルコール成分の含有量は、アルコール成分中60モル%〜95モル%が好ましく、65モル%〜90モル%がより好ましい。
耐オフセット性の観点から、1,3−プロパンジオールが含有されていることが好ましい。
前記ポリエステル系樹脂(A)及び前記ポリエステル樹脂(B)のアルコール成分における1,2−プロパンジオールと1,3−プロパンジオールのモル比(1,2−プロパンジオール/1,3−プロパンジオール)は、99/1〜65/35が好ましく、95/3〜70/30がより好ましく、95/3〜75/25が更に好ましい。
また、前記アルコール成分中に3価以上のアルコール成分が含まれていると、耐ホットオフセット性の向上に効果が上げられる。前記3価以上のアルコール成分の含有量は、アルコール成分の総量中、20モル%以下が好ましく、5モル%〜30モル%がより好ましい。前記3価以上の多価アルコール成分としては、例えばグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられ、特に、低温定着性を阻害しないことから、グリセリンが好ましい。
−エステル化触媒−
前記ポリエステル樹脂のアルコール成分とカルボン酸成分との縮重合は、エステル化触媒の存在下で行うことが好ましい。
前記エステル化触媒の例としては、p−トルエンスルホン酸等のルイス酸類、チタン化合物、Sn−C結合を有していない錫(II)化合物等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は両者を併用できる。本発明においては、チタン化合物及び/又はSn−C結合を有していない錫(II)化合物が好ましい。
前記チタン化合物としては、Ti−O結合を有するチタン化合物が好ましく、総炭素数1〜28のアルコキシ基、アルケニルオキシ基又はアシルオキシ基を有する化合物がより好ましい。
前記チタン化合物としては、例えばチタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C14N)(CO)〕、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート〔Ti(C10N)(CO)〕、チタンジペンチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C14N)(C11O)〕、チタンジエチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C14N)(CO)〕、チタンジヒドロキシオクチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C14N)(OHC16O)〕、チタンジステアレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C14N)(C1837O)〕、チタントリイソプロピレートトリエタノールアミネート〔Ti(C14N)(CO)〕、チタンモノプロピレートトリス(トリエタノールアミネート)〔Ti(C14N)(CO)〕等が挙げられ、これらの中で、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート及びチタンジペンチレートビストリエタノールアミネートが好ましく、これらは、例えばマツモト交商株式会社の市販品として入手できる。
他の好ましいチタン化合物の具体例としては、テトラ−n−ブチルチタネート〔Ti(CO)〕、テトラプロピルチタネート〔Ti(CO)〕、テトラステアリルチタネート〔Ti(C1837O)〕、テトラミリスチルチタネート〔Ti(C1429O)〕、テトラオクチルチタネート〔Ti(C17O)〕、ジオクチルジヒドロキシオクチルチタネート〔Ti(C17O)(OHC16O)〕、ジミリスチルジオクチルチタネート〔Ti(C1429O)(C17O)〕等が挙げられる。これらの中ではテトラステアリルチタネート、テトラミリスチルチタネート、テトラオクチルチタネート及びジオクチルジヒドロキシオクチルチタネートが好ましい。これらは、例えばハロゲン化チタンを、対応するアルコールと反応させることにより得ることができ、又は、ニッソー社等の市販品として、入手できる。
前記チタン化合物の存在量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、0.01質量部〜1.0質量部が好ましく、0.1質量部〜0.7質量部がより好ましい。
前記Sn−C結合を有していない錫(II)化合物としては、Sn−O結合を有する錫(II)化合物、Sn−X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する錫(II)化合物等が好ましく、Sn−O結合を有する錫(II)化合物がより好ましい。
前記Sn−O結合を有する錫(II)化合物としては、例えばシュウ酸錫(II)、ジ酢酸錫(II)、ジオクタン酸錫(II)、ジラウリル酸錫(II)、ジステアリン酸錫(II)、ジオレイン酸錫(II)等の炭素数2〜28のカルボン酸基を有するカルボン酸錫(II);ジオクチロキシ錫(II)、ジラウロキシ錫(II)、ジステアロキシ錫(II)、ジオレイロキシ錫(II)等の炭素数2〜28のアルコキシ基を有するジアルコキシ錫(II);酸化錫(II);硫酸錫(II)等が、Sn−X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する錫(II)化合物としては、塩化錫(II)、臭化錫(II)等のハロゲン化錫(II)等が挙げられ、これらの中では、帯電立ち上がり効果及び触媒能の点から、(RCOO)Sn(ここでRは炭素数5〜19のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表される脂肪酸錫(II)、(RO)Sn(ここでRは炭素数6〜20のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表されるジアルコキシ錫(II)及びSnOで表される酸化錫(II)が好ましく、(R1COO)Snで表される脂肪酸錫(II)及び酸化錫(II)がより好ましく、ジオクタン酸錫(II)、ジステアリン酸錫(II)及び酸化錫(II)が更に好ましい。
前記錫(II)化合物の存在量は、前記アルコール成分と前記カルボン酸成分の総量100質量部に対して、0.01質量部〜1.0質量部が好ましく、0.1質量部〜0.7質量部がより好ましい。
チタン化合物と錫(II)化合物を併用する場合、チタン化合物と錫(II)化合物の総存在量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、0.01質量部〜1.0質量部が好ましく、0.1質量部〜0.7質量部がより好ましい。
前記アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合は、例えば、前記エステル化触媒の存在下、不活性ガス雰囲気中にて、180℃〜250℃の温度で行うことができる。
(離型剤)
本発明では、定着時のオフセット防止を目的として離型剤としてワックス類を含有させることができる。
ワックス類としては、特に制限はなく、通常トナー用離型剤として使用されるものを適宜選択して使用することができるが、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス、酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合体、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう等の植物系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス、オゾケライト、セレシン、ペテロラタム等の鉱物系ワックス、モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類。脱酸カルナウバワックスの等の脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの、などが挙げられる。
前記ワックス類の例としては、更に、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に直鎖のアルキル基を有する直鎖アルキルカルボン酸類等の飽和直鎖脂肪酸、プランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸等の不飽和脂肪酸、ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウピルアルコール、セリルアルコール、メシリルアルコール、あるいは長鎖アルキルアルコール等の飽和アルコール、ソルビトール等の多価アルコール、リノール酸アミド、オレフィン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド、メチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセパシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド類、m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸等のビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス、ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化合物、植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
より好適な例としては、オレフィンを高圧下でラジカル重合したポリオレフィン、高分子量ポリオレフィン重合時に得られる低分子量副生成物を精製したポリオレフィン、低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒の如き触媒を用いて重合したポリオレフィン、放射線、電磁波又は光を利用して重合したポリオレフィン、高分子量ポリオレフィンを熱分解して得られる低分子量ポリオレフィン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ジントール法、ヒドロコール法、アーゲ法等により合成される合成炭化水素ワックス、炭素数1個の化合物をモノマーとする合成ワックス、水酸基又はカルボキシル基の如き官能基を有する炭化水素系ワックス、炭化水素系ワックスと官能基を有する炭化水素系ワックスとの混合物、これらのワックスを母体としてスチレン、マレイン酸エステル、アクリレート、メタクリレート、無水マレイン酸の如きビニルモノマーでグラフト変性したワックスが挙げられる。
また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は溶液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたものや、低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも好ましく用いられる。
前記ワックスの融点としては、耐ブロッキング性と耐オフセット性のバランスを取るために、60〜140℃であることが好ましく、70〜120℃であることがより好ましい。60℃未満では耐ブロッキング性が低下することがあり、140℃を超えると耐オフセット効果が発現しにくくなることがある。
本発明では、DSCにおいて測定されるワックスの吸熱ピークの最大ピークのピークトップの温度をもってワックスの融点とする。
前記ワックス又はトナーのDSC測定機器としては、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定することが好ましい。測定方法としては、ASTM D3418−82に準じて行う。本発明に用いられるDSC曲線は、1回昇温、降温させ前履歴を取った後、温度速度10℃/minで、昇温させた時に測定されるものを用いる。
本発明においては、離型剤の添加量がトナーに対して1〜30質量%であることが好ましく、2〜20質量%であることがさらに好ましい。
(着色剤)
着色剤としては、特に制限はなく、通常使用される着色剤を適宜選択して使用することができるが、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びこれらの混合物、などが挙げられる。
前記着色剤の含有量としては、トナーに対して1〜15質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。
本発明で用いる着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。
マスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリエステル樹脂やポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
前記マスターバッチは、マスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練して得る事ができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いることができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを、樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も、着色剤のウエットケーキをそのまま用いる事ができるため、乾燥する必要がなく、好適に使用される。混合混練するには、3本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に使用される。
前記マスターバッチの使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、2〜30質量部が好ましい。
また、前記マスターバッチ用の樹脂は、酸価が30mgKOH/g以下、アミン価が1〜100mgKOH/gで、着色剤を分散させて使用することが好ましく、酸価が20mgKOH/g以下、アミン価が10〜50mgKOH/gで、着色剤を分散させて使用することがより好ましい。酸価が30mgKOH/gを超えると、高湿下での帯電性が低下し、顔料分散性も不十分となることがある。また、アミン価が1mgKOH/g未満であるとき、及び、アミン価が100mgKOH/gを超えるときにも、顔料分散性が不十分となることがある。なお、酸価はJIS K0070に記載の方法により測定することができ、アミン価はJIS K7237に記載の方法により測定することができる。
また、分散剤は、顔料分散性の点で、結着樹脂との相溶性が高いことが好ましく、具体的な市販品としては、「アジスパーPB821」、「アジスパーPB822」(味の素ファインテクノ社製)、「Disperbyk−2001」(ビックケミー社製)、「EFKA−4010」(EFKA社製)、などが挙げられる。
前記分散剤の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおけるスチレン換算質量での、メインピークの極大値の分子量で、500〜100,000が好ましく、顔料分散性の観点から、3,000〜100,000がより好ましい。特に、5,000〜50,000が好ましく、5,000〜30,000が最も好ましい。分子量が500未満であると、極性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがあり、分子量が100,000を超えると、溶剤との親和性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがある。
前記分散剤の添加量は、着色剤100質量部に対して1〜50質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。1質量部未満であると分散能が低くなることがあり、50質量部を超えると帯電性が低下することがある。
(トナー水性分散体の調製)
本発明においては、樹脂粒子の水性分散液中で、ポリエステル系樹脂又はその溶液を分散させて、着色剤、ポリエステル系樹脂及び必要に応じて添加される離型剤からなるトナーを形成させることにより、トナーの表面に樹脂粒子が付着してなる構造のトナーの水性分散体を得ることができる。または、樹脂粒子の水性分散液中に、さらに、後述するポリエステル系樹脂前駆体又はその溶液を分散させて、ポリエステル系樹脂前駆体を重付加反応させて、トナーを形成させることにより、トナーの表面に樹脂粒子が付着してなる構造のトナーの水性分散体を得ることができる。
ポリエステル系樹脂又はその溶液(及びポリエステル系樹脂前駆体又はその溶液)を分散させる場合には、分散装置を用いることができる。分散装置は、一般に、乳化機、分散機として市販されているものであれば特に限定されず、例えば、ホモジナイザー(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミキサー(特殊機化工業社製)等のバッチ式乳化機、エバラマイルダー(荏原製作所社製)、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサー(特殊機化工業社製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機社製)、キャピトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工社製)等の連続式乳化機、マイクロフルイダイザー(みずほ工業社製)、ナノマイザー(ナノマイザー社製)、APVガウリン(ガウリン社製)等の高圧乳化機、膜乳化機(冷化工業社製)等の膜乳化機、バイブロミキサー(冷化工業社製)等の振動式乳化機、超音波ホモジナイザー(ブランソン社製)等の超音波乳化機等が挙げられる。中でも、粒径の均一化の観点から、APVガウリン、ホモジナイザー、TKオートホモミキサー、エバラマイルダー、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサーを用いることが好ましい。
着色剤とポリエステル系樹脂(及びポリエステル系樹脂前駆体)を樹脂粒子の水性分散液に分散させる際、ポリエステル系樹脂(及びポリエステル系樹脂前駆体)は、液体であることが好ましい。ポリエステル系樹脂(及びポリエステル系樹脂前駆体)が常温で固体である場合には、融点以上の高温下で液体の状態で分散させたり、ポリエステル系樹脂(及びポリエステル系樹脂前駆体)の溶液を用いたりすることができる。ポリエステル系樹脂(及びポリエステル系樹脂前駆体)の溶液の粘度は、粒径の均一性の観点から、通常、10〜5万cP(B型粘度計で測定)であり、100〜1万cPが好ましい。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)であり、5〜98℃が好ましい。分散体の粘度が高い場合は、高温にして粘度を上記の好ましい範囲まで低下させて、乳化分散を行うことが好ましい。
ポリエステル系樹脂(及びポリエステル系樹脂前駆体)の溶液に用いられる有機溶媒は、ポリエステル系樹脂(及びポリエステル系樹脂前駆体)を常温又は加熱下で溶解しうるものであれば特に限定されず、具体的には、前記の有機溶媒(U)と同様のものが挙げられる。好ましい有機溶媒は、ポリエステル系樹脂(及びポリエステル系樹脂前駆体)の種類によって異なるが、ポリエステル系樹脂(及びポリエステル系樹脂前駆体)とのSP値差が3以下であることが好ましい。また、トナーの粒径均一性の観点からは、ポリエステル系樹脂(及びポリエステル系樹脂前駆体)を溶解させるが、樹脂粒子を溶解・膨潤させにくい有機溶媒が好ましい。
ポリエステル系樹脂前駆体は、化学反応によりポリエステル系樹脂になり得るものであれば、特に限定されず、例えば、反応性基を有するプレポリマー(α)が挙げられ、硬化剤(β)と反応させることにより、ポリエステル系樹脂が得られる。ここで、反応性基とは、硬化剤(β)に対する反応性を有する官能基のことをいう。この場合、ポリエステル系樹脂前駆体を反応させてポリエステル系樹脂を形成する方法としては、反応性基を有するプレポリマー(α)、硬化剤(β)及び必要に応じて有機溶媒(U)を含む油相を、樹脂粒子の水系分散液中に分散させ、加熱により、反応性基を有するプレポリマー(α)と硬化剤(β)を反応させる方法;反応性基を有するプレポリマー(α)又はその溶液を樹脂粒子の水系分散液中に分散させ、ここに水溶性の硬化剤(β)を加えて反応させる方法;反応性基を有するプレポリマー(α)が水と反応して硬化するものである場合は、反応性基を有するプレポリマー(α)又はその溶液を樹脂粒子の水性分散液に分散させることで水と反応させる方法等が挙げられる。
反応性基を有するプレポリマー(α)が有する反応性基と、硬化剤(β)の組み合わせとしては、下記1〕、2〕などが挙げられる。
1〕反応性基を有するプレポリマー(α)が有する反応性基が、活性水素基に対する反応性を有する官能基(α1)であり、硬化剤(β)が活性水素基を有する化合物(β1)の組み合わせ。
2〕反応性基を有するプレポリマー(α)が有する反応性基が活性水素基(α2)であり、硬化剤(β)が活性水素基に対する反応性を有する化合物(β2)の組み合わせ。
これらのうち、水中での反応率の観点から、1〕がより好ましい。1〕において、活性水素基に対する反応性を有する官能基(α1)としては、イソシアネート基(α1a)、ブロック化イソシアネート基(α1b)、エポキシ基(α1c)、酸無水物基(α1d)、酸ハライド基(α1e)等が挙げられる。中でも、イソシアネート基(α1a)、ブロック化イソシアネート基(α1b)及びエポキシ基(α1c)が好ましく、イソシアネート基(α1a)及びブロック化イソシアネート基(α1b)が特に好ましい。なお、ブロック化イソシアネート基(α1b)とは、ブロック化剤によりブロックされたイソシアネート基のことをいう。
前記ブロック化イソシアネート基のブロック化剤としては、オキシム類(アセトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、ジエチルケトオキシム、シクロペンタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、メチルエチルケトオキシム等);ラクタム類(γ−ブチロラクタム、ε−カプロラクタム、γ−バレロラクタム等);炭素数1〜20の脂肪族アルコール類(エタノール、メタノール、オクタノール等);フェノール類(フェノール、m−クレゾール、キシレノール、ノニルフェノール等);活性メチレン化合物(アセチルアセトン、マロン酸エチル、アセト酢酸エチル等);塩基性窒素含有化合物(N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、2−ヒドロキシピリジン、ピリジン−N−オキシド、2−メルカプトピリジン等);これらの二種以上の混合物が挙げられる。中でも、オキシム類が好ましく、メチルエチルケトオキシムが特に好ましい。
反応性基を有するプレポリマー(α)の骨格としては、アルコール成分と、変性された精製ロジンを含有するカルボン酸成分とを縮重合させてなる、ポリエステル樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂に反応性基を修飾する方法としては、以下の方法が挙げられる。
〔1〕二以上の構成成分のうちの一つを過剰に用いることで構成成分の官能基を末端に残存させる方法。
〔2〕二以上の構成成分のうちの一つを過剰に用いることで構成成分の官能基を末端に残存させ、さらに残存した官能基に対する反応性を有する官能基を有する化合物を反応させる方法。
〔2〕の具体例としては、〔1〕で得られたプレポリマーに、ポリイソシアネートを反応させることでイソシアネート基を有するプレポリマーが得られ、ブロック化ポリイソシアネートを反応させることでブロック化イソシアネート基を有するプレポリマーが得られ、ポリエポキシドを反応させることでエポキシ基を有するプレポリマーが得られ、ポリ酸無水物を反応させることで酸無水物基を有するプレポリマーが得られる。
残存した官能基に対する反応性を有する官能基を有する化合物の使用量は、例えば、水酸基を有するポリエステルにポリイソシアネートを反応させてイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーを得る場合、ポリイソシアネートの比率が、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常、1/1〜5/1であり、1.2/1〜4/1が好ましく、1.5/1〜2.5/1がさらに好ましい。他の骨格、末端基を有するプレポリマーの場合も、構成成分が変わるだけで比率は同様である。
反応性基を有するプレポリマー(α)1分子当たりに含有する反応性基は、通常、1個以上であり、平均1.5〜3個が好ましく、平均1.8〜2.5個がさらに好ましい。これにより、硬化剤(β)と反応させて得られるポリエステル系樹脂の分子量を高くすることができる。
反応性基を有するプレポリマー(α)のMn(数平均分子量)は、通常、500〜30000であり、1000〜20000が好ましく、2000〜10000がさらに好ましい。
反応性基を有するプレポリマー(α)のMw(重量平均分子量)は、通常、1000〜50000であり、2000〜40000が好ましく、4000〜20000がさらに好ましい。
反応性基を有するプレポリマー(α)の粘度は、100℃において、通常、2000ポイズ以下であり、1000ポイズ以下が好ましい。粘度を2000ポイズ以下にすることにより、少量の有機溶媒で粒度分布の狭いトナーを得ることができる。
第二の活性水素基を有する化合物(β1)としては、脱離可能な化合物でブロック化されていてもよいポリアミン(β1a)、ポリオール(β1b)、ポリメルカプタン(β1c)、水(β1d)等が挙げられる。中でも、ポリアミン(β1a)、ポリオール(β1b)及び水(β1d)が好ましく、ポリアミン(β1a)及び水(β1d)がさらに好ましく、ブロック化されたポリアミン及び水(β1d)が特に好ましい。
ポリアミン(β1a)としては、ポリアミン(16)と同様のものを用いることができる。ポリアミン(β1a)としては、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン及びこれらの混合物が好ましい。
ポリアミン(β1a)が脱離可能な化合物でブロック化されたポリアミンである場合の例としては、ポリアミンと炭素数3〜8のケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、ポリアミンと炭素数2〜8のアルデヒド化合物(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド)から得られるアルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物等が挙げられる。
ポリオール(β1b)としては、ジオール(11)及びポリオール(12)と同様のものを用いることができる。中でも、ジオール(11)又はジオール(11)と少量のポリオール(12)の混合物が好ましい。
ポリメルカプタン(β1c)としては、エチレンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール等が挙げられる。
また、必要に応じて、第二の活性水素基を有する化合物(β1)と共に反応停止剤(βs)を用いることができる。反応停止剤を第二の活性水素基を有する化合物(β1)と一定の比率で併用することにより、ポリエステル系樹脂を所定の分子量に調整することができる。
反応停止剤(βs)としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等);モノアミンをブロックしたもの(ケチミン化合物等);アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、フェノール等);モノメルカプタン(ブチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン等);モノイソシアネート(ラウリルイソシアネート、フェニルイソシアネート等);モノエポキシド(ブチルグリシジルエーテル等)等が挙げられる。
前述の〔2〕における反応性基を有するプレポリマー(α)が有する活性水素基(α2)としては、アミノ基(α2a)、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)(α2b)、メルカプト基(α2c)、カルボキシル基(α2d)、これらが脱離可能な化合物でブロック化された官能基(α2e)等が挙げられる。中でも、アミノ基(α2a)、水酸基(α2b)及びアミノ基が脱離可能な化合物でブロック化された官能基が好ましく、水酸基(α2b)特に好ましい。
アミノ基が脱離可能な化合物でブロック化された官能基としては、ポリアミン(β1a)の場合と同様のものが例示できる。
活性水素基に対する反応性を有する化合物(β2)としては、ポリイソシアネート(β2a)、ポリエポキシド(β2b)、ポリカルボン酸(β2c)、ポリ酸無水物(β2d)、ポリカルボン酸ハライド(β2e)等が挙げられる。中でも、ポリイソシアネート(β2a)及びポリエポキシド(β2b)が好ましく、ポリイソシアネート(β2a)がさらに好ましい。
ポリイソシアネート(β2a)としては、ポリイソシアネート(15)と同様のものを用いることができ、好ましいものも同様である。
また、ポリエポキシド(β2b)としては、ポリエポキシド(18)と同様のものを用いることができ、好ましいものも同様である。
ポリカルボン酸(β2c)としては、ジカルボン酸(β2c−1)及び3価以上のポリカルボン酸(β2c−2)が挙げられ、ジカルボン酸(β2c−1)及びジカルボン酸(β2c−1)と少量のポリカルボン酸(β2c−2)の混合物が好ましい。
ジカルボン酸(β2c−1)及びポリカルボン酸(β2c−2)としては、それぞれジカルボン酸(13)及びポリカルボン酸(5)と同様のものが例示され、好ましいものも同様である。
ポリカルボン酸無水物(β2d)としては、ピロメリット酸無水物等が挙げられる。
ポリカルボン酸ハライド(β2e)としては、ポリカルボン酸(β2c)のハロゲン化物(酸塩化物、酸臭化物、酸ヨウ化物)等が挙げられる。
さらに、必要に応じて、ポリカルボン酸(β2)と共に反応停止剤(βs)を用いることができる。
硬化剤(β)の比率は、反応性基を有するプレポリマー(α)中の反応性基の当量[α]と、硬化剤(β)中の活性水素基の当量[β]の比[α]/[β]として、通常、1/2〜2/1であり、1.5/1〜1/1.5が好ましく、1.2/1〜1/1.2がさらに好ましい。なお、硬化剤(β)が水(β1d)である場合は、水は、2価の活性水素を有する化合物として取り扱う。
反応性基を有するプレポリマー(α)と硬化剤(β)を水性分散液中で反応させることにより得られるポリエステル系樹脂(A)は、本発明のトナーの第二の実施形態の構成成分となる。反応性基を有するプレポリマー(α)と硬化剤(β)を反応させることにより得られるポリエステル系樹脂(A)のMwは、通常、3000以上であり、3000〜1000万が好ましく、5000〜100万がさらに好ましい。
また、本発明のトナーの第二の実施形態においては、反応性基を有するプレポリマー(α)と硬化剤(β)を水性分散液中で反応させる時に、反応性基を有するプレポリマー(α)及び硬化剤(β)と反応しないポリエステル系樹脂(B)が水性分散液中にさらに含まれる。この場合、プレポリマー(α)に対するポリエステル系樹脂(B)の重量比は、5/95〜80/20であることが好ましい。
また、プレポリマー(α)及びポリエステル系樹脂(B)からなる樹脂の酸化は、1〜30mgKOH/gであることが好ましく、Tgは、40〜70℃であることが好ましい。
反応性基を有するプレポリマー(α)と硬化剤(β)の反応時間は、反応性基を有するプレポリマー(α)の有する反応性基の構造と硬化剤(β)の組み合わせにより適宜選択されるが、10分〜40時間であることが好ましく、30分〜24時間がさらに好ましい。反応温度は、通常、0〜150℃であり、50〜120℃が好ましい。
また、必要に応じて、公知の触媒を使用することができる。具体的には、例えば、イソシアネートと活性水素基を有する化合物の反応の場合には、ジブチルスズラウレート、ジオクチルスズラウレート等が挙げられる。
(乾燥)
本発明において、乳化分散液から溶媒を除去するために、系全体を徐々に減圧及び/又は加熱する方法を用いることができる。
また、乳化分散液を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の有機溶媒を完全に除去してトナーを形成し、併せて分散剤を蒸発除去することもできる。乳化分散液が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルン等の処理により、短時間で有機溶媒を除去することができる。
また、乳化分散液から水性溶媒を除去するには、濾過することが好ましい。
本発明において、乳化分散時の粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行われた場合、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。
液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等の分級操作により、微粒子部分を取り除くことができる。なお、乾燥後に粉体の状態で分級を行ってもよいが、効率の面で、液体中で行うことが好ましい。得られた不要の微粒子又は粗粒子は、再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際、微粒子又は粗粒子は、ウェットの状態でも構わない。
用いた分散剤は、得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、分級操作と同時に行うことが好ましい。
得られた乾燥後のトナーを、離型剤、荷電制御剤、流動化剤、着色剤等の異種粒子と共に混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えたりすることにより、トナーの表面に固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を抑制することができる。
混合粉体に機械的衝撃力を与える手段としては、高速で回転する羽根により衝撃力を加える方法、高速気流中に投入し、加速させ、粒子同士又は複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法等が挙げられる。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢等が挙げられる。
(樹脂粒子残存量)
本発明において、樹脂粒子は、後述するトナー形状(円形度、粒度分布等)を制御するために、製造工程で添加されるが、トナーの表面に偏在する樹脂粒子のトナーに対する残存率が2.5%以下にすることが重要である。このため、トナーの表面に付着した樹脂粒子は、洗浄・脱離することが好ましい。樹脂粒子の残存率が2.5%を超えると、樹脂粒子が定着紙との接着性を阻害して、定着下限温度が上がることがある。この結果、十分な定着温度幅を確保できなくなり、低温定着システムの複写機では定着できなくなったり、定着画像を擦ると剥がれたりすることがある。また樹脂粒子により摩擦帯電性が阻害されてトナーの帯電不良となり、得られる画像の地汚れや現像部でのトナー飛散が発生し、各部材・部位にトナー汚染が生じることがある。
樹脂粒子の残存率は、トナーに起因せず樹脂粒子に起因する物質を熱分解ガスクロマトグラフ(質量分析)計で分析し、そのピーク面積から算出することができる。
(体積平均粒径、個数平均粒径)
本発明のトナーは、体積平均粒径(Dv)が4〜8μmであることが好ましく、個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.25以下であることが好ましく、1.00〜1.25であることがより好ましく、1.10〜1.25がさらに好ましい。これにより、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れ、とりわけフルカラー複写機等に用いた場合に画像の光沢性に優れる。さらに、二成分現像剤においては、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナーの粒子径の変動が少なくなり、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性が得られる。また、一成分現像剤として用いた場合においても、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なくなると共に、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の部材へのトナーの融着が少なくなり、現像装置の長期の使用(攪拌)においても、良好で安定した現像性及び画像を得ることができる。
一般的には、トナーの粒子径が小さい程、高解像で高画質の画像を得るために有利であると言われているが、転写性やクリーニング性に対しては不利になる。また、トナーのDvが4μmより小さい場合、二成分現像剤では、現像装置における長期の攪拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させたることがある。また、一成分現像剤として用いた場合には、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の部材へのトナーの融着が発生することがある。
逆に、トナーのDvが8μmより大きい場合には、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
また、Dv/Dnが1.25よりも大きい場合も同様である。さらに、Dv/Dnが1.10より小さい場合には、トナーの挙動の安定化、帯電量の均一化の面から好ましい面もあるが、トナーを十分に帯電できなかったり、クリーニング性を悪化させたりすることがある。
(円形度)
本発明のトナーは、平均円形度が0.94以上0.96以下であることが好ましい。円形度は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(東亜医用電子社製)を用いて測定することができる。具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜0.5ml加え、さらに測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、分散液濃度を3000〜10000個/μlとして上記装置によりトナーの形状を測定する。
(帯電制御剤)
本発明のトナーは、必要に応じて、帯電制御剤を含有することができる。帯電制御剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、リンの単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系界面活性剤、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩等が挙げられる。
具体的には、ニグロシン系染料のボントロン03、第4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他、スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子化合物が挙げられる。
本発明において、荷電制御剤の添加量は、結着樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、結着樹脂に対して、0.1〜10%であることが好ましく、0.2〜5%がさらに好ましい。荷電制御剤の添加量が10%を超えると、トナーの帯電性が大きくなり、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。これらの帯電制御剤は、マスターバッチ、結着樹脂と共に溶融混練した後、溶解分散させることもできるし、有機溶媒に直接溶解、分散する際に加えても良いし、トナーの表面に固定化させてもよい。
(外添剤)
本発明のトナーの流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機粒子を用いることが好ましい。無機粒子の一次粒子径は、5nm〜2μmであることが好ましく、5nm〜500nmが特に好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m/gであることが好ましい。無機粒子の添加量は、トナーに対して、0.01〜5重量%であることが好ましく、0.01〜2.0重量%が特に好ましい。
無機粒子の具体例としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等を挙げることができる。
外添剤としては、この他に、高分子粒子を添加することができ、例えば、ソープフリー乳化重合、懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル共重合体;シリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロン等の重縮合系、熱硬化性樹脂による高分子粒子が挙げられる。
また、流動化剤を用いて表面処理を行うことにより、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の低下を抑制することができる。流動化剤としては、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系のカップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル等が挙げられる。
(その他の成分)
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、金属石鹸、等が挙げられる。
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩;ポリメタクリル酸メチル粒子、ポリスチレン粒子等の高分子粒子等を挙げることかできる。高分子粒子は、比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01〜1μmであることが好ましい。
〔現像剤〕
本発明のトナーは、キャリアを使用しない一成分系の磁性トナー又は非磁性トナーとしても用いることができる。また、キャリアを使用する二成分系現像剤として用いることができる。
(二成分用キャリア)
本発明のトナーを二成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いればよく、現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、磁性キャリア100質量部に対して、トナー1〜10質量部であることが好ましい。磁性キャリアとしては、粒子径20〜200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリア等の公知のものを使用することができる。
また、磁性キャリアの被覆樹脂としては、アミノ系樹脂を用いることができ、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。また、ポリビニル及びポリビニリデン系樹脂、例えば、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリスチレン及びスチレン−アクリル共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂等を使用することができる。
また、被覆樹脂は、必要に応じて、導電粉等を含有してもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛等を使用することができる。これらの導電粉は、平均粒子径が1μm以下であることが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。
〔トナー入り容器〕
本発明のトナー入り容器は、本発明のトナーが収容されているが、容器としては、特に限定されず、公知のものの中から適宜選択することができるが、容器本体とキャップとを有するもの等が挙げられる。
また、前記容器本体の大きさ、形状、構造、材質等は、特に限定されないが、形状は、円筒状であることが好ましく、その円筒状の内周面にスパイラル状の凹凸が形成されていることが好ましい。このような容器形状にすれば、回転させると、内容物である現像剤が排出口側に移行することが可能であり、スパイラル状の凹凸の一部又は全てが蛇腹機能を有することが特に好ましい。
更に、材質は、特に限定されないが、寸法精度がよいものであることが好ましく、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂等の樹脂材料が挙げられる。
前記トナー入り容器は、保存、搬送等が容易であり、取扱性に優れるため、後述するプロセスカートリッジ、画像形成装置等に着脱可能に取り付け、現像剤の補給に使用することができる。
〔画像形成方法、画像形成装置〕
本発明のトナーを用いた画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程を少なくとも有することが好ましく、クリーニング工程を有することが更に好ましく、必要に応じて、例えば、除電工程、リサイクル工程、制御工程等を有してもよい。
また、本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段を少なくとも有することが好ましく、クリーニング手段を有することが更に好ましく、必要に応じて、例えば、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有してもよい。
本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置を用いて、実施することができ、静電潜像形成工程は、静電潜像形成手段を用いて、現像工程は、現像手段を用いて、転写工程は、転写手段を用いて、定着工程は、定着手段を用いて、これら以外の工程は、これら以外の手段を用いて、実施することができる。
静電潜像形成工程は、光導電性絶縁体、感光体等の静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。前記静電潜像担持体の材質、形状、構造、大きさ等は、特に限定されず、公知のものの中から適宜選択することができるが、形状は、ドラム状であることが好ましい。また、前記感光体としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体等が挙げられる。中でも、長寿命である点で、アモルファスシリコン感光体等が好ましい。
前記静電潜像は、例えば、静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより形成され、静電潜像形成手段を用いて形成することができる。前記静電潜像形成手段は、例えば、静電潜像担持体の表面に電圧を印加して一様に帯電させる帯電器と、静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器を少なくとも有する。
前記帯電器としては、特に限定されないが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えた公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器等が挙げられる。
前記露光器としては、帯電器により帯電された静電潜像担持体の表面に形成すべき像様に露光することができれば、特に限定されないが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系等の各種露光器が挙げられる。なお、静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
前記現像工程は、静電潜像を、本発明のトナーで現像して可視像を形成する工程であり、前記可視像は、現像手段を用いて形成することができる。前記現像手段は、本発明のトナーで現像することができれば、特に限定されないが、例えば、本発明の現像剤を収容し、静電潜像にトナーを接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものを用いることができ、本発明の現像剤収容容器を備えた現像器等が好ましい。前記現像器は、乾式現像方式及び湿式現像方式のいずれであってもよく、また、単色用現像器及び多色用現像器のいずれであってもよく、例えば、本発明の現像剤を摩擦攪拌により帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラを有するもの等が挙げられる。現像器内では、例えば、トナーとキャリアが混合攪拌され、その際の摩擦によりトナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。マグネットローラは、静電潜像担持体近傍に配置されており、マグネットローラの表面に形成された磁気ブラシを構成するトナーの一部は、電気的な吸引力によって、静電潜像担持体の表面に移動する。その結果、静電潜像がトナーにより現像されて、静電潜像担持体の表面にトナー像が形成される。なお、現像器に収容する現像剤は、本発明の現像剤であるが、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。
前記転写工程は、例えば、転写帯電器を用いて、トナー像が形成された静電潜像担持体を帯電することにより、トナー像を記録媒体に転写する工程であり、転写手段を用いて転写することができる。このとき、前記転写工程は、トナー像を中間転写体上に転写する一次転写工程と、中間転写体上に転写されたトナー像を記録媒体上に転写する二次転写工程を有することが好ましい。また、前記転写工程は、二色以上のトナー、好ましくは、フルカラートナーを用いて、各色のトナー像を中間転写体上に転写して複合トナー像を形成する一次転写工程と、中間転写体上に形成された複合トナー像を記録媒体上に転写する二次転写工程を有することが更に好ましい。
前記転写手段は、トナー像を中間転写体上に転写して複合トナー像を形成する一次転写手段と、中間転写体上に形成された複合トナー像を記録媒体上に転写する二次転写手段を有することが好ましい。なお、中間転写体としては、特に限定されないが、例えば、無端状の転写ベルト等が挙げられる。また、転写手段(一次転写手段、二次転写手段)は、静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体側に帯電剥離させる転写器を少なくとも有することが好ましい。なお、前記転写手段は、1個又は2個以上の転写器を有することができる。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器等が挙げられる。
なお、前記記録媒体としては、特に限定されず、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
前記定着工程は、記録媒体に転写されたトナー像を定着させる工程であり、定着手段を用いて、定着させることができる。なお、二色以上のトナーを用いる場合は、各色のトナーが記録媒体に転写される毎に定着させてもよいし、全色のトナーが記録媒体に転写されて積層された状態で定着させてもよい。前記定着手段としては、特に限定されず、公知の加熱加圧手段を用いることができる。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラを組み合わせたもの、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトを組み合わせたもの等が挙げられる。このとき、加熱温度は、通常、80〜200℃である。なお、必要に応じて、定着手段と共に、あるいは定着手段の代わりに、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
前記除電工程は、静電潜像担持体に除電バイアスを印加して除電する工程であり、除電手段を用いて除電することができる。前記除電手段としては、静電潜像担持体に除電バイアスを印加することができれば、特に限定されないが、例えば、除電ランプ等を用いることができる。
前記クリーニング工程は、静電潜像担持体上に残留するトナーを除去する工程であり、クリーニング手段を用いてクリーニングすることができる。前記クリーニング手段としては、静電潜像担持体上に残留するトナーを除去することができれば、特に限定されないが、例えば、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナー、ブラシクリーナー、ウエブクリーナー等を用いることができる。
前記リサイクル工程は、クリーニング工程で除去されたトナーを現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段を用いてリサイクルさせることができる。前記リサイクル手段としては、特に限定されず、公知の搬送手段等を用いることができる。
前記制御工程は、各工程を制御する工程であり、制御手段を用いて制御することができる。前記制御手段としては、各手段の動作を制御することができれば、特に限定されないが、例えば、シークエンサー、コンピューター等を用いることができる。
図1に、本発明の画像形成装置の一例を示す。画像形成装置100Aは、静電潜像担持体としての感光体ドラム10と、帯電手段としての帯電ローラ20と、露光手段としての露光装置(不図示)と、現像手段としての現像器40と、中間転写体50と、クリーニング手段としてのクリーニングブレードを有するクリーニング装置60と、除電手段としての除電ランプ70を有する。
中間転写体50は、無端ベルトであり、その内側に配置されている3個のローラ51で張架されており、矢印方向に移動することができる。3個のローラ51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加することが可能な転写バイアスローラーとしても機能する。
また、中間転写体50の近傍には、クリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されている。更に、記録紙95にトナー像を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加することが可能な転写手段としての転写ローラ80が中間転写体50に対向して配置されている。
また、中間転写体50の周囲には、中間転写体50上のトナー像に電荷を付与するためのコロナ帯電器52が、感光体ドラム10と中間転写体50の接触部と、中間転写体50と記録紙95の接触部との間に配置されている。
ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の各色の現像器40は、現像剤収容部41と、現像剤供給ローラ42と、現像ローラ43を備える。
画像形成装置100Aでは、帯電ローラ20により感光体ドラム10を一様に帯電させた後、露光装置(不図示)により露光光Lを感光ドラム10上に像様に露光し、静電潜像を形成する。次に、感光体ドラム10上に形成された静電潜像を、現像器40から現像剤を供給して現像してトナー像を形成した後、ローラ51から印加された転写バイアスにより、トナー像が中間転写体50上に転写(一次転写)される。更に、中間転写体50上のトナー像は、コロナ帯電器52により電荷を付与された後、記録紙95上に転写(二次転写)される。なお、感光体ドラム10上に残存したトナーは、クリーニング装置60により除去され、感光体ドラム10は除電ランプ70により一旦、除電される。
図2に、本発明の画像形成装置の他の例を示す。画像形成装置100Bは、タンデム型カラー画像形成装置であり、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400を有する。
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。中間転写体50は、支持ローラ14、15及び16に張架されており、矢印方向に回転することができる。
支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上に残留したトナーを除去するためのクリーニング装置17が配置されている。また、支持ローラ14と支持ローラ15により張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの4個の画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。
各色の画像形成手段18は、図3に示すように、感光体ドラム10と、感光体ドラム10を一様に帯電させる帯電ローラ20と、感光体ドラム10に形成された静電潜像をブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の各色の現像剤で現像してトナー像を形成する現像器40と、各色のトナー像を中間転写体50上に転写させるための転写ローラ80と、クリーニング装置60と、除電ランプ70を備える。
また、タンデム型現像器120の近傍には、露光装置30が配置されている。露光装置30は、感光体ドラム10上に露光光Lを露光し、静電潜像を形成する。
更に、中間転写体50のタンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22は、一対のローラ23に張架されている無端ベルトである二次転写ベルト24からなり、二次転写ベルト24上を搬送される記録紙と中間転写体50が互いに接触可能となっている。
二次転写装置22の近傍には、定着装置25が配置されている。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26と、定着ベルト26に押圧されて配置される加圧ローラ27を有する。
また、二次転写装置22及び定着装置25の近傍に、記録紙の両面に画像を形成するために記録紙を反転させる反転装置28が配置されている。
次に、画像形成装置100Bにおけるフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。まず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。次に、スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は、直ちにスキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により、光源からの光が照射されると共に、原稿面からの反射光を第2走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読み取りセンサ36で受光される。これにより、カラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の画像情報が得られる。
更に、露光装置30により、得られた各色の画像情報に基づいて、各色の静電潜像が感光体ドラム10に形成された後、各色の静電潜像は、各色の現像器40から供給された現像剤で現像され、各色のトナー像が形成される。形成された各色のトナー像は、支持ローラ14、15及び16により回転移動する中間転写体50上に、順次重ねて転写(一次転写)され、中間転写体50上に複合トナー像が形成される。
給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つから記録紙を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送り出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、手差しトレイ54上の記録紙を繰り出し、分離ローラ58で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、レジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般に接地して使用されるが、記録紙の紙粉除去のために、バイアスが印加された状態で使用してもよい。
そして、中間転写体50上に形成された複合トナー像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写装置22の間に記録紙を送り出し、複合トナー像を記録紙上に転写(二次転写)する。
複合トナー像が転写された記録紙は、二次転写装置22により搬送されて、定着装置25に送り出される。そして、定着装置25において、定着ベルト26及び加圧ローラ27により、加熱加圧されて複合トナー像が記録紙上に定着される。その後、記録紙は、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。あるいは、切換爪55で切り換えて反転装置28により反転されて再び転写位置へと導かれて、裏面にも画像を形成した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
なお、複合トナー像が転写された後に中間転写体50上に残留したトナーは、クリーニング装置17により除去される。
〔プロセスカートリッジ〕
本発明のプロセスカートリッジは、各種の画像形成装置に着脱可能に成型されており、静電潜像を担持する静電潜像担持体と、静電潜像担持体上に担持された静電潜像を本発明の現像剤で現像してトナー像を形成する現像手段を少なくとも有する。なお、本発明のプロセスカートリッジは、必要に応じて、他の手段を更に有していてもよい。
現像手段としては、本発明の現像剤を収容する現像剤収容容器と、現像剤収容容器内に収容された現像剤を担持すると共に搬送する現像剤担持体を少なくとも有する。なお、現像手段は、担持する現像剤の厚さを規制するため規制部材等を更に有してもよい。
図4に、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す。プロセスカートリッジ110は、感光体ドラム10、コロナ帯電器52、現像器40、転写ローラ80及びクリーニング装置90を有する。
以下、本発明のトナーなどを実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
下記実施例及び比較例において、「ポリエステル樹脂の軟化点」、「ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)」、「ロジンの軟化点」、「ポリエステル樹脂 及びロジンの酸価」、「ポリエステル樹脂の水酸基価」以下のようにして測定を行った。
<ポリエステル樹脂の軟化点の測定>
フローテスター(島津製作所製、CFT−500D)を用い、試料として1gの各ポリエステル系結着樹脂を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出し、温度に対するフローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
<ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定>
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて、試料として0.01〜0.02gの各ポリエステル系結着樹脂をアルミニウムパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
<ロジンの軟化点の測定>
(1)試料の調製
ロジン10gを、170℃にて2時間ホットプレートで溶融した。その後、開封状態で温度25℃、相対湿度50%の環境下で1時間自然冷却させ、コーヒーミル(National MK−61M)で10秒間粉砕し、試料を調製した。
(2)測定
フローテスター(島津製作所社製、CFT−500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出し、温度に対するフローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
<ポリエステル樹脂及びロジンの酸価>
JIS K0070の方法に基づき測定した。ただし、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
<ポリエステル樹脂の水酸基価>
JIS K0070の方法に基づき測定した。
<粒度分布>
本発明のトナーの重量平均粒径(Dv)及び個数平均粒径(Dn)は、粒度測定器(「マルチサイザーIII」、ベックマンコールター社製)を用い、アパーチャー径100μmで測定し、解析ソフト(Beckman Coulter Mutlisizer 3 Version3.51)にて解析を行った。具体的にはガラス製100mlビーカーに10wt%界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩ネオゲンSC−A;第一工業製薬性)を0.5ml添加し、各トナー0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いでイオン交換水80mlを添加した。得られた分散液を超音波分散器(W−113MK−II本多電子社製)で10分間分散処理した。
前記分散液を前記マルチサイザーIIIを用い、測定用溶液としてアイソトンIII(ベックマンコールター製)を用いて測定を行った。測定は装置が示す濃度が8±2%に成るように前記トナーサンプル分散液を滴下した。本測定法は粒径の測定再現性の点から前記濃度を8±2%にすることが重要である。この濃度範囲であれば粒径に誤差は生じない。チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とした。トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定後、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)を求めることができる。粒度分布の指標としては、トナーの重量平均粒径(Dv)を個数平均粒径(Dn)で除したDv/Dnを用いる。完全に単分散であれば1となり、数値が大きいほど分布が広いことを意味する。
<円形度>
フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子社製)により平均円形度として計測できる。具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、分散液濃度を3000〜1万個/μlとして前記装置によりトナーの形状及び分布を測定することによって得られる。真球であれば円形度は1となる。
<帯電特性の測定>
(常温常湿品の帯電量の測定)
トナー母体粒子4質量部に対して、磁性キャリア96質量部を20℃/50%RHの環境に24時間暴露した後、その環境内でトナー及びキャリアをボールミル内に投入し、30秒間、10分間、及び30分間ボールミルで混合し、二成分現像剤常温常湿30秒撹拌品及び10分撹拌品、30分撹拌品を作成し、後述するブローオフ法にて帯電量を測定した。
30秒撹拌品の帯電量が10分撹拌品の帯電量に近いほど帯電の立ち上がり性が良いといえ、30分撹拌品の帯電量が10分撹拌品の帯電量に近いほど帯電の安定性がよいといえる。
(高温高湿品の帯電量の測定)
また、トナー母体粒子4質量部と、磁性キャリア96質量部とを30℃/90%RHの環境に24時間暴露した後、その環境内でトナー及びキャリアをボールミル内に投入し、10分間ボールミルで混合し、二成分現像剤高温高湿品を作成し、ブローオフ法にて帯電量を測定した。
高温高湿品の帯電量と常温常湿10分撹拌品の帯電量の差が小さい方が耐環境安定性に優れているといえる。
<帯電量:ブローオフ法>
現像剤6gを、両底面に目開き20μmのステンレス製メッシュを設けた金属性円柱容器に入れ、窒素ガスを吹き付けてトナーのみを除去し、残ったキャリアの電荷qを計測し、除去されたトナーの質量mで除したq/mとして帯電量を求めた。
−性能評価−
次に、実施例及び比較例のトナー1〜20について、以下のようにして画像安定性、クリーニング性、耐熱保存性、耐コールドオフセット性、耐ホットオフセット性、現像ローラ防汚染性、臭気を評価した。結果を表6に示す。
<画像安定性>
現像剤を、リコー社製の複写機(Imagio Neo C285)に入れ、リコー社製タイプ6000ペーパーを用いて、30℃/90%RH及び10℃/30%RHの環境にて、画像の面積率が2%、10%、50%の画像を連続して各100枚出力し、画像を評価した結果を表1に示した。なお、いずれの環境及び画像面積率でも100枚目の画像が初期画像と同等の良好な画像であった場合は○、いずれかの環境及び画像面積率で100枚目の画像が初期画像より明らかな変化を生じた場合は×で示した。
<クリーニング性>
各現像剤を、市販の複写機(イマジオネオC325、リコー社製)に入れ、画像面積率30%の画像を現像し、転写紙に転写後、感光体に残存する転写残のトナーをクリーニングブレードでクリーニングしている最中に複写機を停止させ、クリーニング工程を通過した感光体上の転写残トナーをスコッチテープ(住友スリーエム社製)で白紙に移し、それをマクベス反射濃度計RD514型で10箇所測定し、その平均値と単にテープを白紙に貼った時の測定結果との差を求め、下記基準により評価した。なお、クリーニングブレードは2万枚クリーニング後のものを用いた。
〔評価基準〕
◎(極めて良好):差が0.01以下
○(良好) :差が0.015以下
×(不良) :差が0.015を超える
<耐熱保存性>
耐熱保存性は、針入度試験器(日科エンジニアリング社製)を用いて測定した。具体的には、各トナーを10g計量し、温度20〜25℃、40〜60%RHの環境下で30mlのガラス容器(スクリューバイアル)に入れ、蓋を閉めた。トナーを入れたガラス容器を200回タッピングした後、温度を50℃にセットした恒温槽に48時間放置した後、針入度試験器で針入度を測定し、下記の評価基準により耐熱保存性を評価した。針入度の値が大きいほど、耐熱保存性に優れる。
〔評価基準〕
◎:針入度が30mm以上
○:針入度が20mm〜29mm
△:針入度が15mm〜19mm(従来のトナー並)
×:針入度が8mm〜14mm
××:針入度が7mm以下
<耐コールドオフセット性>
各現像剤を超高速デジタルレーザープリンターIPSiO SP9500Pro改造機に装填し、厚紙の転写紙(NBSリコー社製、複写印刷用紙<135>)に、トナー付着量0.20±0.1mg/cmの1cm角ベタ画像を作成し、スコッチ メンディングテープ 810(幅24mm、3M社製)をベタ画像上に添付し、テープ上から重さ1kgの金属ローラ(φ50、SUS製)を10mm/sの速度で転がしながら10往復させた。テープを10mm/sの速度で一定方向に剥がし、テープ剥離前後での画像濃度から、下記式(ii)を用いて画像残像率を求め、下記の評価基準により耐コールドオフセット性を評価した。
式(ii):
画像残存率(%)=(剥離後の画像濃度/剥離前の画像濃度)×100
〔評価基準〕
◎:画像残存率が97%以上
○:画像残存率が92%以上97%未満
△:画像残存率が85%以上92%未満
×:画像残存率が80%以上85%未満(従来のトナー並)
××:画像残存率が80%未満
<耐ホットオフセット性>
各現像剤を超高速デジタルレーザープリンターIPSiO SP9500Pro改造機に装填し、薄紙の転写紙(NBSリコー社製、複写印刷用紙<55>)に、トナー付着量0.40±0.1mg/cmの1cm角ベタ画像を作成し、定着ローラ温度を変化させて定着を行い、ホットオフセットの有無を目視評価し、ホットオフセットが発生しない上限温度を定着上限温度とし、下記基準で耐ホットオフセット性を評価した。
〔評価基準〕
◎:定着上限温度が240℃以上
○:定着上限温度が220℃以上240℃未満
△:定着上限温度が200℃以上220℃未満
×:定着上限温度が180℃以上200℃未満(従来のトナー並)
××:定着上限温度が180℃未満
<現像ローラ防汚染性>
各現像剤を超高速デジタルレーザープリンターIPSiO SP9500Pro改造機に装填し、5%画像面積のチャートでの10万枚印刷後に、現像ローラ上の現像剤、トナーを除去し、白紙通紙部の現像ローラの汚れを目視評価し、現像ローラ防汚染性を評価した。
〔評価基準〕
◎:全く現像ローラが汚れない
○:目視では殆ど判別できない程の汚れが発生
△:僅かに気になる程度の汚れが発生
×:明らかに問題となる汚れが発生(従来のトナー並)
××:明らかに問題となり使用が難しい程の汚れが発生
<トナーの臭気評価方法>
各トナー20gをアルミニウムカップに測り取り、150℃に過熱したホットプレートの上に30分間静置し、トナーから発生する臭気を以下の評価基準に従って評価した。
〔評価基準〕
◎:臭気は全く感じられない
○:臭気はほとんど感じられない
△:臭気が若干感じられるが、実用上問題ない
×:臭気が強く感じられる
(合成例)
−ロジンの精製例−
分留管、還流冷却器、及び受器を装備した2,000mL容の蒸留フラスコに1,000gのトールロジンを加え、1kPaの減圧下で蒸留を行い、195℃〜250℃での留出分を主留分として採取した。以下、精製に供したトールロジンを未精製ロジン、主留分として採取したロジンを精製ロジンとする。
各ロジン20gをコーヒーミル(National MK−61M)で5秒間粉砕し、目開き1mmの篩いを通したものをヘッドスペース用バイアル(20mL)に0.5g測りとった。ヘッドスペースガスをサン プリングして、未精製ロジン及び精製ロジン中の不純物を、以下のようにして、ヘッドスペースGC−MS法により分析した。結果を表1に示す。
〔ヘッドスペースGC−MS法の測定条件〕
A. ヘッドスペースサンプラー(Agilent社製、HP7694)
サンプル温度: 200℃
ループ温度: 200℃
トランスファーライン温度: 200℃
サンプル加熱平衡時間: 30 min
バイヤル加圧ガス: ヘリウム(He)
バイヤル加圧時間: 0.3 min
ループ充填時間: 0.03 min
ループ平衡時間: 0.3 min
注入時間: 1 min
B. GC(ガスクロマトグラフィー)(Agilent社製、HP6890)
分析カラム: DB−1(60m−320μm−5μm)
キャリア: ヘリウム(He)
流量条件: 1 ml/min
注入口温度: 210℃
カラムヘッド圧: 34.2 kPa
注入モード: split
スプリット比: 10:1
オーブン温度条件: 45℃(3min)−10℃/min−280℃(15min)
C. MS(質量分析法)(Agilent社製、HP5973)
イオン化法: EI(電子衝撃)法
インターフェイス温度: 280℃
イオン源温度: 230℃
四重極温度: 150℃
検出モード: Scan 29−350m/s
Figure 2010286610
−アクリル酸変性ロジンの合成−
分留管、還流冷却器、及び受器を装備した10L容積のフラスコ内に、精製ロジン6,084g(18モル)、及びアクリル酸 907.9g(12.6モル)を加え、160℃から220℃に8時間かけて昇温し、220℃にて2時間反応させた後、更に5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、アクリル酸変性ロジンを得た。
−フマル酸変性ロジンの合成−
分留管、還流冷却器、及び受器を装備した10L容のフラスコ内に、精製ロジン5,408g(16モル)、フマル酸928g(8モ ル)、及びt−ブチルカテコール0.4gを加え、160℃から200℃に2時間かけて昇温し、200℃にて2時間反応させた後、更に5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、フマル酸変性ロジンを得た。
−マレイン酸変性ロジンの合成−
分留管、還流冷却器及び受器を装備した10L容のフラスコに精製ロジン6,084g(18モル)と無水マレイン酸1,323g(13.5モル)を加え、160℃から220℃に8時間かけて昇温し、220℃にて2時間反応させた後、さらに、220℃、5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、マレイン酸変性ロジンを得た。
(合成例1〜7 )
表2に示すアルコール成分、無水トリメリット酸以外のカルボン酸成分及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で10時間縮重合反応させた後、230℃、8.0kPaにて1時間反応を行った。220℃まで冷却した後、無水トリメリット酸を投入し、1時間常圧で反応させた後に、220℃、20kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行ってポリエステルを得た。
Figure 2010286610
*未精製ロジン:未変性ロジン
*BPA−PO:ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
(スチレン−メタクリル酸共重合体樹脂粒子分散液の作製)
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水683質量部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩エレミノールRS−30(三洋化成工業社製)11質量部、スチレン139質量部、メタクリル酸138質量部及び過硫酸アンモニウム1質量部を仕込み、400rpmで15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度を75℃まで昇温させ、5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30質量部を加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液(樹脂粒子分散液A2)を得た。樹脂粒子分散液A2をLA−920で測定した体積平均粒径は、0.15μmであった。次に、樹脂粒子分散液A2の一部を乾燥して樹脂分を単離した。得られた樹脂分のTgは、154℃であった。
水784質量部、136質量部の樹脂粒子分散液A2及びドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液エレミノールMON−7(三洋化成工業社製)80質量部を混合攪拌し、乳白色の液体(樹脂粒子分散液)を得た。
(ポリエステル樹脂溶液1〜7の作製)
合成例1〜7のポリエステル1000質量部を酢酸エチル2000質量部に溶解、混合し、ポリエステル樹脂溶液1〜7を得た。
(ポリエステルプレポリマー1の合成)
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水酸基価が56mgKOH/gのポリエステル樹脂(1,2−プロパンジオール及びアクリル酸変性ロジンを脱水縮合して合成)2000質量部を仕込み、3mmHgの減圧下、110℃に加熱して1時間脱水を行った。次に、イソホロンジイソシアネート(IPDI)457質量部を投入し、110℃で10時間反応を行い、末端にイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー1を得た。ポリエステルプレポリマー1の遊離イソシアネート含量は3.6%であった。
(ポリエステルプレポリマー2の合成)
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水酸基価が53mgKOH/gのポリエステル樹脂(1,2−プロパンジオール及びフマル酸変性ロジンを脱水縮合して合成)2000質量部を仕込み、3mmHgの減圧下、110℃に加熱して1時間脱水を行った。次に、イソホロンジイソシアネート(IPDI)457質量部を投入し、110℃で10時間反応を行い、末端にイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー2を得た。ポリエステルプレポリマー2の遊離イソシアネート含量は3.8%であった。
(ポリエステルプレポリマー3の合成)
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水酸基価が54mgKOH/gのポリエステル樹脂(1,2−プロパンジオール及びマレイン酸変性ロジンを脱水縮合して合成)2000質量部を仕込み、3mmHgの減圧下、110℃に加熱して1時間脱水を行った。次に、イソホロンジイソシアネート(IPDI)457質量部を投入し、110℃で10時間反応を行い、末端にイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー3を得た。ポリエステルプレポリマー2の遊離イソシアネート含量は3.7%であった。
(ポリエステルプレポリマー4の合成)
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水酸基価が55mgKOH/gのポリエステル樹脂(ビスフェノールAのEO 2モル付加物及びテレフタル酸の脱水縮合による合成)2000質量部を仕込み、3mmHgの減圧下、110℃に加熱して1時間脱水を行った。次に、イソホロンジイソシアネート(IPDI)457質量部を投入し、110℃で10時間反応を行い、末端にイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー4を得た。ポリエステルプレポリマー1の遊離イソシアネート含量は3.7%であった。
(ポリエステルプレポリマー5の合成)
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水酸基価が58mgKOH/gのポリエステル樹脂(1,2−プロパンジオール及びテレフタル酸、未精製ロジンを脱水縮合して合成)2000質量部を仕込み、3mmHgの減圧下、110℃に加熱して1時間脱水を行った。次に、イソホロンジイソシアネート(IPDI)457質量部を投入し、110℃で10時間反応を行い、末端にイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー5を得た。ポリエステルプレポリマー2の遊離イソシアネート含量は3.9%であった。
(硬化剤の合成)
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、エチレンジアミン50部及びメチルイソブチルケトン(MIBK)50質量部を仕込み、50℃で5時間反応を行い、ケチミン化合物(硬化剤)を得た。
〔実施例1〕
ビーカーに、240質量部のポリエステル樹脂溶液1、カルナウバワックス(離型剤)5質量部及び銅フタロシアニン(着色剤)4質量部を入れ、TK式ホモミキサー(特殊機化社製)を用いて、50℃、12000rpmで撹拌し、均一に分散させて着色剤分散液1を得た。ビーカーに、イオン交換水500質量部、500質量部の樹脂粒子分散液及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2質量部を入れ、均一に溶解させた。次に、50℃まで昇温させ、TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmで撹拌しながら、300質量部の着色剤分散液1を投入し、10分間撹拌した。次に、得られた混合液を撹拌棒及び温度計付きのコルベンに移し、昇温して酢酸エチルを留去し、着色粒子分散液を得た。次に、濾別、乾燥を行って着色粒子を得た。得られた着色粒子100質量部、疎水性シリカ0.7質量部及び疎水化酸化チタン0.3質量部を、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー1を得た。
〔実施例2〕
実施例1のポリエステル樹脂溶液1をポリエステル樹脂溶液2に変えた以外は実施例1と同様にしてトナー2を得た。
〔実施例3〕
実施例1のポリエステル樹脂溶液1をポリエステル樹脂溶液3に変えた以外は実施例1と同様にしてトナー3を得た。
〔実施例4〕
実施例1のポリエステル樹脂溶液1をポリエステル樹脂溶液4に変えた以外は実施例1と同様にしてトナー4を得た。
〔実施例5〕
実施例1のポリエステル樹脂溶液1をポリエステル樹脂溶液5に変えた以外は実施例1と同様にしてトナー5を得た。
〔実施例6〕
ビーカーに、240質量部のポリエステル樹脂溶液1、20質量部のポリエステルプレポリマー1、酢酸エチル40質量部、カルナウバワックス(離型剤)5質量部及び銅フタロシアニン4質量部を入れ、TK式ホモミキサーを用いて、50℃、12000rpmで撹拌し、均一に分散させて着色剤分散液2を得た。ビーカーに、500質量部の樹脂粒子分散液を入れ、50℃まで昇温させ、TK式ホモミキサーを用いて、12000rpmで撹拌しながら、1質量部の硬化剤及び214質量部の着色剤分散液2を直前に混合した混合液を投入し、10分間撹拌した。次に、得られた混合液を撹拌棒及び温度計付きのコルベンに移し、昇温して酢酸エチルを留去し、さらに98℃まで昇温して5時間反応させて、着色粒子分散液を得た。
着色粒子分散液100質量部に、5%水酸化ナトリウム水溶液100質量部を加え、TK式ホモミキサーを用いて、40℃、12000rpmで10分間攪拌して、着色粒子の表面に付着した樹脂粒子を溶解させた。次に、遠心分離により上澄みを除去し、さらに水100質量部を加えて遠心分離する工程を2回繰り返した後、乾燥して着色粒子を得た。得られた着色粒子100質量部、疎水性シリカ0.7質量部及び疎水化酸化チタン0.3質量部を、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー6を得た。
〔実施例7〕
実施例6のポリエステル樹脂溶液1及びポリエステルプレポリマー1の代わりに、それぞれポリエステル樹脂溶液2及びポリエステルプレポリマー2を用いた以外は、実施例6と同様にしてトナー7を得た。
〔実施例8〕
実施例6のポリエステル樹脂溶液1及びポリエステルプレポリマー1の代わりに、それぞれポリエステル樹脂溶液3及びポリエステルプレポリマー3を用いた以外は、実施例6と同様にしてトナー8を得た。
〔実施例9〕
実施例6のポリエステル樹脂溶液1の代わりに、ポリエステル樹脂溶液4を用いた以外は実施例6と同様にしてトナー9を得た。
〔実施例10〕
実施例6のポリエステル樹脂溶液1及びポリエステルプレポリマー1の代わりに、それぞれポリエステル樹脂溶液4及びポリエステルプレポリマー2を用いた以外は、実施例6と同様にしてトナー10を得た。
〔実施例11〕
実施例6のポリエステル樹脂溶液1及びポリエステルプレポリマー1の代わりに、それぞれポリエステル樹脂溶液4及びポリエステルプレポリマー3を用いた以外は、実施例6と同様にしてトナー11を得た。
〔実施例12〕
実施例1のポリエステル樹脂溶液1をポリエステル樹脂溶液6に変えた以外は実施例1と同様にしてトナー12を得た。
〔実施例13〕
実施例6のポリエステル樹脂溶液1の代わりに、ポリエステル樹脂溶液6を用いた以外は実施例6と同様にしてトナー13を得た。
〔比較例1〕
実施例1のポリエステル樹脂溶液1をポリエステル樹脂溶液7に変えた以外は実施例1と同様にしてトナー14を得た。
〔比較例2〕
実施例6のポリエステル樹脂溶液1の代わりに、ポリエステル樹脂溶液7を用いた以外は実施例6と同様にしてトナー15を得た。
〔比較例3〕
実施例6のポリエステル樹脂溶液1及びポリエステルプレポリマー1の代わりに、それぞれポリエステル樹脂溶液4及びポリエステルプレポリマー4を用いた以外は実施例6と同様にしてトナー16を得た。
〔比較例4〕
実施例6のポリエステル樹脂溶液1及びポリエステルプレポリマー1の代わりに、それぞれポリエステル樹脂溶液4及びポリエステルプレポリマー5を用いた以外は実施例6と同様にしてトナー17を得た。
〔比較例5〕
表2に示す合成例1のポリエステル樹脂100質量部、カルナウバワックス(離型剤)5質量部、及び銅フタロシアニン(着色剤)4質量部を、へンシェルミキサー(三井三池化工機社製、FM10B)を用いて予備混合した後、二軸混練機(池貝社製、PCM−30)で100℃〜130℃の温度で溶融、混練した。得られた混練物は室温まで冷却後、ハンマーミルにて200μm〜300μmに粗粉砕した。次いで、超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業社製)を用いて、質量平均粒径が6.2±0.3μmとなるように粉砕エアー圧を適宜調整しながら微粉砕した後、気流分級機(日本ニューマチック工業社製、MDS−I)で、質量平均粒径が7.0±0.2μm、4μm以下の微粉量が10個数%以下となるようにルーバー開度を適宜調整しながら分級し、着色粒子を得た。得られた着色粒子100質量部、疎水性シリカ0.7質量部及び疎水化酸化チタン0.3質量部を、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー18を製造した。
上記、実施例及び比較例で示したトナー1〜18の評価結果を、表3〜表4に示す。
Figure 2010286610
Figure 2010286610
10 感光体(感光体ドラム)
10K ブラック用感光体
10Y イエロー用感光体
10M マゼンタ用感光体
10C シアン用感光体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写クリーニング装置
18 画像形成手段
20 帯電ローラ
21 露光装置
22 二次転写装置
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
30 露光装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
40 現像装置
41 現像ベルト
42K 現像剤収容部
42Y 現像剤収容部
42M 現像剤収容部
42C 現像剤収容部
43K 現像剤供給ローラ
43Y 現像剤供給ローラ
43M 現像剤供給ローラ
43C 現像剤供給ローラ
44K 現像ローラ
44Y 現像ローラ
44M 現像ローラ
44C 現像ローラ
45K ブラック用現像器
45Y イエロー用現像器
45M マゼンタ用現像器
45C シアン用現像器
49 レジストローラ
50 中間転写体
51 ローラ
52 コロナ帯電器
56 排出ローラ
57 排出トレイ
60 クリーニング装置
61 現像器
62 転写帯電器
63 感光体クリーニング装置
64 除電器
70 除電ランプ
80 転写ローラ
90 クリーニング装置
95 転写紙
100 画像形成装置
110 プロセスカートリッジ
120 タンデム型現像器
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)
特許第3773906号公報 特開平4−70765号公報 特公平7−82254号公報 特開2007−292860号公報 特開2007−292869号公報 特開平2−82267号公報 特許第2851895号公報 特許第3772910号公報 特許第3762077号公報 特開2008−281882号公報

Claims (12)

  1. 樹脂微粒子を含む水性溶媒に、ポリエステル系樹脂を含むトナー材料が有機溶媒に溶解乃至分散されたトナー材料液を分散して製造されるトナーであって、前記ポリエステル系樹脂がアルコール成分と、変性された精製ロジンを含有するカルボン酸成分との縮重合によるポリエステル樹脂であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 前記アルコール成分が、1,2−プロパンジオールを2価のアルコール成分中65モル%以上含有する請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記変性された精製ロジンがアクリル酸、フマル酸、及びマレイン酸の少なくともいずれかで変性された精製ロジンである請求項1または2のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記ポリエステル系樹脂を含む組成物のポリエステル系樹脂の一部は、官能基を含有する官能基含有ポリエステル系樹脂であり、該ポリエステル系樹脂が溶解されている有機溶媒相と、活性水素含有化合物と、着色剤とを、樹脂微粒子が分散されている水系媒体中に分散させて、前記官能基含有ポリエステル系樹脂と前記活性水素含有化合物との伸長反応および/または架橋反応を起こさせて得られた分散液からトナーを形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 前記トナーの円形度が、0.94〜0.98の範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 前記トナーの体積平均粒径が3〜8μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  7. 前記トナーの体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)の比(Dv/Dn)が1.25以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のトナーと磁性粒子からなるキャリアを含むことを特徴とする二成分系の現像剤。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載のトナーが収容されてなることを特徴とするトナー入り容器。
  10. 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、トナーを用いて現像した可視像を形成する現像手段とを少なくとも有する、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、
    前記トナーが、請求項1〜7のいずれかに記載のトナーであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  11. 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含む画像形成方法であって、
    前記トナーが、請求項1〜7のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成方法。
  12. 電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、前記帯電された電子写真感光体上に静電潜像を形成する露光手段と、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーを用いて可視像化しトナー像を形成する現像手段と、前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を直接又は中間転写体を介して記録材上に転写する転写手段と、前記記録材上に転写されたトナー像を定着させる定着手段とを備えた画像形成装置であって、
    前記トナーが、請求項1〜7のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置。
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