JP2010285547A - ブレーカートッピング又はベーストレッド用ゴム組成物並びに空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】老化防止剤を増量することなく、耐熱性を高め、特にゴムの硬化劣化を抑制して、長寿命化できるブレーカートッピング又はベーストレッド用ゴム組成物、並びにそれをタイヤのブレーカートッピング又はベーストレッドに用いた空気入りタイヤ(特に、トラック・バス用タイヤ)を提供する。
【解決手段】イソプレン系ゴムを50質量%以上含むゴム成分と、シリカと、いずれも特定式で表されるベンゾチアゾール−ジスルフィッド及び/又はメルカプト−ベンゾチアゾールを含有するブレーカートッピング又はベーストレッド用ゴム組成物。
【選択図】なし
【解決手段】イソプレン系ゴムを50質量%以上含むゴム成分と、シリカと、いずれも特定式で表されるベンゾチアゾール−ジスルフィッド及び/又はメルカプト−ベンゾチアゾールを含有するブレーカートッピング又はベーストレッド用ゴム組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、ブレーカートッピング又はベーストレッド用ゴム組成物、並びにそれを用いた空気入りタイヤ(特に、トラック・バス用タイヤ)に関する。
近年、省資源や炭酸ガス排出抑制の規制強化などの観点から、タイヤの低燃費性及び耐久性が重要視されてきている。タイヤコンポーネントの多くには天然ゴムが多く含まれているが、天然ゴムの熱劣化による硬化現象は、ゴムの力学物性の低下を引き起してしまう。そのため、タイヤの耐久性向上の為には、熱劣化による硬化現象を抑制し、長寿命化したゴム組成物を提供することが望まれる。特に、トラック・バス用タイヤの使用条件は非常にシビアリティが高いため、ゴムの発熱が大きく、ゴムの熱劣化も早くなり、トレッド部では、ゴム欠けなどの損傷を引き起こすことになる。
この対策として、従来からタイヤ等に用いられるゴム組成物には、ゴム組成物の耐熱性を高めるために老化防止剤が広く使用されている。老化防止剤としては、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD)やN−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(IPPD)等のアミン系老化防止剤が汎用的に用いられている。
しかしながら、近年では耐熱性向上の要求は更に高まり、更なる長寿命化が求められている。老化防止剤の増量によって長寿命化は達成できるが、老化防止剤がゴム中を移動し、表面に析出する特性を有するため、6PPDやIPPDのゴム表面への析出により、表面が茶変色し、タイヤの外観不良を引き起こす等の問題がある。従って、老化防止剤を増量させることなく、耐熱性を向上し、長寿命化できるゴム組成物の提供が望まれている。
特許文献1には、ジエン系ゴムに、老化防止剤としてのN−(1−メチルヘプチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、及びワックスを配合したゴム組成物が開示されている。しかし、耐熱性の改善の点では未だ改善の余地を残すものである。
本発明は、前記課題を解決し、老化防止剤を増量することなく、耐熱性を高め、特にゴムの硬化劣化を抑制して、長寿命化できるブレーカートッピング又はベーストレッド用ゴム組成物、並びにそれをタイヤのブレーカートッピング又はベーストレッドに用いた空気入りタイヤ(特に、トラック・バス用タイヤ)を提供することを目的とする。
本発明は、イソプレン系ゴムを50質量%以上含むゴム成分と、シリカと、下記式(I)及び/又は(II)で表される化合物とを含有するブレーカートッピング又はベーストレッド用ゴム組成物に関する。
上記ゴム成分がブタジエンゴムを含むことが好ましい。
上記イソプレン系ゴムがイソプレンゴム、天然ゴム及び改質天然ゴムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記ゴム組成物は、上記ゴム成分100質量部に対して、カーボンブラック20〜80質量部を含むことが好ましい。
また、上記ゴム組成物は、更に酸化亜鉛1〜6質量部を含むことが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製したブレーカートッピング又はベーストレッドを有するトラック・バス用タイヤに関する。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製したブレーカートッピング又はベーストレッドを有するトラック・バス用タイヤに関する。
本発明によれば、特定量のイソプレン系ゴムを含むゴム成分に、シリカ、上記式(I)及び/又は(II)で表される化合物を配合しているので、耐熱性を改善でき、特にゴムの硬化劣化の抑制が可能となる。このような改善効果は、SBR及びカーボンブラックの配合系等のSBR系に比べて非常に大きい。従って、6PPD等の老化防止剤を増量することなく、ゴム組成物を長寿命化できるため、空気入りタイヤ(特に、トラック・バス用タイヤ)のブレーカートッピング又はベーストレッドに好適に適用でき、空気入りタイヤ(特に、トラック・バス用タイヤ)の耐久性を向上させることができる。また、6PPD等の老化防止剤を増量する必要がないため、タイヤの外観不良を防止することができる。
本発明のゴム組成物は、イソプレン系ゴムを含むゴム成分と、シリカと、上記式(I)及び/又は(II)で表される化合物を含む。ゴム成分としてイソプレン系ゴムを使用するとともに、更にシリカ及び上記式(I)、(II)で表される化合物を配合することにより、耐熱性を改善でき、特にゴムの硬化劣化の抑制が可能となる。
ここで、ゴムの硬化劣化とは、劣化因子として酸素が存在する条件下で熱が加わったときに、ゴムが初期状態に比べ硬くなる劣化現象のことであり、本発明では、このような劣化を効果的に抑制できる。このような硬化劣化抑制効果は、いわゆる耐熱疲労性(ブローやチャンクの発生の防止)、耐熱ダレ性とは異質の効果であって、イソプレン系ゴムとシリカと式(I)、(II)の化合物との3成分を使用した場合に特異的に奏する。
更に、これら3成分を用いた場合には、耐熱性の改善効果(特に、硬化劣化抑制効果)が相乗的に生じ、例えば、スチレンブタジエンゴムに、シリカや式(I)、(II)の化合物を配合した場合に比べて、非常に大きな硬化劣化抑制効果が生じる。
従って、本発明では、老化防止剤を増量することなく、耐熱性(特に、硬化劣化抑制効果)を改善できるため、空気入りタイヤ(特に、トラック・バス用タイヤ)のブレーカートッピング又はベーストレッドに好適に使用でき、空気入りタイヤ(特に、トラック・バス用タイヤ)の長寿命化が可能となる。
従って、本発明では、老化防止剤を増量することなく、耐熱性(特に、硬化劣化抑制効果)を改善できるため、空気入りタイヤ(特に、トラック・バス用タイヤ)のブレーカートッピング又はベーストレッドに好適に使用でき、空気入りタイヤ(特に、トラック・バス用タイヤ)の長寿命化が可能となる。
本発明では、ゴム成分としてイソプレン系ゴムが使用される。本発明では、イソプレン骨格を持つゴムを使用しているにもかかわらず、耐熱性(特に硬化劣化抑制効果)を改善できる。イソプレン系ゴムとしては、イソプレンゴム(IR)、天然ゴム(NR)、改質天然ゴム等が挙げられる。NRには、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(HPNR)も含まれ、改質天然ゴムとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等が挙げられる。また、NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
本発明では、ゴム成分100質量%中に、イソプレン系ゴムが50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上含まれる。50質量%未満であると、硬化劣化抑制効果が十分に得られないおそれがある。また、イソプレン系ゴムの含有量の上限は特に限定されず、100質量%でもよいが、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。90質量%を超えると、オゾン劣化により、耐亀裂成長性が悪化してしまうおそれがある。
イソプレン系ゴムの他に、ゴム成分として使用できるものとしては、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、耐亀裂成長性と転がり抵抗性能を両立できるという理由からBRが好ましく、NRとBRの併用がより好ましい。
BRとしては特に限定されず、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150B等の高シス含有量のBR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等のシンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等を使用できる。
本発明では、ゴム成分100質量%中に、BRが好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上含まれる。5質量%未満であると、充分な耐亀裂成長性が望めないおそれがある。また、BRの含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。50質量%を超えると、耐熱性、耐硬化劣化性能が悪化するおそれがある。
本発明では、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムとBRの合計含有量が好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは100質量%である。合計含有量が80質量%未満であると、他の部材との接着性が悪化するおそれがある。
本発明ではシリカが使用される。これにより、耐熱性(特に硬化劣化抑制効果)を改善できる。シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(無水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。シリカは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、好ましくは50m2/g以上、より好ましくは80m2/g以上、更に好ましくは100m2/g以上である。50m2/g未満であると、充分な補強性が得られない傾向がある。また、シリカのN2SAは、好ましくは200m2/g以下、より好ましくは150m2/g以下、更に好ましくは130m2/g以下である。200m2/gを超えると、tanδが増大し、発熱性が増大してしまう傾向がある。
なお、シリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
なお、シリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上である。5質量部未満では、硬化劣化抑制効果が十分に得られないおそれがある。該シリカの含有量は、好ましくは80質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは60質量部以下であり、最も好ましくは30質量部以下である。80質量部を超えると、コストが上昇し、さらに破断強度の増加、転がり抵抗の低減効果が得られないおそれがある。
本発明のゴム組成物には、シリカとともに、シランカップリング剤を含有することが好ましい。
シランカップリング剤としては、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができ、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィドなどのスルフィド系が挙げられる。また、メルカプト系、ビニル系、グリシドキシ系、ニトロ系、クロロ系なども挙げられる。なかでも、シランカップリング剤の補強性効果と加工性という点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドを用いることが好ましい。これらのシランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤としては、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができ、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィドなどのスルフィド系が挙げられる。また、メルカプト系、ビニル系、グリシドキシ系、ニトロ系、クロロ系なども挙げられる。なかでも、シランカップリング剤の補強性効果と加工性という点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドを用いることが好ましい。これらのシランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカの含有量100質量部に対して、3質量部以上が好ましく、7質量部以上がより好ましい。3質量部未満では、破壊強度が大きく低下する傾向がある。また、該シランカップリング剤の含有量は、15質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。15質量部を超えると、シランカップリング剤を添加することによる破壊強度の増加や転がり抵抗低減などの効果が得られない傾向がある。
本発明では、下記式(I)及び/又は(II)で表される化合物が使用される。該化合物は加硫促進剤であるが、加硫ゴムの耐熱性(硬化劣化の抑制)を改善できる。
R1、R2としては、アルキル基の炭素数は1〜10、アリール基の炭素数は6〜10、アラルキル基の炭素数は7〜10が好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。R1〜R2の炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。アルキル基、アリール基、アラルキル基のなかでも、アルキル基が好ましく、該アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2である。また、R1がアルキル基、R2が水素原子であることが好ましい。この場合、硬化劣化抑制効果が良好に得られる。
上記式(I)で表される化合物の具体例としては、ビス(4−メチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(4−エチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(5−メチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(5−エチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(6−メチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(6−エチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(4,5−ジメチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(4,5−ジエチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(4−フェニルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(5−フェニルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(6−フェニルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド等が挙げられる。上記式(II)で表される化合物の具体例としては、2−メルカプト−4−メチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−4−エチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−エチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−6−メチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−6−エチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−4,5−ジメチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−4,5−ジエチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−4−フェニルベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−フェニルベンゾチアゾール、2−メルカプト−6−フェニルベンゾチアゾール等が挙げられる。なかでも、ビス(4−メチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(5−メチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、メルカプト−4−メチルベンゾチアゾール、メルカプト−5−メチルベンゾチアゾールが好ましい。また、式(I)、(II)では、式(I)で表される化合物の方が好適に用いられる。更に、上述した化合物のなかでも、式(III)で表される化合物(4m−MBTS)が特に好適に用いられる。以上の化合物を使用する場合、硬化劣化抑制効果が良好に得られる。
上記式(I)、(II)で表される化合物の合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは1.3質量部以上である。1.0質量部未満では、硬化劣化抑制効果が十分に得られないおそれがある。該合計含有量は、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下である。5.0質量部を超えると、適切な架橋密度、架橋形態を維持するのが難しくなるおそれがある。
本発明のゴム組成物は、カーボンブラックを含有することが好ましい。使用できるカーボンブラックとしては、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどが挙げられるが、特に限定されない。カーボンブラックを配合することにより、補強性を高めることができるとともに、耐熱性(特に硬化劣化抑制効果)を改善できる。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(N2SA)は60m2/g以上が好ましく、
70m2/g以上がより好ましい。60m2/g未満では、補強性および破断強度に劣る傾向がある。また、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は160m2/g以下が好ましく、150m2/g以下がより好ましい。160m2/gを超えると、発熱しやすく、損傷が発生しやすいおそれがある。
なお、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、JIS K6217のA法によって求められる。
70m2/g以上がより好ましい。60m2/g未満では、補強性および破断強度に劣る傾向がある。また、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は160m2/g以下が好ましく、150m2/g以下がより好ましい。160m2/gを超えると、発熱しやすく、損傷が発生しやすいおそれがある。
なお、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、JIS K6217のA法によって求められる。
上記ゴム組成物がカーボンブラックを含有する場合、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上である。20質量部未満では、破断強度が低下する傾向がある。また、該カーボンブラックの含有量は、好ましくは80質量部以下、より好ましくは65質量部以下である。80質量部を超えると、発熱性が増大してしまう傾向がある。
上記ゴム組成物がカーボンブラック及びシリカを含有する場合、カーボンブラック及びシリカの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上である。30質量部未満では、硬化劣化抑制効果が良好に得られないおそれがある。また、該合計含有量は、好ましくは90質量部以下、より好ましくは70質量部以下である。90質量部を超えると、フィラーの分散性が悪化するおそれがある。
本発明のゴム組成物は、酸化亜鉛を含有することが好ましい。上記ゴム組成物が酸化亜鉛を含有する場合、酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上である。1質量部未満では、加硫促進助剤としての効果が充分に得られず、加硫が不充分になるおそれがある。また、該酸化亜鉛の含有量は、好ましくは6質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。6質量部を超えると、酸化亜鉛の分散性が悪化し、充分な耐熱性が得られなくなる傾向がある。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、従来ゴム工業で使用される配合剤、例えば、クレー等の無機・有機充填剤、オイル等の軟化剤、ステアリン酸等の加硫促進助剤、各種老化防止剤、オゾン劣化防止剤、ワックス、硫黄又は硫黄化合物等の加硫剤、加硫促進剤などを必要に応じて適宜配合することができる。
本発明では、老化防止剤として、破壊特性に優れる点から、アミン系老化防止剤が好適に使用され、その使用量を増加することなく、耐熱性(特に硬化劣化抑制効果)の改善が可能である。アミン系老化防止剤としては、例えば、ジフェニルアミン系、p−フェニレンジアミン系などのアミン誘導体が挙げられる。ジフェニルアミン系誘導体としては、例えば、p−(p−トルエンスルホニルアミド)−ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミンなどが挙げられる。p−フェニレンジアミン系誘導体としては、例えば、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(IPPD)、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
アミン系老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1.3質量部以上である。1質量部未満であると、破壊特性を向上できないおそれがある。また、該含有量は、好ましくは6質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。6質量部を超えると、ブルームが表面に発生するおそれがある。
本発明では、加硫剤として硫黄を好適に使用できる。硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などが挙げられる。
硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。0.5質量部未満では、効果が少ないおそれがある。また、該含有量は、好ましくは6質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。6質量部を超えると、硬化劣化抑制効果が十分に得られないおそれがある。
硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。0.5質量部未満では、効果が少ないおそれがある。また、該含有量は、好ましくは6質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。6質量部を超えると、硬化劣化抑制効果が十分に得られないおそれがある。
本発明では、上記式(I)、(II)で表される化合物とともに、他の加硫促進剤を配合してもよく、この場合でも、硬化劣化抑制効果を好適に得ることができる。
他の加硫促進剤としては、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DZ)、メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアゾリルジスルフィド(MBTS)、ジフェニルグアニジン(DPG)などが挙げられ、例えば、ゴム成分100質量部に対して、DPGを0.1〜2.0質量部配合してもよい。
他の加硫促進剤としては、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DZ)、メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアゾリルジスルフィド(MBTS)、ジフェニルグアニジン(DPG)などが挙げられ、例えば、ゴム成分100質量部に対して、DPGを0.1〜2.0質量部配合してもよい。
本発明のゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで前記各成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。
本発明のブレーカートッピング用ゴム組成物は、トレッドの内部で、かつカーカスの半径方向外側に配されるブレーカーに使用される。具体的には、特開2003−94918号公報の図3、特開2004−67027号公報の図1、特開平4−356205号公報の図1〜4に示されるブレーカーに使用される。また、本発明のベーストレッド用ゴム組成物は、ベーストレッドに使用される。ベーストレッドとは、多層構造を有するトレッドの内層部であり、例えば2層構造〔表面層(キャップトレッド)及び内面層(ベーストレッド)〕からなるトレッドでは内面層である。
本発明の空気入りタイヤ(特に、トラック・バス用タイヤ)は、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造できる。すなわち、ゴム組成物を未加硫の段階でブレーカートッピング及び/又はベーストレッドの形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:RSS#3
BR:宇部興産(株)製のBR150B
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のN220(N2SA:111m2/g)
シリカ:ローディアジャパン(株)製のシリカ115Gr(N2SA:110m2/g)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi266(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華2種
ステアリン酸:日油(株)製の「椿」
老化防止剤:FLEXSYS(株)製の老化防止剤6C(SANTOFLEX、6PPD)
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーDM(ジベンゾチアゾリルジスルフィド)
加硫促進剤3:NOCIL社製のビス(4−メチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド(式(III))
加硫促進剤4:住友化学工業(株)製のソクシノールD(ジフェニルグアニジン)
NR:RSS#3
BR:宇部興産(株)製のBR150B
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のN220(N2SA:111m2/g)
シリカ:ローディアジャパン(株)製のシリカ115Gr(N2SA:110m2/g)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi266(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華2種
ステアリン酸:日油(株)製の「椿」
老化防止剤:FLEXSYS(株)製の老化防止剤6C(SANTOFLEX、6PPD)
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーDM(ジベンゾチアゾリルジスルフィド)
加硫促進剤3:NOCIL社製のビス(4−メチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド(式(III))
加硫促進剤4:住友化学工業(株)製のソクシノールD(ジフェニルグアニジン)
実施例1〜6及び比較例1〜14
表1、2に示す配合内容に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で3分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を150℃で30分間、2mm厚の金型でプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。得られた加硫ゴム組成物を新品サンプルとした。
表1、2に示す配合内容に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で3分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を150℃で30分間、2mm厚の金型でプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。得られた加硫ゴム組成物を新品サンプルとした。
(劣化条件)
上記にて作製した新品サンプルを100℃のオーブンで7日間熱劣化させた。得られたものを劣化サンプルとした。
上記にて作製した新品サンプルを100℃のオーブンで7日間熱劣化させた。得られたものを劣化サンプルとした。
得られた新品サンプル、劣化サンプルを使用して、下記の評価を行った。それぞれの試験結果を表1、2に示す。表では、新品サンプルを100としたときの劣化サンプルの値を指数化して示しており、100に近いほど新品に比べて硬化劣化が硬度、膨潤率、M100で少なく、良好であることを示す。
<硬度>
作製したサンプルを用いてゴムの硬度をJIS K6253に準拠し、25℃の温度で硬度計を用いて測定した(ショア−A測定)。数値が大きいほど硬いことを示す。
作製したサンプルを用いてゴムの硬度をJIS K6253に準拠し、25℃の温度で硬度計を用いて測定した(ショア−A測定)。数値が大きいほど硬いことを示す。
<膨潤率>
作製したサンプルの浸漬試験をJIS K6258に準拠して実施し、40℃のトルエンに24時間浸漬し、膨潤させた後のサンプルの体積を測定し、体積変化より算出した。数値が小さいほど架橋密度が高いことを示す。
作製したサンプルの浸漬試験をJIS K6258に準拠して実施し、40℃のトルエンに24時間浸漬し、膨潤させた後のサンプルの体積を測定し、体積変化より算出した。数値が小さいほど架橋密度が高いことを示す。
<100%伸張時の応力(M100)>
作製したサンプルからなる3号ダンベル型試験片を用いて、JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準拠し、引張り速度500mm/分で引張試験を実施した。23℃における100%伸張時の応力(M100(MPa))を測定した。数値の大きい方が弾性率が高く硬いことを示す。また、M100は架橋密度の指標にもなる。
作製したサンプルからなる3号ダンベル型試験片を用いて、JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準拠し、引張り速度500mm/分で引張試験を実施した。23℃における100%伸張時の応力(M100(MPa))を測定した。数値の大きい方が弾性率が高く硬いことを示す。また、M100は架橋密度の指標にもなる。
表1により、NR100%にシリカ、4m−MBTSを配合したゴムにおいて、TBBSやMBTSなどの従来の促進剤を配合したゴムに比べ、硬化劣化の抑制効果(硬度、膨潤率、M100)を改善することができた。また、シリカを配合しなかった比較例5〜7では、硬化劣化の抑制効果(硬度、膨潤率、M100)が実施例に比べて劣っていた。
表2により、NRとBRを含むゴム成分にシリカ、4m−MBTSを配合したゴムにおいて、TBBSやMBTSなどの従来の促進剤を配合したゴムに比べ、硬化劣化の抑制効果(硬度、膨潤率、M100)を改善することができた。また、シリカを配合しなかった比較例12〜14では、硬化劣化の抑制効果(硬度、膨潤率、M100)が実施例に比べて劣っていた。
Claims (7)
- 前記ゴム成分がブタジエンゴムを含む請求項1記載のブレーカートッピング又はベーストレッド用ゴム組成物。
- 前記イソプレン系ゴムがイソプレンゴム、天然ゴム及び改質天然ゴムからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は2記載のブレーカートッピング又はベーストレッド用ゴム組成物。
- 前記ゴム成分100質量部に対して、カーボンブラック20〜80質量部を含む請求項1〜4のいずれかに記載のブレーカートッピング又はベーストレッド用ゴム組成物。
- 更に酸化亜鉛1〜6質量部を含む請求項1〜5のいずれかに記載のブレーカートッピング又はベーストレッド用ゴム組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製したブレーカートッピング又はベーストレッドを有するトラック・バス用タイヤ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009140486A JP2010285547A (ja) | 2009-06-11 | 2009-06-11 | ブレーカートッピング又はベーストレッド用ゴム組成物並びに空気入りタイヤ |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021261481A1 (ja) * | 2020-06-23 | 2021-12-30 | 横浜ゴム株式会社 | 空気入りタイヤ |
-
2009
- 2009-06-11 JP JP2009140486A patent/JP2010285547A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2021261481A1 (ja) * | 2020-06-23 | 2021-12-30 | 横浜ゴム株式会社 | 空気入りタイヤ |
JP2022002919A (ja) * | 2020-06-23 | 2022-01-11 | 横浜ゴム株式会社 | 空気入りタイヤ |
JP6996592B2 (ja) | 2020-06-23 | 2022-01-17 | 横浜ゴム株式会社 | 空気入りタイヤ |
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