JP2010285084A - 二輪車用タイヤ - Google Patents

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JP2010285084A JP2009140595A JP2009140595A JP2010285084A JP 2010285084 A JP2010285084 A JP 2010285084A JP 2009140595 A JP2009140595 A JP 2009140595A JP 2009140595 A JP2009140595 A JP 2009140595A JP 2010285084 A JP2010285084 A JP 2010285084A
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Abstract

【課題】老化防止剤を増量することなく、耐熱性を高め、特にゴムの硬化劣化を抑制して、長寿命化した二輪車用タイヤを提供する。
【解決手段】トレッド部2がタイヤ幅方向に配された複数の分割トレッド部材により構成され、分割トレッド部材が、ジエン系ゴム成分と、シリカと、下記式(I)及び/又は(II)で表される化合物とを含有するゴム組成物から得られた二輪車用タイヤ。
Figure 2010285084

【選択図】図1

Description

本発明は、二輪車用タイヤに関する。
従来からタイヤ等に用いられるゴム組成物には、ゴム組成物の耐熱性を高めるために老化防止剤が広く使用されている。老化防止剤としては、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD)やN−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(IPPD)等のアミン系老化防止剤が汎用的に用いられている。
近年、二輪車用タイヤ(MC)では、タイヤ幅方向に異種ゴムを用いたトレッド(分割トレッド)が使用され、トレッドのセンター部に耐摩耗性の良いゴムを、トレッドのショルダー部にグリップ性の良いゴムを用いることでこれらの性能を両立させている(例えば、特許文献1)。この分割トレッド(マルチプルトレッド)の採用に伴い、タイヤの寿命が延びることとなり、経年による劣化を抑える必要が生じ、ゴム組成物の耐熱性向上の要求は更に高まり、更なる長寿命化が求められている。
老化防止剤の増量によって長寿命化は達成できるが、6PPDやIPPDのタイヤ表面への析出により表面が茶変色し、タイヤの外観不良を引き起こす等の問題がある。従って、老化防止剤を増量させることなく、耐熱性を向上し、長寿命化できるゴム組成物の提供が望まれている。
特許文献2には、ジエン系ゴムに、老化防止剤としてのN−(1−メチルヘプチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、及びワックスを配合したゴム組成物が開示されている。しかし、耐熱性の改善の点では未だ改善の余地を残すものである。
特開2009−46058号公報 特開平10−324779号公報
本発明は、前記課題を解決し、老化防止剤を増量することなく、耐熱性を高め、特にゴムの硬化劣化を抑制して、長寿命化した二輪車用タイヤを提供することを目的とする。
本発明は、トレッド部がタイヤ幅方向に配された複数の分割トレッド部材により構成され、該分割トレッド部材の少なくとも1つが、
ジエン系ゴム成分と、シリカと、下記式(I)及び/又は(II)で表される化合物とを含有するゴム組成物から得られた二輪車用タイヤに関する。
Figure 2010285084
(式(I)、(II)において、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。但し、R及びRが同時に水素原子である場合を除く。)
上記ゴム組成物のtanδが0.06〜0.25であることが好ましい。
上記ゴム組成物から得られる分割トレッド部材が上記トレッド部のセンター部に位置することが好ましい。
センター部に位置する分割トレッド部材に用いられるゴム組成物のtanδが、ショルダー部に位置する分割トレッド部材に用いられるゴム組成物のtanδよりも小さいことが好ましい。
また、上記ゴム組成物が、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、酸化亜鉛を1〜6質量部含有することが好ましい。
本発明によれば、二輪車用タイヤのトレッド部を構成する複数の分割トレッド部材のうち、少なくとも1つの分割トレッド部材に、ジエン系ゴム成分に、シリカ、上記式(I)及び/又は(II)で表される化合物を配合したゴム組成物から得られたゴムを用いているので、6PPD等の老化防止剤を増量することなく、該分割トレッド部材の耐熱性を改善でき、特にゴムの硬化劣化を抑制して、長寿命化した二輪車用タイヤを提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る自動二輪車用タイヤのタイヤ回転軸を含むタイヤ子午線断面図である。
本発明の二輪車用タイヤは、トレッド部がタイヤ幅方向に配された複数の分割トレッド部材により構成され、該分割トレッド部材の少なくとも1つが、ジエン系ゴム成分と、シリカと、上記式(I)及び/又は(II)で表される化合物とを含有するゴム組成物から得られた分割トレッド部材である。
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム成分と、シリカと、上記式(I)及び/又は(II)で表される化合物を含む。ゴム成分としてジエン系ゴムを使用するとともに、更にシリカ及び上記式(I)、(II)で表される化合物を配合することにより、耐熱性を改善でき、特にゴムの硬化劣化の抑制が可能となる。
ここで、ゴムの硬化劣化とは、劣化因子として酸素が存在する条件下で熱が加わったときに、ゴムが初期状態に比べ硬くなる劣化現象のことであり、本発明では、このような劣化を効果的に抑制できる。このような硬化劣化抑制効果は、いわゆる耐熱疲労性(ブローやチャンクの発生の防止)、耐熱ダレ性とは異質の効果である。従って、本発明のゴム組成物を用いることにより、老化防止剤を増量することなく、ゴムの耐熱性(特に、硬化劣化抑制効果)を改善できるため、分割トレッド部材に好適に使用でき、二輪車用タイヤの長寿命化が可能となる。
本発明では、ゴム成分としてジエン系ゴムが使用される。ジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも操安性能とグリップ性能(DRY路面)に優れているという理由から、SBRを使用することが好ましい。SBRとしては、溶液重合法で得られたもの、乳化重合法で得られたものが挙げられ、特に制限はない。
SBRのスチレン量は、好ましくは23.5質量%以上、より好ましくは35質量%以上、更に好ましくは38質量%以上である。23.5質量%未満では、操安性能とグリップ性能(DRY路面)が充分に得られないおそれがある。また、SBRのスチレン量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下である。50質量%を超えると、ガラス温度が高くなり、低温特性が低下するおそれがある。
本発明ではシリカが使用される。これにより、耐熱性(特に硬化劣化抑制効果)を改善できる。シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(無水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。シリカは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは80m/g以上、更に好ましくは100m/g以上である。50m/g未満であると、操安性能、グリップ性能(DRY路面)、耐摩耗性能を充分に得ることができないおそれがある。また、シリカのNSAは、好ましくは190m/g以下、より好ましくは150m/g以下、更に好ましくは130m/g以下である。190m/gを超えると、加工性が低下したり、シリカの分散性が低下するおそれがある。
なお、シリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
シリカの含有量は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは40質量部以上、更に好ましく55質量部以上である。20質量部未満では、硬化劣化抑制効果が十分に得られないおそれがある。該シリカの含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは90質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。
本発明のゴム組成物には、シリカとともに、シランカップリング剤を含有することが好ましい。
シランカップリング剤としては、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができ、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィドなどのスルフィド系が挙げられる。また、メルカプト系、ビニル系、グリシドキシ系、ニトロ系、クロロ系なども挙げられる。なかでも、シランカップリング剤の補強性効果と加工性という点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドを用いることが好ましい。これらのシランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカの含有量100質量部に対して、3質量部以上が好ましく、7質量部以上がより好ましい。3質量部未満では、破壊強度が大きく低下する傾向がある。また、該シランカップリング剤の含有量は、15質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。15質量部を超えると、残存するシランカップリング剤の量が多くなり、ゴム中から遊離し、金属密着トラブル等、加工性に問題が生じるおそれがある。
本発明では、下記式(I)及び/又は(II)で表される化合物が使用される。該化合物は加硫促進剤であるが、加硫ゴムの耐熱性(硬化劣化の抑制)を改善できる。
Figure 2010285084
(式(I)、(II)において、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。但し、R及びRが同時に水素原子である場合を除く(即ち、同一の環に結合しているR及びRがともに水素原子である化合物を除く)。)
、Rとしては、アルキル基の炭素数は1〜10、アリール基の炭素数は6〜10、アラルキル基の炭素数は7〜10が好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。R〜Rの炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。アルキル基、アリール基、アラルキル基のなかでも、アルキル基が好ましく、該アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2である。また、Rがアルキル基、Rが水素原子であることが好ましい。この場合、硬化劣化抑制効果が良好に得られる。
上記式(I)で表される化合物の具体例としては、ビス(4−メチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(4−エチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(5−メチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(5−エチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(6−メチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(6−エチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(4,5−ジメチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(4,5−ジエチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(4−フェニルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(5−フェニルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(6−フェニルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド等が挙げられる。上記式(II)で表される化合物の具体例としては、2−メルカプト−4−メチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−4−エチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−エチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−6−メチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−6−エチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−4,5−ジメチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−4,5−ジエチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−4−フェニルベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−フェニルベンゾチアゾール、2−メルカプト−6−フェニルベンゾチアゾール等が挙げられる。なかでも、ビス(4−メチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、ビス(5−メチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド、メルカプト−4−メチルベンゾチアゾール、メルカプト−5−メチルベンゾチアゾールが好ましい。また、式(I)、(II)では、式(I)で表される化合物の方が好適に用いられる。更に、上述した化合物のなかでも、式(III)で表される化合物(4m−MBTS)が特に好適に用いられる。以上の化合物を使用する場合、硬化劣化抑制効果が良好に得られる。
Figure 2010285084
式(I)、(II)で表される化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。該化合物の市販品として、例えば、NOCIL社の製品を使用することができる。
上記式(I)、(II)で表される化合物の合計含有量は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは1.3質量部以上である。1.0質量部未満では、硬化劣化抑制効果が十分に得られないおそれがある。該合計含有量は、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下である。5.0質量部を超えると、適切な架橋密度、架橋形態を維持するのが難しくなるおそれがある。
本発明のゴム組成物は、酸化亜鉛を含有することが好ましい。酸化亜鉛の含有量は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上である。1質量部未満では、硬化劣化抑制効果が十分に得られないおそれがある。該酸化亜鉛の含有量は、好ましくは6質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下である。6質量部を超えると、ゴムに亀裂が生じる際の破壊核となり、ゴム強度を低下させる可能性がある。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、従来ゴム工業で使用される配合剤、例えば、カーボンブラック等の充填剤、ステアリン酸、各種老化防止剤、ワックス、硫黄又は硫黄化合物等の加硫剤、加硫促進剤などを必要に応じて適宜配合することができる。
使用できるカーボンブラックとしては、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどが挙げられるが、特に限定されない。カーボンブラックを配合することにより、補強性を高めることができる。
カーボンブラック及びシリカを配合する場合、カーボンブラック及びシリカの合計含有量は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは50質量部以上である。30質量部未満では、硬化劣化抑制効果が良好に得られないおそれがある。また、該合計含有量は、好ましくは90質量部以下、より好ましくは80質量部以下である。90質量部を超えると、フィラーの分散性が悪化するおそれがある。
本発明では、老化防止剤として、破壊特性に優れる点から、アミン系老化防止剤が好適に使用され、その使用量を増加することなく、耐熱性(特に硬化劣化抑制効果)の改善が可能である。アミン系老化防止剤としては、例えば、ジフェニルアミン系、p−フェニレンジアミン系などのアミン誘導体が挙げられる。ジフェニルアミン系誘導体としては、例えば、p−(p−トルエンスルホニルアミド)−ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミンなどが挙げられる。p−フェニレンジアミン系誘導体としては、例えば、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(IPPD)、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
アミン系老化防止剤の含有量は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上である。1質量部未満であると、破壊特性を向上できないおそれがある。また、該含有量は、好ましくは6質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。6質量部を超えると、ブルームが表面に発生するおそれがある。
本発明では、加硫剤として硫黄を好適に使用できる。硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などが挙げられる。
硫黄の含有量は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上である。1質量部未満では、効果が少ないおそれがある。また、該含有量は、好ましくは6質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。6質量部を超えると、硬化劣化抑制効果が十分に得られないおそれがある。
本発明では、上記式(I)、(II)で表される化合物とともに、他の加硫促進剤を配合してもよく、この場合でも、硬化劣化抑制効果を好適に得ることができる。
他の加硫促進剤としては、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DZ)、メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアゾリルジスルフィド(MBTS)、ジフェニルグアニジン(DPG)などが挙げられ、例えば、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、DPGを0.1〜2.0質量部配合してもよい。
本発明のゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで前記各成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。本発明のゴム組成物は、二輪車用タイヤのトレッドとして用いられる。
本発明のゴム組成物(加硫後)のtanδは、好ましくは0.06以上、より好ましくは0.10以上である。0.06未満であると、操安性能およびグリップ性能が低下するおそれがある。本発明のゴム組成物(加硫後)のtanδは、好ましくは0.25以下、より好ましくは0.22以下である。0.25を超えると、発熱による性能劣化(熱タレ)が大きくなり、操安性能に影響を与えるおそれがある。
なお、tanδは、(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪10%、動歪0.5%、周波数10Hz、50℃の条件下で測定した。
本発明の二輪車用タイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤのトレッド(分割トレッド)の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧して二輪車用タイヤを製造できる。また、ストリップを巻きつけて作製するSTW工法により二輪車用タイヤを製造してもよい。
本発明の二輪車用タイヤは、自動二輪車用タイヤ等として好適に用いられる。
以下、本発明の一実施形態として、本発明のゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する自動二輪車用タイヤについて図面に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る自動二輪車用タイヤのタイヤ回転軸を含むタイヤ子午線断面図である。
自動二輪車用タイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2の内部に配されたベルト層7とを備える。
前記断面において、トレッド部2の路面と設置するトレッド面2Aは、タイヤ半径方向外側に凸で円弧状に湾曲してのびている。また、トレッド面2Aのタイヤ軸方向の外端であるトレッド縁2eは、最もタイヤ軸方向外側に位置している。
トレッド部2には、ベルト層7の半径方向外側にトレッドゴム9が配される。該トレッドゴム9は、本実施形態では、ベルト層7の外面からトレッド面2Aまでを構成している。また、本実施形態のトレッドゴム9では、タイヤ幅方向に配された複数の分割トレッド部材により構成されたトレッド部が示され、ここでは、配合が異なる2種類のゴム組成物により作製された各分割トレッド部材で構成されている。具体的にはタイヤ赤道Cを中心とするセンター部9Aと、センター部9Aに隣接し、トレッド縁2eまで延びる一対のショルダー部9Bとから構成される。すなわち、タイヤ赤道C付近からタイヤ幅方向両側に向かって、センター部9A、ショルダー部9Bの2種類のゴムが並んで配されている。なお、各ゴム部9A、9Bは、トレッド面2Aに立てた法線12によって区分けされているが、例えば、トレッド面2Aからベルト層7に向かって、タイヤ軸方向外側又は内側に傾斜する境界線で区分されたものでもよい。
本実施形態では、トレッドゴム9のセンター部9A、ショルダー部9Bのいずれにも本発明のゴム組成物を用いることができる。なかでも、ショルダー部9Bのtanδを大きくすると、グリップ性能が良好となるが、発熱が大きくなり、性能が劣化しやすいが、性能の劣化を好適に抑制できる点から、少なくともショルダー部9Bに本発明のゴム組成物を用いることが好ましい。また、同様の理由からトレッドゴム9を構成する全ての分割トレッド部材(本実施形態では、センター部9A、及びショルダー部9B)に本発明のゴム組成物を用いることがより好ましい。
ショルダー部に、性能目標を得るために硬化劣化しやすいゴムを配置することが多いため、センター部に用いられるゴム組成物よりも、ショルダー部に用いられるゴム組成物に、より多くの上記式(I)、(II)で表される化合物を含有させることが好ましい。すなわち、以下の関係を満たすことが好ましい。
センター部に用いられるゴム組成物に含まれる上記式(I)、(II)で表される化合物量<ショルダー部に用いられるゴム組成物に含まれる上記式(I)、(II)で表される化合物量
本実施形態では、トレッドゴム9が2種類のゴム組成物から構成される場合について説明したが、トレッドゴムを構成するゴムの種類の数は、特に限定されず、例えば3種類であってもよいし、5種類であってもよい。
センター部9Aに位置する分割トレッド部材に用いられるゴム組成物のtanδが、ショルダー部9Bに位置する分割トレッド部材に用いられるゴム組成物のtanδよりも小さいことが好ましい。さらに、センター部9Aに位置する分割トレッド部材に用いられるゴム組成物の硬度が、ショルダー部9Bに位置する分割トレッド部材に用いられるゴム組成物の硬度以上であることが好ましい。このように構成することにより、センター部9Aに位置する分割トレッド部材は、ショルダー部9Bに位置する分割トレッド部材より、直進安定性及び耐摩耗性に優れる。また、ショルダー部9Bに位置する分割トレッド部材は、センター部9Aに位置する分割トレッド部材より、旋回安定性及び旋回性能に優れる。なお、tanδは、上記方法により測定した値であり、硬度は、JIS K6253に準拠して、50℃の条件下で測定した値である。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
SBR:日本ゼオン(株)製のニッポール9521(スチレン量45質量%)
シリカ:ローディアジャパン(株)製のシリカ115Gr(NSA:110m/g)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi266(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のN110(NSA:142m/g)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華2種
ステアリン酸:日油(株)製の「椿」
老化防止剤:FLEXSYS(株)製の老化防止剤6C(SANTOFLEX、6PPD)
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:NOCIL社製のビス(4−メチルベンゾチアゾリル−2)−ジスルフィド(式(III))
加硫促進剤3:住友化学工業(株)製のソクシノールD(ジフェニルグアニジン)
実施例1〜4及び比較例1〜2
表1に示す配合内容に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で3分間練り込み、未加硫ゴム組成物A〜Fを得た。得られた未加硫ゴム組成物A〜Fを170℃で10〜20分間、2.0mm厚の金型でプレス加硫し、加硫ゴム組成物A〜Fを得た。得られた加硫ゴム組成物A〜Fを新品サンプルとした。
(劣化条件)
上記にて作製した新品サンプルを100℃のオーブンで7日間熱劣化させた。得られたものを劣化サンプルとした。
得られた新品サンプル、劣化サンプルを使用して、下記の評価を行った。それぞれの試験結果を表1に示す。表では、新品サンプルを100としたときの劣化サンプルの値を指数化して示しており、100に近いほど新品に比べて硬化劣化が硬度、膨潤率、M100で少なく、良好であることを示す。
<硬度>
作製したサンプルを用いてゴムの硬度をJIS K6253に準拠し、25℃の温度で硬度計を用いて測定した(ショア−A測定)。数値が大きいほど硬いことを示す。
<膨潤率>
作製したサンプルの浸漬試験をJIS K6258に準拠して実施し、40℃のトルエンに24時間浸漬し、膨潤させた後のサンプルの体積を測定し、体積変化より算出した。数値が小さいほど架橋密度が高いことを示す。
<100%伸張時の応力(M100)>
作製したサンプルからなる3号ダンベル型試験片を用いて、JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準拠し、引張り速度500mm/分で引張試験を実施した。23℃における100%伸張時の応力(M100(MPa))を測定した。数値の大きい方が弾性率が高く硬いことを示す。また、M100は架橋密度の指標にもなる。
<tanδ>
前述のtanδの測定方法を用いて、加硫ゴム組成物A〜Fのtanδを測定した。
実施例5〜7及び比較例3〜4
未加硫ゴム組成物A〜Fを、表2に示す組み合わせとなるように、タイヤのトレッド(センター部又はショルダー部)の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成した。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧して二輪車用試験タイヤを製造した。
得られた二輪車用試験タイヤを使用して、下記の評価を行った。それぞれの試験結果を表2に示す。
(サイドグリップ性能)
得られた試験タイヤを排気量600ccの自動二輪車の全輪に装着し(リムサイズ:6.25×17、内圧290kPa)、テストコースを100km/hの速度で実車走行(旋回走行)し、ドライバーの官能評価によりサイドグリップ性能を評価した。評価は5点を満点とし、比較例4を3.5点として相対評価を行なった。評点が大きいほどサイドグリップ性能が良好である。
また、500km走行後の試験タイヤを用いて同様の試験を行い、劣化後のサイドグリップ性能とした。
Figure 2010285084
Figure 2010285084
表1により、シリカ、SBRに4m−MBTSを配合したゴムにおいて、NSなどの従来の促進剤を配合したゴムに比べ、硬化劣化の抑制効果を改善することができた。
また、SBR100質量部に4m−MBTSを配合したゴムにおいて、シリカ/カーボンブラックを60/0,50/10,30/30と変化させ、フィラー効果を調べると、シリカ量が多い系において、硬化劣化の改善は有意に大きかった。
表2により、シリカ、SBRに4m−MBTSを配合したゴムをセンター部およびショルダー部に用いた実施例では、シリカ、SBRにNSを配合したゴムをセンター部およびショルダー部に用いた比較例に比べて、500km走行後(硬化劣化後)のサイドグリップ性能に優れていた。また、センター部に用いられるゴム組成物に含まれる4m−MBTS量<ショルダー部に用いられるゴム組成物に含まれる4m−MBTS量を満たす実施例7は、サイドグリップ性能が最も優れていた。
1 自動二輪車用タイヤ
2 トレッド部
2A トレッド面
2e トレッド縁
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
7 ベルト層
8 ビードエイペックス
9 トレッドゴム
9A センター部
9B ショルダー部

Claims (5)

  1. トレッド部がタイヤ幅方向に配された複数の分割トレッド部材により構成され、該分割トレッド部材の少なくとも1つが、
    ジエン系ゴム成分と、シリカと、下記式(I)及び/又は(II)で表される化合物とを含有するゴム組成物から得られた二輪車用タイヤ。
    Figure 2010285084
    (式(I)、(II)において、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。但し、R及びRが同時に水素原子である場合を除く。)
  2. 前記ゴム組成物のtanδが0.06〜0.25である請求項1に記載の二輪車用タイヤ。
  3. 前記ゴム組成物から得られる分割トレッド部材が前記トレッド部のセンター部に位置する請求項1又は2記載の二輪車用タイヤ。
  4. センター部に位置する分割トレッド部材に用いられるゴム組成物のtanδが、ショルダー部に位置する分割トレッド部材に用いられるゴム組成物のtanδよりも小さい請求項1〜3のいずれかに記載の二輪車用タイヤ。
  5. 前記ゴム組成物が、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、酸化亜鉛を1〜6質量部含有する請求項1〜4のいずれかに記載の二輪車用タイヤ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016222060A (ja) * 2015-05-28 2016-12-28 住友ゴム工業株式会社 二輪自動車用タイヤ
JP2017081429A (ja) * 2015-10-28 2017-05-18 株式会社ブリヂストン 自動二輪車用空気入りラジアルタイヤ

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