JP2008297457A - ランフラットタイヤのサイドウォール補強層用ゴム組成物 - Google Patents

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【課題】本発明は、発熱性が抑えられ、ランフラット走行性、すなわち、タイヤパンク時の走行距離を向上させるランフラットタイヤのサイドウォール補強層用ゴム組成物ならびにそれを用いたサイドウォール補強層を有するランフラットタイヤを提供することを目的とする。
【解決手段】ゴム成分およびシリコーンゴム粉末を含有するランフラットタイヤのサイドウォール補強層用ゴム組成物およびそれを用いたサイドウォール補強層を有するランフラットタイヤ。
【選択図】なし

Description

本発明は、ランフラットタイヤのサイドウォール補強層用ゴム組成物およびそれを用いたサイドウォール補強層を有するランフラットタイヤに関する。
タイヤパンク時でも安全走行を可能とするランフラットタイヤは、サイドウォール部とカーカスの間に配置されているサイドウォール補強層(ライニングストリップ層)に弾性率の高い高補強ゴム層を設置し、タイヤの剛性を維持して長距離走行を可能にしている。このタイヤの剛性を上げるために、サイドウォール補強層用ゴム組成物のモジュラスをより高くしたり、サイドウォール補強層のゴム量を増加する(ゲージアップ)必要がある。
サイドウォール補強層用ゴム組成物に高補強性のカーボンブラックを使用したり、カーボンブラックの配合量を増やしたりすることによってモジュラスがあがり、変形の歪が抑えられたり、ゴムの補強性を向上させることができる。しかし、これらの手法は同時にゴムの発熱性を高め、熱によるゴム劣化をさらに促進してしまう。
サイドウォール補強層用ゴム組成物を高補強性にすることにより、ランフラット走行性能、例えば、タイヤパンク時の走行距離の向上などが期待できるが、特に熱によるゴム劣化を抑えなければランフラット走行性能向上は達成できない。
特許文献1には、シンジオタクチック結晶を含むブタジエンゴムとシリカを適量配合したタイヤサイド部補強用ゴム組成物が記載されている。しかし、特許文献1に記載のゴム組成物は、ゴムの補強性は向上しているが、発熱性については改善の余地があった。
特開2005−75952号公報
本発明は、発熱性が抑えられ、ランフラット走行性、すなわち、タイヤパンク時の走行距離を向上させたランフラットタイヤのサイドウォール補強層用ゴム組成物ならびにそれを用いたサイドウォール補強層を有するランフラットタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、ゴム成分およびシリコーンゴム粉末を含有するランフラットタイヤのサイドウォール補強層用ゴム組成物に関する。
前記ランフラットタイヤのサイドウォール補強層用ゴム組成物が、ゴム成分100重量部に対してシリコーンゴム粉末を5〜40重量部含有することが好ましい。
前記ゴム成分が天然ゴムおよび/またはイソプレンゴムを20〜80重量%、ならびに1,2−シンジオタクチック結晶を含むブタジエンゴムを20〜80重量%含むことが好ましい。
前記ランフラットタイヤのサイドウォール補強層用ゴム組成物が、さらに、ゴム成分100重量部に対してシリカ10〜30重量部、シリカ100重量部に対してシランカップリング剤を4〜12重量部含有することが好ましい。
また、本発明は前記ランフラットタイヤのサイドウォール補強層用ゴム組成物を用いたサイドウォール補強層を有するランフラットタイヤに関する。
本発明によれば、サイドウォール補強層用ゴム組成物に充填剤としてシリコーンゴム粉末を含有させることにより、発熱性が抑えられ優れたランフラット走行性能を示すランフラットタイヤのサイドウォール補強層用ゴム組成物ならびにそれを用いたサイドウォール補強層を有するランフラットタイヤを提供することができる。
本発明のランフラットタイヤのサイドウォール補強層用ゴム組成物は、ゴム成分およびシリコーンゴム粉末を含有する。
前記ゴム成分は、ジエン系ゴム、たとえば、加工性が良好な点から、天然ゴムおよび/またはイソプレンゴムを20重量%以上含有することが好ましい。また、ゴム成分は、耐屈曲亀裂性が良好な点から、天然ゴムおよび/またはイソプレンゴムを80重量%以下含有することが好ましく、50重量%以下含有することがより好ましく、40重量%以下含有することが特に好ましい。
さらに、前記ゴム成分は、1,2−シンジオタクチック結晶を含むブタジエンゴムを含有することが好ましい。1,2−シンジオタクチック結晶を含むブタジエンゴムを含有する本発明のランフラットタイヤのサイドウォール補強層用ゴム組成物を、ランフラットタイヤのサイドウォール補強層に用いると、ランフラット走行時の耐久性が向上する。
前記ブタジエンゴムの1,2−シンジオタクチック結晶含有量は、1重量%以上であることが剛性を向上させる効果が良好な点から好ましく、5重量%以上であることがより好ましい。また、ブタジエンゴムの1,2−シンジオタクチック結晶含有量は、25重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましい。ブタジエンゴムの1,2−シンジオタクチック結晶含有量が25重量%をこえるとシンジオタクチック成分がポリブタジエン中で凝集塊をつくるため、耐久性が低下してしまうことがある。このような1,2−シンジオタクチック結晶を含むポリブタジエンとしては、宇部興産(株)製のVCR−303、412、617などが入手可能である。
前記ブタジエンゴムの含有量は、ランフラット走行性能が良好な点から、ゴム成分中に20重量%以上であることが好ましく、30重量%以上であることがより好ましく、40重量%以上であることが特に好ましい。また、前記ブタジエンゴムの含有量は、良好な加工性を維持する点から、ゴム成分中に80重量%以下であることが好ましく、70重量%以下であることがより好ましい。
前記ゴム成分は、そのほかにも、1,2−シンジオタクチック結晶を含まないブタジエンゴムなどを0〜50重量%、より好ましくは0〜40重量%含有してもよい。
本発明は、シリコーンゴムの粉末を用いることで、ゴム中に容易に混練りすることが可能であり、ゴム組成物の発熱性をより抑えることができる。
前記シリコーンゴム粉末の平均粒子径は、充分な補強性が得られ、分散性に優れるという点から、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。
前記シリコーンゴム粉末の含有量は、充分な補強性が得られるという点から、ゴム成分100重量部に対して40重量部以下であることが好ましく、35重量部以下であることがより好ましい。また、シリコーンゴム粉末の含有量は、低発熱性に優れるという点から、ゴム成分100重量部に対して5重量部以上が好ましく、10重量部以上がより好ましい。
また、本発明ではランフラット走行性能をさらに向上させるために、シリカを配合することが好ましい。シリカの含有量は、ランフラット走行性能が良好であることから、ゴム成分100重量部に対して10重量部以上が好ましく、15重量部以上であることがより好ましい。また、シリカの含有量は、混練り加工性を良好に維持することができるという点から、ゴム成分100重量部に対して30重量部以下が好ましく、25重量部以下がより好ましい。
シリカとしては、チッ素吸着比表面積(N2SA)が50m2/g以上のものが補強性を向上させる点から好ましく、100m2/g以上のものがより好ましい。また、シリカはチッ素吸着比表面積(N2SA)が300m2/g以下のものが良好な分散、そして良好な加工性を維持する点から好ましく、250m2/g以下がより好ましい。
また、本発明のランフラットタイヤのサイドウォール補強層用ゴム組成物において、シリカの効果を充分引き出すために、シリカに対してシランカップリング剤を配合することが好ましい。前記シランカップリング剤としては、例えば、ビス−(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィドなどがあげられる。
シランカップリング剤の含有量は、シリカの分散性を高め、良好な加工性を維持する点から、前記シリカ100重量部に対して4重量部であることが好ましく、5重量部であることがより好ましい。また、シランカップリング剤の含有量は、コストの面から、前記シリカ100重量部に対して12重量部以下であることが好ましく、10重量部以下であることがより好ましい。
また、本発明のランフラットタイヤは、加工性および補強性に優れ、低コストであるという点から、シリカとともにカーボンブラックを含有してもよい。
カーボンブラックの含有量は、加工性に優れ、低コストであるという点から、ゴム成分100重量部に対して20重量部以上が好ましく、40重量部以上がより好ましい。また、カーボンブラックの含有量は、発熱性が上がる(悪化する)および加工性が悪化するという点から、ゴム成分100重量部に対して、100重量部以下が好ましく、60重量部以下がより好ましい。
シリカとカーボンブラックの合計含有量は、充分な補強性を得るために、ゴム成分100重量部に対して、40重量部以上が好ましい。また、シリカとカーボンブラックの合計含有量は、ゴム成分100重量部に対して100重量部以下が好ましい。
本発明のランフラットタイヤのサイドウォール補強層用ゴム組成物には、前記ゴム成分、シリコーンゴム粉末、シリカ、シランカップリング剤、カーボンブラックに加えて、さらにシリカやカーボンブラック以外の補強用充填剤、硫黄、加硫促進剤、老化防止剤、ステアリン酸、亜鉛華などを含有させることができる。
本発明のランフラットタイヤのサイドウォール補強層用ゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどでゴム成分、シリコーンゴム粉末、必要に応じて前記配合剤を混練りし、その後加硫することにより、本発明のランフラットタイヤのサイドウォール補強層用ゴム組成物を製造することができる。
本発明のランフラットタイヤは、本発明のランフラットタイヤのサイドウォール補強層用ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。すなわち、必要に応じて前記配合剤を含有させた本発明のランフラットタイヤのサイドウォール補強層用ゴム組成物を、未加硫の段階でランフラットタイヤのサイドウォール補強層の形状にあわせて押出し加工し、他のランフラットタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりランフラットタイヤを得る。
本発明により、サイドウォール補強層用ゴム組成物の発熱性を抑えることができ、さらランフラット走行性能を向上することができた。
実施例にもとづいて、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらのみに限定されるものではない。
以下に、実施例および比較例で使用した薬品をまとめて説明する。
天然ゴム(NR):RSS#3
1,2−シンジオタクチック結晶を含むブタジエンゴム:宇部興産(株)製のVCR−412(シンジオタクチック結晶含量12重量%)
ブタジエンゴム(BR):日本ゼオン(株)製のNipol BR1220
シリコーンゴム粉末:東レ・ダウコーニング(株)製のトレフィル E−500(平均粒子径:3μm)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN550(N2SA:42m2/g)
シリカ:デグッサ社製のウルトラジルVN3(N2SA:210m2/g)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
ステアリン酸:日本油脂(株)製の桐
亜鉛華:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
実施例1〜5および比較例1〜5
表1の配合内容にしたがって、硫黄および加硫促進剤以外の材料を、BR型バンバリーにてゴム成分、充填剤、薬品の順に混練りした。つぎに、8インチロールで硫黄および加硫促進剤を加えて混練りし、未加硫ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を150℃で30分間加硫することにより、実施例1〜5および比較例1〜5の加硫ゴム組成物を調製した。得られた加硫ゴム組成物について、以下の試験を行なった。結果を表1に示す。
Figure 2008297457
(複素弾性率(E*)および損失正接(tanδ))
(株)岩本製作所粘弾性スペクトロメータを用いて、測定温度70℃、初期歪み10%、動歪み±2%、周波数10Hzの条件で、複素弾性率(E*)および損失正接(tanδ)を測定した。測定したE*およびtanδを、比較例1を100(基準)として、以下の計算式により、指数で表した。E*の指数が大きいほど剛性が高く、変形の歪みが小さく良好である。また、tanδの指数が小さいほど発熱性が低く、良好である。
(E*指数)=(各配合のE*)/(比較例1のE*)×100
(tanδ指数)=(各配合のtanδ)/(比較例1のtanδ)×100
次いで、前記未加硫ゴム組成物をサイドウォール補強層の形状に成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを作製し、160℃の条件下で20分間プレス加硫することで、実施例1〜5および比較例1〜5のランフラットタイヤ(タイヤサイズ:225/60ZR16)を製造した。
(ランフラット走行性能指数)
製造したランフラットタイヤを、490kg荷重で2500ccクラスの車輌に4輪装着した。タイヤの空気圧を内圧0kPa(パンク状態)にして、60km/時間の一定速度で走行し、タイヤ破壊までの走行距離を測定した。連続走行可能距離を比較例1を100として指数で表わした。数値が大きいほどランフラット走行性能が良好である。

Claims (5)

  1. ゴム成分およびシリコーンゴム粉末を含有するランフラットタイヤのサイドウォール補強層用ゴム組成物。
  2. ゴム成分100重量部に対してシリコーンゴム粉末を5〜40重量部含有する請求項1記載のランフラットタイヤのサイドウォール補強層用ゴム組成物。
  3. ゴム成分が天然ゴムおよび/またはイソプレンゴムを20〜80重量%、ならびに1,2−シンジオタクチック結晶を含むブタジエンゴムを20〜80重量%含む請求項1または2記載のランフラットタイヤのサイドウォール補強層用ゴム組成物。
  4. さらに、ゴム成分100重量部に対してシリカ10〜30重量部、シリカ100重量部に対してシランカップリング剤を4〜12重量部含有する請求項1、2または3記載のランフラットタイヤのサイドウォール補強層用ゴム組成物。
  5. 請求項1、2、3または4記載のランフラットタイヤのサイドウォール補強層用ゴム組成物を用いたサイドウォール補強層を有するランフラットタイヤ。
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