JP2010282672A - 光ディスク原盤、光ディスク原盤の製造方法、及び光ディスクの製造方法 - Google Patents

光ディスク原盤、光ディスク原盤の製造方法、及び光ディスクの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】レーザ光によるフォトレジストの露光により形成された複数の凸部を備え、ディスク基板に微細な凹凸パターンを形成することができる光ディスク原盤を、ウエット処理を含む現像工程を経ることなく製造することができる、光ディスク原盤の製造方法を提供する。
【解決手段】ディスク状の基板30上に、所定波長のレーザ光に感度を有するヒートモード型の感光材料を積層してフォトレジスト層32を形成する。ディスク状の基板を回転させながら、フォトレジスト層の表面に、光ディスクの基板表面の凹凸パターンに応じて強度変調された所定波長のレーザ光で露光して、ヒートモード型の感光材料の膨張により、複数の凸部32Aを前記基板の回転軸に対し同心円状又はスパイラル状に形成する。これにより、表面に複数の凸部が形成されたフォトレジスト層を備えた光ディスク原盤を製造する。
【選択図】図3

Description

本発明は、光ディスク原盤、光ディスク原盤の製造方法、及び光ディスクの製造方法に関する。
光ディスクは、透明なディスク基板、ディスク基板上に形成された金属薄膜よりなる反射層、及び反射層上に形成された保護層を含んで構成されている。ディスク基板の表面には、情報信号を表すピットやグルーブ等の溝部(微細な凹凸パターン)が形成されている。かかる構造の光ディスクは、例えば、以下に示す方法により製造される。
まず、ガラス基板にフォトレジストを塗布する。このフォトレジストを情報信号に応じて露光する。これを現像してフォトレジストに凹凸パターンを形成し、レジスト原盤を作製する。そして、レジスト原盤から、電鋳等の手法によって金属表面上に凹凸パターンを転写し、凹凸パターンを備えたスタンパを得る。ディスク基板は、上記スタンパを用いて熱可塑性樹脂を射出成形して大量に複製される。このディスク基板上に、反射層及び保護層を形成する。
上述したとおり、光ディスクの製造方法では、スタンパを用いて、微細な凹凸パターンが形成されたディスク基板を複製している。従って、微細な凹凸パターンを形成するためには、精度の高いスタンパが必要となる。また、精度の高いスタンパを得るためには、レジスト原盤の作製精度の高さが重要となる。
近時、BD-ROM(BD:ブルーレイ・ディスク)等、高容量の読み取り専用の光ディスクが販売されている。これら高容量の光ディスクでは、より微細なピットやグルーブを形成しなければならず、レジスト原盤の作製精度は、更に重要になる。
ディスク基板に微細な凹凸パターンを形成するために、フォトレジストの現像時間の制御工程を導入したレジスト原盤の作製方法や、無機レジストを用いたレジスト原盤の作製方法が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
特開2001−195791号公報 特開2003−315988号公報 特開昭59−84356号公報
しかしながら、従来のレジスト原盤の作製工程は、通常、フォトレジストの非露光部を現像液でエッチングするエッチング工程、現像液を洗い流す洗浄工程等を含んでおり、ウエット処理を何度も行わなければならず、煩雑であるという問題があった。また、一般に、作製工程が煩雑化すれば、これに伴い作製精度も低下する。
例えば、特許文献1、2に記載のレジスト原盤の作製方法では、現像工程を省略できる訳ではない。また、特許文献3では、フォトレジストとして色素薄膜を形成し、色素薄膜にレーザ光を照射してピットを形成することで、現像工程を省略したレジスト原盤の作製方法が提案されている。しかしながら、この現像工程には、実際には現像で生じた分解物を溶剤で洗い流す洗浄工程(ウエット処理)が必要になる。
本発明は、上記事情に鑑み成されたものであり、本発明の目的は、レーザ光によるフォトレジストの露光により形成された複数の凸部を備え、ディスク基板に微細な凹凸パターンを形成することができる、光ディスク原盤を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、レーザ光によるフォトレジストの露光により形成された複数の凸部を備え、ディスク基板に微細な凹凸パターンを形成することができる光ディスク原盤を、ウエット処理を含む現像工程を経ることなく製造することができる、光ディスク原盤の製造方法を提供することにある。
また、本発明の更に他の目的は、レーザ光によるフォトレジストの露光により形成された複数の凸部を備え、ディスク基板に微細な凹凸パターンを形成することができる光ディスク原盤を用いて、従来の製造方法に比べて簡易な方法で、光ディスクを製造することができる、光ディスクの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために各請求項に記載の発明は、以下の構成を備えたことを特徴としている。
請求項1に記載の発明は、ディスク状の基板と、前記基板上にヒートモード型の感光材料を積層して形成されると共に、前記ヒートモード型の感光材料の表面に、複数の凸部が、前記基板の回転軸に対し光ディスクの記憶容量に応じたトラック間隔で同心円状又はスパイラル状に形成されたフォトレジスト層と、を備えた光ディスク原盤である。
請求項2に記載の発明は、前記ヒートモード型の感光材料が少なくとも40nm以上の厚さで積層されると共に、前記複数の凸部の各々が前記フォトレジスト層の平坦部からの高さが40nm以上で且つ100nm以下で形成された、請求項1に記載の光ディスク原盤である。
請求項3に記載の発明は、ディスク状の基板上に、所定波長のレーザ光に感度を有するヒートモード型の感光材料を積層してフォトレジスト層を形成し、前記基板を回転させながら、前記フォトレジスト層の表面を、光ディスクの基板表面の凹凸パターンに応じて強度変調された所定波長のレーザ光で露光して、前記ヒートモード型の感光材料の膨張により、複数の凸部を前記基板の回転軸に対し同心円状又はスパイラル状に形成し、表面に複数の凸部が形成されたフォトレジスト層を備えた光ディスク原盤を製造する、光ディスク原盤の製造方法である。
請求項4の発明は、前記フォトレジスト層の露光波長λを405nm以下とし且つ対物レンズの開口数NAを0.85以上として、前記複数の凸部の各々を形成する、請求項3に記載の光ディスク原盤の製造方法である。
請求項5の発明は、前記フォトレジスト層をレーザ光で露光して前記ヒートモード型の感光材料の膨張により凸部を形成する場合の露光量を、前記フォトレジスト層をレーザ光で露光して前記ヒートモード型の感光材料のアブレーションにより凹部を形成する場合の露光量の、2/5以上で且つ2/3以下とする、請求項3又は請求項4に記載の光ディスク原盤の製造方法である。
請求項6の発明は、請求項1又は請求項2に記載の光ディスク原盤を用いて電気鋳造によりスタンパを作製し、前記スタンパを用いて熱可塑性樹脂を射出成形してディスク基板を複製し、前記ディスク基板上に金属薄膜よりなる反射層を形成し、前記反射層上に前記反射層を保護する保護層を形成する、光ディスクの製造方法である。
請求項7の発明は、請求項3に記載の光ディスク原盤の製造方法を用いて、表面に複数の凸部が形成されたフォトレジスト層を備えた光ディスク原盤を作製し、前記光ディスク原盤を用いて電気鋳造法によりスタンパを作製し、前記スタンパを用いて熱可塑性樹脂を射出成形してディスク基板を複製し、前記ディスク基板上に金属薄膜よりなる反射層を形成し、前記反射層上に前記反射層を保護する保護層を形成する、光ディスクの製造方法である。
本発明の各請求項に係る発明によれば、以下の効果がある。
請求項1に記載の光ディスク原盤によれば、レーザ光によるフォトレジストの露光により形成された複数の凸部を備え、ディスク基板に微細な凹凸パターンを形成することができる、という効果がある。
請求項2に記載の光ディスク原盤によれば、凸部を高く形成することで、より精細な構造転写が可能になる、という効果がある。
請求項3に記載の光ディスク原盤の製造方法によれば、レーザ光によるフォトレジストの露光により形成された複数の凸部を備え、ディスク基板に微細な凹凸パターンを形成することができる光ディスク原盤を、ウエット処理を含む現像工程を経ることなく製造することができる、という効果がある。
即ち、請求項3に記載の光ディスク原盤の製造方法によれば、レーザ光によるフォトレジストの露光によりヒートモード型の感光材料を膨張させて凸部を微細形成するので、フォトレジストの非露光部を現像液でエッチングするエッチング工程、現像液を洗い流す洗浄工程、現像で生じた分解物を溶剤で洗い流す洗浄工程等のウエット処理が不要となる。
請求項4に記載の光ディスク原盤の製造方法によれば、より微細な凹凸パターンを有する光ディスク原盤を製造することができる、という効果がある。
請求項5に記載の光ディスク原盤の製造方法によれば、低パワーのレーザ光によりフォトレジストを露光することで、ヒートモード型の感光材料を膨張させて光ディスク原盤の凸部を微細形成することができる、という効果がある。
請求項6、7に記載の光ディスクの製造方法によれば、レーザ光によるフォトレジストの露光により形成された複数の凸部を備え、ディスク基板に微細な凹凸パターンを形成することができる光ディスク原盤を用いて、従来の製造方法に比べて簡易な方法で、光ディスクを製造することができる、という効果がある。
(A)〜(C)は本発明の実施の形態に係る光ディスクの構造を示す図である。 本実施の形態に係る光ディスクの再生原理を示す模式図である。 (A)〜(E)はマスタリング工程において光ディスク原盤を作製する各工程を順に説明する工程図である。 図3(B)の微細加工に用いられる露光装置の構成を示す概略図である。 (A)〜(E)はスタンパ作製工程においてスタンパを作製する各工程を順に説明する工程図である。 (A)〜(C)はレプリケーション工程においてディスク基板を作製する各工程及び積層工程において光ディスクを作製する工程を順に説明する工程図である。 従来の光ディスクの再生原理を示す模式図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
<光ディスク>
(光ディスクの構造)
図1(A)〜(C)は本発明の実施の形態に係る光ディスクの構造を示す図である。図1(A)は光ディスクの全体構造を示す斜視図であり、図1(B)は(A)のA-A線断面図であり、図1(C)は(A)の領域Bのディスク基板の表面の状態を示す概略図である。なお、ここで光ディスクとは、BD-ROM等の高容量の読み取り専用のディスク状の光情報記録媒体を意図している。
図1(A)〜(C)に示すように、光ディスク10は、中心部にセンターホール12が形成された透明なディスク基板16を備えている。ディスク基板16の表面には、センターホール12の周辺を除いて、情報信号を表す微細な凹凸パターンが予め形成された情報記録領域14が設けられている。後述する通り、微細な凹凸パターンは射出成形により形成される。ディスク基板16の表面には、情報記録領域14の凹凸パターンを薄く覆うように、反射層18が形成されている。反射層18上には、ディスク基板16の凹凸パターンを平坦化するように、保護層20が形成されている。さらに必要に応じて、中間層等の他の層を設けてもよい。
ディスク基板16は、円盤状の透明樹脂板である。光ディスクの規格上、外径は約12cm、内径は約15mm、厚さは約1.2mmとされている。なお、ここでいう「透明」とは、再生光に対して透明であること意味する。再生に使用するレーザ光の波長は、BD-ROMの場合には405nmである。基板材料としては、ポリカーボネート;ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン、ガラス、およびポリエステルなどを挙げることができる。上記材料の中では、耐湿性、寸法安定性および価格などの点からポリカーボネートが好ましい。
本実施の形態では、ディスク基板16の平坦な表面16Bに複数の凸部16Aを形成することで、情報記録領域14の凹凸パターンが形成されている。複数の凸部16Aは、ディスク基板16の回転軸に対し、光ディスクの記憶容量に応じたトラック間隔(トラックピッチ)で同心円状又はスパイラル状に形成されている。また、複数の凸部16Aは、所定の幅(ディスクの半径方向の幅)及び所定の高さ(ディスクの軸方向の高さ)で形成されている。更に、複数の凸部16Aの各々は、情報信号に応じた長さ(トラックに沿った長さ)で形成されている。従って、複数の凸部16Aの中には、複数種類の長さの凸部16Aが存在する。
BD-ROMの記憶容量(片面一層)は25GBである。これらの記憶容量を実現するためには、複数の凸部16Aのトラックピッチは約0.32μmである。複数の凸部16Aの長さは、最短ピット長で0.15μmである。また、ピット形状に関する規格に適合させるならば、複数の凸部16Aの幅は約0.32μmであり、複数の凸部16Aの高さは約50nmである。なお、ここでいう凸部の幅とは、いわゆる半値幅である。
本実施の形態では、複数の凸部16Aは、後述する通り、光ディスク原盤の凸部に対応するように形成されている。光ディスク原盤の凸部は、ヒートモード型の感光材料をレーザ露光により膨張させて形成されるので、その形状は、感光材料層表面に対し露光ビームの回折限界よりも小さな断面積でドーム型の形状を形成しうるという特徴を有している(図3(D)参照)。なお、以下では、ヒートモード型の感光材料を「ヒートモード感材」と略称する。
本実施の形態では、凸部の高さは、光ディスク構成を成した場合に再生光信号強度から算出される変調度、及び光ディスク基板を樹脂成型する場合に要求される生産適性まで考慮して最適化される。複数の凸部16Aの高さは、光ディスク原盤のフォトレジスト層に形成される凸部の高さに応じて決まる。例えば、高さが10nm〜100nmの範囲の凸部を形成することができる。
また、後述する通り、フォトレジスト層の厚さを40nm以上とし、光ディスク原盤に形成される複数の凸部の高さを40nm〜100nmの範囲とすることが好ましい。凸部の高さがこれらの範囲に納まるように形成することで、より精細な構造転写が可能になる、という効果がある。
反射層18は、反射率の向上の目的で基板上に設けられている。反射層18の材料は、再生波長のレーザ光に対する反射率が高い光反射性物質であればよい。光反射性物質としては、Au、Ag、Al又はその合金等が用いられる。反射層18は、例えば、上記光反射性物質を蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティングすることにより薄膜形成することができる。反射層18の厚さは、一般的には10nm〜800nmの範囲であり、好ましくは20nm〜500nmの範囲、更に好ましくは50nm〜300nmの範囲である。
保護層20は、光ディスクの耐傷性、耐湿性を高める等の理由から、反射層18上に設けられる。保護層20に使用される材料としては、例えば、SiO、SiO、MgF、SnO、Si等の無機物質や、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等の有機物質を挙げることができる。保護層20は、例えば、プラスチックフィルムを接着剤を介して反射層18上にラミネートすることにより形成することができる。あるいは真空蒸着、スパッタリング、塗布等の方法により設けられてもよい。また、保護層20には、更に帯電防止剤、酸化防止剤、UV吸収剤等の各種添加剤を目的に応じて添加してもよい。また、保護層20の厚さは、一般には0.1〜100μmの範囲である。
(再生の原理)
図2は本実施の形態に係る光ディスクの再生原理を示す模式図である。図2に示すように、光ディスク10に記録された情報を再生する場合には、光ディスク10のディスク基板16側からレーザ光を照射して、反射層18上に集光する。レーザ光照射側から見れば、凸部16Aは凹部に相当する。凸部16Aが設けられていない部分では、照射されたレーザ光は平坦な表面16Bで反射されて戻り光として検出される。一方、凸部16A(凹部)が設けられた部分では、照射されたレーザ光は凸部16Aで回折されて、戻り光の強度が弱くなる。
本実施の形態に係る光ディスク10では、これらの戻り光の強度を、ハイレベル(H)、ローレベル(L)の信号として読み取り、H→L、L→Hへの信号の反転を「1」、その他を「0」として、デジタルデータに変換する。本実施の形態に係る光ディスク10は、ディスク基板16の表面に、ピットやグルーブ等の溝(凹部)ではなく、複数の凸部16Aを設けて凹凸パターンを形成している。光ディスク10でも、照射されたレーザ光は凸部16Aで回折されて、戻り光の強度が弱くなるので、次に説明する従来の光ディスクと同様に、情報信号を読み取ってデジタルデータに変換することができる。
(従来の光ディスク)
図7は従来の光ディスクの再生原理を示す模式図である。図7に示すように、通常の光ディスク100は、透明なディスク基板102、基板102上に形成された反射層104、及び反射層104上に形成された保護層106を含んで構成されている。ディスク基板104の表面には、ランドと称される平坦部102Bに、ピットと称される凹部102Aを設けた、微細な凹凸パターンが形成されている。再生時には、ディスク基板104側からレーザ光を照射し、反射層104上に集光する。
レーザ光照射側から見れば、凹部102Aは凸部に相当する。ピットが設けられていない部分では、照射されたレーザ光は平坦部102Bで反射されて戻り光として検出される。一方、ピット(凹部102A)が設けられた部分では、照射されたレーザ光は凸部で回折されて、戻り光の強度が弱くなる。通常の光ディスク100では、これらの戻り光の強度を、ハイレベル(H)、ローレベル(L)の信号として読み取り、H→L、L→Hへの信号の反転を「1」、その他を「0」として、デジタルデータに変換している。この逆で、デジタルデータをピットの長短に変換するのが、いわゆるEMF変調である。
<光ディスクの製造方法>
上記の光ディスク10は、大別すると、光ディスク原盤を作製するマスタリング工程、光ディスク原盤を用いて電気鋳造法によりスタンパを作製するスタンパ作製工程、スタンパを用いて熱可塑性樹脂を射出成形してディスク基板を複製するレプリケーション工程、及び反射層及び保護層を積層する積層工程の、4つの工程を経て製造される。
本発明は、光ディスク原盤を作製するマスタリング工程において、ヒートモード感材をフォトレジスト層に用い凸部を形成した点に特徴がある。フォトレジスト層の表面へのレーザ露光により、ヒートモード感材を膨張させて、表面に複数の凸部が形成されたフォトレジスト層を備えた光ディスク原盤を製造することが可能となる。以下、マスタリング工程を中心に、各工程について説明する。
(マスタリング工程)
図3(A)〜(E)はマスタリング工程において光ディスク原盤を作製する各工程を順に説明する工程図である。また、図4は、図3(B)の微細加工に用いられる露光装置の構成を示す概略図である。
まず、図3(A)に示すように、表面が充分に平滑とされた基板30を用意する。基板30としては、例えば、ガラス、ポリカーボネート等のプラスチック、シリコン、アルミナチタンカーバイド、ニッケル等を材料とした基板を用いることができる。一般には、ガラス基板が用いられる。
次に、図3(B)に示すように、基板30上に、ヒートモード感材からなるフォトレジスト層32を成膜する。ヒートモード感材は、ヒートモード感材の物性に応じて、スピンコート、ディップコート、蒸着等の成膜法によって形成する。ヒートモード感材が有機レジスト材料であれば、一般には、ヒートモード感材がスピンコートにより塗布されて、フォトレジスト層32が成膜される。フォトレジスト層32の膜厚は任意に設定可能であるが、熱膨張により所望の高さ(50nm)の凸部を形成するためには、40nm〜100nmの範囲が好ましく、60nm〜80nmの範囲がより好ましい。なお、ヒートモード感材の具体例及び成膜方法等の詳細は後述する。
本実施の形態では、上記のフォトレジスト層32にレーザ光を照射して凸部32Aを形成する。フォトレジスト層32の露光量を、アブレーションにより凹部を形成する場合の露光量に対し、2/5〜2/3(=0.4〜0.67)の程度と少なくすることで、ヒートモード感材を熱膨張などさせて凸部を形成することができる。ヒートモード感材の熱膨張などにより、アブレーションにより凹部を形成する場合と同程度の段差を設けることが可能である。換言すれば、低レーザパワーで凹凸パターンが形成される。
凹部を形成する場合の露光量は、一般には、線速度が10m/秒下で、レーザパワーが4mW〜20mWの範囲となるように定められる。凸部を形成する場合の露光量は、凹部を形成する場合の露光量に対し、2/5〜1/2(=0.4〜0.5)の範囲であることがより好ましい。ここで「露光量」とは、所定の線速度(m/秒)の下で、レーザパワー(W)により定義される値である。また、凸部形状の幅及び長さは露光時のレーザ光パワー及びパルス幅、更にはパルス発生シークエンスの最適化により制御できる。
レーザ光を吸収してヒートモード感材を熱膨張させるために、ヒートモード感材の消衰係数は、レーザ光の波長に応じて一定値以上であることが好ましい。例えば、波長405nmの光に対する消衰係数が、0.04以上で且つ0.5以下の範囲にあることが好ましい。ここで「消衰係数」とは、光が物質に進入するときに吸収される度合いを表し、消衰係数kは、ベールの法則により与えられ、分光エリプソメトリー法という方法などで算出される。
レーザ光により微細加工を行うためには、光ディスクの再生時と同程度にビームスポットを絞る必要がある。従って、BD-ROM用の微細加工を行うためには、発振波長405nmの短波長のレーザ光源と、NA0.85以上の高NAの対物レンズとが必要になる。
また、レーザ光により微細加工を行うためには、所定のプロセスファクター値を有するヒートモード感材を選択する必要がある。プロセスファクター値「K」は、フォトレジスト(ヒートモード感材)の特性に応じた値であり、露光波長を「λ」、対物レンズの開口数を「NA」、凸部の最短長さを「P」として、P=K(NA/λ)を満たす設計値である。
DVD等の光ディスクを作成する場合には、波長413nm、開口数0.90とすると最短ピット長400nmを得るためにはK=0.87となり、これは通常のフォトンモードでのKの値、0.8〜0.9に合致する。この原理によれば、フォトンモードで片面25GBのBD−ROMディスクを製作するためには、プロセスファクターKを同じとするならば、露光波長は200nm以下の光源が必要になる。これに対して、本発明によればプロセスファクターKは0.1以下となり、上記フォトンモードとは原理的に異なることが理解される。
一方、露光中にアブレーションを起さないように、ヒートモード感材の熱分解温度が150℃以上であることが好ましく、180℃〜370℃の範囲にあることがより好ましく、200℃〜300℃の範囲が更に好ましい。ここで「熱分解温度」とは、熱重量分析法により得られるヒートモード感材の重量変化の変極点として定義される値である。熱分解温度(変極点)が2つ以上存在する場合には、最も低温側の熱分解温度を意味する。
ヒートモード感材としては、有機材料に限られるが、有機色素のみならず有機高分子材料を適宜併用することで、光ディスク用スタンパを作成するに必要な電気鋳造過程でも必要な膜強度を付与することができる。本実施の形態におけるフォトレジスト層32には、有機色素を含有する色素型のヒートモード感材を用いることが好ましい。このようなヒートモード感材としては、光ディスク等の光情報記録媒体の記録層に使用されてきた種々の有機色素を用いることができる。例えば、アゾ系、シアニン系、フタロシアニン系、キノン系、スクワリリウム系、アズレニウム系、チオール錯塩系、メロシアニン系、オキソノール系などの有機色素を用いることができる。ヒートモード感材の具体例については後述する。
次に、図3(C)に示すように、フォトレジスト層32の成膜が終了した基板(以下、レジスト基板31と称する)を、図4に示す露光装置のターンテーブル50にレジスト成膜面が上側に配置されるようにセットする。そして、ターンテーブル50を回転させながら、フォトレジスト層32を凹凸パターンに応じて強度変調されたレーザ光で露光する。これにより、フォトレジスト層32の平坦な表面32Bに、表面32Bから突出した複数の凸部が回転軸に対し同心円状又はスパイラル状に形成される。
ここで、図4に示す露光装置の構成について簡単に説明する。この露光装置には、フォトレジスト層32を露光するレーザ光を発生するレーザ光源52が設けられている。レーザ光源52は、データ信号51等の各種信号に基づいてレーザ光源52を駆動制御するレーザ駆動回路53に接続されている。なお、図示は省略するが、レーザ駆動回路53と同様に、露光装置の各部を駆動制御するための信号を生成する信号生成部が設けられている。
レーザ光源52の光射出側には、コリメータレンズ54及びビームスプリッタ56が、レーザ光源52側からこの順に配置されている。ビームスプリッタ56の光透過側には対物レンズ58が配置されている。例えば、BD-ROM用の微細加工を行うためには、発振波長405nmの短波長のレーザ光源52と、NA0.85以上の高NAの対物レンズ58とが必要になる。
一方、ビームスプリッタ56の光出射側には、集光レンズ60及び分割フォトディテクタ62が、ビームスプリッタ56側からこの順に配置されている。また、対物レンズ58の近傍には、対物レンズ58の高さ方向の位置調整を行うフォーカスアクチュエータ64が配置されている。図示は省略するが、ターンテーブル50には送り機構が設けられており、フォーカスアクチュエータ64に駆動されて、レジスト基板31の露光位置を精度良く変えることができる。
上記の露光装置では、レーザ光源52から射出されたレーザ光は、コリメータレンズ54で平行化され、ビームスプリッタ56を透過する。ビームスプリッタ56を透過したレーザ光は、対物レンズ58で集光され、レジスト基板31のフォトレジスト層32にフォーカシングされて照射される。また、レジスト基板31からの反射光は、ビームスプリッタ56で反射され、集光レンズ60で集光されて、分割フォトディテクタ62上で結像される。
分割フォトディテクタ62は、レジスト基板31からの反射光を検出し、この検出結果に基づいてフォーカス誤差信号66を生成し、フォーカスアクチュエータ64に送信する。フォーカスアクチュエータ64は、受信したフォーカス誤差信号66に基づいて、ターンテーブル50を回転させ、対物レンズ58の高さ方向の位置調整を行う。
また、この露光装置においては、データ信号51、反射光量信号70、及びトラッキング誤差信号68に基づいて、レーザ駆動回路53がレーザ光源52を制御しながら露光又はフォーカシングを行う。さらに、ターンテーブル50の回転軸にはスピンドルモータ制御系72が設けられている。このスピンドルモータ制御系72により、光学系の半径位置と所望の線速度とに基づいて、最適なスピンドル回転数を設定しスピンドルモータの制御を行う。
レーザ加工時には、低パワーのレーザ光を用いてフォーカシングをかけた後、所望の半径位置にターンテーブル50を移動させる。ここでは、対物レンズ58等の光学系の面内方向の位置を固定し、ターンテーブル50を移動させることによってレジスト基板31の露光位置を変えることとするが、勿論、レジスト基板31を載置したターンテーブル50を固定し光学系の位置を変えてもかまわない。
そして、ターンテーブル50を回転させながら、レーザ光源52から凹凸パターンに応じて所望のパワーで強度変調されたレーザ光を照射して、フォトレジスト層32を露光する。ターンテーブル50を回転させながら、レジスト基板31の半径方向にターンテーブル50を連続的に僅かな距離ずつ移動させることにより、フォトレジスト層32の平坦な表面32Bには、表面32Bから突出した複数の凸部32Aが、回転軸に対し同心円状又はスパイラル状に形成される。このようにしてレジスト基板31には、EMF変調されたレーザ光に応じて複数種類の長さの微細な凸部32Aが複数形成されて、光ディスク用のレジスト原盤が得られる。
図3(D)は1つの凸部の拡大図である。図3(D)に示すように、図3(C)の点線で囲んだ領域Cに形成された凸部32Aは、ヒートモード感材をレーザ露光により膨張させて形成されるので、その形状は、感光材料層表面に対し露光ビームの回折限界よりも小さな断面積でドーム型の形状を形成しうるという特徴を有している。上述した通り、ヒートモード感材を少なくとも40nm以上の厚さで積層すると共に、凸部32Aの各々をフォトレジスト層32の平坦な表面32Bからの高さが40nm以上で且つ100nm以下で形成することが好ましい。
最後に、図3(E)に示すように、凸部32Aが形成されたフォトレジスト層32を備えたレジスト基板31の全表面に、薄い金属導電層36を形成する。一般には、ニッケル(Ni)層を真空成膜法などにより形成する。なお、金属導電層36の形成は省略することができる。これにより、複数の凸部32Aからなる凹凸パターンを備えた光ディスク原盤34が完成し、マスタリング工程が終了する。
以上の通り、本実施の形態では、光ディスク原盤を、ウエット処理を含む現像工程を経ることなく製造することができる。即ち、レーザ光によりフォトレジスト層32を露光し、ヒートモード感材を熱膨張させて凸部32Aを微細形成するので、フォトレジスト層32の非露光部を現像液でエッチングするエッチング工程、現像液を洗い流す洗浄工程、現像で生じた分解物を溶剤で洗い流す洗浄工程等のウエット処理が不要となる。これによりマスタリング工程は顕著に簡略化され、製造時間が顕著に短縮される。
また、ヒートモード感材を熱膨張させて凸部32Aを微細形成するので、アブレーションで凹部を形成する場合とは異なり、不要な分解物が発生してフォトレジスト層32の表面に付着することがない。このため、光ディスク原盤34からの微細凹凸パターンの構造転写を、精度よく行うことができる。また、アブレーションにより凹部を形成する場合に比べて、低いレーザパワーで微細凹凸パターンを形成することができる。
(スタンパ作製工程)
次に、スタンパの作製工程について説明する。
図5(A)に示すように、マスタリング工程で得られた光ディスク原盤34の凹凸パターン上に、電気鋳造法によって金属を析出させて、厚い金属層38を形成する。一般には、ニッケル(Ni)層が形成される。
図5(B)に示すように、光ディスク原盤34から金属層38を剥がすと、光ディスク原盤34の凹凸パターンが転写され、表面に複数の凹部38Aが形成されたメタルマスタ38が得られる。メタルマスタ38の凹部38Aは、光ディスク原盤34の凸部32Aと嵌合するように形成される。
図5(C)に示すように、メタルマスタ38の凹凸パターン上に、電気鋳造法によって金属を析出させて、厚い金属層であるマザー40を形成する。一般には、ニッケル(Ni)層が形成される。マザー40にはメタルマスタ38の凹凸パターンが転写され、表面に複数の凸部40Aが形成されたマザー40が得られる。マザー40の凸部40Aは、メタルマスタ38の4の凹部38Aと嵌合するように形成される。
図5(D)に示すように、マザー40の凹凸パターン上に、電気鋳造法によって金属を析出させて、厚い金属層であるスタンパ42を形成する。一般には、ニッケル(Ni)層が形成される。
図5(E)に示すように、マザー40からスタンパ42を剥がすと、スタンパ42にはマザー40の凹凸パターンが転写され、表面に複数の凹部42Aが形成されたスタンパ42が得られる。スタンパ42の凹部42Aは、マザー40の凸部40Aと嵌合するように形成される。スタンパ42は、メタルマスタ38と同じ形状を有している。このスタンパ42を金型として用いて、光ディスクに用いるディスク基板が複製される。
(レプリケーション工程)
図6(A)に示すように、スタンパ作製工程で得られたスタンパ42を、射出成形機の固定型と移動型との間に金型として配置し、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂を射出成形する。射出成形後に型(固定型、移動型、金型)の温度を低下させて、熱可塑性樹脂を硬化させて、複製されたディスク基板16を取り出す。
図6(B)に示すように、射出成形によりディスク基板16にはスタンパ42の凹凸パターンが転写され、平坦な表面16Bに複数の凸部16Aが形成されたディスク基板16が複製される。スタンパ42を用いた射出成形により、ディスク基板16を大量に複製することができる。ディスク基板16の凸部16Aは、スタンパ42の凹部42Aと嵌合するように形成される。
(積層工程)
図6(C)に示すように、ディスク基板16の情報記録領域14上に、表面の凹凸パターンを薄く覆うように反射層18を形成する。次に、反射層18上に、ディスク基板16の凹凸パターンを平坦化するように、保護層20を形成する。これで光ディスク10が完成する。なお、ディスク基板16、反射層18及び保護層20に使用する材料、形成方法、各層の厚み等については、光ディスク10の構成として既に説明したので、ここでは説明を省略する。
<ヒートモード感材の具体例>
以下、フォトレジスト層に好適に使用されるヒートモード型の感光材料について、具体例を挙げて説明する。上述した通り、ヒートモード感材としては、従来、光記録ディスクなどの記録層に使用されてきた色素型の記録材料を用いることができる。このため、以下では、フォトレジスト層を「記録材料層」と適宜言い換える。
ヒートモード型の感光材料の好適な例としては、メチン色素(シアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素、オキソノール色素、メロシアニン色素など)、大環状色素(フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポリフィリン色素など)、アゾ色素(アゾ金属キレート色素を含む)、アリリデン色素、錯体色素、クマリン色素、アゾール誘導体、トリアジン誘導体、1−アミノブタジエン誘導体、桂皮酸誘導体、キノフタロン系色素などが挙げられる。これらの中でも、レーザ光により一回限りの情報の記録が可能な「記録層」に用いられる色素型の記録材料が好ましい。有機化合物の記録材料は、溶剤に溶かしてスピンコートやスプレー塗布により膜を形成することができるので、生産性に優れるからである。
記録材料層は、記録波長領域に吸収を有するヒートモード型の感光材料を含有していることが好ましい。特に、レーザ光を吸収してヒートモード感材を熱膨張させるために、ヒートモード感材の消衰係数は、レーザ光の波長に応じて一定範囲にあることが好ましい。上述した通り、波長405nmの光に対する消衰係数は、0.04以上で且つ0.5以下の範囲にあることが好ましい。
波長405nmのレーザ光を用いる場合の好適な化合物として、下記化合物(III-1〜III-14)が挙げられる。これらはレーザ光源の発振波長が405nm付近である場合に、上述した消衰係数kと熱分解温度の要件を満たし、好適に用いられる。なお、本発明はこれらを記録層化合物に用いた場合に限定されるものではない。
<レーザ光源の発振波長が405nm付近であった場合の記録層化合物例>
<レーザ光源の発振波長が405nm付近であった場合の記録層化合物例>
また、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、同11−53758号公報、同11−334204号公報、同11−334205号公報、同11−334206号公報、同11−334207号公報、特開2000−43423号公報、同2000−108513号公報、及び同2000−158818号公報等に記載されている色素も好適に用いられる。
このような色素型の記録材料層は、色素を、高分子材料などと共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調整し、次いで、この塗布液を、基材上に塗布して塗膜を形成した後に、乾燥することにより形成される。その際、塗布液を塗布する面の温度は、10℃以上40℃以下の範囲であることが好ましい。より好ましくは、下限値が15℃以上であり、上限値としては、35℃以下であることがより好ましく、30℃以下であることが更に好ましく、27℃以下であることが特に好ましい。このように被塗布面温度が上記範囲にあると、塗布ムラや塗布故障の発生を防止し、塗膜の厚さが均一に調整される。
なお、上記の上限値及び下限値は、それぞれを任意で組み合わせればよい。ここで、記録材料層は、単層でも重層であってもよく、重層構造の場合、塗布工程を複数下位行うことによって形成される。
塗布液中の色素の濃度は、一般に、0.01質量%以上15質量%以下の範囲であり、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下の範囲、より好ましくは、0.5質量%以上5質量%以下の範囲、最も好ましくは、0.5質量%以上3質量%以下の範囲である。
塗布液の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメエチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサンなどの塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;等が挙げられる。
上記溶剤は、使用する色素の溶解性を考慮して単独で、或いは2種以上を組み合わせて使用することができる。
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法等が挙げられる。なお、生産性に優れ膜厚のコントロールが容易であるという点で、スピンコート法を採用するのが好ましい。
記録材料層は、スピンコート法による形成に有利であるという点から、有機溶媒に対して0.3質量%以上30質量%以下で溶解することが好ましく、1質量%以上20質量%以下で溶解することがより好ましい。特にテトラフルオロプロパノールに1質量%以上20質量%以下で溶解することが好ましい。また、塗布の際、塗布液の温度は、15℃以上50℃以下の範囲であることが好ましく、15℃以上40℃以下の範囲であることがより好ましく、中でも、20℃以上30℃以下の範囲であることが特に好ましい。
<変形例>
なお、上記の実施の形態では、ディスク基板の表面に複数の凸部を形成することで凹凸パターンが形成された光ディスク(図1及び図2参照)を製造する方法について説明したが、マスタリング工程で説明した、複数の凸部からなる凹凸パターンを備えた光ディスク原盤を用いて、ディスク基板の表面に複数の凹部(溝)を形成することで凹凸パターンが形成された従来の光ディスク(図7参照)を製造することもできる。
例えば、図5(C)〜(E)で説明したマザー40を、スタンパ42の代わりに用いて射出成形をすることで、ディスク基板にはマザー40の凹凸パターンが転写され、表面に複数の凹部(溝)が形成されたディスク基板が複製される。ディスク基板16の凹部は、マザー40の凸部40Aと嵌合するように形成される。
或いは、スタンパ42の凹凸パターン上に、電気鋳造法によって金属を析出させて第2のスタンパを形成する。第2のスタンパにはスタンパ42の凹凸パターンが転写され、表面に複数の凸部が形成された第2スタンパが得られる。第2スタンパの凸部は、スタンパ42の凹部42Aと嵌合するように形成される。この第2スタンパを、スタンパ42の代わりに用いて射出成形をすることで、同様に、表面に複数の凹部(溝)が形成されたディスク基板が複製される。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
化1に記載の化合物(III-5)を、テトラフルオロプロパノールに15mg/ccの濃度で溶解して、光ディスク原盤作製用のレジスト液を得た。化合物(III-5)の波長405nmの光に対する消衰係数kは0.144であり、熱分解温度は333℃である。得られたレジスト液を、直径が100mmのシリコンウエハにスピンコート法で塗布・乾燥し、厚さ70nmのフォトレジスト層を形成したサンプル基板を得た。
レーザ発振波長405nm、NA=0.85の光学系を有するレーザ描画装置(パルステック工業(株)製NEO−1000)を用いて、フォトレジスト層を塗布したサンプル基板を、回転速度5m/秒、レーザ強度3mW、露光繰り返し周期(ピッチ)0.15μm、発光Duty20%で露光して、フォトレジスト層の表面に凸部を形成して、光ディスク原盤を得た。凸部が形成された加工面を、原子間力顕微鏡(OLS−3000、オリンパス株式会社製)を用いて観測し、凸部の形状測定したところ、直径約120nm、高さ約50nmの凸構造を形成できたことを確認した。
光ディスク原盤を得た後に、スパッタ法にて密度が8.7g/cmであるNiからなる厚さ9nmの初期層を形成した。次に、この初期層が成膜された光ディスク原盤を用いてNi電鋳を行い、Ni電鋳層を光ディスク原盤から剥離してメタルマスタを得た。ここで、Ni電鋳の条件について詳しく説明する。浴組成として、スルファミン酸ニッケル四水和物(濃度600±30g/リットル)、ホウ酸(濃度30±5g/リットル)、ラウリル硫酸ナトリウム(濃度0.3〜0.4mg/リットル)を混合した電鋳浴に、浴温45℃、PH3.8〜4.1、電流密度5.13A/dm、初期電流密度勾配0.342A/dm・分で、Ni電鋳層の厚みが300±5μmになるように電鋳を行った。
得られたメタルマスタの電鋳面を、残存するレジストを除去するために、テトラフルオロプロパノールを用いて洗浄した。洗浄後のメタルマスタの表面を原子間力顕微鏡で観察して形状評価を行ったところ、直径約100nm、高さ約50nmの凹構造が形成されていることを確認できた。
<実施例2>
実施例1と同様にしてレーザ描画を1mWで露光した。他の露光条件は同じであるため、露光量はレーザ強度に比例する。光ディスク原盤の凸部が形成された加工面を、原子間力顕微鏡で観察したところ、直径約60nm、高さ約20nmの凸構造が形成されていることを確認した。
<比較例>
実施例1と同様にしてレーザ描画をレーザ強度3.5mWから5.5mWまで変えて実施した。他の露光条件は同じであるため、露光量はレーザ強度に比例する。光ディスク原盤の凸部が形成された加工面を原子間力顕微鏡で評価したところ、アブレーションにより凹構造が形成されることを確認した。その深さはレーザ強度に依存して約10nmから約50nmであり、4.5mW以上での加工では深さは略一定であった。即ち、レーザ強度3.5mWでの深さは約10nmであり、レーザ強度4.5〜5.5mWでの深さは約50nmであった。
上記実施例1及び比較例の結果から、アブレーションによる凹構造形成の約1/2〜2/3のレーザ強度で、深さが50nmの凹構造に代えて、高さが50nmの凸構造を形成できることが分かる。即ち、従来のヒートモード・マスタリング方式に比べて、低エネルギーで凹凸加工を行うことができる。また、実施例2及び比較例の結果から、アブレーションによる凹構造の形成に用いられる露光量よりも、きわめて低い露光量であっても、凸構造の形成が可能であることが分かる。
10 光ディスク
12 センターホール
14 情報記録領域
16 ディスク基板
16A 凸部
16B 表面
18 反射層
20 保護層
30 基板
31 レジスト基板
32 フォトレジスト層
32A 凸部
32B 表面
34 光ディスク原盤
36 金属導電層
38 メタルマスタ
38A 凹部
38 金属層
40 マザー
40A 凸部
42 スタンパ
42A 凹部
50 ターンテーブル
51 データ信号
52 レーザ光源
53 レーザ駆動回路
54 コリメータレンズ
56 ビームスプリッタ
58 対物レンズ
60 集光レンズ
62 分割フォトディテクタ
64 フォーカスアクチュエータ
66 フォーカス誤差信号
68 トラッキング誤差信号
70 反射光量信号
72 スピンドルモータ制御系

Claims (7)

  1. ディスク状の基板と、
    前記基板上にヒートモード型の感光材料を積層して形成されると共に、前記ヒートモード型の感光材料の表面に、複数の凸部が、前記基板の回転軸に対し光ディスクの記憶容量に応じたトラック間隔で同心円状又はスパイラル状に形成されたフォトレジスト層と、
    を備えた光ディスク原盤。
  2. 前記ヒートモード型の感光材料が少なくとも40nm以上の厚さで積層されると共に、前記複数の凸部の各々が前記フォトレジスト層の平坦部からの高さが40nm以上で且つ100nm以下で形成された、請求項1に記載の光ディスク原盤。
  3. ディスク状の基板上に、所定波長のレーザ光に感度を有するヒートモード型の感光材料を積層してフォトレジスト層を形成し、
    前記基板を回転させながら、前記フォトレジスト層の表面を、光ディスクの基板表面の凹凸パターンに応じて強度変調された所定波長のレーザ光で露光して、前記ヒートモード型の感光材料の膨張により、複数の凸部を前記基板の回転軸に対し同心円状又はスパイラル状に形成し、
    表面に複数の凸部が形成されたフォトレジスト層を備えた光ディスク原盤を製造する、
    光ディスク原盤の製造方法。
  4. 前記フォトレジスト層の露光波長λを405nm以下とし且つ対物レンズの開口数NAを0.85以上として、前記複数の凸部の各々を形成する、請求項3に記載の光ディスク原盤の製造方法。
  5. 前記フォトレジスト層をレーザ光で露光して前記ヒートモード型の感光材料の膨張により凸部を形成する場合の露光量を、前記フォトレジスト層をレーザ光で露光して前記ヒートモード型の感光材料のアブレーションにより凹部を形成する場合の露光量の、2/5以上で且つ2/3以下とする、請求項3又は請求項4に記載の光ディスク原盤の製造方法。
  6. 請求項1又は請求項2に記載の光ディスク原盤を用いて電気鋳造によりスタンパを作製し、
    前記スタンパを用いて熱可塑性樹脂を射出成形してディスク基板を複製し、
    前記ディスク基板上に金属薄膜よりなる反射層を形成し、
    前記反射層上に前記反射層を保護する保護層を形成する、
    光ディスクの製造方法。
  7. 請求項3に記載の光ディスク原盤の製造方法を用いて、表面に複数の凸部が形成されたフォトレジスト層を備えた光ディスク原盤を作製し、
    前記光ディスク原盤を用いて電気鋳造法によりスタンパを作製し、
    前記スタンパを用いて熱可塑性樹脂を射出成形してディスク基板を複製し、
    前記ディスク基板上に金属薄膜よりなる反射層を形成し、
    前記反射層上に前記反射層を保護する保護層を形成する、
    光ディスクの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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