JP2010281073A - 開口部装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 簡易な構造で採光性、断熱性及び生産性を向上させることができる開口部装置を提供する。
【解決手段】 建物開口部に沿って設けられた枠体、及び、枠体の見付方向内側に配置されるとともに、ガラスパネルと框とを有する障子、を備え、框には、底片と底片の両端から立設する二つの片とを有する、断面形状がコ字状の被覆片が備えられるとともに、当該被覆片の底片には、コ字状の開口側に向かって凸である凸部が設けられ、被覆片とガラスパネルとが接着手段により接着されて、該ガラスパネルの外縁が前記框に覆われるとともに、凸部の少なくとも一部が、ガラスパネルの見付け方向外側端面よりも、見付け方向内側に突出している、開口部装置とする。
【選択図】図2

Description

本発明は住宅や公共施設等の建物開口部に好適に用いられる開口部装置に関する。
建物開口部に備えられるスイング式、引戸式、及び嵌殺し式の窓等のような開口部装置は、建物開口部の縁に沿って配置される枠体と、該枠体の内側に設けられる障子とを備えており、さらに障子はガラスパネルと該ガラスパネルの四辺に沿って配置される框とを有している。
ガラスパネルへの框の取り付けは、断面形状略コ字状である框の該コ字状の内側にガラスパネルの端部を差し込むようにして行われるが、従来においては例えば特許文献1に記載のように、グレージングチャンネルを介していた。当該グレージングチャンネルにより框をガラスパネルに安定して取り付けできるとされている。
特開2005−207219号公報
しかしながら、このように框の取り付けにグレージングチャンネルやビード材を用いることは、框材を太く形成する必要があり、その分ガラスパネルの採光面積が狭くなってしまう。従って、框を小型化して採光性を向上させたいとの要望が多い。また、框を細くすることにより、断熱性の高いガラス部分の面積を大きくすることもできる。
さらに、グレージングチャンネルやビード材を用いる場合、その分の部品点数の増加し、組立工程も必要となってしまうため、これら問題を解決してさらに簡易な構造で容易な製造工程による開口部装置も求められている。
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、簡易な構造で採光性、断熱性及び生産性を向上させることができ、強度が確保された開口部装置を提供することを課題とする。
以下、本発明について説明する。尚、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。また、本明細書において、「見付け方向」とは、建物開口部に備えられる開口部装置の開口面に沿った方向を意味する。また、「見込み方向」とは開口部装置の開口面と直交する方向(厚さ方向)を意味し、「見込み方向室外側」とは、開口部装置が建物に取り付けられた姿勢で室外側となる方向であり、「見込み方向室内側」は、開口部装置が建物に取り付けられた姿勢で室内側となる方向である。
本発明は、建物開口部に沿って設けられた枠体(10)、及び、該枠体の見付方向内側に配置され、ガラスパネル(25、35)と框(21、22、31、32)とを有する障子、を備え、框には、底片と当該底片の両端から立設する二つの片とを有する、断面形状がコ字状の被覆片(21c、22c、31c、32c)が備えられるとともに、被覆片の底片には、コ字状の開口側に向かって凸である凸部(21d、22d、31d、32d)が設けられ、被覆片とガラスパネルとが接着手段により接着されて、ガラスパネルの外縁が框に覆われるとともに、凸部の少なくとも一部が、ガラスパネルの見付け方向外側端面よりも、見付け方向内側に突出している、開口部装置(100)を提供して前記課題を解決するものである。
本発明において、上記凸部(21d、22d、31d、32d)が、框(21、22、31、32)に備えられたタッピングホールであることが好ましい。タッピングホールを凸部として用いることで、框製造時に新たに凸部を設けるための工程を増やす必要がなくなるため製造コストを抑えることができ、且つ、框をネジ留めしてさらなる強度の確保が可能となるからである。
本発明において、上記凸部(21d、22d、31d、32d)が、上記被覆片(21c、22c、31c、32c)の底片の略中央に設けられていることが好ましい。コ字状の被覆片とガラスパネルとを接着する際、接着剤等の接着手段が、より均等に行きわたり、良好な接着を得ることができるからである。
本発明は、框とガラスパネルとを直接接着することにより、框の見付け寸法を小さくすることができるので、採光性、断熱性に優れる開口部装置とすることができる。また、凸部の存在により、接着面積が大きくなり、接着強度を向上させることができる。さらに、框に設けられた凸部を利用することで、ガラスパネルと框との接着面において、接着手段、例えば接着剤を均一に行き渡らせることができる。凸部の少なくとも一部が、ガラスパネルの見付け方向外側端面よりも、見付け方向内側に突出していることで、凸部が障子の見付け寸法へ与える影響を抑えることもできる。一方、ガラスパネルの框への差し込み長さや、凸部の大きさ等を適宜調整することによって、ガラスパネルと框とを接着する際に必要とされる接着剤の量を適宜変更可能とされる。また、十分な強度を得るために必要とされる接着剤の最低限の量を容易に計算することができるので、製造の際に必要となる接着剤の量を見積もることがより容易となり、生産性に優れる。以上のことから、本発明によれば、従来よりも簡易な構造で採光性、断熱性及び生産性を向上させることができ、強度が確保された開口部装置を提供することが可能となる。
開口部装置の室内正面視における概略図である。 開口部装置の縦断面を概略的に示す図である。 開口部装置の縦断面を概略的に示す図である。 開口部装置の横断面を概略的に示す図である。 上横框とガラスパネルとの接着構造を説明するための図である。 上横框とガラスパネルとの接着構造を説明するための図である。 下横框とガラスパネルとの接着構造を説明するための図である。 変形例にかかる開口部装置の横断面を概略的に示す図である。
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。尚、下記実施形態においては、建物開口部に備えられる引戸式のサッシ窓について説明するが、本発明は、框とガラスパネルとを接着可能な開口部装置であれば、特に限定されずに適用することができる。
以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。図1は、一実施形態にかかる開口部装置100が建物開口部に取り付けられた姿勢における、当該開口部装置100の室内視正面図である。図1において開口部装置100は両戸先側が開放された姿勢にある。図2は、図1にII−IIで示した線(垂直方向)に沿った断面図である。図3は、図1にIII−IIIで示した線(垂直方向)に沿った断面図である。図4は、図1にIV−IVで示した線(水平方向)に沿った断面図である。但し、図4においては、開口部装置100が閉鎖された姿勢にある。図2、3では紙面左側が室外側、紙面右側が室内側となっている。また、図4では紙面下側が室内側、紙面上側が室外側となっている。図が煩雑となるのを防ぐため、いずれの図においても、部材の一部を省略して示している。本実施形態において、開口部装置100は、いわゆる引戸式の引き違いサッシ窓である。
開口部装置100は、建物開口部の四辺に沿って配置される枠体10、及び当該枠体10の見付け方向内側に具備されて引戸式に開閉する障子20、30を備えている。また、施錠装置40が設けられ、障子20、30の施錠及び開錠を可能としている。
<枠体10>
枠体10は、上下のそれぞれに水平に配置される長尺部材である横枠11、12、及び当該横枠11、12の端部を渡して設けられる長尺部材である縦枠14、15を備え、これらが枠状に形成されている。
横枠11は、枠体10の上横枠に相当する枠材である。横枠11は、図2及び図3に表される断面において、片11a〜11gを有して、紙面奥手前に延在している。横枠11は、見込み方向に延びる片11aを備えており、当該片11aの見込み方向室内側端部には、見付け方向内側に延びる片11bが設けられている。また、片11bの見込み方向室内側面からは、見込み方向室内側に延びる片11cが設けられている。一方、片11aの見付け方向内側面において、見付け方向室内側に延びる片11d〜11fが設けられており、これら片11d〜11fは、障子20、30や任意に備えられる網戸(不図示)をスライドさせるための上部レールとして機能する。また片11aの見付け方向外側面において、見付け方向外側に延びる片11gが備えられ、横枠11を建物躯体に取り付け可能としている。
横枠12は、枠体10の下横枠に相当する枠材である。横枠12は、図2及び図3に表される断面において、片12a〜12kを有して、紙面奥手前に延在している。横枠12には、見込み方向に延びる片12aが備えられている。当該片12aは、見込み方向室外側端部において見付け方向内側に延びる片12b、見付け方向外側に延びる片12cを備え、見込み方向室内側端部において見付け方向内側に延びる片12d、見付け方向外側に延びる片12eを備えている。当該片12dと片12eとの間には、見込み方向室内側に延びる片12fが備えられている。また、片12aの見付け方向内側面からは、見付け方向内側に向かって片12g、12hが延びている。一方、片12aの見付け方向外側面からは、見付け方向外側に向かって片12jが延びている。また、片12cと片12jとを渡すように、片12kが設けられている。片12bの見付け方向内側端部は、任意に備えられる網戸(不図示)をスライドさせるための下部レールとして機能する。また、片12g、12hに、障子20、30の下横框22、32内に備えられた戸車28、38が載置されて、障子20、30をスライド可能としている。さらに、片12a、12c、12j、12kによって囲まれる空間は中空とされており、例えば当該空間を介して、下横枠の排水がなされ得る。排水のため、片12a、12c等に、排水口や排水弁が設けられていてもよい。
縦枠14、15は、図4に示される断面において、片14a〜14e、15a〜15eを有して、紙面奥手前に延在している。縦枠14、15は、見込み方向に延びる片14a、15aを備えている。また、縦枠14、15の見込み方向室内側端部、及び見込み方向室外側端部には、片14b、14e、15b、15eが備えられている。さらに、縦枠14、15の見付け方向内側面からは、見付け方向内側に延びる片14c、15cが備えられており、当該片14c、15cと、障子20、30の戸先框23、33に備えられるフィンとによって、縦縁の水密気密が保たれている。一方、縦枠14、15の見付け方向外側面からは、見付け方向外側に延びる片14d、15dが備えられ、縦枠14、15の建物躯体への固定を可能としている。また、縦枠14、15の見付け方向内側面には、見込み方向室内側に、カバー部材80、81が備えられている。当該カバー部材80、81が備えられることによって、障子20、30の閉鎖の姿勢で、後述する戸先框23、33が、室内視において隠蔽された状態となる。そのため、開口部装置100の意匠性を向上させることができる。また、カバー部材80、81が備えられることで、戸先框23、33を介しての室内外の熱交換が抑えられるので、断熱性に優れる開口部装置100とすることができる。カバー部材80、81の材質については、断熱性の観点から樹脂とすることが好ましい。
<障子20>
障子20は、内障子に相当する障子で、上横框21、下横框22、戸先框23、内召し合わせ框24、ガラスパネル25、及び把手26が備えられている。
(上横框21)
上横框21は、図2に表される断面において、見込み方向室内側に面する室内側片21aと、見込み方向室外側に面する室外側片21bと、ガラスパネル25の外縁を覆うように略コ字状に形成されたコ字状被覆片21cとを有して、紙面奥手前に延在している。また、図2からわかるように、上横框21のコ字状被覆片21cの、開口と対向する底片の略中央部には、タッピングホール21dが設けられており、ここにネジを通して、上横框21と、後述する戸先框23及び内召し合わせ框24と、を固定可能としている。さらに、コ字状被覆片21cとガラスパネル25とは接着手段50aを介して直接接着され、上横框21とガラスパネル25とが一体とされている。上横框21とガラスパネル25とが直接接着されることで、上横框21の見付け幅を縮小することができ、ガラスパネル25の採光面積を拡大することができる。また、外観視において框の与える影響が少なくなり、シンプルで意匠性に優れた開口部装置とすることができる。さらに、ガラスパネル部分をより大きくとることができるので、断熱性に優れる開口部装置とすることができる。
(下横框22)
下横框22は、図2で示される断面において、見込み方向室内側に面する室内側片22aと、見込み方向室外側に面する室外側片22bと、ガラスパネル25の外縁を覆うように略コ字状に形成されたコ字状被覆片22cとを有して、紙面奥手前に延在している。また、図2からわかるように、上横框21のコ字状被覆片22cの、開口と対向する底片の略中央部には、タッピングホール22dが設けられており、ここにネジを通して、下横框22と、後述する戸先框23及び内召し合わせ框24と、を固定可能としている。さらに、コ字状被覆片22cとガラスパネル25とは接着手段50bを介して直接接着され、下横框22とガラスパネル25とが一体とされている。下横框22とガラスパネル25とが直接接着されることで、下横框22の見付け幅を縮小することができ、ガラスパネル25の採光面積を拡大することができる。また、外観視において框の与える影響が少なくなり、シンプルで意匠性に優れた開口部装置とすることができる。さらに、ガラスパネル部分をより大きくとることができるので、断熱性に優れる開口部装置とすることができる。一方、下横框22の、片22a〜22cによって囲まれる空間には戸車28が備えられ、当該戸車28は、下横枠12の片12hに載置されることで障子20がスライド可能とされている。また、片22bの見込み方向室内側面にはフィンが設けられ、下横枠12の片12hと接することで障子20下縁の水密気密が保たれている。
(戸先框23)
戸先框23は、図4で示される断面において、室内側片23a、室外側片23b、及びコ字状被覆片23cで示される形状を有して、紙面奥手前に延在している。これら片23a〜23cは一体に形成されており、コ字状被覆片23cとガラスパネル25とが、接着剤等の接着手段50eにより直接接着されることで、戸先框23とガラスパネル25とが一体とされている。戸先框23とガラスパネル25とが直接接着されることで、戸先框23の見付け幅を縮小することができ、ガラスパネル25の採光面積を拡大することができる。また、外観視において框の与える影響が少なくなり、シンプルで意匠性に優れた開口部装置とすることができる。戸先框23の片23bの見込み方向室内側面にはフィンが設けられ、縦枠15の片15cと接することで障子20横縁の水密気密が保たれている。また、図1に示されるように、戸先框23の略中央部には把手26が設けられ、障子20を見付け方向に容易にスライド可能としている。尚、本実施形態において障子20は、いわゆる縦通しの框構造を有するため、戸先框23には、タッピングホールが設けられていない。
(内召し合わせ框24)
内召し合わせ框24は、内召し合わせ部に用いられる縦框である。内召し合わせ框24は、図4で示される断面において、略矩形状の矩形部24a、24bと略コ字状のコ字状被覆片24cとを有して、紙面奥手前に延在している。矩形部24aは見込み方向室内側に面して形成され、矩形部24bは障子20においてガラスパネル25よりも見付け方向外側であって矩形部24aよりも見込み方向室外側に形成されている。また、矩形部24bの見込み方向室外側面には、障子20の見付け方向内側に形成された爪部24eが設けられており、外召し合わせ框34の爪部34eと係合可能とされている。コ字状被覆片24cは、障子20において矩形部24bの見付け方向内側に形成され、当該コ字状内部にガラスパネル25の外縁が挿入されている。これら矩形部24a、24b及びコ字状被覆片24cは一体に形成されており、コ字状被覆片24cとガラスパネル25とが接着剤等の接着手段50fにより直接接着されることで、内召し合わせ框24とガラスパネル25とが一体とされている。内召し合わせ框24とガラスパネル25とが直接接着されることで、内召し合わせ框24の見付け幅を縮小することができ、ガラスパネル25の採光面積を拡大することができる。また、外観視において框の与える影響が少なくなり、シンプルで意匠性に優れた開口部装置とすることができる。また、内召し合わせ框24の略中央部には施錠装置40が設けられ、障子20、30の施錠及び開錠を可能としている。尚、本実施形態において障子20は、いわゆる縦通しの框構造を有するため、戸先框23には、タッピングホールが設けられていない。
(ガラスパネル25)
ガラスパネル25は、いわゆる複層ガラスパネルであり、矩形板状である2枚の板ガラスが室内外方向に所定の間隔を有して並列されている。当該2枚の板ガラスの間隙により形成される空間のうち、その外周端部には該外周端部に沿ってスペーサ51a、51b、51e、51fが配置されている。スペーサ51a、51b、51e、51fは、シール部材を備え、これにより、2枚の板ガラスを一体に保持して水密気密を得ることができる。また、スペーサ51a、51b、51e、51fに乾燥剤を含ませれば、空間内側を適切な湿度に保つことも可能となる。
上記框21〜24とガラスパネル25とは、ガラスパネル25の外縁の少なくとも一部に、好ましくは外縁に沿って、接着剤50を塗布した後、框21〜24のコ字状部にガラスパネル25を差し込んで、液状の接着剤を乾燥させることによって接着した形態とすることができる。以下、図5を参照しつつ、框とガラスパネルとの接着構造について説明する。
図5(a)は、図2に示される断面において領域Vで示される部分について拡大して示す図である。図が煩雑となるのを避けるため、部材を適宜省略している。図5(a)からわかるように、スペーサ51aの見付け方向外側端面は、ガラスパネル25の二枚のガラス板の見付け方向外側端面よりも、見付け方向内側に存在している。すなわち、ガラスパネル25の二枚のガラス板とスペーサ51aとによって、パネル外縁に凹部が形成され、接着剤50aを保持することが可能とされている。当該凹部は紙面奥手前に延在するため、ガラスパネル25の上端面は溝状となっており、当該溝部に沿って接着剤50aが延在している。一方、上横框21のコ字状被覆片21cに設けられた凸部21dは、見付け方向内側を向いており、上記ガラスパネル25の溝部内側まで突出している。
図5(b)〜(d)を参照しつつ、ガラスパネル25が上横框21に接着される過程について、順に説明する。図5(b)に示されるように、まず、ガラスパネル25の見付け方向外側端部に存在する上記溝部に接着剤50aが充填される。当該接着剤50aを充填したのち、ガラスパネル25は、上横框21のコ字状被覆片21cへと挿入される。ガラスパネル25がコ字状被覆片21cへと挿入されていくと、やがては、コ字状被覆片21cに設けられたタッピングホール21dの見付け方向内側端部へと、接着剤50aとが接触することとなる(図5(c)の状態)。ガラスパネル25をさらに奥へと挿入すると、タッピングホール21dにより、接着剤51aがガラスパネル25の溝部から押し出され、図5(c)に矢印で示される方向へとあふれ出る。このことで、コ字状被覆片21cの底片の面において、接着剤50aが均一に行き渡り、コ字状被覆片21cとガラスパネル25とが偏りなく強固に接着されることとなる。また、タッピングホール21dの存在により、接着面積が大きくなるため、ガラスパネル25とコ字状被覆片21cとをより強固に接着することができる。さらに、二枚のガラス板の間にタッピングホール21dが突出するように設けられるので、タッピングホール21dの存在による障子20の見付け寸法の増加を抑えることができる。
図6を参照しつつ、接着剤50aの塗布量とタッピングホール21dとの関係についてさらに説明する。
接着剤50aの見付け方向外側の界面と、ガラスパネル25の見付け方向外側端面(二枚のガラス板の見付け方向外側端面)とが略面一となるまで、接着剤50aをガラスパネル25の溝部に充填し、ガラスパネル25をコ字状被覆片21cへと挿入した場合について考える。この場合、図6(a)に示されるように、接着剤50aは、タッピングホール21dによって、斜線領域Cで示される分だけ溝部から押し出される。そして、溝部から押し出された接着剤50aは、斜線領域A、Bで示される、ガラスパネル25とコ字状被覆片21との間の間隙へと行き渡ることとなる。このとき、間隙A、Bの大きさ、及び押し出し量Cの関係が、A+B≦Cであれば、ガラスパネル25とコ字状被覆片21cとの間の間隙へと十分な量の接着剤50aを行き渡らせることができる。好ましくは、A+B=Cである。このようにすれば、框−ガラスパネル間の十分な接着強度を得ることができるとともに、接着剤50aを必要最小限とすることができる。
次に、接着剤50aの見付け方向外側界面が、ガラスパネル25の見付け方向外側端面(二枚のガラス板の見付け方向外側端面)よりも、見付け方向内側に位置するように、接着剤50aをガラスパネル25の溝部に充填し、ガラスパネル25をコ字状被覆片21cへと挿入した場合について考える。この場合、図6(b)に示されるように、接着剤50aは、タッピングホール21dによって、斜線領域C’で示される分だけ溝部から押し出される。当該押し出し量C’は、上記押し出し量Cと比較して小さい。そして、溝部から押し出された接着剤50aは、斜線領域A’、B’で示される、ガラスパネル25とコ字状被覆片21cとの間の間隙へと移動する。しかしながら、図6(b)においては、押し出される接着剤50aの量が上記の場合よりも少ないので、ガラスパネル25とコ字状被覆片21との間の間隙へと十分な量の接着剤が行き渡らない虞がある。この場合、例えば、ガラスパネル25をさらに奥へと挿入する、又は、より大きなタッピングホール21dを形成する等して、押し出し量C’がより大きくなるように、又は間隙A’、B’が小さくなるようにすれば、ガラスパネル25とコ字状被覆片21との間の間隙へと十分な量の接着剤を行き渡らせることができる。
このように、タッピングホールの大きさ、ガラスパネルの見込み幅や溝部深さ、ガラスパネルの框への挿入長さ等を考慮して、間隙(A、B、A’、B’)の大きさと、接着剤50aの押し出し量(C、C’)とが略同一となるように、接着剤50aの充填量をあらかじめ計算しておく。実際の製造ラインにおいては、当該計算によって導き出された充填量だけ、接着剤50aをガラスパネル25の溝部に充填して、ガラスパネル25とコ字状被覆片21cとを接着することで、接着剤の無駄がなく、且つ、接着強度に優れる開口部装置100を製造することができる。
また、図6において、間隙(A、B、A’、B’)の大きさが、A=B、A’=B’の関係を満たすように、タッピングホール21dが、二枚のガラス板間の略中央に設けられることが好ましい。このようにすれば、間隙(A、B、A’、B’)に行き渡る接着剤50aに偏りが生じることがなく、ガラスパネル25とコ字状被覆片21cとの間で、接着剤が均等に行き渡るので、さらに框−ガラスパネル間の接着強度に優れる開口部装置100とすることができる。
図7は、図2においてVIIで示される領域について拡大して示す図であり、下横框22とガラスパネル25との接着構造について示している。図7に示されるように、下横框22とガラスパネル25とを接着する場合も、上記上横框21とガラスパネル25との接着構造と同様とすることができる。すなわち、コ字状被覆片22cに設けられたタッピングホール22dを利用して、接着剤50bを、ガラスパネル25とコ字状被覆片22cとの間に均等に行き渡らせることで、接着剤の無駄がなく、且つ、接着強度に優れる開口部装置100とすることができる。
<障子30>
本実施形態において、障子30は、図3、4に示されるように、障子20とほぼ同様の構成を有するため、説明を省略する。但し、障子30においても、上記障子20と同様、框(上横框31、下横框32、戸先框33、外召し合わせ框34)のコ字状被覆片31c〜34cにガラスパネル35が接着剤等の接着手段により直接接着されている。特に、上横框31、下横框32にはタッピングホール31d、32dが設けられているので、当該タッピングホール31d、32dを利用して、コ字状被覆片31c、32cとガラスパネル35との間に、接着剤50c、50dを均等に行き渡らせることができる。框とガラスパネル35とを直接接着することで、框の見付け幅を縮小でき、ガラスパネル35の採光面積を拡大することができる。さらに、好ましくは、障子20、30のすべての框とガラスパネルとを直接接着する形態とすることで、開口部装置100全体としての採光面積に与える影響が極めて大きくなるとともに、開口部装置100全体の外観視が極めてシンプルとなるため、従来よりも採光性、意匠性に優れる開口部装置100とすることができる。
上記説明においては、戸先框23、33、内召し合わせ框24、及び外召し合わせ框34にタッピングホール等の凸部が何ら設けられない形態について説明したが本発明はこれに限定されない。図8に、開口部装置100の変形例である開口部装置100’を示す。図8において、図4と同様の構成については、同符号を付して説明を省略する。
図8に示されるように、開口部装置100’の障子20’、30’には、戸先框23’、33’、内召し合わせ框24’、及び外召し合わせ框34’(以下、「框23’〜34’」という。)が備えられている。框23’〜34’のコ字状被覆片23’c〜34’cには、凸部23’d〜34’dが設けられている。コ字状被覆片23’c〜34’cに当該凸部23’d〜34’dを設けることで、コ字状被覆片23’c〜34’cとガラスパネル25、35との間に接着剤50’e〜50’hを均等に行き渡らせることができる。凸部23’d〜34’dの形状、大きさ、及び位置については、接着剤50’e〜50’hをコ字状被覆片23’c〜34’cとガラスパネル25、35との間に行き渡らせることが可能であれば、特に限定されない。図8に示されたような略半円形の凸部のほか、略矩形状、略三角形状等としてもよい。但し、上記タッピングホールの場合と同様に、二枚のガラス板間の略中央に凸部が配置される形態が好ましい。
また、上記説明においては、戸先框23、33、内召し合わせ框24、及び外召し合わせ框34にタッピングホールが設けられない形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、障子20、30を、いわゆる横通しの障子として、戸先框23、33、内召し合わせ框24、及び外召し合わせ框34にタッピングホールを設けてもよい。
また、上記説明においては、コ字状被覆片21c〜32c、23’c〜34’cにおいて、タッピングホール(凸部)が一つずつ設けられる形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、凸部が複数設けられた形態であってもよい。
また、上記説明においては、接着手段として接着剤50を用いる形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。凸部によって形状が変化しうる接着手段、例えば、軟性の接着シート等を用いてもよい。但し、本発明の効果がより顕著に得られる観点から、液状の接着剤を用いることが好ましい。
また、上記説明においては、枠体10の縦枠14、15にカバー部材80、81が備えられるとともに、戸先框23、33に把手26、36が備えられる形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。カバー部材80、81及び把手26、36を設けず、戸先框23、33に溝部を設けることと等によって障子20、30をスライド可能な形態としてもよい。但し、断熱性確保の観点、意匠性向上の観点から、カバー部材80、81を設け、引手用の把手26、36を設けることが好ましい。
以上、現時点において最も実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う開口部装置もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
10 枠体
11 上横枠
12 下横枠
14、15 縦枠
20 障子
21 上横框
21c コ字状被覆片
21d タッピングホール(凸部)
22 下横框
22c コ字状被覆片
22d タッピングホール(凸部)
23 戸先框
24 内召し合わせ框
25 ガラスパネル
26 把手
30 障子
40 施錠装置
50a〜50f 接着剤
51a〜51h スペーサ
80、81 カバー部材
100 開口部装置

Claims (3)

  1. 建物開口部に沿って設けられた枠体、及び、該枠体の見付方向内側に配置されるとともに、ガラスパネルと框とを有する障子、を備え、
    前記框には、底片と該底片の両端から立設する二つの片とを有する、断面形状がコ字状の被覆片が備えられるとともに、該被覆片の前記底片には、前記コ字状の開口側に向かって凸である凸部が設けられ、
    前記被覆片と前記ガラスパネルとが接着手段により接着されて、該ガラスパネルの外縁が前記框に覆われるとともに、前記凸部の少なくとも一部が、前記ガラスパネルの見付け方向外側端面よりも、見付け方向内側に突出している、開口部装置。
  2. 前記凸部が、前記框に備えられたタッピングホールである、請求項1に記載の開口部装置。
  3. 前記凸部が、前記底片の略中央に設けられている、請求項1又は2に記載の開口部装置。
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