JP2010275762A - 側方流動対策構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の側方流動対策と比較して大幅に少ない改良ボリュームで確実に地盤の側方流動に伴う構造物の被害を軽減させる(防止する)ことを可能にする側方流動対策構造を提供する。
【解決手段】液状化層4の上に非液状化層5がある地盤Gに杭基礎1を備えて構築される構造物2の側方流動による被害を軽減させるための側方流動対策構造Aであって、壁状体10とこの壁状体10を支持する柱状体11とを備えて構成し、少なくとも構造物2に対して側方流動方向T下流側の地盤G内に設ける。また、壁状体10は、液状化層4の上の非液状化層5から液状化層4に1m以上根入れして設ける。さらに、柱状体11は、壁状体10に沿う横方向Hに間隔をあけて壁状体10と一体に設けるとともに液状化層4の上の非液状化層5から液状化層4の下の非液状化層6に達するように設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、地盤の液状化に伴う側方流動による構造物の被害を軽減させる(防止する)ための側方流動対策構造に関する。
例えば、傾斜した地盤や河川、海等の水域近くの地盤は、地震時に液状化に伴う側方流動が発生する場合がある。特に、地震によって護岸が変位(移動)し、液状化した地盤(水域近くの地盤)が護岸の変位に追随し、沈下しながら側方流動する事例が数多く報告されている。
そして、このような護岸付近の地盤に構築した構造物(例えば、建物、橋梁(橋脚)など)は、側方流動によって大きな被害を受けることがある。また、図11に示すように、杭基礎(杭1)を備えて構築した構造物2では、側方流動が生じた際に護岸3に近い側の杭1に大きな流動圧が作用するため、この護岸3に近い側の杭1の被害が顕著になることが知られている。さらに、地盤Gが側方流動した際に、液状化層4に対し表層の非液状化層5は、変位が大きくなり、また、地盤剛性も大きいため、この液状化層4と表層の非液状化層5の境界部分で大きな曲げモーメントやせん断力が作用して杭1が破損する場合が多い。
これに対し、特許文献1には、構造物の基礎を対向する二方向から挟んで且つ隣り合う各基礎間の地盤を囲んで連続する地中壁を構築し、この地中連続壁を固定手段で各基礎に固定した側方流動対策構造(構造物群の基礎補強構造)が開示されている。
また、特許文献2には、構造物の外周の地盤に、この構造物を包囲するように、側方流動の方向に沿う流線型状に包囲壁を配設した側方流動対策構造(側方流動防止構造)が開示されている。
一方、特許文献3や特許文献4には、構造物の直下の地盤を側方流動の影響がなくなる深さまで改良したり、杭周辺の地盤を改良して、側方流動に耐えられるだけの杭の剛性を確保するようにした側方流動対策構造(地盤側方流動防止工法)が開示されている。
特開平9−158212号公報 特開平9−316865号公報 特開平10−219671号公報 特開平10−325137号公報
しかしながら、特許文献1の側方流動対策構造においては、地中壁によって隣り合う構造物の基礎の間の地盤と周辺地盤とを絶縁することで、周辺地盤に側方流動が生じた場合であっても各基礎の間の地盤が側方流動することを防止できるが、この地中壁を各構造物の基礎に剛接合して設けるため、非常にコストがかかるという問題がある。
また、特許文献2の側方流動対策構造においては、側方流動方向に沿う流線型状(舟形)の包囲壁で構造物を包囲することにより、包囲壁内の地盤と包囲壁外の地盤を絶縁することができ、特許文献1と同様に、構造物を包囲した包囲壁内の地盤が側方流動することを防止できる。しかしながら、このような流線型状の包囲壁を設ける場合には、構造物の周辺に広い敷地を要し、また、包囲壁の長さ(側方流動方向の長さ)が構造物の外周長よりも遥かに大きくなるため、やはり経済性に問題がある。
さらに、特許文献3や特許文献4の地盤改良による側方流動対策構造においては、既存の構造物の側方流動対策として適用することが困難であり、また、構造物の平面積が大きいほどに改良ボリュームが大きくなるため、やはり経済性に問題がある。
本発明は、上記事情に鑑み、従来の側方流動対策と比較して大幅に少ない改良ボリュームで確実に地盤の側方流動に伴う構造物の被害を軽減させる(防止する)ことを可能にする側方流動対策構造を提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明の側方流動対策構造は、液状化層の上に非液状化層がある地盤に杭基礎を備えて構築される構造物の前記地盤の側方流動による被害を軽減させるための側方流動対策構造であって、壁状体と該壁状体を支持する柱状体とを備えて構成され、少なくとも前記構造物に対して側方流動方向下流側の地盤内に設けられており、前記壁状体は、前記液状化層の上の非液状化層から前記液状化層に1m以上根入れして設けられ、前記柱状体は、前記壁状体に沿う横方向に間隔をあけて前記壁状体と一体に設けられるとともに前記液状化層の上の非液状化層から前記液状化層の下の非液状化層に達するように設けられていることを特徴とする。
この発明においては、少なくとも構造物に対して側方流動方向下流側にのみ、柱状体と壁状体からなる側方流動対策構造を設けることによって、地震時に地盤が液状化して構造物の周辺地盤に側方流動が生じた場合であっても、構造物直下の地盤(液状化層の上の非液状化層、上層の非液状化層)が側方流動して変位することを抑制することが可能になる。
すなわち、液状化層に1m以上根入れし、柱状体で支持して壁状体が設けられているため、構造物の周辺地盤に側方流動が発生した際には、この壁状体によって構造物下の液状化層の表層部分の変位が小さく抑えられ、この液状化層に追随する液状化層の上の非液状化層の変位を小さく抑えることが可能になる。これにより、壁状体によって構造物直下の地盤(上層の非液状化層)が側方流動して変位することを抑止することが可能になる。
このとき、壁状体を支持する柱状体が液状化層の下の非液状化層(下層の非液状化層)に達するように設けられていることで、確実に壁状体を支持することが可能になる。また、柱状体が壁状体に沿う横方向に間隔をあけて設けられているため、壁状体の下方の隣り合う柱状体の間を液状化層が流動して液状化層の流動圧の一部を逃がす効果が得られる。このため、柱状体に過大な水平力(流動圧)が作用することがなく、この点からも確実に柱状体によって壁状体を支持して、構造物直下の地盤の変位を抑止することが可能になる。
また、本発明の側方流動対策構造においては、前記構造物に対して側方流動方向上流側の地盤内にも設けられていることが望ましい。
この発明においては、壁状体と柱状体からなる側方流動対策構造が構造物に対して側方流動方向下流側に加えて側方流動方向上流側の地盤内にも設けられているため、側方流動方向下流側と上流側の側方流動対策構造で構造物下の地盤が挟まれる形となり、構造物直下の地盤(上層の非液状化層)の変位を確実に抑止することが可能になる。
さらに、本発明の側方流動対策構造においては、隣り合う前記柱状体の間に前記壁状体を配設して構成されていることが望ましい。
この発明においては、例えばセメント改良体として柱状体と壁状体を構築する場合に、液状化層に1m以上根入れしながら壁状体を形成(構築)するとともに、横方向の所定位置で下層の非液状化層に到達するように柱状体を形成(構築)することが可能になる。すなわち、柱状体と壁状体を交互に連続的に形成しながら効率的に側方流動対策構造を構築することが可能になる。
また、本発明の側方流動対策構造においては、横方向に連続的に設けられた前記壁状体の壁面に隣接するように前記柱状体を配設して構成されていてもよい。
この発明においては、壁状体の壁面に隣接して柱状体を設けることによって、確実に壁状体を柱状体で支持することが可能になる。
本発明の側方流動対策構造においては、少なくとも構造物に対して側方流動方向下流側にのみ、柱状体と壁状体からなる側方流動対策構造を設けることによって、液状化層に1m以上根入れし、柱状体で支持した壁状体で、構造物直下の地盤(上層の非液状化層)が側方流動して変位することを抑止することが可能になる。
また、このとき、壁状体を支持する柱状体が下層の非液状化層に達するように設けられていることで、確実に壁状体を支持することが可能になり、さらに、柱状体が壁状体に沿う横方向に間隔をあけて設けられていることで、壁状体の下方の隣り合う柱状体の間を液状化層が流動して液状化層の流動圧の一部を逃がす効果が得られる。このため、柱状体に過大な水平力(流動圧)が作用することがなく、確実に柱状体によって壁状体を支持して、構造物直下の地盤の変位を抑止することが可能になる。
そして、このように構造物直下の地盤の変位を抑止できることによって、液状化層と上層の非液状化層の境界部分の杭基礎に大きな曲げモーメントやせん断力が作用することがなくなり、構造物の杭基礎の損傷を軽減させる(防止する)ことが可能になる。また、上層の非液状化層の変位を抑止できることによって、構造物の上部構造の被害も軽減させる(防止する)ことが可能になる。
さらに、少なくとも構造物に対して側方流動方向下流側にのみ、柱状体と壁状体からなる側方流動対策構造を設けることで上記作用効果を得ることが可能であるため、従来の側方流動対策構造と比較し、改良ボリュームを大幅に少なくして、構造物の被害を軽減させることが可能になる。
本発明の一実施形態に係る側方流動対策構造を示す図である。 図1のX1−X1線矢視図である。 図2のX1−X1線矢視図である。 側方流動が発生した場合に、本発明の一実施形態に係る側方流動対策構造で構造物直下の地盤の変位を抑止した状態を示す図である。 側方流動対策構造の壁状体を液状化層に根入れしていない場合の地盤変位と根入れ抵抗を示す図である。 側方流動対策構造の壁状体を液状化層に根入れした場合の地盤変位と根入れ抵抗を示す図である。 本発明の一実施形態に係る側方流動対策構造を、構造物に対して側方流動方向下流側に加えて側方流動方向上流側に設けた場合を示す図である。 本発明の一実施形態に係る側方流動対策構造を構造物から離れた位置に設けた場合を示す図である。 本発明の一実施形態に係る側方流動対策構造の変形例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る側方流動対策構造の変形例を示す図である。 地盤の側方流動によって構造物の杭基礎に損傷が生じた状態を示す図である。
以下、図1から図6を参照し、本発明の一実施形態に係る側方流動対策構造について説明する。本実施形態は、地盤の液状化に伴う側方流動による構造物の被害を軽減させる(防止する)ための側方流動対策構造に関するものである。
はじめに、本実施形態において、構造物2は、図1及び図2に示すように、海や河川などの水域Sに近い地域(すなわち地盤Gの高低差がある護岸3に近い地域)に杭基礎(杭1)を備えて構築されている。また、地盤Gは、液状化層4の上に非液状化層5(上層の非液状化層)がある地盤であり、構造物2の杭1は、液状化層4の下の非液状化層6(下層の非液状化層)、さらにこの下層の非液状化層6の下の支持層7に達するように構築されている。
本実施形態の側方流動対策構造Aは、図1から図3に示すように、壁状体10とこの壁状体10を支持する柱状体11とを備えて構成され、構造物2に対して護岸3側の地盤G内(構造物2に対して側方流動方向T下流側の地盤G内)に設けられている。また、本実施形態において、側方流動対策構造Aは、構造物2の護岸3側の外周2aよりも僅かに大きな幅(構造物2の護岸3側の外周2aに沿う横方向Hの長さ)を備え、構造物2の護岸3側の外周2a近傍に、この構造物2の護岸3側の外周2aに沿って配設されている。
また、本実施形態の側方流動対策構造Aは、隣り合う柱状体11の間に壁状体10を配設して構成されている。柱状体11は、鋼矢板(シートパイル)、鋼管、セメント系改良体などであり、所定の剛性と強度を備えて形成(構築)されている。そして、この柱状体11は、壁状体10に沿う横方向H(構造物2の護岸3側の外周2aに沿う横方向H)に所定の間隔をあけて壁状体10と一体に設けられている。また、各柱状体11は、上層の非液状化層5から下層の非液状化層6に達するように設けられている。
ここで、柱状体11は、壁状体10が表層地盤(液状化層4の上層部分及び上層の非液状化層5)とともに護岸3側へ大きく移動することを防ぐためのものであり、地震時に液状化した液状化層4の流動圧など壁状体10が受ける水平力で破壊しないだけの剛性と強度を有するものとする。なお、セメント系改良体で柱状体11を形成する場合には、径が十分に大きい場合を除いて鋼材などの芯材を入れて形成し、所定の剛性と強度を確保することが好ましい。
一方、壁状体10は、鋼矢板(シートパイル)、鋼管、セメント系改良体などであり、所定の剛性と強度を備えて形成(構築)されている。そして、各壁状体10は、隣り合う柱状体11の間に配設して支持され、構造物2の護岸3側の外周3aに沿い、地盤Gの側方流動方向Tに直交する横方向Hに延設されている。また、壁状体10は、図1に示すように、上層の非液状化層5から液状化層4に1m以上根入れして設けられている。
ここで、壁状体10は、側方流動が発生した際に、構造物2(上部構造2b)直下の地盤G(上層の非液状化層5)の変位を抑止するためのものであり、構造物2直下の地盤Gから作用する水平力を受けて、柱状体11とともにこの地盤Gを支えるために必要な剛性と強度を有するものとする。なお、セメント系改良体で壁状体10を形成する場合には、その一部にH形鋼などの芯材を入れ、剛性と強度の増大を図るようにしてもよい。
ついで、上記構成からなる側方流動対策構造Aの作用及び効果を説明する。
はじめに、本実施形態の側方流動対策構造Aを構築する際には、構造物2の護岸3側の外周2aに沿って地盤改良を行ったり、鋼矢板、鋼管を打設するなどして順次壁状体10と柱状体11を構築してゆく。このとき、本実施形態の側方流動対策構造Aが隣り合う柱状体11の間に壁状体10を配設して構成されるため、例えばセメント系改良体でこの側方流動対策構造Aを構築する場合には、液状化層4に1m以上根入れして壁状体10を形成し、横方向Hの所定位置で下層の非液状化層6に達するように柱状体11を形成する。そして、壁状体形成区間と柱状体形成区間で改良深度を変えるだけで壁状体10と柱状体11が形成できるため、交互に且つ連続的に壁状体10と柱状体11を形成してゆくことにより、効率的に側方流動対策構造Aの施工が行えることになる。
また、本実施形態のように、構造物2に対して護岸3側にのみ側方流動対策構造Aを設け、さらに壁状体10を液状化層4に根入れして構築することで、従来の側方流動対策構造と比較し、改良ボリュームが大幅に少なくなる。また、構造物2の外周2aから外側に側方流動対策構造Aを設けるため、新設の構造物、既存の構造物を問わず、側方流動対策構造Aの施工が行える。さらに、非液状化層5の種類(砂、粘土)や地下水位に関わりなく、側方流動対策構造Aの施工が行える。
そして、上記のように構築した本実施形態の側方流動対策構造Aでは、図4に示すように、地震による地盤G(液状化層4)の液状化に伴って護岸3が変位し、この護岸3の変位とともに地盤Gに側方流動が発生した場合であっても、この側方流動が側方流動対策構造Aよりも護岸3側の地盤G(周辺地盤)でのみ顕著に発生し、側方流動対策構造Aの背面側(側方流動対策構造Aよりも側方流動方向T上流側)の地盤Gの側方流動が抑制される。
すなわち、液状化層4の上に非液状化層5がある地盤Gに構造物2を構築した場合、地震時に上層の非液状化層5の変位を小さくすれば、構造物2に与える影響が小さくなる。そして、上層の非液状化層5は、地震によって液状化する液状化層4の上に積層され、海に浮かんだ氷山のようなものであるため、液状化層4の変位を抑えることで、上層の非液状化層5の変位も小さく抑えられる。
そして、液状化層4に根入れして設けられた壁状体10は、護岸3側の地盤Gに側方流動が発生した際、この護岸3側の地盤Gの側方流動に追随して護岸3側に流動しようとする構造物2直下の液状化層4の流動圧(水平力)を受け止め、この液状化層4の表層に近い部分(壁状体10を根入れした部分)の液状化層4の変位を抑制する。このように壁状体10によって表層に近い液状化層4の変位が抑制されることで、液状化層4の動きに追随する上層の非液状化層5の変位が抑制される。
また、このとき、下層の非液状化層6に達し、横方向Hに間隔をあけて設けられた柱状体11に壁状体10が支持されているため、壁状体10が表層地盤とともに護岸3側に大きく移動することが確実に防止される。このため、壁状体10によって確実に液状化層4の表層に近い部分の変位、ひいては上層の非液状化層5の変位が小さく抑えられる。
一方、壁状体10の下端よりも下方の液状化層4(壁状体10が根入れされていない部分の液状化層4)は、護岸3側の地盤Gの側方流動に追随して護岸3側に流動することになるが、壁状体10を支持する柱状体11が横方向Hに間隔をあけて設けられているため、壁状体10よりも下方の隣り合う柱状体11の間をこの液状化層4が流動する。このため、隣り合う柱状体11の間を液状化層4が流動することで流動圧の一部を逃がす効果が得られ、柱状体11に過大な水平力が作用することが防止される。これにより、壁状体10が確実に柱状体11によって支持され、壁状体10の下端よりも下方の液状化層4の側方流動を許容した場合であっても、柱状体11で支持した壁状体10によって構造物2直下の上層の非液状化層5の変位が確実に小さく抑えられることになる。
そして、このように構造物2に対して護岸3側に設けた側方流動対策構造Aにより、構造物2直下の地盤G(上層の非液状化層5)の変位が小さく抑えられるため、液状化層4と地盤剛性が大きい上層の非液状化層5の境界部分に大きな曲げモーメントやせん断力が作用することがなく、この境界部分における杭1の破損が確実に防止される。また、構造物2直下の地盤Gの変位が小さく抑えられることで、構造物2の上部構造2bの被害も軽減(防止)される。なお、壁状体10が根入れされていない部分の液状化層4の側方流動を許容することで、この部分の液状化層4の変位が大きくなるが、液状化により地盤剛性が小さくなるので杭1に与える影響は小さく、この部分の液状化層4の流動(流動圧)によって杭1が破損するようなことはない。
ここで、図5及び図6は模擬実験の結果を示しており、図5は壁状体10を液状化層4に根入れしていない場合、図6は本実施形態のように壁状体10を液状化層4に根入れした場合(本発明に係る側方流動対策構造Aを設けた場合)における壁状体10の抵抗(根入れ抵抗)と、構造物4と地盤G(基礎と地表面)の相対変位とを示している。そして、これら図5と図6の比較により、液状化層4に根入れして壁状体10を設けることで、地震時に地盤G(液状化層4及び上層の非液状化層5)の変位が小さく抑えられ、且つ壁状体10の抵抗(構造物2に作用する荷重)が小さく抑えられることが実証されている。
したがって、本実施形態の側方流動対策構造Aにおいては、構造物2に対して側方流動方向T下流側にのみ、柱状体11と壁状体10からなる側方流動対策構造Aを設けることによって、液状化層4に1m以上根入れし、柱状体11で支持した壁状体10で、構造物2直下の地盤G(上層の非液状化層5)が側方流動して変位することを抑止することが可能になる。
また、このとき、壁状体10を支持する柱状体11が下層の非液状化層6に達するように設けられていることで、確実に壁状体10を支持することが可能になり、さらに、柱状体11が壁状体10に沿う横方向Hに間隔をあけて設けられていることで、壁状体10の下方の隣り合う柱状体11の間を液状化層4が流動して液状化層4の流動圧の一部を逃がす効果が得られる。このため、柱状体11に過大な水平力(流動圧)が作用することがなく、確実に柱状体11によって壁状体10を支持して、構造物2直下の地盤Gの変位を抑止することが可能になる。
そして、このように構造物2直下の地盤Gの変位を抑止できることによって、液状化層4と上層の非液状化層5の境界部分の杭1に大きな曲げモーメントやせん断力が作用することがなくなり、構造物2の杭1の損傷を軽減させる(防止する)ことが可能になる。また、上層の非液状化層5の変位を抑止できることによって、構造物2の上部構造2bの被害も軽減させる(防止する)ことが可能になる。
さらに、構造物2に対して側方流動方向T下流側にのみ、柱状体11と壁状体10からなる側方流動対策構造Aを設けて上記作用効果を得ることが可能であるため、従来の側方流動対策構造と比較し、改良ボリュームを大幅に少なくして、構造物2の被害を軽減させることが可能になる。
また、本実施形態の側方流動対策構造Aにおいては、隣り合う柱状体11の間に壁状体10を配設して構成することにより、例えばセメント改良体として柱状体11と壁状体10を構築する場合に、液状化層4に1m以上根入れしながら壁状体10を形成(構築)するとともに、横方向Hの所定位置で下層の非液状化層6に達するように柱状体11を形成(構築)することが可能になる。すなわち、柱状体11と壁状体10を交互に連続的に形成しながら効率的に側方流動対策構造Aを構築することが可能になる。
以上、本発明に係る側方流動対策構造の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、護岸2に近い地域に構築された構造物2に対し、本発明に係る側方流動対策構造Aを設けて側方流動による被害を軽減させるものとして説明を行ったが、本発明に係る側方流動対策構造は、例えば傾斜した地盤など、地震による液状化に伴って側方流動が発生しうる地盤Gに構築したあらゆる構造物2の側方流動対策として適用可能であり、本実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
また、本実施形態では、構造物2に対し側方流動方向T下流側の地盤G内にのみ側方流動対策構造Aを設けるものとして説明を行ったが、図7に示すように、構造物2に対し、側方流動方向T下流側と側方流動方向T上流側の地盤G内にそれぞれ、柱状体11と壁状体10からなる側方流動対策構造Aを設けるようにしてもよい。すなわち、構造物2の護岸3側(正面側)だけでなく、背面側に側方流動対策構造Aを設けるようにしてもよい。そして、このように構造物2に対して護岸3側と背面側にそれぞれ側方流動対策構造Aを設けることによって、両側方流動対策構造Aで構造物2下の地盤Gが挟まれる形となり、護岸3側の地盤Gに側方流動が生じた場合であっても、両側方流動対策構造Aによって(背面側に側方流動対策構造Aを設けることによって)より確実に構造物2直下の地盤G(上層の非液状化層5)の変位を抑制することが可能になる。これにより、より確実に構造物2の上部構造2b及び杭1の被害を軽減させる(防止する)ことが可能になる。なお、構造物2の側面側に側方流動対策構造Aを設けるようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、側方流動対策構造Aが、構造物2の護岸3側の外周2aよりも僅かに大きな幅(構造物2の護岸3側の外周2aに沿う横方向Hの長さ)を備え、構造物2の護岸3側の外周2a近傍に配設されているものとしたが、図8に示すように、構造物2から離れた位置に側方流動対策構造Aを設けるようにしてもよい。この場合には、構造物2から離れるほど、側方流動対策構造Aの脇を抜けて地盤Gが移動するおそれがあるため、その分、側方流動対策構造Aの幅(横方向Hの長さ)を大きくする。このとき、図8に示す角度θが上層の非液状化層5の内部摩擦角以上となるようにし、この角度θに応じて側方流動対策構造Aの幅を設定することが好ましく、このようにすることで確実に本実施形態と同様の効果を得ることが可能になる。
また、本実施形態では、隣り合う柱状体11の間に壁状体10が設けられて側方流動対策構造Aが構成されているものとしたが、図9に示すように、横方向Hに連続的に設けられた壁状体10の壁面10aに隣接するように柱状体11を配設して構成してもよい。このように壁状体10の壁面10aに隣接して柱状体11を設けた場合であっても、確実に壁状体10を柱状体11で支持することが可能になり、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、本発明に係る側方流動対策構造Aを既存の構造物2に適用する場合、既設の配管12などにより横方向Hに連続的に施工できない場合がある。これに対し、図10に示すように、一部の隣り合う柱状体11(11a、11b)の間に壁状体10を設けずに側方流動対策構造Aを構築し、この隣り合う柱状体11a、11bの間の隙間で既設の配管12などを通すようにしてもよい。この場合には、隙間を地盤Gが通り抜けて変位の抑止効果がやや低下するが、この隙間の幅を極力小さくすることで、通り抜けようとする地盤Gをアーチ効果で持たせることも可能である。そして、このようにアーチ効果で持たせる場合には、配管12などを挟む柱状体11a、11bに荷重がやや大きく作用する可能性があるため、これらの柱状体11a、11bの剛性、強度を他の柱状体11よりも上げておくことが望ましい。
1 杭(杭基礎)
2 構造物
2a 護岸側の外周
2b 上部構造
3 護岸
4 液状化層
5 上層の非液状化層
6 下層の非液状化層
7 支持層
10 壁状体
11 柱状体
A 側方流動対策構造
G 地盤
S 水域
T 側方流動方向

Claims (4)

  1. 液状化層の上に非液状化層がある地盤に杭基礎を備えて構築される構造物の前記地盤の側方流動による被害を軽減させるための側方流動対策構造であって、
    壁状体と該壁状体を支持する柱状体とを備えて構成され、少なくとも前記構造物に対して側方流動方向下流側の地盤内に設けられており、
    前記壁状体は、前記液状化層の上の非液状化層から前記液状化層に1m以上根入れして設けられ、
    前記柱状体は、前記壁状体に沿う横方向に間隔をあけて前記壁状体と一体に設けられるとともに前記液状化層の上の非液状化層から前記液状化層の下の非液状化層に達するように設けられていることを特徴とする側方流動対策構造。
  2. 請求項1記載の側方流動対策構造において、
    前記構造物に対して側方流動方向上流側の地盤内にも設けられていることを特徴とする側方流動対策構造。
  3. 請求項1または請求項2に記載の側方流動対策構造において、
    隣り合う前記柱状体の間に前記壁状体を配設して構成されていることを特徴とする側方流動対策構造。
  4. 請求項1または請求項2に記載の側方流動対策構造において、
    横方向に連続的に設けられた前記壁状体の壁面に隣接するように前記柱状体を配設して構成されていることを特徴とする側方流動対策構造。
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