JP2010274463A - 多色成形品の成形方法、および成形装置 - Google Patents

多色成形品の成形方法、および成形装置 Download PDF

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【課題】多色成形品の軽量化と変形防止とを実現できる多色成形品の成形方法および成形装置の提供を図る。
【解決手段】補助キャビティ12Cはトリムアッパー2の成形後、可動分割型13を下動することにより該トリムアッパー2の端部下方に他方の分割キャビティ12Bと連通して形成される。補助キャビティ12Cに充填される溶融樹脂または該補助キャビティ12Cで成形されたジョイント部4は、可動分割型13に組込まれた超音波振動発生装置20の作動により該可動分割型13を介して超音波振動が付与され、以て、トリムアッパー2とジョイント部4とが超音波融着されて、2色の色違いのトリムアッパー2とトリムロア3とからなるドアトリム1が一体成形される。
【選択図】図2

Description

本発明は自動車のドアトリムに代表される車両用内装材を始めとして、各種の室内装飾に用いられる合成樹脂製の多色成形品の成形に利用して有効な多色成形品の成形方法および成形装置に関する。
車両用サイドドアのドアトリムの中には、図1に示すようにドアトリム1の略上半部のトリムアッパー2と、略下半部のトリムロア3とを、彩色を異ならせて配色構成することによって意匠効果を高められるようにしたものが知られている。
図5,図6は、このような多色成形品の一体成形に従来用いられている成形方法および成形装置を示している。
型締め,型開きされる一対の上型10と下型11の一方、例えば下型11にはこれら上型10と下型11との間に形成されるキャビティ12を複数の分割キャビティ12A,12Bに隔成する可動分割型13が設けられている。
この可動分割型13はシリンダー機構17によって上下動され、その上面の成形面14は突出部15を設けて多段に形成されている。
この可動分割型13の下段の成形面14aは、図7に前記ドアトリム1の部分断面として示す多色成形品1の一方の成形品要素2の裏面を成形し、上段の成形面14bは、該一方の成形品要素2に隣接する他方の成形品要素3の裏面を成形する。従って、該可動分割型13は前記下段の成形面14aが下型11の成形面11aと面一に整合する高さ位置で上昇移動規制され、上段の成形面14bが下型11の成形面11aと面一に整合する高さ位置で下降移動規制される。
前記上型10の成形面10aには、前記多色成形品1の成形品要素2,3のパーティングラインを形成する略山形断面の成形突起16が設けられている。
この成形突起16は、前記可動分割型13の上昇限位置で前記突出部15の一側の斜面15aに密接することにより、該可動分割型13との共働で前記キャビティ12を分割キャビティ12Aと12Bとに隔成するように構成されている。
図5に示すように、可動分割型13をシリンダー機構17によって上昇限位置まで移動し、キャビティ12を分割キャビティ12A,12Bに隔成した状態で一方の分割キャビティ12Aに所要の溶融樹脂を射出充填する。これにより、該分割キャビティ12Aで成形品1の一方の成形品要素2が成形される。
続いて、可動分割型13をシリンダー機構17によって図6に示すように下降限位置まで移動すると、前記一方の成形品要素2の端部下方には、他方の分割キャビティ12Bに連通する補助キャビティ12Cが形成される。
そこで、前記他方の分割キャビティ12B側から該分割キャビティ12Bおよび補助キャビティ12Cに、前記一方の成形品要素2とは彩色の異なる所要の溶融樹脂を射出充填することにより、該分割キャビティ12Bで前記一方の成形品要素2に隣接する他方の成形品要素3が成形され、補助キャビティ12Cで該成形品要素3と連設されて前記一方の成形品要素2の端部と上下方向にオーバーラップしたジョイント部4が成形される。
これらジョイント部4と一方の成形品要素2とは、それらの境界面において前記補助キャビティ12Cに充填される溶融樹脂の熱で融着される。
これにより、図7に示すように2色の色違いの成形品要素2と3がパーティングラインP・Lを境にして隣接した多色成形品1の一体成形が可能となる。
この類似技術は、例えば特許文献1に示されている。
特開2008−194984号公報
前記従来の成形方法および成形装置では、前述のようにジョイント部4と一方の成形品要素2との接合は、該ジョイント部4の成形時における溶融樹脂の熱で相互に融着させて行わせるのであるが、前記一方の成形品要素2の成形とジョイント部4との成形にタイムラグが不可避的に生じて、一方の成形品要素2が分割キャビティ12Aを構成する成形面10a,11a,14aで冷却されることと、前記他方の分割キャビティ12B側から射出充填された溶融樹脂が補助キャビティ12Cに充満するまでの間に冷却されて温度降下が生じ、前記一方の成形品要素2とジョイント部4との境界面の温度を相互融着に必要な所定の温度に確保することが不可能なため、融着が不完全になる可能性がある。
そこで、このような融着不良を補うために、前記一方の成形品要素2とジョイント部4との上下方向のオーバーラップ長さLを拡大して、両者の接合面積を大きくとって接合強度を確保するようにしている。
この結果、前記ジョイント部4の延設長が大きくなって成形品重量が嵩んでしまうことはもとより、多色成形品1の型抜き後における前記ジョイント部4と一方の成形品要素2との融着接合部分と、成形品要素2,3の一般部分とで冷却サイクルが大きく異なって、前記融着接合部分を起点とする変形が生じる可能性がある。
そこで、本発明は一方の成形品要素とジョイント部とのオーバーラップ長さを短くして接合強度を確保することが可能で、多色成形品の軽量化と変形防止とを実現することができる多色成形品の成形方法および成形装置を提供するものである。
本発明の成形方法にあっては、上型と下型との間に形成されるキャビティを可動分割型により複数の分割キャビティに隔成する工程と、隣接する一方の分割キャビティに溶融樹脂を充填して、隣接する一方の成形品要素を成形する工程と、前記可動分割型を上下方向に移動して、前記一方の成形品要素における該可動分割型に対応した部分の下方または上方に、隣接する他方の分割キャビティに連通する補助キャビティを形成する工程と、前記他方の分割キャビティと補助キャビティに前記一方の成形品要素とは異なる彩色の溶融樹脂を充填して、該一方の成形品要素と隣接する他方の成形品要素と、該一方の成形品要素の一部と上下方向にオーバーラップするジョイント部と、を連設成形する工程と、超音波振動発生装置により前記可動分割型を介して前記補助キャビティに充填される溶融樹脂、または該補助キャビティで成形されたジョイント部に超音波振動を付与して、前記ジョイント部と一方の成形品要素の一部とを超音波融着する工程と、を含むことを主要な特徴としている。
また、本発明の成形装置にあっては、型締め,型開きされる一対の上型および下型と、前記上型および下型の少くとも一方に設けられて、これら上型と下型とで形成されるキャビティを複数の分割キャビティに隔成可能で、かつ、上下方向の移動により、隣接する一方の分割キャビティで成形される一方の成形品要素の下方または上方に、隣接する他方の分割キャビティに連通する補助キャビティを形成可能な可動分割型と、該可動分割型に設けられて、前記一方の成形品要素の成形後に、補助キャビティに充填される溶融樹脂、または該補助キャビティで成形されるジョイント部に超音波振動を付与する超音波振動発生装置と、を備えたことを主要な特徴としている。
前記補助キャビティは、一方の分割キャビティで一方の成形品要素の成形後に、可動分割型を離間方向に移動することによって、該一方の成形品要素と可動分割型との間に形成される。これに続いて他方の分割キャビティとこの補助キャビティには、前記一方の成形品要素とは彩色の異なる溶融樹脂が充填されて、他方の成形品要素とジョイント部とが連設して成形されるが、可動分割型は前記超音波振動発生装置により前記他方の分割キャビティおよび補助キャビティに溶融樹脂が充填される前から振動され、もしくは補助キャビティで溶融樹脂が固化してジョイント部が成形された状態で振動される。
本発明の成形方法および成形装置によれば、一方の成形品要素とジョイント部とは超音波融着されるため、溶融樹脂の温度に左右されることなくこれら一方の成形品要素とジョイント部とを確実に接合することができて接合強度を高めることができる。
これにより、ジョイント部の延設長を従来のように長めに設定して接合面積を拡大する必要がなく、該ジョイント部の延設長を可及的に短く設定することが可能となる。
この結果、軽量で、かつ、冷却サイクルの差に起因する前記接合部分を起点とする変形を抑制できて、成形品質の高い多色成形品を成形することができる。
本発明により成形される多色成形品の一例として示すドアトリムの側面図。 本発明に係る成形装置の一実施形態の要部を示す断面説明図。 図2に示した成形装置により一方の成形品要素を成形した状態を示す断面説明図。 図2,図3に示した成形装置により成形された多色成形品の要部を示す断面図。 従来の成形装置を示す図2と同様の断面説明図。 従来の成形装置を示す図3と同様の断面説明図。 従来の成形装置により成形された多色成形品の要部を示す断面図。
以下、本発明の一実施形態を図面と共に前記従来の構成と同一部分に同一符号を付して詳述する。
図2,図3は本発明の成形方法に用いられる成形装置の一実施形態を示している。
本実施形態では、一例として図1に示すように彩色の異なるトリムアッパー2とトリムロア3とからなるドアトリム1を一体成形する場合について述べるものとし、以下、多色成形品をドアトリムと称し、一方の成形品要素をトリムアッパー、および他方の成形品要素をトリムロアと称する。
図2,図3に示す成形装置は、型締め,型開きされる一対の上型10と下型11、およびこれら上型10と下型11との間に形成されるキャビティ12を複数の分割キャビティ12A,12Bに分割する可動分割型13を備えている。
この可動分割型13は、前記上型10と下型11の少くとも一方、例えば下型11にシリンダー機構17によって上下動可能に配設されている。
前記可動分割型13の上面の成形面14は、突出部15を設けて多段に形成されている。
この可動分割型13の下段の成形面14aは、図4に部分断面として示すドアトリム(多色成型品)1のトリムアッパー(一方の成形品要素)2の裏面を成形し、上段の成形面14bは該トリムアッパー2の下側に隣接するトリムロア(他方の成形品要素)3の裏面を成形する。
このため、前記可動分割型13は前記下段の成形面14aが下型11の成形面11aと面一に整合する高さ位置で上昇移動規制され、上段の成形面14bが下型11の成形面11aと面一に整合する高さ位置で下降移動規制される。
前記上型10の成形面10aには、前記ドアトリム1のトリムアッパー2とトリムロア3とのパーティングラインP・Lを形成する略山形断面の成形突起16が設けられている。
この成形突起16は、前記可動分割型13の上昇限位置で前記突出部15の一側の斜面15aに密接することにより、該可動分割型13との共働で前記キャビティ12を分割キャビティ12Aと12Bとに隔成するように構成されている。
そして、前記可動分割型13は、前記一方の分割キャビティ12Aで前記トリムアッパー2を成形した後、続いて前記下降限位置まで移動することにより、トリムアッパー2の一側端部の下方に、隣接する他方の分割キャビティ12Bに連通する補助キャビティ12Cを形成可能とされている。
以上に述べた基本的構成は、図5,図6に示した前記従来の構造と同様である。
ここで、本実施形態にあっては、前記可動分割型13には、前記一方の分割キャビティ12Aでのトリムアッパー2の成形後に補助キャビティ12Cに充填される溶融樹脂、または該補助キャビティ12Cで成形されるジョイント部(図4参照)4に超音波振動を付与する超音波振動発生装置20が内蔵されている。
この超音波振動発生装置20は、ホーン21とブースター22とコンバータ23とがこの順に組付けられた公知のものが用いられている。
前記可動分割型13には部分的に開窓部13aが設けられ、前記超音波振動発生装置20は前記ホーン21を上にしてこの開窓部3a内に挿入配置され、該開窓部3aの上下面にねじ込みあるいは固定ボルト等、適宜の締結手段(図示省略)により固定されている。
次に、以上の構成からなる成形装置を用いて、図4に示す多色構成のドアトリム1を一体成形する手順(方法)について述べる。
先ず、上型10と下型11とを型締めしてこれら上型10と下型11との間にキャビティ12を形成する。
次に、可動分割型13をシリンダー機構17により上限位置まで移動すると、図2に示すように該可動分割型13の下段の成形面14aが下型11の成形面11aと面一に整合すると共に、突出部15の一側の斜面15aが上型10の略山形断面の成形突起16の一側面に密接し、これにより前記キャビティ12が分割キャビティ12A,12Bに隔成される。
次いで、一方の分割キャビティ12Aに所要の彩色の溶融樹脂を図外のゲートから射出充填し、該溶融樹脂が冷却固化することにより該分割キャビティ12Aでトリムアッパー2が成形される。
続いて、前記可動分割型13をシリンダー機構17により下降限位置まで移動すると、該可動分割型13の突出部15の上面で形成する上段の成形面14bが下型11の成形面11aと面一に整合すると共に、該可動分割型13の前記下段の成型面14aがトリムアッパー2の端部の下面(裏面)から離間して、図3に示すように該トリムアッパー2の端部下方に他方の分割キャビティ12Bに連通する補助キャビティ12Cが形成される。
そこで、前記他方の分割キャビティ12Bに図外のゲートから前記トリムアッパー2とは彩色の異なる溶融樹脂を射出充填すると、該溶融樹脂は前記補助キャビティ12Cにまで充満し、これら分割キャビティ12Bと補助キャビティ12Cでトリムロア3とジョイント部4とが連設成形されることになる。
ここで、前記補助キャビティ12Cに異なる彩色の溶融樹脂が充填されることで、その保有熱で前記トリムアッパー2の端部下面とジョイント部4の上面との熱融着が期待されるが、ジョイント部4の冷却固化後に前記超音波振動発生装置20を作動することにより、可動分割型13を介してジョイント部4に超音波振動が付与され、該ジョイント部4の上面とトリムアッパー2の下面とが超音波融着され、これらジョイント部4とトリムアッパー2の端部との接合が確実に行われる。
そして、上型10と下型11とを型開きして、図外のエジェクタピンにより型抜きを行うことにより、図4に示すように2色の色違いのトリムアッパー2とトリムロア3とがパーティングラインP・Lを境にして隣接した多色構成のドアトリム1が得られる。
前述のドアトリム1の成形方法では、超音波振動発生装置20をジョイント部4の冷却固化後に作動して、該ジョイント部4とトリムアッパー2との超音波融着を行わせるようにしているが、前記他方のキャビティ12Bおよび補助キャビティ12Cに溶融樹脂が射出充填される直前から該超音波振動発生装置20を作動し、補助キャビティ12Cに充填される溶融樹脂に可動分割型13を介して超音波振動を付与して、前記トリムアッパー2とジョイント部4との超音波融着を行わせるようにしてもよい。
以上のように本実施形態の成形方法および成形装置によれば、一方の成形品要素であるトリムアッパー2とジョイント部4とは、上型10と下型11とによる型成形の過程で可動分割型13内に組込まれた超音波振動発生装置20の作動により超音波融着されるため、溶融樹脂の温度に左右されることなくこれらトリムアッパー2とジョイント部4とを確実に接合することができて接合強度を高めることができる。
これにより、ジョイント部4の延設長を短くして、該ジョイント部4とトリムアッパー2との上下方向のオーバーラップ長さLを図4に示す如く可及的に短く設定することが可能となる。
この結果、軽量で、かつ、冷却サイクルの差に起因する前記接合部分を起点とする変形を抑制できて、成形品質の高い多色構成のドアトリム1を成形することができる。
前記実施形態では、2色の色違い構成のドアトリム1の成形に関して詳述したが、3色以上の色違い構成のドアトリム1の成形も可能である。
また、本発明は前記ドアトリム1の成形に限定されるものではなく、各種の合成樹脂成形品の成形に利用できることは勿論である。
1…ドアトリム(多色成形品)
2…トリムアッパー(一方の成形品要素)
3…トリムロア(他方の成形品要素)
4…ジョイント部
10…上型
11…下型
12…キャビティ
12A…一方の分割キャビティ
12B…他方の分割キャビティ
12C…補助キャビティ
13…可動分割型
20…超音波振動発生装置

Claims (2)

  1. 上型と下型との間に形成されるキャビティを可動分割型により複数の分割キャビティに隔成する工程と、
    隣接する一方の分割キャビティに溶融樹脂を充填して、隣接する一方の成形品要素を成形する工程と、
    前記可動分割型を上下方向に移動して、前記一方の成形品要素における該可動分割型に対応した部分の下方または上方に、隣接する他方の分割キャビティに連通する補助キャビティを形成する工程と、
    前記他方の分割キャビティと補助キャビティに前記一方の成形品要素とは異なる彩色の溶融樹脂を充填して、該一方の成形品要素と隣接する他方の成形品要素と、該一方の成形品要素の一部と上下方向にオーバーラップするジョイント部と、を連設成形する工程と、
    超音波振動発生装置により前記可動分割型を介して前記補助キャビティに充填される溶融樹脂、または該補助キャビティで成形されたジョイント部に超音波振動を付与して、前記ジョイント部と一方の成形品要素の一部とを超音波融着する工程と、を含むことを特徴とする多色成形品の成形方法。
  2. 型締め,型開きされる一対の上型および下型と、
    前記上型および下型の少くとも一方に設けられて、これら上型と下型とで形成されるキャビティを複数の分割キャビティに隔成可能で、かつ、上下方向の移動により、隣接する一方の分割キャビティで成形される一方の成形品要素の下方または上方に、隣接する他方の分割キャビティに連通する補助キャビティを形成可能な可動分割型と、
    該可動分割型に設けられて、前記一方の成形品要素の成形後に補助キャビティに充填される溶融樹脂、または該補助キャビティで成形されるジョイント部に超音波振動を付与する超音波振動発生装置と、を備えたことを特徴とする多色成形品の成形装置。
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