JP2010263134A - 可撓性電子回路基板およびその製造方法、並びに画像表示装置 - Google Patents

可撓性電子回路基板およびその製造方法、並びに画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】プラスチック等の可撓性を有する基板上に有機半導体を備える電子回路が積層された有機薄膜トランジスタ素子などの電子回路において、接続端子部の強度を改善してFPC基板との電気的な導通を確実にした可撓性電子回路基板およびその製造方法、並びに画像表示装置を提供すること。
【解決手段】可撓性を有する基板7と、該基板7上に有機半導体層6を備える電子回路が積層された可撓性電子回路基板であって、フレキシブルプリント基板20が備える端子電極18と接続される接続端子部を有し、該接続端子部は、電極配線(4,5)を備えると共に、該電極配線(4,5)に接するように絶縁保護膜16が形成されてなり、該絶縁保護膜16は少なくとも樹脂バインダーと無機物フィラーとを含み、前記絶縁保護膜16に含まれる樹脂バインダーの体積比率は40%以上67%以下であることを特徴とする。
【選択図】図2c

Description

本発明は、フレキシブル基板上に有機半導体層を備える電子回路が積層されてなる有機薄膜トランジスタ素子などの電子回路基板に関し、特に、接続端子部の強度に優れ外部回路基板との電気的な導通が確実な電子回路基板に関するものである。
また本発明は、プラスチック基板上に形成する電子回路基板に応用可能である。
近年、液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELとも称する。)ディスプレイ、電気泳動型ディスプレイなどの電気光学表示装置が開発されている。例えば、液晶装置では、薄膜トランジスタが形成された基板を駆動回路とし、これに液晶パネルを駆動するためのドライバIC等が実装されたフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuit)が接続された構造となっている。
このような従来の液晶表示パネルでは、フォトリソグラフィー法やエッチング法でガラス基板上へアモルファスシリコンTFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)素子などを形成して表示領域の駆動素子とし、前記表示領域の額縁に配置された端子部の電極配線への実装ダメージを低減するため、電極配線を保護膜で覆うことが行なわれていた(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。このため、ディスプレイへドライバICを実装する形態としてCOG実装、COF実装、TCP実装、TAB実装など、種々の実装形態を設定することができた。
ところで、有機材料を溶液化し、電極、絶縁層、半導体層を印刷技術により形成して電子回路を製造するプリンタブルエレクトロニクスが着目され、曲げられる太陽電池や電子ペーパーなどのフレキシブルな電子素子の実現が期待されている。印刷技術を用いることで、材料が高効率で利用可能となるため、低コスト・低環境負荷に電子回路が製造できるが、ドライバICの実装においては有機材料のダメージをいかに抑制して実装するかが問題となっている。即ち、従来技術の応用が直接的に利かない有機材料系で構成された電子回路基板に対して、FPC基板をダメージレスで接続できれば、従来のドライバICや電源回路と接続できるシステム設計が可能になる。
ここで例えば、電子ペーパーなどのディスプレイ駆動回路として有力とされるプラスチック基板へ形成した有機TFT素子では、端子部にFPC基板を実装してドライバICや電源回路と接続することが必要であるが、FPC基板実装においては低温・低負荷でのプロセスが問題となっている。有機半導体層を備える電子回路においては、従来のフォトリソグラフィー法やエッチング法では材料に対する負荷が大きいため、端子部が破損してしまうため問題となる。また、従来の焼結タイプのインクやペーストでは、焼結温度は数百度にも昇るためプラスチック基板を用いた電子回路基板では耐熱性が不充分であり使用することができないため問題となる。
また例えば、特許文献3及び特許文献4には、電極材料、絶縁材料、半導体材料を溶液化した種々のインク(ペースト)によって印刷形成された有機TFT素子が開示されている。これらの先行技術においては、微粒子が添加された有機樹脂材料を用いて形成された絶縁層が端子部の電極配線上に用いられている。この端子部には絶縁層が印刷技術によって形成され、さらに導電性ペーストを用いて電極配線上に接続用の実装電極が形成された厚膜端子部となっている。しかしながら、FPC基板を実装する場合、熱・圧力付加によって端子部の接続用の実装電極が断線し、FPC基板からの電気信号が入力できなくなる。即ち、絶縁層の強度が不足しているという問題があった。またこのとき、絶縁層の溶解に伴って、FPC基板に設けられた異方性導電接着剤(ACF:Anistoropic Conductive Film)も端子部両端から一緒に流出し、実装電極が絶縁層の流動によって破壊されてしまうという問題もあった。
ところで、印刷技術のようなドライプロセスとは別の方法で有機TFT素子をプラスチック基板上へ形成し、その端子部の電極配線を有機膜で保護することが行なわれている(例えば、特許文献5参照。)。具体的には、端子部の電極配線上へ有機膜を形成し、FPC基板の端子を電極配線上へ位置決めしてACFを介在させ、熱圧着によってACF中の導電性粒子が有機膜を貫通することで有機TFT素子とFPC基板の接続端子との電気的な接続が確保できるとしている。
しかしながら、有機膜を貫通して電極配線上へ導電性粒子が再現性よく配置される必要がある。このような方法はプロセス再現性が問題であり、圧力をかけすぎると電極のみならずプラスチック基板へもダメージを与えてしまい、FPC基板と正常に導通できないという問題があった。
よって、上記を鑑みると、プラスチック基板に形成された電子回路の端子部に対してFPC基板を実装して確実に導通を行なうことが困難である。このため、可撓性を有した電子回路を駆動素子として適用することができなくなる。
本発明は、上記した従来技術における諸問題を解決するために為された発明であって、プラスチック等の可撓性を有する基板上に有機半導体を備える電子回路が積層された有機薄膜トランジスタ素子などの電子回路において、接続端子部の強度を改善してFPC基板との電気的な導通を確実にした可撓性電子回路基板およびその製造方法、並びに画像表示装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明に係る可撓性電子回路基板およびその製造方法、並びに画像表示装置は、具体的には下記(1)〜(6)に記載の技術的特徴を有する。
(1):可撓性を有する基板と、該基板上に有機半導体層を備える電子回路が積層された可撓性電子回路基板であって、フレキシブルプリント基板が備える端子電極と接続される接続端子部を有し、該接続端子部は、電極配線を備えると共に、該電極配線に接するように絶縁保護膜が形成されてなり、該絶縁保護膜は少なくとも樹脂バインダーと無機物フィラーとを含み、前記絶縁保護膜に含まれる樹脂バインダーの体積比率は45%以上67%以下であることを特徴とする可撓性電子回路基板である。
(2):前記無機物フィラーは、少なくとも無機物フィラーAと無機物フィラーBとを含み、前記無機物フィラーAは、平均粒子径Pが前記無機物フィラーの中で最大であり、且つ、平均粒子径Pが0.3〜1μmであり、前記無機物フィラーBは、平均粒子径Pが前記無機物フィラーの中で最小であり、前記Pと前記Pとの比P/Pは、3〜25であることを特徴とする上記(1)に記載の可撓性電子回路基板である。
(3):前記樹脂バインダーは、フェノール樹脂であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の可撓性電子回路基板である。
(4):前記無機物フィラーは、シリカであることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の可撓性電子回路基板である。
(5):上記(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の可撓性電子回路基板に、前記フレキシブルプリント基板及び電源回路が接続されてなると共に、表示パネルが貼り合わされてなることを特徴とする画像表示装置である。
(6):上記(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の可撓性電子回路基板の製造方法であって、前記絶縁保護膜は、スクリーン印刷法で形成することを特徴とする可撓性電子回路基板の製造方法である。
本発明によれば、プラスチック等の可撓性を有する基板上に有機半導体を備える電子回路が積層された有機薄膜トランジスタ素子などの電子回路において、接続端子部の強度を改善してFPC基板との電気的な導通を確実にした可撓性電子回路基板およびその製造方法、並びに画像表示装置を提供することができる。
本発明に係る可撓性電子回路基板の一実施の形態におけるボトムゲート型の有機TFT素子の構成を示す断面概略図である。 本発明に係る可撓性電子回路基板の一実施の形態におけるボトムゲート型の有機TFT素子の構成を示す平面概略図である。 有機TFT素子を駆動部とした電気泳動型表示パネルの構成の一例を示す概略図である。 有機TFT素子を駆動部とした電気泳動型表示パネルの構成の一例を示す概略図である。 有機TFT素子を駆動部とした電気泳動型表示パネルにおいて絶縁保護膜が形成された構成の一例を示す概略図である。 有機TFT素子を駆動部とした電気泳動型表示パネルにおいて実装電極が形成された構成の一例を示す概略図である。 FPC基板の構成の一例を示す概略図である。 FPC基板が貼り合わされた有機TFT素子の構成の一例を示す平面概略図である。 2成分粒子混合充填層空間率推定プログラムによる空間率の計算結果を示すグラフである。 本発明に係る可撓性電子回路基板の製造方法の一実施の形態における印刷スキージとスクリーンメッシュとの配置関係の一例を示す概略図である。 本発明に係る可撓性電子回路基板の製造方法の一実施の形態におけるパターン形成時の一例を示す概略図である。
本発明に係る可撓性電子回路基板は、可撓性を有する基板7と、該基板7上に有機半導体層6を備える電子回路が積層された可撓性電子回路基板であって、フレキシブルプリント基板20が備える端子電極18と接続される接続端子部を有し、該接続端子部は、電極配線(4,5)を備えると共に、該電極配線(4,5)に接するように絶縁保護膜16が形成されてなり、該絶縁保護膜16は少なくとも樹脂バインダーと無機物フィラーとを含み、前記絶縁保護膜16に含まれる樹脂バインダーの体積比率は40%以上67%以下であることを特徴とする。
次に、本発明に係る可撓性電子回路基についてさらに詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は以下の説明において本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
以下に、本発明に係る可撓性電子回路基板の一実施の形態における構成について図面を参照して説明する。
本発明は、可撓性基板7を用いた電子回路の端子部に絶縁保護膜16を形成し、フレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuit)20の実装プロセスによる熱・圧力から接続端子部を保護することである。以下、有機TFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)素子10および、素子10の接続端子部に適用される絶縁保護膜16の構成と耐久性向上について説明し、絶縁保護膜の形成方法であるスクリーン印刷法について説明する。
印刷技術のようなドライプロセスで有機TFT素子10のような多層構造の電子回路基板を作製するには、例えば特許文献3,4のような構成とすることができる。有機TFT素子10の接続端子部へ絶縁保護膜16を形成する際には、プロセス温度の統一が前提となる。多層構造の薄膜トランジスタのように回路構成が複雑になると、種々の材料を使用することになるが、これら材料の耐熱性、耐環境性はそれぞれに異なっている。現在、有機半導体層の形成には有機溶剤に可溶である有機化合物を溶解したインクを用いることが有力視され、このような有機半導体インクを回路基板へ応用すべく精力的な研究開発が行なわれている。
しかしながら、有機半導体材料の耐熱性が脆弱である現状では、プロセス温度はせいぜい200度以下に限定される。プロセス温度が200度以下であれば、プラスチック基板の使用が可能となり可撓性を有する電子回路基板が作製できるようになる。このような、プロセス温度の制限のある電子回路基板では、その端子部で充分な実装耐性を確保できるような絶縁保護膜を形成する必要があり、材料選定をする必要がある。
〔有機TFT素子10〕
(有機TFT素子10について)
図1aに本実施の形態におけるボトムゲート型の有機TFT素子の構成を示す断面概略図を、図1bに本実施の形態におけるボトムゲート型の有機TFT素子の構成を示す平面概略図を示す。作製方法は公知の方法を用いることができ、例えば特許文献3,4に開示されている方法を用いれば良い。また、図2aは、有機TFT素子を駆動部とした電気泳動型表示パネルの断面図の一例であり、図2bは有機TFT素子を駆動部とした電気泳動型表示パネルの平面図の一例である。まずは図1a及び図1bに従って、有機TFT素子の構成について以下に説明する。
図1bに示される有機TFT素子10は、絶縁性の良好な基板7上にトランジスタ電流を制御する目的でゲート電極1が設けられ、このゲート電極1を被覆するようにゲート絶縁膜が設けられる。その後、このゲート絶縁膜上には信号入力するソース電極2と、ドレイン電極3が設けられている。ここでは、ドレイン電極3を出力電極として、記述を進める。ソース電極2及びドレイン電極3間及びこれらの上にトランジスタのチャネルを制御するための活性層(有機半導体層6、有機半導体:OSC=Organic Semiconductor)が設けられる。
(基板7)
可撓性基板7は、有機TFT素子10、表示素子、FPC基板20およびドライバICや外部電源回路等を支持できる材質・厚みとすることが必要である。印刷技術の利点を最大限に生かせるのは高スループットかつ低温プロセスが安価に行なえることであり、基板材質は、軽量・ロバスト性を考慮すると樹脂材料を用いることが好ましい。樹脂材料の例としては、PEN(ポリエチレンナフタレート),PET(ポリエチレンテレフタレート),PC(ポリカーボネート),ポリエーテルサルフォン(PES),PI(ポリイミド),などを用いることができるが、印刷積層するインクに対する耐溶解性や熱プロセスによる変形・変質等を考慮して選択する必要がある。
(TFTゲート電極1、ゲート絶縁膜、ソース電極2,ドレイン電極3)
前記可撓性基板上にトランジスタ電流を制御する目的でゲート電極1、該ゲート電極1を延伸したゲート選択線4、該ゲート選択線4の端部にゲート接続端子部が設けられ(図2b)、ゲート電極1およびゲート選択線4を被覆するようにゲート絶縁膜が設けられる。このとき、ゲート絶縁膜は、ゲート接続端子部上へは形成されない。
(ゲート電極1)
ゲート電極1の材料としては、導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン、鉛、タンタル、インジウム、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、およびこれらの合金やインジウム・錫酸化物等の導電性金属酸化物等が挙げられる。
作製工法としては、ナノメタルインクを用いてインクジェット方法(例えば、特許文献4に記載の方法を参照。)やその他印刷工法等、公知の方法にて形成することが好ましい。
(ゲート絶縁膜)
ゲート絶縁膜の材料としては、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリイミドなどが挙げられる。これら材料を用いて、スピンコート法やスリットコート法などを用いて作製することができる。
ゲート絶縁膜の形成時に、接続端子部に相当するゲート選択線上およびその近傍にはゲート絶縁膜が形成されないように、これら領域を除いてゲート絶縁膜が形成される。
(ソース・ドレイン電極2,3)
ゲート絶縁膜上には、ソース電極2、ドレイン電極3が設けられる。これらの材料としては、ゲート電極材料で挙げた導電性物質の中でも半導体層との接触面においてオーミックに接続されるものが好ましい。ここでは、ドレイン電極3を出力電極とし、ソース電極2を延伸したソース信号線5の端部にソース端子部が形成されるものとする。
作製工法としては、ナノメタルインクを用いてインクジェット方法やその他印刷工法にて形成することが好ましい。インクジェット塗工による電極形成において、下地の表面エネルギーを変化させ、インクになじみやすい表面、なじみにくい表面を光処理することで簡便に形成し、塗布インクの自己排除機構により、5ミクロン間隔のパターン化が可能である。
(有機半導体層6=活性層)
ソース電極2及びドレイン電極3間、及びこれらの上にトランジスタのチャネル制御のための有機半導体層が設けられる。有機半導体層の材料としては、公知の有機半導体材料を用いることができ、特に塗布可能な有機低分子や有機高分子、有機オリゴマー等の有機半導体材料を用いることが製造容易、低製造コストの点で好ましい。有機低分子および有機オリゴマー材料としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセンやそれらの置換誘導体を含むアセン分子材料、金属フタロシアニン、チオフェンオリゴマーやその誘導体、フラーレンC60やカーボンナノチューブとその誘導体などが挙げられる。
ペンタセンのような低分子系材料は真空蒸着法により成膜することが一般的であるが、J.E.Anthonyra et al,Org.Lett.vol.4 p15(2002)や、P.T.Herwig et al,Adv.Mater.vol.11 p480(1999)に記載されるペンタセンの前駆体を用いて塗布した後に化学変化させることによりペンタセン膜を形成することができる。これらの材料を有機溶媒に溶解してインクとしたものを用いる場合は、インクジェット法が好ましい。また従来公知の熱真空蒸着法によって、ペンタセンを成膜する方法も簡便でよい。
〔アクティブマトリクス駆動型回路基板〕
(層間絶縁膜8、画素電極9)
有機TFT回路基板10を表示パネルの駆動回路とするためには、ドレイン電極3上に画素電極9を形成する必要がある。図1bに示したように、個々のドレイン電極3上にスルーホールを有する層間絶縁膜8を形成し、次いで個別画素電極9を形成して、スルーホールを介してドレイン電極3と導通させる必要がある。画素電極9を個別の素子へ形成する際には、ソース電極2と画素電極9間の静電容量によっては高周波動作時にリーク電流が生じることになるため、層間絶縁膜8の静電容量は小さいことが好ましく、低誘電率材料からなり厚膜形成されることが好ましい。
層間絶縁膜8の形成方法は任意の印刷手法を用いることができるが、本実施の形態ではスクリーン印刷法を用いることで所望の層間絶縁膜形状を得ることが可能であるため好ましい。
スクリーン印刷法は、真空成膜法や他の印刷法と比較すると1μm以上の厚膜形成が容易であり、フォトリソグラフィー法と比較して、簡便なプロセスで必要とする領域のみにパターニング可能であるため材料使用効率が高く、スループットも早いため生産性が高い。また、電極や絶縁膜がパターニングされた有機TFT素子の表面は凹凸があるため、スクリーン印刷法の利便性が最大限に発揮される。
層間絶縁膜8の形成には、絶縁性ペーストによるスクリーン印刷が好ましい。絶縁性ペーストは公知のものを用いることができる。また、必要な機能を持たせるような材料を適宜配合し混練して作製したペーストを用いてもよいが、有機半導体層にダメージを与えないことが必須である。このため、有機TFT素子の有機半導体材料のダメージを抑制するための層間絶縁膜を用いることが好ましい。また、スクリーン版としては、スクリーンメッシュに乳剤を塗布してスルーホールパターンが形成できるよう露光・現像したものを用いることができる。
例えば層間絶縁膜8としては、有機材料中にフィラーが分散した状態のものが用いられる。有機材料としては樹脂が挙げられ、製造時に用いられる溶媒に溶解することができれば、特に限定されるものではないが、フェノール樹脂が好ましい。また、樹脂の分子量(Mw)は4000以上の範囲内にあることが好ましく、8000以上の範囲内にあることがさらには好ましい。また、樹脂の多分散度は、5以下の範囲にあることが好ましく、3以下の範囲にあることがさらに好ましい。樹脂の分子量が4000より小さくまた多分散度が5より大きい範囲にある場合は、ペースト化したときの粘度として十分な値が得られず、印刷時にスルーホールをパターニングできないといった不具合が発生する。
フィラーは、層間絶縁膜8中で粒子として存在することができれば、有機粒子及び無機粒子のいずれであってもよいが、粒度を制御しやすく、溶剤中で分散させることが可能であることから、無機粒子が好ましい。無機粒子の材料としては、例えば、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸バリウム(BaTiO)等が挙げられるが、これらの中でも、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛等の比較的比誘電率の低い材料が好ましい。また、メソポーラスシリカのように、構造中にメソ孔あるいはマイクロ孔を有する多孔質粒子であってもよい。
また、層間絶縁膜8における樹脂とフィラーとの比を調整することにより、ペーストの粘度特性を調整することができる。さらに、層間絶縁膜8に対する樹脂の体積比は、40%以上であることが好ましく、50%以上がさらに好ましい。これにより、可撓性を有する基板上であっても対応可能な層間絶縁膜とすることができる。
個別画素電極9の形成には、導電性ペーストによるスクリーン印刷法が好ましい。導電性ペーストは公知のものを用いることができ、絶縁膜を溶解させないような有機溶剤をベースとした低温熱硬化タイプのものを用いるのが好ましい。印刷ペーストの導電性電極材料としては任意のものを用いることができるが、スクリーン印刷可能で、下地層をアタックしない材料選定が必要である。
絶縁性ペーストおよび導電性ペーストを乾燥・硬化することによって、層間絶縁膜8および個別画素電極9が形成される。ペーストの乾燥・硬化温度は、使用する基板材質や、活性層に使用する有機半導体の耐熱温度によって制限を受ける場合が多い。
以上のような有機TFT回路基板10を電気信号が入力可能な電子回路とするためには、素子の電極配線(4,5)を延伸したゲート/ソース端子部の接続領域(接続端子部)を設け、外部ドライバICを有したFPC基板20を電気的に接続する必要がある。ディスプレイの端子部においては、素子の電極端部を複数本ずつまとめたブロック単位に分け、各々のブロックに対してFPC基板の接続端子(端子電極)と接続するようになっている。各ブロックの電極配線は図2bに示されるように額縁部分に設けられることになり、レイアウトの都合に合わせた長さとされ、その接続ピッチはFPC基板20の端子ピッチに合わせて設計される。あるいは、ゲート/ソース端子部の電極配線ピッチに合わせて、FPC基板20の端子ピッチを作製してもよい。
このようにして得られたアクティブ駆動型有機TFT回路基板10のゲート/ソース端子部に絶縁保護膜16を形成し、さらに後述する実装電極17を形成することで実装強度を確保する必要がある。
〔接続端子部の強度確保(絶縁保護膜16の形成)〕
本発明に用いられる絶縁保護膜16の構成について以下に述べる。
本発明に用いられる絶縁保護膜16は、樹脂バインダーと無機物フィラーとの混合物(複合誘電体)とすることで、プラスチック基板7を用いた電子回路においても、接続端子部の耐久性を確保することができる。その後、ゲート/ソース端子部およびこれらの接続端子部が備える電極配線に接するように設けられた絶縁保護膜16上へ実装電極配線17を形成することによって、確実にFPC基板20を実装可能な接続端子部が得られ、ドライバICや電源回路へ接続することによって電気信号を入力可能になる。
(絶縁保護膜16の構成について)
絶縁保護膜16の耐久性は、樹脂:フィラー体積配合比を最適化することで改善することができる。FPC基板の実装時には、数秒間であるが少なくとも90度を越える熱,数MPaの圧力が接続端子部にかかる。このため絶縁保護膜16の軟化温度は90度以上であることが好ましい。
絶縁保護膜16の軟化温度は、絶縁保護膜を構成する樹脂バインダーと無機物フィラーの体積比で決定される。また、絶縁保護膜16の耐熱性は、樹脂バインダーと無機物フィラーの体積比のみならず、無機物フィラーの粒径比とその配合によって変化し、絶縁保護膜の軟化点と圧力耐性によって総合的な膜強度が決定される。
絶縁保護膜16に対する樹脂バインダーの体積比率は、少なくとも45%以上67%以下が好ましく、より好ましくは、45%以上かつ65%以下の範囲とすることが好ましい。このような配合比率とすることで、最も実装プロセス耐性のある絶縁保護膜が得られる。絶縁保護膜中16の樹脂バインダー体積比率が45体積%より少ないと、絶縁保護膜の可撓性が損なわれ、プラスチック基板との熱膨張係数差が大きくなるため、膜応力が生じて絶縁保護膜にクラックや剥離などが生じる。一方、無機物フィラーが45体積%より少ないと、接続端子部の耐久性が損なわれる。また、67体積%を超えると絶縁保護膜が実装プロセスの際に流出して、実装電極が断線してしまう。
本発明に用いられる絶縁保護膜16は、スクリーン印刷法で形成することが好ましい。スクリーン印刷で絶縁保護膜を形成するには絶縁性ペーストを用いる必要がある。絶縁性ペーストは、樹脂バインダーと無機物フィラーの他に、有機溶剤を混練することで得られる。
ペースト印刷後は、熱や紫外線照射などによってペーストを硬化、乾燥し、所望のパターンとすることが好ましい。硬化・乾燥温度は、電子回路基板の耐熱温度によって制限があるが、許容範囲であれば適宜選択してよい。また、紫外線による硬化の場合は、紫外線吸収によって、機能材料が劣化する場合もある。この場合は、機能材料上へ保護膜形成して保護することや、シャドウマスク光などを用いて機能材料が紫外線吸収によって劣化しないようにすることが好ましい。
本発明の可撓性電子回路基板は可撓性基板7を用いるため、ペーストの乾燥・硬化温度は200度以下であることが好ましく、さらには150度以下であることが好ましい。但しこれに限られるものではなく、電子回路に用いられる材料が耐熱性に優れるものであれば、より高い温度で乾燥・硬化することもできる。また、絶縁保護膜を厚く形成したい場合は、スクリーン印刷工程と乾燥工程を繰り返すことによって、所望の厚さに形成することができる。
絶縁性ペーストの有機溶剤は、樹脂バインダーを均一溶解して溶液(ビヒクル)とすることができることに加え、印刷作業中に乾燥が起こりにくいような溶剤を選択することが必要である。有機溶剤としては、アルコール系、グリコールエーテル系、エステル系、芳香族系などから選択される溶剤が好適に用いられる。溶剤は一種でも複数種の混合でも良い。また、有機溶剤の沸点は、少なくとも150度以上であることが好ましい。スクリーン印刷法では、高沸点溶剤の使用によって印刷プロセス中のペースト乾燥を抑制する必要があるためである。前述のペースト組成物の構成材料に加え、必要があれば分散剤、可塑剤、粘度調整剤などを添加することによって、ペースト安定性や柔軟性を向上させることができ、安定した印刷プロセスが実施可能となる。
本発明に用いられる絶縁保護膜16に用いる樹脂バインダーとしては、従来公知の熱可塑性樹脂、紫外線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂などを用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂(ポリビニルブチラール樹脂)、フェノールノボラック樹脂、エチルセルロース樹脂、メチルセルロース樹脂、熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、レゾール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。
これら樹脂バインダーは、有機溶剤に均一溶解が可能で無機物フィラー分散性に優れるもの、被印刷基板表面の材料との密着性に優れるものを選定することが好ましく、絶縁保護膜の構成となった場合にその耐熱性を確保できるものが好ましい。樹脂耐熱性の指標の一つにガラス転移温度があるが、ガラス転移温度が少なくとも60度以上のものが好ましい。樹脂バインダーのガラス転移温度が60度よりも低いと、常温でも絶縁保護膜が膨潤する可能性があるため、端子部の耐久性が確保できなくなることが予想される。
また、樹脂バインダーの重量平均分子量は2,000〜30,000であることが好ましく、2,000未満であると、絶縁保護膜の耐熱性を十分確保することができず、また、30,000を超えると絶縁保護膜の密着力が不安定になり剥離しやすくなったり厚膜を得ることが困難になるほか、絶縁ペーストが著しく高粘度となって印刷プロセスが不安定となったり、絶縁ペースト製造プロセスに不具合を生じてしまう恐れがある。
スクリーン印刷のように厚膜形成する印刷手法に用いるペーストとするので、絶縁保護膜パターニングと厚膜が同時に得られる反面、その膜応力も大きくなることがあるのを考慮に入れておくべきである。その他の印刷法では、パターニングと1μm以上の厚膜を同時に実現することは困難である。このため、ガラス転移温度が高すぎる樹脂バインダーや線膨張係数がプラスチック基板に比べて差が大きい樹脂バインダーの使用は大きな膜応力の要因となることから避けることが好ましい。
上記の樹脂バインダーのうち、フェノール樹脂の使用が好ましい。フェノール樹脂には熱可塑性のノボラックタイプと熱硬化性のレゾールタイプがあり、ガラス転移温度は60度より大きく、絶縁保護膜の樹脂バインダーとして使用した場合の効果が特に良好である。フェノール樹脂を用いた場合は絶縁保護膜の耐熱性のみならず、フィラー分散性も良好であるため平滑な絶縁保護膜が得やすく好ましい。
本発明に用いられる絶縁保護膜16に含有される無機物フィラーは、粒度制御が容易で、溶媒中に分散させることが容易な微粒子,超微粒子を用いることが好ましい。また、樹脂材料は、沸点が150度よりも高い有機溶剤に均一に溶解でき、従来公知のスクリーンペーストとして開示されている高分子樹脂バインダーを用いることが好ましく、具体的には上記列挙したものが挙げられる。以下、微粒子,超微粒子として無機物フィラーを用い、樹脂材料として高分子樹脂バインダーを用いることを前提として説明する。
無機物フィラーの例としては、電子・電気材料、セラミックス材料、触媒などの分野で汎用性のある金属酸化物粒子、金属水酸化物粒子が挙げられる。金属酸化物粒子としては、一種類の金属の酸化物、水酸化物であっても複数の金属の複合酸化物であっても良く、具体的には二酸化珪素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、二酸化マンガン、酸化亜鉛、ジルコニア、酸化スズ、酸化アンチモン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなどを使用することができる。また、例えばゼオライトやメソポーラスシリカのように、構造中にマイクロ孔あるいはメソ孔を有する無機多孔質粒子であっても良い。特に、シリカの使用によって、より効果的に本発明の目的を達成できる。シリカ粒子は平均粒子径範囲が広いので、ペースト配合選択が多くなり絶縁保護膜の耐久性が確保できる範囲が広くなるといった利点があり、絶縁保護膜の低誘電化も実現できる。
このようなシリカ粒子としては、フュームドシリカ、コロイダルシリカ、沈降シリカ、結晶シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカなどの各種合成シリカ微粒子を用いることができる。中でも特に溶融シリカが、電気絶縁性に優れ、不純物の含有量が少ないことから適している。
(フィラー差比による耐久性向上について)
無機物フィラーの形状としては、球状、薄片状、層状、中空状などを目的に応じて使用することが可能であるが、球状微粒子を用いることが、充填を密に制御することが可能な面から特に好ましい。球形状の粒子は最も比表面積が少ないため、その充填時にフィラー凝集や樹脂流動性低下などを生じにくいからである。このような球状の無機物フィラーは粒径分布を有しており、材料の平均粒子径(d50)は、粒度分布のうち、累積の体積頻度が50%となる径を示すものとする。
単一粒径のフィラーを充填した場合、特に、フィラーが球状あるいは略球状である場合には、高密度に充填するとフィラーとフィラーの間に菱形状の空隙が生じ、接続端子部に形成する絶縁保護膜の耐久性を確保できなくなる。この空隙には、他のフィラーが侵入することはできないが、この空隙以下の大きさのフィラーであればさらにこの隙間に侵入でき、容易に充填率を低減でき、絶縁保護膜の耐久性を向上することができる。このため、無機物フィラーを高空間率で樹脂に含有させるために、2種類以上の異なる平均粒子径を持つものを混合して用いることが好ましく、このうち、最大の平均粒子径を有する無機物フィラーAの粒度分布の幅は、狭いことが好ましい。
本発明における絶縁保護膜16中に含まれる無機物フィラーにおいて、最大の平均粒子径を有する無機物フィラーAの平均粒子径(d50max:P)と、最小の平均粒子径を有する無機物フィラーBの平均粒子径(d50min:P)の差比は大きいほど好ましく、D=(d50max)/(d50min)=P/Pとすると、Dが小さいと、小さいフィラーが効率よく大きいフィラー間の空隙に侵入しにくい。このため、Dは3倍以上、さらには5倍以上であることが好ましい。一方、Dが大きいと、小さいフィラーが凝集しやすくなり、分散安定性が低下する。このため、Dは25倍以下であることが好ましい。
少なくとも2種類の平均粒子径を有した無機物フィラーを用いる場合、その最大の平均粒子径を持つ無機物フィラーAの総体積Vaと最小の平均粒子径を持つ無機物フィラーBの総体積Vbが、0.05≦Vb/(Va+Vb)<0.5を満たすことが好ましい。つまり小さいフィラーの量は、体積比にしてフィラー全量の5%以上50%未満であることが好ましい。5%未満の場合には、空隙に侵入して充填量を上げる効果がほとんど得られず、また50%以上では、大きいフィラーが作る空隙よりも小さいフィラーの占める体積が大きくなり、相互侵入して充填量を増やす効果は小さくなる。
これらの大きいフィラー、小さいフィラーの他に、更に他の平均粒子径を有するフィラーを混合しても良く、3種類以上でも適宜粒径と配合比を選ぶことでフィラーを混合することによる空間率向上の効果が得られる。
本発明で用いられる無機物フィラーは、少なくとも2種類の異なる平均粒子径を有する無機物フィラーを含み、そのうち最大の平均粒子径を有する無機物フィラーの平均粒子径が1μm以下であることが好ましい。また、0.3μm以上であることがより好ましい。
ここで、最大の平均粒子径を有する無機物フィラーの平均粒子径が1μmより大きいものを用いて、接続端子部に絶縁保護膜を作製すると、フィラーが膜表面に突出して表面凹凸が大きくなるため実装圧力に対して変形しやすい形状となり、耐久性の良好な接続端子部を得ることが難しい。また、最大の平均粒子径を有する無機物フィラーの平均粒子径が1μm以下のものを用いた場合には、膜表面の凹凸が小さくなるため実装圧力が均等にかかり、耐久性の良好な接続端子部が得られる。
一方、耐熱性が良好な絶縁保護膜を得たい場合に、最大の平均粒子径が0.1μmより小さい場合には、それらのフィラーの比表面積が大きいために熱ダメージが大きくなり、端子部の耐熱性を確保できない。また、最大の平均粒子径が0.3μm以上では、フィラー表面積が小さくなり、熱ダメージの影響を受けにくい。また、最大の平均粒子径を有する無機物フィラーの平均粒子径が0.3μm以上だと、最大の平均粒子径を有する無機物フィラーの平均粒子径と最小の平均粒子径を有する無機物フィラーの平均粒子径の差比Dを十分大きくとれるので、充填率が左右されない。
また本発明では、最小の平均粒子径を有する無機物フィラーの平均粒子径は0.01〜0.1μmであることが好ましい。さらには0.04〜0.06μmのものを用いることがより好ましい。本発明に用いられる絶縁保護膜においては、最大の平均粒子径と最小の平均粒子径の差比をとって高密度充填する必要があるため、最小の平均粒子径を有する無機物フィラーは、最大の平均粒子径によって、上記の範囲から適宜選択される。最小の平均粒子径を有する無機物フィラーの平均粒子径は、最大の平均粒子径を有する無機物フィラーの平均粒子径との差比Dを大きくとった方が、充填率を高めることができる。
ここで、2成分粒子混合充填層空間率推定プログラム(鈴木道隆ら)によって、球状粒子の空隙の割合である空間率の計算を行った。ここでいう空間率は、充填率の逆の意味で用いる。図3に粒径0.3μm、空間率50%の粒子と粒径0.1μm、空間率50%の粒子を混合した時の空間率変化を示す。
平均粒子径の異なる2種類の球状粒子を混合することにより、空間率は両者の空間率50%よりも減少することが分かる。また、小粒子の混合比率が37重量%の時、空間率は44%で最小となる。
続いて、粒径0.3μm、空間率50%の粒子と粒径0.04μm、空間率50%の粒子を混合した時の空間率の小粒子混合比率変化を合わせて図示する。粒径0.04μmの粒子を混合した場合には、小粒子混合比率が27重量%の時、空間率は33%で最小となる。
上記シミュレーション結果から、粒径1μmの粒子に粒径0.1μmを混合した場合と粒径0.04μmの粒子を混合した場合を比較すると、粒径差が大きい粒径0.04μmを混合した場合の方が空間率の低下が大きいことが分かる。また、平均粒子径の比率が大きい方が、空間率が最小となる小粒子の混合比率は小さくなることが計算で確かめられる。
本発明におけるペースト組成物及び誘電体組成物中に含まれる平均粒子径の測定は、絶縁保護膜を形成し、その薄膜の膜厚方向に膜断面を切り出した超薄切片に対してXMA測定、および透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行なうことにより測定できる。無機物フィラーと樹脂で電子線に対する透過率が異なるので、TEM観察像中で無機物フィラーと樹脂はコントラストの違いにより識別できる。複数種の無機物フィラーが使用されている場合の各無機物フィラーの同定はXMA測定に基づく元素分析および電子線回折像観察による結晶構造解析を行うことにより可能である。このようにして得られたフィラーと樹脂の面積の分布を画像解析により求め、無機物フィラーの断面を円形と近似して面積から粒径を算出できる。
粒径の評価は倍率5000倍と40000倍のTEM画像について行えばよい。算出された粒径の分布を倍率が5000倍のTEM画像において0.1μm刻みのヒストグラム、倍率が40000倍のTEM画像において0.01μm刻みのヒストグラムで表し、度数が極大値となる級の中心値を平均粒子径とする。本発明でいう「少なくとも2種類の平均粒子径を有する」とは、この極大値が2つ以上存在することを意味し、組成物に含まれる無機物フィラーの粒径分布における極大値が2つ以上存在することである。なお、粒径分布の評価法としては上記の方法でTEMの代わりに走査型電子顕微鏡(SEM)を用いても良い。
絶縁保護膜16の形成には、スクリーン印刷法を用いることが好ましい。以下、オフコンタクト方式のスクリーン印刷法の概略を説明し、次にスクリーンメッシュの選定について説明する。
(オフコンタクト方式スクリーン印刷法)
オフコンタクト方式のスクリーン印刷法では、まずステンレスメッシュからなるスクリーン版103を用意し、ステージ100上に載置された被印刷基板102とスクリーン版103との間にクリアランス(空隙)を設けて置く(図4a)。スクリーン版103は、スクリーン乳剤103Bとその間の間隙である開口部103Aとを備え、スクリーン版枠105に保持されてなるものである。次に、図4bに示すように、スクリーン版103にペースト104を乗せてスキージ101で刷ると、スキージ101直下近傍において印刷ペースト104は被印刷基板102と密着し、スキージ101摺動で外力を受けたペースト104は流動するためスキージ101前方でスクリーン版103へ充填される(図4bの矢印方向に充填ベクトルが働く)。
このとき、スクリーン版103はスキージ直下でクリアランス(被印刷基板とスクリーン版のギャップ量)が0mmとなっており、メッシュ弾性によりスクリーン版枠105には大きな張力が発生する。そのため印刷方向に対してスキージ後方では、メッシュの強い張力によって被印刷基板102の表面からスクリーン版101が離れ始める(版離れ)。
そのため、メッシュ内に充填されているペーストには大きなせん断応力が作用し、チキソ性を有するペーストの粘度がさらに急激に低下する。その結果ペーストはメッシュを通過し、被印刷基板102の表面に転写され転写されたパターン106が形成される。より詳しくは、印刷ペースト104はチキソ性を有するため、時間経過と共に粘度回復してパターン形状を保持することで、パターン106を有する厚膜が形成できる。
スクリーン印刷法では目的とする印刷パターンを寸法精度良く形成することができ、また表面凹凸を有した基板表面に対しても有用な印刷法である。尚、スクリーン版仕様、印刷ペースト、パターン形成の注意点に対する理解が重要である。
このようにしてゲート端子部に絶縁保護膜16を形成した後、実装電極17を形成することで接続端子部の厚膜化が完了する。実装電極17は、画素電極9と同様に形成することができ、スクリーン印刷で形成することが好ましい。接続端子部に絶縁保護膜16が形成されて表面が凹凸形状となっていることから、スクリーン印刷の特徴を最大限に利用することができる。また、実装電極9は、異方性導電ペースト[ACP:Anisotropic Conductive Paste]を用いてスクリーン印刷法で形成してもよい。
有機TFT素子は、以下に示す方法で作製したものを用いた。続いて、有機TFT素子10へ層間絶縁膜8と画素電極9を形成して、有機TFT回路基板10とした。さらに、有機TFT回路基板10の接続端子部へ絶縁保護膜16と実装電極17を形成して、接続端子部の耐久性が向上されたアクティブ駆動型回路基板を得た。最後に、電気泳導型表示素子とアクティブ駆動型回路基板を貼りあわせ、画像切り替えテストを行なった。
(1)有機TFT回路基板10
ポリエーテルサルフォン基板7に市販のナノ銀インクを用い、インクジェット(IJ)装置を用い、所望するパターンにIJ印刷後、150℃で熱処理し、第1の電極を形成した。
次に、第1の絶縁膜として熱重合型ポリイミドをスピンコートにより塗布し、180℃で熱処理したのち、フォトマスクを介して、所望する部位(後述する第2の電極形成部位)に紫外線照射を行ない、表面改質を実施した。
次に、第1の電極形成と同様にナノ銀インクを用いてIJ印刷法にて第2の電極を形成した。露光部位はCCD観察ではパターン認識ができない。従って、第1のパターンに対し、基板整合させ、印刷データに基づくIJ印刷法で印刷を実施した。
活性層(有機半導体層6)には、有機半導体を形成した。有機半導体の形成は、下記構造式1で示されるトリアリールアミン骨格を有する有機半導体材料をキシレンに溶解し、インク化した。インク濃度は1wt%、粘度約5mPa秒、表面張力:約30mN/mであった。その後、IJ印刷法にて所望する部位に膜形成することで、有機トランジスタ回路基板を得た。この化合物は特開2008−041889公報に開示されている無配向性高分子材料であるが、成膜形状や成膜方法に関わらず、トランジスタ特性のバラツキが少ないことが開示されている。
ここで、上記構造式1においてArはアリール基であり、Rはアルキル基である。
(層間絶縁膜8と個別画素電極9)
層間絶縁膜8としてブチラール樹脂とシリカフィラーを含む絶縁材料のペーストでスクリーン印刷法を用いて形成し、対流式のオーブンで120℃、30分乾燥し、層間絶縁膜とした。ここで、ドレイン電極上には層間絶縁膜の開口部(スルーホール)が存在する形状で形成した。膜厚は10μmとした。
個別画素電極9として、導電性ペーストをスクリーン印刷法を用いて形成し、120℃、30分硬化し、個別画素電極とした。ドレイン電極のバット部には層間絶縁膜8の開口部上に個別画素電極材料が存在するように形成した。ドレイン電極3と個別画素電極9は、層間絶縁膜8のスルーホールを介して電気的に導通するので、ドレインの出力が画素電極へ出力されることになる。膜厚は10μmとした。
なお、本実施例においては、導電性ペーストには藤倉化成の低温焼結タイプ(FA451)に希釈剤を適宜添加して粘弾性を調整したものを用いた。
以下、接続端子部への絶縁保護膜16形成について、具体例を列挙する。まずは実施例1,2および比較例1によって、絶縁保護膜16に含有される樹脂バインダーの体積%を変更し、その実装耐久性を確認した結果を表1へまとめた。続いて、実施例3,4によって、絶縁保護膜16に含有されるフィラー平均粒子径を変更し、FPC基板と電気泳導表示パネルを貼りあわせて画像表示装置を作製し、その表示切替テストを行なった結果を表2へまとめた。
[実施例1]
(2)接続端子部への絶縁保護膜16形成
有機TFT回路基板10のゲート,ソース端子部へ絶縁保護膜16を形成する。
本実施例では、ゲート端子部14のみを例にとって図に示す。図2bは、ゲート選択線4を延伸した端部におけるゲート端子部14の平面図および断面図であり、図2cはゲート端子部14上に絶縁保護膜16が形成され、図2dは、実装電極17が形成されたことを示す。
また本実施例では、上記回路基板のゲート選択線4が等間隔に配列されたブロック単位が、回路基板の額縁に配置されたレイアウトとする。以下、ゲート端子部14上へ形成する絶縁保護膜16について実施の形態を詳細に述べる。尚、ソース信号線5を延伸した端部におけるソース端子部15の場合も同様である。
(絶縁性ペーストの作製)
ゲート端子電極上へスクリーン印刷形成する絶縁性ペーストは、フェノール樹脂をエチレングリコール(東京応化:GR)へ40重量%で溶解したビヒクルに対して、平均粒子径が0.3μmのシリカ微粒子(電気化学工業製:SFP20M)20重量%と平均粒子径0.04μmのシリカ超微粒子(電気化学工業製:uFP30)10重量%を分散したものを用いた。このとき、70重量%のビヒクルに対して、30重量%のフィラーを分散した。この絶縁ペーストを用いると、絶縁保護膜16の樹脂体積比率は65体積%となる。
スクリーン版103は平織り400番のステンレスメッシュ上へ厚さ15μmの感光性乳剤を形成し、このスクリーン版の乳剤開口部となるように露光して、パターニングしたものを用いた。このスクリーン版103を基板から一定間隔となるように配置し、絶縁性ペースト1を用いてスクリーン印刷を行ない、絶縁保護膜16をゲート端子電極上へ形成した。
印刷条件はクリアランス1.8mm、スキージ速度は30mm/sとした。スキージ101はウレタン製のゴムスキージを使用し、アタック角は(基板面とスキージとの為す角度で、スキージ走査方向側の角度)70度とした。印刷後のペーストを、対流式のオーブンを用いて120度で1時間の熱処理を行ない、ゲート端子電極部上へ絶縁保護膜(No.1)を形成した。
続いて、ゲート端子電極上へ、実装電極17を形成する必要がある。
実装電極17は図2dのように、上記絶縁保護膜16およびゲート接続部の電極表面上へ形成する。
導電性厚膜ペーストには上述したスクリーン印刷用Agペーストを用い、粘度は約200[Pa・s]に調整した。
スクリーン版103は平織り500番のステンレスメッシュを使用し、メッシュに対して厚みが3μmのNiメッキを施した。このスクリーンメッシュ上に厚さ10μmの感光性乳剤を形成し、実装電極17の設計値がスクリーン版の乳剤開口部となるように露光して、パターニングしたものを用いた。詳細は図示しないが、上記ゲート電極端子上へ実装電極17の開口部が位置するようにレイアウトされたものを使用した。
このスクリーン版103を基板から一定間隔となるように配置し、導電性ペーストを用いて、絶縁保護膜16およびゲート端子部14の電極表面上へスクリーン印刷した。印刷条件は、クリアランス1.8mm、スキージ速度は60mm/sとした。また、アタック角は50度とした。
続いて、対流式のオーブンにて150度で1時間の乾燥を行ない、厚膜化されたゲート接続部を得た。熱処理後のゲート端子部の電気抵抗率(体積電気抵抗率)を測定したところ1E−5Ω・m以下であり、配線材料として機能することが確認できた。
(FPC基板20の実装)
以上のようにして得られたゲート接続端子部に対して、ドライバICを有するFPC基板20を用いて実装を行なった。FPC基板20の接続端子(端子電極)18はCuであり、FPC基板20の端子側には導電性粒子が分散したACF19が積層されたものを使用した(図2e)。
まず、FPC基板20の端子とゲート実装電極17とのアライメントを行ない、ACF19を介して接触させる。この状態でゲート端子部を加熱し、70度で余熱を行なった。その後、温度を140度まで上昇させ、1.5MPaの圧力を加えてFPC基板の接続端子とゲート端子間に導電性粒子が接触するように熱圧着を行なった。加熱温度を140度とすることによってACFに含有された熱硬化性樹脂が硬化し、同時に押圧されることでFPC基板の接続端子とゲート端子部の実装電極間に導電性粒子が接触する(図2f)。その結果、FPC基板20の接続端子18とゲート実装電極17との電気的な導通が確保できる。
以上のようにして作製したアクティブ駆動型回路基板のゲート端子部表面を、光学式の顕微鏡を用いて観察を行なった。その結果、接続端子部に形成された電極に不良は見られず、絶縁保護膜には変質が認められなかった。熱処理後のゲート端子部の電気抵抗率(体積電気抵抗率)を測定したところ1E−5Ω・m以下であり、配線材料として機能することが確認できた。
[実施例2]
絶縁性ペーストのビヒクル重量%とフィラー重量%を変えたものを準備した。具体的には、実施例1と同様のビヒクルを、絶縁性ペーストに対して65重量%から45重量%の範囲で5種類配合した。大小フィラーの配合比率については、実施例1の重量比率で統一した。このようにして、絶縁保護膜中の樹脂体積比率が67体積%〜40体積%の範囲になるようにした。
これら絶縁性ペーストを用いて、実施例1と同様にして、ゲート端子部上へスクリーン印刷を行なって絶縁保護膜(No.2〜No.6)を得た。続いて、実施例1と同様の条件でFPC基板を実装して、アクティブ駆動型回路基板を得た。
以上のようにして作製したアクティブ駆動型回路基板のゲート端子部表面を、光学式の顕微鏡を用いて観察を行なった。その結果、絶縁保護膜(No.6)の一部には、微小なクラックが観察された。その他の絶縁保護膜には、変質が認められなかった。
[比較例1]
絶縁性ペーストのビヒクル重量%とフィラー重量%を変えたものを準備した。具体的には、実施例1と同様のビヒクルを、絶縁性ペーストに対して35重量%と65重量%の範囲で2種類配合した。フィラーについては、実施例1の配合比率で統一した。このようにして、絶縁保護膜中の樹脂体積比率が35体積%と70体積%とになるようにした。
実施例1の絶縁性ペーストの樹脂体積比率を35体積%、70体積%とした絶縁性ペーストを準備し、実施例1と同様の印刷条件で絶縁保護膜No.7,8を得た。続いて、実施例1と同様の条件でFPC基板を実装して、アクティブ駆動型回路基板を得た。
以上のようにして作製したアクティブ駆動型回路基板のゲート端子部表面を、光学式の顕微鏡を用いて観察を行なった。その結果、絶縁保護膜(No.7)のが溶解し、ゲート端子部の実装電極が断線していた。また、絶縁保護膜(No.8)はゲート端子部から剥離してしまった。絶縁保護膜(No.7)は樹脂バインダー体積%が大きく、実装プロセスの加熱処理によって絶縁保護膜が流動しやすい状態でFPC基板が圧着されたため、絶縁保護膜が流出したと考えられる。この過程では、FPC基板とゲート端子部間の実装電極へ絶縁保護膜の押し出しによる圧力がかかり、それによって実装電極が断線したと考えられる。絶縁保護膜(No.8)に含まれる樹脂バインダー体積%が小さかったために絶縁保護膜の線膨張係数が減少し、プラスチック基板との線膨張係数差が大きくなり、膜応力が強くなったことでクラックが発生し剥離したと考えられる。
以上の結果から、樹脂バインダーにフェノール樹脂を用いて、絶縁保護膜に含有される樹脂体積%を45体積%〜65体積%とするとよいことが分かった。
[実施例3]
実施例1の絶縁性ペーストのうち、シリカフィラー微粒子の平均粒子径を変更した。
フェノール樹脂をエチレングリコール(東京応化:GR)へ40重量%で溶解したビヒクルに対して、平均粒子径が0.08μmのシリカ微粒子30重量%と平均粒子径0.04μmのシリカ超微粒子(電気化学工業製:uFP30)5重量%を分散したものを用いた。このとき、65重量%のビヒクルに対して、35重量%のフィラーを分散した。
同様にして、平均粒子径が0.5μm,1.0μm,1.2μmのシリカ微粒子を用いて4種類の絶縁性ペーストを作製した。このとき、65重量%のビヒクルに対して、35重量%のフィラーを分散した。以上のようにして作製した絶縁ペーストを用いると、絶縁保護膜の樹脂体積比率は60体積%となる。膜厚が同じである絶縁保護膜において、シリカ微粒子の粒子径を変更した場合の接続端子部の耐久性を調べる。
上記の4種類の絶縁性ペーストを用いて、ゲート端子部へ絶縁保護膜(No.9−12)を形成した。印刷条件や乾燥条件は、実施例1と同様である。続いて、ゲート端子部に絶縁保護膜(No.9−12)を形成したアクティブ駆動型回路基板へ、電気泳動素子を用いた表示パネルと貼りあわせて電気泳動型表示パネルを作製する。ゲート端子部の電気的な導通を調査するため、電気泳導型表示パネルを作製して画像の表示切替を行なった。
(3)電気泳動表示パネル:画像表示装置の作製
電気泳動表示パネルは、アクティブ駆動型回路基板に対向するように設けられた対向基板12と、これら両基板間に設けられた電気泳動素子層13とから構成されている(図2a,図2b)。また、さらに上部基板11を有する。
前記電気泳動素子層13は、特許文献1に開示されるようなマイクロカプセルを複数備えた構成となっている。前記マイクロカプセルは樹脂皮膜によって形成されており、マイクロカプセルは、表示領域全域を覆うように複数配置されている。また、マイクロカプセルは、実際には隣接するマイクロカプセル同士が密着するため、表示領域はマイクロカプセルによって隙間なく、覆われている。
マイクロカプセルには、分散媒、電気泳動粒子等を有する電気泳動分散液が封入されている。前記電気泳動粒子としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ベンガラ、酸化アルミニウム、黒色低次酸化チタン、酸化クロム、ベーマイト、FeOOH、二酸化珪素、水酸化マグネシウム、水酸化ニッケル、酸化ジルコニウム、酸化銅等が用いられている。
分散媒には、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル等の非水系有機溶媒が用いられており、スピリトブラック、オイルイエロー、オイルブルー、オイルグリーン、バリファーストブルー、マクロレックスブルー、オイルブラウン、スーダンブラック、ファーストオレンジ等の染料によって染色されて、電気泳動粒子と異なる色相を呈している。
本実施例では、酸化チタン微粒子とオイルブルーで着色したアイソパーを内包するマイクロカプセルをPVA水溶液に混合して、ITOからなる透明電極を形成したポリカーボネート基板上に塗布して、マイクロカプセルとPVAバインダーからなる電気泳動表示パネルを形成した。
上記の表示パネルとアクティブ駆動型回路基板とを貼り合わせて電源回路をFPC基板20へ接続することによって電気泳動型表示パネルが完成する。表示パネルのゲート選択線およびソース信号線が束ねられた各ブロックの接続端子へ電気制御信号を入力することで、画像表示の切り替えが可能となる。
(電気泳動型表示パネル)
ゲート端子部に絶縁保護膜(No.9−12)が形成されたアクティブ駆動型回路基板を用いて、電気泳導型表示パネルを作製した。駆動部であるマトリクス領域の外周にUV硬化型の封止剤をディスペンサで塗布して、電気泳動表示パネルを貼り合わせ後、表示パネルの対向電極を駆動装置に接続し、回路基板のゲート選択線とソース信号線に電気信号を入力して動作テストを行った。
絶縁保護膜(No.10,11)を用いた表示パネルは、均一な表示コントラストおよび解像度を得ることができた。絶縁保護膜(No.12)を用いた表示パネルは、ライン状の欠陥が数本見られた。また、絶縁保護膜(No.9)を用いた表示パネルは、表示切替によるコントラストが得られなかった。
絶縁保護膜(No.9)では、絶縁保護膜に用いたシリカフィラー微粒子の比表面積が大きかったために実装プロセスの熱ダメージが大きく、接続端子部の耐熱性を確保できなかったためと考えられる。また、絶縁保護膜(No.12)では、フィラーが膜表面に突出して表面凹凸が大きくなりやすい配合となっているため、実装圧力に対して変形しやすくなっていたことが考えられる。このため、実装プロセスの圧力によって、耐久性の良好な接続端子部が得られなかったと考えられる。
[実施例4]
実施例1の絶縁性ペーストのうち、シリカフィラー超微粒子の粒子径を変更した。
フェノール樹脂をエチレングリコール(東京応化:GR)へ40重量%で溶解したビヒクルに対して、平均粒子径が0.3μmのシリカ微粒子33重量%と平均粒子径0.007μmのシリカ超微粒子2重量%を分散したものを用いた。このとき、65重量%のビヒクルに対して、35重量%のフィラーを分散した。
同様にして、粒子径が0.01μm,0.06μm,0.1μm,0.12μmのシリカ超微粒子を用いて5種類の絶縁性ペーストを作製した。このとき、65重量%のビヒクルに対して、35重量%のフィラーを分散した。以上のようにして作製した絶縁ペーストを用いると、絶縁保護膜の樹脂体積比率は60体積%となる。膜厚が同じである絶縁保護膜において、シリカ超微粒子の粒子径を変更した場合の接続端子部の耐久性を調べる。
これらの絶縁性ペーストでゲート端子部へ絶縁保護膜(No.13−17)を形成した。印刷条件や乾燥条件は、実施例1と同様である。続いて、ゲート端子部に絶縁保護膜(No.13−17)を形成したアクティブ駆動型回路基板へ、電気泳動素子を用いた表示パネルと貼りあわせて電気泳動型表示パネルを作製する。ゲート端子部の電気的な導通を調査するため、電気泳導型表示パネルを作製して画像の表示切替を行なった。
絶縁保護膜(No.15,16)を用いた表示パネルは、均一な表示コントラストおよび解像度を得ることができた。絶縁保護膜(No.13,14)を用いた表示パネルは、表示切替によるコントラストが得られなかった。一方、絶縁保護膜(No.17)を用いた表示パネルは、ライン状の欠陥が数本見られた。これは、絶縁保護膜(No.13,14)では、絶縁保護膜に用いたシリカフィラーの充填密度は十分であったが、比表面積が大きかったために実装プロセスの熱ダメージが大きく、接続端子部の耐熱性を確保できなかったと考えられる。また、絶縁保護膜(No.17)では、充填密度が不十分で表面凹凸が大きくなり、実装圧力に対して変形しやすくなっていたことが考えられる。このため、実装プロセスの圧力によって、耐久性の良好な接続端子部が得られなかったと考えられる。
以上の実施例1,2および比較例1の結果を表1に、また実施例1〜4および比較例1の結果を表2にまとめて以下に示す。表1および表2における表示テストの判定結果は、○が表示コントラスト良好を示し、×が良好な表示コントラストが得られないことを示す。
尚、以上の実施例1〜4および比較例1で得られた絶縁保護膜No.1〜17のうち、No.6〜8は比較例に相当し、No.9,12〜14および17は参考例に相当する。
以上の結果より、フレキシブル基板上に有機半導体が積層された有機薄膜トランジスタ素子などの電子回路において、実装接続端子部の強度を改善してFPC基板との電気的な導通を確実にすることができる。
1 ゲート電極
2 ソース電極
3 ドレイン電極
4 ゲート選択線
5 ソース信号線
6 有機半導体層(活性層)
7 (可撓性)基板
8 層間絶縁膜
9 画素電極
10 有機TFT基板
11 上部基板
12 対向電極
13 電気泳動表示素子
14 ゲート接続端子ブロック(ゲート端子部)
15 ソース接続端子ブロック(ソース端子部)
16 絶縁保護膜
17 実装電極
18 端子電極(接続端子)
19 ACF
20 FPC基板
100 ステージ
101 印刷スキージ
102 被印刷基板
103 スクリーンメッシュ(スクリーン版)
104 印刷ペースト
105 スクリーン版枠
106 転写されたパターン
特開平10−274779号公報 特開平7−209663号公報 特開2007−103584号公報 特開2007−123665号公報 特開2006−41374号公報

Claims (6)

  1. 可撓性を有する基板と、該基板上に有機半導体層を備える電子回路が積層された可撓性電子回路基板であって、
    フレキシブルプリント基板が備える端子電極と接続される接続端子部を有し、
    該接続端子部は、電極配線を備えると共に、該電極配線に接するように絶縁保護膜が形成されてなり、
    該絶縁保護膜は少なくとも樹脂バインダーと無機物フィラーとを含み、
    前記絶縁保護膜に含まれる樹脂バインダーの体積比率は45%以上67%以下であることを特徴とする可撓性電子回路基板。
  2. 前記無機物フィラーは、少なくとも無機物フィラーAと無機物フィラーBとを含み、
    前記無機物フィラーAは、平均粒子径Pが前記無機物フィラーの中で最大であり、且つ、平均粒子径Pが0.3〜1μmであり、
    前記無機物フィラーBは、平均粒子径Pが前記無機物フィラーの中で最小であり、
    前記Pと前記Pとの比P/Pは、3〜25であることを特徴とする請求項1に記載の可撓性電子回路基板。
  3. 前記樹脂バインダーは、フェノール樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の可撓性電子回路基板。
  4. 前記無機物フィラーは、シリカであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の可撓性電子回路基板。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の可撓性電子回路基板に、前記フレキシブルプリント基板及び電源回路が接続されてなると共に、表示パネルが貼り合わされてなることを特徴とする画像表示装置。
  6. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の可撓性電子回路基板の製造方法であって、
    前記絶縁保護膜は、スクリーン印刷法で形成することを特徴とする可撓性電子回路基板の製造方法。
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