JP2010262520A5 - - Google Patents

Description

コインホッパ

本発明は、コインを一個ずつ区分けして払い出すコインホッパに関する。
さらには、異なる直径のコインを混在又は選択して、実質的に調整をせずに１つずつ払い出すことができるコインホッパ関する。
さらに詳細には、異なる直径のコインを混在又は選択して、実質的調整を要せずに１つずつ払い出すことができる安価なコインホッパに関する。
本明細書において、コインとは、通貨としてのコインの他、ゲーム用のトークン等をも含んでいる。
また、第1直径コインは小径コイン、第2直径コインは大径コインを意味する。

直径の異なる複数のコインを払い出すため、第１の従来技術が知られている（特許文献１参照）。
第１の従来技術は、基板上面に設けられる環状容器であって環状壁と当該環状壁に開口するコイン出口を有する環状容器と、収納したバラ状態のコインを当該環状容器内に落下供給可能なホッパーと、当該環状容器内に当該環状容器と同心的に回転可能に配置される回転ディスクであって、当該回転ディスクの厚み方向に貫通し、かつ径方向の外方に開口する複数のコイン受け孔を有する回転ディスクと、当該回転ディスクの回転に伴い重なり合って移動するコインのうち最下段にあるコインを、当該最下段のコインと当接して前記環状容器のコイン出口に向けて転換させるために前記基板上面から突出する規制手段と、を備え、前記回転ディスクはその裏面に、前記規制手段との接触回避のために形成された回避溝を有し、前記回転ディスクは、回転方向に向けて先細状に突出する顎部を前記各コイン受け孔に有し、前記回転ディスク及び前記環状容器の少なくとも一方は、コインの噛み込みを防ぐ、又は、抑制するために、上面から離れる方向に逃げることができるように構成されている。
この構成において、回転ディスクは顎部をコイン受け孔に有し、回転ディスク及び環状容器の少なくとも一方は、コインの噛み込み、又は、抑制、を防ぐために、上面から離れる方向に逃げることができる。

第２の従来技術として、多数のコインを収容したバケットと、このバケットの底部に設けた回転円板と、この回転円板に円周方向に複数個並べて設けられ、コインの外形よりもやや大きい直径を有する円形開口と、回転円板からコイン１枚以上の厚み分だけ離して設けられ、円形開口から通過したコインを受ける支持板と、前記支持板と回転円板との間で前記回転円板側に設けられ、前記支持板で受けたコインを前記回転円板の回転により、前記回転円板の中心軸から離れる方向に送りだす送出ガイド部と、前記支持板側に設けられ、前記送出ガイド部で送り出されるコインをコイン排出部へ案内する円弧形状のガイド面を有する外側ガイド部と、前記コイン排出部に設けられ、前記コイン送出ガイド部により送り出されるコインにより変位してコインを前記コイン排出部側へ通過させる可動ローラと、前記可動ローラの変位により前記可動ローラを元に戻す方向に付勢する付勢手段とを備えたホッパー装置において、前記外側ガイド部のガイド面を、前記回転円板の回転軸を中心として前記回転円板の外周面の曲率半径よりも小さい曲率半径を有する第１のガイド面と、前記回転円板の回転軸から所定の距離だけ前記コイン排出部に近づく方向に偏心した位置を中心として前記回転円板の外周面の曲率半径よりも小さい曲率半径を有する第２のガイド面とで構成したことを特徴とするホッパー装置が知られている。
この構成において、第２のガイド面はその中心がコイン排出部側に偏心しているため、第１のガイド面に沿って送られてきたコインをより確実にコイン排出部まで案内することができるようになる。

特開２００８−１０２６４２（図１―１２、段落番号０００９−００３７） 特許第３１５３８７３号（図１―４、段落番号０００６〜００３５）

第１の従来技術において、コインが基板と回転ディスクとの間に噛み込まれた場合、環状容器若しくは回転ディスクが移動し、基板との間の間隔を増すことにより摩擦抵抗を減少させ、もって、払い出し不能となる状況を回避するようにしている。
この場合、回転ディスクの通孔にコインが位置するにも拘わらずコインを排出できないので迅速なコイン払い出しを行うことができない問題がある。
また第１の従来技術においては、環状容器又は回転ディスクの移動手段を設けねばならず、コスト高につながることから俄に採用することが出来ない。

第２の従来技術は、単にコインの払い出しを円滑かつ確実にするためにのみガイド穴を第１のコインガイド面と第２コインガイド面とにより構成している。
第２の従来技術は、複数の直径の異なるコインを対象にするコインホッパではないため、小径のコインを使用した場合、コインが回転円板と支持板との間に噛み込まれ、回転円板が停止する問題がある。
この問題を第２の従来技術の図１に相当する図10及び図５に相当する図11を用いて説明する。
ガイド穴の直径に対し二分の一強の直径の小径コインが用いられる場合、この小径コインはガイド穴内において移動することができる。
コインがスライドする支持板は傾斜しているため、支持板の下向き傾斜部（図10において中心C1の右側に位置する部位）においては小径コインは重力によって下方へ落下可能である。
しかし、通常、支持板上の最下コインの上には他のコインが載っているので最下コインは自重によってスライドすることができない。
図10における右側部分のコインガイド面は図11に示されるように、回転円板の下方に奥まって位置しているので、一枚のコインがその下面中央を下側のコイン端部に支えられ、その周縁を回転円板の内側に支持板と面接触して位置した場合、もう一枚のコインがその周縁を前記奥まった位置に進入することによって噛み込みが生じる。
すなわち、最下のコインがスライドする支持板が傾斜しているため、図10に於ける右側において、前記支持板上のコインに対し重力により下方へスライドする力が作用する。
通常、支持板上の最下のコインの上にコインが載っている場合、最下のコインは支持板上に押し付けられ、前記重力によりスライドできない。
しかし、コインの複雑な移動の過程において、最下のコインに対して上側のコインが浮いた状態になり、下側のコインが重力により下方へスライドすることがある。
そうすると、上に乗っているコインは相対的に上方へ移動した位置関係になる結果、一端が最下のコインに支えられ、他端は支持板上に支えられた斜め状態になる（図11）。
これにより、上側のコインの端部が前記奥まった位置に進入する。
この状態で排出開口に到達すると、上側及び下側のコインが逃げ場を失って、回転円板の回転を停止する噛み込み現象を生じる。
この場合、回復のためバケット内のコインを掻き出して噛み込んだコインを取り除かねばならず、回復のための措置が煩雑である問題がある。

本発明の第１の目的は、直径の異なるコインを用いた場合であっても、回転ディスクとコインがスライドするベースとの間にコインが噛み込まれずに円滑に送り出すことができるコインホッパを提供することである。
本発明の第２の目的は、直径の異なるコインを用いた場合であっても、回転ディスクとコインがスライドするベースとの間にコインが噛み込まれずに円滑に送り出すことができるコインホッパを安価に提供することである。

この目的を達成するため、本発明にかかるコインホッパは以下のように構成される。
コイン(102A、102B)がスライドする傾斜したスライドベースと、前記スライドベース上にコインの外周縁を案内する周壁を画定するガイド穴と、前記ガイド穴の上部側壁の一部を切り欠いた出口開口と、小径コイン又は大径コインが選択的に又は混在して投入される上部開口及び円形の底孔を有し、前記スライドベースに取り付けられるコイン保留ボウルと、前記底孔に前記スライドベースと平行に傾斜配置され、裏面に前記スライドベース側に突出する押動部を有する通孔付き回転ディスクと、前記回転ディスクの側方に固定状態に配置した第1ガイド及び前記第1ガイドに対し弾性的に接離可能に設けられた第2ガイドと、を備え、前記回転ディスクの裏面と前記スライドベースとの間隔をコイン厚みの二枚以下の間隔に設定し、前記回転ディスクの回転に伴い前記押動部によって前記スライドベース上を滑らせて前記ガイド穴の周壁によって案内しつつ前記コインをスライド移動させ、前記第1ガイド及び第2ガイドとの間に挟んで弾き出すコインホッパにおいて、前記通孔は、使用対象のうち最大径コイン直径よりも僅かに大きい直径を有する円弧状の大径円部と、使用対象のうち最小径コイン直径よりも僅かに小さい直径を有する円弧状の小径円部と、前記大径円部及び前記小径円部の円弧を接続する第1及び第2のつなぎ縁部とにより卵形に形成され、前記大径円部の中心は、前記小径円部の中心よりも前記回転ディスクの回転軸心側であって、かつ、前記小径円部の中心よりも前記回転ディスクの回転方向側に離れて位置し、前記第1のつなぎ縁部は前記回転ディスクの周縁部に沿って配置され、前記ガイド穴は、前記回転ディスクの回転方向が上から下に向かう側においては、前記回転ディスクの回転軸心を中心とし、前記第1のつなぎ縁部と一致する円弧状の第１ガイド面、及び前記回転ディスクの回転方向が下から上に、かつ前記出口開口に向かう側においては、前記回転ディスクの外側に位置し、かつ前記回転軸心を中心とする円弧状の第２ガイド面により案内されるよう構成されていることを特徴とするコインホッパである。

この構成において、保留ボウル内にバラ積み状態で保留されたコインは、回転ディスクの回転によって通孔に落下してスライドベースに支えられ一つずつ区分けされる。
区分けされたコインは押動部によって押されてスライドベース上をスライドし、回転ディスクと一体に回動される。
詳述すれば、大径コインは大径円部において落下し、スライドベース上に支持される。上側の大径コインも大径円部においてのみ落下可能であるので大径コインは大凡円柱状に積み上がる。
小径コインは大径円部及び小径円部において落下し、スライドベース上に支持される。
これにより、上側の小径コインは最下の小径コインに対し大きくずれて位置することができ、最大にずれた場合、上側の小径コイン周縁の一部はスライドベース上に支持され、下面中間を下側の小径コイン周縁に支持されて斜めになることがある。
例えば、スライドベースが傾斜しているため、回転ディスクが下方へ向かって回転する部位においては、下側の小径コインが重力によって下方へ移動し、上側の小径コインが相対的に上側へずれることがある。
この場合、上側の小径コインは前記のように斜めになる。
しかし、回転ディスクの回転方向における上から下に向かう側においては、ガイド穴の周壁は回転ディスクにおける通孔のつなぎ縁部と（ほぼ）一致する円弧状の第1ガイド面に形成されている。
この構成により、回転ディスクとスライドベースとの間に進入空間が形成されないので、斜めになった上側の小径コインはこれらの間に進行できない。
更に回転ディスクが回転し、スライドベースの傾斜によって小径コインが下方から上方へスライド移動される場合、小径コインは回転ディスクの裏面に形成される押動部によって押動される。
なぜなら、小径コインが下方から上方へ移動する場合、重力に反する移動であるため、積極的に押動される必要があるからである。
具体的には、回転ディスクの下方から上方へ向かう部位、換言すれば小径コインが重力によって移動できない回転ディスクの最下の部位においては、最下の小径コインは押動部によって押進されるまで停滞する。
結果として、最下の小径コインは押動部によって、及びそれに載っている小径コインは通孔の周壁によって押されて移動される。
上側のコインが位置する小径円部は小径コインの半径よりも僅かに小さい半径で形成されている。
したがって、上側の小径コインは、通孔の小径円部に密着した状態になることができず、離れて位置することになる。
これにより、最下の小径コインは回転ディスクの回転方向において、上側の小径コインに対し後位側に僅かにずれて移動する。
換言すれば、上側の小径コインは斜めになることができない。
これにより上側の小径コインは、下側の小径コインの上に円柱状に積み重なった状態になる。
この状態において、押動部が下側の小径コインを押動するので、下側の小径コインはスムーズに第２ガイド面に沿って移動され、弾出装置によって弾き出される。
以上説明したように、上側の小径コインは、スライドベースと回転ディスクとの間に位置することはないので、大径コインと共用の回転ディスクを用いて小径コインを払い出してもコインンが噛み込まれない利点がある。

本発明の最良の形態は、コインがスライドする傾斜したスライドベース、前記スライドベース上にコインの外周縁を案内する周壁を画定するガイド穴、前記ガイド穴の上部側壁の一部を切り欠いた出口開口、小径コイン又は大径コインが選択的に又は混在して投入される上部開口及び円形の底孔を有し、前記ベースに取り付けられるコイン保留ボウル、前記底孔に前記ベースと平行に傾斜配置され、裏面に前記ベース側に突出する押動部を有する通孔付き回転ディスク、前記回転ディスクの側方に固定状態に配置した第1ガイド及び前記第1ガイドに対し弾性的に接離可能に設けられた第2ガイドを備え、前記回転ディスクの裏面と前記ベースとの間隔をコイン厚みの二枚以下の間隔に設定し、前記回転ディスクの回転によって前記押動部によって前記ベース上を滑らせて前記ガイド穴の内壁によってコインをスライド移動させ、前記第1ガイド及び第2ガイドとの間に挟んで弾き出すコインホッパにおいて、前記通孔は、使用対象のうち最大コイン直径よりも僅かに大きい大径円部と使用対象のうち最小コイン直径よりも僅かに小さい小径円部の一部が重なり合った卵形に形成され、前記大径円部の中心は前記小径円部の中心よりも前記回転ディスクの回転軸心側であって、かつ前記小径円部よりも前記回転ディスクの回転方向上流側に位置し、前記大径円部と前記小径円部との外周側壁を前記回転ディスクの周縁部に配置し、前記ガイド穴は、前記回転ディスクの回転方向が上から下に向かう側においては、前記回転ディスクの回転軸心を中心とし、前記通孔の外周側壁と一致する円弧状の第１ガイド面、及び前記回転ディスクの回転方向が下から上に、かつ前記出口開口に向かう側においては、前記回転ディスクの外側に位置し、かつ前記回転軸心を中心とする円弧状の第２ガイド面により案内されるよう設定されていることを特徴とするコインホッパである。

本実施例において、コイン102における第1直径コイン102Aは小径コインであり、例えば直径25ミリのコインであり、第2直径コイン102Bは大径コイン、例えば直径30ミリのコインを用いた例である。
まず、コインホッパ100の概要が図1を参照して説明される。
コインホッパ100は、バラ積み状態で保留された円板形のコイン102、具体的には第1直径コイン102A及び／又は第2直径コイン102Bを一つずつ払い出す機能を有する。
コインホッパ100は、少なくともフレーム104、スライドベース106、保留ボウル108、回転ディスク110、コイン102A、102Bの周方向案内装置112、弾出装置114、出口通路116、コイン検知装置118、及び出口通路画定装置122を含んでいる。

まずフレーム104が図1を参照して説明される。
フレーム104はスライドベース106及び保留ボウル108を支持する機能を有し、樹脂にて射出成型された矩形の筒状をしている。
フレーム104は、下端のベース124、及び、ベース124に一体化され上向きに延びる矩形筒形のサポート部126を含んでいる。
サポート部126の中空部には、制御基板や回転ディスク110の駆動のための電気モータ等が配置され、頭部は斜めに形成されている。

次にスライドベース106を図2及び図3を参照して説明する。
スライドベース106は、保留ボウル108、回転ディスク110、周方向案内装置112、弾出装置114、及びコイン検知装置118を所定の位置に保持する機能、及び、回転ディスク110によって移動されるコイン102A、102Bを案内する機能を有する。
スライドベース106は、矩形の厚板状を呈し、サポート部126の頂部に固定されている。
換言すれば、スライドベース106は、所定の角度で傾斜している。

図2及び図3に示すように、スライドベース106は平面視矩形の板状体であって、上面130の中央に位置する有底かつ円形鍋形のガイド穴132、上下端部に形成した保留ボウル108の第１取付部134A、134B及び第2取付部136A、136B、ガイド穴132の周面の一部を開口した出口開口138が形成される。
図6に示すように、裏面側にコイン検知装置118の第3取付部140及び周方向案内装置112の第4取付部142を含んでいる。
ガイド穴132の底面144は、大凡平面であり、中央に、回転ディスク110を取り付ける回転軸147が貫通する軸孔145形成されている。
回転ディスク110によって押動されるコイン102A、102Bは、その下面がガイド穴132の底面144上を滑りつつ、かつ、その周面がガイド穴132の内周面である周壁146に案内されつつ移動する。

周壁146は、ガイド穴132に配置されたＣ形の板金製のガイド穴構成体148によって構成されている。
ガイド穴構成体148は、図3に示すようにＣ形の開放部が出口開口138に臨み、回転軸心RCを通る垂線VLに対し右側に位置し、180度の角度A1で軸孔145、換言すれば回転ディスク110の回転軸心RCを中心とする第１の半径R1により円弧状に形成された第１ガイド面148A、左側下部に位置する第１の半径R1よりも僅かに大きい第2の半径R2により角度A2で円弧状に形成された第2ガイド面148B、第１ガイド面148Aと第2ガイド面148Bとを滑らかに接続する第3ガイド面148C並びに後述の第1ガイド194により形成された直状の第4ガイド面184Dとにより構成されている。
出口開口138に相対し、後述の弾出装置114が配置されている。
図3に示すようにガイド穴構成体148は、外向きに突出する突出部185を貫通するスクリュウ187によってスライドベース106に交換可能に固定される。

次に、保留ボウル108が図1を参照して説明される。
保留ボウル108は、コイン102をバラ積み状態に貯留する機能を有する。
保留ボウル108の下端部152は、ガイド穴132とほぼ同一径の円筒状であって、スライドベース106に対し直交方向に延びている。
換言すれば、下端部152は斜め上方に向かって伸びており、その上端部は四角形状に拡大する貯留部154が形成され、上端はコイン102を投入するための上部開口156になっている。
下端部152の円筒内の底孔155に回転ディスク110の上部が配置される。
保留ボウル108の貯留部154と下端部152は傾斜壁によって接続され、その上に乗ったコイン102は、重力によって自然滑落し、下方の回転ディスク110上に落下する。
第１取付部134A、134B及び第2取付部136A、136Bに保留ボウル108の下部に形成した係止部(図示せず)を係止することにより、保留ボウル108を簡単操作でスライドベース106に取付け、取外し可能である。

次に回転ディスク110が図2及び図4,5を参照して説明される。
回転ディスク110は、保留ボウル108にバラ積み状態に保留されたコイン102を一つずつ区分けし、弾出装置114に向けて搬送する機能を有する。

回転ディスク110は、電気モータ158(図6参照)によって減速機160を介して回転駆動される。
回転ディスク110には、回転軸心RCを中心とする所定半径の円上であって等間隔に楕円形の通孔162が形成され、通孔162の上面側は、下向き錐形の導入部164が形成されている。
本実施例において通孔162は、６個であるが、用途等に応じて増減可能である。
また、中央部には円錐形であって、かつ、回転軸147の先端を取付けると共にコイン102の攪拌のための中央凸部166が形成されている。
回転ディスク110は、その下部がガイド穴132内にその周面が周壁146(第1ガイド面148A)に対し、また上部は保留ボウル108の下端部152の底孔155内に僅かな隙間を空けて配置されている。

図4に示すように、通孔162は第2直径コイン102Bが落下可能なように、第2直径コイン102Bよりも僅かに大径の仮想大径円LCに沿って形成された大径半円部162Lと、第1直径コイン102Aよりも僅かに小径の仮想小径円SCに形成された小径半円部162Sとにより、全体として平面視卵形に形成されている。
仮想大径円LCは、例えば直径30ミリの第２直径コイン102Bに対して、プラス１ミリ加えた直径31ミリに設定される。
仮想小径円SCは、例えば直径25ミリの第１直径コイン102Aに対して、マイナス１ミリ減じた直径24ミリに設定される。

回転ディスク110の裏面168である通孔162を区画するリブ172の下面には、コイン102を押し出すための第１押動部176及び第2押動部178が通孔162のそれぞれに相対して下向きに断面矩形に突出形成されている。
第１押動部176及び第2押動部178の回転方向の前位側の端面である第1押出面176A、及び第2押出面178A(図5参照)は、回転ディスク110の中心部から伸びる仮想インボリュート曲線上に位置している。
第１押動部176と第2押動部178との間には、後述の周方向案内装置112を構成する第１規制体112A通過のため、回転軸心Ｃを中心として弧状に形成された第1溝182A及び第2規制体112B通過のため第１溝182Aの外側に回転軸心RCを中心とする弧状に第2溝182Bが形成されている。

通孔162の形状及び大きさは以下の設計思想に基づいて構成されている。
仮想大径円LCの大径中心CＬは、回転ディスク110の回転軸心RCから所定の第１半径RLの位置に設定され、仮想小径円SCの小径中心CＳは、大径中心CＬよりも回転軸心RCから離れた第２半径RSの位置に設定される。
換言すれば、仮想小径円SCの中心CSは仮想大径円LCの大径中心CLよりも回転ディスク110の回転方向に対し後ろ側であって、かつ、回転軸心RCから離れて位置している。
また、大径半円部162Lと小径半円部162Sと大凡正接をなすつなぎ縁部のうち外側つなぎ縁部TOは、回転軸心RCを中心とする第3半径R3の円上に形成されている。
他側のつなぎ縁部TIは、回転軸心RCを通る直線SL上に形成されている。
その理由は、第2直径コイン(大径コイン)102Bが用いられる場合、出口開口138の近傍において第１押出面176Aによって第2直径コイン102Bが外向きのベクトルを受けるようにするためである。
具体的には、第2直径コイン102Bの中心CLを通る直線CSLと第１押出し面176Aとの接点を通る交差角が回転軸心RCを通る直線SLに対し90度以上である場合、第2直径コイン102Bに対し外向きのベクトルが作用する。

これにより、第１ガイド面148A部において第2直径コイン102Bが案内される場合、第2直径コイン102Bの中心CLを通る直線CSLと第１押出面176Aとの接点を通る交差角が回転軸心RCを通る直線SLに対し90度となり、第2直径コイン102Bは大凡接線方向に押される。
第2直径コイン102Bは遠心力による外向きの力を受けるが、第１押出面176Aからは第１ガイド面148Aに大きな力で押し付けられない。
よって、第2直径コイン102Bは第１ガイド面148Aと小さな接触圧で接触しつつ案内されるので、円滑に移動できることになる。
第１直径コイン102Aが用いられる場合、その内側外周面が第１押出し面178Aによって押動されるので第2直径コイン102Bよりも外向きのベクトルが発生し、第2直径コイン102Bよりも大きな接触圧で接触しつつ案内される。

回転ディスク110が回転した場合、その上に載っているコイン102A、102Bは通孔162、中央凸部166等によって攪拌され、姿勢が変化させられて通孔162に落下する。
落下したコイン102A、102Bの下面は底面144によって支えられ、外周面は第１ガイド面148A、第3ガイド面148C及び第2ガイド面148Bによって案内され、回転ディスク110の回転によって第1押出面176A及び第2押出面178Aによって押動されて回転ディスク110と共に連れ回りされる。
このとき、コイン102の周面は第１ガイド面148A、第3ガイド面148C及び第2ガイド面148Bの順に案内されるが、それらガイド面に対する接触圧は殆どが遠心力に基づくものであるので大きな接触圧ではない。
連れ回り過程において、周方向案内装置112によって連れ回りを阻止されたコイン102A、102Bは回転ディスク110の周方向へ案内され、最終的に第2押出面178Aの回動域外へ押し出される。

次に周方向案内装置112が図3及び図6を参照して説明される。
周方向案内装置112は、第１押動部176、第2押動部178によって押動されるコイン102A、102Bを、回転ディスク110の周方向に案内し、出口開口138に誘導する機能を有する。
具体的には、スライドベース106を下側から上側に貫通し、回転ディスク110の裏面168に向かって伸びる円柱ピン状の第１規制体112A、第2規制体112Bが配置されている。
換言すれば、第１規制体112A及び第2規制体112Bはコイン102の移動経路183に突出している。

図6に示すように第１規制体112A、第2規制体112Bは、スライドベース106の裏面の第4取付部142に取り付けた退避装置184に取り付けられている。
退避装置184は、第4取付部142に一端を固定ピン181A、181Bによってそれぞれ固定された板バネ186A、186Bの他端に第１規制体112A、第2規制体112Bがそれぞれ固定されている。
これにより、第１押動部176、第2押動部178によって押動されるコイン102A、102Bは第１規制体112A、第2規制体112Bによって移動を阻止されるので、出口開口138側へ案内される。
第１規制体112A、第2規制体112Bの出口開口138と反対側の先端には斜面が形成され、回転ディスク110が逆転した場合、コイン102A、102Bは当該斜面に乗り上げて逆転可能となる。
なお、第１規制体112A、第2規制体112Bを用いずともコイン102A、102Bが出口開口138に自ずと移動する場合、それらを配置する必要はない。
換言すれば、回転ディスク110の直径が大きく、第１押動部176及び第2押動部178によってコイン102A、102Bを回転ディスク110の周方向へ誘導できる場合、第１規制体112A、第2規制体112Bを配置する必要は無い。
第１規制体112A、第2規制体112Bがコイン102A、102Bから所定の横方向の力を受けた場合、板バネ186A、186Bが弾性変形して第１規制体112A、第2規制体112Bは底面144に対し下方に向かって移動可能であり、コイン102A、102Bがそれらを乗り越えて移動可能になり、回転ディスク110と共に移動できる。

次に出口開口138が図2及び図3を参照して説明される。
出口開口138は、周方向案内装置112の側方のガイド穴132の周壁146が所定長にわたって切除された矩形の開口である。
実施例においては、ガイド穴構成体148の上側端部、及びガイド穴構成体148の下側端部に続いて配置された第１ガイド194の上端部との間の開口である。
出口開口138の長さ(ガイド穴132の周方向の長さ)は、第2直径コイン102Bが通過するに十分な長さである。

次に出口通路116が図2及び図3を参照して説明される。
出口通路116は、弾出装置114によって弾き出されたコイン102A、102Bを案内する機能を有する。
出口通路116は、出口開口138に連続して回転ディスク110の周方向に伸びる薄板状の通路である。
出口通路116は、スライドベース106に形成された凹溝192、第1ガイド194、第2ガイド196及び凹溝192の上側解放面を覆う板状体198(図1参照)によって画定され、回転ディスク110の周方向に伸びている。
凹溝192の出口通路底面200は、底面144と同一平面内に配置され、第2押動部178によって押し出されるコイン102の下面が案内される。
出口通路画定装置122は、実施例においてはスライドベース106及び板状体198(図1参照)により構成される。
しかし、コイン102A、102Bの通路を画定する構造であれば、他の構成を採用できる。

次に弾出装置114が図2、3及び図6を参照して説明される。
弾出装置114は、回転ディスク110によって一枚ずつ区分けされて送り出されるコイン102をひとつずつ弾き出す機能を有する。
弾出装置114は、第1ガイド194、第2ガイド196及び付勢手段202を含んでいる。

まず第1ガイド194を説明する。
本発明の第1ガイド194は、コイン102が弾き出される際、出口開口138の一側を固定的に画定する機能を有する。
さらに、本実施例においては、小径コイン102A又は大径コイン102Bの何れが使用される場合であっても、第2ガイド196の移動量が同一になるようにする機能を有する。
本実施例における第1ガイド194は、へら状の板金製ガイド体201の一端部である弧状端部203によって構成されている。
ガイド体201は他端部204及び側部凸部206が形成され、スライドベース106に形成された凹部208に側部凸部206が当接し、かつ、他端部204がガイド穴構成体148の下方端部の凹部に接した状態において、小径コイン102Aに適した第1位置P1に位置するよう設定されている。
この状態において、ガイド体201の直線状の第1側面210はガイド穴132の一部を構成する。
図3に示すように、ガイド体201を表裏反転した場合(破線示)、第1側面210の反対側の第2側面212がガイド穴132の一部を構成する第２位置P2に位置する。
第2側面212は、第1側面210よりも回転軸心RCから離れて位置し、ガイド穴132を大きくしている。
換言すれば、大径コイン102Bが第１規制体112A、第2規制体112Bによって出口開口138へ案内され、かつ、第2ガイド196が小径コイン102Aが弾き出される場合と同一の移動量になるよう設定されている。
ガイド体201は、板状体198の下面に形成した突起(図示せず)がガイド体201に形成された位置決め孔214A、214Bに嵌め合わされることにより当該第1位置P1又は第2位置P2に固定される。

次に第2ガイド196を図2、3及び図6を参照して説明する。
第2ガイド196は移動可能に設けられ、第1ガイド194との間で第1直径コイン102A又は第2直径コイン102Bを選択的に挟んで弾き出す機能を有する。
第2ガイド196は、本実施例では支軸216に回転自在に支持されたローラ218である。
第2ガイド196は、回転ディスク110及び第1ガイド194の側方に配置され、出口開口138の一側壁を構成している。

支軸216は、スライドベース106の裏面に下向きに固定された固定軸220にピボット運動可能に取り付けられた揺動レバ222の一端部に固定され、スライドベース106の長孔224を通って出口通路116に隣接し、かつ第1ガイド194に対し所定距離離れた出口開口138を構成する位置に配置されている。
スライドベース106の下面に突出するピン226と揺動レバ222との間に掛止めした付勢手段202、具体的にはスプリング228が掛止され、ローラ218が第1ガイド194に近づくよう図3において反時計方向(図6において時計方向)に付勢されている。

付勢手段202は、第2ガイド196を第1ガイド194に弾性的に近づける機能を有している。
通常、揺動レバ222は一体に形成された被係止部230がスライドベース106の裏面に配置された固定の係止部232によって係止されることにより、第2ガイド196が第1ガイド194に対し小径コイン102Aの直径よりも小さい間隔で停止された待機位置SPにおいて静止される。

第1直径コイン102A又は第2直径コイン102Bの直径部が第1ガイド194と第2ガイド196との間に移動した場合、図3に鎖線で示すように第2ガイド196が払出位置DPに移動された後、付勢手段202の弾発力でコイン102を出口通路116へ弾き出す。
なお、第2ガイド196は揺動レバ222によってピボット運動を行うが、直線運動により第1ガイド194に対し接近、離隔するよう変更することができる。
また、付勢手段202は、スプリングの他、電磁アクチュエータ、空気アクチュエータ等同様の機能を有する装置に変更することができる。

次にコイン検知装置118が図2、3及び6を参照して説明される。
コイン検知装置118は、コイン102による第2ガイド196の移動を直接的又は間接的に検知して検知信号DSを出力する機能を有する。
実施例のコイン検知装置118は、第2ガイド196、第2ガイド196を支持する揺動レバ222、揺動レバ222に連動して移動する作用片242及び作用片242の検知装置244を含んでいる。

作用片242は、揺動レバ222と一体に形成され、固定軸220を中心とする円弧状に所定の長さで位置する被検知部246である。
検知装置244は、被検知部246を検知した場合、「Ｈ」又は「Ｌ」の電気的な検知信号DSを出力する機能を有する。
実施例の検知装置244は、透過形の光電センサ248であり、透孔248H(図2、3)からの投射光を当該透孔248Hに相対配置された受光部において受光した場合、「Ｈ」の信号を出力し、被検知部246によって遮光された場合、「Ｌ」の信号を出力する。
光電センサ248は、スライドベース106の裏面の第3取付部140に取付ブラケット250を介して固定されている。

実施例において光電センサ248はサポート部126で囲われたスライドベース106の下方に位置するので、外部から不正にアクセスすることは極めて困難である。
コイン102によって第2ガイド196が払出位置DPへ移動された場合、図3に鎖線で示すように被検知部246が投光部から受光部への投射光を遮断する。
この遮断によって、光電センサ248の出力は「H」から「L」になる。
第2ガイド196が払出位置DPから待機位置SPへ移動した場合、その移動途上において被検知部246が投光部と受光部の間から外れるので、光電センサ248の出力は「L」から「H」になる。
光電センサ248の出力が「L」から「H」に変化した場合、検知信号DSを出力する。
この検知信号DSをカウントすることにより、払い出したコイン102の数を知ることができる。
したがって、検知装置244は、同様の機能を有する他の方式に変更することができ、光電センサ248は反射式光電センサ、金属センサ等他のセンサに変更することができる。
さらに、揺動レバ222または第2ガイド196の移動を直接検知することによりコイン検知装置118を構成することができる。

前述したように、第1直径コイン102Aと第2直径コイン102Bの何れが払い出される場合であっても、第2ガイド196の移動量は同一である。
したがって、作用片242がこれら第1直径コイン102A又は第2直径コイン102Bにより移動される場合、被検知部246が光電センサ248の光軸を遮断しているタイミングは実質的に同一になり、コイン直径に適合するように調整する必要がない。
厳密には、コイン102の直径差により被検知部246の移動開始タイミング及び移動終了タイミングが僅かに異なる。
しかし、直径において５ミリ程度の差であれば無視し得る程度のタイミング差であり、実質的に同一と考えることができる。

次に出口通路画定装置122が図１〜3を参照して説明される。
出口通路画定装置122は、出口通路116を画定する機能を有する。
出口通路116は、スライドベース106の凹溝192に板状体198を嵌め込んだ後、スクリュウ等の固定手段(図示せず)によってスライドベース106に固定することにより画定形成される。
具体的には、出口通路116の下面は出口通路底面200によって画定され、上面は板状体198の下面によって画定され、側面は、凹溝192の側壁によって画定される。
ガイド体201が第1直径コイン102Aに対応する第1位置P1に設定されているか、第2直径コイン102Bに対応する第2位置P2に設定されているかの確認及び出口通路116におけるコイン102の移動状況を確認可能とするため、板状体198は透明樹脂にて成形することが好ましい。

次に不正防止装置124が図2及び図6を参照して説明される。
不正防止装置124は、コイン102が弾出装置114により弾き出された場合、必ず検知信号DSが出力されるようにする機能を有する。
換言すれば、第2ガイド196が待機位置SPから払出位置DPに移動された場合、次のコイン102が第2ガイド196を押動する以前に待機位置SP近傍へ強制的に移動させる機能を有する。
実施例の不正防止装置124は、回転体252及びストッパ254を含んでいる。

まず、回転体252を説明する。
回転体252は、回転ディスク110に対し通孔162の数の倍数の回転比によって回転される。
具体的には、回転体252は減速機160によって回転駆動される。
減速機160は、図6に示すようにスライドベース106の裏面に固定される減速機ボックス256に内蔵される。
電気モータ158が減速機ボックス256の裏面に固定され、減速機ボックス256内に突出する出力軸の先端に小径のドライブギヤ258が配置される。
このドライブギヤ258に、第1固定軸262に回転自在に支持された第1減速ギヤ264が噛み合っている。
第1減速ギヤ264と一体に形成された第2減速ギヤ266は、第2固定軸268に回転自在に支持された第3減速ギヤ272に噛み合っている。
第3減速ギヤ272と一体の第4減速ギヤ274は、回転軸147の下端部に固定された第5減速ギヤ276に噛み合っている。
この構造により、電気モータ158の回転によって各減速ギヤを介して回転ディスク110は所定の速度で図2において時計方向に回転され、コイン102が払い出される。

第3減速ギヤ272と噛み合う被動ギヤ278は、減速機ボックス256に回転自在に支持された第2回転軸282に固定されている。
第2回転軸282の下端部は減速機ボックス256の下方に突出している。
回転体252は、第2回転軸282の前記突出した下端部に固定され、減速機ボックス256の外側下方において回転する。
第2回転軸282の回転軸147に対する回転比は、通孔162の数の倍数である。
換言すれば、回転ディスク110の第2押動部178がコイン102を１つ弾出装置114へ向かって送り出す毎に回転体252は一回転する。
回転体252は、第2回転軸282の回転中心から所定の半径を有する。
したがって、回転体252は所定の平面内に位置する回転経路Ｒを回転する。
回転体252の係止面284は、第2回転軸282の軸心を通る直線(図示せず)上に配置されている。

次にストッパ254を説明する。
ストッパ254は、第2ガイド196に連動して移動し、当該第2ガイド196が待機位置SPに位置する場合、回転体252の回転経路Ｒの外に退出し、正常動作における当該第2ガイド196が払出位置DPへ向かう過程から待機位置SPへ向かう過程において、当該回転経路Rに進出し、回転体252の回転を停止する機能、及び回転ディスク110が回転される場合、回転体252によって回転経路Ｒ外へ移動される機能を有する。
換言すれば、正常作動時、ストッパ254は第2ガイド196と連動して回転体252を係止しないタイミングで回転経路Ｒに進退する。
さらに換言すれば、正常作動時において、第2ガイド196が払出位置DPの近傍に位置する場合、ストッパ254は回転経路Ｒ内に位置し、第2ガイド196が待機位置SP近傍に位置する場合、回転経路Ｒの外に位置する。
異常時、例えば、器具により第2ガイド196が払出位置DPの近傍に保持される場合、ストッパ254は回転体252を係止してその回転を停止させ、若しくは回転体252が回転するときはストッパ254を介して第2ガイド196を待機位置SP近傍へ強制的に移動させる。

ストッパ254は、揺動レバ222と一体に形成された扇状の係止体286の一側面288である。
これにより、ストッパ254は第2ガイド196及び作用片242と一体に移動する。
一側面288は、固定軸220の軸心を通る直線(図示せず)上に配置される。
側面288がストッパ254の回転経路Ｒに位置する場合、回転体252を係止し、その回転を停止する。
また、回転体252の回転力が勝る場合、回転体252はストッパ254を移動させ、回転経路Ｒ外に移動させる。
これにより、第2ガイド196は強制的に払出位置DPから待機位置SP近傍へ移動され、作用片242は透孔248Hから外れ、光電センサ248は検知信号DSを出力する。
換言すれば、第2ガイド196が払出位置DPに移動された場合、必ずコイン102が１つ通過毎に待機位置SP近傍へ戻され、１つの検知信号DSが出力される。
回転体252は、回転ディスク110とは別部品であるので、ストッパ254によって回転ディスク110を損傷することはない。

次に実施例の作用を説明する。
第1直径コイン102Aの直径が25ミリ、第2直径コイン102Bの直径が30ミリである場合の作用を説明する。
まず、第2直径コイン102Bが使用される場合を説明する。
ガイド体201は第２位置P2に固定され、第2側面212がガイド穴132の周壁146を構成する。
第2直径コイン102Bの払出指示信号を受けた場合、電気モータ158が回転し、減速機160及び回転軸147を介して回転ディスク110が図2において時計方向に回転される。
回転ディスク110の回転により、第2直径コイン102Bは通孔162の大径半円部162Lにおいて落下し、その下面はガイド穴132の底面144に支えられる。
さらに、第2直径コイン102Bは第１押動部176(第1押出面176A)及び第2押動部178(第2押出面178A)により押されて底面144上を滑り、かつ、周面はガイド穴構成体148の内壁である第１ガイド面148Aに案内されつつ回転ディスク110と共に連れ回りされる。
このとき、図7に示すように第2直径コイン102Bは第1押動部176により、第2直径コイン102Bの中心を通る第１直線L1よりも外側の外向き円弧面102Sを押されるので、第2直径コイン102Bを回転軸心RC側に押す力を受け、回動による遠心力が第2直径コイン102Bに作用するものの第１ガイド面148Aとの接触圧力はほぼゼロの状態で移動する。
第１直線L1は、第１ガイド面148Aによって案内される第2直径コイン102Bが第2押出面178Aによって押される際、その押動点に対するベクトルV1と平行な線である。
第2直径コイン102Bは大径であるため、仮想大径円LCにおいて積み上がり、上に載った第2直径コイン102Bは最下の第2直径コイン102Bに対し斜めになることがないので、スライドベース106と回転ディスク110の裏面との間に噛み込まれることはない。

第2直径コイン102Bは、回転ディスク110の回転によって第１ガイド面148A、第3ガイド面148C及び第2ガイド面148Bの順に案内されて周方向案内装置112に達する。
第2直径コイン102Bは自ら又は第1規制体112A、第２規制体112Bによって回転ディスク110の周方向に案内される。
このとき、第1規制体112A及び第２規制体112Bには横方向から力が加わるが、底面144に対しほぼ垂直状態を保つ。
第2直径コイン102Bは周方向に案内されることより、第1ガイド194と第2ガイド196との間に達する(図2、3)。
第2ガイド196は、第2直径コイン102Bによって移動されるまで待機位置SPに位置する。
光電センサ248は、第2ガイド196が待機位置SP近傍に位置する場合、検知信号DSを出力しない。

一方、第3減速ギヤ272及び被動ギヤ278を介して第2回転軸282が回転ディスク110の通孔162の数の倍数で回転される。
換言すれば、第2直径コイン102Bが一枚、弾出装置114に押し込まれる毎に第2回転軸282、換言すれば、回転体252は第2直径コイン102Bが一つ払い出される毎に１回転する。

第2直径コイン102Bは、第１押動部176に引き続いて第2押動部178によってさらに周方向へ押され、かつ、第1ガイド194は固定であるので、第2ガイド196が第2直径コイン102Bによって待機位置SPから払出位置DPへ移動される(図3鎖線示)。
これにより、揺動レバ222が固定軸220を中心に図6において反時計方向へ回動される。
この払出位置DPへ移動する途上において、作用片242は透孔248Hに相対し、投光部からの投射光を遮断するため、光電センサ248の出力は「H」から「L」に変化する。
図9に示すように、図示しない制御装置は出力が「H」から「L」に変化した時点から計時Tを開始する。

第2直径コイン102Bは、その直径部が第1ガイド194と第2ガイド196との間を通過した直後に付勢手段202の弾発力によって第2ガイド196を介してほぼ横方向に弾き出され、出口通路116を通って出口190から払い出される。
これにより、第2ガイド196は待機位置SPに戻る。

第2ガイド196の待機位置SPへの復帰動に連動して作用片242が光電センサ248の遮光を中断するので、投光部からの投射光が受光部に受光されるようになる。
これにより、光電センサ248の出力は「L」から「H」に変化する。
この「L」から「H」への出力変化に基づいて検知装置244は検知信号DSを出力する。
したがって、この検知信号DSをカウントすることにより出口190から払い出されたコイン102の数を計数することができる。
また、信号が「H」から「L」に変化した後、「L」の継続時間が所定時間Tよりも短い場合、異常信号は出力されない。
光電センサ248の出力「L」の継続時間が所定時間、例えば通常の二倍以上継続した場合、異常状態であるとして異常信号ESを出力することができる。
例えば、信号「L」の継続時間がコインの２枚払出に要する時間を経過した場合、異常信号を出力し、これに基づいて電気モータ158の回転を停止することができる。

ストッパ254は、第2ガイド196が待機位置SPに位置する場合、回転体252の回転経路Rの外に位置するので、回転体252はその回転中にストッパ254と当接することはない。
第2ガイド196が払出位置DPに位置する場合、ストッパ254は回転体252の回転経路Rに進行するが、回転体252はストッパ254の進行位置に対し大凡180度ずれた位置に位置するため、ストッパ254によって係止されることはない。

次に第2ガイド196が器具により払出位置DPに保持し続けられた異常ケースを説明する。
第2ガイド196が払出位置DPを保持するので、ストッパ254も回転体252の回転経路Rに位置し続ける。
これにより、回転ディスク110の連続する回転により回転体252が回転してくると、ストッパ254に係止される。
このとき、第2ガイド196の保持力、したがってストッパ254の保持力が回転体252のトルクよりも大きい場合、回転体252は停止される。
換言すれば、回転ディスク110の回転は停止され、第2直径コイン102Bは払い出されない。
一方、作用片242は透孔248Hからの投光を遮断し続けるので検知信号DSは出力されない。

回転体252のトルクがストッパ254の保持力よりも大きい場合、回転体252はストッパ254を移動させて回転経路R外へ押し出す。
換言すれば、第2ガイド196は払出位置DPから待機位置SPの近傍へ強制的に移動される。
これにより、第2直径コイン102Bは第2ガイド196によって押し出され、出口190から１つ払い出される。
この過程で作用片242は透孔248Hからの投光を遮断しなくなるので、光電センサ248の出力は「L」から「H」に変化し、検知信号DSを出力する。
これにより、払出したコイン１が計数される。
換言すれば、第2直径コイン102Bが払い出された場合、必ず検知信号DSが１つ出力される。
したがって、第2直径コイン102Bが払い出されない場合、検知信号DSは出力されず、かつ第2直径コイン102Bが払い出される場合、必ず検知信号DSが１つ出力されるので、第2直径コイン102Bと検知信号DSとは一対一の関係である。
よって、不正に第2直径コイン102Bを取得することはできない。

次に第1直径コイン102Aが使用される場合を説明する。
回転ディスク110の回転によって、第1直径コイン102Aは大径半円部162L及び小径半円部162Sの間において通孔162に落下する。
第1直径コイン102Aは、図7における回転ディスク110の回転中心を通る垂線に対し右側においては、積み重なっていても底面144が傾斜しているので重力によって最下の第1直径コイン102Aが底面144上を滑落することがある。
この場合、最下の第1直径コイン102Aは上側に載っている第1直径コイン102Aに対し図7に示すようにずれることになる。
このように上側の第1直径コイン102Aがずれた場合、上側の第1直径コイン102Aはその中間下側を下側のコインに支えられて底面144に対し斜めになり、回転ディスク110の裏面168と底面144との間に潜り込む可能性がある。

しかし、図8(A)に示すように第１ガイド面148Aは通孔162の外側つなぎ縁部TOと面一に形成されているため、回転ディスク110の裏面168と底面144との間に第1直径コイン102Aが潜り込む余地はない。
また、図8(B)に示すように第2押出面178Aの回転方向前方には第1直径コイン102Aが潜り込む薄板状の狭小の空間Sが形成される。
しかし、小径半円部162Sの半径は第1直径コイン102Aの半径よりも小さいので、第1直径コイン102Aは、その周縁が外側つなぎ縁部TO及び内側つなぎ縁部TIに接触した状態で斜めになる結果、第1直径コイン102Aの周縁は小径半円部162Sの縁部から僅かに離れた位置において斜めになる。
結果として、図8(B)に図示するように第1直径コイン102Aの周縁は前記空間Sの前方に位置し、第2押出面178Aの前方の回転ディスク110の裏面168と底面144との間に挟まれることはない。

回転ディスク110の右側の下端部においても、第1直径コイン102Aには重力が作用するが、下方のみでなく、左横方向へも移動せねば上側の第1直径コイン102Aに対しずれることができない。
回転ディスク110の右側の下端部においては、重力による最下の第1直径コイン102Aの移動力が減少する結果、相対的に移動抵抗が大きくなり、最下の第1直径コイン102Aが上側の第1直径コイン102Aとずれることはない。
また、回転ディスク110の回転軸心RCを通る垂線VLよりも左側においては、第1直径コイン102Aの移動に対しては前上がりの坂になるので最下の第1直径コイン102Aは第1押出面176A、第２押出面178Aによって押されなければ移動することができないのでずれることはない。
そして、回転ディスク110の下側から左側における第2ガイド面148Bは通孔162の外側つなぎ縁部TOよりも外方に位置するので、下側の第1直径コイン102Aは当該第2ガイド面148B及び第1側面210によって案内され、回転ディスク110の裏面168と底面144との間に保持されつつ移動されるので、上側の第1直径コイン102Aは最下第1直径コイン102Aの上に保持され、回転ディスク110の裏面168と底面144との間に挟まれることはない。
そしてガイド体201の第1側面210に案内されつつ出口開口138に達し、前述の第2直径コイン102Bと同様に弾出装置114によって弾き出される。

以上説明したように、本発明は大径コインが使用可能な回転ディスクを用いて小径コインを払い出す場合であっても、小径コインの噛み込みを生じないので回転ディスクを交換することなく複数直径のコインを円滑に払い出しできる利点がある。

図１は、実施例のコインホッパの斜視図である。 図２は、実施例のコインホッパの回転ディスクを装着したスライドベースの平面図である。 図３は、実施例のコインホッパのスライドベースの平面図である。 図４は、実施例のコインホッパの回転ディスクの平面図である。 図５は、実施例のコインホッパの回転ディスクの裏面図である。 図６は、実施例のコインホッパのスライドベースの裏面図である。 図７は、実施例のコインホッパの作用説明図である。 図８は、実施例の図７におけるＡ―Ａ断面図、Ｂ−Ｂ断面図である。 図９は、実施例のコインホッパの作用説明用シーケンス図である。 図１０は、従来例の説明用の平面図である。 図１１は、従来例の作用説明用の断面図である。

102A 第1直径コイン
102B 第２直径コイン
106 スライドベース
108 コイン保留ボウル
132 ガイド穴
110 回転ディスク
138 出口開口
148A 第１ガイド面
148B 第２ガイド面
156 上部開口
155 底孔
168 裏面
176 押動部
162 通孔
194 第1ガイド
196 第2ガイド
RC 回転軸心
CL 大径円部の中心
CS 小径円部の中心
SC 小径半円部
TO つなぎ縁部

Claims (1)

1. コイン(102A、102B)がスライドする傾斜したスライドベース(106)と、
   前記スライドベース(106)上にコインの外周縁を案内する周壁を画定するガイド穴(132)と、
   前記ガイド穴(132)の上部側壁の一部を切り欠いた出口開口(138)と、
   小径コイン(102A)又は大径コイン(102B)が選択的に又は混在して投入される上部開口(156)及び円形の底孔(155)を有し、前記スライドベース(106)に取り付けられるコイン保留ボウル(108)と、
   前記底孔(155)に前記スライドベース(106)と平行に傾斜配置され、裏面(168)に前記スライドベース(106)側に突出する押動部(176、178)を有する通孔(162)付き回転ディスク(110)と、
   前記回転ディスク(110)の側方に固定状態に配置した第1ガイド(194)及び前記第1ガイド(194)に対し弾性的に接離可能に設けられた第2ガイド(196)と、を備え、
   前記回転ディスク(110)の裏面(168)と前記スライドベース(106)との間隔をコイン厚みの二枚以下の間隔に設定し、
   前記回転ディスク(110)の回転に伴い前記押動部(176、178)によって前記スライドベース(106)上を滑らせて前記ガイド穴(132)の周壁によって案内しつつ前記コイン(102A、102B)をスライド移動させ、前記第1ガイド(194)及び第2ガイド(196)との間に挟んで弾き出すコインホッパにおいて、
   前記通孔(162)は、使用対象のうち最大径コイン直径よりも僅かに大きい直径を有する円弧状の大径円部(LC)と、使用対象のうち最小径コイン直径よりも僅かに小さい直径を有する円弧状の小径円部(SC)と、前記大径円部(LC)及び前記小径円部(SC)の円弧を接続する第1及び第2のつなぎ縁部(TO、TI)とにより卵形に形成され、
   前記大径円部(LC)の中心(CL)は、前記小径円部(SC)の中心(CS)よりも前記回転ディスク(110)の回転軸心(RC)側であって、かつ、前記小径円部(SC)の中心(CS)よりも前記回転ディスク(110)の回転方向側に離れて位置し、
   前記第1のつなぎ縁部(TO)は前記回転ディスク(110)の周縁部に沿って配置され、
   前記ガイド穴(132)は、前記回転ディスク(110)の回転方向が上から下に向かう側においては、前記回転ディスク(110)の回転軸心(RC)を中心とし、前記第1のつなぎ縁部(TO)と一致する円弧状の第１ガイド面(148A)、及び前記回転ディスク(110)の回転方向が下から上に、かつ前記出口開口(138)に向かう側においては、前記回転ディスク(110)の外側に位置し、かつ前記回転軸心(RC)を中心とする円弧状の第２ガイド面(148B)により案内されるよう構成されていることを特徴とするコインホッパ。

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