(構成)
まず、実施例1のコインホッパ100の概要が図1を参照して説明される。コインホッパ100は、バラ積み状態で保留された円板形のコイン102を一つずつ払い出す機能を有する。コインホッパ100は、少なくともフレーム104、ホッパベース106、保留ボウル108、回転ディスク110、コイン102の周方向案内装置112、弾出装置114、出口通路116、コイン払出検知装置118、出口通路画定装置122および回転位置検知装置300を含んでいる。
まずフレーム104が図1を参照して説明される。フレーム104はホッパベース106および保留ボウル108を支持する機能を有し、樹脂にて射出成型された矩形の筒状をしている。フレーム104は、下端のベース126と、ベース126に一体化され上向きに延びる矩形筒形のサポート部128とを含んでいる。サポート部128の中空部には、制御基板や回転ディスク110の駆動のための電気モータ158(図4参照)等が配置され、頭部は斜めに形成されている。
次にホッパベース106が図2〜図5を参照して説明される。ホッパベース106は、保留ボウル108、回転ディスク110、周方向案内装置112、弾出装置114、およびコイン払出検知装置118を所定の位置に保持する機能と、回転ディスク110によって移動されるコイン102を案内する機能とを有する。ホッパベース106は、矩形の厚板状を呈し、サポート部128の頂部に固定されている。換言すれば、ホッパベース106は、所定の角度で傾斜している。ホッパベース106は、上面130の中央に位置する有底かつ円形鍋形のガイド穴132と、上下端部に形成した保留ボウル108の第1取付部134A、134Bおよび第2取付部136A、136Bと、ガイド穴132の周面の一部を開口した出口開口138と、裏面側にコイン払出検知装置118の取付部140と、周方向案内装置112の取付部142と、回転位置検知装置300の取付部332とを含んでいる。
ガイド穴132の底面144は、大凡平面であり、中央に、回転ディスク110を取り付ける第1回転軸146が貫通する軸孔148が形成されている。ガイド穴132の周壁150は、C形の金属製ガイドリング151の内周面および後述のガイド体192の側面によって構成される。回転ディスク110によって押動されるコイン102は、その下面がガイド穴132の底面144上を滑りつつ、かつ、その周面がガイド穴132の周面である周壁150に案内されつつ移動する。出口開口138に臨んで後述の弾出装置114が配置されている。
次に、保留ボウル108が図1を参照して説明される。保留ボウル108は、コイン102をバラ済み状態に貯留する機能を有する。保留ボウル108の下端部152は、ガイド穴132とほぼ同一径の円筒状であって、ホッパベース106に対し直交方向に延びている。換言すれば、下端部152は斜め上方に向かって伸びており、その上端部154は四角形状に拡大する上端部154が形成され、上端はコイン102を投入するための上部開口156になっている。下端部152の円筒内の底孔155に回転ディスク110の上部が配置されている。保留ボウル108の上端部154と下端部152は傾斜壁によって接続され、その上に乗ったコイン102は、重力によって自然滑落し、下方の回転ディスク110上に落下する。第1取付部134A、134Bおよび第2取付部136A、136Bに保留ボウル108の下部に形成した係止部(図示せず)を係止することにより、保留ボウル108を簡単操作でホッパベース106に取付け、取外しできるようにしてある。
次に回転ディスク110を図2および図3を参照して説明する。回転ディスク110は、保留ボウル108にバラ積み状態に保留されるコイン102を一つずつ区分けし、弾出装置114に搬送する機能を有する。回転ディスク110は、電気モータ158(図4参照)によって減速機160(図5および図6参照)を介して回転駆動される。回転ディスク110には、回転軸線を中心とする所定半径の円上であって等間隔に円形の通孔164が形成され、通孔164の上面側は、下向き錐形の導入部165が形成されている。また、中央部には円錐形であって、かつ、第1回転軸146を取付けると共にコイン102の攪拌のための中央凸部166が形成されている。回転ディスク110は、その下部がガイド穴132内にその周面が周壁150に対しコイン102の厚みよりも狭い間隔で、また、その上部は保留ボウル108の下端部152の底孔155内に僅かな隙間を空けて配置されている。
回転ディスク110の裏面161である通孔164を区画するリブ167の下面には、コイン102を押し出すための第1押動部168および第2押動部170が通孔164のそれぞれに相対して下向きに突出形成されている。第1押動部168および第2押動部170の第1押動面168Pおよび第2押動面170P(図2参照)は、回転ディスク110の中心部から伸びるインボリュート曲線上に位置している。第1押動部168と第2押動部170との間には、後述の周方向案内装置112を構成する第1規制体112A通過のための第1溝172A、および第2規制体112B通過のための第2溝172Bが形成されている。
回転ディスク110が回転した場合、その上に載っているコイン102は通孔164、中央凸部166等によって攪拌され、姿勢が変化させられて通孔164に落下する。落下したコイン102の下面はガイド穴132の底面144に、外周は周壁150によって案内される。そして、回転ディスク110の回転によって第1押動面168Pおよび第2押動面170Pによって押動されて回転ディスク110と共に連れ回りされる。このとき、コイン102の周面は周壁150に案内されるが、周壁150に対する接触圧は殆どが遠心力に基づくものであるので大きな接触圧ではない。連れ回り過程において、周方向案内装置112の第1規制体112A、および第2規制体112Bによって連れ回りを阻止されたコイン102は、回転ディスク110の周方向へ案内され、最終的に第2押動面170Pによって、出口開口138へ押し込まれる。
次に周方向案内装置112が図2および図3を参照して説明される。周方向案内装置112は、第1押動部168および第2押動部170によって押動されるコイン102を回転ディスク110の周方向に案内し、出口開口138に誘導する機能を有する。具体的には、ホッパベース106を下側から上側に貫通し、回転ディスク110に向かって伸びる円柱ピン状の第1規制体112Aおよび第2規制体112Bが配置されている。換言すれば、第1規制体112Aおよび第2規制体112Bはコイン102の移動経路に突出している。
第1規制体112Aおよび第2規制体112Bは、ホッパベース106の裏面の取付部142に一端を固定された板バネ174A、174B(図5参照)に固定されている。これにより、第1押動部168、第2押動部170によって押動されるコイン102は第1規制体112Aおよび第2規制体112Bによって回転ディスク110による連れ回りを阻止され、出口開口138側へ案内される。第1規制体112Aおよび第2規制体112Bがコイン102から所定の横方向の力を受けた場合、板バネ174A、174Bが弾性変形して第1規制体112Aおよび第2規制体112Bは底面144の下方に向かって移動可能であり、コイン102がそれを乗り越えて移動可能になり、回転ディスク110と共に移動できる。
なお、第1規制体112Aまたは第2規制体112Bの一方のみ、若しくは第1規制体112Aおよび第2規制体112Bを用いずともコイン102が出口開口138に自ずと移動する場合、それらを配置する必要はない。換言すれば、回転ディスク110の直径が大きく、第1押動部168および第2押動部170によってコイン102を回転ディスク110の周方向へ誘導できる場合、第1規制体112Aおよび第2規制体112Bを配置する必要は無い。
次に出口開口138が図2および図3を参照して説明される。出口開口138は、周方向案内装置112の側方のガイド穴132の周壁150が所定長にわたって切除された矩形の開口である。本実施例においては、第1ガイド176および第2ガイド178によってコイン102の出口が画定されるので、これらの間が出口開口138である。出口開口138の長さ(ガイド穴132の周方向の長さ)は、コイン102が通過するに十分な長さである。
次に出口通路116が図2を参照して説明される。出口通路116は、弾出装置114によって弾き出されたコイン102を案内する機能を有する。出口通路116は、出口開口138に連続して回転ディスク110の周方向に伸びる薄板状の通路である。出口通路116は、ホッパベース106に形成された凹溝182、第1ガイド176、第2ガイド178および凹溝182の上側解放面を覆う出口通路画定ガイド184(図1参照)によって画定され、回転ディスク110の周方向に伸びている。凹溝182の底面186は、底面144と同一平面内に配置され、第2押動部170によって押し出されるコイン102の下面が案内される。
出口通路画定装置122は、本実施例においてはホッパベース106および出口通路画定ガイド184により構成される。しかし、コイン102の通路を画定する構造であれば、他の構成を採用できる。出口通路116の端面がコイン102の出口190である。
次に弾出装置114を図2および図5を参照して説明する。弾出装置114は、回転ディスク110によって一枚ずつ区分けされて送り出されるコイン102を一つずつ弾き出す機能を有する。弾出装置114は、第1ガイド176、第2ガイド178および付勢手段188を含んでいる。
まず第1ガイド176が図2を参照して説明される。本発明の第1ガイド176は、コイン102が弾き出される際、出口開口138の一側を固定的に画定する機能を有する。さらに、本実施例においては、使用されるコイン102が小径コインおよび大径コインのいずれの場合であっても、第2ガイド178の移動量が同一になるようにする機能を第1ガイド176が有し、図2は使用されるコイン102が小径コインの場合を示している。第1ガイド176は、へら状の板金製ガイド体192の弧状端部194によって構成されている。ガイド体192は他端部200に形成された弧状凹部201と左側部に形成された弧状凸部196を有しており、ホッパベース106に形成された凹部198に弧状凸部196が嵌り、かつ、弧状凹部201がガイドリング151に形成された弧状凸部202に嵌った状態において、コイン102に適した位置に配置されるよう設定されている。この状態において、直線状の第1側面204はガイド穴132の一部を構成する。
使用されるコイン102が大径コインである場合、ガイド体192が左右反転され、第1側面204の反対側の第2側面206がガイド穴132の一部を構成する。第2側面206は、第1側面204よりも湾曲しており、ガイド穴132を大きくしている。換言すれば、大径コインが第1規制体112Aおよび第2規制体112Bによって出口開口138へ案内され、かつ、第2ガイド178の移動量が小径コインの場合と同一になるよう設定されている。ガイド体192は、ガイド体192に形成された貫通孔(図示せず)にスクリュウ208A、208Bを挿入してホッパベース106にネジ止めされることにより所定位置に固定される。
次に第2ガイド178が図2および図5を参照して説明される。第2ガイド178は移動可能に設けられ、第1ガイド176との間でコイン102を挟んで弾き出す機能を有する。第2ガイド178は、本実施例では支軸212(図5参照)に回転自在に支持されたローラ214である。第2ガイド178は、回転ディスク110および第1ガイド176の側方に配置され、出口開口138の一側壁を構成している。
支軸212は、ホッパベース106の裏面に下向きに固定された固定軸218にピボット運動可能に取り付けられた揺動レバ220の一端部に固定され、ホッパベース106の弧状長孔222を通って出口開口138に隣接し、かつ第1ガイド176に対し所定距離離れた出口通路116に位置している。ホッパベース106の下面に突出するピン224と揺動レバ220から下方に突出するピン225との間に掛止めした付勢手段188、具体的にはスプリング226が掛止され、ローラ214が第1ガイド176に近づくよう図2において反時計方向(図5において時計方向)に付勢されている。付勢手段188は、第2ガイド178を第1ガイド176に弾性的に近づける機能を有している。
通常、揺動レバ220は、一体に形成された被係止部228がホッパベース106の裏面に形成されると共に表面が弾性的に形成された係止部230によって係止されることにより、第1ガイド176に対しコイン102の直径よりも小さい間隔で停止された待機位置SPにおいて静止している。コイン102の直径部が第1ガイド176と第2ガイド178との間に進行した場合、図12に示すように第2ガイド178が弾き出し位置DPに移動された後、スプリング226の弾発力でコイン102を出口通路116へ弾き出す。
なお、第2ガイド178は揺動レバ220によってピボット運動を行うが、直線運動により第1ガイド176に対し接近、離隔するよう変更することができる。また、付勢手段188は、スプリングの他、電磁アクチュエータ、空気アクチュエータ等同様の機能を有する装置に変更することができる。
次にコイン払出検知装置118が図5および図7を参照して説明される。コイン払出検知装置118は、コイン102による第2ガイド178の移動を直接的または間接的に検知して第2検知信号DSを出力する機能を有する。本実施例のコイン払出検知装置118は、第2ガイド178、第2ガイド178を支持する揺動レバ220、揺動レバ220と一体的に移動する作用片242および作用片242の検知器244を含んでいる。
作用片242は、揺動レバ220と一体に、第2ガイド178よりも支軸212から遠い位置に形成され、支軸212を中心とする円弧状に所定の長さで延在する被検知部246である。検知器244は、被検知部246を検知した場合、所定出力レベルの電気的な第2検知信号DSを出力する機能を有する。本実施例の検知器244は、透過形の光電センサ248であり、透孔248Hから投光される投射光が遮断された場合、所定出力レベルの第2検知信号DSを出力する。光電センサ248は、ホッパベース106の裏面に取付部140を介して固定されている。本実施例において光電センサ248はサポート部128で囲われたホッパベース106の下方に位置するので、外部から不正にアクセスすることが極めて困難である。
図12に示すように、コイン102によって第2ガイド178が弾き出し位置DPへ移動された場合、被検知部246が透孔248Hに相対し、透孔248Hから受光部への投射光を遮断する。この遮断によって、光電センサ248の出力は「L」から「H」になる。第2ガイド178が弾き出し位置DPから待機位置SPへ移動する場合、移動途上において図13に示すように被検知部246が透孔248Hから外れるので、光電センサ248の出力は「H」から「L」になる。なお、光電センサ248の出力は、投射光の遮断時に「H」から「L」に変化するようにすることもできる。換言すれば、光電センサ248の出力は、正極性または負極性のいずれの信号であってもよい。
この第2検知信号DSをカウントすることにより、払い出したコイン102の数を知ることができる。したがって、検知器244は、同様の機能を有する他の方式、例えば反射式光電センサ、金属センサ等他のセンサに変更することができる。さらに、揺動レバ220または第2ガイド178の移動を直接検知することによりコイン払出検知装置118を構成することができる。
次に出口通路画定装置122が図1および図2を参照して説明される。出口通路画定装置122は、出口通路116を画定する機能を有する。出口通路116は、ホッパベース106の凹溝182に出口通路画定ガイド184を嵌め込んだ後、スクリュウ等の固定手段によってホッパベース106に固定することにより画定形成される。具体的には、出口通路116の下面は底面186によって画定され、上面は出口通路画定ガイド184の下面によって画定され、側面は、凹溝182の側壁によって画定される。ガイド体192が小径コインに対応する位置に設定されているか、大径コインに対応する位置に設定されているかの確認および出口通路116におけるコイン102の移動状況を確認可能とするため、出口通路画定ガイド184は透明樹脂にて成形することが好ましい。
次に回転位置検知装置300が図4〜図6および図8を参照して説明される。回転位置検知装置300は、回転ディスク110の回転位置を検知して第1検知信号RSを出力する機能を有する。本実施例の回転位置検知装置300は、回転ディスク110の通孔164の数に相当する倍数で回転する回転体302と、回転体302の被検知部304を検知する検知器306とを含んでいる。
まず、回転体302を説明する。回転体302は、その回転方向に沿って切り欠き部(換言すれば、周縁312が回転中心方向に窪んだ凹部)308が形成された円板体からなり、回転ディスク110に対し通孔164の数の倍数の回転比によって図5の反時計回りの回転方向Rに回転される。具体的には、回転体302は減速機160によって回転駆動される。
減速機160は、図5および図6に示すようにホッパベース106の裏面に固定される減速機ボックス256に内蔵される。電気モータ158が減速機ボックス256の裏面に固定され、減速機ボックス256内に突出する出力軸の先端に小径のドライブギヤ258が配置される。このドライブギヤ258に、第1固定軸262に回転自在に支持された第1減速ギヤ264が噛み合っている。第1減速ギヤ264と一体に形成された第2減速ギヤ266は、第2固定軸268に回転自在に支持された第3減速ギヤ272に噛み合っている。第3減速ギヤ272と一体の第4減速ギヤ274は、第1回転軸146の下端部に固定された第5減速ギヤ276に噛み合っている。この構造により、電気モータ158の回転によって各減速ギヤを介して回転ディスク110は所定の速度で回転される。
第3減速ギヤ272と噛み合う被動ギヤ278は、減速機ボックス256に回転自在に支持された第2回転軸282に固定されている。第2回転軸282の下端部は減速機ボックス256の下方に突出している。回転体302は、第2回転軸282の突出した下端部に固定され、減速機ボックス256の外側下方において回転する。第2回転軸282の第1回転軸146に対する回転比は、通孔164の数の倍数である。換言すれば、回転体302は、回転ディスク110の回転周期を通孔164の数で除算した周期で回転する。さらに換言すれば、回転ディスク110の第2押動部170がコイン102を1つ弾出装置114へ向かって送り出す毎に回転体302は1回転する。
回転体302は、第2回転軸282の回転中心から所定の半径を有する。回転体302は、その周縁312に沿って所定の回転角に対応する部分が除去された切り欠き部308を有している。換言すれば、切り欠き部308は、回転体302の回転方向に沿って湾曲した台形の形状を有している。本実施例では、切り欠き部308が約45度の回転角に対応している。切り欠き部308において、回転体302の縁部309A、309Bが形成されている。縁部309A、309Bは、回転体302の周縁312から回転中心に向けて延在している。回転体302において、切り欠き部308を除く残りの円環状部分が被検知部304として機能する。換言すれば、被検知部304は検知器306を作用させる作用領域305である。作用領域305(換言すれば、被検知部304)において、回転方向Rに沿って延在する範囲が縁部309A、309Bにより画定されている。
次に、検知器306を説明する。検知器306は、回転体302の被検知部304を検知した場合、所定出力レベルの電気的な第1検知信号RSを出力する機能を有する。本実施例の検知器306は、コイン払出検知装置118の検知器244とほぼ同じ構成を有する。すなわち、回転体302に向けて光を投射する投光部324と投光部324から投射された光を受ける受光部326とを有する透過形の光電センサ322であり、投光部324の透孔328から投光される投射光が遮断された場合、所定出力レベルの第1検知信号RSを出力する。換言すれば、透孔328と相対する位置が光電センサ322の検知位置に相当し、回転体302の被検知部304が透孔328と相対する場合に第1検知信号RSが出力される。光電センサ322は、ホッパベース106の裏面に取付部332を介して固定されている。なお、光電センサ322は、コイン払出検知装置118の光電センサ248に近接配置されることが好ましい。電波により光電センサ248を誤動作させる不正が行われた場合にも、光電センサ248および光電センサ322が同時に電波の影響を受けて誤動作するため、不正の発見が容易になるからである。また、光電センサ248と同様に、光電センサ322はサポート部128で囲われたホッパベース106の下方に位置するので、外部から不正にアクセスすることが極めて困難である。
図10に示すように、コイン払出検知装置118の被検知部246が透孔248Hに相対する以前に、回転位置検知装置300の被検知部304が透孔328から受光部326に向かう投射光を遮断する。この遮断によって、光電センサ322の出力は「L」から「H」になる。換言すれば、光電センサ248の出力が「L」から「H」に変化する前に、光電センサ322の出力が「L」から「H」に変化する。また、図13に示すように、第2ガイド178が弾き出し位置DPから待機位置SPへ移動する場合、移動途上において被検知部246が透孔248Hから外れるので、光電センサ248の出力は「H」から「L」になる。この時点で、回転位置検知装置300の被検知部304が透孔328から受光部326に向かう投射光を遮断したままである。そして、図14に示すように、コイン102が弾出装置114により弾き出され、第2ガイド178が待機位置SPに位置する場合、回転位置検知装置300の被検知部304が透孔328から外れるので、光電センサ322の出力は「H」から「L」に変化する。換言すれば、光電センサ248の出力が「H」から「L」に変化した後に、光電センサ322の出力が「L」から「H」に変化する。
なお、光電センサ322の出力は、投射光の遮断時に「H」から「L」に変化するようにすることもできる。換言すれば、光電センサ322の出力は、正極性または負極性のいずれの信号であってもよい。また、検知器306は、同様の機能を有する他の方式、例えば反射式光電センサ、磁気センサ、接触式センサ等他のセンサに変更することができる。さらに、切り欠き部308に換えて、回転体302の回転方向に延在する形状の通孔や開口を回転体302に形成してもよい。作用領域305は、着色や鉄粉等により形成することもできる。
(動作)
次に、図9〜図15を参照しながら、コインホッパ100の動作について説明する。
コイン102払出指示を受けて電気モータ158が始動し、減速機160および第1回転軸146を介して回転ディスク110が図2において時計方向に回転される。回転ディスク110の回転により、コイン102は通孔164に落下し、その下面はガイド穴132の底面144に支えられる。さらに、コイン102は第1押動部168(第1押動面168P)および第2押動部170(第2押動面170P)により押されてその下面は底面144上を滑り、かつ、周面は周壁150に案内されつつ回転ディスク110と共に連れ回りされる。このとき、コイン102は第2押動部170によりその外向き円弧面を押されるのでコイン102を回転中心側に押す力を受け、回転による遠心力がコイン102に作用するものの、周壁150および第1側面204の接触圧力はほぼゼロの状態で移動する(図2参照)。
コイン102は、自らまたは周方向案内装置112によって回転ディスク110の周方向に案内される。このとき、周方向案内装置112の第1規制体112Aおよび第2規制体112Bには横方向から力が加わるが、底面144に対しほぼ垂直状態を保つ。こうして、コイン102は第1側面204に案内されながら出口開口138に向けて移動され、図9(A)に示す状態となる。この時点では、揺動レバ220がスプリング226により図9(B)の時計方向に付勢され、第2ガイド178は待機位置SPに位置する。そのため、図9(B)に示すように光電センサ248の投射光は作用片242により遮断されず、光電センサ248の出力(すなわち、コイン払出検知装置118の出力)は「L」となる(図15の時刻t1)。また、回転位置検知装置300において、回転体302の切り欠き部308が光電センサ322の透孔328に相対するため、光電センサ322の投射光が回転体302により遮断されず、光電センサ322の出力(すなわち、回転位置検知装置300の出力)は「L」となる(図15の時刻t1)。
回転ディスク110がさらに回転されると、コイン102の周方向への移動により、図10(A)に示すように、コイン102は第1ガイド176と第2ガイド178との間に達する。第2ガイド178は、コイン102によって移動されるまで待機位置SPに位置する。そのため、図10(B)に示すように光電センサ248の投射光は作用片242により遮断されず、光電センサ248の出力は「L」を継続する(図15の時刻t2)。他方、第3減速ギヤ272および被動ギヤ278を介して第2回転軸282が回転ディスク110の通孔164の数の倍数で回転される。換言すれば、コイン102が1枚、弾出装置114に押し込まれる毎に第2回転軸282、換言すれば、回転体302はコイン102が1枚払い出される毎に1回転する。回転体302の回転により、図10(B)に示すように、回転体302の被検知部304が光電センサ322の透孔328に相対する。そのため、光電センサ322の投射光が回転体302の被検知部304により遮断され、光電センサ322の出力が「L」から「H」に変化する(図15の時刻t2)。
コイン102は、第1押動部168に引き続いて第2押動部170によってさらに周方向へ押され、かつ、第1ガイド176は固定であるので、図11(A)に示すように、第2ガイド178がコイン102によって待機位置SPから弾き出し位置DPへ向けて移動される。これにより、揺動レバ220が固定軸218を中心に図11(B)において反時計方向へ回動される。この弾き出し位置DPへ移動する途上において、図11(B)に示すように、作用片242は光電センサ248の透孔248Hに相対し、投光部からの投射光を遮断するため、光電センサ248の出力は「L」から「H」に変化する(図15の時刻t3)。この時点で、回転体302の被検知部304が光電センサ322の透孔328に相対する状態が継続され、光電センサ322の出力は「H」を継続する。
図12(A)に示すように、コイン102の直径部が第1ガイド176と第2ガイド178との間に達したとき、第2ガイド178は弾き出し位置DPに位置する。この状態において、図12(B)に示すように、作用片242が光電センサ248の投射光を遮断し、回転体302の被検知部304が光電センサ322の投射光を遮断する。そのため、光電センサ248および光電センサ322出力は、それぞれ「H」を継続する。
コイン102は、その直径部が第1ガイド176と第2ガイド178との間を通過した直後に付勢手段188の弾発力によって第2ガイド178を介してほぼ横方向に弾き出され、出口通路116を通って出口190から払い出される。これにより、揺動レバ220が固定軸218を中心に図13(B)において時計方向へ回動され、第2ガイド178は待機位置SPに向けて移動する。この待機位置SPへ移動する途上において、図13(B)に示すように、作用片242は光電センサ248の透孔248Hから外れ、投射光の遮断を中断するため、光電センサ248の出力は「L」から「H」に変化する(図15の時刻t4)。この時点で、回転体302の被検知部304が光電センサ322の透孔328に相対する状態は継続され、光電センサ322の出力は「H」を継続する。
図14(A)に示すように、第2ガイド178によるコイン102の弾き出しが完了すると、第2ガイド178は待機位置SPに戻る。そのため、図14(B)に示すように、作用片242が光電センサ248の透孔248Hから外れた状態が続き、光電センサ248の出力は「L」を継続する。そして、図13(B)の状態から図14(B)の状態に至る過程で、回転体302の被検知部304が光電センサ322の透孔328から外れ、切り欠き部308が透孔328に相対する。これにより、光電センサ322の出力は「H」から「L」に変化する(図15の時刻t5)。
以降、図15の時刻t7において電気モータ158が停止されるまで、図9〜図14に示す動作が繰り返される。これにより、図15に示すように、期間Tdにおいて出力レベルが「H」となる第2検知信号DSがコイン102の払い出しに対応して出力されると共に、期間Trにおいて出力レベルが「H」となる第1検知信号RSが回転体302の回転数に対応して出力される。そして、第2検知信号DSの出力周期(換言すれば、コイン払出検知装置118の出力が「H」となる周期)Tdcおよび第1検知信号RSの出力周期(換言すれば、回転位置検知装置300の出力が「H」となる周期)Trcは、いずれも回転体302の回転周期と一致する。図2に示すように、本実施例では6個の通孔164を有するため、第2検知信号DSおよび第1検知信号RSが6回出力される図15の時刻t2〜時刻t6の期間Tcが回転ディスク110の回転周期に相当する。
なお、図15において回転位置検知装置300の出力がDL1およびDL2となる点線部分は、例えば、コインホッパ100が所定の払い出し時間を超えた場合(所謂タイムオーバーの場合)を示している。この場合、回転ディスク110が本来停止すべき回転位置でない位置で停止されることがあり、回転体302の被検知部304が光電センサ322の投射光を遮断した状態で回転体302が停止し、回転位置検知装置300の出力が「H」を継続する。しかしながら、電気モータ158が再始動され回転ディスク110が回転されれば、時刻t2以後において上述した第1検知信号RSが出力される。
次に、図16〜図20を参照してコインホッパ100の正常時および異常時における信号波形について説明する。まず、コインホッパ100が正常に動作し、一例として5枚のコイン102を払い出す場合について説明する。
図16(A)に示すように、時刻t11において払出制御信号PSが「L」から「H」に変化し、コイン102の払い出しが指示される。これにより、図16(B)に示すように、電気モータ158を駆動するモータ駆動信号MSが時刻t11に「L」から「H」に変化し、電気モータ158が回転を開始する。この時、コインホッパ100は図9の状態であり、コイン払出検知装置118および回転位置検知装置300の出力はそれぞれ「L」である。
電気モータ158により回転ディスク110および回転体302が回転し、コインホッパ100が図9の状態から図10の状態に至る過程の時刻t12において、回転体302の縁部309Aが光電センサ322の透孔328を横切る(換言すれば、縁部309Aが光電センサ322による検知位置を通過する)。これにより、回転体302の被検知部304が光電センサ322の投射光を遮断し、図16(D)に示すように、回転位置検知装置300の出力が「L」から「H」に変化する。このとき、第2ガイド178は待機位置SPに位置するため、図16(C)に示すように、コイン払出検知装置118の出力は「L」を継続する。
コインホッパ100が図11に示す状態となる時刻t13では、作用片242が光電センサ248の投射光を遮断し、図16(C)に示すように、コイン払出検知装置118の出力は「L」から「H」に変化する。他方、回転体302の被検知部304が光電センサ322の投射光を遮断中であるため、図16(D)に示すように、回転位置検知装置300の出力は「H」を継続する。
コインホッパ100が図13の状態となる時刻t14において、作用片242が光電センサ248の投射光の遮断を中断し、図16(C)に示すように、コイン払出検知装置118の出力は「H」から「L」に変化する。こうして、時刻t13から時刻t14に至る期間Tdにおいて出力レベルが「H」となる第2検知信号DSがコイン払出検知装置118から出力される。この第2検知信号DSによりコイン102の払い出しが検知される。換言すれば、第2検知信号DSの出力数をカウントすることにより、コイン102の払い出し数が計数される。この時点では、回転体302の被検知部304が光電センサ322の投射光を遮断中であるため、図16(D)に示すように、回転位置検知装置300の出力は「H」を継続する。
コインホッパ100が図13の状態から図14の状態に至る過程の時刻t15において、回転体302の縁部309Bが光電センサ322の透孔328を横切る(換言すれば、縁部309Bが光電センサ322による検知位置を通過する)。これにより、回転体302の被検知部304が光電センサ322の投射光の遮断を中断し、図16(D)に示すように、回転位置検知装置300の出力が「H」から「L」に変化する。こうして、時刻t12から時刻t15に至る期間Trにおいて出力レベルが「H」となる第1検知信号RSが出力される。時刻t15において、作用片242は光電センサ248の遮断を中断したままであり、図16(C)に示すように、コイン払出検知装置118の出力は「L」を継続する。
払出制御信号PSによるコイン102の払出指示が完了するまで、上記の動作が繰り返される。すなわち、図16(C)に示すように、第2検知信号DSによってカウントされるコイン102の払い出し枚数が5枚となる時刻t16において、図16(A)に示すように、払出制御信号PSが「H」から「L」に変化し、払出指示が完了する。換言すれば、時刻t11〜時刻t16の期間Tpが払出指示の有効な期間である。この時刻t16の時点で、図16(B)に示すように、モータ駆動信号MSが「H」から「L」に変化し、電気モータ158が停止される。
コインホッパ100が正常に動作した場合、図16(D)に示すように、回転位置検知装置300は、回転ディスク110の回転周期を通孔164の数で除算した周期Trcで第1検知信号RSを出力する。また、図16(C)に示すように、コイン払出検知装置118は、回転位置検知装置300の出力が「H」となる期間(換言すれば、第1検知信号RSの出力期間)Tr内において第2検知信号DSを出力する。換言すれば、第2検知信号DSの出力期間Tdの開始時刻t13より以前の時刻t12において第1検知信号RSの出力期間Trが開始され、第2検知信号DSの出力期間Tdの終了時刻t14以後の時刻t15において第1検知信号RSの出力期間Trが終了される。これは、コインホッパ100が正常に動作していれば、第1検知信号RSの出力期間Tr以外の期間において第2検知信号DSが出力されないことを意味する。換言すれば、第1検知信号RSの出力期間Tr以外の期間に第2検知信号DSが出力されている場合、コインホッパ100が異常な状態であると判断できる。
弾出装置114によるコイン102を弾き出す際、弾く出しの速度が僅かにばらつくことがある。これにより第2ガイド178が弾き出し位置DPから待機位置SPに移動する速度が変動し、第2検知信号DSの出力期間Tdが僅かに変動する場合がある。しかし、上記のように第1検知信号RSの出力期間Trと第2検知信号DSの出力期間Tdを設定することにより、コイン払出検知装置118の出力が「L」となる期間よりも回転位置検知装置300の出力が「L」となる期間が長くなるため、第2検知信号DSの出力期間Tdが変動しても、コインホッパ100の正常時には第1検知信号RSの出力期間Tr以外の期間において第2検知信号DSが出力されることはない。
なお、図16(C)の期間Teにおいて、第2検知信号DSが出力されていない。これは、回転ディスク110の通孔164内にコイン102が落下せず、当該通孔164に対応したコイン102の払い出しが行われなかったからである。
次に、図17〜図20を参照して、コインホッパ100に異常が生じた場合について説明する。まず、図17を参照しながら、不正な払い出しによる第1の異常について説明する。
コイン102を不正に払い出すために第2ガイド178が器具により弾き出し位置DPに保持し続けられた場合、図17(C)の実線波形に示すように、コイン払出検知装置118の出力は時刻t21において「L」から「H」に変化した後、期間Tdが経過しても変化せずに時刻t23まで「H」が保持される。そのため、時刻t21から時刻t23までの期間Teにおいて第2検知信号DSによってカウントされるコイン102の枚数は1枚であるにも拘わらず、最大4枚のコイン102が払い出されてしまう。
しかし、本実施例では、回転位置検知装置300の出力とコイン払出検知装置118の出力とを対比することにより、上記の不正を検知できる。すなわち、回転位置検知装置300の出力が「H」から「L」に変化する時刻t22において、正常動作ではコイン払出検知装置118の出力が「L」である(図17(C)の点線波形)のに対し、不正時にはコイン払出検知装置118の出力が「H」となること(図17(C)の実線波形)から、不正が検知される。具体的には、回転位置検知装置300の第1検知信号RSの立下りに同期してコイン払出検知装置118の第2検知信号DSが出力されているか否かを判定することにより、上記不正によりコインホッパ100に異常が生じたことを検知できる。これにより、コイン102を1枚払い出す毎に異常が検知され、異常の発生後直ちに検知が可能となる。
この異常を検知した場合、図17(A)の実線波形に示すように、時刻t22において払出制御信号PSを「H」から「L」とする。これにより、図17(B)の実線波形に示すように、モータ駆動信号MSが「H」から「L」に変化して電気モータ158が停止され、回転ディスク110の回転が停止されるので、コイン102の不正な払い出しが防止される。換言すれば、図17(A)に示すように、払出指示の有効な期間TpがTp’に変更される。さらに、異常の検知に伴い、図示しない報知装置により当該異常が報知される。
次に、図18を参照しながら第2の異常について説明する。図18(A)および(B)に示すように、払出制御信号PSが「L」であるにも拘わらず、モータ駆動信号MSが「L」から「H」に変化し、かつ、図18(C)および(D)に示すように、第1検知信号RSおよび第2検知信号DSが出力されている。これは、コインホッパ100の電気接続端子をショートして電気モータ158の強制的に駆動する不正が行われている場合に相当する。この異常は、払出制御信号PSと第1検知信号RSおよび第2検知信号DSとを対比することにより検知される。具体的には、第1検知信号RSの立上がる時刻t31において払出制御信号PSが「L」である場合、異常が検知される。この異常が検知されると、図示しない報知装置により当該異常が報知される。
次に、図19を参照しながら第3の異常について説明する。図19(A)および(B)に示すように、払出制御信号PSが「L」であるにも拘わらず、モータ駆動信号MSが「L」から「H」に変化し、かつ、図18(C)および(D)に示すように、第1検知信号RSが出力され、第2検知信号DSが出力されていない。これは、コインホッパ100の電気接続端子をショートして電気モータ158の強制的に駆動すると共に、コイン払出検知装置118の破壊や出力をショートする不正が行われている場合に相当する。この異常は、払出制御信号PSと第1検知信号RSおよび第2検知信号DSとを対比することにより検知される。具体的には、第1検知信号RSの立上がる時刻t41において払出制御信号PSが「L」である場合、異常が検知される。この異常が検知されると、図示しない報知装置により当該異常が報知される。
次に、図20を参照しながら第4の異常について説明する。図20(A)および(B)に示すように、時刻t51において払出制御信号PSが「L」から「H」に変化し、モータ駆動信号MSが「L」から「H」に変化する。これにより、正常動作では回転ディスク110および回転体302が回転し、図20(D)の点線波形で示すように時刻t52において回転位置検知装置300の出力が「L」から「H」に変化するのに対し、図20(D)の実線に示すように時刻t52以後も回転位置検知装置300の出力が「L」を継続する。さらに、図20(C)に示すように、コイン払出検知装置118から第2検知信号DSが出力されない。これは、コイン102の噛み込みにより回転ディスク110が回転不能である場合に相当する。この異常は、時刻t51から所定時間tsが経過した時点の時刻t52において第1検知信号RSが出力されているか否かを判定することにより検知される。この異常が検知されると、図示しない報知装置により当該異常が報知される。
次に、図21を参照しながら第5の異常について説明する。図20(A)および(B)に示すように、時刻t61において払出制御信号PSが「L」から「H」に変化し、モータ駆動信号MSが「L」から「H」に変化する。そして、時刻t62にコイン払出検知装置118の出力が「H」から「L」に変化して以後、コイン払出検知装置118から第2検知信号DSが出力されていない。他方、回転位置検知装置300からは、時刻t62以後も第1検知信号RSが周期Trcで出力されている。これは、保留ボウル108内にコイン102が貯留されていない場合に相当する。この異常は、第1検知信号RSおよび第2検知信号DSの出力数を比較し、それら出力数の差が所定値を超えたか否かを判定することにより検知される。この異常が検知されると、図示しない報知装置により当該異常が報知される。