JP2010260377A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】高速走行時の空気抵抗を効果的に低減することのできる空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】標準リムに装着して正規内圧を付与した状態での外径及び総幅を規格寸法の下限値に対して0mm以上6mm以下の範囲になるように形成するとともに、前記総幅に対するトレッド接地幅が60%以上75%以下になるように形成したので、前方投影面積を小さくすることができる。また、タイヤ外側面にタイヤ周方向及びタイヤ径方向に亘って多数の凹部11を設けることにより、各凹部11によってタイヤ周囲の空気に乱流を発生させるようにしたので、後方へ引き戻そうとする抗力を小さくすることができる。この場合、各凹部11は、タイヤ径方向内側端部からタイヤ断面高さの35%以内の第1の領域A1 を除く第2の領域A2 に設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば乗用車、トラック、バス等に用いられる空気入りタイヤに関するものである。
近年、自動車の高性能化に伴い、タイヤに対しても様々な性能が要求される一方、省資源化や排気ガスの低減を図るため、低燃費性に優れたタイヤの開発が望まれている。低燃費化を図るためにはタイヤの転がり抵抗を小さくすることが重要であるが、転がり抵抗はゴムの材質や剛性等に依存するため、転がり抵抗の改善には限界があった。また、図10に示すように車両の速度(タイヤの回転速度)が速くなると転がり抵抗も大きくなるが、これに加えてタイヤの空気抵抗も増大し、燃費を悪化させる要因となっている。
そこで、空気抵抗の低減を図るために、トレッド端部からサイドウォール部に至るバットレス部に、溝、模様、文字等の凹凸部を有しない乱流防止領域を設け、バットレス部の乱流を防止することにより、タイヤ表面の空気抵抗を低減するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2003−127615号公報
しかしながら、バットレス部の乱流を防止するようにした場合、タイヤ周囲の空気の流れが層流となるため、車両走行時のタイヤの後方が低圧となり、タイヤを後方へ引き戻そうとする力が働くことになる。このため、タイヤ表面の空気抵抗を低減させたとしても、タイヤの後方に低圧部が生ずるため、高速走行時における空気抵抗の低減効果を十分に得られないという問題点があった。
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高速走行時の空気抵抗を効果的に低減することのできる空気入りタイヤを提供することにある。
本発明の空気入りタイヤは、前記目的を達成するために、標準リムに装着して正規内圧を付与した状態での外径及び総幅が規格寸法の下限値に対して0mm以上6mm以下の範囲になるように形成するとともに、前記総幅に対する60%荷量時のトレッド接地幅が60%以上75%以下になるように形成し、タイヤ径方向内側端部からタイヤ断面高さの35%以内の範囲を除くタイヤ外面の所定領域に、タイヤ周方向及びタイヤ径方向に亘って多数の凹部を設けている。
これにより、外径及び総幅が規格寸法の下限値に対して0mm以上6mm以下の範囲になるように形成されることから、規格寸法の範囲内の最小寸法または最小寸法に近い外径及び総幅の寸法に形成され、この範囲よりも大きい外径及び総幅を有するタイヤよりも前方投影面積が小さくなる。また、正規内圧を付与して標準リムに装着した状態での総幅に対するトレッド接地幅が60%以上75%以下になるように形成されることから、この範囲よりも大きいトレッド接地幅を有するタイヤに比べ、前方投影面積が小さくなる。更に、タイヤ外面に設けられた多数の凹部によって車両走行時のタイヤの周囲に乱流が生ずることから、タイヤ後方に生ずる低圧部(空気密度の薄い領域)が凹部を有しないタイヤよりも少なくなり、その分だけ低圧部による抗力(後方へ引き戻そうとする力)が小さくなるとともに、大きな剥離現象の発生が抑制される。
本発明によれば、前方投影面積を小さくすることができるとともに、走行時にタイヤを後方へ引き戻そうとする抗力を小さくすることができるので、高速走行時の空気抵抗を効果的に低減することができ、低燃費性の向上に極めて有利である。
本発明の第1の実施形態を示す空気入りタイヤの部分正面断面図 接地状態を示す空気入りタイヤの部分正面断面図 空気入りタイヤの正面断面図 空気入りタイヤの部分側面図 本発明の第2の実施形態を示す空気入りタイヤの部分側面図 本発明の第3の実施形態を示す空気入りタイヤの部分正面断面図 凹部の変形例を示す側面断面図 タイヤ周囲の空気の流れを示す概略図 試験結果を示す図 速度と転がり抵抗及び空気抵抗との相関関係を示す図
以下、本発明の第1の実施形態について、図1乃至図4を参照して説明する。同図に示す空気入りタイヤは、タイヤ外周面側に形成されるトレッド部1と、タイヤ幅方向両側に形成される一対のサイドウォール部2と、タイヤ幅方向両側に形成される一対のビード部3と、トレッド部1とサイドウォール部2との間に形成されるバットレス部4とから構成されている。
この空気入りタイヤは、タイヤ内面側に配置されるインナーライナ5と、インナーライナ5の外側に配置されるカーカス部材6と、タイヤ幅方向両側に配置される一対のビード部材7と、カーカス部材6の外側に配置されるベルト8と、タイヤ外周面側に配置されるトレッド部材9と、タイヤ両側面側に配置される一対のサイドウォール部材10とから形成されている。
インナーライナ5は、主体とする気体透過性の低いシート状のゴムからなり、カーカス部材6の内周面側に配置される。
カーカス部材6は複数本の補強コード6aをシート状のゴムで被覆してなり、両端側をビード部材を巻き込むようにタイヤ幅方向内側から外側に向けてサイドウォール部2側に折り返されている。
ビード部材7は、金属線等のワイヤを束ねてなるビードコア7aと、断面略三角形状のゴムからなるビードフィラー7bとからなり、ビードフィラー7bはビードコア7aの外周側に配置される。
ベルト8はスチールや高強度繊維等からなるベルトコードをシート状のゴムで被覆してなり、カーカス部材6の外周面側に配置される。
トレッド部材9は押出成形によって形成されたゴムからなり、カーカス部材6の幅方向中央側及びベルト8の外周面側を覆うように配置され、その外周面にはトレッドパターンの溝1aが加硫成型時に形成される。
サイドウォール部材10は押出成形によって形成されたゴムからなり、カーカス部材6のタイヤ幅方向両側を覆うように配置される。
前記空気入りタイヤの外側面には、タイヤ径方向内側端部からタイヤ断面高さHの35%以内の第1の領域A1 を除く所定の第2の領域A2 (例えば、タイヤ径方向内側端部からタイヤ断面高さHの35%以上85%以下の範囲)に、タイヤ周方向及びタイヤ径方向に亘って多数の凹部11が設けられている。尚、タイヤ断面高さとは、JATMA規格、ETRTO規格またはTRA規格に規定される正規内圧をタイヤに充填し、同規格に規定される正規荷重を負荷とした状態におけるタイヤ断面高さをいう。各凹部11は直径が0.5mm以上8mm以下、最大深さが0.3mm以上2mm以下の円形の球面状に形成され、互いに同一の大きさに形成されて等間隔で配置されている。この場合、各凹部11は、その総面積(タイヤ表面における全ての凹部11の面積)が第2の領域A2 に対して10%以上80%以下、好ましくは25%以上65%以下になるように形成されている。尚、凹部11は、タイヤ側面に表示される文字、記号または標章からなる凹部は含まない。
また、前記空気入りタイヤは、JATMA規格、ETRTO規格またはTRA規格に規定される標準リムに装着して正規内圧を付与した状態での外径D及び総幅SWが規格寸法の下限値に対して0mm以上6mm以下の範囲になるように形成されている。ここで、規格寸法とは、JATMA規格、ETRTO規格またはTRA規格に規定される外径及び総幅の寸法をいう。但し、JATMA規格では総幅の下限値が規定されていないため、ETRTO規格に規定された下限値を総幅の下限値とする。
更に、前記空気入りタイヤは、前記総幅SWに対する60%荷量時のトレッド接地幅TWが60%以上75%以下になるように形成されている。
本実施形態の空気入りタイヤにおいては、外径D及び総幅SWが規格寸法の下限値に対して0mm以上6mm以下の範囲になるように形成されることから、規格寸法の範囲内の最小寸法または最小寸法に近い外径D及び総幅SWの寸法に形成され、この範囲よりも大きい外径及び総幅を有するタイヤよりも前方投影面積が小さくなる。また、総幅SWに対するトレッド接地幅TWが60%以上75%以下になるように形成されることから、この範囲よりも大きいトレッド接地幅を有するタイヤT′(図2の一点鎖線)に比べ、前方投影面積が小さくなる。更に、タイヤ外側面に設けられた多数の凹部11によって車両走行時のタイヤの周囲に乱流が生じ、図8(a)(b)に示すように凹部11を有するタイヤT1 の後方に生ずる低圧部P(空気密度の薄い領域)が凹部11を有しないタイヤT2 よりも少なくなり、その分だけ低圧部Pによる抗力(後方へ引き戻そうとする力)が小さくなる。
このように、本実施形態の空気入りタイヤによれば、外径D及び総幅SWを規格寸法の下限値に対して0mm以上6mm以下の範囲になるように形成するとともに、総幅SWに対するトレッド接地幅TWが60%以上75%以下になるように形成したので、前方投影面積を小さくすることができ、高速走行時の空気抵抗を効果的に低減することができる。特に、タイヤの接地面側は車両の前面に覆われていない部分であるため、総幅SWに対するトレッド接地幅TWを小さくすることにより、図2に示すように接地面側の前方投影面積を小さくすることができ、空気抵抗の低減に極めて有利である。
また、タイヤ外側面にタイヤ周方向及びタイヤ径方向に亘って多数の凹部11を設けることにより、各凹部11によってタイヤ周囲の空気に乱流を発生させるようにしたので、後方へ引き戻そうとする抗力を小さくすることができ、高速走行時のタイヤの空気抵抗をより効果的に低減することができる。この場合、各凹部11は、タイヤ径方向内側端部からタイヤ断面高さの35%以内の第1の領域A1 を除く第2の領域A2 に設けられているので、タイヤ径方向内側よりも相対的に回転速度が速くなるタイヤ径方向外側に各凹部11を配置することができ、各凹部11による乱流発生効果をより高めることができるとともに、大きな剥離現象を抑制することができる。
また、各凹部11を0.3mm以上2mm以下の深さに形成したので、深さ寸法が小さすぎて乱流発生効果が不十分になることがなく、深さ寸法が大きすぎて空気抵抗が増大することもないという利点がある。
更に、各凹部11を直径が0.5mm以上8mm以下の円形状に形成したので、各凹部11が小さすぎて乱流発生効果が不十分になることがなく、各凹部11が大きすぎて空気抵抗が増大することもないという利点がある。
尚、前記第1の実施形態では、各凹部11を円形状に形成したものを示したが、楕円形状、多角形状等、他の形状に形成することも可能である。この場合、楕円形状では長軸と短軸の平均を凹部の直径とし、多角形状では外接円の外径を凹部の直径とすることにより、その直径が0.5mm以上8mm以下になるように形成する。
また、前記実施形態では、互いに同じ大きさの凹部11を設けたものを示したが、図5の第2の実施形態に示す凹部12のように、タイヤ径方向外側に位置するほど大きくなるように形成してもよい。即ち、タイヤ径方向内側よりも相対的に回転速度が速くなるタイヤ径方向外側に大きい凹部12を配置する方が乱流発生効果を高めることができるとともに、大きな剥離現象を抑制することができるので、空気抵抗の低減に極めて有利である。
更に、前記第1の実施形態では、互いに同じ深さ寸法の凹部11を設けたものを示したが、図6の第3の実施形態に示す凹部13のように、タイヤ径方向外側に位置するほど深さ寸法が小さくなるように形成してもよい。即ち、タイヤ径方向内側よりも相対的に回転速度が速くなるタイヤ径方向外側に深さ寸法の小さい凹部13を配置する方が乱流発生効果を高めることができるとともに、大きな剥離現象を抑制することができるので、空気抵抗の低減に極めて有利である。
また、車両装着状態で空気抵抗の大きくなる車両の幅方向外側のみでも十分な効果を得ることができるので、各凹部11(12,13)を車両装着時に車両の幅方向外側になるタイヤ幅方向一方の面側のみに設けるようにしてもよい。これにより、凹部11(12,13)の形成に伴う金型のコストを低減することができる。
尚、前記実施形態では、凹部11を球面状に形成したものを示したが、図7(a) に示す凹部14のように断面四角形状に形成したり、或いは図7(b) に示す凹部15のように大きさの異なる断面四角形状の凹部を二段階に形成するようにしてもよい。
ここで、本発明の実施例1〜5及び比較例1〜3について、低燃費性の試験を行ったところ、図9に示す結果が得られた。本試験では、比較例1〜3には外径が規格寸法の下限値に対して6mmよりも大きいものを用い、実施例1〜5には外径が規格寸法の下限値に対して6mm以下のものを用いた。また、比較例1には総幅が規格寸法の下限値に対して6mmよりも大きいものを用い、比較例2〜3及び実施例1〜5には総幅が規格寸法の下限値に対して6mm以下のものを用いた。更に、比較例1には、60%荷量時のトレッド接地幅を、正規内圧を付与して標準リムに装着した状態での総幅で除した値(T/S比)が0.7よりも大きいものを用い、比較例2及び3にはT/S比が0.65よりも小さいもの、実施例1〜5にはT/S比が0.65以上0.7以下のものを用いた。また、比較例1〜2には凹部を有しないものを用い、比較例3及び実施例1〜5には円形状の凹部を有するものを用いた。この場合、比較例3にはタイヤ径方向内側端部からタイヤ断面高さの35%以内の範囲に凹部を設けたものを用い、実施例1〜5にはタイヤ径方向内側端部からタイヤ断面高さの35%以内の範囲を除く領域に凹部を設けたものを用いた。更に、比較例3及び実施例1〜4には、タイヤ幅方向両側面に凹部を設けたものを用い、実施例5には車両装着時に車両の幅方向外側になるタイヤ幅方向一方の面側のみに凹部を設けたものを用いた。また、実施例3〜5には各凹部がタイヤ径方向外側に位置するほど深さ寸法が小さくなるものを用い、実施例4〜5には各凹部がタイヤ径方向外側に位置するほど大きくなるものを用いた。
尚、本試験では、タイヤサイズ185/65R15のものを用いたが、このサイズの場合、JATMA規格では、外径の規格寸法は614mm〜628mm、総幅の規格寸法(下限値にはETRTO規格を適用)は182mm〜197mm、ETRTO規格では、外径の規格寸法は614mm〜628mm、総幅の規格寸法は182mm〜196mm、TRA規格では、外径の規格寸法は614mm〜628mm、総幅の規格寸法は182mm〜194mmである。
この試験では、空気圧230kPaのタイヤを排気量1500cc(モーターアシスト駆動付)の小型乗用車(前輪駆動)に装着し、全長2kmのテストコースを速度100km/hで10周走行した際の燃費を測定して指数化し、比較例1を100として比較例2〜3及び実施例1〜5を評価した。この場合、指数の値が大きいほど優位性があるとした。試験の結果、実施例1〜5は比較例1〜3よりも低燃費性に優れるという結果が得られた。
1…トレッド部、2…サイドウォール部、3…ビード部、4…バットレス部、11,12,13,14,15…凹部、A1 …第1の領域、A2 …第2の領域、D…外径、H…タイヤ断面高さ、SW…総幅、TW…トレッド接地幅、W…総幅。

Claims (6)

  1. 標準リムに装着して正規内圧を付与した状態での外径及び総幅が規格寸法の下限値に対して0mm以上6mm以下の範囲になるように形成するとともに、
    前記総幅に対する60%荷量時のトレッド接地幅が60%以上75%以下になるように形成し、
    タイヤ径方向内側端部からタイヤ断面高さの35%以内の範囲を除くタイヤ外面の所定領域に、タイヤ周方向及びタイヤ径方向に亘って多数の凹部を設けた
    ことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記各凹部を0.3mm以上2mm以下の深さに形成した
    ことを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記各凹部を0.5mm以上8mm以下の直径に形成した
    ことを特徴とする請求項1または2記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記各凹部をタイヤ径方向外側に位置するほど大きくなるように形成した
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記各凹部をタイヤ径方向外側に位置するほど深さ寸法が小さくなるように形成した
    ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記各凹部を車両装着時に車両の幅方向外側になるタイヤ幅方向一方の面側のみに設けた
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の空気入りタイヤ。
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