JP2010258440A - 太陽電池封止材用樹脂組成物 - Google Patents
太陽電池封止材用樹脂組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2010258440A JP2010258440A JP2010083105A JP2010083105A JP2010258440A JP 2010258440 A JP2010258440 A JP 2010258440A JP 2010083105 A JP2010083105 A JP 2010083105A JP 2010083105 A JP2010083105 A JP 2010083105A JP 2010258440 A JP2010258440 A JP 2010258440A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- component
- solar cell
- ethylene
- resin composition
- copolymer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E10/00—Energy generation through renewable energy sources
- Y02E10/50—Photovoltaic [PV] energy
Abstract
【解決手段】下記の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体成分(A)、有機過酸化物成分(B)、エチレンと式(I)で表される環状アミノビニル化合物との共重合体成分(C)及びシランカップリング剤成分(D)を含有することを特徴とする太陽電池封止材用樹脂組成物によって提供。
(a1)密度が0.860〜0.920g/cm3
(a2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めたZ平均分子量(Mz)と数平均分子量(Mn)との比(Mz/Mn)が8.0以下
(a3)100℃で測定した、せん断速度が2.43×10s−1での溶融粘度が9.0×104poise以下
(a4)100℃で測定した、せん断速度が2.43×102s−1での溶融粘度が1.8×104poise以下
【選択図】なし
Description
太陽光発電は、一般にシリコン、ガリウム−砒素、銅−インジウム−セレンなどの太陽電池素子を上部透明保護材と下部基板保護材とで保護し、太陽電池素子と保護材とを樹脂製の封止材で固定し、パッケージ化した太陽電池モジュールを用いるものであり、水力、風力などと比べて規模は小さいものの、電力が必要な場所に分散して配置できることから、発電効率等の性能向上と価格の低下を目指した研究開発が推進されている。また、国や自治体で住宅用太陽光発電システム導入促進事業として設置費用を補助する施策が採られることで、徐々にその普及が進みつつある。しかしながら、更なる普及には一層の低コスト化が必要であり、そのため従来型のシリコンやガリウム−砒素などに代わる新たな素材を用いた太陽電池素子の開発だけでなく、太陽電池モジュールの製造コストをより一層低減する努力も地道に続けられている。
そして、太陽電池素子の封止作業では、太陽電池素子を樹脂製の封止材でカバーした後、数分から十数分程度加熱して仮接着し、オーブン内において有機過酸化物が分解する高温で数分から1時間加熱処理して接着させている(たとえば、特許文献2参照)。
また、太陽電池モジュールは、前記のとおり、長期間太陽光に晒されると温度が上昇し、それによりガラス基板と樹脂製封止材との接着力が低下して、ガラス基板から樹脂製封止材が分離し、その空間に空気や水分が入って、モジュールが変形したりすることもあった。前記特許文献1には、封止材樹脂にシランカップリング剤を配合することが記載されているが、フッ素樹脂フィルムなどのフレキシブル基板を用いた太陽電池モジュールに関するものであり、シランカップリング剤の詳細は明らかにしていない。前記特許文献2にも、封止材樹脂へのシランカップリング剤の配合が記載されているが、EVAフィルムとFRP基板を用いた太陽電池モジュールに関するものであり、基板との接着性は十分ではない。
太陽電池モジュールでは、近年、太陽電池素子の薄膜化に伴い、太陽電池封止材も薄膜化する傾向がある。その際、太陽電池の上部保護材側または下部保護材側から衝撃が加わると、配線が断線しやすいことが問題となっている。断線の問題を解決するには封止材の剛性を高くすることが望まれるが、従来のポリマー材料を用いた場合封止材の剛性を高くすることができたとしても、架橋効率が悪くなり実用的とはいえなかった。
このように従来の技術では、生産性、耐熱性、透明性、柔軟性及びガラス基板への接着性に優れる太陽電池封止材用樹脂組成物は得られていなかった。
成分(A):下記(a1)〜(a4)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体
(a1)密度が0.860〜0.920g/cm3
(a2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めたZ平均分子量(Mz)と数平均分子量(Mn)との比(Mz/Mn)が8.0以下
(a3)100℃で測定した、せん断速度が2.43×10s−1での溶融粘度が9.0×104poise以下
(a4)100℃で測定した、せん断速度が2.43×102s−1での溶融粘度が1.8×104poise以下
成分(B):有機過酸化物
成分(C):エチレンと下記式(I)で表される環状アミノビニル化合物との共重合体
成分(D):シランカップリング剤
(a5)ポリマー中のコモノマーによる分岐数(N)が下記式(a)を満たす。
式(a): N ≧ −0.67×E+53
( ただし、Nは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの分岐数であり、Eは、ISO1184−1983に準拠して測定した、シートの引張弾性率である。)
また、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、(a5)ポリマー中のコモノマーによる分岐数(N)が、下記式(a’)を満たすことを特徴とする太陽電池封止材用樹脂組成物が提供される。
式(a’): −0.67×E+80 ≧ N ≧ −0.67×E+53
( ただし、Nは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの分岐数であり、Eは、ISO1184−1983に準拠して測定した、シートの引張弾性率である。)
(a6)フローレシオ(FR):190℃における10kg荷重でのMFR測定値であるI10と、190℃における2.16kg荷重でのMFR測定値であるI2.16との比(I10/I2.16)が7.0未満
また、本発明の第5の発明によれば、第4の発明において、特性(a6)のフローレシオ(FR)が、5.0〜6.2であることを特徴とする太陽電池封止材用樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜第6のいずれかの発明において、成分(C)の含有量が、環状アミノビニル化合物単位として、成分(A)と成分(C)の合計100重量%に対して、0.2〜5重量%であることを特徴とする太陽電池封止材用樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第1〜第7のいずれかの発明において、成分(D)の含有量が、成分(A)と成分(C)の合計100重量部に対して、0.01〜5重量部であることを特徴とする太陽電池封止材用樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明の第9の発明によれば、第1〜第8のいずれかの発明において、成分(A)が、エチレン・1−ブテン共重合体又はエチレン・1−ヘキセン共重合体であることを特徴とする太陽電池封止材用樹脂組成物が提供される。
本発明の太陽電池封止材用樹脂組成物(以下、単に樹脂組成物ともいう)は、下記のエチレン・α−オレフィン共重合体成分(A)、有機過酸化物(B)、エチレンと式(I)で表される環状アミノビニル化合物との共重合体(C)、及びシランカップリング剤(D)を含有することを特徴とする。
本発明に用いる成分(A)は、下記(a1)〜(a4)の特性を有したエチレン・α−オレフィン共重合体であり、さらに(a5)の特性及び/又は(a6)の特性を有したエチレン・α−オレフィン共重合体が好ましい。
(a2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めたZ平均分子量(Mz)と数平均分子量(Mn)との比(Mz/Mn)が8.0以下
(a3)100℃で測定した、せん断速度が2.43×10s−1での溶融粘度が9.0×104poise以下
(a4)100℃で測定した、せん断速度が2.43×102s−1での溶融粘度が1.8×104poise以下
式(a): N ≧ −0.67×E+53
( ただし、Nは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの個数であり、Eは、ISO1184−1983に準拠して測定した、シートの引張弾性率である。)
(a6)フローレシオ(FR):190℃における10kg荷重でのMFR測定値であるI10と、190℃における2.16kg荷重でのMFR測定値であるI2.16との比(I10/I2.16)が7.0未満
本発明に使用されるエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンから誘導される構成単位を主成分としたエチレンとα−オレフィンのランダム共重合体である。
コモノマーとして用いられるα−オレフィンは、好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィンである。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。かかるエチレン・α−オレフィン共重合体の具体例としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−ペンテン−1共重合体等が挙げられる。なかでも、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体が好ましい。また、α−オレフィンは1種または2種以上の組み合わせでもよい。2種のα−オレフィンを組み合わせて三元共重合体とする場合は、エチレン・プロピレン・1−ヘキセン三元共重合体、エチレン・1−ブテン・1−ヘキセン三元共重合体、エチレン・プロピレン・1−オクテン三元共重合体、エチレン・1−ブテン・1−オクテン三元共重合体等が挙げられる。
ここでα−オレフィンの含有量は、下記の条件の13C−NMR法によって計測される値である。
装置:日本電子製 JEOL−GSX270
濃度:300mg/2mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、チーグラー触媒、バナジウム触媒又はメタロセン触媒等、好ましくはバナジウム触媒又はメタロセン触媒、より好ましくはメタロセン触媒を使用して製造することができる。製造法としては、高圧イオン重合法、気相法、溶液法、スラリー法等が挙げられる。
メタロセン触媒としては、特に限定されるわけではないが、シクロペンタジエニル骨格を有する基等が配位したジルコニウム化合物などのメタロセン化合物と助触媒とを触媒成分とする触媒が挙げられる。市販品としては、日本ポリエチレン社製のハーモレックス(登録商標)シリーズ、カーネル(登録商標)シリーズ、プライムポリマー社製のエボリュー(登録商標)シリーズ、住友化学社製のエクセレン(登録商標)GMHシリーズ、エクセレン(登録商標)FXシリーズが挙げられる。バナジウム触媒としては、可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウムハライドとを触媒成分とする触媒が挙げられる。
(a1)密度
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、密度が0.860〜0.920g/cm3、好ましくは0.870〜0.915g/cm3、さらに好ましくは0.875〜0.910g/cm3である。エチレン・α−オレフィン共重合体の密度が0.860g/cm3未満では、加工後のシートがブロッキングしてしまい、密度が0.920g/cm3を超えると、加工後のシート剛性が高すぎ、取り扱い性に欠ける。
ポリマーの密度を調節するには、例えばα−オレフィン含有量、重合温度、触媒量などを適宜調節する方法がとられる。
なお、エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、JIS−K6922−2:1997附属書(低密度ポリエチレンの場合)に準拠して測定する(23℃)。
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、ゲルパーミエーションクロマグラフィー(GPC)により求めたZ平均分子量(Mz)と数平均分子量(Mn)との比(Mz/Mn)が8.0以下であり、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下である。また、Mz/Mnは、2.0以上、好ましくは2.5以上、より好ましくは3.0以上である。ただし、Mz/Mnが8.0を超えると透明性が悪化する。Mz/Mnを所定の範囲に調整するには、適当な触媒系を選択する方法等によることができる。
装置:ウオーターズ社製GPC 150C型
検出器:MIRAN社製 1A赤外分光光度計(測定波長、3.42μm)
カラム:昭和電工製AD806M/S 3本(カラムの較正は、東ソー製単分散ポリスチレン(A500,A2500,F1,F2,F4,F10,F20,F40,F288の各0.5mg/ml溶液)の測定を行い、溶出体積と分子量の対数値を2次式で近似した。また、試料の分子量は、ポリスチレンとポリエチレンの粘度式を用いてポリエチレンに換算した。ここでポリスチレンの粘度式の係数は、α=0.723、logK=−3.967であり、ポリエチレンはα=0.733、logK=−3.407である。)
測定温度:140℃
濃度:20mg/10mL
注入量:0.2ml
溶媒:オルソジクロロベンゼン
流速:1.0ml/分
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、100℃で測定した、せん断速度が特定の範囲でなければならない。100℃で測定した、せん断速度に着目するのは、当該温度での組成物を製品化する際の製品への影響を推定するためである。
すなわち、せん断速度2.43×10sec−1での溶融粘度(η* 1)が9.0×104poise以下、好ましくは8.0×104poise以下、より好ましくは7.0×104poise以下、さらに好ましくは5.5×104poise以下、さらにまた好ましくは5.0×104poise以下、特に好ましくは3.0×104poise以下、最も好ましくは2.5×104poise以下である。溶融粘度(η* 1)は、1.0×104poise以上、さらには1.5×104poise以上であることが好ましい。溶融粘度(η* 1)がこの範囲にあれば低温で低速成形時の生産性がよく、製品への加工に問題が生じない。
溶融粘度(η* 1)は、エチレン・α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR)や分子量分布などにより調整可能である。メルトフローレートの値を高めると溶融粘度(η* 1)は小さくなる傾向がある。分子量分布など他の性状が異なれば、大小関係が逆転することもありうるが、たとえば、好ましくはMFR(JIS−K6922−2:1997附属書(190℃、21.18N荷重))が5〜50g/10分であり、より好ましくは10〜40g/10分、さらに好ましくは15〜35g/10分とすることで、溶融粘度(η* 1)を所定の範囲に収めやすい。
さらに、本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、100℃で測定した、せん断速度2.43×102sec−1での溶融粘度(η* 2)が、1.8×104poise以下、好ましくは1.7×104poise以下、より好ましくは1.5×104poise以下、さらに好ましくは1.4×104poise以下、最も好ましくは1.3×104poise以下である。溶融粘度(η* 2)は、5.0×103poise以上、さらには8.0×103poise以上であることが好ましい。溶融粘度(η* 2)がこの範囲にあれば低温で低速成形時の生産性がよく、製品への加工に問題が生じない。
ここで、溶融粘度(η* 1)、(η* 2)は、径1.0mm、L/D=10のキャピラリーを有するキャピラリーレオメーターを用いて得られる測定値である。
2種類のせん断速度を設けるのは、低速成形時、高速成形時の製品の表面への影響が小さく、それぞれの成形速度領域で同様の製品が得られるようにするためである。
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、ポリマー中のコモノマーによる分岐数(N)と、引張弾性率(E)が下記式(a)を満たしていることが好ましい。
式(a): N ≧ −0.67×E+53
( ただし、Nは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの分岐数であり、Eは、ISO1184−1983に準拠して測定した、シートの引張弾性率である。)
分岐数は、例えばE. W. Hansen, R. Blom, and O. M. Bade, Polymer, 36巻 4295頁(1997年)を参考にC−NMRスペクトルから算出することができる。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体は、上述した様に、触媒を用いた共重合反応により製造できるが、共重合させる原料単量体の組成比や使用する触媒の種類を選択することにより、その高分子鎖中の分岐度を容易に調整することが可能である。本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体が式(a)を満たすためには、エチレン・α−オレフィン共重合体中のコモノマーは、プロピレン、1−ブテン、又は1−ヘキセンから選択するのが好ましい。また、気相法、高圧法を用いて製造するのが好ましく、特に、高圧法を選択するのがより好ましい。
より具体的には、Eを固定してNを増減させるためには、主にエチレンと共重合させるコモノマーの炭素数を変更する方法によることができる。エチレンに対して1−ブテン又は1−ヘキセンの量が60〜80wt%となるように混合し、メタロセン触媒を使用して、重合温度130〜200℃で反応させエチレン・α−オレフィン共重合体を製造することが好ましい。これにより、エチレン・α−オレフィン共重合体の分岐数Nが適度に調整でき、得られるシートの引張弾性率Eが、40MPa以下となって、式(a)が示す範囲のエチレン・α−オレフィン共重合体を得ることができる。
式(a’): −0.67×E+80 ≧ N ≧ −0.67×E+53
式(a’’): −0.67×E+75 ≧ N ≧ −0.67×E+54
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、フローレシオ(FR)、すなわち190℃における10kg荷重でのMFR測定値であるI10と、190℃における2.16kg荷重でのMFR測定値であるI2.16との比(I10/I2.16)が7.0未満であることが好ましい。なお、メルトフローレート(MFR)は、JIS−K7210−1999に準拠して測定した値である。
FRは、エチレン・α−オレフィン共重合体の分子量分布、長鎖分岐の量と相関が深いことが知られている。本発明では、上記(a1)〜(a4)の条件を満たすポリマーの中でも、190℃における10kg荷重でのMFR測定値(I10)と、190℃における2.16kg荷重でのMFR測定値(I2.16)との比(I10/I2.16)が7.0未満であるものを使用する。このような長鎖分岐に特徴があるポリマー構造となっている共重合体を用いることで、剛性と架橋効率のバランスが良好なものとなる。これに対して、FRが7.0以上であると、太陽電池封止材として架橋する際の架橋効率が悪くなる傾向にある。
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体のFRは、7.0未満であり、好ましくは、6.5未満、より好ましくは、6.3未満である。ただし、FRが5.0未満であると、太陽電池封止材として十分な剛性が得られにくくなることがある。特性(a6)のフローレシオ(FR)は、5.0〜6.2であることが最も好ましい。
本発明の組成物に用いる成分(B)である有機過酸化物は、主に成分(A)を架橋するために用いられる。
有機過酸化物としては、分解温度(半減期が1時間である温度)が70〜180℃、とくに90〜160℃の有機過酸化物を用いることができる。このような有機過酸化物として、例えば、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ジパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ヒドロキシヘプチルパーオキサイド、ジクロヘキサノンパーオキサイドなどが挙げられる。
成分(B)の配合割合は、成分(A)と成分(C)の合計を100重量部としたときに、好ましくは0.2〜5重量部、より好ましくは0.5〜3重量部、さらに好ましくは、1〜2重量部である。成分(B)の配合割合が上記範囲よりも少ないと、架橋しないまたは架橋に時間がかかる。また、上記範囲よりも大きいと、分散が不十分となり架橋度が不均一になりやすい。
本発明で用いる成分(C)は、エチレンと下記式(I)で表される環状アミノビニル化合物との共重合体であり、樹脂組成物の耐候性を向上させる目的で用いられる。
2)4−アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン
3)4−アクリロイルオキシ−1−エチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
4)4−アクリロイルオキシ−1−プロピル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
5)4−アクリロイルオキシ−1−ブチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
6)4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
7)4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルペリジン
8)4−メタクリロイルオキシ−1−エチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
9)4−メタクリロイルオキシ−1−ブチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
10)4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
11)4−クロトノイルオキシ−1−プロピル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジ
ン
該共重合体のGPCにより求めた数平均分子量は、好ましくは1000以上、より好ましくは5000以上、さらに好ましくは10000以上である。GPC測定は前述と同様である。
成分(A)と成分(C)(エチレンと環状アミノビニル化合物との共重合体)の配合割合は、該共重合体中の環状アミノビニル化合物単位が成分(A)と成分(C)の総量に対して0.05〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%、特に好ましくは0.1〜1重量%となる量の成分(C)が使用される。樹脂組成物中の環状アミノビニル化合物単位の配合割合が上記範囲であれば、耐候性が十分で、強度があり、シートの透明性も悪化せず、実用性に優れている。
本発明の樹脂組成物に用いる成分(D)は、シランカップリング剤であり、主に太陽電池の上部保護材や太陽電池素子との接着力を向上させる目的で用いられる。
本発明におけるシランカップリング剤としては、例えばγ−クロロプロピルトリメトキシシラン;ビニルトリクロルシラン;ビニルトリエトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン;ビニル−トリス−(β−メトキシエトキシ)シラン;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン;ビニルトリアセトキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。好ましくは、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランである。
これらのシランカップリング剤は、成分(A)と成分(C)の合計100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.01〜2重量部、より好ましくは0.1〜2重量部、さらに好ましくは0.5〜1重量部、最も好ましくは0.05〜1重量部で使用される。
本発明の樹脂組成物には紫外線吸収剤を配合することができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリチル酸エステル系など各種タイプのものを挙げることができる。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロロベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどを挙げることができる。
これら紫外線吸収剤は、成分(A)と成分(C)の合計100重量部に対し0〜2.0重量部配合し、好ましくは0.05〜2.0重量部、より好ましくは0.1〜1.0重量部、さらに好ましくは0.1〜0.5重量部、最も好ましくは0.2〜0.4重量部配合するのがよい。
また、本発明の樹脂組成物には架橋助剤を配合することができる。架橋助剤は、架橋反応を促進させ、エチレン・α−オレフィン共重合体の架橋度を高めるのに有効であり、その具体例としては、ポリアリル化合物やポリ(メタ)アクリロキシ化合物のような多不飽和化合物を例示することができる。
より具体的には、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート、ジアリルマレエートのようなポリアリル化合物、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートのようなポリ(メタ)アクリロキシ化合物、ジビニルベンゼンなどを挙げることができる。架橋助剤は、成分(A)と成分(C)の合計100重量部に対し、0〜5重量部程度の割合で配合することができる。
本発明の組成物には、本発明の目的を著しく損なわない範囲で、他の付加的任意成分を配合することができる。このような任意成分としては、通常のポリオレフィン系樹脂材料に使用される酸化防止剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、着色剤、分散剤、充填剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、他の光安定剤等を挙げることができる。
また、本発明の目的を損なわない範囲で、柔軟性等を付与するため、チーグラー系又はメタロセン系触媒によって重合された結晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体及び/又はEBR、EPR等のエチレン・α−オレフィンエラストマー若しくはSEBS、水添スチレンブロック共重合体等のスチレン系エラストマー等のゴム系化合物を3〜75重量部配合することもできる。さらに、溶融張力等を付与するため、高圧法低密度ポリエチレンを成分(A)と成分(C)の合計100重量部に対し、3〜75重量部配合することもできる。
本発明の樹脂組成物を太陽電池封止材として用い、太陽電池素子を上下の保護材で固定することにより太陽電池モジュールを製作することができる。
このような太陽電池モジュールとしては、種々のタイプのものを例示することができる。例えば上部透明保護材/封止材/太陽電池素子/封止材/下部保護材のように太陽電池素子の両側から封止材で挟む構成のもの、下部基板保護材の内周面上に形成させた太陽電池素子上に封止材と上部透明保護材を形成させるような構成のもの、上部透明保護材の内周面上に形成させた太陽電池素子、例えばフッ素樹脂系透明保護材上にアモルファス太陽電池素子をスパッタリング等で作成したものの上に封止材と下部保護材を形成させるような構成のものなどを挙げることができる。
太陽電池モジュールを構成する上部保護材としては、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、フッ素含有樹脂などを例示することができる。下部保護材としては、金属や各種熱可塑性樹脂フィルムなどの単体もしくは多層のシートであり、例えば、錫、アルミ、ステンレススチールなどの金属、ガラス等の無機材料、ポリエステル、無機物蒸着ポリエステル、フッ素含有樹脂、ポリオレフィンなどの1層もしくは多層の保護材を例示することができる。このような上部及び/又は下部の保護材には、封止材との接着性を高めるためにプライマー処理を施すことができる。本発明における上部保護材としては、ガラスを用いることが好ましい。
(1)メルトフローレート(MFR):エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRは、JIS−K6922−2:1997附属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定した。
(2)密度:前述の通り、エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、JIS−K6922−2:1997附属書(23℃、低密度ポリエチレンの場合)に準拠して測定した。
(3)Mz/Mn:前述の通り、GPCにより測定した。
(4)溶融粘度:JIS−K−7199−1999に準拠して、東洋精機製作所製キャピログラフ1−Bを用い、設定温度:100℃、D=1mm、L/D=10のキャピラリーを用いて測定を行う。
装置 : ブルカー・バイオスピン(株) AVANCE III cryo−400MHz
溶媒 : o−ジクロロベンゼン/重化ブロモベンゼン = 8/2混合溶液
<試料量>
460mg/2.3ml
<C−NMR>
・Hデカップル、NOEあり
・積算回数:256scan
・フリップ角:90°
・パルス間隔20秒
・AQ(取り込み時間)=5.45s D1(待ち時間)=14.55s
(6)FR:JIS−K7210−1999に準拠し、190℃、10kg荷重の条件下で測定したMFR(I10)と、190℃、2.16kg荷重の条件下で測定したMFR(I2.16)との比(I10/I2.16)を計算し、FRとした。
(1)HAZE
厚み0.7mmのプレスシートを用いて、JIS−K7136−2000に準拠して測定した。プレスシート片を関東化学製特級流動パラフィンを入れたガラス製セルにセットし測定した。プレスシートは、160℃の条件で熱プレス機に30分間保管し、架橋させ準備した。HAZE値は、小さいほど良い。
厚み0.7mmのプレスシートを用いて、ISO1184−1983に準拠して測定した。尚、引張速度1mm/min、試験片幅10mm、つかみ具間を100mmとし、伸び率1%のときの引張弾性率を求めた。この値が小さい程、柔軟性に優れていることを示す。
(3)耐熱性
160℃で30分架橋したシートのゲル分率で評価した。ゲル分率が高いほど架橋が進行しており、耐熱性が高いと評価できる。ゲル分率が70wt%以上のものを耐熱性評価「○」とし、60〜69wt%のものを「△」、60wt%未満のものを「×」とした。尚、ゲル分率は、当該シートを、約1gを切り取り精秤して、キシレン100ccに浸漬し110℃で24時間処理し、ろ過後残渣を乾燥し精秤して、処理前の重量で割りゲル分率を算出する。
(4)ガラスとの接着性
縦7.6cm×横2.6cm×厚み1mmのスライドガラスを用いた。
樹脂組成物とスライドガラスを接触させ、160℃で30分の条件でプレス機を用いて加熱を行った。23℃雰囲気下に、24時間放置後、ガラスから樹脂を手で剥がせる場合を「×」、剥がせない場合を「○」として評価を行った。
(5)耐候性
JIS−K7113−1995による引張破断点強度の測定において、紫外線照射前後の強度の変化率が20%未満のものを「○」、20%以上のものを「×」として評価を行った。
(1)成分(A): エチレン・α−オレフィン共重合体
下記の<製造例1>で重合したエチレンとヘキセン−1の共重合体(PE−1)、<製造例2>で重合したエチレンとブテン−1の共重合体(PE−2)、及び市販のエチレン・α−オレフィン共重合体(PE−3)(PE−4)(PE−5)を用いた。物性を表1に示す。
(2)有機過酸化物:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(アルケマ吉富社製、ルペロックス101)
(3)シランカップリング剤:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM503)
(4)紫外線吸収剤:2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン(サンケミカル社製 CYTEC UV531)
(5)エチレンと環状アミノビニル化合物との共重合体:エチレン/4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン共重合体(4−アクロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン含量5.2重量%、MFR3g/10分、日本ポリエチレン社製、XJ100H)
(i)触媒の調製
エチレンとヘキセン−1の共重合体を製造するための触媒は、特表平7−508545号公報に記載された方法で調製した。即ち、錯体ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ハフニウムジメチル2.0mモルに、トリペンタフルオロフェニルホウ素を上記錯体に対して等モル加え、トルエンで10リットルに希釈して触媒溶液を調製した。
(ii)重合
内容積1.5リットルの撹拌式オートクレーブ型連続反応器を用い、反応器内の圧力を130MPaに保ち、エチレンと1−ヘキセンとの混合物を1−ヘキセンの組成が75重量%となるように40kg/時の割合で原料ガスを連続的に供給した。また、上記触媒溶液を連続的に供給し、重合温度が150℃を維持するようにその供給量を調整した。1時間あたりのポリマー生産量は約4.3kgであった。反応終了後、1−ヘキセン含有量=24重量%、MFR=35g/10分、密度=0.880g/cm3、Mz/Mn=3.7であるエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE−1)を得た。
また、PE−1を160℃−0kg/cm2の条件で、3分予熱後、160℃−100kg/cm2加圧の条件で、5分加圧、その後、30℃に設定された冷却プレスに100kg/cm2加圧の条件で、10分間冷却することで、厚み0.7mmのプレスシートを得た。その引張弾性率を、ISO1184−1983に準拠し、測定を行った結果、17MPaであった。
このエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE−1)の特性を表1に示す。
表1に示す組成、密度、および溶融粘度となるように、製造例1における重合時のモノマー組成、重合温度を変更して重合を行った。反応終了後、1−ブテン含有量=35重量%、MFR=33g/10分、密度=0.870g/cm3、Mz/Mn=3.5であるエチレン・1−ブテン共重合体(PE−2)を得た。製造例1と同様に引張弾性率測定を行った結果、8MPaであった。このエチレン・1−ブテン共重合体(PE−2)の特性を表1に示す。
エチレンとヘキセン−1の共重合体(PE−1)(成分(A))95wt%とエチレン/4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン共重合体(成分(C))5wt%の合計100重量部に対して、有機過酸化物として、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(アルケマ吉富社製、ルペロックス101)(成分(B))を1重量部、シランカップリング剤としてγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM503)(成分(D))を1重量部配合し、40mmφ単軸押出機を用いて設定温度130℃、押出量(17kg/時)の条件でペレット化を行った。尚、成分(C)の配合割合は、該共重合体中の環状アミノビニル化合物単位が成分(A)と成分(C)の樹脂組成物全量に対して0.26重量%に相当する。
得られたペレットを、160℃−0kg/cm2の条件で、3分予熱した後、160℃−100kg/cm2の条件で27分加圧(160℃で30分間プレス成形)し、その後、30℃に設定された冷却プレスに100kg/cm2の加圧の条件で、10分間冷却することで、厚み0.7mmのシートを作製した。シートのHAZE、光線透過率、引張弾性率、耐熱性を測定、評価した。評価結果を表2に示す。
実施例1において、エチレンとヘキセン−1の共重合体(PE−1)に替えて、エチレンとブテン−1の共重合体(PE−2)を用いた以外は、実施例1と同様にペレット化を行い、評価を行った。結果を表2に示す。
PE−1の代わりに、PE−5(エチレン・1−オクテン共重合体、ダウ・ケミカル社製 ENGAGE8400)を用いた以外は、実施例1と同様にシートを作製した。シートのHAZE、引張弾性率、耐熱性、接着性を測定、評価を行った。評価結果を表2に示す。実施例1、2と比べると、架橋温度が150℃での架橋効率が悪く耐熱性が劣る結果となったが、使用条件によっては問題がない範囲であった。
実施例1において、さらに、紫外線吸収剤として、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン(サンケミカル社製 CYTEC UV531)0.3重量部を添加した以外は、実施例1と同様にシートを作製した。シートのHAZE、引張弾性率、耐熱性、接着性を測定、評価を行った。評価結果を表2に示す。
実施例2において、さらに、紫外線吸収剤として、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン(サンケミカル社製 CYTEC UV531)0.3重量部を添加した以外は、実施例1と同様にシートを作製した。シートのHAZE、引張弾性率、耐熱性、接着性を測定、評価を行った。評価結果を表2に示す。
エチレンとヘキセン−1の共重合体(PE−1)の代わりに、PE−3(エチレン・1−ブテン共重合体、三井化学社製 タフマーA4085S)を用いた以外は、実施例1と同様のペレット化を試みたが、樹脂温度が上昇して有機過酸化物の分解が生じてしまい、架橋が進行してペレットが得られなかった。
比較例1において、押出機の条件を設定温度100℃、押出量9.7kg/時に変えてペレット化を行い、評価を行った。結果を表2に示す。押出量を高くすることができず、生産性が劣る結果であった。
実施例1において、エチレン/4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン共重合体を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして評価を行った。
実施例1において、有機過酸化物(架橋剤)を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして評価を行った。
PE−1の代わりに、PE−4(エチレン・1−オクテン共重合体、ダウ・ケミカル社製 ENGAGE8200)を用いた以外は、実施例1と同様のペレット化を試みた。ところが、樹脂温度がせん断発熱により上昇して有機過酸化物の分解速度が速くなり、架橋が進行してペレットが得られなかった。
この結果、表2から明らかなように、実施例1、2、4、5では、本発明の樹脂組成物を用いているために、これを押出成形して得られたシートは、HAZEが小さく、柔軟性に優れ、耐熱性、ガラスに対する接着性、耐候性も優れ、剛性と架橋効率のバランスが良い。実施例3は、実施例1、2ほどの性能ではないが、実用上問題がない。
これに対して、比較例1、5では、本発明とは異なり、溶融粘度が外れるエチレン・1−ブテン共重合体を含む樹脂組成物を用いているために、ペレットが得られなかった。比較例2では、押出温度を下げたためにシートを成形できたが、実施例1よりも大幅に生産性が低下した。また、得られたシートは、耐熱性、接着性が優れているものの、HAZEが大きいものとなった。また、比較例3では、エチレン/4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン共重合体を用いなかったために、得られたシートは、耐熱性、接着性が優れているものの、耐候性が小さいものとなった。比較例4では、有機過酸化物(架橋剤)を用いなかったために、得られたシートは、耐候性、接着性が優れているものの、耐熱性が小さいものとなった。
Claims (9)
- 下記の成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)を含有することを特徴とする太陽電池封止材用樹脂組成物。
成分(A):下記(a1)〜(a4)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体
(a1)密度が0.860〜0.920g/cm3
(a2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めたZ平均分子量(Mz)と数平均分子量(Mn)との比(Mz/Mn)が8.0以下
(a3)100℃で測定した、せん断速度が2.43×10s−1での溶融粘度(η* 1)が9.0×104poise以下
(a4)100℃で測定した、せん断速度が2.43×102s−1での溶融粘度(η* 2)が1.8×104poise以下
成分(B):有機過酸化物
成分(C):エチレンと下記式(I)で表される環状アミノビニル化合物との共重合体
(式(I)中、R1及びR2は水素原子又はメチル基を示し、R3は水素原子又は炭素数
1〜4のアルキル基を示す。)
成分(D):シランカップリング剤 - 成分(A)が、下記(a5)の特性を有することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池封止材用樹脂組成物。
(a5)ポリマー中のコモノマーによる分岐数(N)が下記式(a)を満たす。
式(a): N ≧ −0.67×E+53
( ただし、Nは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの分岐数であり、Eは、ISO1184−1983に準拠して測定した、シートの引張弾性率である。) - (a5)ポリマー中のコモノマーによる分岐数(N)が、下記式(a’)を満たすことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池封止材用樹脂組成物。
式(a’): −0.67×E+80 ≧ N ≧ −0.67×E+53
( ただし、Nは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの分岐数であり、Eは、ISO1184−1983に準拠して測定した、シートの引張弾性率である。) - 成分(A)が、下記(a6)の特性を有することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池封止材用樹脂組成物。
(a6)フローレシオ(FR):190℃における10kg荷重でのMFR測定値であるI10と、190℃における2.16kg荷重でのMFR測定値であるI2.16との比(I10/I2.16)が7.0未満 - 特性(a6)のフローレシオ(FR)が、5.0〜6.2であることを特徴とする請求項4に記載の太陽電池封止材用樹脂組成物。
- 成分(B)の含有量が、成分(A)と成分(C)の合計100重量部に対して、0.2〜5重量部であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の太陽電池封止材用樹脂組成物。
- 成分(C)の含有量が、環状アミノビニル化合物単位として、成分(A)と成分(C)の総量に対して、0.2〜5重量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の太陽電池封止材用樹脂組成物。
- 成分(D)の含有量が、成分(A)と成分(C)の合計100重量部に対して、0.01〜5重量部であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の太陽電池封止材用樹脂組成物。
- 成分(A)が、エチレン・1−ブテン共重合体又はエチレン・1−ヘキセン共重合体であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の太陽電池封止材用樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010083105A JP5542503B2 (ja) | 2009-03-31 | 2010-03-31 | 太陽電池封止材用樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009084980 | 2009-03-31 | ||
JP2009084980 | 2009-03-31 | ||
JP2010083105A JP5542503B2 (ja) | 2009-03-31 | 2010-03-31 | 太陽電池封止材用樹脂組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010258440A true JP2010258440A (ja) | 2010-11-11 |
JP5542503B2 JP5542503B2 (ja) | 2014-07-09 |
Family
ID=43318954
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010083105A Active JP5542503B2 (ja) | 2009-03-31 | 2010-03-31 | 太陽電池封止材用樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5542503B2 (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011153286A (ja) * | 2009-12-28 | 2011-08-11 | Japan Polyethylene Corp | 太陽電池封止材用樹脂組成物 |
JP2013159673A (ja) * | 2012-02-03 | 2013-08-19 | Mitsui Chemicals Inc | 太陽電池封止材および太陽電池モジュール |
JP2015198096A (ja) * | 2014-03-31 | 2015-11-09 | 凸版印刷株式会社 | 太陽電池モジュール |
JP2016053141A (ja) * | 2014-09-04 | 2016-04-14 | 日本ポリエチレン株式会社 | 耐高放射線性フィルム及びそれを用いたフィルム製品 |
JP6311832B1 (ja) * | 2017-09-20 | 2018-04-18 | 大日本印刷株式会社 | 封止材組成物及びそれを用いた太陽電池モジュール用の封止材シート |
CN114901746A (zh) * | 2019-12-26 | 2022-08-12 | 陶氏环球技术有限责任公司 | 具有高玻璃粘附的乙烯/α-烯烃互聚物组合物 |
Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0480215A (ja) * | 1990-07-23 | 1992-03-13 | Mitsubishi Petrochem Co Ltd | エチレン共重合体およびその製造法 |
JPH0489812A (ja) * | 1990-08-02 | 1992-03-24 | Mitsubishi Petrochem Co Ltd | エチレン共重合体の製造法 |
JPH10330555A (ja) * | 1997-05-30 | 1998-12-15 | Ube Ind Ltd | ブロー成形用ポリエチレン組成物およびそれを用いて成形してなるブロー成形物 |
JPH11106682A (ja) * | 1997-09-30 | 1999-04-20 | Ube Ind Ltd | 粉体塗装用ポリエチレン粉体およびこれを用いた粉体塗装物 |
JP2003049004A (ja) * | 2001-08-06 | 2003-02-21 | Mitsubishi Plastics Ind Ltd | 軟質樹脂シート、太陽電池用充填材及びそれを用いた太陽電池 |
JP2003535179A (ja) * | 2000-05-31 | 2003-11-25 | ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレーテッド | オレフィン性ポリマー組成物 |
WO2008036708A2 (en) * | 2006-09-20 | 2008-03-27 | Dow Global Technologies Inc. | Electronic device module comprising polyolefin copolymer |
WO2008036707A2 (en) * | 2006-09-20 | 2008-03-27 | Dow Global Technologies Inc. | Electronic device module comprising an ethylene multi-block copolymer |
-
2010
- 2010-03-31 JP JP2010083105A patent/JP5542503B2/ja active Active
Patent Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0480215A (ja) * | 1990-07-23 | 1992-03-13 | Mitsubishi Petrochem Co Ltd | エチレン共重合体およびその製造法 |
JPH0489812A (ja) * | 1990-08-02 | 1992-03-24 | Mitsubishi Petrochem Co Ltd | エチレン共重合体の製造法 |
JPH10330555A (ja) * | 1997-05-30 | 1998-12-15 | Ube Ind Ltd | ブロー成形用ポリエチレン組成物およびそれを用いて成形してなるブロー成形物 |
JPH11106682A (ja) * | 1997-09-30 | 1999-04-20 | Ube Ind Ltd | 粉体塗装用ポリエチレン粉体およびこれを用いた粉体塗装物 |
JP2003535179A (ja) * | 2000-05-31 | 2003-11-25 | ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレーテッド | オレフィン性ポリマー組成物 |
JP2003049004A (ja) * | 2001-08-06 | 2003-02-21 | Mitsubishi Plastics Ind Ltd | 軟質樹脂シート、太陽電池用充填材及びそれを用いた太陽電池 |
WO2008036708A2 (en) * | 2006-09-20 | 2008-03-27 | Dow Global Technologies Inc. | Electronic device module comprising polyolefin copolymer |
WO2008036707A2 (en) * | 2006-09-20 | 2008-03-27 | Dow Global Technologies Inc. | Electronic device module comprising an ethylene multi-block copolymer |
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
高分子大辞典, JPN6014000571, 20 September 1994 (1994-09-20), pages 105 - 106, ISSN: 0002721560 * |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011153286A (ja) * | 2009-12-28 | 2011-08-11 | Japan Polyethylene Corp | 太陽電池封止材用樹脂組成物 |
JP2013159673A (ja) * | 2012-02-03 | 2013-08-19 | Mitsui Chemicals Inc | 太陽電池封止材および太陽電池モジュール |
JP2015198096A (ja) * | 2014-03-31 | 2015-11-09 | 凸版印刷株式会社 | 太陽電池モジュール |
JP2016053141A (ja) * | 2014-09-04 | 2016-04-14 | 日本ポリエチレン株式会社 | 耐高放射線性フィルム及びそれを用いたフィルム製品 |
JP6311832B1 (ja) * | 2017-09-20 | 2018-04-18 | 大日本印刷株式会社 | 封止材組成物及びそれを用いた太陽電池モジュール用の封止材シート |
WO2019059048A1 (ja) * | 2017-09-20 | 2019-03-28 | 大日本印刷株式会社 | 封止材組成物及びそれを用いた太陽電池モジュール用の封止材シート |
JP2019057585A (ja) * | 2017-09-20 | 2019-04-11 | 大日本印刷株式会社 | 封止材組成物及びそれを用いた太陽電池モジュール用の封止材シート |
CN114901746A (zh) * | 2019-12-26 | 2022-08-12 | 陶氏环球技术有限责任公司 | 具有高玻璃粘附的乙烯/α-烯烃互聚物组合物 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5542503B2 (ja) | 2014-07-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5688441B2 (ja) | 太陽電池封止材用樹脂組成物 | |
JP6428199B2 (ja) | 太陽電池封止材用樹脂組成物、並びにそれを用いた太陽電池封止材及び太陽電池モジュール | |
JP5539063B2 (ja) | 太陽電池封止材用樹脂組成物、及びそれを用いた太陽電池封止材、太陽電池モジュール | |
WO2010114028A1 (ja) | 太陽電池封止材用樹脂組成物、太陽電池封止材及びそれを用いた太陽電池モジュール | |
JP5119142B2 (ja) | 太陽電池封止材 | |
JP5636221B2 (ja) | 太陽電池封止材用樹脂組成物 | |
WO2011162324A1 (ja) | 太陽電池封止材用樹脂組成物、及びそれを用いた太陽電池封止材と太陽電池モジュール | |
JP6269329B2 (ja) | 太陽電池封止材用樹脂組成物、並びにそれを用いた太陽電池封止材及び太陽電池モジュール | |
JP5417534B2 (ja) | 太陽電池封止材、及びそれを用いた太陽電池モジュール | |
JP5800053B2 (ja) | 太陽電池封止材用樹脂組成物、及びそれを用いた太陽電池封止材、太陽電池モジュール | |
JP5519409B2 (ja) | 太陽電池封止材用樹脂シート | |
JP5555554B2 (ja) | 太陽電池封止材用樹脂組成物 | |
JP5821341B2 (ja) | 太陽電池封止材用樹脂組成物、及びそれを用いた太陽電池封止材 | |
JP2013139558A (ja) | 太陽電池封止材用樹脂組成物、及びそれを用いた太陽電池封止材、太陽電池モジュール | |
JP5542503B2 (ja) | 太陽電池封止材用樹脂組成物 | |
JP5560099B2 (ja) | 太陽電池封止材用樹脂組成物 | |
JP5530828B2 (ja) | 太陽電池封止材用樹脂組成物の製造方法 | |
JP5861508B2 (ja) | オレフィン系樹脂ペレット体、並びにシートあるいはフィルム、それを用いた太陽電池封止材、および太陽電池モジュール | |
JP5539064B2 (ja) | 太陽電池封止材用樹脂組成物、及びそれを用いた太陽電池封止材、太陽電池モジュール | |
JP5824902B2 (ja) | 太陽電池封止材用樹脂組成物、及びそれを用いた太陽電池封止材と太陽電池モジュール | |
JP5519428B2 (ja) | 太陽電池封止材用樹脂組成物 | |
JP5542566B2 (ja) | 太陽電池封止材用樹脂組成物 | |
JP5800054B2 (ja) | 太陽電池封止材用樹脂組成物、及びそれを用いた太陽電池封止材、太陽電池モジュール | |
JP2013008980A (ja) | 太陽電池封止材およびそれを用いた太陽電池モジュール |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20121206 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20130911 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140121 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140320 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140415 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140507 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5542503 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |