JP5530828B2 - 太陽電池封止材用樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

太陽電池封止材用樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、太陽電池封止材用樹脂組成物の製造方法に関し、より詳しくは、エチレン・α−オレフィン共重合体とシランカップリング剤、高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤を含有し、高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤の分散性が良好な、太陽電池封止材用樹脂組成物を製造する方法に関するものである。
二酸化炭素の増加など地球環境問題がクローズアップされる中で、水力、風力、地熱などの有効利用とともに太陽光発電が再び注目されるようになった。
太陽光発電は、一般にシリコン、ガリウム−砒素、銅−インジウム−セレンなどの太陽電池素子を上部透明保護材と下部基板保護材とで保護し、太陽電池素子と保護材とを樹脂製の封止材で固定し、パッケージ化した太陽電池モジュールを用いるものであり、水力、風力などと比べて規模は小さいものの、電力が必要な場所に分散して配置できることから、発電効率等の性能向上と価格の低下を目指した研究開発が推進されている。また、国や自治体で住宅用太陽光発電システム導入促進事業として設置費用を補助する施策が採られることで、徐々にその普及が進みつつある。しかしながら、更なる普及には一層の低コスト化が必要であり、そのため従来型のシリコンやガリウム−砒素などに代わる新たな素材を用いた太陽電池素子の開発だけでなく、太陽電池モジュールの製造コストをより一層低減する努力も地道に続けられている。
太陽電池モジュールを構成する太陽電池封止材の条件としては、太陽電池の発電効率を低下しないように、太陽光の入射量を確保するため、透明性が良好なことが求められている。また、太陽電池モジュールは通常、屋外に設置されるから長期間太陽光に晒され温度上昇する。それにより樹脂製の封止材が流動し、モジュールが変形したりするトラブルを避けるために、耐熱性を有するものでなければならない。また年々、太陽電池素子の材料コストを削減するために薄肉化が進んでおり、一層柔軟性に優れた封止材も求められている。
現在、太陽電池モジュールにおける太陽電池素子の封止材では、柔軟性、透明性等の観点から、酢酸ビニル含量の高いエチレン・酢酸ビニル共重合体が樹脂成分として採用され、これに有機過酸化物が架橋剤として併用されている(たとえば、特許文献1参照)。
そして、太陽電池素子の封止作業では、太陽電池素子を樹脂製の封止材でカバーした後、数分から十数分程度加熱して仮接着し、オーブン内において有機過酸化物が分解する高温で数分から1時間加熱処理して接着させている(たとえば、特許文献2参照)。
しかしながら、太陽電池モジュールの製造コストを抑えるために、封止作業に要する時間のさらなる短縮が求められており、封止材の樹脂成分であるエチレン・酢酸ビニル共重合体に代わり、結晶化度が40%以下の非晶性又は低結晶性のα−オレフィン系共重合体からなる太陽電池封止材が提案されている(特許文献3参照)。この特許文献3には、非晶性又は低結晶性のエチレン・ブテン共重合体に、有機過酸化物を混合し、異型押出機を用いて加工温度100℃でシートを作製することが例示されているが、加工温度が低いため十分な生産性は得られない。
一方、屋外に設置される太陽電池モジュールは、長期間太陽光に晒されるので、封止材の樹脂成分には、耐候性付与のため、耐候安定剤が配合される。前記特許文献1には、EVA系の封止材樹脂に光安定化剤を配合することが記載されており、ヒンダードアミン系光安定化剤が好ましいとしているが、その詳細は明らかにしておらず、具体的な効果を確認していない。封止材樹脂に対して親和性の悪い光安定化剤を用いると、組成物をシート化する際に表面にブリードアウトし、巻き取りロールを汚染する、透明性が低下するなどの問題があった。
また、太陽電池モジュールは、前記のとおり、長期間太陽光に晒されると温度が上昇し、それによりガラス基板と樹脂製封止材との接着力が低下して、ガラス基板から樹脂製封止材が分離し、その空間に空気や水分が入って、モジュールが変形したりすることもあった。前記特許文献1には、封止材樹脂にシランカップリング剤を配合することが記載されているが、フッ素樹脂フィルムなどのフレキシブル基板を用いた太陽電池モジュールに関するものであり、シランカップリング剤の詳細は明らかにしていない。前記特許文献2にも、封止材樹脂へのシランカップリング剤の配合が記載されているが、EVAフィルムとFRP基板を用いた太陽電池モジュールに関するものであり、基板との接着性は十分ではない。
また、太陽電池モジュールの封止材として、(a)約0.90g/cc未満の密度、(b)ASTM D−882−02により測定して約150メガパスカル(mPa)未満の2%割線係数、(c)約95℃未満の融点、(C)ポリマーの重量に基づいて少なくとも約15および約50重量%未満のα−オレフィン含量、(e)約−35℃未満のTg、ならびに(f)少なくとも約50のSCBDI、の1以上の条件を満たすポリオレフィンコポリマーを含むポリマー材料が提案されている(特許文献4参照)。
太陽電池モジュールでは、近年、太陽電池素子の薄膜化に伴い、太陽電池封止材も薄膜化する傾向がある。その際、太陽電池の上部保護材側または下部保護材側から衝撃が加わると、配線が断線しやすいことが問題となっている。断線の問題を解決するには封止材の剛性を高くすることが望まれるが、従来のポリマー材料を用いた場合封止材の剛性を高くすることができたとしても、架橋効率が悪くなり実用的とはいえなかった。
前記のように、EVA樹脂に親和性の悪い光安定化剤を配合すると、組成物をシート化する際に表面にブリードアウトし、巻き取りロールを汚染する、透明性が低下するなどの問題が指摘されている。このような光安定化剤のブリードアウトは、α−オレフィン系共重合体からなる封止樹脂を用いた場合でも同様に生じることがあり、改善が必要とされている。
このため、生産性、耐熱性、透明性、柔軟性、ガラス基板への接着性、及び耐候性に優れる太陽電池封止材用樹脂組成物の開発が急務とされている。
特開平9−116182号公報 特開2003−204073号公報 特開2006−210906号公報 特表2010−504647号公報
本発明の目的は、エチレン・α−オレフィン共重合体とシランカップリング剤、高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤を含有し、高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤の分散性が良好な、太陽電池封止材用樹脂組成物を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、樹脂成分としてメタロセン触媒などを用いて重合された特定の密度を有するエチレン・α−オレフィン共重合体にシランカップリング剤、高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤を配合する際に、高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤をマスターバッチで供給すると、エチレン・α−オレフィン共重合体中に高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤が均一に分散して、耐熱性、透明性、柔軟性、耐候性に優れる太陽電池封止材用樹脂組成物が得られ、さらに、前記エチレン・α−オレフィン共重合体が特定の分子量分布、溶融粘度、分岐特性などを満足すると前記の特長に加え、剛性と架橋効率とのバランスもよい太陽電池封止材用樹脂組成物となるので、これを用いれば太陽電池モジュールの生産性が大幅に向上するとの知見を得て、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の第1の発明によれば、下記の成分(A)、成分(B)、成分(C)を含有することを特徴とする太陽電池封止材用樹脂組成物において、成分(C)をマスターバッチで供給することを特徴とする、太陽電池封止材組成物の製造方法が提供される。
成分(A):下記(a1)〜(a6)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体
(a1)密度が0.860〜0.920g/cm
(a2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めたZ平均分子量(Mz)と数平均分子量(Mn)との比(Mz/Mn)が8.0以下
(a3)100℃で測定した、せん断速度が2.43×10s −1 での溶融粘度が9.0×10 poise以下
(a4)100℃で測定した、せん断速度が2.43×10 −1 での溶融粘度が1.8×10 poise以下
(a5)ポリマー中のコモノマーによる分岐数(N)が下記式(a)を満たす。
式(a): N ≧ −0.67×E+53
( ただし、Nは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの分岐数であり、Eは、ISO1184−1983に準拠して測定した、シートの引張弾性率である。)
(a6)フローレシオ(FR):190℃における10kg荷重でのMFR測定値であるI 10 と、190℃における2.16kg荷重でのMFR測定値であるI 2.16 との比(I 10 /I 2.16 )が7.0未満
成分(B):シランカップリング剤
成分(C):高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤
また、本発明の第の発明によれば、第の発明において、(a5)ポリマー中のコモノマーによる分岐数(N)が、下記式(a’)を満たすことを特徴とする太陽電池封止材用樹脂組成物の製造方法が提供される。
式(a’): −0.67×E+80 ≧ N ≧ −0.67×E+53
( ただし、Nは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの分岐数であり、Eは、ISO1184−1983に準拠して測定した、シートの引張弾性率である。)
また、本発明の第の発明によれば、第の発明において、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の特性(a6):フローレシオ(FR)が、5.0〜6.2であることを特徴とする太陽電池封止材用樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1〜のいずれかの発明において、高分子量型ヒンダードアミン系光安定化剤(C)の含有量が、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)100重量部に対して、0.01〜2.5重量部であることを特徴とする太陽電池封止材用樹脂組成物の製造方法が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1〜のいずれかの発明において、マスターバッチの混練温度が、140〜250℃であることを特徴とする太陽電池封止材用樹脂組成物の製造方法が提供される。
さらに、本発明のの発明によれば、第1〜のいずれかの発明において、シランカップリング剤(B)の含有量が、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)100重量部に対して、0.01〜5重量部であることを特徴とする太陽電池封止材用樹脂組成物の製造方法が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1〜のいずれかの発明において、さらに、有機過酸化物(D)を含有し、その含有量が、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)100重量部に対して、0.2〜5重量部であることを特徴とする太陽電池封止材用樹脂組成物の製造方法が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1〜のいずれかの発明において、エチレン・α−オレフィン共重合体が、エチレン・1−ブテン共重合体又はエチレン・1−ヘキセン共重合体であることを特徴とする太陽電池封止材用樹脂組成物の製造方法が提供される。
本発明によれば、太陽電池封止材用樹脂組成物が、特定の密度を有するエチレン・α−オレフィン共重合体を主成分とし、これに高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤(C)を配合する際に、高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤(C)をマスターバッチで供給して製造するので、高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤(C)がエチレン・α−オレフィン共重合体に均一に分散し、この樹脂組成物をシート化する際には、ブリードアウトせず表面状態が良好となり、これを用いた太陽電池封止材は、透明性、柔軟性、耐候性等に優れ、長期間安定した変換効率を維持することができ、高温処理時の表面状態も良好である。
また、シランカップリング剤を配合しているため、ガラス基板に対して接着性がよく、有機過酸化物を配合することで、エチレン・α−オレフィン共重合体が比較的短時間で架橋して十分な接着力を有し、太陽電池封止材としてモジュールの形成が容易であり、製造コストを低減することができる。また、特定の分子量分布、溶融粘度特性、および分岐特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体を用いることで、剛性と架橋効率とのバランスを向上させることができる。
1.太陽電池封止材用樹脂組成物
本発明における太陽電池封止材用樹脂組成物(以下、単に樹脂組成物ともいう)は、下記のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)、シランカップリング剤(B)、及び高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤(C)を含有する。
(1)エチレン・α−オレフィン共重合体(A)
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、下記(a1)〜(a6)の特性を有している
(a1)密度が0.860〜0.920g/cm
(a2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めたZ平均分子量(Mz)と数平均分子量(Mn)との比(Mz/Mn)が8.0以下
(a3)100℃で測定した、せん断速度が2.43×10s−1での溶融粘度が9.0×10poise以下
(a4)100℃で測定した、せん断速度が2.43×10−1での溶融粘度が1.8×10poise以下
(a5)ポリマー中のコモノマーによる分岐数(N)が下記式(a)を満たす。
式(a): N ≧ −0.67×E+53
( ただし、Nは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの個数であり、Eは、ISO1184−1983に準拠して測定した、シートの引張弾性率である。)
(a6)フローレシオ(FR):190℃における10kg荷重でのMFR測定値であるI10と、190℃における2.16kg荷重でのMFR測定値であるI2.16との比(I10/I2.16)が7.0未満
(i)エチレン・α−オレフィン共重合体(A)のモノマー構成
本発明に使用されるエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンから誘導される構成単位を主成分としたエチレンとα−オレフィンのランダム共重合体である。
コモノマーとして用いられるα−オレフィンは、好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィンである。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。かかるエチレン・α−オレフィン共重合体の具体例としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−ペンテン−1共重合体等が挙げられる。なかでも、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体が好ましい。また、α−オレフィンは1種または2種以上の組み合わせでもよい。2種のα−オレフィンを組み合わせて三元共重合体とする場合は、エチレン・プロピレン・1−ヘキセン三元共重合体、エチレン・1−ブテン・1−ヘキセン三元共重合体、エチレン・プロピレン・1−オクテン三元共重合体、エチレン・1−ブテン・1−オクテン三元共重合体等が挙げられる。
コモノマーとして、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、及び1,9−デカジエン等のジエン化合物を、α−オレフィンに少量配合してもよい。これらのジエン化合物を配合すると、長鎖分岐ができるので、エチレン・α−オレフィン共重合体の結晶性を低下させ、透明性、柔軟性、接着性等が良くなり、分子間の架橋剤ともなるので、機械的強度が増加する。また長鎖分岐の末端基は、不飽和基であるから、有機過酸化物による架橋反応や、酸無水物基含有化合物若しくはエポキシ基含有化合物との共重合反応やグラフト反応を容易におこすことができる。
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、そのα−オレフィンの含有量が5〜40重量%であり、好ましくは10〜35重量%、より好ましくは15〜30重量%である。この範囲であれば柔軟性と耐熱性が良好である。
ここでα−オレフィンの含有量は、下記の条件の13C−NMR法によって計測される値である。
装置:日本電子製 JEOL−GSX270
濃度:300mg/2mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
(ii)エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の重合触媒及び重合法
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、チーグラー触媒、バナジウム触媒又はメタロセン触媒等、好ましくはバナジウム触媒又はメタロセン触媒、より好ましくはメタロセン触媒を使用して製造することができる。製造法としては、高圧イオン重合法、気相法、溶液法、スラリー法等が挙げられる。
メタロセン触媒としては、特に限定されるわけではないが、シクロペンタジエニル骨格を有する基等が配位したジルコニウム化合物などのメタロセン化合物と助触媒とを触媒成分とする触媒が挙げられる。市販品としては、日本ポリエチレン社製のハーモレックス(登録商標)シリーズ、カーネル(登録商標)シリーズ、プライムポリマー社製のエボリュー(登録商標)シリーズ、住友化学社製のエクセレン(登録商標)GMHシリーズ、エクセレン(登録商標)FXシリーズが挙げられる。バナジウム触媒としては、可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウムハライドとを触媒成分とする触媒が挙げられる。
(iii)エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の特性
(a1)密度
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、密度が0.860〜0.920g/cm、好ましくは0.870〜0.915g/cm、さらに好ましくは0.875〜0.910g/cmである。エチレン・α−オレフィン共重合体の密度が0.860g/cm未満では、加工後のシートがブロッキングしてしまい、密度が0.920g/cmを超えると、加工後のシート剛性が高すぎ、取り扱い性に欠ける。
ポリマーの密度を調節するには、例えばα−オレフィン含有量、重合温度、触媒量などを適宜調節する方法がとられる。
なお、エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、JIS−K6922−2:1997附属書(低密度ポリエチレンの場合)に準拠して測定する(23℃)。
(a2)Z平均分子量(Mz)と数平均分子量(Mn)との比(Mz/Mn)
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、ゲルパーミエーションクロマグラフィー(GPC)により求めたZ平均分子量(Mz)と数平均分子量(Mn)との比(Mz/Mn)が8.0以下であり、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下である。また、Mz/Mnは、2.0以上、好ましくは2.5以上、より好ましくは3.0以上である。ただし、Mz/Mnが8.0を超えると透明性が悪化する。Mz/Mnを所定の範囲に調整するには、適当な触媒系を選択する方法等によることができる。
なお、(Mz/Mn)の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で行い、測定条件は次のとおりである。
装置:ウオーターズ社製GPC 150C型
検出器:MIRAN社製 1A赤外分光光度計(測定波長、3.42μm)
カラム:昭和電工製AD806M/S 3本(カラムの較正は、東ソー製単分散ポリスチレン(A600,A2500,F1,F2,F4,F10,F20,F40,F288の各0.5mg/ml溶液)の測定を行い、溶出体積と分子量の対数値を2次式で近似した。また、試料の分子量は、ポリスチレンとポリエチレンの粘度式を用いてポリエチレンに換算した。ここでポリスチレンの粘度式の係数は、α=0.723、logK=−3.967であり、ポリエチレンはα=0.733、logK=−3.407である。)
測定温度:140℃
濃度:20mg/10mL
注入量:0.2ml
溶媒:オルソジクロロベンゼン
流速:1.0ml/分
なお、Z平均分子量(Mz)は、高分子量成分の平均分子量への寄与が大きいので、Mz/Mnは、Mw/Mnに比べて高分子量成分の存在を確認しやすい。高分子量成分は、透明性に影響を与える要因であり、高分子量成分が多いと透明性は悪化する。また、架橋効率も悪化する傾向が見られる。よって、Mz/Mnは小さい方が好ましい。
(a3)(a4)溶融粘度
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、100℃で測定した、せん断速度が特定の範囲でなければならない。100℃で測定した、せん断速度に着目するのは、当該温度での組成物を製品化する際の製品への影響を推定するためである。
すなわち、せん断速度2.43×10sec−1での溶融粘度(η )が9.0×10poise以下、好ましくは8.0×10poise以下、より好ましくは7.0×10poise以下、さらに好ましくは5.5×10poise以下、さらにまた好ましくは5.0×10poise以下、特に好ましくは3.0×10poise以下、最も好ましくは2.5×10poise以下である。溶融粘度(η )は、1.0×10poise以上、さらには1.5×10poise以上であることが好ましい。溶融粘度(η )がこの範囲にあれば低温で低速成形時の生産性がよく、製品への加工に問題が生じない。
溶融粘度(η )は、エチレン・α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR)や分子量分布などにより調整可能である。メルトフローレートの値を高めると溶融粘度(η )は小さくなる傾向がある。分子量分布など他の性状が異なれば、大小関係が逆転することもありうるが、たとえば、好ましくはMFR(JIS−K6922−2:1997附属書(190℃、21.18N荷重))が5〜50g/10分であり、より好ましくは10〜40g/10分、さらに好ましくは15〜35g/10分とすることで、溶融粘度(η )を所定の範囲に収めやすい。
さらに、本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、100℃で測定した、せん断速度2.43×10sec−1での溶融粘度(η )が、1.8×10poise以下、好ましくは1.7×10poise以下、より好ましくは1.5×10poise以下、さらに好ましくは1.4×10poise以下、最も好ましくは1.3×10poise以下である。溶融粘度(η )は、5.0×10poise以上、さらには8.0×10poise以上であることが好ましい。溶融粘度(η )がこの範囲にあれば低温で高速成形時の生産性がよく、製品への加工に問題が生じない。
ここで、溶融粘度(η )、(η )は、径1.0mm、L/D=10のキャピラリーを有するキャピラリーレオメーターを用いて得られる測定値である。
2種類のせん断速度を設けるのは、低速成形時、高速成形時の製品の表面への影響が小さく、それぞれの成形速度領域で同様の製品が得られるようにするためである。
また、本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、η とη との比(η /η )が、好ましくは4.5以下、より好ましくは4.2以下、さらに好ましくは4.0以下、さらにまた好ましくは3.0以下である。η とη との比(η /η )は、1.1以上が好ましく、さらには1.5以上であることが好ましい。(η /η )が上記範囲であれば、低速成形時、高速成形時のシート表面への影響が少なく好ましい。
(a5)ポリマー中のコモノマーによる分岐数(N)
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、ポリマー中のコモノマーによる分岐数(N)と、引張弾性率(E)が下記式(a)を満たしている。
式(a): N ≧ −0.67×E+53
( ただし、Nは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの分岐数であり、Eは、ISO1184−1983に準拠して測定した、シートの引張弾性率である。)
分岐数は、例えばE. W. Hansen, R. Blom, and O. M. Bade, Polymer, 36巻 4295頁(1997年)を参考にC−NMRスペクトルから算出することができる。
太陽電池モジュールでは、太陽電池素子の薄膜化に伴い、太陽電池封止材も薄膜化する傾向がある。薄膜化した太陽電池封止材では、上部保護材または下部保護材から衝撃が加わると、配線が断線しやすいため、封止材の剛性を高くすることが求められる。剛性を高くすると、架橋効率が悪くなるので、高分子鎖の分岐度がある程度高い共重合体を用いて、架橋前の共重合体の流動性を向上させ、成形性に優れた材料として使用する必要がある。本発明では、エチレン・α−オレフィン共重合体のコモノマーによる分岐数(N)が式(a)を満たすポリマー構造となっているので、剛性と架橋効率のバランスが良好である。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体は、上述した様に、触媒を用いた共重合反応により製造できるが、共重合させる原料単量体の組成比や使用する触媒の種類を選択することにより、その高分子鎖中の分岐度を容易に調整することが可能である。本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体が式(a)を満たすためには、エチレン・α−オレフィン共重合体中のコモノマーは、プロピレン、1−ブテン、又は1−ヘキセンから選択するのが好ましい。また、気相法、高圧法を用いて製造するのが好ましく、特に、高圧法を選択するのがより好ましい。
より具体的には、Eを固定してNを増減させるためには、主にエチレンと共重合させるコモノマーの炭素数を変更する方法によることができる。エチレンに対して1−ブテン又は1−ヘキセンの量が60〜80wt%となるように混合し、メタロセン触媒を使用して、重合温度130〜200℃で反応させエチレン・α−オレフィン共重合体を製造することが好ましい。これにより、エチレン・α−オレフィン共重合体の分岐数Nが適度に調整でき、得られるシートの引張弾性率Eが、40MPa以下となって、式(a)が示す範囲のエチレン・α−オレフィン共重合体を得ることができる。
本発明では、特性(a5)の関係式が、下記式(a’)で示されることが好ましい。また、特性(a5)の関係式は、下記式(a’’)であることがより好ましい。
式(a’): −0.67×E+80 ≧ N ≧ −0.67×E+53
式(a’’): −0.67×E+75 ≧ N ≧ −0.67×E+54
(a6)フローレシオ(FR)
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体のフローレシオ(FR)、すなわち190℃における10kg荷重でのMFR測定値であるI10と、190℃における2.16kg荷重でのMFR測定値であるI2.16との比(I10/I2.16)は、7.0未満である。なお、メルトフローレート(MFR)は、JIS−K7210−1999に準拠して測定した値である。
FRは、エチレン・α−オレフィン共重合体の分子量分布、長鎖分岐の量と相関が深いことが知られている。本発明では、上記(a1)〜(a5)の条件を満たすポリマーの中でも、190℃における10kg荷重でのMFR測定値(I10)と、190℃における2.16kg荷重でのMFR測定値(I2.16)との比(I10/I2.16)が7.0未満であるものを使用する。このような長鎖分岐に特徴があるポリマー構造となっている共重合体を用いることで、剛性と架橋効率のバランスが良好なものとなる。これに対して、FRが7.0以上であると、太陽電池封止材として架橋する際の架橋効率が悪くなる傾向にある。
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体のFRは、7.0未満であり、好ましくは6.5未満、さらに好ましくは6.3未満である。ただし、FRが5.0未満であると、太陽電池封止材として十分な剛性が得られにくくなることがある。特性(a6)のフローレシオ(FR)は、5.0〜6.2であることが最も好ましい。
(2)シランカップリング剤(B)
本発明の樹脂組成物には、シランカップリング剤を必須成分として配合し、主に太陽電池の上部保護材や太陽電池素子との接着力を向上させる。
本発明におけるシランカップリング剤としては、例えばγ−クロロプロピルトリメトキシシラン;ビニルトリクロルシラン;ビニルトリエトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン;ビニル−トリス−(β−メトキシエトキシ)シラン;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン;ビニルトリアセトキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。好ましくは、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランである。
これらのシランカップリング剤の配合量は、成分(A)100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.01〜2重量部、好ましくは0.05〜1重量部で使用される。
(3)高分子量型ヒンダードアミン系光安定化剤(C)
本発明において、樹脂組成物には必須成分として高分子量型ヒンダードアミン系光安定化剤を配合する。ポリマーに対して有害なラジカル種を補足し、新たなラジカルを発生しないようにするためである。
ヒンダードアミン系光安定化剤には、低分子量のものから高分子量のものまで多くの種類の化合物が知られている。本発明では、このうち高分子量のヒンダードアミン系光安定化剤を使用する。分子量は、1200以上であり、1500以上が好ましく、2000以上がより好ましい。低分子量のもの、すなわち分子量が1200未満のものを用いるとブリードアウトする可能性があり、光線透過率が小さくなり透明性が低下する。
高分子量型ヒンダードアミン系光安定化剤は、融点が50℃以上、特に60℃以上であるものを用いるのが、組成物の作製しやすさの観点から好ましい。
高分子量型ヒンダードアミン系光安定化剤としては、例えば、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}](分子量2,000〜3,100);コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物(分子量3,100〜4,000);N,N’,N”,N”‘−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン(分子量2,286)と上記コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物の混合物;ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物(分子量2,600〜3,400)、並びに、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−1−エチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−1−プロピル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−1−ブチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルペリジン、4−メタクリロイルオキシ−1−エチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メタクリロイルオキシ−1−ブチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−1−プロピル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の環状アミノビニル化合物とエチレンとの共重合体(エチレン・環状アミノビニル化合物共重合体)(分子量1200以上)などが挙げられる。
上述した高分子量型ヒンダードアミン系光安定化剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
本発明において、高分子量型ヒンダードアミン系光安定化剤の配合量は、前記エチレン・α−オレフィン共重合体100重量部に対して、0.01〜2.5重量部とし、好ましくは0.01〜1.0重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.2重量部、最も好ましくは0.03〜0.1重量部とするのがよい。前記配合量を0.01重量部以上とすることにより安定化への効果が十分に得られ、2.5重量部以下とすることによりヒンダードアミン系光安定化剤の過剰な添加による樹脂の変色を抑えることができる。
(4)有機過酸化物(D)
本発明の組成物には、主にエチレン・α−オレフィン共重合体(A)を架橋するために有機過酸化物(D)を配合することが望ましい。
有機過酸化物としては、分解温度(半減期が1時間である温度)が70〜180℃、とくに90〜160℃の有機過酸化物を用いることができる。このような有機過酸化物として、例えば、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ジパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ヒドロキシヘプチルパーオキサイド、ジクロヘキサノンパーオキサイドなどが挙げられる。
有機過酸化物(D)の配合割合は、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)を100重量部としたときに、好ましくは0.2〜5重量部、より好ましくは0.5〜3重量部、さらに好ましくは、1〜2重量部である。有機過酸化物(D)の配合割合が上記範囲よりも少ないと、架橋しないまたは架橋に時間がかかる。また、上記範囲よりも大きいと、分散が不十分となり架橋度が不均一になりやすい。
また、本発明において、前記有機過酸化物(D)と前記ヒンダードアミン系光安定化剤(C)との重量比(D:C)は、1:0.01〜1:10とし、好ましくは1:0.02〜1:6.5とする。これにより、樹脂の黄変を顕著に抑制することが可能となる。
(5)紫外線吸収剤
本発明の樹脂組成物には紫外線吸収剤を配合することができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリチル酸エステル系など各種タイプのものを挙げることができる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロロベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどを挙げることができる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニル置換ベンゾトリアゾール化合物であって、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、などを挙げることができる。またトリアジン系紫外線吸収剤としては、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノールなどを挙げることができる。サリチル酸エステル系としては、フェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレートなどを挙げることができる。
これら紫外線吸収剤は、成分(A)100重量部に対し0〜2.0重量部配合することが好ましく、より好ましくは0.05〜2.0重量部、さらに好ましくは0.1〜1.0重量部、特に好ましくは0.1〜0.5重量部、最も好ましくは0.2〜0.4重量部配合するのがよい。
(6)架橋助剤
また、本発明の樹脂組成物には架橋助剤を配合することができる。架橋助剤は、架橋反応を促進させ、エチレン・α−オレフィン共重合体の架橋度を高めるのに有効であり、その具体例としては、ポリアリル化合物やポリ(メタ)アクリロキシ化合物のような多不飽和化合物を例示することができる。
より具体的には、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート、ジアリルマレエートのようなポリアリル化合物、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートのようなポリ(メタ)アクリロキシ化合物、ジビニルベンゼンなどを挙げることができる。架橋助剤は、成分(A)100重量部に対し、0〜5重量部程度の割合で配合することができる。
(7)他の添加成分
本発明の組成物には、本発明の目的を著しく損なわない範囲で、他の付加的任意成分を配合することができる。このような任意成分としては、通常のポリオレフィン系樹脂材料に使用される酸化防止剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、着色剤、分散剤、充填剤、蛍光増白剤等を挙げることができる。
また、本発明の目的を損なわない範囲で、柔軟性等を付与するため、チーグラー系又はメタロセン系触媒によって重合された結晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体及び/又はEBR、EPR等のエチレン・α−オレフィンエラストマー若しくはSEBS、水添スチレンブロック共重合体等のスチレン系エラストマー等のゴム系化合物を3〜75重量部配合することもできる。さらに、溶融張力等を付与するため、高圧法低密度ポリエチレンをエチレン・α−オレフィン共重合体(A)100重量部に対し、3〜75重量部配合することもできる。
2.太陽電池封止材組成物の製造方法
本発明は、密度が0.860〜0.920g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体(A)に、シランカップリング剤(B)、高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤(C)を配合する際に、高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤(C)をマスターバッチで供給することを特徴とする。
すなわち、(1)先ず、密度が0.860〜0.920g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体(A)に対して、高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤(C)を配合して高濃度のマスターバッチを調製し、(2)次に、このマスターバッチと、密度が0.860〜0.920g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体(A)、シランカップリング剤(B)を配合することで太陽電池封止材組成物を製造する。
(1)マスターバッチの調製
本発明の方法において、マスターバッチを作製するには、密度が0.860〜0.920g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体(A)に対して、高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤(C)を所定量混合し、混練機に供給する。混練機としては、公知の混練機を用いることができ、バッチ式の加圧ニーダー、オープンニーダー、バンバリーミキサー、一軸押出機、二軸混練機、ロール混練機などが挙げられる。
高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤(C)の配合量は、特に限定されるわけではないが、例えば1〜15重量%とし、好ましくは、1〜10重量%とし、より好ましくは、1〜5重量%、さらに好ましくは2〜4重量%とする。配合量が1重量%未満では高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤(C)のエチレン・α−オレフィンへの分散が十分ではないことがあり、15重量%を超えるとマスターバッチ作製が困難になる傾向がある。
例えば、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)に高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤(C)を添加して混合し、得られた組成物を混練機に供給し、混練後、ダイより押し出し、ペレット状に加工する手段などが用いられる。また、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)を先に混練機に供給した後に高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤(C)を添加してもよい。
また、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)を先に混練機に供給して混練しながら、所定量の高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤(C)を数回に分割供給し、混練後、ダイより押し出し、ペレット状に加工するようにしてもよい。さらには、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)を粉砕機、押出機などに供給し、所定の大きさに調整してから、高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤(C)と混練することが好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤(C)の分散性を向上させるために、所定の大きさのペレット状又は粉体状のもの、例えば、平均直径が1〜10mm、特に2〜5mmのものを用いるのが好ましい。
本発明の方法において、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)及び高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤(C)の加熱混練条件は、特に制限されないが、高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤(C)の融点以上の温度でマスターバッチを作製することが好ましい。例えば、140℃以上が好ましく、より好ましくは145℃以上、さらに好ましくは150℃以上、特に好ましくは160℃以上、最も好ましくは170℃以上の温度で加熱混練する。加熱しながら混練を行うことでエチレン・α−オレフィン共重合体(A)に高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤(C)を高分散させることができる。ただし、加熱温度が高すぎると高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤(C)が分解し、機能を発揮しなくなるおそれがあるので、加熱温度は250℃以下とするのが好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)及び高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤(C)を加熱混練する時間は、特に制限されないが、0.5〜5分間、好ましくは0.5〜2分間程度でよい。
マスターバッチの形状は、円柱状、角柱状、球形、楕円球形など、任意の形状にペレット化される。なかでも、円柱状、角柱状であるのが好ましく、円形断面の平均直径が1〜10mm、特に2〜5mmであり、平均長さが1〜10mm、特に2〜5mmである円柱状が特に好ましい。
(2)シランカップリング剤(B)などの添加剤との混合
次に、このようにして調製したマスターバッチを、残りのエチレン・α−オレフィン共重合体(A)、及びシランカップリング剤(B)、有機過酸化物(D)などの添加剤と混合し、本発明に係る樹脂組成物を製造する。
すなわち、マスターバッチを、残りのエチレン・α−オレフィン共重合体(A)、シランカップリング剤(B)、及び必要に応じて添加される有機過酸化物(D)、架橋助剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の添加剤をドライブレンドする。
この混合条件は、特に制限されず、例えば、80〜150℃の温度で一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーなどを用いて溶融混合することができる。ここで有機過酸化物(D)を配合する場合は、架橋剤が実質的に分解せず、かつ本発明に係る樹脂組成物が溶融するような温度で行うことが望ましい。具体的には、80〜130℃の温度とすることが好ましい。高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤(C)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)とのマスターバッチで供給されるために、混合が極めて容易であり、効率的に均一な樹脂組成物を製造することができる。
3.太陽電池封止材
本発明に係る太陽電池封止材組成物を太陽電池封止材として用い、太陽電池素子を上下の保護材で固定することにより太陽電池モジュールを製作することができる。
本発明に係る太陽電池封止材は、通常、0.1〜1mm程度の厚みのシート状で使用される。シート状太陽電池封止材は、T−ダイ押出機、カレンダー成形機などを使用する公知のシート成形法によって製造することができる。具体的には、エチレン・α−オレフィン共重合体と高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤(C)を配合したマスターバッチに、エチレン・α−オレフィン共重合体、シランカップリング剤を配合し、必要に応じて有機過酸化物(架橋剤)、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の添加剤をドライブレンドして調製された太陽電池封止材組成物を、T−ダイ押出機のホッパーから供給し、80〜150℃の押出温度において、シート状に押出成形して得ることができる。
本発明においては、封止材のシートを予め作っておき、封止材が溶融する温度で圧着するという方法によって太陽電池モジュールを形成することができる。また、本発明に係る太陽電池封止材用樹脂組成物を押出コーティングすることによって太陽電池素子や上部保護材あるいは下部保護材と積層する方法を採用すれば、わざわざシート成形することなく一段階で太陽電池モジュールを製造することが可能であり、モジュールの生産性を格段に改良することができる。
一方、有機過酸化物が配合された封止材を用いる場合は、架橋剤が実質的に分解せず、かつ封止材が溶融するような温度で、太陽電池素子や保護材に該封止材を仮接着し、次いで昇温して充分な接着とエチレン・α−オレフィン共重合体の架橋を行えばよい。
すなわち、太陽電池素子を上記本発明に係る封止材でカバーした後、有機過酸化物が分解しない程度の温度に数分から10分程度加熱して仮接着し、次に、オーブン内において有機過酸化物が分解する150〜200℃程度の高温で5〜30分間加熱処理して接着させることが好ましい。
この場合は、封止材層の融点(DSC法)が40℃以上、150℃の貯蔵弾性率が10Pa以上の耐熱性が良好な太陽電池モジュールを得るために、封止材層におけるゲル分率(試料1gをキシレン100mlに浸漬し、110℃、24時間加熱した後、20メッシュ金網で濾過し未溶融分の質量分率を測定)が50〜98%、好ましくは70〜95%程度になるように架橋するのがよい。
なお、前記特許文献3では、非晶性又は低結晶性エチレン・ブテン共重合体100重量部に、有機過酸化物として2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンを1.5重量部、および架橋助剤としてトリアリルイソシアヌレートを2重量部混合した混合物を、異型押出機を用いて加工温度100℃で厚み0.5mmのシートを作製している(実施例3)。しかしながら、このような組成物の選択では、加工温度が低いため十分な生産性を得ることはできない。
太陽電池モジュールとしては、種々のタイプのものを例示することができる。例えば上部透明保護材/封止材/太陽電池素子/封止材/下部保護材のように太陽電池素子の両側から封止材で挟む構成のもの、下部基板保護材の内周面上に形成させた太陽電池素子上に封止材と上部透明保護材を形成させるような構成のもの、上部透明保護材の内周面上に形成させた太陽電池素子、例えばフッ素樹脂系透明保護材上にアモルファス太陽電池素子をスパッタリング等で作成したものの上に封止材と下部保護材を形成させるような構成のものなどを挙げることができる。
太陽電池素子としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン系、ガリウム−砒素、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルルなどのIII−V族やII−VI族化合物半導体系等の各種太陽電池素子を用いることができる。
太陽電池モジュールを構成する上部保護材としては、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、フッ素含有樹脂などを例示することができる。下部保護材としては、金属や各種熱可塑性樹脂フィルムなどの単体もしくは多層のシートであり、例えば、錫、アルミ、ステンレススチールなどの金属、ガラス等の無機材料、ポリエステル、無機物蒸着ポリエステル、フッ素含有樹脂、ポリオレフィンなどの1層もしくは多層の保護材を例示することができる。このような上部及び/又は下部の保護材には、封止材との接着性を高めるためにプライマー処理を施すことができる。本発明における上部保護材としては、ガラスを用いることが好ましい。
以下、本発明を実施例によって、具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例、比較例で用いた評価方法及び使用樹脂は、以下の通りである。
1.樹脂物性の評価方法
(1)メルトフローレート(MFR):エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRは、JIS−K6922−2:1997附属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定した。
(2)密度:前述の通り、エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、JIS−K6922−2:1997附属書(23℃、低密度ポリエチレンの場合)に準拠して測定した。
(3)Mz/Mn:前述の通り、GPCにより測定した。
(4)溶融粘度:JIS−K7199−1999に準拠して、東洋精機製作所製キャピログラフ1−Bを用い、設定温度:100℃、D=1mm、L/D=10のキャピラリーを用いて測定を行う。
(5)分岐数:ポリマー中の分岐数(N)は、NMRにより次の条件で測定し、コモノマー量は、主鎖及び側鎖の合計1000個の炭素あたりの個数で求めた。
装置 : ブルカー・バイオスピン(株) AVANCE III cryo−400MHz
溶媒 : o−ジクロロベンゼン/重化ブロモベンゼン = 8/2混合溶液
<試料量>
460mg/2.3ml
<C−NMR>
・Hデカップル、NOEあり
・積算回数:256scan
・フリップ角:90°
・パルス間隔20秒
・AQ(取り込み時間)=5.45s D1(待ち時間)=14.55s
(6)FR:JIS−K7210−1999に準拠し、190℃、10kg荷重の条件下で測定したMFR(I10)と、190℃、2.16kg荷重の条件下で測定したMFR(I2.16)との比(I10/I2.16)を計算し、FRとした。
(7)引張弾性率
厚み0.7mmのプレスシートを用いて、ISO1184−1983に準拠して測定した。尚、引張速度1mm/min、試験片幅10mm、つかみ具間を100mmとし、伸び率1%のときの引張弾性率を求めた。この値が小さい程、柔軟性に優れていることを示す。
3.シートの評価方法
(1)光線透過率
光線透過率は、厚み0.7mmのプレスシートを用いて、JIS−K7361−1−1997に準拠して測定した。プレスシート片を関東化学製特級流動パラフィンを入れたガラス製セルにセットし測定した。プレスシートは、160℃の条件で熱プレス機に30分間保管し、架橋させ準備した。
光線透過率は、80%以上であり、好ましくは、85%以上、さらに好ましくは90%以上である。
(2)引張弾性率
160℃で30分架橋した厚み0.7mmのプレスシートを用いて、ISO1184−1983に準拠して測定した。尚、引張速度1mm/min、試験片幅10mm、つかみ具間を100mmとし、伸び率1%のときの引張弾性率を求めた。この値が小さい程、柔軟性に優れていることを示す。
(3)耐熱性
160℃で30分架橋したシート、及び150℃で30分架橋したシートのゲル分率で評価した。ゲル分率が高いほど架橋が進行しており、耐熱性が高いと評価できる。ゲル分率が70wt%以上のものを耐熱性評価「○」とし、60〜69wt%のものを「△」、60wt%未満のものを「×」とした。尚、ゲル分率は、当該シートを、約1gを切り取り精秤して、キシレン100ccに浸漬し110℃で24時間処理し、ろ過後残渣を乾燥し精秤して、処理前の重量で割りゲル分率を算出する。
(4)ガラスとの接着性
縦7.6cm×横2.6cm×厚み1mmのスライドガラスを用いた。
樹脂組成物とスライドガラスを接触させ、160℃で30分の条件でプレス機を用いて加熱を行った。23℃雰囲気下に、24時間放置後、ガラスから樹脂を手で剥がせる場合を「×」、剥がせない場合を「○」として評価を行った。
(5)表面状態
160℃で30分架橋した厚み0.7mmのプレスシートを150℃で100時間保管後、その表面を目視してシート状態を評価した。光安定化剤起因の黄色い斑点が表面積の3%以下であれば「○」、表面積の3%を超えれば「×」とした。
4.使用原料
(1)成分(A): エチレン・α−オレフィン共重合体
下記の<製造例1>で重合したエチレンと1−ヘキセン共重合体(PE−1)、<製造例2>で重合したエチレンと1−ブテン共重合体(PE−2)、及び市販のエチレン・α−オレフィン共重合体(PE−3:エチレン・1−オクテン共重合体、ダウ・ケミカル社製 ENGAGE8400)を用いた。物性を表1に示す。
(2)有機過酸化物:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(アルケマ吉富社製、ルペロックス101)
(3)シランカップリング剤:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM503)
(4)ヒンダードアミン系光安定化剤
高分子量タイプ(ヒンダードアミン系光安定化剤):ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物(C−1)(分子量 2600〜3400、融点 130〜136℃;BASF社製、CHIMASSORB 2020FDL)
(4)紫外線吸収剤:2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン(サンケミカル社製 CYTEC UV531)
<製造例1>
(i)触媒の調製
エチレンと1−ヘキセンの共重合体を製造するための触媒は、特表平7−508545号公報に記載された方法で調製した。即ち、錯体ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ハフニウムジメチル2.0mモルに、トリペンタフルオロフェニルホウ素を上記錯体に対して等モル加え、トルエンで10リットルに希釈して触媒溶液を調製した。
(ii)重合
内容積1.5リットルの撹拌式オートクレーブ型連続反応器を用い、反応器内の圧力を130MPaに保ち、エチレンと1−ヘキセンとの混合物を1−ヘキセンの組成が75重量%となるように、40kg/時の割合で原料ガスを連続的に供給した。また、上記触媒溶液を連続的に供給し、重合温度が150℃を維持するように、その供給量を調整した。1時間あたりのポリマー生産量は、約4.3kgであった。反応終了後、1−ヘキセン含有量=24重量%、MFR=35g/10分、密度=0.880g/cm、Mz/Mn=3.7であるエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE−1)を得た。このエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE−1)の特性を表1に示す。
<製造例2>
表1に示す組成、密度、および溶融粘度となるように、製造例1における重合時のモノマー組成、重合温度を変更して重合を行った。反応終了後、1−ブテン含有量=35重量%、MFR=33g/10分、密度=0.870g/cm、Mz/Mn=3.5であるエチレン・1−ブテン共重合体(PE−2)を得た。このエチレン・1−ブテン共重合体(PE−2)の特性を表1に示す。
Figure 0005530828
(実施例1)
まず、エチレン・1−ヘキセン共重合体(PE−1)に対して、高分子量型ヒンダードアミン系光安定化剤として、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物(チバ・ジャパン社製、CHIMASSORB(登録商標) 2020FDL)を配合して、二軸押出機を用いて、次の条件で、マスタ−バッチを作製した。高分子量型ヒンダードアミン系光安定化剤の配合量は、エチレンと1−ヘキセン共重合体(PE−1)98重量%に対して、2重量%とした。
押出機:TEM35二軸押出機
設定温度:170℃(混練温度)
スクリュー回転数:170rpm
フィーダー回転数:130rpm
次に、このマスターバッチに、有機過酸化物として、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(アルケマ吉富社製、ルペロックス101)を1.5重量部、シランカップリング剤としてγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM503)を0.3重量部配合し、さらに、エチレン・1−ヘキセン共重合体(A)の残部を追加配合した。高分子量型ヒンダードアミン系光安定化剤の配合量は、エチレンと1−ヘキセンの共重合体(PE−1)100重量部に対して、0.05重量部となる。この組成物を40mmφ単軸押出機を用いて設定温度130℃、押出量(17kg/時)の条件でペレット化を行った。
得られたペレットを、160℃−0kg/cmの条件で、3分予熱した後、160℃−100kg/cmの条件で27分加圧(160℃で30分間プレス成形)し、その後、30℃に設定された冷却プレスに100kg/cmの加圧の条件で、10分間冷却することで、厚み0.7mmのシートを作製した。カレンダー成形性、シートの光線透過率、引張弾性率、耐熱性、接着性を測定、評価した。
また、別に耐熱性評価用に、150℃−0kg/cmの条件で、3分予熱した後、150℃−100kg/cmの条件で27分加圧(150℃で30分間プレス成形)し、その後、30℃に設定された冷却プレスに100kg/cmの加圧の条件で、10分間冷却することで、厚み0.7mmのシートを準備した。
評価結果を表2に示す。
(実施例2)
実施例1において、エチレンと1−ヘキセンの共重合体(PE−1)に替えて、エチレンと1−ブテンの重合体(PE−2)を用いた以外は、実施例1と同様にマスターバッチ作製、ペレット化、シート化を行い、評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例3)
実施例1において、PE−1の代わりに、PE−3(エチレン・1−オクテン共重合体、ダウ・ケミカル社製 ENGAGE8400)を用いた以外は、実施例1と同様にマスターバッチ作製、ペレット化、シート化を行い、評価を行った。結果を表2に示す。なお、この実施例3は、参考例である。
(比較例1)
実施例1において、エチレン・1−ヘキセン共重合体に対し、高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤(C)を配合するが、他の添加剤とともにドライブレンドした以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製し、ペレット化、シート化を行い、評価を行った。
(比較例2)
比較例1において、エチレンと1−ヘキセンの共重合体(PE−1)に替えて、エチレンと1−ブテンの重合体(PE−2)を用いた以外は、実施例1と同様にペレット化、シート化を行い、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例3)
実施例1において、シランカップリング剤を用いなかった以外は、実施例1と同様にペレット化、シート化を行い、評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0005530828
「評価」
この結果、表2から明らかなように、実施例1、2では、本発明により、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)に、シランカップリング剤(B)、高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤(C)を配合する際に、高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤(C)をマスターバッチで供給して製造した樹脂組成物を用いているために、これを押出成形して得られたシートは、光線透過率が大きく、柔軟性に優れ、耐熱性、ガラスに対する接着性、耐候性も優れ、剛性と架橋効率のバランスが良い。実施例3(ただし、参考例)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の代わりに式(a)を満たさない共重合体を用いたので、実施例1、2ほどの性能は得られなかったが、ヒンダードアミン系光安定剤の分散性は良好であり、実用上問題がない。
これに対して、比較例1、2では、高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤(C)をマスターバッチで供給せず、従来のドライブレンドで製造した樹脂組成物を用いたために、得られたシートは、光安定剤の分散性が悪く、高温処理後に光安定剤起因の斑点が見られた。
また、比較例3では、シランカップリング剤を用いなかったために、得られたシートは、耐候性、耐熱性が優れているものの、接着性が小さいものとなった。
本発明の太陽電池封止材用樹脂組成物は、透明性、柔軟性、耐熱性、耐候性等が要求される太陽電池封止材として利用される。また、接着性も大きいために、薄膜太陽電池或いは基板としてガラス板を用いた太陽電池の封止材として有用であり、IC(集積回路)の封止などとしても利用できる。

Claims (8)

  1. 下記の成分(A)、成分(B)、成分(C)を含有することを特徴とする太陽電池封止材用樹脂組成物において、成分(C)をマスターバッチで供給することを特徴とする、太陽電池封止材組成物の製造方法
    成分(A):下記(a1)〜(a6)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体
    (a1)密度が0.860〜0.920g/cm
    (a2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めたZ平均分子量(Mz)と数平均分子量(Mn)との比(Mz/Mn)が8.0以下
    (a3)100℃で測定した、せん断速度が2.43×10s −1 での溶融粘度が9.0×10 poise以下
    (a4)100℃で測定した、せん断速度が2.43×10 −1 での溶融粘度が1.8×10 poise以下
    (a5)ポリマー中のコモノマーによる分岐数(N)が下記式(a)を満たす。
    式(a): N ≧ −0.67×E+53
    ( ただし、Nは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの分岐数であり、Eは、ISO1184−1983に準拠して測定した、シートの引張弾性率である。)
    (a6)フローレシオ(FR):190℃における10kg荷重でのMFR測定値であるI 10 と、190℃における2.16kg荷重でのMFR測定値であるI 2.16 との比(I 10 /I 2.16 )が7.0未満
    成分(B):シランカップリング剤
    成分(C):高分子量型ヒンダードアミン系光安定剤
  2. (a5)ポリマー中のコモノマーによる分岐数(N)が、下記式(a’)を満たすことを特徴とする請求項に記載の太陽電池封止材用樹脂組成物の製造方法。
    式(a’): −0.67×E+80 ≧ N ≧ −0.67×E+53
    ( ただし、Nは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの分岐数であり、Eは、ISO1184−1983に準拠して測定した、シートの引張弾性率である。)
  3. エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の特性(a6):フローレシオ(FR)が、5.0〜6.2であることを特徴とする請求項に記載の太陽電池封止材用樹脂組成物の製造方法。
  4. 高分子量型ヒンダードアミン系光安定化剤(C)の含有量が、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)100重量部に対して、0.01〜2.5重量部であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の太陽電池封止材用樹脂組成物の製造方法。
  5. マスターバッチの混練温度が、140〜250℃であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の太陽電池封止材用樹脂組成物の製造方法。
  6. シランカップリング剤(B)の含有量が、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)100重量部に対して、0.01〜5重量部であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の太陽電池封止材用樹脂組成物の製造方法。
  7. さらに、有機過酸化物(D)を含有し、その含有量が、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)100重量部に対して、0.2〜5重量部であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の太陽電池封止材用樹脂組成物の製造方法。
  8. エチレン・α−オレフィン共重合体が、エチレン・1−ブテン共重合体又はエチレン・1−ヘキセン共重合体であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の太陽電池封止材用樹脂組成物の製造方法。
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