JP2010255814A - 密封装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の密封装置10は、ハウジング7の内周面7aに嵌合固定された芯金20と、円環部22に対向配置されてアウトプットシャフト4に一体回転可能に固定される円環状の本体部32及びこの本体部32の外周端部から芯金20側に延びて芯金20の第二円筒部23との間でラビリンスシールを構成している外覆部33を有するスリンガ30とを備えている。芯金20には、アウトプットシャフト4の外周面に摺接する主リップ42が形成された第一シール部材40が設けられている。また、スリンガ30には、円環部22に摺接するサイドリップ54及び第二円筒部23に摺接するラジアルリップ52が形成された第二シール部材が設けられている。
【選択図】 図2
Description
上記密封装置は、図5に示すように、ハウジング100の端部に嵌合固定される芯金101と、ハウジング100の端面に対向配置されて出力軸102に固定される円環状のスリンガ103と、芯金101に設けられ出力軸102の外周面に摺接する主リップ104及び前記スリンガ103に摺接するサイドリップ105が形成されたシール部材106とを備えている。主リップ104は、その外周側に当該主リップ104を緊迫する環状のばね部材107が取り付けられており、主リップ104は、ばね部材107によって出力軸102の外周面に押圧されている。
上記密封装置は、出力軸102に固定され当該出力軸102と一体に回転するスリンガ103によって、泥水等を振り切るとともに、サイドリップ105と主リップ104とによって、出力軸102と、ハウジング100との間の環状開口を密封し、前記ケース内部に泥水や塵埃が浸入するのを防止していた(例えば、特許文献1参照)。
上記従来の密封装置を泥水に曝される過酷な環境下で使用すると、サイドリップ105が泥水に直接曝されることで早期に摩耗してしまい、それに伴って、主リップ104も早期に泥水に曝されて摩耗が生じ、早期に密封性が損なわれてしまうという問題を有していた。このように、密封装置の密封性が早期に損なわれると、泥水がケース内部に浸入したり、油洩れが発生したりして、当該トランスファ装置の寿命を低下させてしまう。
このため、泥水に直接曝されたとしても、長期に渡って密封性を維持することができる密封装置が嘱望されていた。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、泥水に直接曝されたとしても、長期に渡って密封性を維持することができる密封装置を提供することを目的とする。
この場合、芯金の第二円筒部の外周面を伝って、外覆部及び第二円筒部によるラビリンスシールを通過しようとする泥水を上記環状部によって遮断することができる。この結果、外部からの泥水の浸入をより効果的に抑制することができる。
この場合、環状突起部によって、主リップの直前において泥水の通過を阻害でき、主リップに泥水が到達するのを抑制でき、より長期に渡って密封性を維持することができる。
図1中、トランスファ装置1は、エンジン(図示せず)の駆動力を後輪側と、前輪側とに分配するための装置であり、一端部2aがエンジン側に接続されるとともに他端部2bが後輪側デファレンシャル装置(図示せず)に接続されるメインシャフト2と、動力伝達チェーン3を介してメインシャフト2の駆動力が伝達されるとともに前輪側デファレンシャル装置(図示せず)に接続されるアウトプットシャフト4と、これらを収容するトランスファケース5とを備えている。
メインシャフト2は、動力伝達チェーン3が巻き掛けられるスプロケット2cや、スプロケット2cをメインシャフト2に断続可能に接続する接続手段2d等を有している。
トランスファケース5内には、内部に収容している各部を潤滑するための潤滑油が所定量貯留されている。本実施形態のトランスファ装置1には、比較的低粘度(例えば、SAE粘度番号75W−90)の潤滑油が用いられている。
また、前記前輪側デファレンシャル装置に対しては、接続手段2dによってスプロケット2cをメインシャフト2に接続することで、当該メインシャフト2に入力される駆動力を動力伝達チェーン3を介してアウトプットシャフト4に分配する。これによって、トランスファ装置1は、アウトプットシャフト4に接続される前記前輪側デファレンシャル装置及びメインシャフト2の他端部2bに接続される前記後輪側デファレンシャル装置の双方に対して前記エンジンの駆動力を分配する。
アウトプットシャフト4は、トランスファケース5に形成されケース内外を連通するハウジング7から、フランジ部材4bがケース外部に突出するように配置されている。
密封装置10は、ハウジング7側に固定された芯金20及び第一シール部材40と、ハウジング7に対して相対回転するアウトプットシャフト4側に一体回転可能に固定されたスリンガ30及び第二シール部材50とを、互いに組み合わされることによって、互いに相対回転するアウトプットシャフト4とハウジング7との間を密封している。
なお、ここでは、軸方向においてトランスファケース5から見てケース外部側に向く方向を「軸方向外側」、ケース内部側に向く方向を「軸方向内側」ともいう。
芯金20は、SUS304やSUS430といったステンレス鋼板を用いて形成されている。このため、例えばSPCC等の冷延鋼板と比較して、耐食性に優れるとともに、材質としての硬さも高いため、後述する各リップが摺接したとしても、芯金20自体が早期に摩耗してシール性を低下させることがない。
スリンガ30と、アウトプットシャフト4との間は、円筒部31を外周面4cに外嵌固定させることで互いに密接しており、密封性を有している。
スリンガ30は、比較的加工性のよいSPCC等の冷延鋼板を用いて形成されているが、芯金20と同様にSUS304やSUS430といった耐食性の高いステンレス鋼板を用いることもできる。
ラジアルリップ52は、サイドリップ54の径方向外側に配置され、スリンガ30と芯金20との間を密封している。また、ラジアルリップ52は、基部51の外周端部から軸方向内側へ斜め外側に延びさらにその先端部が軸方向外側に向くように折り返すことで、断面ほぼC形に形成されて、第二円筒部23の内周面23aに摺接している。
上記のようにラジアルリップ52を断面ほぼC形に形成することで、ハウジング7に対するアウトプットシャフト4の偏心量が過大になったとしても、ラジアルリップ52によるアウトプットシャフト4に対する反力を低く抑えることができ、当該密封装置10の回転抵抗が増加するのを抑えることができるとともに、ラジアルリップ52が過度に摩耗するのを防止することができる。
主リップ42は、ばね部材45によって緊迫されることで、アウトプットシャフト4の外周面4cに押圧されており、芯金20と、外周面4cとの間を密封している。
前記多数のねじ条によって、主リップ42の密封性が高められる一方、補助リップ43と外周面4cとの間に隙間を設けることで、補助リップ43と主リップ42とが、前記ねじ条による負圧によって外周面4cに過度に密着して、当該密封装置10の回転抵抗を増加させてしまうのを抑制するとともに、主リップ42が過度に摩耗するのを防止することができる。
上記の点を考慮すると、第一シール部材40は、アクリルゴムを用いて形成することが好ましい。アクリルゴムを用いることで、各リップの耐熱性を高めることができることに加え、低温下における偏心追随性を高めることができるからである。
本試験に供した密封装置としては、図2に示した密封装置を本発明の実施例品として用い、比較例品としては、図5に示す密封装置を用いた。なお、実施例品及び比較例品における主リップはほぼ同様の形状とされている。また、実施例品における主リップを緊迫するばね部材の緊迫力は、比較例品におけるばね部材と比較して、30%程度低く設定されている。
そして、密封装置に外部への泥水のもれが生じるまでの時間を泥水密封時間として測定し、その泥水密封時間を実施例品と比較例品とで比較することにより耐泥水性の評価を行った。
評価対象となる密封装置は、回転軸81の外周面とハウジング82の内周面との間に設けられ、内部空間83aを密封する。
上記のように測定した回転トルク値を実施例品と比較例品とで比較することにより回転抵抗の評価を行った。
この結果より、実施例品に係る本発明の密封装置は、泥水に直接曝されたとしても、長期に渡って密封性を維持できることが確認できた。
この結果及び上記耐泥水性の試験結果より、実施例品に係る本発明の密封装置は、泥水に対して長期に渡って密封性を維持するといった耐久性を高めつつも、密封装置全体としての回転抵抗が増大化するのを抑制することができることが確認できた。
4c 外周面
7 ハウジング
7a 内周面
7b 端面
10 密封装置
20 芯金
21 第一円筒部
22 円環部
23 第二円筒部
23b 環状部
30 スリンガ
32 本体部
33 外覆部
40 第一シール部材
42 主リップ
44 環状突起部
50 第二シール部材
52 ラジアルリップ
54 サイドリップ
Claims (3)
- 回転軸とハウジングとの間に形成される環状空間に設けられ、前記回転軸と前記ハウジングとの間を密封する密封装置であって、
前記ハウジングの端部内周面に嵌合固定される第一円筒部、前記第一円筒部の一端部から径方向外側に延び前記ハウジングの端面に当接する円環部、及び前記円環部の外周端部から軸方向外側に延びる第二円筒部を有する芯金と、
前記円環部に対向配置されて前記回転軸に一体回転可能に固定される円環状の本体部、及びこの本体部の外周端部から前記芯金側に延びて前記第二円筒部の外周側を覆った状態で前記第二円筒部との間でラビリンスシールを構成している外覆部を有するスリンガと、
前記芯金の前記第一円筒部に設けられ、前記回転軸の外周面に摺接する主リップが形成された第一シール部材と、
前記スリンガの前記本体部に設けられ、前記円環部に摺接するサイドリップ及びこのサイドリップの径方向外側に配置され前記第二円筒部の内周に摺接するラジアルリップが形成された第二シール部材と、
を備えていることを特徴とする密封装置。 - 前記芯金の前記第二円筒部には、径方向外側に延びその外周端部が前記外覆部との間で前記ラビリンスシールを構成している環状部が形成されている請求項1に記載の密封装置。
- 前記第一シール部材には、前記第二シール部材側に延び、その先端部が当該第二シール部材との間でラビリンスシールを構成している環状突起部が形成されている請求項1又は2に記載の密封装置。
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