JP2010255814A - 密封装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 泥水に直接曝されたとしても、長期に渡って密封性を維持することができる密封装置を提供する。
【解決手段】 本発明の密封装置10は、ハウジング7の内周面7aに嵌合固定された芯金20と、円環部22に対向配置されてアウトプットシャフト4に一体回転可能に固定される円環状の本体部32及びこの本体部32の外周端部から芯金20側に延びて芯金20の第二円筒部23との間でラビリンスシールを構成している外覆部33を有するスリンガ30とを備えている。芯金20には、アウトプットシャフト4の外周面に摺接する主リップ42が形成された第一シール部材40が設けられている。また、スリンガ30には、円環部22に摺接するサイドリップ54及び第二円筒部23に摺接するラジアルリップ52が形成された第二シール部材が設けられている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、例えば、自動車のトランスファ装置等の出力軸部分の密封に用いられる密封装置に関する。
自動車のトランスファ装置やデファレンシャル装置等の駆動装置には、駆動機構を収容しているケース内部に泥水や塵埃が浸入するのを防止するとともにケース内部の潤滑油が外部に漏れるのを防止するために、前記ケースと、このケースに形成されたハウジングから突出して駆動力を出力する出力軸等との間に密封装置が設けられている。
上記密封装置は、図5に示すように、ハウジング100の端部に嵌合固定される芯金101と、ハウジング100の端面に対向配置されて出力軸102に固定される円環状のスリンガ103と、芯金101に設けられ出力軸102の外周面に摺接する主リップ104及び前記スリンガ103に摺接するサイドリップ105が形成されたシール部材106とを備えている。主リップ104は、その外周側に当該主リップ104を緊迫する環状のばね部材107が取り付けられており、主リップ104は、ばね部材107によって出力軸102の外周面に押圧されている。
上記密封装置は、出力軸102に固定され当該出力軸102と一体に回転するスリンガ103によって、泥水等を振り切るとともに、サイドリップ105と主リップ104とによって、出力軸102と、ハウジング100との間の環状開口を密封し、前記ケース内部に泥水や塵埃が浸入するのを防止していた(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−225064号公報
ところで、冠水した泥道を自動車が走行すると、通常、自動車の車体下側に配置されている駆動装置、特にその構成上、車体下側に突出するトランスファ装置は水没し易い。このため、トランスファ装置に用いられる上記密封装置は水没して泥水に直接曝された状態で用いられるといった、非常に過酷な環境下で使用される場合があった。
上記従来の密封装置を泥水に曝される過酷な環境下で使用すると、サイドリップ105が泥水に直接曝されることで早期に摩耗してしまい、それに伴って、主リップ104も早期に泥水に曝されて摩耗が生じ、早期に密封性が損なわれてしまうという問題を有していた。このように、密封装置の密封性が早期に損なわれると、泥水がケース内部に浸入したり、油洩れが発生したりして、当該トランスファ装置の寿命を低下させてしまう。
このため、泥水に直接曝されたとしても、長期に渡って密封性を維持することができる密封装置が嘱望されていた。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、泥水に直接曝されたとしても、長期に渡って密封性を維持することができる密封装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、回転軸とハウジングとの間に形成される環状空間に設けられ、前記回転軸と前記ハウジングとの間を密封する密封装置であって、前記ハウジングの端部内周面に嵌合固定される第一円筒部、前記第一円筒部の一端部から径方向外側に延び前記ハウジングの端面に当接する円環部、及び前記円環部の外周端部から軸方向外側に延びる第二円筒部を有する芯金と、前記円環部に対向配置されて前記回転軸に一体回転可能に固定される円環状の本体部、及びこの本体部の外周端部から前記芯金側に延びて前記第二円筒部の外周側を覆った状態で前記第二円筒部との間でラビリンスシールを構成している外覆部を有するスリンガと、前記芯金の前記第一円筒部に設けられ、前記回転軸の外周面に摺接する主リップが形成された第一シール部材と、前記スリンガの前記本体部に設けられ、前記円環部に摺接するサイドリップ及びこのサイドリップの径方向外側に配置され前記第二円筒部の内周に摺接するラジアルリップが形成された第二シール部材と、を備えていることを特徴としている。
上記のように構成された密封装置によれば、外覆部及び第二円筒部によるラビリンスシールによって、スリンガと芯金との間に、外部からの泥水が浸入するのを抑制できるのに加えて、サイドリップの径方向外側に設けたラジアルリップによって、当該サイドリップが泥水に直接的に曝されるのを防止できる。このため、サイドリップが泥水によって早期に摩耗するのを抑制することができる。さらに、外覆部及び第二円筒部によるラビリンスシールから主リップに達するまでの間の経路を、ラジアルリップ及びサイドリップによって多室に分割でき、サイドリップの早期摩耗が抑制されるのと相まって、主リップにまで早期に泥水が到達するのを効果的に抑制することができる。この結果、本発明の密封装置によれば、泥水に直接曝されたとしても、長期に渡って密封性を維持することができる。
上記密封装置において、前記芯金の前記第二円筒部には、径方向外側に延びその外周端部が前記外覆部との間で前記ラビリンスシールを構成している環状部が形成されているものであることが好ましい。
この場合、芯金の第二円筒部の外周面を伝って、外覆部及び第二円筒部によるラビリンスシールを通過しようとする泥水を上記環状部によって遮断することができる。この結果、外部からの泥水の浸入をより効果的に抑制することができる。
また、前記第一シール部材には、前記第二シール部材側に延び、その先端部が当該第二シール部材との間で僅かな間隔を置くことでラビリンスシールを構成している環状突起部が形成されているものであってもよい。
この場合、環状突起部によって、主リップの直前において泥水の通過を阻害でき、主リップに泥水が到達するのを抑制でき、より長期に渡って密封性を維持することができる。
本発明の密封装置によれば、泥水に直接曝されたとしても、長期に渡って密封性を維持することができる。
本発明の一実施形態に係る密封装置を用いた自動車用トランスファ装置を示す断面図である。 図1中、密封装置を拡大して示した断面図である。 (a)は、密封装置の耐泥水性を評価するための装置の構成を示した図、(b)は、密封装置の回転抵抗を測定評価するための装置の構成を示した図である。 (a)は、耐泥水性の試験結果を示すグラフ、(b)は、回転抵抗の試験結果を示すグラフである。 従来の密封装置の構成を示す断面図である。
次に、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る密封装置を用いた自動車用のトランスファ装置を示す断面図である。
図1中、トランスファ装置1は、エンジン(図示せず)の駆動力を後輪側と、前輪側とに分配するための装置であり、一端部2aがエンジン側に接続されるとともに他端部2bが後輪側デファレンシャル装置(図示せず)に接続されるメインシャフト2と、動力伝達チェーン3を介してメインシャフト2の駆動力が伝達されるとともに前輪側デファレンシャル装置(図示せず)に接続されるアウトプットシャフト4と、これらを収容するトランスファケース5とを備えている。
メインシャフト2は、動力伝達チェーン3が巻き掛けられるスプロケット2cや、スプロケット2cをメインシャフト2に断続可能に接続する接続手段2d等を有している。
トランスファケース5内には、内部に収容している各部を潤滑するための潤滑油が所定量貯留されている。本実施形態のトランスファ装置1には、比較的低粘度(例えば、SAE粘度番号75W−90)の潤滑油が用いられている。
トランスファ装置1は、メインシャフト2の一端部2aから入力される前記エンジンの駆動力を、他端部2bに接続される前記後輪側デファレンシャル装置に伝達する。
また、前記前輪側デファレンシャル装置に対しては、接続手段2dによってスプロケット2cをメインシャフト2に接続することで、当該メインシャフト2に入力される駆動力を動力伝達チェーン3を介してアウトプットシャフト4に分配する。これによって、トランスファ装置1は、アウトプットシャフト4に接続される前記前輪側デファレンシャル装置及びメインシャフト2の他端部2bに接続される前記後輪側デファレンシャル装置の双方に対して前記エンジンの駆動力を分配する。
また、トランスファ装置1は、当該トランスファ装置1が搭載される自動車の車体下側に配置される。さらに、トランスファ装置1は、図1のように、メインシャフト2と、アウトプットシャフト4とが、平行に配置されている。この内、メインシャフト2は、その両端がエンジン側及び後輪側に接続されるため、トランスファ装置1は、メインシャフト2が前記エンジンと後輪側デファレンシャル装置との間となるように配置される。このため、アウトプットシャフト4は、メインシャフト2よりもさらに車体下側にオフセットして配置される。従って、トランスファ装置1は、アウトプットシャフト4側が車体下側に突出するように車体に配置される。
アウトプットシャフト4は、動力伝達チェーン3が巻き掛けられたスプロケット6が設けられた本体部4aと、本体部4aの一端に固定されたフランジ部材4bとを有しており、トランスファケース5内に設けられた軸受によって回転自在に支持されている。
アウトプットシャフト4は、トランスファケース5に形成されケース内外を連通するハウジング7から、フランジ部材4bがケース外部に突出するように配置されている。
上記のように、トランスファケース5内には潤滑油が貯留されているので、この潤滑油がケース外部に漏洩するのを防止すると同時にケース内部に外部の泥水や塵埃が浸入するのを防止するために、回転軸としてのアウトプットシャフト4と、ハウジング7との間に形成される環状空間には、アウトプットシャフト4とハウジング7との間を密封する密封装置10が設けられている。
図2は、図1中、密封装置を拡大して示した断面図である。図2において、密封装置10は、ハウジング7の端部に固定された芯金20と、アウトプットシャフト4に一体回転可能に固定されたスリンガ30と、芯金20に設けられた第一シール部材40と、スリンガ30に設けられた第二シール部材50とを備えている。
密封装置10は、ハウジング7側に固定された芯金20及び第一シール部材40と、ハウジング7に対して相対回転するアウトプットシャフト4側に一体回転可能に固定されたスリンガ30及び第二シール部材50とを、互いに組み合わされることによって、互いに相対回転するアウトプットシャフト4とハウジング7との間を密封している。
芯金20は、鋼板をプレス加工することによって形成された環状の部材であり、ハウジング7の内周面7aに嵌合固定されている第一円筒部21と、この第一円筒部21の一端部から径方向外側に延びハウジング7の端面7bに当接している円環部22と、円環部22の外周端部から軸方向外側に延びる第二円筒部23とを有している。
なお、ここでは、軸方向においてトランスファケース5から見てケース外部側に向く方向を「軸方向外側」、ケース内部側に向く方向を「軸方向内側」ともいう。
芯金20と、ハウジング7との間は、第一円筒部21を内周面7aに嵌合固定されることで互いに密接しており、密封性を有している。
芯金20は、SUS304やSUS430といったステンレス鋼板を用いて形成されている。このため、例えばSPCC等の冷延鋼板と比較して、耐食性に優れるとともに、材質としての硬さも高いため、後述する各リップが摺接したとしても、芯金20自体が早期に摩耗してシール性を低下させることがない。
スリンガ30も、芯金20と同様、鋼板をプレス加工することによって形成された環状の部材であり、アウトプットシャフト4(フランジ部材4b)の外周面4cに一体回転可能に外嵌固定された円筒部31と、円筒部31から径方向外側に延び芯金20の円環部22に対向配置された円環状の本体部32と、本体部32の外周端部から芯金20側に延びて芯金20の第二円筒部23の外周側を覆う外覆部33とを有している。
スリンガ30と、アウトプットシャフト4との間は、円筒部31を外周面4cに外嵌固定させることで互いに密接しており、密封性を有している。
スリンガ30は、比較的加工性のよいSPCC等の冷延鋼板を用いて形成されているが、芯金20と同様にSUS304やSUS430といった耐食性の高いステンレス鋼板を用いることもできる。
また、芯金20の第二円筒部23の軸方向端部には、径方向外側に折り曲げられて径方向外側に延びる環状部23bが形成されており、スリンガ30の外覆部33は、環状部23bの外周端部との間で僅かな隙間を置いて、第二円筒部23の外周側を覆っている。これにより、外覆部33は、第二円筒部23の環状部23bとの間でラビリンスシールを構成している。
第二シール部材50は、合成ゴム(例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR))を用いて形成された部材であり、スリンガ30の本体部32に加硫接着されている。この第二シール部材50は、本体部32の軸方向内側に向く内側面32a及び円筒部31の外周面に沿う厚肉の基部51を有している。この基部51には、当該基部51の外周端部から軸方向内側へ径方向斜め外側に延びて芯金20の第二円筒部23の内周面23aに摺接する環状のラジアルリップ52と、基部51の側面から軸方向内側に環状に突出した突出部53と、突出部53の先端部からさらに軸方向内側に延び芯金20の円環部22の外側面22aに摺接する環状のサイドリップ54とが形成されている。
サイドリップ54は、軸方向内側へ径方向斜め外側に延びて円環部22の外側面22aに摺接しており、スリンガ30と芯金20との間を密封している。
ラジアルリップ52は、サイドリップ54の径方向外側に配置され、スリンガ30と芯金20との間を密封している。また、ラジアルリップ52は、基部51の外周端部から軸方向内側へ斜め外側に延びさらにその先端部が軸方向外側に向くように折り返すことで、断面ほぼC形に形成されて、第二円筒部23の内周面23aに摺接している。
上記のようにラジアルリップ52を断面ほぼC形に形成することで、ハウジング7に対するアウトプットシャフト4の偏心量が過大になったとしても、ラジアルリップ52によるアウトプットシャフト4に対する反力を低く抑えることができ、当該密封装置10の回転抵抗が増加するのを抑えることができるとともに、ラジアルリップ52が過度に摩耗するのを防止することができる。
また、第二シール部材50のラジアルリップ52及びサイドリップ54は、径方向に並べて配置されることで、スリンガ30と芯金20との間の空間を多室に分割している。
第一シール部材40も、第二シール部材50と同様、合成ゴムを用いて形成された部材であり、芯金20の第一円筒部21から径方向内側に延びる環状の固定部24に加硫接着されている。第一シール部材40は、固定部24の内側側面に沿う基部41を有している。基部41には、固定部24の先端側から軸方向内側に延びてアウトプットシャフト4の外周面4cに摺接する環状の主リップ42と、固定部24の先端側から軸方向斜め外側に延びてアウトプットシャフト4の外周面4cと隙間を形成する環状の補助リップ43と、固定部24から軸方向外側(第二シール部材50側)に延びる環状突起部44とが形成されている。
主リップ42の外周面側には、周溝42aが形成されており、この周溝42aには、主リップ42を外周側から緊迫している環状のばね部材45が装着されている。
主リップ42は、ばね部材45によって緊迫されることで、アウトプットシャフト4の外周面4cに押圧されており、芯金20と、外周面4cとの間を密封している。
なお、主リップ42の補助リップ43側の内周面に、主リップ42の密封性を高めるための多数のねじ条を形成してもよく、この場合、補助リップ43は、アウトプットシャフト4が静止状態において、当該アウトプットシャフト4の外周面4cとの間に隙間をおいて形成することが好ましい。
前記多数のねじ条によって、主リップ42の密封性が高められる一方、補助リップ43と外周面4cとの間に隙間を設けることで、補助リップ43と主リップ42とが、前記ねじ条による負圧によって外周面4cに過度に密着して、当該密封装置10の回転抵抗を増加させてしまうのを抑制するとともに、主リップ42が過度に摩耗するのを防止することができる。
また、第一シール部材40に形成された主リップ42は、相手部材に対して、比較的高い速度で摺接するため、その摩擦によって生じる熱によって劣化するおそれがある。また、トランスファ装置1に用いられる潤滑油は、比較的低粘度であるため、低温下でリップの偏心追随性が低下すると当該リップから潤滑油が漏れ易くなるおそれがある。
上記の点を考慮すると、第一シール部材40は、アクリルゴムを用いて形成することが好ましい。アクリルゴムを用いることで、各リップの耐熱性を高めることができることに加え、低温下における偏心追随性を高めることができるからである。
環状突起部44は、先端部44aが、第二シール部材50の突出部53の内周面53a及びその径方向内側の側壁面53bとの間で僅かな隙間となるように形成されており、突出部53と環状突起部44とは、ラビリンスシールを構成している。
また、第一シール部材40の基部41の外周側には、ハウジング7の内周面7aに沿って形成され、内周面7aに密接している密接部46が形成されている。この密接部46は、内周面7aに密接することで、ハウジング7の内周面7aと、芯金20の第一円筒部21との間における嵌合による密封性が低下したとしても、ケース内部に泥水が浸入したり、ケース内部の潤滑油が外部に漏洩したりするのを防止することができる。
上記構成の密封装置10が用いられているトランスファ装置1は、上述したように、その構造上、アウトプットシャフト4側が車体下側に突出するように車体に配置される。このため、例えば、当該トランスファ装置1が搭載された自動車が、頻繁に道路が冠水するような環境の地域で用いられる場合、トランスファ装置1のアウトプットシャフト4側が、泥水に水没し易い。このため、アウトプットシャフト4と、トランスファケース5(ハウジング7)との間を密封する上記密封装置10は、水没して泥水に直接曝された状態で用いられるといった、非常に過酷な環境下で使用される場合があった。
この点、本実施形態の密封装置10によれば、スリンガ30が芯金20の第二円筒部23との間でラビリンスシールを構成する外覆部33を有するとともに、アウトプットシャフト4に一体回転可能固定されるスリンガ30に設けられ、芯金20の円環部22に摺接するサイドリップ54及びこのサイドリップ54の径方向外側に配置され第二円筒部23に摺接するラジアルリップ52が形成された第二シール部材50を有しているので、以下の作用効果を奏する。
すなわち、外覆部33及び第二円筒部23によるラビリンスシールによって、スリンガ30と芯金20との間に、外部からの泥水が浸入するのを抑制できるのに加えて、サイドリップ54の径方向外側に設けたラジアルリップ52によって、当該サイドリップ54が泥水に直接的に曝されるのを防止できる。このため、サイドリップ54が泥水によって早期に摩耗するのを抑制することができる。さらに、外覆部33及び第二円筒部23によるラビリンスシールから主リップ42に達するまでの間の経路を、ラジアルリップ52及びサイドリップ54によって多室に分割でき、サイドリップ54の早期摩耗が抑制されるのと相まって、主リップ42にまで早期に泥水が到達するのを効果的に抑制することができる。この結果、本実施形態の密封装置10によれば、泥水に直接曝されたとしても、長期に渡って密封性を維持することができる。
また、上記実施形態において、芯金20の第二円筒部23には、径方向外側に延びその外周端部が外覆部33との間でラビリンスシールを構成している環状部23bが形成されているので、第二円筒部23の外周面を伝って、外覆部33及び第二円筒部23によるラビリンスシールを通過しようとする泥水を環状部23bによって遮断することができる。この結果、スリンガ30と芯金20との間に、外部からの泥水が浸入するのをより効果的に抑制することができる。
また、上記実施形態において、第一シール部材40には、第二シール部材50側に延び、その先端部44aが当該第二シール部材50の内周面53a及び下側面53bとの間でラビリンスシールを構成している環状突起部44が形成されているので、主リップ42の直前において泥水の通過を阻害でき、主リップ42に泥水が到達するのを抑制でき、より長期に渡って密封性を維持することができる。
なお、本実施形態の密封装置10は、ハウジング7側と、アウトプットシャフト4側との間を密封するために、ラジアルリップ52、サイドリップ54、及び主リップ42を有しているが、これらは他の被摺接部材に対して摺接する部材である。このようなリップを多数有する場合、密封装置10における、芯金20側とスリンガ30側とを相対回転させたときの回転抵抗が増大化し、トランスファ装置1の動力伝達能力を低下させてしまうことが懸念される。
この点、本実施形態の密封装置10によれば、サイドリップ54は、径方向斜め外側に延びるように形成されているとともに、アウトプットシャフト4と一体回転するスリンガ30に設けられているので、トランスファ装置1が動力を伝達し、アウトプットシャフト4が回転すれば、サイドリップ54もそれに伴って回転する。これにより、サイドリップ54には、その回転に伴う遠心力によって、径方向外側に開くように円環部22から離間しようとする力が作用するので、サイドリップ54が円環部22に摺接することによる回転抵抗は低下する。
また、本実施形態の密封装置10は、ばね部材45の緊迫力を比較的低く設定することで、主リップ42のアウトプットシャフト4に対する押圧力を適度に低くし、主リップ42による回転抵抗を低下させることもできる。
以上のように、本実施形態の密封装置10によれば、泥水に対して長期に渡って密封性を維持するといった耐久性を高めつつも、密封装置全体としての回転抵抗が増大化するのを抑制することができる。
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、トランスファ装置1のアウトプットシャフト4と、ハウジング7との間を密封する密封装置に本発明を適用した場合を例示したが、本発明は、メインシャフト2の両端側と、トランスファケース5との間を密封する密封装置に適用することもできるし、デファレンシャル装置のインプットシャフトやアウトプットシャフトと、デファレンシャルケースとの間を密封する密封装置に適用することもできる。
次に、本発明者らが行った、本発明の密封装置における、耐泥水性及び回転抵抗についての評価試験の試験結果について説明する。
本試験に供した密封装置としては、図2に示した密封装置を本発明の実施例品として用い、比較例品としては、図5に示す密封装置を用いた。なお、実施例品及び比較例品における主リップはほぼ同様の形状とされている。また、実施例品における主リップを緊迫するばね部材の緊迫力は、比較例品におけるばね部材と比較して、30%程度低く設定されている。
密封装置の耐泥水性は、図3(a)に示す耐泥水性試験機を用いて評価を行った。図3(a)中、耐泥水性試験機70は、内部に泥水を貯留する泥水槽71と、先端部が泥水槽71側面の開口71aから当該泥水槽71の内部に差し込まれている回転軸72と、回転軸72の先端部に一体回転可能に固定された泥水撹拌用の撹拌羽根73とを備えている。評価対象となる密封装置は、回転軸72の外周面と、泥水槽71の開口71aとの間に設けられ、回転軸72と泥水槽71との間を密封する。
耐泥水性試験機70による試験方法としては、所定の混合比で水と試験用ダスト(JIS規格品)とを混合した泥水を、液面高さが回転軸72の軸中心となるように、密封された泥水槽71に貯留し、回転軸72を回転させる(回転速度1500回転/分)。これによって、泥水槽71内の泥水を撹拌羽根73によって撹拌しつつ、回転状態にある回転軸72を密封する密封装置を泥水に直接的に曝すことができる。
そして、密封装置に外部への泥水のもれが生じるまでの時間を泥水密封時間として測定し、その泥水密封時間を実施例品と比較例品とで比較することにより耐泥水性の評価を行った。
また、密封装置の回転抵抗は、図3(b)に示す回転抵抗測定機を用いて評価を行った。図3(b)中、回転抵抗測定機80は、回転軸81と、回転軸81の外周側に配置されたハウジング82と、ハウジング82を保持する保持部材83と、保持部材83に固定され回転軸81と同心に延びる軸部84と、軸部84を回転軸81と同心に回転自在に支持する支持部85と、軸部84に作用する回転トルクを測定するためのロードセル86とを備えている。ハウジング82及び保持部材83は、軸部84を支持する支持部85によって、回転軸81と同心に回転自在に支持されている。保持部材83の内部空間83aには、上述の比較的低粘度の潤滑油(油温80℃)が、所定量貯留される。
評価対象となる密封装置は、回転軸81の外周面とハウジング82の内周面との間に設けられ、内部空間83aを密封する。
回転抵抗測定機80による試験方法としては、回転軸81を回転させたときに軸部84に作用する回転トルク値を測定することによって行う。すなわち、回転軸81を回転させると、ハウジング82及び保持部材83は、前記密封装置の回転抵抗によって従動回転する。従って、軸部84に作用する回転トルクをロードセル86によって測定することによって、前記密封装置の回転抵抗を回転トルク値として測定することができる。なお、ロードセル86によって測定される回転トルク値は、保持部材83や軸部84等の重量による影響も含んでいるので、それらの影響を排除した補正値を、前記密封装置の回転抵抗としての回転トルク値として測定した。また、回転軸81の回転数は、500〜7000回転/分の範囲で設定し、この回転数の範囲における密封装置の回転トルク値を測定した。
上記のように測定した回転トルク値を実施例品と比較例品とで比較することにより回転抵抗の評価を行った。
図4(a)は、耐泥水性の試験結果を示すグラフである。図において、比較例品では、泥水密封時間は約100時間であったのに対し、実施例品では、約1400時間であり、実施例品の耐泥水性が飛躍的に向上していることが判った。
この結果より、実施例品に係る本発明の密封装置は、泥水に直接曝されたとしても、長期に渡って密封性を維持できることが確認できた。
図4(b)は、回転抵抗の試験結果を示すグラフである。図において、比較例品の回転トルク値と、実施例品の回転トルク値とを比較すると、測定を行った回転数全域に亘って、実施例品の方が低い値となっており、実施例品の回転抵抗が低減されていることが判った。
この結果及び上記耐泥水性の試験結果より、実施例品に係る本発明の密封装置は、泥水に対して長期に渡って密封性を維持するといった耐久性を高めつつも、密封装置全体としての回転抵抗が増大化するのを抑制することができることが確認できた。
4 アウトプットシャフト(回転軸)
4c 外周面
7 ハウジング
7a 内周面
7b 端面
10 密封装置
20 芯金
21 第一円筒部
22 円環部
23 第二円筒部
23b 環状部
30 スリンガ
32 本体部
33 外覆部
40 第一シール部材
42 主リップ
44 環状突起部
50 第二シール部材
52 ラジアルリップ
54 サイドリップ

Claims (3)

  1. 回転軸とハウジングとの間に形成される環状空間に設けられ、前記回転軸と前記ハウジングとの間を密封する密封装置であって、
    前記ハウジングの端部内周面に嵌合固定される第一円筒部、前記第一円筒部の一端部から径方向外側に延び前記ハウジングの端面に当接する円環部、及び前記円環部の外周端部から軸方向外側に延びる第二円筒部を有する芯金と、
    前記円環部に対向配置されて前記回転軸に一体回転可能に固定される円環状の本体部、及びこの本体部の外周端部から前記芯金側に延びて前記第二円筒部の外周側を覆った状態で前記第二円筒部との間でラビリンスシールを構成している外覆部を有するスリンガと、
    前記芯金の前記第一円筒部に設けられ、前記回転軸の外周面に摺接する主リップが形成された第一シール部材と、
    前記スリンガの前記本体部に設けられ、前記円環部に摺接するサイドリップ及びこのサイドリップの径方向外側に配置され前記第二円筒部の内周に摺接するラジアルリップが形成された第二シール部材と、
    を備えていることを特徴とする密封装置。
  2. 前記芯金の前記第二円筒部には、径方向外側に延びその外周端部が前記外覆部との間で前記ラビリンスシールを構成している環状部が形成されている請求項1に記載の密封装置。
  3. 前記第一シール部材には、前記第二シール部材側に延び、その先端部が当該第二シール部材との間でラビリンスシールを構成している環状突起部が形成されている請求項1又は2に記載の密封装置。
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