JP2010255643A - 等速自在継手用ブーツ、ステアリング装置用等速自在継手、およびステアリング装置 - Google Patents
等速自在継手用ブーツ、ステアリング装置用等速自在継手、およびステアリング装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】低コストで且つ引き裂きに強い等速自在継手用ブーツ、低コストで耐久性に優れたステアリング装置用等速自在継手及びステアリング装置を提供する。
【解決手段】等速自在継手の外側継手部材と、等速自在継手の内側継手部材から延びるシャフト2との間に装着される等速自在継手用ブーツ60である。熱可塑性エラストマーからなる。熱可塑性エラストマーは、ポリエステル系熱可塑性エラストマー50〜80重量部とアクリルゴム50〜20重量部を動的架橋がなされる混錬にて成形されている。
【選択図】図1
【解決手段】等速自在継手の外側継手部材と、等速自在継手の内側継手部材から延びるシャフト2との間に装着される等速自在継手用ブーツ60である。熱可塑性エラストマーからなる。熱可塑性エラストマーは、ポリエステル系熱可塑性エラストマー50〜80重量部とアクリルゴム50〜20重量部を動的架橋がなされる混錬にて成形されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、等速自在継手用ブーツ、ステアリング装置用等速自在継手、およびステアリング装置に関する。
車両のコンパクト化及び設計自由度の向上のために、ステアリング用軸継手として固定型等速自在継手が採用される傾向にある。このように、固定型等速自在継手を用いれば、任意の作動角で等速性を確保することができるので、車両の設計自由度が増す利点がある。
固定型等速自在継手は、一般には、球状内面に複数の曲線状のトラック溝を有する外側継手部材と、球状外面に複数の曲線状のトラック溝を有する内側継手部材と、外側継手部材および内側継手部材のトラック溝間に組み込まれたボールと、ボールを保持する保持器とで構成される。
すなわち、このような固定型等速自在継手では、駆動側と従動側で連結すべき二軸のうち、一方の軸部材が内側継手部材に連結され、他方の軸部材が外側継手部材に連結されて前述の二軸が作動角をとっても等速で回転トルクを伝達し得る構造を具備する。
この種の等速自在継手では、潤滑剤としてグリースが封入されており、そのグリースが外部へ漏洩したり、あるいは、外部から継手内部へ水やダスト等の異物が侵入したりすることを防止する目的から、等速自在継手の外側継手部材と軸部材との間に密封用ブーツを装着するのが一般的である。
このブーツは、等速自在継手の外側継手部材の外周に嵌着される大径部と、内側継手部材に連結された軸部材の外周に嵌着される小径部と、前記大径部と小径部の間の蛇腹状のベロー部からなる。ブーツの大径部と小径部とは、円筒状のブーツ取り付け部位として、等速自在継手および軸部材の外周に嵌着された後、金属製のブーツバンドで締め付けられて気密的に固定される。
ところで、ステアリング用等速自在継手に求められる特性として、操作性向上のための回転抵抗の低下、常用高角度のための屈曲耐久性、エンジン周りに配置された際の高温耐久性、また、低温時にもスムースな回転をすることができる低温特性等が挙げられる。
そこで、従来では、これらの特性を確保するために、形状や肉厚で対策したもの(特許文献1)、また、材料の面からは低硬度であるシリコーンゴムやクロロプレンゴムを用いることが提案されている(特許文献2)。
特許文献1に記載のものでは、形状が特殊であり、種々のサイズへの対応性に劣るとともに、生産性に劣ることになっていた。特許文献2に記載のように、シリコーンゴムやクロロプレンゴムを用いた場合、シリコーンゴムでは、耐熱性及び低温特性にも優れているが、引き裂き強度が小さい欠点がある。また、クロロプレンゴムでは耐熱性が足りずエンジン周りの配置設計には不適である。
そこで、本発明は斯かる実情に鑑み、低コストで且つ引き裂きに強い等速自在継手用ブーツ、低コストで耐久性に優れたステアリング装置用等速自在継手及びステアリング装置を提供するものである。
本発明の等速自在継手用ブーツは、等速自在継手の外側継手部材と、等速自在継手の内側継手部材から延びるシャフトとの間に装着される等速自在継手用ブーツであって、熱可塑性エラストマーからなり、この熱可塑性エラストマーは、ポリエステル系熱可塑性エラストマー50〜80重量部とアクリルゴム50〜20重量部を動的架橋がなされる混錬にて成形されているものである。
本発明の等速自在継手用ブーツによれば、ポリエステルエラストマーが有する耐油性を損なうことなく、柔軟性と耐熱特性が改良された熱可塑性エラストマー組成物を構成することができる。
低温脆化温度が−40℃以下であるのが好ましい。ここで、脆化温度とはプラスチックを低温に冷却すると強度が低下して、材質が脆くなる時の温度である。このため、低温脆化温度が−40℃以下であれば、低温特性に優れたブーツとなる。
JIS K 6253デュロメータ硬さAタイプによる硬さが25℃で55〜90であるのが好ましい。
エアーで成形品を膨張させて脱型を行う射出成形にて成形されたものであっても、ダイレクトブロー成形法にて成形されたものであっても、プレスブロー成形法にて成形されたものであっても、インジェクションブロー成形法にて成形されたものであってもよい。
ダイレクトブロー成形法とは、成形材料を加熱熔融させてチューブ状に押し出し、金型で挟み、内部に空気を吹き込んで中空品を成形する方法である。プレスブロー成形法とは、下方からプランジャと呼ばれる棒状の金型で突き上げてパリソン(筒状の成型材料)を成形する方法である。インジェクションブローとは、まず射出成形によって有底のパリソンを成形し、このパリソンが軟化状態でコア(射出成形の雄金型)に付けたままでブロー成形金型に移行させ、コアから圧気を送り込んで中空成形品を成形する方法である。
本発明のステアリング装置用等速自在継手は、前記等速自在継手用ブーツを装着したものである。また、本発明のステアリング装置は、前記ステアリング装置用等速自在継手を用いたものである。
本発明の等速自在継手用ブーツでは、ポリエステルエラストマーが有する耐油性を損なうことなく、柔軟性と耐熱特性が改良された熱可塑性エラストマー組成物を構成することができる。このため、本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物を用いて製造したステアリングブーツは、強度、耐熱性、耐候性、耐寒性、耐グリース性などの基本特性や耐疲労特性、耐摩耗性などの実用性能に優れる。
このため、本発明の等速自在継手用ブーツは、高温雰囲気下(例えば、−40℃〜140℃)という厳しい条件下であっても使用することができ、従来の材料であるクロロプレンゴムやシリコンゴムからなるブーツの欠点を改良した新しいステアリング装置用ブーツとなる。このため、このようなブーツを用いたステアリング用等速自在継手は、操作性向上のための回転抵抗の低下、常用高角度のための屈曲耐久性、エンジン周りに配置された際の高温耐久性、低温時にもスムースな回転をすることができる低温特性等を具備することになる。このため、このようなステアリング用等速自在継手を用いたステアリング装置は、ステアリング装置として高品質な製品となる。
また、本発明での熱可塑性エラストマーとしては、低温脆化温度が−40℃以下であれば、低温特性に優れ、低温時の起動トルクや回転抵抗を小さくすることができる。JIS
K 6253デュロメータ硬さAタイプによる硬さが25℃で55〜90であれば、高速回転性に優れた状態で、疲労性と摩耗性も有利となる。
K 6253デュロメータ硬さAタイプによる硬さが25℃で55〜90であれば、高速回転性に優れた状態で、疲労性と摩耗性も有利となる。
本発明の等速自在継手用ブーツは、射出成形、ダイレクトブロー成形法、プレスブロー成形法、インジェクションブロー成形法等の種々の成形法によって成形できる。このため、成形装置を別途特殊な構成とする必要がなく、前記ブーツを確実に成形できる。
本発明に係る固定型等速自在継手の実施形態を詳述する。以下の実施形態では、ステアリング用固定型等速自在継手の一種であるツェッパ型(BJ)に適用した場合を例示するが、本発明はこれに限定されることなく、アンダーカットフリー型(UJ)にも適用可能である。また、本発明の固定型等速自在継手は、ステアリング用に限らず、ドライブシャフト用あるいはプロペラシャフト用としても使用することが可能である。
まず、固定型等速自在継手が組み込まれるステアリング装置を簡単に説明する。ステアリング装置は、図3(A)(B)(C)に示すようにステアリングホイール6の回転運動を、一または複数のステアリングシャフト2からなるステアリングコラムを介してステアリングギヤ8に伝達することにより、タイロッド9の往復運動に変換するようにしたものである。車載スペース等との兼ね合いでステアリングシャフト2を一直線に配置できない場合は、ステアリングシャフト2間に一または複数の軸継手1を配置し、ステアリングシャフト2を屈曲させた状態でもステアリングギヤ8に正確な回転運動を伝達できるようにしている。この軸継手1に固定型等速自在継手を使用する。図3(B)における符号αは継手の折り曲げ角度を表しており、折り曲げ角度αが30°を越える大角度も設定可能である。
次に固定型等速自在継手について説明する。この固定型等速自在継手1はツェッパ型ジョイント(BJ)で、図1に示すように外側継手部材としての外輪10と、内側継手部材を構成する内輪20と、トルクを伝達するボール30と、ボール30を支持する保持器40を主要な構成要素として成り立っている。外輪10は入力軸または出力軸と接続し、内輪20は出力軸または入力軸と接続する。この実施形態では、内輪20の孔部21の内径面に雌スプライン25が形成され、シャフト2が内輪20の孔部21に圧入により嵌入されることによって、シャフト2の端部の雄スプライン2bが前記雌スプライン25に圧入嵌合する。なお、雄スプライン2bのカップ部奥側の端部には周方向溝2dが形成され、この周方向溝2dに止め輪26が装着されている。これによって、シャフト2の抜け止めがなされている。
外輪10は、一端にて開口したカップ部10aと、このカップ部10aの底部11から突設される軸部10bとからなり、カップ部10aの内径面12の円周方向等配位置に、軸方向に延びるトラック溝14が形成されている。また、内輪20は、外径面22の円周方向等配位置に、軸方向に延びるトラック溝24が形成されている。外輪10のトラック溝14と内輪20のトラック溝24とは対をなして軸方向の一方から他方へ楔状に拡がるボールトラックを形成し、各ボールトラックに一個のボール30がそれぞれ組み込んである。保持器40は外輪10の内径面12と内輪20の外径面22との間に摺動自在に介在し、各ボール30は保持器40のポケット46に収容されて円周方向で等間隔に保持されている。
保持器40の外径面42は外輪10の内径面12と球面嵌合し、保持器40の内径面44は内輪20の外径面22と球面嵌合している。そして、外輪10の内径面12の中心と、内輪20の外径面22の中心は継手中心Oと一致している。これに対して、外輪10のトラック溝14の中心O1と、内輪20のトラック溝24の中心O2は、軸方向で、互いに逆方向に等距離だけオフセットしている。このため、一対のトラック溝14,24により形成されるボールトラックは、外輪10の奥部側から開口側に向かって拡がる楔状を呈している。
この等速自在継手では、図2に示すようにシャフト2の軸端にプランジャユニット50を取り付けている。このプランジャユニット50は、先端に押圧部52を有する押圧部材としてのボール53、弾性部材としての圧縮コイルばね54、ボール53と圧縮コイルばね54を収容するケース55からなるアッセンブリ体である。この圧縮コイルばね54は、ボール53を外輪10の奥部側(ボール突出方向)へ押圧する弾性力の発生源としている。
また、ケース55は、底壁65と、円筒体からなる周壁66と、この周壁66の開口端縁部に外径側へ張り出したフランジ64とを備える。なお、フランジ64は、このプランジャユニット50をシャフト2の軸端に取り付けた際にプランジャユニット50の位置決めとなる。また、周壁66の開口端縁部に内径側へ突出する係止部(図示省略)を設けることにより、ボール53の突出を規制する。これによって、押圧部52がケース55の先端開口部に配設されることになる。前記のように構成されたプランジャユニット50は、シャフト2の凹陥部2aに圧入することになる。
そして、この固定型等速自在継手では、図1に示すように、保持器40の外輪10奥側端部には受け部材56を取り付けている。この受け部材56は、保持器40の端部開口を覆う蓋状をなし、カップ部奥側が凸状となる湾曲板からなる球面部56aとその外周に環状に形成された取付け部56bとで構成される。球面部56aの内面(シャフト2と対向する面)は凹球面で、この凹球面は押圧部52からの押圧力を受ける受け部58として機能する。取付け部56bは、球面部56aの外径端から外径側へ延びる平板リング部57と、この平板リング部57から軸方向に延びる短円筒部59とからなる。また、保持器40の内径面44のカップ部奥側端部に嵌合用円筒部47が設けられ、この嵌合用円筒部47に取付け部56bが圧入嵌合する。すなわち、取付け部56bの短円筒部59が保持器40の嵌合用円筒部47に圧入状態で嵌め合い、取付け部56bの平板リング部57が保持器40のカップ部奥側端部の内鍔部48に当接することにより軸方向に係止される。
この等速自在継手のシャフト2が作動角をとった際に、プランジャユニット50の押圧部52と受け部材56の受け部58間をスムーズに摺動させるため、凹球面状の受け部58の内径寸法(受け部材56を構成する湾曲板の内面の曲率半径)Roは、押圧部52を有するボール53の外径寸法(ボールの半径寸法)rよりも大きくする(Ro>r)。また、作動角をとった際の受け部材56と内輪20との干渉を防止するため、受け部58の内径寸法Roは、内輪20の外径面22の外径寸法(曲率半径)Riよりも大きくする(Ro>Ri)。
このように、受け部材56と、押圧部材であるボール53とを弾性的に当接させることができて、トラック間の隙間(アキシャル隙間)を詰めることができる。このため、前記プランジャユニット50と受け部材56とでアキシャル隙間詰め機構Mを構成している。このようにアキシャル隙間詰め機構Mを設けることによって、ボール30を介したトラック間の隙間(アキシャル隙間)を詰めることができる。これによって、回転バックラッシュを防止でき、信頼性の高い等速自在継手を提供できる。
外輪10と、内輪20から延びるシャフト2との間に等速自在継手用ブーツ60が装着される。等速自在継手用ブーツ60は、大径部60aと、小径部60bと、大径部60aと小径部60bとを連結する蛇腹部60cとからなる。
外輪10のカップ部10aの外径面71には、ブーツ装着用の凹溝72を有するブーツ装着部73が設けられている。また、この凹溝72に大径部60aの内径側の凸部74が嵌合する。この場合、大径部60aの外径面にバンド嵌合用の凹溝部75が設けられて、この凹溝部75にブーツバンド76が嵌合される。そして、このブーツバンド76の締め付けによって、この大径部60aを外輪10に固定することができる。
また、シャフト2には、ブーツ装着用の凹溝77を有するブーツ装着部78が設けられている。また、この凹溝77に小径部60bの内径側の凸部79が嵌合する。この場合、小径部60bの外径面にバンド嵌合用の凹溝部80が設けられて、この凹溝部80にブーツバンド81が嵌合される。そして、このブーツバンド81の締め付けによって、この小径部60bをシャフト2に固定することがきる。
等速自在継手用ブーツ60は、熱可塑性ポリエステルエラストマー50〜80重量%とゴム50〜20重量%を、混練中に動的に架橋してなる熱可塑性エラストマーからなる。そして、このような熱可塑性エラストマーの材料を用いて、ブロー成形、プレスブロー成形、射出成形等にて成形される。
ところで、熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)は、ポリエステルブロック共重合体であり、その重合体連鎖中に、主として芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性セグメント(A−1)と、主として脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなる低融点重合体セグメント(A−2)とを有している。
ハードセグメントである高融点結晶性セグメント(A−1)の芳香族ポリエステル単位は、酸成分とグリコール成分とから形成されるが、この酸成分は実質的にテレフタール酸および/または2,6−ナフタレンジカルボン酸である。また、テレフタール酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸のほかにイソフタール酸などの他の芳香族ジカルボン酸、あるいはアジピン酸、セバチン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカンボン酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸を少量併用してもよい。
また、前記芳香族ポリエステル単位を形成するグリコール成分は、炭素数2〜12のグリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、デカンジオールなどである。なお、高融点結晶性セグメント(A−1)の融点の下限は特に限定されないが、一般的には150℃以上であり、好ましくは170℃以上、さらに好ましくは190℃以上である。
ソフトセグメントである低融点重合体セグメント(A−2)を構成する脂肪族ポリエーテル単位は、ポリアルキレングリコールで形成されるが、ポリアルキレングリコールの具体例としては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体などが挙げられ、特にポリテトラメチレングリコールが好ましい。これらのポリアルキレングリコールは、その炭素数と酸素数の比が2〜4.5のものであれば、単独ではもちろん混合物として用いることもできる。
低融点重合体セグメント(A−2)を構成するもう一つの単位である脂肪族ポリエステル単位は、主として脂肪族ジカルボン酸とグリコールからなるが、その主たる酸性分である脂肪族ジカルボン酸は、例えばコハク酸、アジピン酸、セバチン酸、デカンジカルボン酸などである。また、これら脂肪族ジカルボン酸のほかにイソフタール酸などの芳香族ジカルボン酸を少量併用してもよい。また、前記脂肪族ポリエステル単位を形成するグリコール成分は、炭素数2〜12のグリコール成分であり、その具体例としては高融点結晶性セグメント(A−1)の芳香族ポリエステル単位を形成するグリコール成分として例示したものと同様のものが挙げられる。
脂肪族ポリエステル単位は、前記脂肪族ジカルボン酸とグリコール成分とを通常の方法で重縮合せしめて得られるものであり、ホモポリエステルでも共重合ポリエステルでもよく、あるいは環状のラクトンを開環重合して得られるポリラクトン(例えばポリ−ε−カプロラクトン)でもよい。なお、低融点重合体セグメント(A−2)の融点の上限は特に限定されないが、一般的には130℃以下であり、好ましくは100℃以下である。また、低融点重合体セグメント(A−2)の分子量は、通常400〜6000である。
熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)中の高融点結晶性セグメント(A−1)と低融点重合体セグメント(A−2)との組成比は、好ましくは重量比で95/5〜5/95であり、さらに好ましくは70/30〜30/70である。また、熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)としては、軟化点が100℃以上であるものが特に好ましい。
熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)として特に好ましく用いられるポリエステルブロック共重合体は、高融点結晶性セグメント(A−1)としてポリテトラメチレンテレフタレートまたはポリトリメチレンテレフタレート−2,6−ナフタレートを用い、低融点重合体セグメント(A−2)としてポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテル、ポリテトラメチレンアジペート、ポリ−ε−カプロラクトンなどのポリエステルを用いて形成されるものである。また、ジカルボン酸やグリコールの一部としてポリカルボン酸や多官能性ヒドロキシ化合物、オキシ酸などが共重合されたものでもよい。これらの多官能性成分は、3モル%以下の範囲で共重合せしめることにより、高粘度化成分として有効に作用する。該多官能性成分としては、例えばトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、グリセリン、ペンタエリスリトール、またはこれらのエステル、酸無水物などを挙げることができる。
熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)は、通常の重合方法によって製造することができる。好適な重合方法としては、芳香族ジカルボン酸またはそのジメチルエステルと低融点セグメント形成性ジオールとを、触媒の存在下に約150〜260℃に加熱し、エステル化反応またはエステル交換反応を行い、次いで真空下に過剰の低分子ジオールを除去しつつ重縮合反応を行うことにより熱可塑性エラストマーを得る方法、あらかじめ調整した高融点ポリエステルセグメント形成性プレポリマーおよび低融点重合体セグメント形成性プレポリマーに、それらのプレポリマーの末端基と反応する2官能性の鎖延長剤を混合し、反応させたのち、系を高真空に保ち揮発成分を除去することにより熱可塑性ポリエステルエラストマーを得る方法、高重合度の高融点ポリエステルとラクトン類とを加熱混合し、ラクトンを開環重合させつつエステル交換反応させることにより熱可塑性ポリエステルエラストマーを得る方法などがある。
本発明の(B)成分であるゴムとしては、非ハロゲンジエン系ゴム、非ハロゲンジエン系ゴムの水添物、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、オレフィン系ゴム、ハロゲン系ゴム、シリコーンゴムなどが挙げられる。
前記非ハロゲンジエン系ゴムとしては、例えば天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム、ポリブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体ゴムなどが挙げられる。前記非ハロゲンジエン系ゴムの水添物としては、例えば水素化ポリブタジエン、水素化ポリイソプレン、水素化スチレン−ブタジエンランダム共重合体ゴム、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム、水素化アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体ゴム、水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体などが挙げられる。
前記水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴムとしては、以下の(b−1)、(b−2)、及び(b−3)等が挙げられる。(b−1)は、ビニル芳香族化合物重合体ブロック(イ)とビニル芳香族化合物と共役ジエンとのランダム共重合体ブロック(ロ)とからなる〔(イ)−(ロ)〕もしくは〔(イ)−(ロ)−(イ)〕ブロック共重合体、または前記ブロック(イ)と前記ブロック(ロ)およびビニル芳香族化合物と共役ジエンからなりビニル芳香族化合物が漸増するテーパーブロック(ハ)とからなる〔(イ)−(ロ)−(ハ)〕ブロック共重合体を水素添加することにより得られる、共役ジエン部分の二重結合の少なくとも80%が飽和されており、ポリスチレン換算数平均分子量が5〜60万である水添ジエン系共重合体である。(b−2)は、前記ブロック(イ)、共役ジエン重合体あるいはビニル芳香族化合物と共役ジエンとの共重合体からなり、1,2−ビニル結合含量が25〜95%であるブロック(ニ)および1,2−ビニル結合含量が20%以下である共役ジエン重合体ブロック(ホ)からなる〔(イ)−(ニ)−(ホ)〕ブロック共重合体を水素添加することにより得られる、共役ジエン部分の二重結合の少なくとも80%が飽和されており、ポリスチレン換算数平均分子量が4〜70万である水添ジエン系共重合体である。(b−3)は、前記ブロック(ニ)と前記ブロック(ホ)からなる、〔(ホ)−(ニ)−(ホ)〕または〔(ホ)−(ニ)〕m(ただし、mは2以上)で表されるブロック共重合体を水素添加することにより得られる、共役ジエン部分の二重結合の少なくとも90%が飽和されており、ポリスチレン換算数平均分子量が5万〜60万である水添ジエン系共重合体である。
なお、ここでビニル芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエステルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられるが、特に好ましくはスチレンとα−メチルスチレンである。
また、前記共役ジエンとしては1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、クロロプレンなどが挙げられるが、好ましくは1,3−ブタジエン、イソプレンおよび1,3−ペンタジエンであり、特に好ましくは1,3−ブタジエンである。
前記(b−1)は、ブロック(イ)、ブロック(ロ)および必要に応じて加えられるブロック(ハ)からなるジエン系共重合体(以下、「重合体b−1」という)を水素添加して得られる水添共役ジエン系共重合体(以下、「水添共重合体b−1」という)である。
重合体b−1中のビニル芳香族化合物と共役ジエン(ビニル芳香族化合物/共役ジエン)の割合は重量比で、通常5〜60/95〜40、好ましくは5〜40/95〜60である。また、ブロック(イ)および必要に応じて加えられるブロック(ハ)中の結合ビニル芳香族化合物量の合計は、通常全モノマーの3〜50重量%、好ましくは3〜25重量%であり、ブロック(ロ)中の共役ジエン部分におけるビニル結合含量は、通常15%以上、好ましくは30%以上である。重合体b−1の水素添加率は80重量%以上、好ましくは90重量%以上である。さらに、水添共重合体b−1のポリスチレン換算数平均分子量は5〜60万、好ましくは7〜25万である。
前記(b−2)は、ブロック(イ)、ブロック(ニ)およびブロック(ホ)からなるジエン系共重合体(以下、「重合体b−2」というを水素添加して得られる水添共役ジエン系共重合体(以下、「水添重合体b−2」という)である。重合体b−2中のブロック(イ)の含量は、通常10〜50重量%、好ましくは15〜45重量%、ブロック(ニ)の含量は、通常30〜80重量%、好ましくは35〜70重量%であり、ブロック(ホ)の含量は、通常5〜30重量%、好ましくは5〜25重量%である。なお、ブロック(ニ)の1,2−ビニル結合含量は25〜95%、好ましくは30〜60%であり、ブロック(ホ)の1,2−ビニル結合含量は20%以下、好ましくは5〜15%である。重合体b−2の水素添加率は80%以上、好ましくは90%以上であり、水添重合体b−2のポリスチレン換算数平均分子量は4〜70万、好ましくは6〜40万である。
前記(b−3)は、ブロック(ニ)とブロック(ホ)からなるジエン系共重合体(以下、「重合体b−3」という)を水素添加して得られる水添共役ジエン系重合体(以下、「水添重合体b−3」という)である。重合体b−3中のブロック(ニ)の含量は、通常10〜95重量%、好ましくは15〜90重量%であり、ブロック(ホ)の含量は、通常5〜90重量%、好ましくは10〜85重量%である。なお、ブロック(ニ)およびブロック(ホ)の1,2−ビニル結合含量は、重合体b−2の場合と同様である。重合体b−3の水素添加率は、90%以上、好ましくは95%以上であり、水添重合体b−3のポリスチレン換算数平均分子量は、5万〜60万、好ましくは10万〜40万である。
なお、これらの重合体b−1〜b−3は、カップリング剤を用いてカップリングされていてもよく、例えば〔(イ)−(ロ)〕n−X、〔(イ)−(ロ)−(ハ)〕n−X、〔(イ)−(ロ)−(イ)〕n−X(nは2〜4、Xはカップリング剤残基を示す)などで表わされるものも含まれる。
前記アクリルゴムとしては、例えばアクリル酸ブチル−アクリル酸エチル共重合体ゴムなどが挙げられる。前記エピクロルヒドリンゴムとしては、エピクロルヒドリン単独またはエピクロルヒドリンとエチレンオキサイドの共重合ゴムが挙げられる。前記オレフィン系ゴムとしては、例えばエチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴムなどが挙げられる。前記ハロゲン系ゴムとしては、クロロプレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、塩素化エチレン−プロピレンゴムなどが挙げられる。前記シリコーンゴムとしては、ジメチルポリシロキサン、メチルビニルポリシロキサン、メチルフェニルビニルポリシロキサン、トリフルオロプロピルメチルビニルポリシロキサン、メチルフェニルシリコーンなどが挙げられる。これらのほかに、いわゆる多硫化ゴム、クロロフォスファゼンゴム、ウレタンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合ゴム、ポリエチレンオキサイドゴム、フッ素ゴムなどの通称で呼ばれる合成ゴムも同様に、本発明のゴム(B)として使用することができる。
本発明において好ましいゴム(B)は、耐熱性付与の観点から特にアクリルゴムである。本発明においては、これらのゴムに官能基、例えばカルボキシ基、エポキシ基、アミノ基などを導入することによって、さらに相溶性を向上させ、機械的強度や圧縮永久歪を改良することができる。官能基の導入は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アミノ(メタ)アクリレートなどをゴム(B)を形成する他の成分とともに共重合することによって行うことができる。なお、これら官能基の導入は、(A)成分と混合する前に行ってもよいし、(A)成分と混練するときに同時に行ってもよい。本発明におけるゴム(B)の溶解パラメータ値は、通常8.0以上、好ましくは8.5以上、さらに好ましくは9.0以上である。
ゴムの溶解パラメータ値、は日本ゴム協会発行のゴム工業便覧や同協会発行の新ゴム技術入門などの文献に記載されている値を参考にすることができるが、これらの文献に記載されていないゴムに関しては、講談社発行の溶剤ハンドブックに記載されている各種の方法で測定することができる。本明細書においては、文献既知でないゴムについては、Smallにより提案された物質の分子凝集エネルギー定数から試算する簡便な方法で求めた値を目安とした。本発明においては、ゴム(B)中のゲル含量は、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上である。なお、ゲル含量は、架橋前のゴムを十分溶解できる溶剤、例えばトルエンやメチルエチルケトンなどを用いて、架橋後のゴムを溶解したときの不溶分の割合をもって算出する。
本発明の組成物における熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)の配合割合は50〜80重量%であり、ゴム(B)の配合割合は50〜20重量%である。(A)成分の配合割合が80重量%を超えると、得られる組成物の柔軟性と圧縮永久歪の向上効果が十分認められない。また(A)成分の配合割合が50重量%未満では、得られる組成物の加工性と流動性が劣る。
本発明においては、熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)とゴム(B)を単純にブレンドするだけではなく、より高い性能の組成物を得るために、動的架橋を施す。動的架橋とは、Uniroyal社のW.M.Fischerらや、Monsanto社のA.Y.Coranらにより開発された手法であり、熱可塑性樹脂のマトリックス中にゴムをブレンドし、架橋剤とともに混練りしながらゴムを高度に架橋させ、しかもそのゴムを微細に分散させるプロセスのことである。
動的架橋において使用する架橋剤としては、通常のゴムに対して使用される過酸化物、樹脂架橋剤、硫黄などの架橋剤が使用できる。架橋剤の具体例としては、例えば“架橋剤ハンドブック(山下普三、金子東助著、大成社)”に記載されている架橋剤、架橋助剤、架橋促進剤などが挙げられる。すなわち、本発明においては、イオウ系または脂肪族系の架橋剤を好ましく用いることができる。特に、架橋剤としてイオウ系または脂肪族系架橋剤を使用する場合は、組成物中のゴム(B)100重量部に対して、主たる架橋剤0.1〜8重量部、加硫促進剤0.1〜10重量部、加硫促進助剤0.5〜10重量部、活性剤0.5〜10重量部および架橋助剤0.1〜10重量部の範囲で用いる。
また、架橋剤として有機過酸化物を用いる場合は、組成物中のゴム(B)100重量部に対して有機過酸化物中の活性酸素量が0.0001〜0.3モルになるように算出して添加する。0.0001モル未満では十分な架橋が生起しない。一方、0.3モルを超えて使用しても、より以上の架橋は期待できず、経済的でないうえ、他の好ましくない副反応、例えば重合体の分解などが起こりやすくなる。
本発明における動的架橋は、各種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、あるいはこれらを組み合わせたものなどにより、前記各成分を混練することによって行われる。しかし、生産性を考慮する場合は、二軸押出機を用いて連続的に生産するのが最も好ましい。この場合、押出機の途中から可塑剤と架橋剤の添加を行う。
スクリュー長さをLとし、スクリュー直径をDとすると、L/D=30以上の長軸型の二軸押出機を使用するのが好ましい。溶解混練時に各成分を添加する方法は、本発明の(A)、(B)両成分と架橋剤を同時に添加する方法と、本発明の(A)、(B)両成分を混練したのち、途中から架橋剤を添加する方法のいずれでもよいが、本発明の(A)、(B)両成分を混練したのち架橋剤を添加する方法が好ましい。
本発明のゴム(B)は熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)中に分散混合していることが好ましく、そのときの平均粒子径は好ましくは50μm以下、さらに好ましくは10μm以下、特に好ましくは5〜0.01μm以下である。ゴム(B)の分散粒子径が大きいと良好な物性が得られない。本発明においては、電子顕微鏡で観察されるランダムな視野においてゴム粒子を100個以上測定し、その平均値を平均粒子径とする。また、球形でない粒子については円面積としたときの直径とする。
本発明のゴム(B)を熱可塑性ポリエステル(A)中に十分に分散させ、かつその界面を強化して物性をさらに向上させるために、いわゆる相溶化剤を用いることができる。相溶化剤は大きく分けると、化学反応を伴わないものと伴うものがある。前者は、通常ブロック共重合体やグラフト共重合体であり、いわゆる乳化作用を示す。後者は、末端や側鎖に官能基を有するポリマーやポリマーの末端に重合性基を有する高分子マクロマーなどである。
相溶化剤の具体例としては、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体−ポリメチルメタクリレートグラフトポリマー、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体−アクリロニトリル/スチレン共重合体グラフトポリマー、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体−ポリスチレングラフトポリマー、エチレン/エチルアクリレート共重合体−ポリメチルメタクリレートグラフトポリマー、エチレン/エチルアクリレート共重合体−ポリアクリロニトリルグラフトポリマー、エチレン/エチルアクリレート共重合体−ポリアクリロニトリルグラフトポリマー、エチレン/エチルアクリレート共重合体−ポリスチレングラフトポリマー、エチレン/酢酸ビニル共重合体−ポリメチルメタクリレートグラフトポリマー、エチレン/酢酸ビニル共重合体−ポリアクリロニトリルグラフトポリマー、エチレン/酢酸ビニル共重合体−ポリスチレングラフトポリマー、ポリプロピレン−ポリアクリロニトリルグラフトポリマー、ポリプロピレン−ポリスチレングラフトポリマー、ポリプロピレン−ポリスチレングラフトポリマー、ポリエチレン−ポリメチルメタクリレートグラフトポリマー、ポリエチレン−ポリアクリロニトリルグラフトポリマー、ポリエチレン−ポリスチレングラフトポリマー、エポキシ変性ポリスチレン−ポリメチルメタクリレートグラフトポリマー、ポリブチレンテレフタレート−ポリスチレングラフトポリマー、酸変性アクリル−ポリメチルメタクリレートグラフトポリマー、酸変性アクリル−ポリスチレングラフトポリマー、ポリスチレン−ポリメチルメタクリレートグラフトポリマー、ポリスチレン−ポリエチレングラフトポリマー、ポリスチレン−ポリブタジエングラフトポリマー、ポリスチレン−ポリアクリロニトリルブロック共重合体、ポリスチレン−ポリブチルアクリレートブロック共重合体などが挙げられる。
相溶化剤の具体例としては、日本油脂株式会社社製モデパーA1100,A3100,A4100,A5100,A6100,A1200,A4200、A5200,A6200,A1400,A3400,A4400,A5400,A6400、東亜合成化学工業株式会社社製RESEDA(登録商標名)GP100,GP200,GP300,GP400,GP500,GP700などの市販品を挙げることができる。これらを含めた相溶化剤の例は、秋山三郎著「表面」1991年Vol.29,No.1や、前田佳治ら著雑誌「高分子加工」1991年40巻4号などに記載されている。
これらの相溶化剤の中で特に好ましいものは、使用するゴム(B)の種類によっても異なるが、熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)と直接反応するエポキシ基またはカルボキシル基を有する相溶化剤である。
本発明の組成物には、柔軟性と流動性をさらに向上させるために、機械的強度などを損なわない範囲で可塑剤を添加することができる。使用することができる可塑剤としては、プロセスオイル、またはエクステングオイルと呼ばれる鉱物油系ゴム用軟化剤、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジイソノニルフタレートなどのフタル酸エステル類、トリクレジルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリス−クロロエチルホスフェート、トリス−ジクロロプロピルホスフェート、縮合リン酸エステル、トリフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、トリラウリルホスフェート、トリセチルホスフェート、トリステアリルホスフェート、トリオレイルホスフェートなどのリン酸エステル類、トリメリット酸オクチルエステル、トリメリット酸イソノニルエステル、トリメリット酸イソデシルエステルなどのトリメリット酸エステル類、ジペンタエリスリトールエステル類、ジオクチルアジペート、ジメチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジブチルジグリコールアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジオクチルアゼレート、ジオクチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、メチルアセチルリシノレートなどの脂肪酸エステル類、ピロメリット酸オクチルエステルなどのピロメリット酸エステル類、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル(例えばエポキシ化脂肪酸オクチルエステル)などのエポキシ系可塑剤、アジピン酸エーテルエステル、ポリエーテルエステル、ポリエーテルなどのポリエーテル系可塑剤などが挙げられ、これらの可塑剤は単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の組成物に前記可塑剤を添加する場合、ブリード性の面からはフタル酸エステル類、リン酸エステル類、エポキシ系可塑剤、ポリエーテル系可塑剤などが好ましく、さらに好ましくはフタル酸エステル類およびポリエーテル系可塑剤である。可塑剤の添加は、架橋剤の添加前、添加後いずれでもよく、また一部を架橋前に添加し、残りを架橋後に添加してもよい。本発明の組成物に液状アクリルゴム、液状ポリブタジエンゴムなどの液状ゴムを機械的強度を損なわない範囲で配合することにより、流動性や柔軟性をさらに向上させることができる。
本発明の組成物には、流動性や機械的強度を損なわない範囲で、充填剤、例えば炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、ケイソウ土、雲母粉、アスベスト、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、カーボンブラッック、カーボン繊維など、あるいは着色剤、例えばカーボンブラック、群青、酸化チタン、亜鉛華、べんがら、紺青、アゾ顔料、ニトロン顔料、レーキ顔料、フタロシアニン顔料などを配合することができる。
さらに、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などの各種安定剤を数種類組み合わせて添加することもできる。老化防止剤の具体例としては、フェニル−α−ナフチルアミン(PAN)、オクチルヂフェニルアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンヂアミン(DPPD),N,N′−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン(DNPD),N−(1,3−ジメチル−ブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(IPPD)、N,N′−ジアリル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン誘導体、ヂアリル−p−フェニレンジアミン混合物、アルキル化フェニレンジアミン、4,4′−α、α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、p,p−トルエンスルフォニルアミノジフェニルアミン、N−フェニル−N′−(3−メタクリロイロキシ−2−ヒドロプロピル)−p−フェニレンジアミン、ジアリルフェニレンジアミン混合物、ジアリル−p−フェニレンジアミン混合物、N−(1−メチルヘプチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン誘導体などのアミン系老化防止剤、2−メルカプトベンゾイミダゾール(MBI)、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩(ZnMBI)、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾールの亜鉛塩、トリブチルチオウレア、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾール、1,3−ビス(ジメチルアミノプロピル)−2−チオウレアなどのイミダゾール系老化防止剤、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン(DAHQ)、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン(DBHQ)、4,4′−ヒドロキシジフェニルシクロヘキサン、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)(MBMTB)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4,4′−チオ−ビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、スチレネートフェノール、2,2′−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、フェノール誘導体、ビスフェノール誘導体などのフェノール系老化防止剤、アセトンとジフェニルアミンの反応生成物(ADPAL)、ジフェニルアミンとアニリンとアセトンの反応生成物、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合体(TMDQ)、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(ETMDQ)、アミンとケトンの反応生成物、ジ−ラウリル−チオプロピオネート、ニッケルジブチル−ジチオカルバネート(NiDBC)、ニッケルジエチル−ジチオカルバメート、ニッケルジメチル−ジチオカルバメート、ニッケルジメチル−ジチオカルバメート等のジチオカルバミン酸塩系老化防止剤、トリ(ノニル化フェニル)ホスフェイトなどの老化防止剤、トリ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、トリデシルホスファイト、チオジプロピオン酸、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルβ,β−チオジブチレートなどの二次老化防止剤が挙げられる。
光安定剤や紫外線吸収剤の具体例としては、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、エチル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−ジアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、2(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2(2′−ヒドロキシ−3,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−5−クロルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2(2′−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、モノグリコールサリチレート、オキザリック酸アミド、フェニルサリチレート、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、PET、PBT、ポリアセタール、ポリアミド、エポキシ樹脂、フッ化ビニリデン、ポリスルホン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、PPS樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、PPO樹脂、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ゴム変性PPO樹脂、スチレン−マレイミド系共重合体、ゴム変形スチレン−マレイミド系共重合体などの樹脂を適宜ブレンドすることができる。
本発明で得られる熱可塑性エラストマー組成物の硬度は、好ましくは55〜90ポイント(JIS A硬度)、さらに好ましくは60〜90ポイントである。硬度が必要以上に低いと、例えば本発明の熱可塑性エラストマー組成物をブーツとして用いた場合に、温度の低下によりブーツ内圧の低下でジャバラ膜長部のかみ込みを起こしてしまう耐負圧特性が不足する。また硬度がこれ以上高いと低温時の起動トルクや回転抵抗が大きくなってしまう。
ところで、本発明に係るブーツは、前記したように、ブロー成形、プレスブロー成形、射出成形等で成形されるが、ダイレクトブロー成形法にて成形されたものであっても、インジェクションブロー成形法にて成形されたものであってもよい。また、エアーで成形品を膨張させて脱型を行う射出成形にて成形されたものであってもよい。
ダイレクトブロー成形法とは、成形材料を加熱熔融させてチューブ状に押し出し、金型で挟み、内部に空気を吹き込んで中空品を成形する方法である。プレスブロー成形法とは、下方からプランジャと呼ばれる棒状の金型で突き上げてパリソン(筒状の成型材料)を成形する方法である。インジェクションブローとは、まず射出成形によって有底のパリソンを成形し、このパリソンが軟化状態でコア(射出成形の雄金型)に付けたままでブロー成形金型に移行させ、コアから圧気を送り込んで中空成形品を成形する方法である。
なお、射出成形でブーツを製造するためには、組成物のMFR(230℃、10kg荷重下で測定した流動性)が0.1g/10分以上、好ましくは5〜100g/10分、特に好ましくは10〜100g/10分であることが望ましい。
本発明の等速自在継手用ブーツでは、ポリエステルエラストマーが有する耐油性を損なうことなく、柔軟性と耐熱特性が改良された熱可塑性エラストマー組成物を構成することができる。このため、本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物を用いて製造したステアリングブーツは、強度、耐熱性、耐候性、耐寒性、耐グリース性などの基本特性や耐疲労特性、耐摩耗性などの実用性能に優れる。このため、高温雰囲気下(例えば、−40℃〜140℃)という厳しい条件下であっても使用することができる。すなわち、本発明のブーツは、従来の材料であるクロロプレンゴムやシリコンゴムからなるブーツの欠点を改良した新しいステアリング装置用ブーツとなる。このため、このようなブーツを用いたステアリング用等速自在継手は、操作性向上のための回転抵抗の低下、常用高角度のための屈曲耐久性、エンジン周りに配置された際の高温耐久性、低温時にもスムースな回転をすることができる低温特性等を具備することになる。このため、このようなステアリング用等速自在継手を用いたステアリング装置は、ステアリング装置として高品質な製品となる。
本発明の等速自在継手用ブーツは、射出成形、ダイレクトブロー成形法、プレスブロー成形法、インジェクションブロー成形法等の種々の成形法によって成形できる。このため、成形装置を別途特殊な構成とする必要がなく、前記ブーツを確実に成形できる。
また、本発明での熱可塑性エラストマーとしては、低温脆化温度が−40℃以下であるのが好ましい。ここで、脆化温度とはプラスックを低温に冷却すると強度が低下して、材質が脆くなる時の温度である。このため、低温脆化温度が−40℃以下であれば、低温特性に優れ、低温時の起動トルクや回転抵抗を小さくすることができる。
さらに、JIS K 6253デュロメータ硬さAタイプによる硬さが25℃で55〜90であるのが好ましい。このような硬さによれば、高速回転性に優れた状態で、疲労性と摩耗性も有利となる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、等速自在継手は、ツェッパ型、バーフィールド型などのボールを用いたタイプの固定式等速自在継手や、ダブルオフセット型、トリポード型、クロスグルーブ型等の摺動式等速自在継手等の外側継手部材の軸線方向にスライドする機構を備えたタイプ等があげられる。
以下に、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例に何ら制限されるものではない。この場合、実施品1から実施品6の6種類と、比較品1から比較品3の3種類とを製作して、各実施品と比較品とに対する硬度、引張特性、低温特性、高温特性等についての評価を行った。各実施品と比較品との成分及び評価結果を次の表1に示した。
各実施品は、熱可塑性ポリエステルエラストマー(東レ・デュポン社製ポリエステルエラストマー、ハイトレル4767)とSP値(溶解パラメーター)が9.5のアクリルゴム(ACM)(ノックスタイト A−1095社ユニマテック社製)を、2軸押出機を用いて220℃にて回転数200rpmにて混練し、2軸押出機の途中から架橋剤を添加し、動的架橋を行ったのち、老化防止剤を添加してなる組成物である。
実施品1は、熱可塑性ポリエステルエラストマー50重量部とアクリルゴム(ACM)50重量部との割合であり、架橋剤としてケミノックスCL−T−R(ユニマテック社製)を組成物100重量部に対して0.5重量部、加硫促進剤としてステアリン酸ナトリウム(日本カラー工業社製)1.5重量部添加した。老化防止剤としてノクラックNBC(大内新興社製)1重量部およびイルガノックス1010(チバガイギー社製)0.2重量部を添加したものである。
実施品2は、熱可塑性ポリエステルエラストマー55重量部とアクリルゴム(ACM)45重量部との割合であり、架橋剤としてケミノックス(CL−T−R)を組成物100重量部に対して0.45重量部、加硫促進剤としてステアリン酸ナトリウム1.35重量部添加した。老化防止剤としてノクラック(NBC)1重量部およびイルガノックス(1010)0.2重量部を添加したものである。
実施品3は、熱可塑性ポリエステルエラストマー60重量部とアクリルゴム(ACM)40重量部との割合であり、架橋剤としてケミノックス(CL−T−R)を組成物100重量部に対して0.4重量部、加硫促進剤としてステアリン酸ナトリウム1.2重量部添加した。老化防止剤としてノクラック(NBC)1重量部およびイルガノックス(1010)0.2重量部を添加したものである。
実施品4は、熱可塑性ポリエステルエラストマー70重量部とアクリルゴム(ACM)30重量部との割合であり、架橋剤としてケミノックス(CL−T−R)を組成物100重量部に対して0.3重量部、加硫促進剤としてステアリン酸ナトリウム0.9重量部添加した。老化防止剤としてノクラック(NBC)1重量部およびイルガノックス(1010)0.2重量部を添加した。
実施品5は、熱可塑性ポリエステルエラストマー75重量部とアクリルゴム(ACM)25重量部との割合であり、架橋剤としてケミノックス(CL−T−R)を組成物100重量部に対して0.25重量部、加硫促進剤としてステアリン酸ナトリウム0.75重量部添加した。老化防止剤としてノクラック(NBC)1重量部およびイルガノックス(1010)0.2重量部を添加したものである。
実施品6は、熱可塑性ポリエステルエラストマー80重量部とアクリルゴム(ACM)20重量部との割合であり、架橋剤としてケミノックス(CL−T−R)を組成物100重量部に対して0.2重量部、加硫促進剤としてステアリン酸ナトリウム0.6重量部添加した。老化防止剤としてノクラック(NBC)1重量部およびイルガノックス(1010)0.2重量部を添加したものである。
比較品1は、熱可塑性ポリエステルエラストマー100重量部とし、架橋剤、加硫促進剤、及び老化防止剤を添加しないものである。
比較品2は、アクリルゴム(ACM)100重量部とし、架橋剤としてケミノックス(CL−T−R)を組成物100重量部に対して1重量部、加硫促進剤としてステアリン酸ナトリウム3重量部添加した。老化防止剤としてノクラック(NBC)1重量部およびイルガノックス(1010)0.2重量部を添加したものである。
比較品3は、熱可塑性ポリエステルエラストマー90重量部とアクリルゴム(ACM)10重量部との割合であり、架橋剤としてケミノックス(CL−T−R)を組成物100重量部に対して0.1重量部、加硫促進剤としてステアリン酸ナトリウム0.3重量部添加した。老化防止剤としてノクラック(NBC)1重量部およびイルガノックス(1010)0.2重量部を添加したものである。
各実施品と比較品とはそれぞれペレット化し、220℃で射出成形機にて厚さ2mmのシートを成形したものである。
引張特性はJIS K 6251に基づき、破断強度(TB)と破断伸び(EB)を測定したものであり、硬度(Shore A硬度)はJIS K 6253に基づき、測定したものである。
低温特性はJIS K 6261に基づき、低温衝撃脆化試験を行い、衝撃脆化温度で判断したものである。判定基準は、衝撃脆化温度が、−40℃以下を○とし、−30℃〜−40℃を△とし、−30℃以上を×とした。
高温特性はJIS K 6257に基づき、耐熱老化試験(150℃の空気雰囲気下で70時間老化)後、硬度(SHORE A)の変化率で判定した。判定基準は、硬度(SHORE A)が、±10%以内を○とし、±10〜20%を△とし、±30%以上を×とした。
表1の評価結果から分かるように、比較品1では、硬度(SHORE A)が95であり、破断強度(MPa)が21.6であり、低温特性が○であり、これらについては優れているが、破断伸び(%)が175であり、高温特性が×であり、これらについては劣っている。
比較品2では、破断伸び(%)が550であり、高温特性が○であり、これらについては優れているが、硬度(SHORE A)が20であり、破断強度(MPa)が4.2であり、これらについては劣っている。なお、低温特性は△であり、優れているとはいえない。
比較品3では、硬度(SHORE A)が93であり、破断強度(MPa)が18.3であり、破断伸び(%)が430であり、低温特性が○であり、これらについては優れているが、高温特性が×であり、これについては劣っている。
これに対して、1〜6の全ての実施品では、硬度(SHORE A)、破断強度(MPa)、破断伸び(%)、低温特性、及び高温特性の全てにおいて優れていることが分かる。
2 ステアリングシャフト
60 等速自在継手用ブーツ
60 等速自在継手用ブーツ
Claims (9)
- 等速自在継手の外側継手部材と、等速自在継手の内側継手部材から延びるシャフトとの間に装着される等速自在継手用ブーツであって、
熱可塑性エラストマーからなり、この熱可塑性エラストマーは、ポリエステル系熱可塑性エラストマー50〜80重量部とアクリルゴム50〜20重量部を動的架橋がなされる混錬にて成形されていることを特徴とする等速自在継手用ブーツ。 - 低温脆化温度が−40℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の等速自在継手用ブーツ。
- JIS K 6253デュロメータ硬さAタイプによる硬さが25℃で55〜90であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の等速自在継手用ブーツ。
- エアーで成形品を膨張させて脱型を行う射出成形にて成形されたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の等速自在継手用ブーツ。
- ダイレクトブロー成形法にて成形されたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の等速自在継手用ブーツ。
- プレスブロー成形法にて成形されたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の等速自在継手用ブーツ。
- インジェクションブロー成形法にて成形されたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の等速自在継手用ブーツ。
- 前記請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の等速自在継手用ブーツを装着したことを特徴とするステアリング装置用等速自在継手。
- 前記請求項8に記載のステアリング装置用等速自在継手を用いたことを特徴とするステアリング装置。
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JP2013190042A (ja) * | 2012-03-14 | 2013-09-26 | Ntn Corp | 等速自在継手用ブーツ |
JP2016176024A (ja) * | 2015-03-20 | 2016-10-06 | アロン化成株式会社 | 熱可塑性エラストマー組成物 |
-
2009
- 2009-04-21 JP JP2009102855A patent/JP2010255643A/ja not_active Withdrawn
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