JP2010254682A - 抗フィブロネクチンフラグメントモノクローナル抗体 - Google Patents

抗フィブロネクチンフラグメントモノクローナル抗体 Download PDF

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Abstract

【課題】操作が簡便で、かつ測定精度、特異性、再現性に優れたフィブロネクチンフラグメントの測定手段を提供すること。
【解決手段】ヒトフィブロネクチンフラグメントと反応し、ヒトフィブロネクチンと反応しないことを特徴とする抗フィブロネクチンフラグメントモノクローナル抗体、当該モノクローナル抗体を含有する測定試薬、当該モノクローナル抗体を使用するフィブロネクチンフラグメントの測定方法、当該モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ。
【選択図】なし

Description

本発明は、ヒトフィブロネクチンフラグメントに対して特異性を有する抗フィブロネクチンフラグメントモノクローナル抗体及びその使用方法に関する。
フィブロネクチン(以下FNと記載する)は動物の血液中、培養細胞表面、組織の細胞外マトリックスに存在する分子量約25万の巨大な糖タンパク質であり、多彩な機能を持つことが知られている。そのドメイン構造は7つに分けられており、またそのアミノ酸配列中には3種類の類似の配列が含まれており、これら各配列の繰返しで全体が構成されている。3種類の類似の配列はI型、II型、III型と呼ばれ、このうち、III型はアミノ酸残基71〜96個のアミノ酸残基で構成されており、これらのアミノ酸残基の一致率は17〜40%である。FN中には14のIII型の配列が存在するが、そのうち、8番目、9番目、10番目(以下、それぞれIII−8、III−9、III−10と称する)は細胞結合ドメインに、また12番目、13番目、14番目(以下、それぞれIII−12、III−13、III−14と称する)はヘパリン結合ドメインに含有されている。また、III−10にはVLA(very late activation antigen)−5結合領域が含まれており、このコア配列はRGDSである。また、ヘパリン結合ドメインのC末端側にはIIICSと呼ばれる領域が存在する。IIICSには25アミノ酸からなるVLA−4に対して結合活性を有するCS−1と呼ばれる領域が存在する。
FNは上記のとおり細胞への接着、シグナル伝達など様々な生理活性を有する。これらの生理活性に関する研究には、一般の生理活性物質と同様にその特異的抗体を使用することが有利である。FNと反応するモノクローナル抗体は既に報告されている(特許文献1)。
一方、FNの機能性ドメイン又はその一部からなるFNフラグメントが作製されている(非特許文献1)。FNフラグメントのあるものは、レトロウイルスベクターを用いた造血幹細胞への遺伝子導入効率を向上させることが知られている(非特許文献2、3)。さらに、FNフラグメントを免疫細胞の培地に添加する培養方法が報告されている(特許文献2)。このように、FNフラグメントは、細胞培養培地への添加、細胞培養容器への固相化などに使用されている。
特公平6−44877号公報 国際公開第03/016511号パンフレット
J. Biochem., 1991年, Vol.110, No.2, p284−291. Human Gene Therapy,1997年, Vol.8, No.18, p2193−2206. Nature Medicine, 1996年, Vol.2, p876−882.
FNフラグメントはFNの一部分のポリペプチドであるため、FNフラグメントと反応する抗体はFNとも交差反応する。またFNは血清等の血液成分中に多量に含まれるため、血清や血清を含む被験試料の場合には当該試料中に含まれるFNフラグメントをFNと区別して特異的に測定することは実施不能であった。
しかしながら、操作が簡便で、かつ測定精度、特異性、再現性に優れたFNフラグメントの測定手段の開発が望まれていた。
本発明者らは鋭意努力を重ね、従来入手されていなかった、FNフラグメントを特異的に認識し、FNを認識しない抗FNフラグメントモノクローナル抗体の創成に成功し、当該モノクローナル抗体を使用することにより、従来の課題が解決されること、すなわち当該モノクローナル抗体を使用すれば、培養細胞培地中や細胞培養容器の洗浄液中、更には血液試料中のFNフラグメントのモニタリングにも有用であることを見出し本発明を完成させた。
本発明を概説すれば、
[1]ヒトフィブロネクチン(FN)フラグメントと反応し、ヒトFNと反応しないことを特徴とする抗FNフラグメントモノクローナル抗体、
[2]配列表の配列番号2記載のアミノ酸配列を有するヒトFNフラグメントと反応する[1]の抗FNフラグメントモノクローナル抗体。
[3]抗FNフラグメントモノクローナル抗体が、ハイブリドーマ細胞RNIIC57Z 71−3A(FERM BP−11202)より産生され得るモノクローナル抗体RNIIC57Z 71−3Aである[1]の抗FNフラグメントモノクローナル抗体。
[4]被験試料中のFNフラグメントを測定する試薬において、[1]の抗FNフラグメントモノクローナル抗体を含むFNフラグメント測定試薬。
[5]さらにヒトFNフラグメントと反応する抗体を含む[4]のFNフラグメント測定試薬。
[6][1]の抗FNフラグメントモノクローナル抗体又は[4]のFNフラグメント測定試薬を使用する被験試料中のFNフラグメントの測定方法。
[7]ヒトFNを含有する被験試料中のヒトFNフラグメントを測定する[6]のFNフラグメントの測定方法。
[8]被験試料が、生体由来試料又は培養細胞由来試料から選ばれる[6]又は[7]の測定方法。
[9]請求項1記載の抗FNフラグメントモノクローナル抗体を産生する、寄託番号FERM BP−11202で表されるハイブリドーマ細胞。
本発明により、操作が簡便で、かつ測定精度が高く、特異性並びに再現性にも優れた抗FNフラグメントモノクローナル抗体が安定して提供される。
本発明の試薬は、被験試料中のFNフラグメントの量を調べることができる。さらに、本発明の抗体は、全長のFNを認識しないため、血清等のFNが混在する可能性のあるサンプルであっても、特異的かつ正確にFNフラグメントを測定することができることに顕著な効果を有する。
本発明において「フィブロネクチン」(FN)とは、血液中、培養細胞表面、組織の細胞外マトリックスに存在する分子量約25万の巨大な糖タンパク質であり、2000を超えるアミノ酸残基から構成される。FNは多くのスプライシングバリアントの存在が知られている。例えば、血漿由来のFNの場合、細胞結合ドメインの上流に存在するED−Bと呼ばれる領域、細胞結合ドメインとヘパリン結合ドメインの間に存在するED−Aと呼ばれる領域が欠失していることが知られているが、このような血漿由来のFNも、天然に存在する全長のFNであれば本発明におけるFNに含まれる。FNをコードする核酸配列及びFNのアミノ酸配列については、Genbank Accession No.NM_002026、NP_002017に開示されている。
本発明において「フィブロネクチンフラグメント」(FNフラグメント)とは、FNの一部を含有するポリペプチドを意味する。FNがフィブロネクチンの全長を有するのに対し、FNフラグメントはFNの一部の配列を有するポリペプチドであり、例えば特定のドメイン領域又はその一部を有する組換えポリペプチド、すなわち組換えFNフラグメントであってもよい。さらに、同一もしくは異なる複数のFNフラグメントが結合した形態の組換えポリペプチドも本発明におけるFNフラグメントに包含される。
本発明において「モノクローナル抗体」とは、単一クローンの抗体生産細胞が分泌する抗体を意味し、単クローン(性)抗体ともいう。特定の抗原決定基を認識する抗体であり、アミノ酸配列の一次構造が均一である。本発明のモノクローナル抗体は、細胞融合法により調製されるハイブリドーマが産生する抗体に加えて、抗体産生細胞のmRNA等を用いて遺伝子工学的に作製された抗体も含まれる。
本発明において「FNフラグメントと反応し、ヒトFNと反応しない」とは、本発明のモノクローナル抗体が、ヒトFNと免疫反応を強く起こさないことを意味する。特に限定はされないが、例えば、本発明のモノクローナル抗体を用いて、ヒトFNを測定した場合、その測定値は、当該FNと同濃度又は同分子数のFNフラグメントを測定した場合の測定値に比べて極めて低値、又は実質的に測定値として意味の無い数値であり、1%以下、好ましくは0.1%以下、特に好ましくは0.01%以下である。最も好ましい態様において、FNの測定値は検出限界以下である。
(1)本発明の抗FNフラグメントモノクローナル抗体
すなわち本発明を概説すれば、本発明はFNフラグメントと反応し、FNと反応しないモノクローナル抗体に関するものである。本発明の抗体はFNフラグメントを認識するため、血液成分、例えば血清中に存在する天然のFNと反応しない、すなわち全長のFNに反応しないので、この点で極めて有用である。
本発明の抗体は、例えば血清を含む被験試料であっても、血清に混在するヒトFNの影響を受けることなくFNフラグメントを特異的に測定することができる。したがって、ヒトの血液、血清、血漿などの血液成分由来のヒトFNを含む培地で培養したヒト培養細胞の抽出物や培養上清中のFNフラグメントを特異的かつ高感度に測定することができる。例えば、FNフラグメントを使用した細胞への遺伝子導入や細胞培養の際に、ヒト血清を含む培地を使用してもFNフラグメントの濃度をモニターすることができる。更に血液試料等の生体被験試料中のFNフラグメントの高感度測定及びモニタリングにも有用である。また、FNフラグメントを使用して遺伝子導入又は培養した細胞を生体内に導入する際に、細胞とともに混入した生体内のFNフラグメントをモニターすることができる。
さらに、本発明の抗体は、生体内におけるFNフラグメントに対する抗体産生のモニタリングに使用することができる。例えば、FNフラグメントを固定化したプレートを用意し、ヒト血清などの生体由来の試料と本発明の抗体とを競合させることにより、生体内に産生されたFNフラグメントに対する抗体を検出することができる。生体は免疫系の異常等のためにFNに対する自己抗体を産生する場合がある。このような場合に、FNフラグメントに対する抗体の産生を特異的に見出すためには、FNフラグメントと特異的に反応する抗体を使用する検出系が有効である。
本発明の一例の抗体が反応するFNフラグメントは、FNの7つのドメインの1つである細胞結合ドメインを含むポリペプチドである。すなわち、本発明の抗体が反応するFNフラグメントは、FNのIII−8、9、10から構成される細胞接着ドメインの少なくとも一部を含むフラグメントである。このFNフラグメントの鎖長としては、例えば50〜1500アミノ酸残基、好ましくは100〜1000アミノ酸残基、より好ましくは200〜800アミノ酸残基、特に好ましくは250〜600アミノ酸残基の鎖長である。例えば前記非特許文献1に記載されたCH−296及びC−274、特許文献2に記載されたCHV−89、CHV−92及びCHV−181が例示される。前記のCH−296はレトロネクチン(登録商標)の名称で市販されている。CH−296のアミノ酸配列を配列表の配列番号1に、C−274のアミノ酸配列を配列表の配列番号2に、CHV−89のアミノ酸配列を配列表の配列番号4に、CHV−92のアミノ酸配列を配列表の配列番号5に、CHV−181のアミノ酸配列を配列表の配列番号6にそれぞれ示す。
本発明の抗体は、前記FNフラグメントの少なくとも1つに反応し、FNとは反応しない。
また、本発明の抗体にペプシン、パパイン等のタンパク質分解酵素を作用させ、抗体のFc部分を除去して得られる、F(ab’)、Fab’、Fab等のフラグメントも本発明で使用する抗体に含まれる。
さらに、得られたモノクローナル抗体を基に、遺伝子工学的に製造される組換え抗体や、定常領域を他の抗体の定常領域に置換したキメラ抗体であっても良い。このような抗体は、二重特異性抗体(二価抗体)、scFv、Fab、Diabody、Triabody、Tetrabody、Minibody、Bis−scFv、(scFv)−Fc、intact−IgGが例示され、Holligerら、Nature Biotechnology、第23巻、第9号、p.1126−36(2005)に詳述される。
本発明のモノクローナル抗体は、いわゆる細胞融合法によって作製されたハイブリドーマを使用して製造され得る。前記ハイブリドーマは、抗体産生細胞の集団と骨髄腫細胞と融合ハイブリドーマを形成させ、該ハイブリドーマをクローン化し、FNフラグメントを認識する抗体を産生するクローンを取捨選択し、さらに本発明の目的に好適なクローンを選別することによって初めて樹立される。
抗体産生細胞には、FNフラグメント又はその一部によって免疫された動物の脾細胞、リンパ節細胞、Bリンパ球等が利用できる。免疫させる動物としては、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウマ、ヤギ、ウサギ等が挙げられる。免疫原として用いる前記FNフラグメントは、FNフラグメントをコードする遺伝子を使用して遺伝子工学的に組換えタンパク質として調製することができる。また、人工的にFNフラグメント又はその一部のポリペプチドを合成して調製することができる。かくして得られたFNフラグメント又はその一部を、そのまま単独で動物の免疫に使用する。また、例えばKLH(Keyhole Limpet Hemocyanin)に代表されるキャリアタンパクと結合後、又はPVP(ポリビニルピロリドン)と混合後、フロイントのアジュバントと混合し、動物の免疫に使用する。あるいはFNフラグメント又はその一部を直接フロイントのアジュバントと混合し、動物の免疫に使用する。免疫は動物の皮下、筋肉内あるいは腹腔内に1回に20〜200μgの抗原−アジュバント混合物を投与することにより行われる。例えば、抗原−アジュバント混合物を2〜3週間に1回の間隔で3〜7回投与することにより、最終免疫より約3〜5日後、免疫動物の脾臓から抗体産生細胞を分取することができる。また、抗原−アジュバント混合物を1回投与し、約2〜3週間後に免疫動物のリンパ節から抗体産生細胞を分取することができる。
骨髄腫細胞としてはマウス、ラット、ヒト等由来のものが使用される。細胞融合は例えばG.ケラー(G.Kehler)、ネーチャー(Nature)第256巻、第495頁(1975)に記載の方法、又はこれに準ずる方法により行われる。この際、30〜50%ポリエチレングリコール(分子量1000〜6000)を用い、抗体産生細胞と骨髄腫細胞とを30〜40℃の温度下、約1〜3分間程度反応させる。細胞融合により得られたハイブリドーマはスクリーニングに付される。例えば、抗原としてヒトFNフラグメントを用いた酵素抗体法(EIA)等により前記配列表の配列番号1で表されるアミノ酸配列を含むFNフラグメントCH−296と反応する抗体を生産するハイブリドーマのスクリーニングが行われる。さらに、全長のFNと反応しない抗体を生産するハイブリドーマのスクリーニングが行われる。得られた抗体産生ハイブリドーマは、例えば限界希釈法によりクローン化される。得られたクローンは、次いで目的とする高感度、高特異性のモノクローナル抗体を産生するクローンを選択するため、例えば酵素抗体法等によるスクリーニングに供される。
こうして選ばれたクローンは、例えばあらかじめプリスタン(2,6,10,14−テトラメチルペンタデカン)やFIA(Freund incomplete adjuvant)を投与したBALB/cマウスの腹腔内へ移植し、10〜14日後にモノクローナル抗体を高濃度に含む腹水を採取する。この腹水からのモノクローナル抗体の回収は、イムノグロブリンの精製法として従来既知の硫安分画法、ポリエチレングリコール分画法、イオン交換クロマトグラフ法、ゲルクロマトグラフ法、アフィニティークロマトグラフ法等を応用することで達成される。
例えば、本発明の一態様として、ヒトFNフラグメントと反応し、FNと反応しないことを特徴とする抗FNフラグメントモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ細胞RNIIC57Z 71−3Aにより産生されるモノクローナル抗体RNIIC57Z 71−3Aが挙げられる。ハイブリドーマ細胞RNIIC57Z 71−3Aは、平成20年12月10日(原寄託日)より独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6(郵便番号305−8566))にFERM P−21747として寄託され、平成21年12月9日(国際移管日)よりFERM BP−11202として寄託されている。
前記モノクローナル抗体は、配列表の配列番号2記載のアミノ酸配列を有するFNフラグメントを認識するにもかかわらず、同一のアミノ酸配列を含有するFN(天然型FN)を認識しないという、驚くべき機能を有している。この抗体を含有するFNフラグメント測定試薬は、配列表の配列番号2記載のアミノ酸配列を有するヒトFNフラグメントであるCH−296、C−274、CHV−89、CHV−92、CHV−181の各FNフラグメントと反応し、前記アミノ酸配列を有するFNと反応しないという顕著な特性を有することから、広くFNフラグメントとFNの分別、測定に適用することが可能になる。
本発明は前記の抗体を産生する細胞、すなわち本発明のモノクローナル抗体RNIIC57Z 71−3Aを産生するハイブリドーマ細胞RNIIC57Z 71−3Aを包含する。
(2)本発明のFNフラグメント測定試薬
本発明のFNフラグメント測定試薬は、被験試料中のFNフラグメントを測定する試薬において、前記(1)記載の抗FNフラグメントモノクローナル抗体を含むことを特徴とする。
本発明の測定試薬は、全長のFNと反応しないため、FNが混入する被験試料、例えばヒト血液、血清、血漿等の血液成分や尿を含む被験試料であっても、混在するFNの影響を受けることなく、FNフラグメントを特異的かつ高感度に測定することが可能である。したがって、ヒトの血液、血清、血漿などのヒトFNを含む培地で培養したヒト培養細胞の抽出物や培養上清中のFNフラグメントを特異的かつ高感度に測定することができる。本発明の測定方法の一態様として、1μg/mL以上の高濃度のFNを含む試料であってもFNフラグメントを特異的に測定することができる。従って、例えば、FNフラグメントを使用した細胞への遺伝子導入や細胞培養の際に、ヒト血清を含む培地を使用してもFNフラグメントの濃度をモニターすることができる。
本発明の好適な態様において、本発明の測定試薬は配列表の配列番号2記載のアミノ酸配列を有するヒトFNフラグメント(例えばCH−296、C−274、CHV−89、CHV−92、CHV−181等)を、FNとは区別して測定することができる。
本発明の一態様として、本発明はさらにヒトFNフラグメントと反応する他の抗体を含む測定試薬を提供する。前記のヒトFNフラグメントと反応する他の抗体は、当該フラグメントに反応するものであればポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のどちらでもよく、抗ヒトFNポリクローナル抗体や公知の抗ヒトFNモノクローナル抗体より選択される適当な抗体でもよい。例えばハイブリドーマ細胞FN 30−8より産生されるモノクローナル抗体FN 30−8が好適に使用される。モノクローナル抗体FN 30−8は、Experimental Cell Research, 1989年, Vol.185, p229−236.に記載の方法により、ハイブリドーマFN 30−8から調製でき、C−274及びFNに結合性を有するモノクローナル抗体の一例である。モノクローナル抗体FN 30−8はタカラバイオより発売されている(製品コード:M010)。なお、モノクローナル抗体FN 30−8を産生するハイブリドーマFN 30−8Bは、平成20年12月10日(原寄託日)より独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6(郵便番号305−8566))にFERM P−21746として寄託されている。
本発明の測定試薬は、3ng/mL程度の低濃度で存在するFNフラグメントを検出することが可能である。
本発明の測定試薬が測定対象とする被験試料には特に限定はなく、血漿、血清、尿などの体液、細胞、細胞抽出物及び細胞の培養上清等が例示される。前記被験試料は、本発明の測定試薬により測定可能な試料であれば特に限定はされないが、例えばヒト由来の試料が挙げられる。
本発明の測定試薬の好適な態様は、測定方法として固相酵素免疫検定(ELISA)法を含むエンザイムイムノアッセイに用いることができる、FNフラグメントの測定試薬である。その一態様として、FNフラグメントを認識する2種の抗体を使用する二抗体サンドイッチ法によりFNフラグメントの検出を行う測定試薬が例示される。このような試薬の一例として、上記(1)に記載する抗FNフラグメントモノクローナル抗体と、モノクローナル抗体FN 30−8の2種を構成成分とする測定試薬が挙げられる。これらの抗体のうち、一方は固相抗体(1次抗体)、他方は標識抗体(2次抗体)として使用することができる。ここで、固相抗体とは適切な不溶性担体に固定化された抗体を意味し、標識抗体とは適切な標識物質により標識化された抗体を意味する。固相抗体はFNフラグメントとの抗原抗体反応によって、対象試料中の被験物質であるFNフラグメントをトラップするために使用され、トラップされた前記の被験物質を検出するために標識抗体が使用される。特に(1)に記載する抗FNフラグメントモノクローナル抗体を固相抗体、モノクローナル抗体FN 30−8を標識抗体とする測定試薬が好適に使用できる。この態様の測定試薬は、全長のヒトFNを含む試料であっても、配列番号2記載のアミノ酸配列を有するヒトFNフラグメントを特異的にトラップすることが可能であり、固相抗体が全長のFNによりマスクされることなく、また、標識抗体の種交差性に影響を受けずに前記のヒトFNフラグメントを特異的に測定することが可能である。
前記二抗体サンドイッチ法に使用される、FNフラグメントと反応し、FNと反応しない本発明の測定試薬は、2種類の抗体を構成成分とする測定試薬であるが、これらの抗体はいずれもFNフラグメントとFNの僅かな差を認識することから、特異性が極めて近接するものであり、二抗体サンドイッチ法に使用可能な測定試薬を構築することは至難の業である。固相抗体と標識抗体の組み合わせは、度重なる交差反応、添加回収試験を行っても、必ず見出せるわけではない。
本発明に使用されるモノクローナル抗体は、特に限定されるものではないが、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質、タンパク質などを用いて標識化され、標識抗体が作製される。放射性同位元素としては、特に限定されるものではないが、例えば[125I]、[131I]、[H]、[14C]などが好ましい。酵素としては、特に限定されるものではないが、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えばβ−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが挙げられる。蛍光物質としては、特に限定されるものではないが、例えばフルオレスカミン、フルオレッセインイソチオシアネートなどが挙げられる。発光物質としては、特に限定されるものではないが、例えばルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが挙げられる。さらに、ビオチンのような化合物を用いることができる。本発明の測定試薬において、標識抗体は溶液又は凍結乾燥等の各種形態で提供することができる。
固相抗体は、ビーズ、マイクロタイタープレート、試験管、ニトロセルロース膜、ナイロン膜等の担体表面に、当業者には公知の方法によって、FNフラグメントを認識する本発明の測定試薬を結合させることによって調製される。また、固相抗体を調製するための抗体、担体及び固相化に必要な試薬を、固定化する前の段階で提供しても良い。前記目的に使用される抗体も、本発明の固相抗体に含まれる。
本発明の測定試薬は、さらに保護剤[例えばカゼイン又はBSA(bovine serum albumin)]を含みうる。また、本発明の測定試薬は、さらに防腐剤(例えばアジ化ナトリウム又はプロクリン)を含みうる。本発明の測定試薬の態様としては、様々な試薬、材料、器具等を適宜含有させることができる。本発明の測定試薬を構成するモノクローナル抗体又はヒトFNフラグメントと反応する抗体を吸着させるための吸着プレートを含んでいてもよい。また、標識した抗体を検出するための試薬(例えば、TMBZ等の基質)、使用する際にコントロールとなる試薬(例えば濃度基準となるスタンダードFNフラグメント)を含んでいてもよい。
(3)本発明のFNフラグメントの測定方法
本発明のFNフラグメントの測定方法は、前記(1)に記載の抗FNフラグメントモノクローナル抗体又は前記(2)に記載のFNフラグメント測定試薬を使用することを特徴とする方法である。例えば、本発明のモノクローナル抗体を使用して、競合的免疫検定法によりFNフラグメントを測定することができる。また、2種のモノクローナル抗体を含む態様の本発明の測定試薬を使用して、2つのモノクローナル抗体のうち、一方を固相抗体、他方を標識抗体とする二酵素サンドイッチ法の場合、被験物質と固相抗体を接触させ、これに標識抗体をさらに接触させ、これらのモノクローナル抗体と被験物質の複合体を検出することにより、FNフラグメントを測定することができる。さらに、被験物質と接触させた後に固相抗体を洗浄する工程及び/又は被験物質と結合しなかった標識抗体を洗浄により除去する工程を含んでいてもよい。また、固相抗体及び標識抗体は、前記(2)に記載の通り固相化及び標識化の操作により調製される。本発明の一態様として、モノクローナル抗体RNIIC57Z 71−3A、モノクローナル抗体FN 30−8の使用が好適であり、さらに、固相抗体としてモノクローナル抗体RNIIC57Z 71−3A、標識抗体としてモノクローナル抗体FN 30−8の組み合わせの測定系が特に好適である。本発明の方法においては、定性的な測定と、定量的な測定が含まれる。一態様として、被験試料は血漿、血清などの体液又は細胞培養物等が挙げられる。
本発明の方法は、例えば3ng/mL程度の低濃度で存在するFNフラグメント、CH−296を検出することが可能である。本発明の方法は、FNフラグメントの異なる部位を認識する2種のモノクローナル抗体を使用することにより、極めて高い特異性を有する識別が可能である。
以下に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例の範囲のみに限定されるものではない。
実施例1 抗体の作製と選抜[1]
(1)抗原免疫・細胞融合
非特許文献1の記載に従ってFNフラグメントCH−296(配列表の配列番号1)を調製し、1mg/mLの抗原溶液とした。抗原溶液をC57BL6マウス2匹に100μg/shot/bodyの投与量で、初回免疫ではフロイント完全アジュバントとエマルジョンを形成させてから腹腔投与し、2回目以降は市販の水溶性アジュバント(RIBI Adjuvant)と混合して、2週間隔合計4回の追加免疫を行った。その後、眼窩静脈血清中の各FNフラグメントに対する抗体価の上昇を確認した上で、すべての個体に最終追加免疫を実施した。この最終免疫3日後に、2匹のマウスの脾臓を摘出し、無血清培地で分散・洗浄し脾臓細胞とした後、細胞融合用ミエローマ(P3U1)と5:1(脾臓細胞:ミエローマ)の割合で混合し遠心上清を除いた細胞ペレットとした。この細胞混合物に適温に保温した50%PEG溶液1mLを一定速度で、軽い振とうを加えながら混合し、合計3mLまで加え、そのあとは、無血清培地7mLを同様に一定速度で加え、この操作で細胞融合を実施した。
上記操作により多数の融合細胞を取得した。この幅広い母集団より抗原に特異的な抗体をスクリーニングした。
(2)HAT選択
融合細胞のスクリーニングには、クローニング培地(三光純薬社製)にHAT(H:ヒポキサンチン、A:アミノプテリン、T:チミジン)を加えたものを用意し、融合日の翌日から3回の培地交換をこのHAT培地で行った。この培地交換操作で、成長してきた細胞は、脾臓由来のde novo合成系を持ちかつ不死化した融合細胞であった。
(3)スクリーニング
免疫原のFNフラグメントCH−296を10μg/mL リン酸緩衝生理食塩水(PBS)の濃度で調製し、50μL/ウェルで、イムノプレート(ナルジェヌンク社製)上に添加して、4℃で一晩放置して物理吸着させた。ブランク用抗原として、正常ヒト血漿よりゼラチンカラム吸着分画によりゲル濾過し精製したFNをブランク抗原としてスクリーニングの際の評価用のブランク抗原とし、20μg/mL PBS、50μL/ウェルで、同様にコーティングした。翌日、抗原溶液を捨てて、25%ブロッカーカゼイン(ピアス社製)を200μL/ウェルになるように加えて、室温(20〜30℃)で一晩放置して、ブロッキング操作を行った。その後、ブロッキング溶液を捨て、上記(2)で得られた融合細胞の培養上清(原液使用)を、ナンバリングした上でイムノプレートに投入し、一次反応を室温(20〜30℃)で1時間行った。0.1% Tweenを含むPBSで反応が終了した各ウェルを3回洗浄し、ペーパータオルで充分に液を切った。検出には、抗マウスIgGラットモノクローナル抗体カクテル−ペルオキシダーゼ標識抗体を使用した。前記抗体を1μg/mL、50μL/ウェルで添加し、室温(20〜30℃)で1時間反応を行った。その後、標識抗体液を捨て、ウェルをPBSで4回洗浄した。ペーパータオルで、洗浄液を充分に除き、ペルオキシダーゼ基質であるTMBZ(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン)溶液(BioFX社製)を50μL/ウェルで投入し、室温で15〜30分発色させ、等量の1N 硫酸を加えて反応を停止させた後、肉眼及びプレートリーダーで陽性株を確認し、FNに反応せず、目的のFNフラグメントに特異的に反応する株の選抜を試みた。
(4)陽性株選抜とクローニング、株樹立
(3)に示す厳格なスクリーニングの結果、FN抗原に反応せず、目的のFNフラグメントに特異的に反応する株は、試験した960ウェルに含まれる10,000以上のコロニー(株)中わずかに8株であった。この8株を用い、直ちに限界希釈法によりクローニングを行った。クローニングされた抗FNフラグメント抗体産生ハイブリドーマ8種類について、それぞれクローンを各2種(本株・亜株)確保した。
(5)マウス腹水採取
特異性の高い前記ハイブリドーマクローンは、本株・亜株ともに凍結細胞としてマスター細胞を保管後、ほぼ並行しながら、本株をscid(T、B細胞欠損型)マウスの腹腔内で大量培養し、腹水として粗精製抗体を得た。腹水は、1個体あたりおよそ3〜5mLであった。
(6)抗体精製
得られた腹水は、50%飽和硫安塩析・透析を行い、その画分をProtein A カラムに供した。平衡化緩衝液は、3M NaCl、1.5M glycin−NaOH緩衝液(pH8.9)の高塩濃度のものを調製し、どのサブクラスのIgGであっても良好に結合する条件を採用した。平衡化緩衝液で2倍希釈した腹水硫安塩析画分を腹水液量とほぼ等量の容積のProtein A樹脂にアプライし、波長280nmの吸光度がほぼゼロになるまで平衡化緩衝液でカラムを洗った。その後、クエン酸緩衝液(pH4.0)とクエン酸緩衝液(pH3.0)の2段階で溶出を行った。溶出画分は、ただちに1M Tris−HCl緩衝液(pH9.0)で中和し、硫安塩析もしくは、遠心限外ろ過濃縮を行った。最終抗体は、PBSで透析し、0.22μmフィルターろ過により無菌化した。抗体の純度は、10%SDS−PAGE(還元加熱条件)により分析し、H鎖とL鎖以外のものがない良好な純度の抗体であることを確認した。
(7)異なる手法による抗体の作製
実施例1で確立された8種類の抗体に加え、更に選択肢を広げるために特公平6−44877号公報(特許文献1)の抗ヒト・FNモノクローナル抗体の調製方法に従い、非特許文献1に記載のFNフラグメントC−274又はH−296に結合するモノクローナル抗体3種類も調製した。
(8)測定系構築のための抗体の選抜
上記(1)〜(6)の操作で得られた8種類の抗体、上記(7)で得られた3種類の抗体の合計11種類の抗体に過ヨウ素酸法によってペルオキシダーゼ標識を施した。過ヨウ素酸法は、ペルオキシダーゼの糖鎖ジオールを脱水素酸化させシッフベースを形成させ、抗体側のアミノ基と結合する方法である。すべての抗体について抗原との結合活性を保持した状態で酵素標識抗体とすることができた。これらの標識抗体を、同じ11種類の固相抗体と組みあわて、合計121通りの組合わせで、FNフラグメントを定量できる系をスクリーニングした。しかしながら、試験した種々の組み合わせの中には1000ng/mL未満の濃度のFNには反応しないものは存在したが、いずれも1000ng/mL以上、すなわち1μg/mL以上の高濃度のFNには反応した。抗原特異性が極めて類似したFNとFNフラグメントを識別する抗体の取得は通常の場合と比べて極めて困難であった。FNとFNフラグメントの構造の差は極めて僅かであり、類似のエピトープに反応するFNフラグメント特異抗体が取得されている可能性が示唆された。
実施例2 抗体の作製と選抜[2]
(1)新たな抗体の作製
実施例1、(1)のFNフラグメントCH−296に加えて、非特許文献1の記載に従ってFNフラグメントC−274(配列表の配列番号2)及びFNフラグメントH−296を調製した。実施例1、(1)〜(6)と同様の方法により、これらのFNフラグメントと特異的に反応する抗体の作製を試みた。抗体のスクリーニングには、FNフラグメントCH−296、C−274、H−296を、それぞれ2μg/mL PBSの濃度で混合して固定化したイムノプレートを使用した。スクリーニングの結果、FN抗原に反応せず、FNフラグメントCH−296、C−274、H−296のいずれかに特異的に反応する株は、試験した10,000以上の融合細胞株中わずかに6株であった。この6株についても実施例1と同様に、それぞれクローンを各2種(本株・亜株)確保した後、scidマウスを用いて腹水化して、精製抗体を調製した。さらに実施例1−(8)と同様の操作でペルオキシダーゼ標識抗体を作製した。
(2)測定系構築のための抗体の選抜
1度目のスクリーニングに使用した11種類の抗体と、2度目のスクリーニングで確立された6種類の抗体、合計17種類の抗体をそれぞれ標識抗体、固相抗体とする組みあわせ、合計289通りもの組合わせで、FNフラグメントを定量できる系をスクリーニングした。本スクリーニングによって、1μg/mL以上という非常に高濃度のFNに交差することなく高感度にFNフラグメントを測りこむことのできる測定系をようやく1種類得ることに成功した。その組合せは、固相抗体として抗体RNIIC57Z 71−3A(FERM BP−11202)、標識抗体として抗体FN 30−8(タカラバイオ社製)を使用するものであった。
(3)FNフラグメント測定系
確立した測定系を使用した測定方法を以下に示す。
(A)イムノプレート器材(ナルジェヌンク製)に、PBSで10μg/mlに希釈したモノクローナル抗体RNIIC57Z 71−3A溶液を100μL/ウェルで投入し、4℃で一晩放置する。
(B)翌日、抗体溶液を捨て、25%ブロッカーカゼイン/PBS溶液(ブロッキング溶液)を200μL/ウェルで投入し、4℃一晩放置し、前記抗体が結合しなかった部分をタンパク質ブロックする。
翌日、ブロッキング溶液を捨て、以下の測定に使用する。
(C)各濃度の検体を100μLずつマイクロピペットで各ウェルに2連ずつ加え、室温(20〜30℃)で1時間反応させる。(第一反応)
(D)反応液を捨て、0.1%Tween20含有PBSで3回洗浄後、モノクローナル抗体FN 30−8酵素標識抗体液を100μLずつ各ウェルに加え、室温(20〜30℃)で一時間反応させる。(第二反応)
(E)反応液を捨て、0.1%Tween20含有PBSで4回洗浄後、TMBZ溶液を100μLずつ各ウェルに加え、室温(20〜30℃)で20分反応させる。(発色反応)
(F)1N 硫酸を100μLずつ、TMBZ溶液を入れた順番に各ウェルに加え、反応を停止させた後よく混和する。
蒸留水を対照としてマイクロプレートリーダーをブランク補正し、波長450nmで吸光度を測定する。
標準曲線を作成し、検体の吸光度から対応するFNフラグメント濃度を読み取る。
上記測定系により、FNフラグメントCH−296をFNフラグメント標準品として測定した結果を表1に示す。必要サンプル量は、100μl/ウェルであり、3.125ng/mLのFNフラグメントであっても検出可能であった。
Figure 2010254682
(4)血清中FNの影響測定
実施例2−(2)記載の測定系により、各種溶媒中のFNフラグメントCH−296を測定した。溶媒は、25%ブロッカーカゼイン/PBS溶液、10%ウシ胎仔血清(Lonza社製)を含むRPMI−1640培地(シグマ社製)、ヒト血清を試験した。表2に波長450nmにおける吸光度の測定値を示す。表2の結果から、上記測定系はヒト血清、血清培地による阻害を受けないこと、また血清中に含まれるFNに反応することなくFNフラグメントを測定すること可能であることが示された。
Figure 2010254682
(5)FNへの反応測定
実施例2−(2)記載の測定系により、FNへの反応を測定した。FNはヒト血清中のFN、ヒト血漿から精製した天然のFN、市販のFN(シグマ社製)を試験した。表3に血清中のFNとの反応、表4に天然及び組換え体のFNとの反応を、波長450nmにおける吸光度の測定値として示す。表3及び表4に結果を示すように、上記測定系はヒト血清中のFNとは反応せず、さらに極めて高濃度のFNとも反応しないことが示された。
Figure 2010254682
Figure 2010254682

(6)FNフラグメントへの反応測定
実施例2−(2)記載の測定系により、各種FNフラグメントへの反応を測定した。FNフラグメントは、CH−296(配列表の配列番号1)、C−274(配列表の配列番号2)、H−296(配列表の配列番号3)、CHV−89(配列表の配列番号4)、CHV−92(配列表の配列番号5)、CHV−181(配列表の配列番号6)を調製した。また、溶媒は25%ブロッカーカゼイン/PBS溶液、保存液[50%RPMI−1640培地、4%ヒト血清アルブミン(シグマ社製)、6%HES(Hydroxyethyl starch)、5%DMSO(Dimethylsulfoxide)/生理食塩水]、0.1%Tween20を含有する保存液を使用した。FNフラグメントを各溶媒で200ng/mLとなるように調製した。表5に波長450nmにおける吸光度の測定値を示す。表5の結果から、上記測定系は、配列表の配列番号2記載のアミノ酸配列からなるFNの細胞接着ドメインを含むFNフラグメント(274〜574アミノ酸)を測定することが可能であること、各種溶媒中のFNフラグメントを測定することが可能であることが示された。
Figure 2010254682
実施例3 FNフラグメントコーティングディッシュ洗浄液のFNフラグメント測定
FNフラグメントCH−296をコーティングしたディッシュは、RetroNectin(登録商標)Dish(タカラバイオ社製)を使用した。このディッシュを下記A、Bの2種類の洗浄条件で洗浄した。
洗浄条件A:10%ウシ胎仔血清を含むRPMI−1640培地1mLをディッシュに添加し、30分間静置。この操作を3回繰り返す。
洗浄条件B:PBS 1mLをディッシュに添加し、30分間静置。この操作を3回繰り返す。
各洗浄条件の洗浄液を回収し、実施例2−(2)記載の測定系によりFNフラグメントの濃度を測定した。表6にFNフラグメントの濃度を示す。上記測定系は、FNフラグメントコーティングディッシュの洗浄液に含まれるFNフラグメントの濃度測定に利用できることが示された。
Figure 2010254682
以上の結果は、本発明の抗FNフラグメント抗体及び測定試薬を使用する検出系は、ヒトFNフラグメントを特異的に高感度で測定し、性能的にも安定な系であることを示している。
当該FNフラグメントを測定して得られる結果は、FNフラグメントを使用する遺伝子導入方法、細胞培養方法において有用な情報を提供する。
SEQ ID NO:1 ; Fibronectin fragment named CH-296.
SEQ ID NO:2 ; Fibronectin fragment named C-274.
SEQ ID NO:3 ; Fibronectin fragment named H-296.
SEQ ID NO:4 ; Fibronectin fragment named CHV-89.
SEQ ID NO:5 ; Fibronectin fragment named CHV-92.
SEQ ID NO:6 ; Fibronectin fragment named CHV-181.

Claims (9)

  1. ヒトフィブロネクチン(FN)フラグメントと反応し、ヒトFNと反応しないことを特徴とする抗FNフラグメントモノクローナル抗体。
  2. 配列表の配列番号2記載のアミノ酸配列を有するヒトFNフラグメントと反応する請求項1記載の抗FNフラグメントモノクローナル抗体。
  3. 抗FNフラグメントモノクローナル抗体が、ハイブリドーマ細胞RNIIC57Z 71−3A(FERM BP−11202)より産生され得るモノクローナル抗体RNIIC57Z 71−3Aである請求項1記載の抗FNフラグメントモノクローナル抗体。
  4. 被験試料中のFNフラグメントを測定する試薬において、請求項1記載の抗FNフラグメントモノクローナル抗体を含むFNフラグメント測定試薬。
  5. さらにヒトFNフラグメントと反応する抗体を含む請求項4記載のFNフラグメント測定試薬。
  6. 請求項1記載の抗FNフラグメントモノクローナル抗体又は請求項4記載のFNフラグメント測定試薬を使用する被験試料中のFNフラグメントの測定方法。
  7. ヒトFNを含有する被験試料中のヒトFNフラグメントを測定する請求項6記載のFNフラグメントの測定方法。
  8. 被験試料が、生体由来試料又は培養細胞由来試料から選ばれる請求項6又は7記載の測定方法。
  9. 請求項1記載の抗FNフラグメントモノクローナル抗体を産生する、寄託番号FERM BP−11202で表されるハイブリドーマ細胞。
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