JP2010254559A - シリカ多孔質体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 屈折率が低く、耐摩耗性に優れ、水に対して安定なシリカ多孔質体、および、それを用いた光学用途積層体の製造方法を提供すること。
【解決手段】シリカ系組成物からシリカ多孔質体を製造する製造方法であって、該組成物が、下記(A)〜(E)を含み、該組成物中の全アルコキシシラン類由来の珪素原子に対する水の割合(mol/mol)が10以上50以下であって、該組成物を膜厚が0.05〜0.5μmになるように膜化し、100℃〜200℃で加熱した後、更に300℃〜700℃で加熱する。
(A):下記(a)及び/又は(b)
(a)少なくともテトラアルコキシシラン類、その加水分解物及び部分縮合物からなるテトラアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種、並びにテトラアルコキシシラン類以外のアルコキシシラン類、その加水分解物及び部分縮合物からなる他のアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種
(b)該テトラアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種及び他のアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種の部分縮合物
(B):水
(C):有機溶媒
(D):触媒
(E):有機ポリマー

【選択図】 なし

Description

本発明は、シリカ多孔質体の製造方法に関するものである。
低屈折率材料として多孔質シリカ膜の技術は色々報告されている。
多孔質シリカ膜を製造する方法として、特許文献1には、シリカ膜を液化炭酸ガスの超臨界乾燥することで低屈折率体(シリカエアロゲル)を得る方法が開示されている。この方法は極めて低屈折率を提供することが可能である。
また、特許文献2〜6には、アルコキシシランのゾル−ゲル反応に特定の有機物を共存させることで、シリカ/有機物−ハイブリッドを形成し、その後、有機物を除去することで、均一、かつ規則的な空孔を有するシリカ多孔質体を得る方法が開示されている。
特開2001−202827号公報 特開2001−226171号公報 特開2003−64307号公報 特開2003−142476号公報 特開2004−143029号公報 特表2005−503664号公報
しかしながら、特許文献1記載の技術は、膜の機械強度が極めて弱く、耐水性にも劣るという課題があった。
また、特許文献2〜6記載の技術で得られるシリカ多孔質体形成用組成物は、ポットライフが短く、安定してシリカ多孔質体を得ることが困難であった。また、特許文献2〜6に記載されているように、従来の方法は低誘電率材料として開発されたものが多く、半導体プロセスにおける銅デュアルダマシン配線構造の形成のための化学的機械的研磨(CMP)に対する機械的な強度不足を課題としていた。このため、シリカ材料特有の水に対する膜の安定性に欠けていた。したがって、従来技術による低屈折率材料は光学用途として低屈折率の維持が困難であるという重要な課題があった。
また、特許文献2及び特許文献6に記載のシリカ多孔質体形成用組成物では、アルコキシシランに対する水量が少ないため、ゾル−ゲル反応のコントロールが難しく、ポットライフも短く、極めて疎水的な膜表面を有するシリカ多孔質体が得られる。このため、膜の耐水性も悪く均一な膜を作成することは困難、膜表面も荒れると予想される。
一方、特許文献3及び特許文献5に記載のシリカ多孔質体形成用組成物では、用いる有機物の分子量が低く、得られるシリカ多孔質体の多孔度を高く維持することが困難であり、低屈折率なシリカ多孔質体を安定して製造することができないと予想される。
上記課題を解決するには、低屈折率なシリカ多孔質体としては、強度が大きく耐摩耗性性能が高く、耐水性のあることが必要であり、さらに光学用途に用いる場合、より薄膜であることが透過率を大きくする可能性があり、膜厚を小さくする方法が求められていた。そこで、本発明は上記の課題に鑑みて創案されたもので、屈折率が低く、耐摩耗性に優れ、水に対して安定なシリカ多孔質体、および、それを用いた光学用途積層体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、特定の条件下でシリカ多孔質体を製造することにより、上記課題を解決できることが分かり本発明に到達した。
すなわち、本発明は、シリカ系組成物からシリカ多孔質体を製造する製造方法であって、該組成物が、下記(A)〜(E)を含み、該組成物中の全アルコキシシラン類由来の珪素原子に対する水の割合(mol/mol)が10以上50以下であって、該組成物を膜厚が0.05〜0.5μmになるように膜化し、100℃〜200℃で加熱した後、更に300℃〜700℃で加熱することを特徴とするシリカ多孔質体の製造方法に存する。

(A):下記(a)及び/又は(b)
(a)少なくともテトラアルコキシシラン類、その加水分解物及び部分縮合物からなるテトラアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種、並びにテトラアルコキシシラン類以外のアルコキシシラン類、その加水分解物及び部分縮合物からなる他のアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種
(b)該テトラアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種及び他のアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種の部分縮合物
(B):水
(C):有機溶媒
(D):触媒
(E):有機ポリマー

本発明によれば、屈折率が低く、耐摩耗性に優れ、水に対して安定なシリカ多孔質体を提供できる。
本発明の光学用途積層体の用途(太陽電池)の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明について実施形態や例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態や例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変更して実施できる。
[1.組成物]
本発明の製造方法は、シリカ系前駆体組成物(本明細書ではシリカ系組成物や本発明の組成物ともいう)を使用したシリカ多孔質体膜の製造方法である。
そして、本発明の組成物は、下記(A)〜(E)を含み、全アルコキシシラン類由来のケイ素原子に対する水の割合(mol/mol)が10以上50以下である。

(A):下記(a)及び/又は(b)
(a)少なくともテトラアルコキシシラン類、その加水分解物及び部分縮合物からなるテトラアルコキシシラン類群(以下適宜、「テトラアルコキシシラン類群」という)より選ばれる少なくとも一種、並びにテトラアルコキシシラン類以外のアルコキシシラン類(以下適宜、「他のアルコキシシラン類」という)、その加水分解物及び部分縮合物からなる他のアルコキシシラン類群(以下適宜、「他のアルコキシシラン類群」という)より選ばれる少なくとも一種
(b)該テトラアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種及び他のアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種の部分縮合物(以下適宜、「特定部分縮合物」という)
(B):水
(C):有機溶媒
(D):触媒
(E):有機ポリマー
より好ましくは、該組成物は下記(1)、(2)を満たすものである。

(1)全アルコキシシラン類由来のケイ素原子に対するテトラアルコキシシラン類由来のケイ素原子の割合が0.3(mol/mol)〜0.7(mol/mol)である。
(2)該有機溶媒中の80重量%以上が、沸点55℃〜140℃の溶媒である。
[1−1.アルコキシシラン類]
本発明の組成物は、アルコキシシラン類として、少なくとも、以下の第1及び第2化合物(群)のうちいずれか一方又は両方を含有する。
〔第1の化合物(群)〕
テトラアルコキシシラン類群(即ち、テトラアルコキシシラン類、その加水分解物及び部分縮合物からなる群)より選ばれる少なくとも一種と、他のアルコキシシラン類群(即ち、他のアルコキシシラン類、その加水分解物及び部分縮合物からなる群)より選ばれる少なくとも一種との組み合わせ。
〔第2の化合物(群)〕
特定部分縮合物(即ち、テトラアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種と他のアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種との部分縮合物)。
[1−1−1.テトラアルコキシシラン類群]
テトラアルコキシシラン類の種類に制限は無い。好適なものの例を挙げると、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ(n−ブトキシ)シランなどが挙げられる。また、テトラアルコキシシラン類群の例としては、前記のテトラアルコキシシラン類の加水分解物及び部分縮合物(オリゴマー等)なども挙げられる。
中でも、本発明の組成物の安定性及び生産性という観点では、テトラメトキシシラン及びテトラエトキシシラン並びにそれらのオリゴマーが好ましく、テトラエトキシシランがさらに好ましい。
ただし、テトラアルコキシシラン類は経時的に加水分解及び部分縮合を生じやすいため、テトラアルコキシシラン類のみを用意した場合でも、通常はそのテトラアルコキシシラン類の加水分解物及び部分縮合物がテトラアルコキシシラン類と共存することが多い。 なお、テトラアルコキシシラン類群に属する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[1−1−2.他のアルコキシシラン類群]
他のアルコキシシラン類は、上述したテトラアルコキシシラン類に属さないアルコキシシランであれば、任意のものを使用できる。好適なものの例を挙げると、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類;ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3,5−トリス(トリメトキシシリル)ベンゼン等の有機残基が2つ以上のトリアルコキシシリル基を結合したもの;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−カルボキシプロピルトリメトキシシラン等のケイ素原子に置換するアルキル基が反応性官能基を有するもの;などが挙げられる。また、他のアルコキシシラン類群の例としては、前記の他のアルコキシシラン類の加水分解物及び部分縮合物(オリゴマー等)なども挙げられる。
中でも、芳香族炭化水素基又は脂肪族炭化水素基を有するモノアルキルアルコキシシラン及びジアルキルアルコキシシランが好ましい。具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエチルシランなどが挙げられる。
ただし、他のアルコキシシラン類は経時的に加水分解及び部分縮合を生じやすいため、他のアルコキシシラン類のみを用意した場合でも、通常はその他のアルコキシシラン類の加水分解物及び部分縮合物が他のアルコキシシラン類と共存することが多い。
なお、他のアルコキシシラン類に属する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[1−1−3.テトラアルコキシシラン類群と他のアルコキシシラン類群との部分縮合物]
特定部分縮合物としては、上述したテトラアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種と他のアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種とが部分縮合した部分縮合物であれば、任意のものを用いることができる。好適な例を挙げると、テトラアルコキシシラン類の好適な例として例示したものと、他のアルコキシシラン類の好適な例として例示したものとが部分縮合した部分縮合物が挙げられる。
なお、特定部分縮合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。さらに、特定部分縮合物は、特定部分縮合物のみで用いてもよいが、上述したテトラアルコキシシラン類及び他のアルコキシシラン類の一方又は両方と併用してもよい。
[1−1−4.好ましい組み合わせ]
上述したテトラアルコキシシラン類及び他のテトラアルコキシシラン類の組み合わせの中でも、特に好ましい組み合わせとしては、テトラアルコキシシラン類としてのテトラエトキシシランと、他のアルコキシシラン類としての芳香族炭化水素基又は脂肪族炭化水素基を有するモノアルキルアルコキシシラン又はジアルキルアルコキシシランとの組み合わせが挙げられる。この組み合わせによれば、均質且つ耐久性を有するシリカ多孔質体が得られる。
[1−1−5.アルコキシシラン類の比率]
本発明の組成物において、上述したアルコキシシラン類は、以下の条件を満たすものとする。即ち、全アルコキシシラン類由来のケイ素原子に対するテトラアルコキシシラン類由来のケイ素原子の割合が、通常0.3(mol/mol)以上、好ましくは0.35(mol/mol)以上、より好ましくは0.4(mol/mol)以上であり、また、通常0.7(mol/mol)以下、好ましくは0.65(mol/mol)以下、より好ましくは0.6(mol/mol)以下である。前記の割合が小さすぎる場合、得られるシリカ多孔質体の疎水性は高くなるが、−O−Si−O−の結合が少なくなることで、シリカ多孔質体の機械的強度が極めて弱く、同様に耐水性も低下する可能性がある。一方、前記の割合が大きすぎる場合、シリカ多孔質体中の残存シラノール基が多くなり、やはり耐水性が低下する可能性がある。
ここで、全アルコキシシラン類由来のケイ素原子とは、本発明の組成物に含有されるテトラアルコキシシラン類群、他のアルコキシシラン類群及び特定部分縮合物が有するケイ素原子の数の合計をいう。また、テトラアルコキシシラン類由来のケイ素原子とは、本発明の組成物に含有されるテトラアルコキシシラン類群が有するケイ素原子の数と、特定部分縮合物が有するケイ素原子のうちテトラアルコキシシラン類群に対応する部分構造に属するケイ素原子の数との合計をいう。したがって、本発明の組成物が含有していたとしても、当該化合物が有するケイ素原子は前記の割合の算出には関与しない。
なお、前記の全アルコキシシラン類由来のケイ素原子に対するテトラアルコキシシラン類由来のケイ素原子の割合は、Si−NMRにより測定することができる。 ケイ素原子含有化合物は組成物中に通常0.05重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上含有されている
ことが好ましく、また通常70重量%以下、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下含有されていることが好ましい。0.05重量%を下回ると膜厚むらといった造膜性が低下する可能性があり、70重量%を越えると組成物の安定性が低下する可能性がある。なお、ケイ素原子含有化合物とは、ケイ素原子を含有する化合物であるが、具体的には前述の、テトラアルコキシシラン類、テトラアルコキシシラン類群、他のアルコキシシラン類、他のアルコキシシラン類群、特定部分縮合物が挙げられる。
また、シリカ多孔質体の製造プロセスの観点では、前記ケイ素原子含有化合物や下記に説明する有機ポリマーなどを含む固形分濃度は通常0.1重量%以上であり、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上である。また通常50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、35重量%以下がさらに好ましい。
[1−2.水]
本発明の組成物は、水を含有する。用いる水の純度は高いほうが好ましい。通常は、イオン交換及び蒸留のうち、いずれか一方または両方の処理を施した水を用いればよい。ただし、本発明の光学用途積層体のような微小不純物を特に嫌う用途分野に本発明のシリカ多孔質体を用いる際には、より純度の高いシリカ多孔質体が望ましいため、蒸留水をさらにイオン交換した超純水を用いることが好ましい。詳しくは、例えば0.01μm〜0.5μmの孔径を有するフィルターを通した水を用いればよい。
シリカ系組成物中の水の含有量は、全アルコキシシラン類由来のケイ素原子に対する水の割合が10〜50(mol/mol)の範囲内とする(請求項1)。通常10(mol/mol)以上、好ましくは11(mol/mol)以上、より好ましくは12(mol/mol)以上とする。また、30(mol/mol)以下、20(mol/mol)以下とする。全アルコキシシラン類由来のケイ素原子に対する水の割合が前記の範囲よりも小さいと、ゾル−ゲル反応のコントロールが難しく、ポットライフも短く、また、不均質な状態で膜が形成され、表面が荒れてしまうため、耐摩耗性が劣る可能性がある。
また、前期の範囲よりも大きいと、ゾル−ゲル反応が進みにくくなるため反応に時間がかかり、より親水的な表面を有するシリカ多孔質体が得られるため耐水性が低下する可能性がある。
従って、上記範囲内に水を制御することは、耐摩耗性および耐水性の向上のためには必須の条件である。
なお、水の量は、カールフィッシャー法(電量滴定法)により算出できる。
[1−3.有機溶媒]
本発明の組成物は、有機溶媒を含有する。この有機溶媒の種類は、本発明の効果を損なわない限り制限は無い。中でも、有機溶媒としては、上述したアルコキシシラン類及び水を混和させる能力を有するものを1種以上用いることが好ましい。好適な有機溶媒の例を挙げると、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール等の炭素数1〜4の一価アルコール、炭素数1〜4の二価アルコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールなどのアルコール類;ジエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、2−エトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等の、前記アルコール類のエーテルまたはエステル化物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルホリン、N−アセチルモルホリン、N−ホルミルピペリジン、N−アセチルピペリジン、N−ホルミルピロリジン、N−アセチルピロリジン、N,N’−ジホルミルピペラジン、N,N’−ジホルミルピペラジン、N,N’−ジアセチルピペラジン等のアミド類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;テトラメチルウレア、N,N’−ジメチルイミダゾリジン等のウレア類;ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらの中でも、含有するアルコキシシラン類がより安定な条件下で加水分解を行なうためには、アルコール類が好ましく、1価アルコールがより好ましい。
なお、有機溶媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。中でも、本発明のシリカ多孔質体において、屈折率が低く、かつ耐水性の優れた多孔質構造をより確実に得るには、2種類以上の有機溶媒を併用し、その混合物を有機溶媒として使用することが好ましい。
また、組成物の成膜性の観点で、沸点の高いエーテル化物やエステル化物を少量混合することも可能である。
ただし、本発明の組成物を膜状等の形状に成形し、加熱処理して均質なシリカ多孔質体を形成するには、第一工程目の加熱処理(プリベーク)の際に、ある程度の溶媒の除去と水の除去とが同時に行なわれることが好ましい。したがって、表面近傍又は内部に存在する水分と同時に本発明の組成物内の有機溶媒が揮発するような有機溶媒を用いることが好ましい。
したがって、本発明の組成物には、有機溶媒として所定範囲の沸点を有する有機溶媒を所定の高い割合で含有させるようにする。具体的には、以下の条件を満たすようにする。即ち、沸点が通常55℃以上、好ましくは60℃以上、より好ましくは65℃以上、また、通常140℃以下、好ましくは135℃以下、より好ましくは130℃以下の有機溶媒(以下適宜、「所定沸点溶媒」という)を少なくとも1種用いるとともに、全有機溶媒中に占める当該所定沸点溶媒の割合を、通常80重量%以上、好ましくは83重量%以上、より好ましくは85重量%以上とする。なお、当該割合の上限は100重量%である。前記の沸点が低すぎるとゾル−ゲル反応が不十分な状態で本発明の組成物が硬化し、本発明のシリカ多孔質体が極めて耐水性に劣ることになる可能性がある。
一方、前記の沸点が高すぎると、局所的にゾル−ゲル反応が進むことで、本発明のシリカ多孔質体が不均質となり、表面性の低下や耐水性の低下につながる可能性がある。さらに、前記の所定沸点溶媒の割合が低い場合には、上記の利点が得られない可能性がある。このような観点から前記の所定沸点溶媒の例を挙げると、エタノール、1−プロパノール、t−ブタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、エチルアセテートなどが挙げられる。したがって、上記の有機溶媒としては、これらの中から選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましい。
また、有機溶媒全体の使用量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、全アルコキシシラン類由来のケイ素原子に対して、通常0.01mol/mol以上、中でも0.1mol/mol以上、特には1mol/mol以上が好ましく、また、通常100mol/mol以下、中でも70mol/mol以下、特には20mol/mol以下が好ましい。有機溶媒の使用量が少なすぎるとシリカ多孔質体の表面性が低くなる可能性があり、多すぎるとシリカ多孔質体を基板上に膜として形成した場合に膜質が基板の表面エネルギーに影響されやすくなる可能性がある。
[1−4.触媒]
本発明の組成物は、触媒を含有する。触媒は、上述したアルコキシシラン類の加水分解および脱水縮合反応を促進させる物質を任意に用いることができる。
その例を挙げると、塩酸、硝酸、硫酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸などの酸類;アンモニア、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ピリジンなどの塩基類;アルミニウムのアセチルアセトン錯体などのルイス酸類;などが挙げられる。
また、触媒の例としては、金属キレート化合物も挙げられる。この金属キレート化合物の金属種としては、例えば、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、スズ、アンチモン等が挙げられる。金属キレート化合物の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。
即ち、アルミニウム錯体としては、例えば、ジ−エトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−イソプロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−tert−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−tert−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジイソプロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−tert−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−tert−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等のアルミニウムキレート化合物等を挙げることができる。
チタン錯体としては、トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリイソプロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−tert−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−tert−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノイソプロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−tert−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、テトラキス(アセチルアセトナート)チタン、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリイソプロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−tert−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−tert−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノイソプロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−tert−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、テトラキス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)チタン、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)チタン、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)チタン等を挙げることができる。
上述したものの中でも、アルコキシシラン類の加水分解および脱水縮合反応をより容易に制御するためには、酸類若しくは金属キレート化合物が好ましく、酸類がさらに好ましい。
なお、触媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
触媒の使用量は本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、アルコキシシラン類に対して、通常0.001mol倍以上、中でも0.003mol倍以上、特には0.005mol倍以上が好ましく、また、通常0.8mol倍以下、中でも0.5mol倍以下、特には0.1mol倍以下が好ましい。触媒の使用量が少なすぎると加水分解反応が適度に進まず、製造後にシリカ多孔質体中にシラノール基などの活性基が残存しやすくなり、シリカ多孔質体の耐水性が低下する可能性があり、多すぎると反応制御が困難になり、製造中に触媒濃度が更に高くなることで、シリカ多孔質体の表面性が低下する可能性がある。
また、造膜性の観点で組成物のpHは通常7未満であるが、5.5以下であることが好ましく、より好ましくは4.5以下、さらに好ましくは3以下、特に好ましくは2以下である。この範囲にすることで成膜時に基材の表面改質を同時に行うことができ、より造膜性が向上する傾向になる。
[1−5.有機ポリマー]
本発明の組成物は、有機ポリマーを含有する。有機ポリマーとしては、ポリエチレングリコール(以下適宜、「PEG」という)、ポリプロピレングリコール、ポリイソブチレングリコールポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリ(2−エチルー2−オキサゾリン)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸塩などが挙げられる。
特に好ましい有機ポリマーとしては、エチレンオキサイド部位を有する有機ポリマーである。中でも非イオン性高分子とすることが特に好ましい。エチレンオキサイド部位を有することにより、本発明に係る有機ポリマーは、アルコキシシラン類のゾル−ゲル反応中において形成されるアルコキシシラン類の加水分解物や縮合物に対して安定となる。
この際、本発明に係る有機ポリマー中のエチレンオキサイド部位の含有量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常20重量%以上、好ましくは23重量%以上、より好ましくは25重量%以上であり、また、通常100重量%以下、好ましくは90重量%以下、より好ましくは85重量%以下である。エチレンオキサイド部位の含有量が上記の範囲に収まることで、アルコキシシラン類のゾル−ゲル反応中において形成されるアルコキシシラン類の加水分解物や縮合物に対して、有機ポリマーがさらに安定に存在することができる。
また、エチレンオキサイド部位を有していれば、主鎖骨格構造は特に限定されることはない。主鎖骨格構造の具体例を挙げると、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリジエン、ポリビニルエーテル、ポリスチレン、及びそれらの誘導体などが挙げられる。中でも、ポリエーテルを構成成分とする高分子が好ましい。その具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソブチレングリコールなどが挙げられる。中でも、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイド トリブロックポリマー、及び/又は、ポリエチレングリコールが特に好ましい。
なお、本発明に係る有機ポリマーは、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
重量平均分子量は、好ましくは、4,300以上であり、より好ましくは5,000以上、特に好ましくは6,000以である。高分子の重量平均分子量が小さすぎると、得られるシリカ多孔質体の多孔度を高く維持することが困難となり、低屈折率なシリカ多孔質体を安定して製造することができなくなる可能性がある。なお、前記重量平均分子量の上限は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常100,000以下、好ましくは70,000以下、より好ましくは40,000以下である。重量平均分子量が大きすぎると均質なシリカ多孔質体を製造できなくなり、シリカ多孔質体の耐水性が低下する可能性がある。
また、本発明に係る有機ポリマーの使用量は本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、全アルコキシシラン類由来のケイ素原子に対する本発明に係る有機ポリマーの割合が、通常0.001(mol/mol)以上、好ましくは0.002(mol/mol)以上、より好ましくは0.003(mol/mol)以上、また、通常0.05(mol/mol)以下、好ましくは0.04(mol/mol)以下、より好ましくは0.03(mol/mol)以下となるようにする。前記の割合が小さすぎると本発明のシリカ多孔質体が十分な多孔質構造を形成することができず、光学用途に有効な低屈折率を実現できない可能性がある。一方、前記の割合が大きすぎる場合には、本発明のシリカ多孔質体を成形した場合に表面に本発明に係る有機ポリマーが過剰に析出し、表面を荒らす可能性がある。
さらに、光学用途として応用する際の不純物を減らす観点から、本発明に係る有機ポリマーは、カチオンを含まないことが好ましい。また、カチオンを含んでいたとしても、カチオンの量は少ないことが好ましい。具体的な範囲を挙げると、本発明に係る有機ポリマー中のカチオンの量は、10重量%以下が好ましく、より好ましくは5重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。カチオン成分が残存すると、基材が機能低下する可能性や、本発明のシリカ多孔質体が着色したりする可能性がある。
[1−6.その他]
本発明のシリカ多孔質体を製造することが可能である限り、本発明の組成物には、上述したアルコキシシラン類、水、有機溶媒、触媒及び本発明に係る有機ポリマー以外の成分を含有していても良い。また、当該成分は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[1−7.利点]
本発明の組成物は、屈折率が低く耐摩耗性、耐水性に優れる本発明のシリカ多孔質体を製造することができる。なお、本発明の組成物から本発明のシリカ多孔質体を製造する具体的な方法については、後述する。
また、本発明の組成物はポットライフが長く安定しているため、従来の技術に比べて安定して均一なシリカ多孔質体膜を製造できる。
さらに、本発明の組成物においては、耐水性に優れたシリカ多孔質体の屈折率を、所望の範囲に収めることができる。
[2.シリカ多孔質体の製造方法]
本発明のシリカ多孔質体の製造方法に制限は無いが、通常は、上述した本発明の組成物を膜状等の所望の形状に成形し、加熱により硬化させて本発明のシリカ多孔質体を製造する。以下、この製造方法(以下適宜、「本発明の製造方法」という)について詳細に説明する。
本発明の製造方法では、本発明の組成物を調合し、これを膜化した後、加熱して本発明のシリカ多孔質体を製造する。また、本発明の製造方法では、必要に応じて、その他の操作を行なってもよい。例えば、本発明の組成物の調合中又は調合後に熟成を行なってもよく、硬化後の本発明のシリカ多孔質体の冷却及び後処理などを行なってもよい。
[2−1.調合工程]
調合工程では、本発明の組成物を構成する各成分を混合して、本発明の組成物を用意する。この際、各成分の混合の順番に制限は無い。また、各成分は、全量を一回で混合しても良く、2回以上に分けて連続又は断続的に混合しても良い。
ただし、従来、制御困難とされているゾル−ゲル反応を制御して、本発明の組成物をより工業的に調合するためには、以下の要領で混合することが好ましい。即ち、アルコキシシラン類、水、触媒及び溶媒を混合し、その混合物を熟成させることでアルコキシシラン類をある程度加水分解及び脱水縮合させる。そして、その混合物に本発明に係る有機ポリマーを混合して、本発明の組成物を調合する。これにより、ゾル−ゲル反応条件下で、アルコキシシラン類と有機ポリマーとの親和性を維持することができる。なお、熟成は、前記の混合物と本発明に係る有機ポリマーを混合した後で行なってもよい。
前記の熟成の際、アルコキシシラン類の加水分解・脱水縮合反応を進めるためには、加熱することが好ましい。加熱条件として、用いる溶媒の沸点を超えなければ特に制限は無いが、通常40℃以上、中でも50℃以上、特には60℃以上とすることが好ましい。加熱温度が低すぎると反応時間が極度に長くなり、生産性が低下する可能性がある。一方、加熱温度の上限は、100℃以下が好ましく、95℃以下がより好ましい。100℃を超えると本発明の組成物中の水が沸騰し、分解・脱水縮合反応を制御できなくなる可能性がある。
また、熟成時間に制限は無いが、通常10分以上、好ましくは20分以上、より好ましくは30分以上、また、通常10時間以下、好ましくは8時間以下、より好ましくは5時間以下である。熟成時間が短すぎると均一に熟成反応を進めることが難しくなる可能性があり、長すぎると溶媒の揮発が無視できなくなり、組成比が変化して組成物の安定性が低くなったり、得られるシリカ多孔質体の耐水性が低下する可能性がある。
さらに、熟成時の圧力条件に制限は無いが、通常は常圧で熟成を行なう。圧力が変化すると溶媒の沸点も変化し、熟成中の溶媒が揮発(蒸発)することで、組成比が変化して、組成物の安定性が低くなったり、高い耐水性を有するシリカ多孔質体が得られなかったりする可能性がある。
また、熟成の後、膜化工程の前に本発明の組成物は有機溶媒を更に混合して希釈することが好ましい。これにより、本発明の組成物内でのゾル−ゲル反応速度を低下させることができ、本発明の組成物のポットライフを長く維持することが可能となる。
[2−2.膜化工程]
調合工程の後、用意した本発明の組成物を膜化する膜化工程を行なう。膜化工程では、通常、所定の基材の表面に本発明の組成物を成膜して本発明の組成物の膜を形成する。
成膜の方法に制限は無いが、例えば、本発明の組成物をバーコーター、アプリケーター、ドクターブレード等を使用して基材上に延ばす流延法;本発明の組成物に基材を浸漬し引き上げるディップコート法;スピンコート法、キャピラリーコート法、ダイコート法、スプレーコート法などの周知を挙げることができる。これらの方法のうち、流延法、ダイコート法、スプレーコート法及びスピンコート法が本発明の組成物を均一に塗布することができるので好ましく採用される。中でも、均質な膜を形成する上ではスピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法が特に好ましい。
膜厚は、通常0.05μm〜0.5μm、好ましくは、0.10μm〜0.3μm より好ましくは、0.10μm〜0.2μmの範囲に制御することが好ましい。この範囲に膜厚を制御するここで、基材との密着性がよく、耐摩耗性に優れた膜を形成することができる。また、この範囲外になると、基材との密着性に劣るため磨耗しやすく、膜としての強度が小さいために耐久性に劣る傾向がある。
膜厚の制御方法のひとつとして、本発明の組成物を熟成後に希釈のために加える有機溶媒量を変更することで制御することが可能である。
流延法で本発明の組成物を膜化する場合、流延速度に制限は無いが、通常0.1m/分以上、好ましくは0.5m/分以上、より好ましくは1m/分以上、また、通常1000m/分以下、好ましくは700m/分以下、より好ましくは500m/分以下である。流延速度が遅すぎると膜厚にムラができる可能性があり、速すぎると基材との濡れ性の制御が困難になる可能性がある。
また、ディップコート法においては、任意の速度で、基材を塗布液に浸漬し引き上げればよい。この際の引き上げ速度に制限は無いが、通常0.01mm/秒以上、好ましくは0.05mm/秒以上、より好ましくは0.1mm/秒以上、また、通常50mm/秒以下、好ましくは30mm/秒以下、より好ましくは20mm/秒以下である。引き上げ速度が遅すぎたり速すぎたりすると、膜厚にムラができる可能性がある。一方、基材を塗布液中に浸漬する速度に制限はないが、通常は、引き上げ速度と同程度の速度で基材を塗布液中に浸漬することが好ましい。さらに、基材を塗布液中に浸漬してから引き上げるまでの間、適当な時間浸漬を継続してもよい。この浸漬を継続する時間に制限は無いが、通常1秒以上、好ましくは3秒以上、より好ましくは5秒以上、また、通常48時間以下、好ましくは24時間以下、より好ましくは12時間以下である。この時間が短すぎると基材への密着性が低い可能性があり、長すぎると浸漬中に膜が形成されて平滑性が低い可能性がある。
さらに、スピンコート法で本発明の組成物を塗布形成する場合、回転速度は、通常10回転/分以上、好ましくは50回転/分以上、より好ましくは100回転/分以上、また、通常100000回転/分以下、好ましくは50000回転/分以下、より好ましくは10000回転/分以下である。回転速度が遅すぎると膜厚にムラができる可能性があり、速すぎると溶媒の気化が進みやすくなりアルコキシシラン類の加水分解等の反応が十分進まず耐水性が低い可能性がある。
また、好ましい回転数の範囲内において、回転数を増加させることで膜厚を小さくしたり、回転数を減少させることで膜厚を大きくしたり、膜厚の調整が可能である。
また、スプレーコート法で本発明の組成物を塗布形成する場合、スプレーノズルの方式には特に限定されないが、各々のスプレーノズルの利点を考慮して選択すればよい。代表的な例として、二流体スプレーノズル(二流体霧化方式)、超音波スプレーノズル(超音波霧化方式)、回転式スプレーノズル(回転霧化方式)などが挙げられる。組成物の霧化と気体流による霧化粒子の基材への搬送を独立に制御できる点では、超音波スプレーノズル、及び回転式スプレーノズルが好ましく、組成物の液性維持の観点では二流体スプレーノズルが好ましい。
さらに、霧化粒子の搬送に利用する気体流の気流速度は、用いる組成物により適宜調整することが好ましいが、通常5m/秒以下、好ましくは4m/秒以下、より好ましくは3m/秒以下である。気流速度が高過ぎると、膜が不均質になる可能性がある。また用いる気体としては特に限定されないが、窒素などの不活性ガスが好ましい。
スプレーノズルと基材との距離は基材サイズにより適宜調整することが好ましいが、通常5cm以上、好ましくは10cm以上、より好ましくは15cm以上である。また通常100cm以下、好ましくは80cm以下、より好ましくは50cm以下である。この範囲を超えると膜厚むらが発生する可能性がある。
ただし、本発明の製造方法の膜化工程では、相対湿度が通常20%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上、また、通常85%以下、好ましくは80%以下、より好ましくは75%以下の環境下において膜化を行なうようにする。膜化工程での相対湿度を前記の範囲にすることにより、表面平滑性の高い膜が得られる。
膜化工程における雰囲気に制限は無い。例えば、空気雰囲気中で膜化を行なっても良く、例えばアルゴン等の不活性雰囲気中で膜化を行な・BR>チてもよい。
膜化工程を行なう際の温度に制限は無いが、通常0℃以上、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上、また、通常100℃以下、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、更に好ましくは60℃以下、中でも好ましくは50℃以下、特に好ましくは40℃以下である。膜化の際の温度が低すぎると溶媒が気化しにくくなり膜の表面平滑性が低下する可能性があり、高すぎるとアルコキシシラン類の硬化が急速に進み膜歪みが大きくなる可能性がある。
膜化工程を行なう際の圧力に制限は無いが、通常0.05MPa以上、好ましくは0.08MPa以上、より好ましくは0.1MPa以上、また、通常0.3MPa以下、好ましくは0.2MPa以下、より好ましくは0.15MPa以下である。圧力が低すぎると溶媒が気化しやすくなり膜化後のレベリング効果が得られず膜の平滑性が低くなる可能性があり、高すぎると溶媒が気化しにくくなり膜の表面性が低くなる可能性がある。
ところで、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法では、乾燥速度に違いがあり、膜化直後の膜の安定構造に僅かな違いが生じることがある。これは膜化中の雰囲気を変えることで調整する事ができる。また、前記の膜の安定構造の僅かな違いは、基材の表面処理によっても対処する事ができる。
なお、本発明の組成物を基材上に成膜するのに先立って、本発明の組成物の濡れ性、形成されるシリカ多孔質体の密着性の観点から、基材に表面処理を施しておいてもよい。そのような表面処理の例を挙げると、シランカップリング処理、コロナ処理、UVオゾン処理などが挙げられる。また、表面処理は、1種のみを行なってもよく、2種以上を任意に組み合わせて行なってもよい。
また、膜化工程は一回で行なってもよいが、二回以上に分けて行なってもよい。例えば、後述する加熱工程を介して膜化工程を二回以上行なうようにすれば、積層構造を有するシリカ多孔質体を形成することが可能である。これは、例えば屈折率が異なる層を積層したい場合などに有用である。
[2−3.加熱工程]
膜化工程の後、本発明の組成物の膜を加熱する加熱工程を行なう。加熱工程は2段階に分けて各工程別に詳細な温度制御を行なうことも本発明の特徴である。加熱工程を二つに分けることにより、より均質な膜の形成が可能になり、耐摩耗性も向上する。さらに、生産途中でラインを停止することも可能になり生産性の向上にも寄与することが可能である。加熱工程により、本発明の組成物中の有機溶媒及び/又は水が乾燥、除去されて、膜が硬化することにより、本発明のシリカ多孔質体が形成される。なお、本発明では2段階に分けて各工程別に詳細な温度制御を行うが、第一加熱工程(プリベーク)では、下記に示す温度範囲において、組成物中の有機溶媒及び/又は水が乾燥、除去されれば特に制限はないが、除去される割合は、第一加熱工程(プリベーク)を行う前の有機溶媒及び水の量それぞれに対して通常50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは100%である。つまり、第一加熱工程(プリベーク)において有機溶媒及び/又は水が乾燥、除去された後に、第二加熱工程(本ベーク、硬化)の工程を行う。
加熱処理の方式は特に制限されないが、例としては、加熱炉(ベーク炉)内に基材を配置して本発明の組成物の膜を加熱する炉内ベーク方式、プレート(ホットプレート)上に基材を搭載しそのプレートを介して本発明の組成物の膜を加熱するホットプレート方式、前記基材の上面側及び/又は下面側にヒーターを配置し、ヒーターから電磁波(例えば赤外線)を照射して、本発明の組成物の膜を加熱する方式、などが挙げられる。なお工業的な方式は、第一加熱工程及び第二加熱工程に対応する独立した炉やプレート、ヒーター等の上記装置を準備しておくのが好ましい。
第一加熱工程(プリベーク)では、通常100℃以上200℃以下が好ましい。より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは150℃以上、また、好ましくは180℃以下、より好ましくは170℃以下である。加熱温度が低すぎると溶媒が除去できず、膜に流動性があり、不安定で均質な膜ができない。さらに、表面がべたついているために、生産の途中で重ねておいて置くこともできず、ごみ等が付着する可能性もあり、生産適正に劣る。一方、温度が高すぎると、膜の硬化が始まってしまうため、プリベークによる利点が損なわれる。
第二加熱工程(本ベーク、硬化)では、通常300℃以上、700℃以下が好ましい。好ましくは320℃以上、更に好ましくは350℃以上、また、好ましくは500℃以下、より好ましくは450℃以下である。加熱温度が低すぎると得られる膜(即ち、本発明のシリカ多孔質体)の屈折率が下がらなかったり、着色したりする可能性がある。一方、加熱温度が高すぎると基材と本発明のシリカ多孔質体との密着性が低下する可能性がある。なお、加熱工程において、前記の加熱温度で連続的に加熱を行なってもよいが、断続的に加熱を行なうようにしてもよい。
第一加熱工程(プリベーク)、第二加熱工程(本ベーク、硬化)ともに、加熱を行なう際、昇温速度は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1℃/分以上、好ましくは10℃/分以上、また、通常500℃/分以下、好ましくは300℃/分以下で昇温する。昇温速度が遅すぎると膜が緻密化し、膜歪みが大きくなって耐水性が低くなる可能性があり、昇温速度が速すぎると膜歪みが大きくなって耐水性が低くなる可能性がある。
第一加熱工程(プリベーク)において加熱を行なう時間は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常30秒以上、好ましくは1分以上、より好ましくは2分以上、また、通常5時間以下、好ましくは2時間以下、より好ましくは1時間以下である。加熱時間が短すぎると十分に溶媒を除去できず、膜に流動性があり、第二加熱工程までの間に表面が変形したり、ごみが付着して均一な膜ができなくなる可能性がある。
第二加熱工程(本ベーク、硬化)において加熱を行なう時間は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常30秒以上、好ましくは1分以上、より好ましくは2分以上、また、通常5時間以下、好ましくは2時間以下、より好ましくは1時間以下である。加熱時間が短すぎると十分に有機ポリマーを取り除けなくなる可能性があり、長すぎるとアルコキシシランの反応が進み、基板との密着性が低くなる可能性がある。
第一加熱工程と第二加熱工程時の加熱を行なう際の圧力は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、減圧環境とすることが好ましい。アルコキシシランの反応よりも溶媒の気化が進行し、耐水性が低い膜になる可能性があるためである。この観点から、加熱工程では、圧力を、通常0.2MPa以下、好ましくは0.15MPa以下、より好ましくは0.1MPa以下とする。一方、圧力の下限に制限は無いが、通常10−4MPa以上、好ましくは10−3MPa以上、より好ましくは10−2MPa以上である。圧力が低すぎるとアルコキシシランの反応よりも溶媒の気化が進行し、耐水性が低い膜になる可能性がある。
加熱を行なう際の雰囲気は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、中でも、乾燥ムラの生じにくい環境が好ましい。その中でも、大気雰囲気下で加熱を行なうことが好ましい。また、不活性ガス処理を行ない、不活性雰囲気下で乾燥を行なうことも可能である。
以上のように、加熱処理を行なうことにより、本発明の組成物の膜を硬化させて、本発明のシリカ多孔質体を得ることができる。また、前記の膜は通常は基材表面に形成されるため、本発明の製造方法によれば、本発明の光学用積層体を製造することも可能である。
[2−4.冷却工程]
加熱工程の後、必要に応じて、冷却工程を行なってもよい。冷却工程では、加熱工程で高温となった本発明のシリカ多孔質体を冷却する。この際、冷却速度は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1℃/分以上、好ましくは0.5℃/分以上、より好ましくは0.8℃/分以上、更に好ましくは1℃/分以上、また、通常100℃/分以下、好ましくは50℃/分以下、より好ましくは30℃/分以下、更に好ましくは20℃/分以下である。冷却速度が遅すぎると製造コストが高くなる可能性があり、速すぎると隣接する膜間の線膨張が異なることによる膜質の低下が予想される。
また、冷却工程における雰囲気は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であり、例えば、真空環境、不活性ガス環境であってもよい。さらに、温度及び湿度に制限は無いが、通常は常温・常湿で冷却する。
[2−5.後処理工程]
加熱工程の後、必要に応じて、後処理工程を行なってもよい。後処理工程で行なう具体的な操作に制限は無いが、例えば、得られたシリカ多孔質体をシリル化剤で処理することで、本発明のシリカ多孔質体の表面をより機能性に優れたものにできる。具体例を挙げると、シリル化剤で処理することにより、本発明のシリカ多孔質体に疎水性が付与され、アルカリ水などの不純物により空孔が汚染されるのを防ぐことができる。
シリル化剤としては、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類;トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロソラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、メチルクロロジシラン、トリフェニルクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン、ジフェニルジクロロシランなどのクロロシラン類;ヘキサメチルジシラザン、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレア、N−トリメチルシリルアセトアミド、ジメチルトリメチルシリルアミン、ジエチルトリエチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾールなどのシラザン類;(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン等のフッ化アルキル基やフッ化アリール基を有するアルコキシシラン類;などが挙げられる。
なお、シリル化剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。 シリル化の具体的操作としては、例えば、シリル化剤をシリカ多孔質体に塗布したり、シリル化剤中にシリカ多孔質体を浸漬したり、シリカ多孔質体をシリル化剤の蒸気中に曝したりすることにより、行なうことができる。
また、後処理の別の例としては、本発明のシリカ多孔質体を多湿条件下でエージングすることで、多孔質構造中に存在する未反応シラノールを減らすことができ、これにより、本発明のシリカ多孔質体の耐水性をより向上させることも可能である。
[2−6.その他]
本発明の製造方法では、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述した各工程の工程前、工程中及び工程後の任意の段階で、任意の工程を行なってもよい。
[2−7.利点]
本発明の製造方法によれば、屈折率が低く、耐摩耗性、耐水性に優れる本発明のシリカ多孔質体を製造できる。また、本発明の製造方法によれば、本発明の組成物及び光学用途積層体を製造することもできる。即ち、本発明の製造方法によれば、低屈折率という光学的性能を安定して維持できるシリカ多孔質体、光学用途積層体及び組成物、並びに、それを用いた光学用途積層体を提供できる。特に、製造できるシリカ多孔質体は、耐摩耗性、耐水性に優れるため、屋外での使用を前提とした用途にも好適に使用できる。
[3.シリカ多孔質体]
[3−1.多孔質構造]
本発明のシリカ多孔質体は、多数の空孔を有したシリカを主成分とする多孔質構造を有する多孔質体である。その空孔は、通常、トンネル状や独立空孔がつながった連結孔であるが、詳細な空孔の構造には特に制限はない。ただし、当該空孔の構造としては連続的な空孔が好ましく、こうした連続的な空孔は電子顕微鏡により確認することができる。
また、シリカを主成分とする、とは、酸化ケイ素組成において、ケイ素を含む全ての陽性元素に対するケイ素の割合が、通常50mol%以上、好ましくは70mol%以上、より好ましくは80mol%以上、特に好ましくは90mol%以上であることをいう。前記のケイ素の含有割合が前記下限値未満であると、シリカ多孔質体の表面粗さが極端に大きくなり、機械的強度も低下する可能性がある。また、ケイ素の含有割合が高いほど表面平滑性のよいシリカ多孔質体が形成される。なお、上限は理想的には100mol%である。
本発明のシリカ多孔質体は、屈折率が低く、当該屈折率を所望の範囲に制御できることから、例えば、低反射材料、反射防止材料として応用できる。即ち、樹脂や硝子など、あらゆる基材に対して、低反射層として最適な屈折率を本発明のシリカ多孔質体により提供することができる。
シリカ多孔質体を低反射層として使用する場合、シリカ多孔質体は一定サイズ以上の基材に備えることが好ましい。即ち0.1m以上が好ましく、0.25m以上がより好ましく、1m以上がさらに好ましい。かかるサイズより小さいと、低反射効果が十分に現れない可能性がある。
また、本発明のシリカ多孔質体は平滑性に優れているため、例えば、エレクトロルミネッセンス素子における光取出し材料としても応用が期待される。
さらに、本発明のシリカ多孔質体は、磨耗性に対して耐性があり、水に対して安定であるため、屋外での使用を前提とした用途にも利用できることから、太陽電池に対しても応用できる。この場合、本発明のシリカ多孔質体は、太陽電池用低反射層として用いて好適である。この太陽電池用低反射層は、通常は太陽電池の最表面に形成され、光取り込み膜として機能するものである。即ち、太陽電池用低反射層は、太陽電池に入射する光を効率よく内部に取り込み、太陽電池の発光効率を高める働きをするものである。
[3−2屈折率]
本発明のシリカ多孔質体は、屈折率が1.3以下である。中でも、1.28以下が好ましく、1.27以下がより好ましく、1.25以下が特に好ましい。さらに好ましくは1.23以下である。屈折率が大きすぎると本発明のシリカ多孔質体中の歪みが大きくなり、外力に対して弱くなる可能性がある。一方、屈折率の下限に特に制限は無いが、通常1.05以上、好ましくは1.08以上である。屈折率が小さすぎると本発明のシリカ多孔質体の機械的強度が著しく低下する可能性がある。
なお、屈折率は、分光エリプソメーター法、反射率測定、反射分光スペクトル測定或いはプリズムカプラーなどの光学的手法で測定された波長400nm〜700nmにおける値をいい、好ましくは分光エリプソメーターで測定されたものをいう。分光エリプソメーターで測定する場合、測定値をCauthyモデルでフィッティングすることで、屈折率を見積もることができる。
また、中心線平均粗さの大きい基材上に備えられたシリカ多孔質体の場合、反射率分光スペクトル測定によっても屈折率を見積もることが可能であり、測定領域を10μm以下にすることが好ましい。
[3−3.耐水性]
本発明のシリカ多孔質体は、水に浸漬する前と、水に24時間浸漬した後との波長550nmでの屈折率差が、0.15以下である(条件(2))。中でも0.1以下がより好ましく、0.05以下が更に好ましく、0.03以下が特に好ましい。これにより、本発明のシリカ多孔質体は、耐水性に優れ、光学用途でも安定した屈折率性能を得ることができる。また、屈折率差が前記上限値より大きい場合、シリカ多孔質体の多孔質構造内部に水を拘束していると同時に、上記処理によりシリカ多孔質体内部でシラノール基の縮合反応が進んでいる可能性が高い。この場合、処理前の段階で既にシリカ多孔質体が不安定な状態にあった可能性がある。
また、前記の屈折率差の下限値は、0.001以上が好ましく、0.002以上がより好ましく、0.004以上がさらに好ましい。前記の屈折率差が前記下限値より小さいと、本発明のシリカ多孔質体は、水との親和性という観点で疎水的な性質となる。この際、多孔質構造における毛細管現象により、水がシリカ多孔質体の内部に拘束される可能性がある。この場合、拘束された水は極めて抜けにくい状態になり、シリカ多孔質体の屈折率性能を維持できなくなる可能性がある。これは、屋外での使用を前提とした用途に対しては重要である。
なお、前記の屈折率差は、以下の要領で測定できる。即ち、本発明のシリカ多孔質体の波長550nmにおける屈折率n1を事前に測定した後、このシリカ多孔質体を常温・常湿(温度18℃〜28℃、湿度20%〜80%RH)の条件下で水に浸し、24時間後に取り出し、乾燥させる。以下、この処理を適宜「水浸漬処理」という。なお、乾燥は、100℃以上の加熱で行わず、風乾により行なう。その後、このシリカ多孔質体の波長550nmにおける屈折率n2を再度測定する。このときの屈折率差の絶対値Δn=|n2−n1|が前記の屈折率差となる。
また、耐水性の評価は上記水浸漬処理の他に、以下に説明する「高温高湿処理」によっても可能である。即ち、本発明のシリカ多孔質体の波長550nmにおける屈折率n1を事前に測定した後、このシリカ多孔質体を温度85℃、湿度85%RHの条件下に静置し、500時間後に取り出す。その後、このシリカ多孔質体の波長550nmにおける屈折率n3を再度測定する。このときの屈折率差の絶対値Δn´=|n3−n1|が前記の屈折率差となる。屈折率差は0.001以上が好ましく、0.003以上がより好ましく、0.005以上がさらに好ましく、0.008以上が特に好ましい。また0.15以下が好ましく、0.12以下がより好ましく、0.1以下が更に好ましく、0.08以下が特に好ましい。
[3−4.膜厚の測定]
膜厚の測定は、ケーエルエー・テンコール社製P−15型接触式表面粗さ計を用い、測定条件はスタイラス・フォース(触圧)0.2mg、スキャン速度10μm/秒として行なえばよい。また分光エリプソメーター、反射分光スペクトル法、プリズムカップラによっても評価できる。
[4.光学用途積層体]
本発明の光学用途積層体は、基材と、当該基材上に設けられた本発明のシリカ多孔質体とを備えて構成される。また、本発明の光学用途積層体は、必要に応じて、基材及びシリカ多孔質体以外の部材を備えていても良い。 [4−1.基材]
基材は用途に応じて任意のものを用いることができる。中でも、汎用材料からなる透明基板を用いることが好ましい。
基材の材料の例を挙げると、珪酸ガラス、高珪酸ガラス、珪酸アルカリガラス、鉛アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カリ石灰ガラス、バリウムガラスなどの珪酸塩ガラス、硼珪酸ガラスやアルミナ珪酸ガラス、燐酸塩ガラスなどのガラス及びこれらの強化ガラス;ポリメチルメタクリレート、架橋アクリレート等のアクリル樹脂、ピスフェノールAポリカーボネート等の芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリシクロオレフィン等の非晶性ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン等のスチレン樹脂、ポリエーテルスルホン等のポリスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等の合成樹脂、ETFE、PFA、PCTFE、ECTFE、PVDF、PVFなどのフッ素含有樹脂などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を任意の組合せで用いることができる。
中でも寸法安定性の観点では、ガラス、芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスルホン樹脂、フッ素含有樹脂、非晶性ポリオレフィン樹脂が好ましく、価格の点で、ソーダ石灰ガラス、芳香族ポリカーボネート樹脂、非晶性ポリオレフィン樹脂が好ましい。さらに、耐衝撃性の観点から強化ガラス、芳香族ポリカーボネート樹脂を使用することも好ましい。
例えば透光基材として太陽電池用カバーガラスを用いる場合、シリカ系多孔質膜は透光基材表面の反射防止膜として機能し、出力の向上を実現する。本発明の製造方法により得られる多孔質シリカ膜は耐久性に優れているため、このような用途に好適である。なお単結晶太陽電池や多結晶太陽電池などの近赤外光でも光電変換可能な太陽電池に用いられる太陽電池用カバーガラスを透光基材として用いる場合には、通常のソーダ石灰ガラスでは含有される2価の鉄イオンによって近赤外領域に吸収を持つため、鉄イオン含有量を低減することで光透過性を高めることが好ましく、さらに耐衝撃強度が優れた白板強化ガラスを上記透光基材として用いることがより好ましい。
また、樹脂カバーフィルムとしてフッ素含有樹脂を用いる場合は、樹脂の表面処理を施した上に製膜することが好ましい。
基材の寸法は任意である。ただし、基材として板状の基板を用いる場合には、当該基板の厚さは、機械的強度及びガスバリア性の観点から、0.1mm以上が好ましく、0.2mm以上がより好ましい。また、当該厚さは、軽量化及び光線透過率の観点から、80mm以下が好ましく、50mm以下がより好ましく、30mm以下が特に好ましい。
また、基材の中心線平均粗さも任意である。ただし、積層するシリカ多孔質体の成膜性の観点から、当該中心線平均粗さは10nm以下が好ましく、8nm以下がより好ましく、5nm以下が更に好ましく、3nm以下が特に好ましい。
一方、防眩性や隠蔽性を付与する場合、基材の中心線平均粗さは上記の限りではなく、基材の表面は凸凹を有することが好ましい。かかる凹凸は基材の片面のみでも、両面に有していてもよいが、シリカ多孔質体が積層される面に有することが好ましい。具体的には、中心線平均粗さは通常0.1μm以上、好ましくは0.2μm以上、より好ましくは0.4μm以上であり、また通常15μm以下、好ましくは10μm以下である。表面粗さの最大高さRmaxは通常0.1μm以上であり、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上、特に好ましくは0.8μm以上であり、通常100μm以下、好ましくは80μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下、特に好ましくは10μm以下である。上記中心線平均粗さ及び表面粗さの最大高さRmaxの範囲にある基材上に本発明のシリカ多孔質体を備えることで低反射特性に優れ、かつ防眩性にも優れた光学用途積層体を提供することができる。この範囲を下回る、若しくは超えた場合、低反射効果が損なわれる可能性があり、また外観が不透明になる可能性がある。また基材表面の凹凸の平均間隔Smは、通常0.01mm以上、好ましくは0.03mm以上であり、通常30mm以下、好ましくは15mm以下とすることも可能である。上記中心線平均粗さ、表面粗さの最大高さRmax及び凹凸の平均間隔Smは、JIS−B0601:1994に従った汎用の表面粗さ計(例えば、(株)東京精密社製サーフコム570A)により測定される。
[4−2.光学用途積層体のシリカ多孔質体]
光学用途積層体において、本発明のシリカ多孔質体としては上述したものを用いる。
また、本発明のシリカ多孔質体は、直接又は他の層を介して基材上に設けられることになるが、通常は、本発明のシリカ多孔質体は膜状に設けられることになる。膜厚は通常0.05μm以上0.5μm以下が好ましく、好ましくは、0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上。上限は、0.25μm以下より好ましくは、0.2μm以下。膜厚が薄すぎると、本発明の シリカ多孔質体と他の部材との界面(例えば、密着した基材とシリカ多孔質体との界面)の影響がシリカ多孔質体中の歪み及び表面性において支配的となり、本発明の光学用途積層体の膜質や耐水性が低下する可能性がある。膜厚が大きすぎると、シリカ多孔質体中の歪みが極度に増大し、成膜性が低下する可能性があり、耐摩耗性が十分に発揮できない可能性がある。本発明のシリカ多孔質体が前記の好適な膜厚となることにより、本発明の光学用途積層体に、光学用途部材を構成する部材として有効な光学性能と性能の安定性とを備えさせることができる。
また、光学用途積層体におけるシリカ多孔質体の表面粗さは、基材の表面粗さの影響を受ける事がある。基材表面が凹凸である場合、光学用途積層体におけるシリカ多孔質体の表面粗さは、前述の基板の表面粗さと同程度になる。
[4−3.その他の部材]
本発明の光学用途積層体には、必要に応じてその他の部材を備えさせても良い。例えば基材のシリカ多孔質体が形成された面とは反対側の面に電極を有するものとしてもよい。
基材のシリカ多孔質体が形成された面とは反対側の面に電極を有する光学積層体とすることで、ディスプレイや太陽電池といった光デバイスの部材として好適である。また、電極は直接又は他の層を介して基板に設けることができる。電極としてアルミニウム、錫、マグネシウム、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、白金、又はこれらを含む合金、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウム、酸化亜鉛などが挙げられる。中でも透明性の観点で酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、又はこれを主組成としたものが好ましく、これらは1種単独で、または2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。またその膜厚は通常10nm以上、好ましくは40nm以上、より好ましくは80nm以上、さらに好ましくは100nm以上である。また通常500nm以下、好ましくは400nm以下、より好ましくは300nm以下、さらに好ましくは200nm以下である。10nmを下回ると膜に欠陥ができ易くなる傾向があり、500nmを越えると透明性を損なう可能性がある。
ここで、本発明の光学用途積層体を太陽電池として構成した一例を図1に示す。例えば、本発明の光学用途積層体を太陽電池として構成する場合には、通常シリカ多孔質体6及び基材5を、太陽電池の光エネルギーを取り入れる受光面側の被覆に用いる構成とする。
更に、太陽電池では、通常は一対の電極1及び3を設け、当該電極1及び3の間に半導体層2が位置するように構成する。
また、基材5と電極3との間に中間層4があってもよい。さらには、熱線遮断層、紫外線劣化防止層、親水性層、防汚性層、防曇層、防湿層、粘着層、ハード層、導電性層、反射層、アンチグレア層、拡散層等(図示せず)と組み合わせてもよい。
ここで、太陽電池とは、光起電力効果を利用して、光エネルギーを電力に変換することのできる素子または装置であり、例として、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池などのシリコン系太陽電池、CIS系太陽電池、CIGS系太陽電池、GaAs系太陽電池などの化合物太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池、また多接合型太陽電池、HIT太陽電池が挙げられるが、特にこれらに限定するものではない。
半導体層は、半導体材料を含有する層である。太陽電池では、通常、光を取り込むことで半導体層で電気エネルギーが生じ、その電気エネルギーを取り出すことで電池として機能するようになっている。
この際、半導体層に用いられる半導体の種類に制限は無い。また、半導体は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。さらに、半導体層には、太陽電池としての機能を著しく損なわない限りその他の材料が含有されていても良い。
また、半導体層は、単一の膜のみによって構成されていてもよく、2以上の膜によって構成されていても良い。具体的な型式でいえば、太陽電池における半導体層としては、例えば、バルクヘテロ接合型、積層型(ヘテロpn接合型)、ショットキー型、ハイブリッド型などのいずれであってもよい。
なお、半導体層の厚さに特に制限はないが、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常10μm以下、好ましくは5μm以下の寸法で形成する。
一方、電極は、導電性を有する任意の材料により形成することが可能である。電極は、半導体層で生じた電気エネルギーを取り出すためのものである。ただし、半導体層の種類に応じて一対の電極のうち、少なくとも一方は透明である(即ち、太陽電池が発電するために半導体層が吸収する光を透過させる)ことが好ましい。
透明な電極の材料を挙げると、例えば、ITO、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の酸化物;金属薄膜などが挙げられる。なお、電極の材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
さらに、電極は2層以上積層してもよく、表面処理による特性(電気特性やぬれ特性等)を改良してもよい。
ただし、本発明の光学用途積層体を太陽電池として構成する場合には、シリカ多孔質体から半導体層までのC光の全光線透過率を、80%以上とすることが好ましく、83%以上とすることがより好ましく、86%以上とすることがさらに好ましく、90%以上とすることが特に好ましい。光の透過率が高いほど太陽電池が効率よく発電できるからである。また、前記全光線透過率は理想的には100%であるが、光学用途積層体の表面での部分反射を考慮すると通常99%以下である。本発明のシリカ多孔質体は、低屈折率を有するとともに耐摩耗性、耐水性に優れるため、このように太陽電池に非常に適した性能を発揮することが可能である。
また、本発明の光学用途積層体を太陽電池として構成する場合には、シリカ多孔質体及び基材のC光の全透過率を、80%以上とすることが好ましく、83%以上とすることがより好ましく、86%以上とすることがさらに好ましく、90%以上とすることが特に好ましい。光の透過率が高いほど太陽電池が効率よく発電できるからである。また、前記全光線透過率は理想的には100%であるが、光学用途積層体の表面での部分反射を考慮すると通常99%以下である。本発明のシリカ多孔質体は、低屈折率を有するとともに耐水性に優れるため、このように太陽電池に非常に適した性能を発揮することが可能である。
なお、本発明の光学用途積層体を太陽電池以外の光学用途に用いる場合であっても、通常は、シリカ多孔質体の光線透過率は高いことが好ましい。これにより、本発明の光学用途積層体に、光学用途部材を構成する部材として有効な光学性能と性能の安定性とを備えさせることができるからである。
また、本発明の光学用途積層体は、耐摩耗性、耐水性に優れ、平滑な表面を有する点において、エレクトロルミネッセンス(EL)素子にも好適である。
本発明のエレクトロルミネッセンス素子は、本発明の多孔質膜、2つの電極、及び上記電極の間にエレクトロルミネッセンス層を有するものであればよく、通常、(i)電極(陰極)、(ii)エレクトロルミネッセンス層、(iii)電極(陽極)、(iv)本発明の多孔質膜、及び(v)透光体がこの順に配置される構成をとること等が可能である。(i)〜(v)の順を維持するものであれば、それぞれの層の間に他の層を有していてもよい。例えば(iii)電極(陽極)と(iv)本発明の多孔質膜との間に、光散乱層及び/または高屈折率層を入れること等も可能である。
(i)陰極として用いられる材料は、仕事関数の低い金属が好ましい。特に、アルミニウム、錫、マグネシウム、インジウム、カルシウム、金、銀、銅、ニッケル、クロム、パラジウム、白金、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等で形成される。特にアルミニウムで形成することが好ましい。陰極の厚さは、通常10nm以上、好ましくは30nm以上、より好ましくは50nm以上である。また通常1000nm以下、好ましくは500nm以下、より好ましくは300nm以下である。
(ii)エレクトロルミネッセンス層は、電界が印加されることにより発光現象を示す物質により成膜されたものであり、その物質としては、付活酸化亜鉛ZnS:X(ただし、Xは、Mn、Tb、Cu、Sm等の付活元素である。)、CaS:Eu、SrS:Ce、SrGa:Ce、CaGa:Ce、CaS:Pb、BaAl:Eu等の従来使用されている無機EL物質、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体、芳香族アミン類、アントラセン単結晶等の低分子色素系の有機EL物質、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリビニルカルバゾール等の共役高分子系の有機EL物質等、従来使用されている有機EL物質を用いることができる。エレクトロルミネッセンス層の厚さは、通常10nm以上、好ましくは30nm以上、より好ましくは50nm以上であり、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下、より好ましくは200nm以下とされる。エレクトロルミネッセンス層は、蒸着やスパッタリング等の真空成膜プロセス、あるいはキシレン、トルエン、シクロヘキシルベンゼン等を溶媒とする塗布プロセスにより形成することが可能である。
(iii)陽極としては、錫を混合した酸化インジウム(通常ITOと呼ばれている。)、アルミニウムを混合した酸化亜鉛(通常AZOと呼ばれている。)、インジウムを混合した酸化亜鉛(通称IZOと呼ばれている。)等の複合酸化物薄膜が好ましく用いられる。特にITOであることが好ましい。
陽極は、可視光に対して透明性を有する透明電極層とすることも可能であり、透明電極層として形成される場合、可視光波長領域における光線透過率は大きいほど好ましい。この際、下限としては通常50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上である。また上限としては通常99%以下である。また陽極の電気抵抗は、面抵抗値として小さいほど好ましく、通常1Ω/□(オームパースクウェア;□=1cm2)以上とされ、通常100Ω/□以下、好ましくは70Ω/□以下、より好ましくは50Ω/□以下とされる。
また陽極を透明電極とする場合の厚さとしては、上述した光線透過率及び面抵抗値を満足するものであれば特に限定されないが、通常、0.01μm以上であり、また導電性の観点から好ましくは0.03μm以上、より好ましくは0.05μm以上である。また上限としては通常、10μm以下であるが、光線透過率の観点から1μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以下である。
また、本発明の光学用途積層体には、例えば、他の光学機能層及び保護膜を備えさせても良い。他の光学機能層は、用いる用途により適宜選択することができる。また、これらの層は1層のみを備えさせてもよく、2以上の層を任意に組み合わせて備えさせるようにしても良い。
[4−4.利点]
本発明の光学用途積層体は、本発明のシリカ多孔質体を備えるため、屈折率が低く、耐水性に優れる。このため、本発明のシリカ多孔質体を例えば低反射層、反射防止層、エレクトロルミネッセンス素子における光取出し層などとして好適に使用することができる。特に、耐摩耗性、耐水性に優れる点を利用して屋外での使用を前提とした用途にも利用できるため、太陽電池の低反射層として用いて特に好適である。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
[実施例1]
〔組成物の調合〕
テトラエトキシシラン 1.70g、メチルトリエトキシシラン 1.73g、エタノール(沸点78.3℃)0.58g、水 1.39g、及び、0.3重量%の塩酸水溶液3.25gを混合し、60℃のウォーターバス中で30分、さらに室温で30分攪拌することで、混合物(A)を調製した。
次に、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイド トリブロックポリマー(BASF社製 PLURONIC P123(重量平均分子量5,650、エチレンオキサイド部位の割合は30重量%);以下適宜「P123」という)1.54gとエタノール0.8gとを混合した混合物(B)に、前記の混合物(A)を添加し、室温で60分撹拌し混合物(C)を調製した。
この混合物(C)に希釈溶媒として1−ブタノール(沸点117.3℃) 30gとを混合し、室温で30分撹拌することで組成物を得た。 この組成物において、全アルコキシシラン類(テトラエトキシシランとメチルトリエトキシシラン)由来のケイ素原子に対する水の割合 水/シリカ比は、14.40(mol/mol)である。
〔シリカ多孔質体の製造〕
得られた組成物を、0.45μmのフィルターでろ過し、75mm角のガラス基材(中心線平均粗さ=0.01μm、表面粗さの最大高さRmax=0.13μm)に対して、2ml滴下した。そして、ミカサ製スピンコーターにて1000回転2分間回転させることで薄膜を作製した。この時の相対湿度は45%であった。
次に150℃に設定したホットプレート上に前記薄膜を置き、大気雰囲気下で2分加熱した。続いて450℃に設定したホットプレート上に置き、大気雰囲気下で2分間加熱することで外観の良好なシリカ多孔質体を得た。〔屈折率・膜厚測定〕
分光エリプソメーターにより測定し、Cauthyモデルで解析する。その結果、得られたシリカ多孔質体の波長550nmにおける屈折率は1.17であり、膜厚は0.146μmであった。
〔生産性〕
第一加熱工程の後で、生産ラインを止めて、保管が可能なのかどうかを生産性の指標とする。保管可能かどうかは、ごみの付着等がしやすいかどうかで判断する。
第一加熱工程後にごみの代わりにベンコットM−3(小津産業(株))を塗布面に置き、一日室温で保管した後、ベンコットM−3を取り除き、塗布面の様子を確認した。
ベンコットの跡が残っていたら×。残っていなければ○とした。
〔耐摩耗性1〕
往復磨耗試験機(スガ試験機製)を使用して、研磨紙としてベンコットM−3(小津産業(株))をサンプル表面に押し付けて、荷重200g、50往復試験後の膜の表面状態を顕微鏡で確認した。
試験後に膜全面がはがれた場合は、×、膜が残っていた場合は、○とした。
〔耐磨耗性2〕
研磨紙としてチーズクロスをサンプル表面に押し付けて、荷重500g、3往復試験後の膜の表面状態を確認した。
試験後に膜全面がはがれた場合は、×、膜が残っていた場合は、○とした。
[実施例2]
希釈溶剤の1−ブタノールを50.0g加えたこと以外は実施例1と同様の操作を行なってシリカ多孔質体を製造し、各評価を行なった。結果を表1に示す。
[比較例1]
希釈溶剤の1−ブタノールを11.0g加えたこと以外は実施例1と同様の操作を行なってシリカ多孔質体を製造し、各評価を行なった。結果を表1に示す。
[比較例2]
第一加熱工程での加熱温度を40℃としたこと以外は実施例1と同様の操作を行なってシリカ多孔質体を製造した。 表面はべたつきがあり、ガラス基材との密着性は不十分であった。
[比較例3]
混合物(A)において水を加えず、塩酸水溶液を0.6重量%の塩酸水溶液 1.63gに変更し、混合物(C)作製時の希釈溶剤の1−ブタノールを21.8gに変更した以外は実施例1と同様の操作を行なってシリカ多孔質体を製造し、各評価を行なった。結果を表1に示す。
[比較例4]
混合物(A)において水を20g、混合物(C)作製時の希釈溶剤の1−ブタノールを80.87g加えたこと以外は実施例1と同様の操作を行なってシリカ多孔質体を製造し、各評価を行なった。結果を表1に示す。
上記実施例と比較例の結果を下記に示す。
Figure 2010254559
本発明は産業上の任意の分野で用いることが可能であり、例えば任意の光学用途に用いることができる。中でも、本発明によれば従来よりも耐磨耗性、耐水性を向上させることが可能であるため、例えば太陽電池等の屋外にて使用する用途に用いて好適である。
1、3 電極
2 半導体層
4 中間層
5 透明基板
6 多孔質体

Claims (3)

  1. シリカ系組成物からシリカ多孔質体を製造する製造方法であって、該組成物が、下記(A)〜(E)を含み、該組成物中の全アルコキシシラン類由来の珪素原子に対する水の割合(mol/mol)が10以上50以下であって、該組成物を膜厚が0.05〜0.5μmになるように膜化し、100℃〜200℃で加熱した後、更に300℃〜700℃で加熱することを特徴とするシリカ多孔質体の製造方法。

    (A):下記(a)及び/又は(b)
    (a)少なくともテトラアルコキシシラン類、その加水分解物及び部分縮合物からなるテトラアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種、並びにテトラアルコキシシラン類以外のアルコキシシラン類、その加水分解物及び部分縮合物からなる他のアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種
    (b)該テトラアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種及び他のアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種の部分縮合物
    (B):水
    (C):有機溶媒
    (D):触媒
    (E):有機ポリマー
  2. シリカ多孔質体の屈折率が1.3以下であることを特徴とする請求項1に記載のシリカ多孔質体の製造方法。
  3. シリカ多孔質体が太陽電池用低反射層である ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のシリカ多孔質体の製造方法。
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