JP2010250982A - 固体電解質シート及びリチウム二次電池 - Google Patents

固体電解質シート及びリチウム二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】粒子間の接触を向上させたシートを提供する。
【解決手段】Li,P,Sを含む固体電解質ガラス粒子を含む粉末を成型したシートであって、前記ガラス粒子が、繰り返し測定したラマンスペクトルの330cm−1から450cm−1の間に存在するピークを波形分離し、得られた各ピークの面積強度比の標準偏差がいずれも4.0未満であるシート。
【選択図】図2

Description

本発明はリチウム二次電池に関し、特に硫化物系固体電解質とそれを用いて構成される電解質シート及び電極シートに関する。
近年の移動通信、情報電子機器の発達に伴い、高容量かつ軽量なリチウム二次電池の需要が増加する傾向にある。室温で高いリチウムイオン伝導性を示す電解質のほとんどが液体であり、市販されているリチウムイオン二次電池の多くが有機系電解液を用いている。この有機系電解液を用いたリチウム二次電池では、漏洩、発火・爆発の危険性があり、より安全性の高い電池が望まれている。固体電解質を用いた全固体電池では、電解質の漏洩や発火が起こりにくいという特徴を有するが、固体電解質のイオン伝導度は一般的に低く実用化が難しいのが現状である。
固体電解質を用いたリチウム二次電池では、従来、室温で10−3Scm−1の高いイオン伝導性を示す固体電解質としてLiNをベースとするリチウムイオン伝導性セラミックが知られている。しかし、分解電圧が低いため3V以上で作動する電池を構成することができなかった。
硫化物系固体電解質としては、特許文献1で10−4Scm−1台の固体電解質が開示されており、また特許文献2ではLiSとPから合成された電解質で同様に10−4Scm−1台のイオン伝導性が開示されている。さらに、特許文献3ではLiSとPを68〜74モル%:26〜32モル%の比率で合成した硫化物系結晶化ガラスで10−3Scm−1台のイオン導電性を実現している。
該電解質を用いた全固体リチウム電池の高性能化が望まれている。しかし、全固体リチウムイオン電池は、粉体同士の接触でありその接触面積が小さいため、電解液を用いたリチウム電池のような高性能な電池にならない。そこで、固体電解質粒子同士及び固体電解質粒子と電極活物質粒子の接触面積を向上させ、それらの接触抵抗を小さくすることが求められる。
全固体リチウムイオン電池は、粉体同士あるいは粉体と箔との接触で導通をとるため、接触面積が小さく電解液を用いたリチウム電池のような高性能な電池とすることが困難である。そのため、加圧や真空・加熱プレスをすることで電解質層及び正極及び負極層の密着をより高めることが知られている。
特許文献4では、転移点以上軟化点以下で真空・加熱プレスをすることにより、結晶相を有した固体電解質が融着により接触するため、抵抗の低減化を実現している。しかし、固体電解質を転移点以上軟化点以下の温度で融着させかつ結晶化させることは、固体電解質の組成バラツキが大きく、融着後の層は多くの欠陥を有し、また粒界を制御することもできないのが実情であった。そのため、圧密状態に限界があり、また結晶状態も制御することが困難であった。
特許文献5では、正極及び固体電解質層を室温〜250℃程度の雰囲気下で750〜2000MPaの高圧力成型することにより、見かけ密度を95%以上とし、電解液を適用した電池と同等の性能まで高めることを可能とした。しかし、加圧条件が非常に高圧であるため、作製できる電池の面積が制限され実用化は不可能であった。また、加圧装置も特殊なプレス機を必要とする上、大面積化できないために、正極活物質量等が制限され高容量化できない問題があった。
特許文献6では、比較的小さなエネルギーで長時間メカニカルミリング処理を施すことにより、示差走査熱量測定で実質的に1つの組成からなる結晶化ガラスを有する固体電解質を実現している。しかしながら、200時間近い長時間の処理が必要となる上、処理量も少なく生産効率が悪い問題があった。さらに、メカニカルミリング処理であるため、処理バッチ間のバラツキもあり安定した層を得ることが困難であった。
特開平4−202024号公報 特開2002−109955号公報 特開2005−228570号公報 特開2008−243735号公報 特開2008−091328号公報 特開2008−288098号公報
本発明の目的は、上記課題に鑑みなされたものであり、粒子間の接触を向上させたシートを提供することである。
本発明によれば、以下の固体電解質シート等が提供される。
1.Li,P,Sを含む固体電解質ガラス粒子を含む粉末を成型したシートであって、
前記ガラス粒子が、繰り返し測定したラマンスペクトルの330cm−1から450cm−1の間に存在するピークを波形分離し、得られた各ピークの面積強度比の標準偏差がいずれも4.0未満であるシート。
2.ラマンスペクトルにおけるPS 3−、P 4−、P 4−の面積比が、それぞれ15〜65%、25〜80%、5〜30%の範囲となる1に記載のシート。
3.前記ガラス粒子の最大粒径が20μm以下であるシート。
4.固体電解質ガラス粒子を含む粉末を成型したシートであって、
前記ガラス粒子が、少なくとも硫化リチウムと他の硫化物とを含む原料を、炭化水素系溶媒中で粉砕しつつ反応させるステップと、
前記少なくとも硫化リチウムと他の硫化物とを含む原料を、炭化水素系溶媒中で反応させるステップと、
を交互に行うことにより製造されたものであるシート。
5.固体電解質ガラス粒子を含む粉末を成型したシートであって、
前記ガラスが、少なくとも硫化リチウムと他の硫化物とを含む原料を、炭化水素系溶媒中で反応させることにより製造されたものであるシート。
6.前記固体電解質ガラス粒子のみからなる1〜5のいずれか1つに記載のシートを、前記ガラス粒子のガラス転移点以上、結晶化開始温度未満の温度で加熱して得られる、
粒子存在率が、前記ガラス転移点以上の温度で加熱する前のシートの1%以下である融着シート。
7.前記固体電解質ガラス粒子のみからなる1〜5のいずれか1つに記載のシートを、前記ガラス粒子のガラス転移点以上、結晶化開始温度未満の温度で加熱して得られる、
欠陥存在率が1%以下である融着シート。
8.1〜5のいずれか1つに記載のシート又は6又は7に記載の融着シートを加熱して、ガラスを結晶化させてガラスセラミックにしたガラスセラミックシート。
9.1〜5のいずれか1つに記載のシート、6又は7に記載の融着シート及び8に記載のガラスセラミックスシートの少なくとも1つを、電解質層、正極層及び負極層の少なくとも1つに用いたリチウム電池。
本発明によれば、シートを構成する粒子の均一性を高めることにより粒子間の接触を向上させた固体電解質シートを提供できる。
従来、硫化物系固体電解質を適用した全固体型リチウム二次電池では、負極に炭素材料、正極にLiCoO:コバルト酸リチウムを用い、放電容量が120mAh/g程度の電池が実現されている。この電池では、負極、固体電解質、正極の各粉末を加圧成型することで構成されている。このような電池構成において、本発明の均一性に優れるシートを用いることにより、高容量でかつサイクル特性に優れる電池の作製が可能となる。
実施例1で得られたガラス粒子について測定したラマンスペクトルである。 実施例1で得られたガラス粒子について測定したラマンスペクトルのピークを波形分離した図である。 実施例1で得られたガラス粒子のDSCチャートである。 比較例1で得られたガラス粒子のDSCチャートである。 実施例1で得られたガラス粒子のSEM(走査電子顕微鏡)写真(3000倍)である。 比較例1で得られたガラス粒子のSEM(走査電子顕微鏡)写真(3000倍)である。 実施例1で得られたガラス粒子の加熱処理前のSEM(走査電子顕微鏡)写真(1000倍)である。 実施例1で得られたガラス粒子の加熱処理後のSEM(走査電子顕微鏡)写真(1000倍)である。 比較例1で得られたガラス粒子の加熱処理後のSEM(走査電子顕微鏡)写真(1000倍)である。 ガラス粒子の製造装置の一例を示す図である。 ガラス粒子の製造装置の他の例を示す図である。
本発明のシートは、Li,P,Sを含む硫化物系固体電解質ガラス粒子を含む粉末をシート状に成型したものである。本発明のシートは固体電解質ガラス粒子のみからなってもよく、後述するように極材等を含んでもよい。
本発明で用いるガラス粒子は、繰り返し測定したラマンスペクトルにおいて330〜450cm−1のピークを波形分離し、各成分に分離した面積比の標準偏差がいずれも4.0未満である。標準偏差がいずれも4.0未満であることは均質性に優れることを示している。
ラマンスペクトルは、固体、粉体等の状態を把握するために用いられている(例えば、特許公報3893816、特許公報3893816、特許公報3929303、特許公報3979352、特許公報4068225)。このスペクトルは固体の表面状態の解析に適しており、同ロットの粒子を測定しても、粒子表面の組成が不均質であれば、異なったスペクトルが得られる。たとえば、固体材料のメカニカルミリングにおいて充分粉砕された部分と壁部に付着して粉砕が不充分な部分が混在すると、その均質性は低下し、スペクトルの再現性は低下する。ラマンスペクトルは均質な材料の指標となることから、本発明においては、このスペクトルの再現性、特に分散数値を指標として用いた。
図1にガラス粒子について測定したラマンスペクトルの一例を示す。ラマンスペクトルの測定条件は実施例に記載する。図1に示されるように、400cm−1付近に特徴的なピークが検出されており、そのピークが非対称であることから、これは複数成分の混合ピークである。これらは、PS 3−,P 4−,P 4−の3種類混合ピークとして同定されている(M.Tachez,J.−P.Malugani,R.Mercier,and G.Robert,Solid State Ionics,14,181(1984))。分解能の高い装置を用いて、このピークを個別に検出することが望ましいが、ピーク分離が不充分であっても、一般、又は装置専用の波形解析ソフトを用いて個別のピークに分離することも可能である。図2に波形分離ソフトを用いて、各ピークに分離した結果を示す(図2中において点線がオリジナルのピークである)。この手法を用いて、各成分の面積比率を求めることが可能となる。
標準偏差は、上記の面積数値から一般的な計算方法を用いて算出することができる。
繰り返し測定は、測定サンプル管自体の変更、あるいは同一測定サンプル管の測定位置の変更により5回以上測定することが望ましい。なお、実施例では、同一測定サンプル管の測定位置を変更して5回測定している。
PS 3−、P 4−、P 4−を示す波形の面積比の標準偏差の全てが4.0未満であれば、各ガラス粒子の表面が均質であり、電池に用いた場合に電池性能が安定化する。
好ましくは、3.5以下、より好ましくは3.0以下である。
PS 3−を示す波形の面積比の標準偏差は好ましくは3.0以下、より好ましくは2.5以下である。P 4−を示す波形の面積比の標準偏差は好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下である。P 4−を示す波形の面積比の標準偏差は好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下である。
ラマンスペクトルにおけるPS 3−、P 4−、P 4−の面積比は、それぞれ、好ましくは15〜65%、25〜80%、5〜30%、より好ましくは20〜55%、35〜75%、5〜25%の範囲である。P 4−成分は他成分に比べリチウムイオン伝導性に劣るため、少ない方がより電池性能が向上する。
ガラス粒子の最大粒径は、SEM写真により観察したとき、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下である。最大粒径とは、粒子の一の表面からこの粒子の他の表面までの直線距離が一番大きい値を意味する。粒径が20μmを超える粗大粒子が存在すると、シート作製時の均一性に影響を及ぼす可能性が高くなる。粗大粒子の存在は、加熱処理時に熱伝達がバラツキ、融着の阻害因子となり、さらに欠陥を生じる可能性もある。
また好ましくは数平均粒径が10μm以下、より好ましくは8μm以下である。粒径が大きいと、電池における電解質層を厚くする必要があり、好ましくない。
均質な電解質は、DSCパターンにおいても確認することができる。不均質な電解質は、通常、二峰型のピークパターンを示したり、広い半値幅温度を示す(図4参照)。均質であると、ピークは1本となり、ピークの半値幅温度も狭くなる(図3参照)。本発明のガラスは、通常225℃から270℃の間にピーク温度を示し、半値幅温度は、10℃以下、特に5℃以下を示す。測定方法は実施例に示す。
固体電解質は、Li,P,Sを含む。この固体電解質はLi,P,Sを主成分とし、硫黄、りん及びリチウムのみからなるものの他、Al、B、Si、Ge等を含む他の物質を含んでいてもよい。
このような均一なガラス粒子は、硫化リチウムと他の硫化物とを含む原料を、炭化水素系溶媒中で反応させることにより製造できる。この方法は、従来法のようにメカニカルミリングを用いず、又は加熱溶融後に急冷したりしない。
メカニカルミリングすると、ミル内部の壁部とボール部に存在する粒子で表面状態が不均質になる可能性がある。また加熱溶融後に急冷してガラスを急激に形成させこのガラスを粉砕してガラス粒子を得ると、ガラス粒子表面が均質な状態になり難くなる。
原料を炭化水素系溶媒中で接触させる際の温度は、通常、80〜300℃であり、好ましくは100〜250℃であり、より好ましくは100〜200℃である。また、通常、時間は5分〜50時間、好ましくは、10分〜40時間である。
尚、温度や時間は、いくつかの条件をステップにして組み合わせてもよい。
また、接触時は撹拌することが好ましい。窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下であることが好ましい。不活性ガスの露点は−20℃以下が好ましく、特に好ましくは−40℃以下である。圧力は、通常、常圧〜100MPaであり、好ましくは常圧〜20MPaである。
この方法では、通常の反応槽やオートクレーブ等の汎用設備で固体電解質を製造することができる。即ち、高温に耐える設備等の特殊な設備が不要である。また、炭化水素系溶媒を使用することで、固体電解質に残留する溶媒量を低減できる。
本発明で用いるガラス粒子は、硫化リチウムと他の硫化物とを含む原料を、炭化水素系溶媒中で粉砕しつつ反応させるステップと、硫化リチウムと他の硫化物とを含む原料を、炭化水素系溶媒中で反応させるステップとを交互に行うことによっても製造できる。
例えば、粉砕機中で、原料を炭化水素系溶媒中で粉砕しつつ反応させて固体電解質を合成し、別途、反応槽中で、原料を炭化水素系溶媒中で反応させて固体電解質を合成し、反応中の原料を、粉砕機と反応槽との間を循環させる。
図10は、上記の製造方法に用いることのできる装置の一例を示す。
この装置1において、炭化水素系溶媒と原料を、粉砕機10と反応槽20にそれぞれ供給する。ヒータ30には温水(HW)が入り排出される(RHW)。ヒータ30により粉砕機10内の温度を保ちながら、原料を炭化水素系溶媒中で粉砕しつつ反応させて固体電解質を合成する。オイルバス40により反応槽20内の温度を保ちながら、原料を炭化水素系溶媒中で反応させて固体電解質を合成する。反応槽20内の温度は温度計(Th)で測定する。このとき、撹拌翼24をモータ(M)により回転させて反応系を撹拌し、原料と溶媒からなるスラリが沈殿しないようにする。冷却管26には冷却水(CW)が入り排出される(RCW)。冷却管26は、容器22内の気化した溶媒を冷却して液化し、容器22内に戻す。粉砕機10と反応槽20で固体電解質を合成する間、ポンプ54により、反応中の原料は連結管50,52を通って、粉砕機10と反応槽20の間を循環する。粉砕機10に送り込まれる原料と溶媒の温度は、粉砕機10前の第2の連結管に設けられた温度計(Th)で測定する。
粉砕機10として例えば、回転ミル(転動ミル)、揺動ミル、振動ミル、ビーズミルを挙げることができる。原料を細かく粉砕できる点でビーズミルが好ましい。原料が細かいほど、反応性が高くなり、短時間で固体電解質を製造できる。
粉砕機がボールを含むとき、ボールと容器とが磨耗することによる固体電解質への混入を防止するため、ボールはジルコニウム製、強化アルミナ製、アルミナ製であることが好ましい。また、粉砕機10から反応槽20へのボールの混合を防ぐため、必要に応じて粉砕機10又は第1の連結管50にボールと原料及び溶媒を分離するフィルタを設けてもよい。
粉砕機での粉砕温度は、好ましくは20℃以上90℃以下、より好ましくは20℃以上80℃以下である。粉砕機での処理温度が20℃未満の場合、反応時間を短縮する効果が小さく、90℃を超えると、容器、ボールの材質であるジルコニア、強化アルミナ、アルミナの強度低下が著しく起こるため、容器、ボールの磨耗、劣化や電解質へのコンタミが生じるおそれがある。
容器22内の反応温度は好ましくは60℃〜300℃である。80℃〜200℃がより好ましい。60℃未満ではガラス化反応に時間がかがり生産効率が十分ではない。300℃を超えると、好ましくない結晶が析出する場合がある。
反応は温度が高い領域で速いので高温にすることが好ましいが、粉砕機は高温にすると磨耗等の機械的な問題が発生する。従って、反応槽は反応温度を高めに設定し、粉砕機は比較的低温に保つことが好ましい。
図11に示すように、第2の連結部52に熱交換器60(熱交換手段)を設け、反応槽20から送り出される高温の原料と溶剤を冷却して、撹拌機10に送り込むようにしてもよい。
上記の製造方法において、原料はLiSの他の硫化物を用いることが好ましい。LiSと混合する硫化物としては、硫化リン、硫化ケイ素、硫化ホウ素、硫化ゲルマニウム、硫化アルミニウムから選択される1つ以上の硫化物がより好ましく使用できる。特にPが好ましい。
硫化リチウムの仕込み量は、硫化リチウムと他の硫化物の合計に対し30〜95mol%とすることが好ましく、40〜90mol%とすることがさらに好ましく、50〜85mol%とすることが特に好ましい。
通常、硫化リチウム(LiS)と五硫化二燐(P)、又は硫化リチウムと単体燐及び単体硫黄、さらには硫化リチウム、五硫化二燐、単体燐及び/又は単体硫黄を用いる。
硫化リチウムと、五硫化二燐又は単体燐及び単体硫黄の混合モル比は、通常50:50〜80:20、好ましくは、60:40〜75:25である。特に好ましくは、LiS:P=70:30(モル比)程度である。
炭化水素系溶媒は、例えば飽和炭化水素、不飽和炭化水素又は芳香族炭化水素等である。飽和炭化水素としては、ヘキサン、ペンタン、2−エチルヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、IPソルベント1016(出光興産(株)製)、IPソルベント1620(出光興産(株)製)等が挙げられる。不飽和炭化水素しては、ヘキセン、ヘプテン、シクロヘキセン等が挙げられる。
芳香族炭化水素としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、デカリン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、また、イプゾール100(出光興産(株)製)、イプゾール150(出光興産(株)製)等の混合溶媒を用いることも可能である。これらのうち、特にトルエン、キシレン、エチルベンゼン、イプゾール150が好ましい。
炭化水素系溶媒中の水分量は、原料硫化物及び合成された固体電解質との反応を考慮して、50ppm(重量)以下であることが好ましい。水分は反応により硫化物系固体電解質の変性を引き起こし、固体電解質の性能を悪化させる。そのため、水分量は低いほど好ましく、より好ましくは、30ppm以下であり、さらに好ましくは20ppm以下である。
尚、必要に応じて炭化水素系溶媒に他の溶媒を添加してもよい。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エタノール、ブタノール等のアルコール類、酢酸エチル等のエステル類等、ジクロロメタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
有機溶媒の量は、原料である硫化リチウムと他の硫化物が、溶媒の添加により溶液又はスラリ状になる程度であることが好ましい。通常、溶媒1kgに対する原料(合計量)の添加量は0.03〜1kg程度となる。好ましくは0.05〜0.5kg、特に好ましくは0.1〜0.3kgである。
反応生成物を乾燥し、溶媒を除去することにより、硫化物ガラスが得られる。
上記の均一性の高い固体電解質粒子をシート状に成型することで欠陥の少なく、粒界が制御されたシートを得ることができる。
シートの製造方法は、特に制限されず、例えば、固体物質を、ブラスト法やエアロゾルデポジション法にて製膜することで製造できる。また、コールドスプレー法、スパッタリング法、気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD)又は溶射法等でもリチウムイオン伝導性固体物質の製膜が可能である。
さらに好ましい形態として、固体電解質ガラス粒子を積層させた後、ガラス転移点以上、結晶化開始温度未満の温度で加熱処理することで各粒子を融着させる方法がある。このとき、加熱と共に適宜加圧することで、さらに欠陥のない均一なシートを形成することもできる。また、加圧成型した後にガラス転移点以上に加熱して融着する方法でも同様の効果を得ることができる。
上記処理を施す方法としては、特に制限はなく既存の方法を用いることができるが、例えば、粉体を垂直方向に加熱しながら加圧するホットプレス法や加熱したロールを適用する加熱ロールプレス法等がある。
均一性に優れる固体電解質ガラス粒子をガラス転移点以上結晶化開始温度以下の温度において加熱することで粒子を融着一体化でき、これまで困難であった粒界の制御及び欠陥の解消が可能となった。粒界部分の抵抗が減少することにより電池性能が向上する。
この加熱工程を経た融着ガラスシートを断面SEMで観察した場合に確認される粒子存在率が、視野範囲内の1%以下であることが望ましい。より好ましくは0.5%以下である。全体の1%以下であると、抵抗を十分に減少させる上、充放電時の電極の膨張収縮により粒子近傍で剥離等の欠陥が発生し難くなる。粒子残存率の測定方法は実施例に記載する。
また、上記加熱工程を経た融着ガラスを断面SEMで観察した場合に確認される欠陥存在率が、視野範囲内の1%以下であることが望ましい。より好ましくは0.5%以下である。欠陥は空隙であり、これが全体の1%以下であると固体電解質の抵抗をより低くできる。また、イオン伝導率が低下せず、電池の電解質層に用いた場合に電池性能を劣化させない。
欠陥存在率の測定方法は実施例に記載する。
リチウムイオン伝導性から固体電解質ガラスセラミック層を所望する場合は、さらに結晶化温度以上にまで加熱すればよい。融着層の形成及びガラスセラミック層の形成に関しては、適宜DSCの測定結果から温度を決定すればよく、その温度での保持時間も必要に応じて決めればよい。
加熱方法としては、直接的に加熱する熱プレス法とプレス成型したシートを加熱する方法とがあり、どちらも好適に用いることができる。
融着ガラスシートを加熱してガラスセラミックシートとするとき、十分に融着状態を形成することが、粒界のないシート、欠陥のないシートを作製する上で好ましい。
本発明のガラスシート、融着ガラスシート又はガラスセラミックシートは、リチウム電池の電解質層、正極層及び負極層の少なくとも1つに用いることができる。
正極層として用いるときは、正極活物質と上記固体電解質粒子を混合し正極合材とし、これをシート状に成型したものを用いることができる。正極材としては、電池分野において正極活物質として使用されているものが使用できる。例えば、硫化物系では、硫化チタン(TiS)、硫化モリブデン(MoS)、硫化鉄(FeS、FeS)、硫化銅(CuS)及び硫化ニッケル(Ni)等が使用できる。好ましくは、TiSが使用できる。また、酸化物系では、酸化ビスマス(Bi)、鉛酸ビスマス(BiPb)、酸化銅(CuO)、酸化バナジウム(V13)、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)等が使用できる。尚、これらを混合して用いることも可能である。上記の他にはセレン化ニオブ(NbSe)が使用できる。LiCoOやLiNiO等の遷移金属複合酸化物リチウム塩等を好適に用いることができる。
負極層として用いるときは、負極活物質と上記固体電解質粒子を混合し負極合材とし、これをシート状に成型したものを用いることができる。負極材としては、電池分野において負極活物質として使用されているものが使用できる。例えば、炭素材料、具体的には、人造黒鉛、黒鉛炭素繊維、樹脂焼成炭素、熱分解気相成長炭素、コークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、フルフリルアルコール樹脂焼成炭素、ポリアセン、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、天然黒鉛及び難黒鉛化性炭素等が挙げられる。またはその混合物でもよい。また、金属リチウム、金属インジウム、金属アルミ、金属ケイ素等の金属自体や他の元素、化合物と組合わせた合金を、負極材として用いることができる。黒鉛等の炭素材料やSn、Si等の金属微粒子等を好適に用いることができる。
本発明のシートを用いた電解質シートは粒子間の接触が改善されており、また本発明のシートを用いた電極シートも活物質粒子と電解質の接触が向上していて、電池性能が向上する。
製造例1
(1)硫化リチウムの製造
硫化リチウムは、特開平7−330312号公報における第1の態様(2工程法)の方法に従って製造した。以下、具体的に説明する。
まず、撹拌翼のついた10リットルオートクレーブに、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)3326.4g(33.6モル)、及び水酸化リチウム287.4g(12モル)を仕込み、300rpm、130℃に昇温した。昇温後、液中に硫化水素を3リットル/分の供給速度で2時間吹き込んだ。
続いて、この反応液を窒素気流下(200cc/分)昇温し、反応した水硫化リチウムを脱硫化水素化し、硫化リチウムを得た。昇温するにつれ、上記硫化水素と水酸化リチウムの反応により副生した水が蒸発を始めたが、この水はコンデンサにより凝縮し系外に抜き出した。水を系外に留去すると共に反応液の温度は上昇するが、180℃に達した時点で昇温を停止し、一定温度に保持した。水硫化リチウムの脱硫化水素反応が終了後(約80分)に反応を終了し、硫化リチウムを得た。
(2)硫化リチウムの精製
上記で得られた500mLのスラリー反応溶液(NMP−硫化リチウムスラリー)中のNMPをデカンテーションした後、脱水したNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌した。その温度のままNMPをデカンテーションした。さらにNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌し、その温度のままNMPをデカンテーションし、同様の操作を合計4回繰り返した。デカンテーション終了後、窒素気流下230℃(NMPの沸点以上の温度)で硫化リチウムを常圧下で3時間乾燥した。
得られた硫化リチウム中の不純物含有量を測定した。亜硫酸リチウム(LiSO)、硫酸リチウム(LiSO)、チオ硫酸リチウム(Li)の各硫黄酸化物、及びN−メチルアミノ酪酸リチウム(LMAB)の含有量は、イオンクロマトグラフ法により定量した。
その結果、硫黄酸化物の総含有量は0.13質量%であり、LMABは0.07質量%であった。
実施例1
(1)固体電解質ガラス粒子の製造
図11に示す装置を用いた。粉砕機として、アシザワ・ファインテック社製スターミルミニツェア(0.15L)(ビーズミル)を用い、0.5mmφジルコニアボール450gを仕込んだ。反応槽として、攪拌機付の1.5Lガラス製反応器を使用した。
製造例1(2)で得たLiS39.05g(70mol%)とアルドリッチ社製P80.95g(30mol%)に、関東化学社製脱水トルエン1080g(水分量10ppm以下)を加えた混合物を反応槽及びミルに充填した。
ポンプにより内容物を400mL/分の流量で循環させ、反応槽を80℃になるまで昇温した。ミル本体は、液温が70℃に保持できるよう外部循環により温水を通水し、周速10.9m/sの条件で運転した。8時間反応後、ろ過、150℃にて真空乾燥して白色粉末(固体電解質ガラス粒子)を得た。
得られた粉末について以下の測定条件で5回ラマンスペクトルを測定した。
測定装置:サーモフィッシャーサイエンティフィックス社製Almega
レーザー波長:532nm、レーザー出力:10%、アパーチャ:25μmφ、露光時間:10秒、露光回数:10回、対物レンズ:×100、分解能:高(2400 lines/mm)
5回測定して得られたラマンスペクトルの一例を図1に示す。一回ごとに測定したラマンスペクトルの330〜450cm−1にあるピークを波形分離ソフト(Thermo SCIENTIFIC社製 GRAMS AI)を用いて波形分離し、図2に示すようにPS 3−、P 4−、P 4−の各成分に分離し、それぞれの面積比を求めた。図2中において点線がオリジナルのピークである。5つのラマンスペクトルについて同様に波形分離し各成分の面積比を求めた。さらに5つのラマンスペクトルの面積比の平均値と標準偏差を求めた。結果を表1に示す。表1の値は、小数点2桁を四捨五入して求めた値である。
得られた粉末について、視野内に粒子が100個程度観察される3000倍でSEM観察し、同倍率で計8視野を観察した。各視野において20μmを超える粒子は存在しなかった。図5にSEM像を示す。
また、得られた粉末のイオン伝導度を測定した。伝導度は1.2×10−4S/cmであった。
さらに、得られた粉末を密閉容器に入れ、300℃、2時間の熱処理を行った。熱処理後のサンプルのX線回折測定を行なった結果、Li11の結晶相に帰属される2θ=17.8、18.2、19.8、21.8、23.8、25.9、29.5、30.0degにピークが観測された。イオン伝導度測定の結果、この粉末のイオン伝導度は1.8×10−3S/cmであった。
イオン伝導度は下記方法に従い測定した。
固体電解質粉末を錠剤成形機に充填し、4〜6MPaの圧力を加え成形体を得た。さらに、電極としてカーボンと固体電解質を重量比1:1で混合した合材を成形体の両面に乗せ、再度錠剤成形機にて圧力を加えて一次成型体を得た。その後、200℃において加熱下圧力を加えて、伝導度測定用の成形体(直径約10mm、厚み約1mm)を作製した。この成形体について交流インピーダンス測定によりイオン伝導度測定を実施した。伝導度の値は25℃における数値を採用した。
得られた粉末について示差走査熱量測定(DSC)を行った。MODEL DSC−7(Perkin Elmer社製)を用い、30℃,15分保持した後、10℃/分の昇温速度で400℃まで走査して測定した。225℃から270℃の間、約253℃でピークをもち、融解エンタルピー(ΔH)は42.7J/g、ピーク半値幅温度は4.3℃であった。図4に結果を示す。
本実施例の固体電解質は、DSCパターンにおいてシャープな単一ピークを示し、均一性が高いことが確認できた。粒子の溶融温度領域と結晶化温度領域が図4に示すように確認できた。発熱ピークは硫化物系固体電解質の結晶化に帰属され、このピークより低温側に溶融している領域が存在する。
(2)正極合材及び負極合材の作製
上記の固体電解質ガラス粒子12.9g及び正極活物質であるLiCoO(戸田工業製)30.1gを乳鉢により十分解砕混合して正極合材を得た。
同様に固体電解質ガラス粒子17.2g及び負極活物質であるカーボン(キムカル社製;SFG75)25.8gを乳鉢により十分解砕混合して負極合材を得た。
(3)電池の作製
上記の固体電解質ガラス粒子50mgを10mmφのセラミック製(マコール)の円筒に投入し、10MPaで加圧成型した。この成型体の片面に上記(2)で得た正極合材を14.3mg入れ、再度10MPaで加圧した。同様に反対側の面に上記(2)で得た負極合材を12.1mg入れ10MPaで加圧し、負極、電解質、正極の順の3層からなる成型体を得た。この成型体の両面に集電体としてSUS板を入れ、10mmφのセラミック製(マコール)の円筒に組み込まれた状態で、結晶化開始温度より低温の220℃〜240℃に加熱した熱プレス機に仕込み、真空排気しながら60MPaで熱プレスした。この温度での加圧状態を少なくとも10分以上維持し、その後結晶化ピーク温度より少なくとも20℃は高い温度まで昇温し少なくとも10分以上維持した。続いて脱圧しながら冷却することにより電池を得た。
(4)電池評価
作製した電池を1MPaの圧を加え、その状態で0.2mA/cm電流密度で充電後、0.2mA/cmで放電し、そのときの放電容量で評価した。さらに、この充放電工程を20回繰り返し行ない、初回と20回目の放電容量の変化からサイクル特性を評価した。
充電時は4.2Vをカット電圧とし、放電時のカット電圧は2.5Vとした。容量は、mAh/gで計測した。これは時間毎に得られた電流量を正極活物質重量で規格化した数値を用いた。結果を表2に示す。
(5)粒子残存率の測定
上記(3)で製造した電池セルを、充放電評価することなく露点が−80℃以下に制御されたグローブボックス内に、空気に触れないように移動し、分解して加熱処理ペレットを得た。このペレットを空気に触れないようにFIB装置に移動し、切断面を作製し、そのままSEM観察を行なった。SEM観察では、厚さ方向の固体電解質層が観察できる1000倍で任意の8視野を観察した。一方、上記(3)において作製した加熱前の3層からなる積層ペレットについても断面を同様に観察した。加熱前に観察される粒子個数を100とし、加熱処理ペレット断面の粒子個数を計測算出し、その比を粒子残存率とした。加熱処理前後のSEM写真を図7、図8に示す。
(6)欠陥存在率の測定
粒子残存率測定時に観察した加熱ペレットの任意の8視野の断面SEM像を用い、この視野内に存在する欠陥(空隙)部分の面積を算出した。視野内の固体電解質層の総面積に対する前述の欠陥部分面積の比を欠陥存在率とした。面積の算出は、解析ソフトも存在するが、簡便な方法として電子画像をA4サイズで印刷後、該当する部分を切り抜き、その重量から比を算出した。
実施例2
実施例1において、脱水トルエンを和光純薬社製脱水キシレンに変えた以外は同様に実施し、固体電解質ガラス粒子を得た。ラマンスペクトルから得られる波形分離後の各成分の面積(5回測定)及び標準偏差値を表1に示す。また得られた粉末のイオン伝導度は1.4×10−4S/cm、加熱処理後のイオン伝導度は1.6×10−3S/cmであった。
実施例1と同様に電池を作製し評価した。結果を表2に示す。
比較例1
従来のメカニカルミリング法により固体電解質ガラス粒子を製造した。具体的には、製造例1(2)で得たLiS3.905g(70mol%)とP8.095g(30mol%)を原料として用い、これらの粉末をグローブボックス中で秤量し、遊星型ボールミル用アルミナ製ポットに10mmφアルミナ製ボールとともに投入した。密閉後に遊星型ボールミル機に取り付け、初期は原料を十分混合する目的で数分間、低速回転(回転速度:85rpm)でミリングを行った。その後、徐々に回転数を増大させていき、370rpmで160時間メカニカルミリングを行って固体電解質ガラス粒子を得た。ラマンスペクトルから得られる波形分離後の各成分の面積(5回測定)及び標準偏差値を表1に示す。得られた固体電解質ガラス粒子のSEM写真(3000倍)を図4に示す。粉砕時間が長いため比較的粒径は小さいが20μmを超える大粒子も存在する。また得られたガラス粉末のイオン伝導度は1.0×10−4S/cm、300℃2時間の加熱処理後のイオン伝導度は1.3×10−3S/cmであった。実施例1と同様にしてDSCのチャートを求めた。図4に示すように2つ以上のピークを有するパターンを示した。
次に実施例1と同様にして電池を作製した。DSCのスペクトルが2つのピークを示したため、加熱プレス処理は、まず220℃〜240℃で実施し、その後高温側の結晶化ピーク温度より20℃高い285℃まで昇温して10分以上維持した。
実施例1と同様にして電池を評価し粒子存在率と欠陥存在率を求めた。結果を表2に示す。また、融着加熱処理後の1000倍のSEM写真を図9に示す。
実施例3
実施例1で作製した固体電解質ガラス粒子4.3gに脱水トルエン50mlを加え、固形分濃度が10%の固体電解質スラリーを作製した。同様に固体電解質ガラス粒子1.3gと正極活物質LiCoOを3.0g及び脱水トルエン50mlを加え固形分濃度10%の正極合材スラリーを作製した。さらに固体電解質ガラス粒子1.7gと負極活物質カーボン(SFG75)を2.6g及び脱水トルエン50mlを加え固形分濃度10%の負極合材スラリーを作製した
上記方法にて得た各スラリー及びドクターブレードを用いて各塗布シートを別々に作製した。塗布シートは、スラリー塗布後に150℃で乾燥しロールプレスで成型した。この3シートを負極、固体電解質、正極の順で重ね合わせ、さらに280℃に加熱したロールプレスで加熱加圧して一体化、両側に集電体のSUS板で挟持し電池を作製した。
実施例1と同様にして電池を評価し粒子存在率と欠陥存在率を求めた。結果を表2に示す。
実施例4
実施例1で作製した固体電解質ガラス50mgを10mmφのセラミック製(マコール)の円筒に投入し、10MPaで加圧成型する。この成型体の片面に実施例1で作製した正極合材を14.3mg入れ、再度10MPaで加圧する。同様に反対側の面に実施例1で作製した負極合材を12.1mg入れ10MPaで加圧し、負極、電解質、正極の順の3層からなる成型体を得た。この成型体の両面に集電体としてSUS板を入れ、真空排気しながら60MPaで加圧した。加圧後に理想セルに組み込まれた状態のまま、結晶化開始温度より低温の220℃〜240℃で少なくとも10分以上加熱し、その後結晶化ピーク温度より少なくとも20℃は高い温度まで昇温し少なくとも10分以上維持した。そのままの状態を維持しながら冷却することにより電池を得た。
実施例1と同様にして電池を評価し粒子存在率と欠陥存在率を求めた。結果を表2に示す。
表1において、計算は、分離波形ソフト付属の計算ソフト、あるいはエクセルにて行った。各計算は、小数点以下3−10桁分で行っているが、実施例、比較例には、小数点以下2桁目を四捨五入した数値を記載した。
本発明のガラスシート、融着ガラスシート、ガラスセラミックスシートはリチウム二次電池等に好適に利用できる。
1 固体電解質製造装置
2 固体電解質製造装置
10 粉砕機
20 反応槽
22 容器
24 撹拌翼
26 冷却管
30 ヒータ
40 オイルバス
50 第1の連結管
52 第2の連結管
54 ポンプ
60 熱交換器

Claims (9)

  1. Li,P,Sを含む固体電解質ガラス粒子を含む粉末を成型したシートであって、
    前記ガラス粒子が、繰り返し測定したラマンスペクトルの330cm−1から450cm−1の間に存在するピークを波形分離し、得られた各ピークの面積強度比の標準偏差がいずれも4.0未満であるシート。
  2. ラマンスペクトルにおけるPS 3−、P 4−、P 4−の面積比が、それぞれ15〜65%、25〜80%、5〜30%の範囲となる請求項1に記載のシート。
  3. 前記ガラス粒子の最大粒径が20μm以下であるシート。
  4. 固体電解質ガラス粒子を含む粉末を成型したシートであって、
    前記ガラス粒子が、少なくとも硫化リチウムと他の硫化物とを含む原料を、炭化水素系溶媒中で粉砕しつつ反応させるステップと、
    前記少なくとも硫化リチウムと他の硫化物とを含む原料を、炭化水素系溶媒中で反応させるステップと、
    を交互に行うことにより製造されたものであるシート。
  5. 固体電解質ガラス粒子を含む粉末を成型したシートであって、
    前記ガラスが、少なくとも硫化リチウムと他の硫化物とを含む原料を、炭化水素系溶媒中で反応させることにより製造されたものであるシート。
  6. 前記固体電解質ガラス粒子のみからなる請求項1〜5のいずれか1項に記載のシートを、前記ガラス粒子のガラス転移点以上、結晶化開始温度未満の温度で加熱して得られる、
    粒子存在率が、前記ガラス転移点以上の温度で加熱する前のシートの1%以下である融着シート。
  7. 前記固体電解質ガラス粒子のみからなる請求項1〜5のいずれか1項に記載のシートを、前記ガラス粒子のガラス転移点以上、結晶化開始温度未満の温度で加熱して得られる、
    欠陥存在率が1%以下である融着シート。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のシート又は請求項6又は7に記載の融着シートを加熱して、ガラスを結晶化させてガラスセラミックにしたガラスセラミックシート。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のシート、請求項6又は7に記載の融着シート及び請求項8に記載のガラスセラミックスシートの少なくとも1つを、電解質層、正極層及び負極層の少なくとも1つに用いたリチウム電池。
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