JP2010249536A - 磁気エンコーダおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】多極磁石と芯金とを強固にかつ低コストに固定可能とし、高い回転検出精度を長期に亘って維持可能な磁気エンコーダを提供する。
【解決手段】磁気エンコーダ10は、円周方向に多極に着磁された多極磁石14と、多極磁石14を固定した芯金11とを備える。多極磁石14は、磁性粉と熱可塑性樹脂とを含む磁石材料で形成されたいわゆるプラスチック磁石である。この多極磁石14は、多極磁石14を構成する熱可塑性樹脂と芯金11を構成する金属材料との物理的相互作用により、芯金11の取付面11dに衝合状態で接合一体化されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、磁気エンコーダおよびその製造方法に関するものである。
磁気エンコーダは、例えば、自動車の車輪用軸受装置に組み込まれ、アンチロックブレーキシステム(ABS)における車輪の回転数を検出する回転検出装置として用いられる。この種の回転検出装置は、ロータに設けられた凹凸歯の動きを磁気の大きさとして読み取るパッシブタイプと、磁気エンコーダの回転に伴う磁気の強弱の変化をホールIC等の磁気センサで読み取るアクティブタイプとに大別され、このうち、アクティブタイプの回転検出装置は、安価かつ低速域での回転速度検出に優れるため近年多用される傾向にある。
アクティブタイプの回転検出装置は、例えば、回転側部材に設けられた磁気エンコーダと、固定側部材に設けられた磁気センサとからなり、このうち磁気エンコーダは、円周方向に多極に着磁された円環状の多極磁石と、多極磁石を固定した芯金とを備える。多極磁石としては、磁性粉と非磁性粉とを含む磁石材料を圧粉・焼結して得られるいわゆる焼結磁石、磁性粉とゴムとを含む磁石材料を射出成形して得られるいわゆるゴム磁石、磁性粉と樹脂とを含む磁石材料を射出成形して得られるいわゆるプラスチック磁石などが公知である。これら多極磁石は、接着(例えば、特許文献1を参照)やかしめ(例えば、特許文献2を参照)などの手段で芯金に固定される。
特開2003−57070号公報 特開2005−274436号公報
ところで、車輪用軸受装置に組み込まれる磁気エンコーダは温度変化が広範にわたる過酷な環境下で使用されるため、多極磁石を芯金に接着固定した場合、接着剤の経時劣化に起因した固定力の低下が問題となる。特許文献1では、芯金の表面のうち、多極磁石との接着面を粗面化して接触(接着)面積を増大させることにより、両者の固定強度を高めることが提案されているが、粗面処理を施すことによるコスト増が避けられない。
一方、特許文献2のように多極磁石を芯金にかしめ固定すれば、両者を接着固定する場合のような固定力の経時劣化は回避される。しかしながら、特に焼結磁石からなる多極磁石を使用する場合、かしめ加工時に多極磁石が破損し易く、かしめ加工に格別の配慮を要す。ゴム磁石やプラスチック磁石は、かしめ時等の破損は効果的に回避可能であるが、一般に膨張収縮し易い。従って、特許文献2のように内外周面を芯金でかしめていると、特に高温環境下で多極磁石が膨張した場合にその膨張分を逃がすことができず、多極磁石が変形等して回転検出精度が低下するおそれがある。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、多極磁石を破損等させることなく、多極磁石と芯金とを強固かつ低コストに固定可能とし、高い回転検出精度を長期に亘って維持可能な磁気エンコーダを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明では、円周方向に多極に着磁された多極磁石と、多極磁石を固定した芯金とを備える磁気エンコーダであって、多極磁石が、磁性粉と熱可塑性樹脂とを含む磁石材料で形成され、多極磁石を構成する熱可塑性樹脂と芯金を構成する金属材料との物理的相互作用により、多極磁石の被取付面が芯金の取付面に衝合状態で接合一体化されていることを特徴とする磁気エンコーダを提供する。
上記のように、本発明に係る磁気エンコーダは、多極磁石が磁性粉と熱可塑性樹脂とを含む磁石材料で形成されたいわゆるプラスチック磁石であるから、芯金への固定時や軸受運転時等に破損し、これが機能しなくなる事態を効果的に防止することができる。また、プラスチック磁石はいわゆるゴム磁石に比べて磁気特性の向上が容易であり、回転検出精度を高めることができる。その一方、多極磁石は、多極磁石を構成する熱可塑性樹脂と芯金を構成する金属材料との物理的相互作用によって、芯金の取付面に衝合状態で接合一体化されるので、経時劣化に起因した固定強度の低下を抑制あるいは防止することができる。また、かしめ固定する場合のように多極磁石の内外周面を芯金で拘束する必要がないので、膨張収縮に伴う多極磁石の変形や脱落を防止して、高い回転検出精度を維持することができる。さらに、多極磁石と芯金との間に接着剤を介在させる必要がないので、接着剤の省略、およびこれを省略することによる乾燥工程や粗面処理工程の削減を通じて製造コストの低廉化を図ることができる。なお、物理的相互作用は、ファンデルワールス力とも称される。
多極磁石を構成する熱可塑性樹脂と芯金を構成する金属材料との間に物理的相互作用を生じさせるための具体的な手段として、レーザを芯金に照射することが考えられる。これは、いわゆるレーザ接合法と称される手法を用いて多極磁石を芯金に接合一体化することを意図したものである。レーザ接合は、例えば、多極磁石の被取付面と芯金の取付面とを衝合させた状態で芯金にレーザを照射し、両者の接触部近傍の樹脂を選択的に分解温度以上に加熱溶融して泡を発生させることにより、泡周辺部の樹脂の融液と金属とをファンデルワールス結合させる手法であり、極めて短時間のうちに両者を強固に固定し得る。なお、レーザは、直接芯金に照射しても良いし、間接的、具体的には、多極磁石を透過させるようにして芯金に照射することも可能である。
多極磁石を構成する熱可塑性樹脂としては、多極磁石が吸水して、その磁気特性が低下するのを抑制するため、吸水性に乏しいものが望ましく、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド612(PA612)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)の群から選択される少なくとも1つの化合物を含むものが好適である。また、以上に示すポリアミド11等は、金属材料との物理的な結合強度に優れるため、望ましい。
磁石材料に含まれる磁性粉としては、フェライト系磁性粉や希土類系磁性粉等、公知の磁性粉を単独で、またあるいは複数混合して使用することが可能であるが、コスト面および耐候性の面から、フェライト系磁性粉を主とするのが望ましい。
上記構成の磁気エンコーダは、内周に複列の軌道面を有する外方部材と、外周に外方部材の軌道面と対をなす複列の軌道面を有し、車輪取付けフランジを有するハブ輪、およびハブ輪の外周面に嵌合された内輪からなる内方部材と、外方部材と内方部材の両軌道面間に介装され、両者を相対回転自在に支持する転動体とを備える車輪用軸受装置に組み込んで好適に使用することができる。
上記の磁気エンコーダは、多極磁石を、磁性粉と熱可塑性樹脂とを含む磁石材料で形成し、多極磁石を構成する熱可塑性樹脂と芯金を構成する金属材料との間に物理的相互作用を生じさせ、多極磁石の被取付面を芯金の取付面に衝合状態で接合一体化することによって製作することができる。前記の物理的相互作用は、前述の通り、例えば、芯金にレーザを照射することによって生じさることができる。
以上より、本発明によれば、多極磁石を破損等させることなく、芯金に対して多極磁石を強固にかつ低コストに固定することができる。これにより、高い回転検出精度を長期に亘って維持可能で、信頼性に富む磁気エンコーダを提供することができる。
磁気エンコーダを組み付けた車輪用軸受の一例を示す断面図である。 本発明にかかる磁気エンコーダの部分斜視図である。 磁気エンコーダの磁極配列を示す正面図である。 図1の要部拡大断面図で、軸受内における回転検出装置およびシール装置を示す断面図である。 接合部の形成工程を概念的に示す断面図である。 (A)図および(B)図は、接合部の形成プロセスを概念的に示す図である。 回転検出装置の他例を示す断面図である。 冷熱耐久試験の試験結果を示すものである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る磁気エンコーダを備えた車輪用軸受装置の一例を示すものである。同図に示す車輪用軸受装置は、複列のころがり軸受、詳しくは複列のアンギュラ玉軸受を用いたものであり、主要な構成として、内方部材1および外方部材2と、内方部材1と外方部材2の間に収容された保持器4と、保持器4で保持され、内方部材1および外方部材2を相対回転自在に支持する複数の転動体(ここでは、ボール)3と、内方部材1と外方部材2の間の端部環状空間をシールするシール装置5,15とを備える。
内方部材1は、ボルト8を介して図示しない車輪が取り付けられる車輪取付けフランジ6aを有するハブ輪6と、ハブ輪6の軸部に外嵌され、外周に転動体3が転動する軌道面1a,1aがそれぞれ形成された一対の内輪19,20とからなる。外方部材2は、内輪19,20にそれぞれ設けられた軌道面1a,1aと対をなす軌道面2a,2aが内周に設けられた外輪からなり、懸架装置におけるナックル等からなる図示しないハウジングに取り付けられる。ハブ輪6には、その一端が駆動軸に連結された等速自在継手7の他端が連結される。同図に示す車輪用軸受装置では、内方部材1が回転側、外方部材2が固定側である。
なお、内方部材1は、上記のようにハブ輪6および一対の分割型の内輪19,20からなる3部材の組立品とするかわりに、ハブ輪6および一方側の内輪が一体化された軌道面付のハブ輪と、他方側の内輪とからなる2部材の組立品としてもよい。また、内方部材1および外方部材2は、各々転動体3を介して相対回転可能な内周側および外周側の部材を指し、軸受内輪および軸受外輪の単独品であっても、別部材との組み合わせ品であってもよい。内方部材1は軸状の部材であってもよい。
シール装置5,15のうち、一端側のシール装置5は、本発明に係る磁気エンコーダ10を構成部品とするものである。磁気エンコーダ10の一構成例を図2に示す。同図に示す磁気エンコーダ10は、芯金11と、この芯金11に固定された多極磁石14とを備える。多極磁石14は、図1および図4に示すように磁気センサ21と軸方向で対峙するように設けられており、磁気センサ21と磁気エンコーダ10とで回転検出装置22が構成される。
芯金11は、磁性体、特に強磁性体でかつ防錆性を有する金属鋼板、例えばフェライト系ステンレス鋼板や防錆処理された圧延鋼板等で形成され、内方部材1(内輪20)に固定される円筒部11aと、円筒部11aの一端から外径側に延び、多極磁石14を一端側に固定したフランジ部11bとを備える。
多極磁石14は、略円筒状に形成され、少なくとも磁気センサ21と対向する一端面は、円周方向にN極とS極とが交互に、すなわち多極に着磁された磁性面14aとされる。N極およびS極は、例えば図3に示すように、ピッチ円直径PCDにおいて、所定のピッチpとなるように形成されている。この多極磁石14は、磁性粉と熱可塑性樹脂とを含む磁石材料を用いて射出成形されたいわゆるプラスチック磁石である。詳細は後述するが、この多極磁石14は、磁性面14aの反対側の端面(被取付面14b)と芯金11の取付面11dとの間に形成された接合部12により、芯金11の取付面11dに衝合状態で接合一体化(固定)されている。
多極磁石14を構成する磁性粉としては、例えば、ストロンチウムフェライトやバリウムフェライトなどに代表される異方性あるいは等方性のフェライト系磁性粉や、ネオジウム−鉄−ボロン,サマリウム−コバルト,サマリウム−鉄−窒素などに代表される希土類系磁性粉等、公知の磁性粉を使用することができ、これらは単独で、あるいは複数組み合わせて使用される。本実施形態では、コストおよび耐候性の面で優位性を示す、フェライト系磁性粉を主として使用している。なお、このようにフェライト系の磁性粉を主として用いる場合、フェライトの磁気特性を向上させるためにランタンやコバルト等の希土類系元素を混合することもできる。
多極磁石14を構成する熱可塑性樹脂としては、吸水による多極磁石14の磁気特性低下を極力抑制するため、吸水性に乏しいものが望ましく、例えば、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド612(PA612)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)の群から選択される少なくとも1つの化合物を含むものが使用される。また、詳細は後述するが、以上で例示した熱可塑性樹脂は、芯金11を構成する金属材料と物理的に強固に結合し、多極磁石14と芯金11との間に高い接合強度を確保し得るため、望ましい。
上述のとおり、上記磁気エンコーダ10はシール装置5を構成する一部材でもあり、シール装置5は、図4に示すように、当該磁気エンコーダ10と、外方部材2に固定されたシール板16、およびシール板16に固定された弾性部材17からなるシール部材9とで構成される。
弾性部材17は、芯金11のフランジ部11bに摺接するサイドリップ17aと、芯金11の円筒部11aに摺接するラジアルリップ17b,17cとを一体に有する。また、この弾性部材17はシール板16の円筒部16aの内径面から先端部外径を覆う被覆部17dを一体に有し、この被覆部17dが、シール板16と外方部材2との嵌合部に介在する。そして、シール板16の円筒部16a(弾性部材17の被覆部17d)と多極磁石14とは僅かな径方向隙間を介して対峙し、この径方向隙間でラビリンスシール18が形成される。
上記の磁気エンコーダ10は、例えば、個別に芯金11および磁石素材14’(未着磁の多極磁石14)を製作し、磁石素材14’を芯金11に固定した後、磁石素材14’を着磁することにより製作される。以下、本発明の要旨である磁石素材14’を芯金11に固定する工程の一例について詳述する。
図5は、磁石素材14’と芯金11との間に接合部12を形成する工程の一例を概念的に示すものである。図示する製造装置30は、レーザ照射装置31と、ビーム径調整手段33と、芯金11を保持する保持部材34とで主要部が構成される。レーザ照射装置31は、放電ランプや半導体レーザ等の励起源を備え、その先端部から芯金11のフランジ部11bと直交する方向にレーザビーム32を照射するものである。レーザとしては、半導体励起式のYAGレーザや同じ近赤外線レーザである半導体レーザ,ファイバレーザを使用することが可能であるが、本実施形態では、レーザビーム32のビーム品質、経済性等を考慮して、半導体レーザを励起源とするレーザダイオード(LD)励起方式のNd・YAGレーザ(波長:1064nm、ロフィン・バーゼルジャパン(株)製)を用いている。レーザビーム32の照射方式としては、連続式またはパルス式の何れであっても良いが、接合部12を高精度に形成し得る連続式が特に好適である。また照射するレーザビーム32のパワーは任意に調整可能である。
ビーム径調整手段33は、レーザ照射装置31と芯金11との間に配設され、レーザビーム32のビーム径を調整する。図示例のビーム径調整手段33は、図示しない適宜の手段で保持された凸レンズからなる。なお、図示は省略しているが、接合作業中に接合部12の形成部近傍が酸化するのを防止するため、周囲の空気を遮断するためのアルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガスを吹き付けるシールドガス噴射装置を配設するのが望ましい。また、芯金11の外径側には図示しないクランプ機構が設けられ、このクランプ機構で芯金11と磁石素材14’とを挟持することにより、芯金11の取付面11dと磁石素材14’の被取付面14bとが衝合状態で保持される。
以上の構成からなる製造装置30において、まず、図5に示すように、磁石素材14’を外嵌した芯金11を保持部材34に圧入固定する。次いで、図6(A)に示すように、レーザ照射装置31から芯金11のフランジ部11bに向けてレーザビーム32を照射し、レーザビーム32の被照射部位(図中点線で示す部分)を、磁石素材14’を構成する熱可塑性樹脂の分解温度以上(例えば、熱可塑性樹脂としてポリアミド12を使用した場合には750℃程度)まで加熱する。このように芯金11が加熱されると、磁石素材14’の被取付面14bのうち、被照射部位との接触部には樹脂が溶融してなる溶融部14dが形成され、溶融部14d内には気泡が生成される。そして、所定時間レーザビーム32を照射した後レーザビーム32の照射を一旦停止すると、気泡周辺(溶融部14d)の融液とクランプ機構から付与される加圧力とによって、磁石素材14’を構成する熱可塑性樹脂と芯金11を構成する金属材料との間に物理的相互作用が生じ、両者が分子結合(ファンデルワールス結合)してなる接合部12が形成される(図6(B)を参照)。
以上のようにして芯金11のフランジ部11bと磁石素材14’との間の円周方向所定領域に接合部12が形成されると、レーザ照射装置31とアセンブリを相対回転させ、フランジ部11bと磁石素材14’との間の円周方向他領域に上記同様にして接合部12を形成する。なお、接合部12は、円周方向で連続した円環状に形成する他、断続的に(円弧状に)形成することも可能である。このようにして所定の接合部12を形成することにより、磁石素材14’の被取付面14bが芯金11(フランジ部11b)の取付面11dに衝合状態で接合一体化される。
なお、接合部12の形成に際し、照射するレーザビーム32のパワーが過大であると、芯金11が溶解等し、所定の接合部12を形成できないおそれがある。かかる事態を防止するためにレーザビーム32のパワーは200〜900Wに設定するのが望ましく、本実施形態ではレーザビーム32のパワーを800Wに設定した。また、照射するレーザビーム32のビーム径は、ビーム径調整手段33によりφ4mm以上に調整される。ビーム径が小さすぎると、接合部12の形成に多大な時間を要すだけでなく、レーザビーム32のパワーが過大となって上記同様に芯金11が溶解するおそれがあるからである。なお、本実施形態では、レーザビーム32のフォーカス位置からずらした部分が芯金11に照射されるように条件設定を行い、これにより芯金11の溶解を防止すると共に、ビーム径の拡大、すなわち1サイクルで形成し得る接合部12の面積拡大を図った。
以上では、芯金11に直接レーザビーム32を照射することにより、芯金11と磁石素材14’との間に接合部12を形成する場合について説明を行ったが、磁石素材14’を透過させるようにしてレーザビーム32を芯金11に照射することによって、芯金11と磁石素材14’との間に接合部12を形成することもできる。
以上のようにして、磁石素材14’を芯金11に固定した後、磁石素材14’を着磁させると図2に示す完成品としての磁気エンコーダ10が得られる。着磁は、保持部材34で芯金11(厳密には磁石素材14’が接合されたアセンブリ)を保持したまま行っても良いし、保持部材34から芯金11を取り外し、他工程で行っても良い。
以上に示すように、本発明に係る磁気エンコーダ10では、多極磁石14(磁石素材14’)が、磁性粉と熱可塑性樹脂とを含む混合材料で形成されたいわゆるプラスチック磁石であるから、芯金11への固定時や軸受運転時等に破損し、回転検出装置22が機能しなくなるといった事態を効果的に防止することができる。また、プラスチック磁石はゴム磁石に比べて磁気特性の向上が容易であり、回転検出装置22の回転検出精度を高めることができる。また、プラスチック磁石はゴム磁石に比べて硬く、このために耐摩耗性に優れるという利点もある。
また、多極磁石14は、多極磁石14を構成する熱可塑性樹脂と芯金11を構成する金属材料との物理的相互作用により、芯金11の取付面11dに衝合状態で接合一体化されているので、経時劣化に起因した固定強度の低下を効果的に抑制あるいは防止することができる。また、かしめ固定する場合のように多極磁石14の内外周面を芯金11で拘束する必要がないので、膨張収縮に伴う多極磁石14の変形や脱落等により、回転検出精度が低下するのを効果的に防止することができる。さらに、接着剤の省略、およびこれを省略することによる乾燥工程や粗面処理工程の削減を通じて製造コストの低廉化を図ることができる。特に、本実施形態のように、レーザビーム32を照射することによって多極磁石14(磁石素材14’)を芯金11に接合一体化(固定)すれば、極めて短時間のうちに両者を固定することができる。従って、高い回転検出精度を長期に亘って維持可能で、信頼性に富む磁気エンコーダ10が低コストに得られる。
なお、以上では、多極磁石14を構成する磁性粉としてフェライト系磁性粉を主として用いる場合について説明を行ったが、特に希土類系の磁性粉を主として、またあるいは混合して用いる場合には、多極磁石14の表面に防錆用の被膜を設けるのが望ましい。これにより、錆の発生による回転検出精度の悪化が効果的に防止される。この被膜は、多極磁石14の表面全体に形成する必要はなく、多極磁石14の表面のうち、外部に露出した面(図示例の形態では、磁性面14aおよび内周面)にのみ形成すれば足りる。このように外部に露出した面にのみ被膜を形成するには、スプレー法やインクジェット法を好適に採用することができる。本実施形態のようにフェライト系磁性粉を主として多極磁石14を形成した場合に防錆用被膜を形成しても良いのはもちろんのことである。
以上では、多極磁石14を、その磁性面14aが軸線と直行するように配した磁気エンコーダ10について説明を行ったが、多極磁石14は、図7に示すように、磁性面14aが軸線と平行になるように配すこともできる。同図では、芯金11のフランジ部11bの外径側に、円筒部11aとは逆方向に延びる第2円筒部11cをさらに設け、この第2円筒部11cの外周面を多極磁石14の取付面11dとしている。この場合、磁気センサ21は、多極磁石14の磁性面14aに対して径方向に対向するように配置される。
また、以上で説明を行った磁気エンコーダ10は、何れも車輪用軸受装置のシール装置5および回転検出装置22の構成部品であるが、磁気エンコーダ10は、回転検出装置の構成部品のみとして利用することもできる。
また以上では、本発明にかかる磁気エンコーダ10を複列のアンギュラ玉軸受からなる車輪用軸受装置に用いた構成について説明を行ったが、本発明にかかる磁気エンコーダ10は、玉軸受のみならず、転動体としてころ(円筒ころ、針状ころ、円錐ころ等)を用いたころ軸受等、公知の種々の転がり軸受からなる車輪用軸受装置に組み込んで用いることもできる。
以上、本発明の実施形態について説明を行ったが、本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内の全ての変更を含む。
本発明の有用性を実証するために試験を行った。試験体および試験方法の詳細を以下示す。
(A)試験体
以下示す材料で磁石素材14’を製作し、これを上述した本発明にかかる方法で芯金11に固定した後、磁石素材14’に着磁して磁気エンコーダ10としたもの(実施例1および実施例2)と、以下示す材料で多極磁石14を磁場成形し、これを2液性弾性接着剤EP001(セメダイン株式会社製)で芯金11に接着固定して磁気エンコーダ10としたもの(比較例1および比較例2)とをそれぞれ複数準備した。なお、芯金11は全て同一のものを用いたので、多極磁石14の形成材料のみを示す。
<実施例1/比較例1>:磁場配向用フェライトとポリアミド12のコンパウンド樹脂(TP−A29S、戸田工業株式会社製)
<実施例2/比較例2>:磁場配向用フェライトとポリフェニレンサルファイドのコンパウンド樹脂(TP−F76、戸田工業株式会社製)
(B)試験方法
下記の(1)〜(4)の手順を1サイクルとし、上記の各試験体についてこれを500サイクル繰り返した後、芯金11と多極磁石14との間の接合部12を観察して接合部12におけるクラックおよび剥がれの有無を確認した。
・ −40℃の環境下で磁気エンコーダを30分保持。
・ 5分以内に120℃まで昇温。
・ 120℃で磁気エンコーダを30分保持。
・ 30分以内に−40℃まで冷却。
図8に試験結果を示す。同図からも明らかなように、本発明を適用した実施例1および実施例2では多極磁石14と芯金11との間の接合部12にクラックや剥がれ等がなく、良好な固着状態が維持されていた。これに対し、多極磁石14を芯金11に接着固定した比較例1および比較例2では、多極磁石14と芯金11との間の接合部(接着固定部)にクラックや剥がれ等が見られた。この試験結果により本発明の有用性が実証される。
1 内方部材
2 外方部材
3 転動体
5、15 シール装置
6 ハブ輪
6a 車輪取付けフランジ
9 シール部材
10 磁気エンコーダ
11 芯金
11d 取付面
12 接合部
14 多極磁石
14’ 磁石素材
14a 磁性面
14b 被取付面
21 磁気センサ
22 回転検出装置
31 レーザ照射装置
32 レーザビーム

Claims (6)

  1. 円周方向に多極に着磁された多極磁石と、多極磁石を固定した芯金とを備える磁気エンコーダであって、
    多極磁石が、磁性粉と熱可塑性樹脂とを含む磁石材料で形成され、
    多極磁石を構成する熱可塑性樹脂と芯金を構成する金属材料との物理的相互作用により、多極磁石の被取付面が芯金の取付面に衝合状態で接合一体化されていることを特徴とする磁気エンコーダ。
  2. 前記熱可塑性樹脂が、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド612、ポリフェニレンサルファイドの群から選択される少なくとも1つの化合物を含むものである請求項1記載の磁気エンコーダ。
  3. 前記磁性粉が、フェライト系磁性粉を主とするものである請求項1又は2に記載の磁気エンコーダ。
  4. 内周に複列の軌道面を有する外方部材と、外周に外方部材の軌道面と対をなす複列の軌道面を有し、車輪取付けフランジを有するハブ輪、およびハブ輪の外周面に嵌合された内輪からなる内方部材と、外方部材と内方部材の両軌道面間に介装され、両者を相対回転自在に支持する複列の転動体と、請求項1〜3の何れか一項に記載の磁気エンコーダと、を備える車輪用軸受装置。
  5. 円周方向に多極に着磁された多極磁石と、多極磁石を固定した芯金とを備える磁気エンコーダを製造するための方法であって、
    多極磁石を、磁性粉と熱可塑性樹脂とを含む磁石材料で形成し、
    多極磁石を構成する熱可塑性樹脂と芯金を構成する金属材料との間に物理的相互作用を生じさせることにより、多極磁石の被取付面を芯金の取付面に衝合状態で接合一体化することを特徴とする磁気エンコーダの製造方法。
  6. 多極磁石の被取付面を芯金の取付面に衝合させた状態で芯金にレーザを照射することにより、前記物理的相互作用を生じさせる請求項5記載の磁気エンコーダの製造方法。
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