JP2010249217A - 流体軸受装置およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】潤滑油漏れを長期に亘って防止し得る流体軸受装置を低コストに提供する。
【解決手段】流体軸受装置1は、軸受スリーブ8、および該軸受スリーブ8をインサートして樹脂で型成形されたハウジング9からなる略円筒状の軸受部材7と、軸受部材7の内周に挿入された軸部材2と、軸受部材7の下端開口を閉塞する蓋部材10とを備え、ハウジング9の上端部には、軸部材2の外周面2a1との間にシール隙間Sを形成するシール部92が一体に設けられている。シール部92には、内周に潤滑油の油面を保持した保油部92aと、この保油部92aの大気開放側で、シール隙間Sの隙間幅を縮小させる蓋部92bとが一体的に設けられている。
【選択図】図6

Description

本発明は流体軸受装置およびその製造方法に関するものである。
流体軸受装置は、軸受隙間に形成される油膜で軸部材を回転自在に支持するものである。この流体軸受装置は、高速回転、高回転精度、低騒音等の特徴を有するものであり、近年ではその特徴を活かして、情報機器をはじめ種々の電気機器に搭載されるモータ用の軸受装置として、より具体的には、HDD等の磁気ディスク装置やCD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置等のスピンドルモータ、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、PC等のファンモータなどのモータ用軸受装置として好適に使用されている。
例えば、特開2003−336636号公報(特許文献1)には、ハウジングおよびその内周に固定された軸受スリーブからなり、両端が開口した軸受部材と、軸受部材の内周に挿入され、軸受部材(軸受スリーブ)の内周面との間にラジアル軸受隙間を形成する軸部材と、軸受部材の一端開口部に配設されたシール部材とを備え、ラジアル軸受隙間に形成される潤滑油の油膜で軸部材をラジアル方向に支持する流体軸受装置が開示されている。かかる構成の流体軸受装置において、シール部材は、軸部材の外周面との間に一端が大気に開放し、他端がラジアル軸受隙間に連通したシール隙間を形成する。シール隙間は、その軸方向範囲内に潤滑油の油面(気液界面)を保持し、これにより潤滑油漏れを可及的に防止する。
ところで、特にディスク装置に搭載されるスピンドルモータは潤滑油による汚染を極度に嫌うため、この種のモータに組み込まれる流体軸受装置においては、シール隙間に隣接するシール部材の端面や軸部材の外周面等に、撥油性を有する被膜(撥油膜)を形成するのが通例となっている。撥油膜を形成しておけば、例えば、流体軸受装置に衝撃荷重が加わることによってシール隙間内に保持された潤滑油が大気開放側に飛散した場合であっても、飛散した潤滑油は撥油膜で弾かれてシール隙間内に戻される。そのため、潤滑油漏れを一層確実に防止することができる。
特開2003−336636号公報
しかしながら、撥油膜の形成に際しては、撥油剤を所定の面に精度良く塗布すると共に、塗布後の乾燥時間も必要であるから、総じてその形成コストが高くなり易い。また、特にシール部材の端面は、流体軸受装置の組立時に用いる治具で加圧される場合が多いため、この面に予め撥油膜を形成しておいたのでは、流体軸受装置の組立時に撥油膜が損傷、剥離等するおそれがある。かかる事態は、撥油性能の低下を招くばかりか、剥離した撥油膜(撥油剤)が潤滑油内に混入してコンタミとなり、軸受性能を低下させる一因ともなる。そのため、この面に対する撥油膜の形成は、部材同士の組み付け完了後に行われる場合が多い。しかしながら、この状態で撥油膜を精度良く形成するには格別の配慮を要すため、製造コストの増大が避けられない。
また、特にシール部材の端面は外部に露出しているため、この面に形成した撥油膜は、その特性が経時変化したり、剥離、損傷等したりし易い。従い、安定した撥油性能を長期に亘って確保するのが困難である。
本発明の課題は、潤滑油漏れを長期に亘って防止し得る流体軸受装置を低コストに提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明では、少なくとも一端が開口した軸受部材と、軸受部材の内周に挿入され、軸受部材の内周面との間にラジアル軸受隙間を形成する軸部材と、軸受部材の開口部に配設され、軸部材の外周面との間に一端が大気に開放したシール隙間を形成するシール部とを備え、ラジアル軸受隙間に形成される潤滑油の油膜で軸部材をラジアル方向に支持する流体軸受装置において、シール部に、内周に潤滑油の油面を保持する保油部と、該保油部の大気開放側で、シール隙間の隙間幅を縮小させる蓋部とを一体に設けたことを特徴とする流体軸受装置を提供する。
上記のように、潤滑油の油面を保持する保油部の大気開放側で、シール隙間の隙間幅を縮小させる蓋部を設ければ、例えば流体軸受装置に衝撃荷重が加わることによって保油部に保持された潤滑油が飛散した場合であっても、この飛散した潤滑油を蓋部でブロックすることができる。また、かかる機能を奏する蓋部が保油部と一体に設けられることから、これを設ける際に必要となる手間は、同様の機能を奏する撥油膜を形成する場合に比べて軽減することができる。また、蓋部が保油部と一体に設けられていれば、蓋部がコンタミの原因となる可能性を効果的に減じることができ、さらには、特性変化等に起因して潤滑油の漏洩防止機能が低下するような事態も効果的に回避することができる。
例えば、蓋部と保油部とを別体とし、蓋部を適宜の手段で保油部に固定することも可能であるが、保油部に対して蓋部を精度良く固定しなければ上記効果を確実に得ることが難しくなる。そのため、蓋部の取り付けコストが嵩み、却って製造コストの増大を招くおそれがある。また、特に、蓋部と保油部とを別材料で形成した場合には、軸受運転時等、周辺温度の上昇時に、両者の線膨張係数差に起因して保油部に対する蓋部の固定態様に悪影響が及ぶおそれがある。この点、蓋部と保油部とを一体に設けておけば、これらの問題を考慮せずとも足りる。
上記の蓋部は、シール部を部分的に変形させることで形成することができる。すなわち、かかる構成の流体軸受装置は、シール部を部分的に変形させることにより、内周に潤滑油の油面を保持する保油部の大気開放側に、シール隙間の隙間幅を縮小させる蓋部を形成する工程を経て製造することができる。この場合、上記態様で蓋部を形成した後、軸受内部に潤滑油を供給するようにしても良いし、軸受内部に潤滑油を給油した後、上記態様で蓋部を形成するようにしても良い。特に後者の手順であれば、給油作業を簡便に行うことができる。
上記の蓋部を設けることによって潤滑油漏れを確実に防止するには、蓋部で形成されるシール隙間の最小幅部の隙間幅を、保油部で形成されるシール隙間の最大幅部の隙間幅(例えば、保油部と蓋部の境界部分で形成されるシール隙間の隙間幅。図6を参照)の1/2以下に設定するのが望ましい。
軸部材に凹部を設け、この凹部内に蓋部の先端を収容するようにすれば、シール隙間の大気開放部をラビリンス構造とすることができる。従い、潤滑油漏れを一層効果的に防止することが可能となる。
以上の構成において、保油部の内周面は、軸線に沿って延びるストレートな面とする他、反大気開放側(軸受内部側)に向かって漸次縮径させることができる。後者の構成を採用すれば、保油部の内周面で形成されるシール隙間は、その隙間幅が軸受内部側に向かって漸次縮小した楔形状となり、保油部の内周に保持される潤滑油を毛細管力によって軸受内部側に引き込むことができる。そのため、潤滑油の外部漏洩を防止する上で好適である。また、後述するように、シール部を樹脂材料等で型成形する場合には、漸次縮径した内周面によって抜き勾配が確保されるので、保油部の内周面精度を高めることができる。保油部の内周面の縮径態様に限定はなく、直線的であっても良いし、曲線的であっても良い。
軸受部材は、ラジアル軸受隙間の外径寸法を規定する面を有する軸受スリーブと、該軸受スリーブを内周に収容したハウジングとを備えるものとすることができ、この場合、シール部は、軸受スリーブをインサート部品としてハウジングと一体に型成形することができる。このようにすれば、部品点数および各部の組み付け工数を減じて流体軸受装置の低コスト化を図ることができる。
このとき、軸受スリーブを多孔質体で形成しておけば、アンカー効果によって軸受スリーブとハウジングの間の結合強度を高めることができる。また、軸受運転時には、軸受スリーブの内部気孔に保持された潤滑油の滲み出しによって、ラジアル軸受隙間に常時潤沢な潤滑油を介在させることができる。従い、油膜切れが生じる可能性を減じて、所期の軸受性能を安定的に維持することができる。但しこの場合、軸受部材の全体を非多孔質体で形成する場合に比べて軸受装置の内部空間に充填すべき潤滑油量が増大する分、シール隙間の容積を大きく確保する必要がある。これはすなわち、シール隙間で保持すべき潤滑油量が増大することを意味し、従い、潤滑油漏れの可能性も高まるが、上記本発明の構成を採用すれば、このような場合であっても、潤滑油漏れを効果的に防止することができる。
シール部は、軸受部材と一体に型成形しても良い。なお、ここで言う「軸受部材」とは、上記の軸受スリーブとハウジングとを一体的に設けたものを意図している(図13を参照)。このようにすれば、部材点数や組み付け工数を一層減じて、流体軸受装置の更なる低コスト化を図ることができる。
上記のようにシール部をハウジングあるいは軸受部材と一体に型成形する場合、シール部の成形材料としては、樹脂材料の他、金属材料を使用することも可能である。樹脂材料としては、熱可塑性樹脂をベース樹脂とするものを使用することができ、金属材料としては、マグネシウム合金等の低融点金属を使用することができる。これらの他、いわゆるMIM成形によってシール部を型成形することもできる。
なお、本発明は、上記のようにシール部がハウジングあるいは軸受部材と一体に型成形された流体軸受装置のみならず、シール部をこれらとは別部材とした流体軸受装置(例えば、上記特許文献1に記載の流体軸受装置)にも好適に採用することができる。
軸受部材は、他端も開口した略円筒形態とする場合がある。この場合、軸受部材の他端開口は、軸受部材の他端開口部に固定した蓋部材で閉塞することができるが、所期の軸受性能を安定維持するためには、軸受部材に対する蓋部材の固定強度が問題となる。流体軸受装置の運転中等に衝撃荷重が加わると、軸部材の端部が蓋部材に突き当たり、この時の衝撃で蓋部材が脱落するおそれがあるからである。上記特許文献1の流体軸受装置のように軸受部材の内周面に蓋部材を固定する場合、蓋部材の肉厚を増せば軸受部材に対する蓋部材の固定面積が拡大する分、軸受部材に対する蓋部材の固定強度を高めることができる。しかし、蓋部材を厚肉化すると、軸受装置の軸方向寸法の長大化、あるいはラジアル軸受部の軸受スパンの縮小を招くため、蓋部材をむやみに厚肉化することはできない。
以上の事態を鑑みると、軸受部材の他端開口を別体の蓋部材で閉塞する場合には、軸受部材の外周面に蓋部材を固定するのが望ましい。このようにすれば、上記特許文献1に開示された構成のように、蓋部材を軸受部材の内周面に固定する場合に比べて、内周面と外周面の径差分だけ両者の固定面積を増すことができる。この場合、蓋部材には、軸受部材の他端開口を閉塞する円盤状のプレート部と、軸受部材の外周面に固定される円筒状の筒部とが必要となる(図2を参照)が、軸受部材に対する蓋部材の固定面積を拡大するには、筒部の軸方向寸法を長大化すれば足り、プレート部を厚肉化する必要がない。また、筒部を長大化しても軸受装置の全長寸法に影響は及ばない。以上から、軸受装置の軸方向寸法やラジアル軸受部の軸受スパンに影響を与えることなく蓋部材の耐抜け強度を高めることができ、所期の軸受性能を安定維持することが可能となる。
また、流体軸受装置はモータの内周に取り付け固定されるが、上記構成とすれば、蓋部材をモータのベースとなる部材、例えばモータブラケットへの取り付け部として活用することができる。コスト面を考慮すると軸受部材を樹脂製とするのが有効であるが、これでは、通常金属製とされるモータブラケットに接着固定する場合に、必要とされる固定強度を確保することが難しくなる。一方、軸受部材を金属製とすれば固定強度を満足することはできるものの、樹脂製とする場合に比べコスト高となることは否めない。これに対し、上記構成とすれば、蓋部材をモータブラケットとの接着性に富む金属材料で形成してモータブラケットに対する流体軸受装置の固定強度を満足しつつ、軸受部材を樹脂で形成してコスト低減の要求も満足することができる。
以上より、本発明によれば、潤滑油漏れを長期に亘って防止し得る流体軸受装置を低コストに提供することができる。
ディスク装置用のスピンドルモータを概念的に示す断面図である。 本発明の第1実施形態に係る流体軸受装置を示す断面図である。 軸受部材の断面図である。 軸受部材の下側端面を示す図である。 蓋部材のプレート部の上側端面を示す図である。 図2に示す流体軸受装置の要部拡大断面図である。 蓋部の形成工程を概念的に示すものであり、(a)図は蓋部の形成直前の状態を、また(b)図は蓋部の形成直後の状態を概念的に示すものである。 図2に示す流体軸受装置の要部拡大断面図である。 他の方法に係る蓋部の形成工程を概念的に示す要部拡大断面図であり、(a)図は蓋部の形成直前の状態を、また(b)図は蓋部の形成直後の状態をそれぞれ示すものである。 給油方法の他例を概念的に示す要部拡大断面図であり、(a)図は給油直前の状態を、(b)図は給油中の状態を、また(c)図は給油後の状態をそれぞれ示すものである。 図2に示す流体軸受装置の変形例を示す要部拡大断面図である。 本発明の第2実施形態に係る流体軸受装置を示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係る流体軸受装置を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、流体軸受装置を組み込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示している。このスピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、軸部材2を回転自在に支持する流体軸受装置1と、軸部材2の一端に設けられたディスクハブ3と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5と、ベース部材としてのモータブラケット6とを備えている。ステータコイル4はモータブラケット6の外周に取り付けられ、ロータマグネット5はディスクハブ3の内周に取り付けられる。流体軸受装置1の軸受部材7は、モータブラケット6の内周に固定される。ディスクハブ3には磁気ディスク等のディスクDが一又は複数枚(図示例は2枚)保持され、ディスクDは図示しないクランプ機構で固定される。以上の構成において、ステータコイル4に通電すると、ステータコイル4とロータマグネット5との間の電磁力でロータマグネット5が回転し、それによって、ディスクハブ3およびディスクハブ3に保持されたディスクDが軸部材2と一体に回転する。
図2は、本発明の第1実施形態に係る流体軸受装置1を示すものである。この流体軸受装置1は、軸方向両端が開口した略円筒状の軸受部材7と、軸受部材7の内周に挿入された軸部材2と、軸受部材7の一端開口を閉塞する蓋部材10とを構成部材として備え、軸受部材7の内部空間には潤滑油が充満されている。なお、以下では、便宜上、蓋部材10が設けられた側を下側、その軸方向反対側を上側として説明を進める。
軸部材2は、軸受部材7の内周に挿入された軸部2aと、軸部2aの一端に設けられ、軸受部材7の下方に配置されたフランジ部2bとを有する。軸部2aおよびフランジ部2bの双方は、耐摩耗性に富む金属材料、例えばステンレス鋼で形成される。軸部2aの下端には小径部2a2が形成され、この小径部2a2を環状のフランジ部2bの内周に嵌合固定することで軸部材2が形成される。軸部2aとフランジ部2bの固定方法は両者間に所定の固定強度を確保し得る限りにおいて任意であり、圧入、接着、溶接(特にレーザ溶接)等を採用することができる。軸部材2は、上記のように、個別に製作した軸部2aおよびフランジ部2bを適宜の手段で一体化したものの他、両者を鍛造等で一体成形したものを使用することもできる。
軸受部材7は、軸方向両端が開口した略円筒状をなし、軸受スリーブ8と、この軸受スリーブ8をインサート部品として樹脂で型成形(射出成形)されたハウジング9とで構成され、詳細は後述するが、ハウジング9にはシール隙間Sを形成するシール部92が一体に設けられている。
軸受スリーブ8は、多孔質体、特に銅を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成される。軸受スリーブ8は、焼結金属以外のその他の多孔質体、例えば多孔質樹脂やセラミックスで形成することもできるし、非多孔質体、例えば黄銅等の軟質金属で形成することもできる。軸受スリーブ8の内周面8aおよび外周面8dの双方は、径一定の円筒面状に形成される。また、軸受スリーブ8の軸方向両端の内周縁部および外周縁部には、それぞれチャンファ8ei、8eo、8fi、8foが形成される。
図3に示すように、軸受スリーブ8の内周面8a(軸受部材7の内周面)には、対向する軸部2aの外周面2a1との間にラジアル軸受隙間を形成する円筒状のラジアル軸受面A1,A2が軸方向の二箇所に離隔形成される。これらラジアル軸受面A1,A2が、ラジアル軸受隙間の外径寸法を規定する面となる。ラジアル軸受面A1,A2には、それぞれ、複数の動圧溝8a1,8a2をヘリングボーン形状に配列してなるラジアル動圧発生部が形成される。本実施形態において、上側の動圧溝8a1は、軸方向中心m(上下の傾斜溝間領域の軸方向中央)に対して軸方向非対称に形成されており、軸方向中心mより上側領域の軸方向寸法X1が下側領域の軸方向寸法X2よりも大きくなっている。一方、下側の動圧溝8a2は軸方向対称に形成され、その上下領域の軸方向寸法はそれぞれ上記軸方向寸法X2と等しくなっている。かかる構成により、軸部材2の回転時には、軸受部材7の内周面と軸部2aの外周面2a1との間に介在する潤滑油が下方に押し込まれる(ポンピング能力のアンバランス)。なお、ラジアル動圧発生部は、対向する軸部2aの外周面2a1に形成しても良い。
図4に示すように、軸受スリーブ8の下側端面8cには、対向するフランジ部2bの上側端面2b1との間に第1スラスト軸受隙間を形成するスラスト軸受面Bが設けられ、該スラスト軸受面Bにはスラスト動圧発生部が形成される。スラスト動圧発生部はヘリングボーン形状で、V字状に屈曲した複数の動圧溝8c1と、これを区画する図中クロスハッチングで示す丘部8c2とを円周方向で交互に配して構成される。なお、スラスト動圧発生部は、対向するフランジ部2bの上側端面2b1に形成しても良い。
ハウジング9は軸方向両端が開口した略円筒状をなし、軸受スリーブ8を内周に保持した本体部91と、本体部91の上端内径側に設けられたシール部92とを一体に有する。本体部91の内周面は径一定の円筒面状に形成され、外周面は下側を小径にした段付きの円筒面状に形成される。従い、本体部91は、相対的に厚肉に形成された厚肉部91aと、相対的に薄肉に形成された薄肉部91bとが軸方向に積み重なった形態をなす。
シール部92は、対向する軸部2aの外周面2a1との間に、上端が大気に開放し、下端がラジアル軸受隙間に連通したシール隙間Sを形成する。このシール部92は、内周に潤滑油の油面を保持した保油部92aと、保油部92aの大気開放側(上側)に配置された蓋部92bとを一体に有する。シール隙間Sのうち、保油部92aの内周面92a1で形成される軸方向領域は、軸受部材7の内部空間を満たす潤滑油の温度変化に伴う容積変化量の吸収機能(バッファ機能)を有し、従い、潤滑油の油面は、保油部92aの軸方向領域内に常に保持されるようになっている。軸部2aの外周面2a1は軸線に沿って延びる径一定の円筒面状に形成される一方、保油部92aの内周面92a1は下方に向かって直線的に漸次縮径したテーパ面状に形成される。従い、シール隙間Sのうち、保油部92aで形成される軸方向領域は、下方に向けて隙間幅を漸次縮小させた楔形状を呈する。なお、保油部92aの内周面92a1は、下方に向かって曲面状に漸次縮径した円弧面としても良い。
図6に拡大して示すように、蓋部92bは保油部92aの上端部よりも内径側に突出しており、従い、蓋部92bは保油部92aの上側でシール隙間Sの隙間幅を縮小させている。より詳細に述べると、蓋部92b(の内径端部)はシール隙間Sの最小幅部を形成し、当該シール隙間Sの最小幅部の隙間幅d2は、保油部92aの内周面92a1で形成されるシール隙間Sのうち、最大幅部(保油部92aと保油部92bの境界部分で形成されるシール隙間S)の隙間幅d1の1/2以下に設定される。なお、以上の構成からなる蓋部92bは、シール部92を部分的に変形させることによって形成されるが、その具体的な形成方法は後に詳述する。
ハウジング9の成形に用いる樹脂材料は射出成形可能であれば特段の限定はなく、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)等の結晶性樹脂、あるいはポリフェニルサルフォン(PPSU)等の非晶性樹脂をベース樹脂としたものを用いることができる。この樹脂材料には、必要に応じて強化材や導電性充填材等の各種充填材を配合することも可能であるが、後述するように、本実施形態では蓋部材10で導電性が確保されるので、導電性充填材は基本的に不要である。但し、ハウジング9の成形性等に悪影響を及ぼさず、コスト面でも支障がなければ、導電性充填材を配合しても良い。
以上のように、軸受スリーブ8をインサート部品としてハウジング9を射出成形することにより、軸受スリーブ8の上側端面8bが外周チャンファ8eoも含めてシール部92で被覆され、また、軸受スリーブ8の下端外周チャンファ8foが樹脂で被覆される。さらに、軸受スリーブ8は焼結金属の多孔質体で形成されることから、ハウジング9を形成する樹脂が軸受スリーブ8の表面開孔に入り込みアンカー効果を発揮する。従って、軸受スリーブ8とハウジング9の密着強度は強固なものとなる。かかる構成から、ハウジング9に対する軸受スリーブ8の抜け止めが図られる。一方、軸受スリーブ8の上端内周チャンファ8eiは樹脂で被覆されない。これは、射出成形時に上端内周チャンファ8eiを型に接触させることで、型内における軸受スリーブ8の位置決めを行うためである。
本体部91とシール部92の境界となるハウジング9の上端外径側では、角部が肉取りされている。この肉取りによって、本体部91からシール部92にかけての領域でハウジング9の肉厚がほぼ均一化される。そのため、射出成形後の成形収縮によるシール部92(特に保油部92a)の内周面の変形を抑制し、シール隙間Sの形状精度が確保される。
蓋部材10は、導電性を有する金属材料で形成され、例えば金属板をプレス加工することにより、円盤状のプレート部10aと、プレート部10aの外径端から上方へ延びた円筒状の筒部10bとを一体に有するコップ状に形成される。詳細は後述するが、この蓋部材10は、ハウジング9を構成する薄肉部91bの外周面(小径外周面)91b1に隙間接着で固定され、これにより軸受部材7の下側開口を閉塞する。筒部10bの内周面10b2は、軸受スリーブ8の内周面8aに設けられたラジアル軸受面A2(下側のラジアル動圧発生部)の一部または全部と軸方向でオーバーラップしている。
プレート部10aの上側端面10a1(蓋部材10の内底面)には、対向するフランジ部2bの下側端面2b2との間に第2スラスト軸受隙間を形成するスラスト軸受面Cが設けられ、このスラスト軸受面Cにはスラスト動圧発生部が形成される。スラスト動圧発生部は、図5に示すようなヘリングボーン形状で、V字状に屈曲した複数の動圧溝10a11と、これを区画する図中クロスハッチングで示す丘部10a12とを円周方向で交互に配して構成される。なお、このスラスト動圧発生部は、対向するフランジ部2bの下側端面2b2に形成しても良い。
筒部10bの上側端面10b1とハウジング9の厚肉部91aの下側端面(段差面)91a1とは所定幅の第1軸方向隙間δ1を介して軸方向に対向している。この第1軸方向隙間δ1は、その隙間幅がフランジ部2bの上側端面2b1と軸受スリーブ8の下側端面8c、およびフランジ部2bの下側端面2b2と蓋部材10のプレート部10aの上側端面10a1とが軸方向に相互に当接するまで蓋部材10と軸受部材7の軸方向の接近移動を許容する値に設定され、後述するスラスト軸受隙間の幅設定により形成される。第1軸方向隙間δ1には接着剤が充填され、これによりこの第1軸方向隙間δ1は完全に封止されている。また、ハウジング9の薄肉部91bの下側端面と蓋部材10のプレート部10aの上側端面10a1とは所定幅の第2軸方向隙間δ2を介して軸方向に対向している。
以上の構成からなる流体軸受装置1は、例えば以下の手順を踏んで完成する。
まず、軸受スリーブ8をインサート部品としてハウジング9を樹脂で射出成形することによって得られた軸受部材7の内周に軸部材2を挿入する。但しこの段階では、図7(a)にも示すように、軸受部材7(ハウジング9)に所定形状のシール部92(蓋部92b)が形成されておらず、従い、軸受部材7は完成品としての態様をなしていない。詳述すると、シール部92の上端内周には、軸方向上側に突出した環状突起92b’がシール部92と一体に樹脂で射出成形されている。
軸受部材7の内周に軸部材2を挿入した後、例えば、ハウジング9の小径外周面91b1に適当な接着剤(ここでは、エポキシ系接着剤)を塗布し、この小径外周面91b1に蓋部材10の筒部10bの内周面を嵌合する。そのまま軸受部材7と蓋部材10とを軸方向に相対移動させ、フランジ部2bの上側端面2b1を軸受スリーブ8の下側端面8cに当接させると共に、フランジ部2bの下側端面2b2を蓋部材10のプレート部10aの上側端面10a1に当接させて、両スラスト軸受隙間の隙間幅をそれぞれ0の状態にする。このとき、蓋部材10の筒部10bの上側端面10b1とハウジング9の段差面91a1とが接触しないように各部材の寸法を設定しておく。次いで、両スラスト軸受隙間の隙間幅の合計量分だけ蓋部材10を軸受部材7に対して下方(軸受部材7から離反する方向)に引き戻し、軸受部材7に対する蓋部材10の相対的な位置決めを行った後、第1軸方向隙間δ1に接着剤を充填する。そして、ベーキングを行って接着剤を固化させる。これにより、軸受部材7に対する蓋部材10の組み付けと、スラスト軸受隙間の幅設定とが同時に完了する。以上に示す組立手順であれば、蓋部材10の移動量でスラスト軸受隙間の幅設定を行うことができるので、各部材の加工精度を緩和して、加工コストを低減することができる。
そして、軸受部材7の内部空間に、軸受スリーブ8の内部気孔も含め、潤滑油を充填する。このように、蓋部92bの形成前、すなわちシール隙間Sの開口部(大気開放部)の隙間幅が狭小化される前の段階で、軸受部材7の内部空間に潤滑油を供給しておけば、給油作業を簡便に行うことができる。
なお、上述のように、本実施形態に係る流体軸受装置1では、軸受部材7のハウジング9が樹脂製、蓋部材10が金属製とされ、かつこの蓋部材10の筒部10bは、軸受スリーブ8の内周面8aに設けられた下側のラジアル軸受面A2の一部と軸方向でオーバーラップしている。このような場合に、圧入を伴う手法(圧入、圧入接着等)で蓋部材10をハウジング9に固定したのでは、圧入に伴うハウジング9の変形がラジアル軸受面A2にも及び、ラジアル軸受隙間の幅精度、ひいてはラジアル方向の回転精度に悪影響が及ぶおそれがある。そのため、本実施形態では、蓋部材10の筒部10の内周面とハウジング9の小径外周面91b1との間に微小な径方向隙間を介在させ、この径方向隙間を満たす接着剤で両者を接着固定している(隙間接着)。
次いで、軸受部材7の外周面や外底面等を位置決め保持した状態で、図7(a)にしめすように、シール部92の上端内周に形成した環状突起92b’を治具20で加圧し、環状突起92b’を径方向内側に変形させる(折り曲げる)。これにより、図7(b)に示すように、保油部92aの上側で、シール隙間Sの隙間幅を縮小させる蓋部92bが形成される。なお、このとき用いる治具20のうち、少なくとも環状突起92b’との当接部は、ハウジング9(シール部92)を構成するベース樹脂の軟化点程度に加熱しておくのが望ましい。環状突起92b’を容易かつスムーズに変形させ、蓋部92bを精度良く形成するためである。
以上では、エポキシ系接着剤を用いて蓋部材10を軸受部材7(ハウジング9)に接着固定するようにしたが、両者間に所定の固定強度(接着強度)を確保できるのであればエポキシ系接着剤以外の接着剤、例えば嫌気性接着剤や紫外線硬化型接着剤等を使用することも可能である。
また、以上では、蓋部材10を軸受部材7に固定する際、ハウジング9の小径外周面91b1に予め接着剤を塗布するようにしたが、蓋部材10と軸受部材7とを嵌合してスラスト軸受隙間の幅設定を行った後に、軸方向隙間δ1から接着剤を供給し、ハウジング9の小径外周面91b1と筒部8bの内周面との間の径方向隙間の毛細管力を利用して接着剤を引き込むことで両者を接着固定してもよい。
以上の構成からなり、また以上のようにして製造される流体軸受装置1において、軸部材2が回転すると、軸受スリーブ8の内周面8aの上下2箇所に離隔して設けられたラジアル軸受面A1,A2と、これに対向する軸部2aの外周面2a1との間にそれぞれラジアル軸受隙間が形成される。そして軸部材2の回転に伴い、両ラジアル軸受隙間の油膜圧力が動圧溝8a1,8a2の動圧作用によって高められる結果、軸部材2をラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受部R1,R2が軸方向の二箇所に離隔形成される。これと同時に、軸受スリーブ8の下側端面8cに設けられたスラスト軸受面Bとフランジ部2bの上側端面2b1との間、および、フランジ部2bの下側端面2b2とプレート部10aの上側端面10a1に設けたスラスト軸受面Cとの間に、それぞれ第1および第2スラスト軸受隙間が形成される。そして、軸部材2の回転に伴い、両スラスト軸受隙間の油膜圧力が、動圧溝8c1,10a11の動圧作用によって高められる結果、軸部材2をスラスト両方向に非接触支持する第1スラスト軸受部T1および第2スラスト軸受部T2が形成される。
また、シール隙間Sのうち、保油部92aの内周面92a1で形成される軸方向領域が、下方(軸受部材7の内部側)に向かって径方向寸法を漸次縮小した楔形状を呈しているため、保油部92aの内周に保持された潤滑油は毛細管力による引き込み作用によって軸受部材7の内部側に向けて引き込まれる。また、上述のとおり、シール隙間Sのうち、保油部92aの内周面92a1で形成される軸方向領域は、軸受部材7の内部空間を満たす潤滑油の温度変化に伴う容積変化量の吸収機能(バッファ機能)を有し、想定される温度変化の範囲内で潤滑油の油面を常にその範囲内に保持する。
また、シール部92はハウジング9と一体に樹脂で射出成形されるが、潤滑油の油面を保持する保油部92aの内周面92a1が下方に向かって漸次縮径したテーパ面に形成されるため、この面によって射出成形時の抜き勾配が確保される。従い、潤滑油の油面を保持する保油部92aの内周面92a1精度を高めて、潤滑油の保持性能を高めることができる。
これに加え、本発明では、保油部92aの大気開放側で、シール隙間Sの隙間幅を縮小させる蓋部92bを設けているので、例えば流体軸受装置1に衝撃荷重が加わることによって保持部92aの軸方向範囲内に保持された潤滑油が飛散した場合であっても、この飛散した潤滑油の外部漏洩を蓋部92bで阻止することができる。特に、上述のように、蓋部92bで形成されるシール隙間Sの最小幅部の隙間幅d2を、保持部92aで形成されるシール隙間Sの最大幅部の隙間幅d1の1/2以下とすれば、潤滑油の外部漏洩を確実に阻止することができる。また、かかる機能を奏する蓋部92bが保油部92aと一体に設けられることから、これを設ける際に要する手間は、同様の機能を奏する撥油膜をシール部92の端面に形成する場合に比べて軽減することができる。また、蓋部92bが保油部92aと一体に設けられていれば、蓋部92bが損傷等し、これがコンタミの原因となる可能性を効果的に減じることができる。さらに、この蓋部92bは、撥油膜のように時間経過に伴う特性変化が生じ難く、従い、潤滑油の外部漏洩防止機能を長期に亘って安定的に維持することができる。
以上から、本発明の構成を採用した流体軸受装置1は、低コストでありながら、潤滑油の外部漏洩を確実に防止することができるものである。特に本実施形態では、軸受部材7の一部を多孔質体からなる軸受スリーブ8で構成したことから、軸受部材7の内部空間に充填される潤滑油量が増大する分、シール隙間Sの容積を大きく確保する必要がある。これはすなわち、シール隙間Sで保持すべき潤滑油量が増大することを意味し、従い、潤滑油漏れの可能性も高まるが、上記本発明の構成を採用すれば、このような場合であっても、潤滑油漏れを確実に防止することができる。
なお、以上では、特段の説明を省略しているが、コスト面等で問題がなければ、軸部2aの外周面2a1のうち、蓋部92bとの対向領域に撥油膜を形成しても良い。このようにすれば、潤滑油漏れを一層確実に防止することができる。
上述のとおり、軸部材2の回転時には、ラジアル軸受隙間に充満された潤滑油がラジアル動圧発生部のポンピング能力のアンパランスによって下方に押し込まれる。この場合、軸受内部の閉塞側の空間、特に第2スラスト軸受隙間の内径側の空間(底面空間P、図8を参照)で圧力が高くなり、軸部材2に作用する上向きの浮上力が過剰となる結果、両スラスト軸受部T1,T2間でのスラスト支持力をバランスさせることが難しくなる。この点に鑑み、本実施形態では、図8にも拡大して示すように、フランジ部2bの両端面2b1,2b2に開口した連通孔11を設けている。これにより、連通孔11を介して両スラスト軸受隙間間で潤滑油が行き来可能となるので、両スラスト軸受隙間間での圧力バランスの崩れを早期に解消し、両スラスト軸受部T1,T2間でのスラスト支持力をバランスさせることができる。
図示例の連通孔11は、径方向部11aと軸方向部11bとで構成され、両スラスト軸受面B,C(スラスト動圧発生部)の形成領域を避けてその内径側に開口させるため、屈曲した形状を呈する。より詳細には、径方向部11aの外径端がフランジ部2bの上側端面2b1と軸受スリーブ8の下端内周チャンファ8fiと軸部2aの下端に設けられたヌスミ部2a3とで形成される空間に開口し、径方向部11aの内径端に繋がった軸方向部11bが軸部2aの小径部2a2の外周面に沿って延び、第2スラスト軸受部T2の内径側に開口している。かかる構成は、円環状のフランジ部2bの内周面に軸方向溝を形成すると共に、フランジ部2bの上側端面2b1に前記軸方向溝に通じる半径方向溝を形成し、その後、フランジ部2bの内周に軸部2aの小径部2a2を嵌合することによって形成することができる。なお、連通孔11は、円周方向の一箇所に設ける他、円周方向の複数箇所に設けることもできる。
また、上記のように、本実施形態に係る流体軸受装置1では、底面空間Pの圧力が高くなる傾向にあるので、第2スラスト軸受部T2を形成する動圧溝10a11を、従来多用されてきたポンプインタイプのスパイラル形状に配列すると、第2スラスト軸受隙間内に充満された潤滑油が内径側に押し込まれるため、底面空間Pの圧力増大を助長することとなる。これを回避するため、第2スラスト軸受部T2を形成する動圧溝10a11は、図5に示すヘリングボーン形状に形成するのが望ましい。一方、第1スラスト軸受部T1では、この種の問題が生じないので、動圧溝8c1を、図4に示すヘリングボーン形状ではなく、ポンプインタイプのスパイラル形状に形成しても良い。
以上の構成からなる流体軸受装置1は、蓋部材10の筒部10bの外周面、およびハウジング9の大径外周面を、アルミ合金等の金属材料で形成されたモータブラケット6(図1を参照)の内周面に例えば接着固定することでモータに組み込まれる。このとき、ハウジング9と蓋部材10の外径寸法を等しくしておけば、これらをモータブラケット6の内周面に確実に固定することができる。そして、蓋部材10とモータブラケット6の双方を金属製とした本実施形態では両者間に高い接着強度を確保することができる。従って、流体軸受装置1はモータブラケット6に対して高い接着強度でもって固定することができる。なお、蓋部材10とモータブラケット6との間で十分な接着強度を確保できるのであれば、必ずしもハウジング9をモータブラケット6に対して接着固定する必要はない。
また、蓋部材10の筒部10bを軸受部材7の外周面(小径外周面7a3)に固定しているので、従来のように蓋部材を軸受部材(ハウジング)の内周面に固定する場合に比べ、内周面と外周面の径差分だけ両部材間の固定面積を増すことができる。しかも軸受部材7に対する蓋部材10の固定面積を拡大するには、筒部10bの軸方向寸法を長大化すれば足り、蓋部材10のプレート部10aを厚肉化する必要もない。そのため、流体軸受装置1の軸方向寸法の長大化やラジアル軸受部R1,R2のスパンを短縮することなく、軸受部材7に対する蓋部材10の固定強度を高めることができる。
また、蓋部材10は金属材料で形成されているので、ディスクDが回転することによって帯電した静電気を、軸部材2→蓋部材10→モータブラケット6という経路を介して確実に接地側に放電することができる。但し、蓋部材10とモータブラケット6とを接着固定した本実施形態においては、接着剤(通常は絶縁体)によって導電経路が遮断される事態を防止するため、必要に応じて蓋部材10の下端外径端部とブラケット6の下端内径端部とにまたがって適当な導電材を塗布し、導電性被膜を形成するのが望ましい。
このように蓋部材10で導電経路を構成すれば、軸受部材7の導電性を考慮せずとも足りるため、ハウジング9の成形材料を検討する際に材料選択の余地が広がり、流体軸受装置1の設計自由度が増す。樹脂製としたハウジング9に導電性を持たせる場合には樹脂材料中に高価な導電性充填材を配合するのが通例であるが、本発明では、この種の導電性充填材の配合を不要とし、あるいは配合量を少なくすることができるので、材料コストの高騰を抑制することができる。
以上では、図7(a)(b)に示すように、軸方向上方に突出した環状突起92b’をシール部92(ハウジング9)を射出成形するのと同時に型成形し、これを内径側に変形させる(折り曲げる)ことによって蓋部92bを形成したが、蓋部92bはかかる手順でのみ形成されるものではない。例えば、図9(a)に示すように、シール部92の上側端面を軸線と直交する方向の平坦面に樹脂で射出成形し、その後、図9(b)に示すようにシール部92の上端内周縁部を治具20で内径側に変形させることによって蓋部92bを形成することもできる。
また、以上では、軸受部材7の内部空間に潤滑油を充填した後、シール部92を部分的に変形させることによって蓋部92bを形成したが、これとは逆の手順を踏むことも可能である。具体的には、図10(a)に示すように蓋部92bを形成した後、図10(b)に示すように、蓋部92bを弾性的に変形させる。かかる蓋部92bの変形領域では、シール隙間Sの開口寸法が拡大するので、この領域から給油具21をシール部92の内周に挿入して潤滑油を供給する。給油作業が完了した後、給油具21を引き抜くと、図10(c)に示す態様で蓋部92bが弾性的に復帰する。
また、シール隙間Sは、図11に示す形態とすることも可能である。詳述すると、軸部2aの外周面2a1に凹部2a4を設け、この凹部2a4内にシール部92を構成する蓋部92bの先端内周を収容している。かかる構成とすれば、シール隙間Sの上端部(大気開放部)をラビリンス構造とすることができるので、潤滑油漏れを一層効果的に防止することが可能となる。
以上、本発明の構成を適用した流体軸受装置1の一実施形態について説明を行ったが、本発明は上記構成の流体軸受装置1に限定適用されるものではなく、以下示す他の実施形態に係る流体軸受装置1に適用することももちろん可能である。なお、以下では、以上で説明した流体軸受装置1と異なる点についてのみ詳細に説明を行い、実質的に同一の部材等には共通の参照番号を付して重複説明を省略する。
図11は、本発明に係る流体軸受装置1の第2実施形態を示すものであり、図2に示すものと同様に、軸受部材7が、軸受スリーブ8と、この軸受スリーブ8をインサート部品として樹脂で射出成形されたシール部92を一体に有するハウジング9とからなり、かつ金属製の蓋部材10をハウジング9の小径外周面91b1に固定したものである。スラスト軸受隙間の幅設定後は、蓋部材10の筒部10bの上側端面10b1と、ハウジング9の段差面91a1との間に軸方向隙間δ1が形成される。
この第2実施形態に係る流体軸受装置1では、ハウジング9の本体部91を構成する薄肉部91bの下端に、内径側に延びる被覆部91cを形成し、この被覆部91cで軸受スリーブ8の外周チャンファ8foのみならず、軸受スリーブ8の下側端面8cの全体を被覆している。被覆部91cの端面には、第1スラスト軸受部T1のスラスト動圧発生部として機能する複数の動圧溝(例えば図4に示すヘリングボーン形状の動圧溝)が形成されている。
このように、ハウジング9の被覆部91cにスラスト動圧発生部を形成することにより、軸受スリーブ8の下側端面8cに形成していたスラスト動圧発生部が不要となる。そのため、軸受スリーブ8の半径方向の肉厚を、図2に示す実施形態に比べて薄くすることができる。この薄肉化により、焼結金属製の軸受スリーブ8に対する含油量を減じることができるため、軸受装置全体の保油量を少なくすることができ、昇温時における潤滑油の熱膨張量を抑制することができる。従って、シール隙間Sの容積を小さくすることができ、シール隙間Sの軸方向寸法を減じて軸受装置全体を軸方向で小型化することが、またあるいはラジアル軸受部R1、R2のスパンを拡大してラジアル方向の回転精度向上を図ることが可能となる。
なお、被覆部91cのスラスト動圧発生部は、ハウジング9成形用の金型にスラスト動圧発生部に対応した溝型を予め形成しておくことで、ハウジング9の射出成形と同時に型成形することができる。これにより、スラスト動圧発生部の形成工程を省略して低コスト化を図ることができる。また、シール隙間Sの軸方向寸法が小さくなることで、ハウジング9におけるシール部92の肉厚と本体部91の肉厚差が小さくなるため、樹脂の成形収縮時における変形が生じにくくなる。そのため、この実施形態の流体軸受装置1ではハウジング9の上端外径部に形成する肉取りを省略している。
図12は、本発明に係る流体軸受装置1の第3実施形態を示すものである。同図に示す実施形態では、軸受部材7を、図2および図11に示す軸受スリーブ8と、これを内周に収容したハウジング9とを一体に有する樹脂の射出成形品とした点において、上記実施形態と構成を異にしている。詳細に述べると、軸受部材7は、厚肉部71aおよび薄肉部71bで構成された本体部71と、本体部71の上端内径側に設けられたシール部72とを一体に有する。そして、軸受部材7(本体部71)の内周面7aと軸部材2の外周面2a1との間にラジアル軸受隙間(ラジアル軸受部R1,R2)が形成され、軸受部材7(本体部71の薄肉部71b)の下側端面7bとフランジ部2bの上側端面2b1との間に第1スラスト軸受隙間(第1スラスト軸受部T1)が形成される。また、シール部72には、内周に潤滑油の油面を保持した保油部72aと、該保油部72aの上側で、シール隙間Sの隙間幅を縮小させる蓋部72bとが一体に設けられている。
このようにすれば、以上で説明した実施形態に比べ、部品点数および組み立て工数を減じて、流体軸受装置1の低コスト化を図ることができる。また、軸受部材7の全体を非多孔質体で形成することができるので、軸受内部に充満すべき潤滑油量を減じてシール隙間Sの容積を一層小さくすることができる。従い、シール隙間Sの軸方向寸法を減じて軸受装置全体を軸方向で一層小型化することが、またあるいはラジアル軸受部R1、R2のスパンを拡大してラジアル方向の回転精度を一層向上することが可能となる。
以上で説明した図2および図11に示す実施形態では、ハウジング9の成形材料として、また図12に示す実施形態では軸受部材7の成形材料として樹脂を使用しているが、コスト面等で問題がなければ、これらの成形材料として、例えば、マグネシウム合金やアルミニウム合金等の低融点金属材料を使用することも可能である。また、これらは、いわゆるMIM成形品とすることも可能である。但し、ハウジング9を、軸受スリーブ8をインサート部品とした金属の射出成形品あるいはMIM成形品とする場合には、射出材料を軸受スリーブ8よりも低融点のものにするのが肝要である。インサート部品とされる軸受スリーブ8が熱変形等するのを防止するためである。
また、以上では、ハウジング9と一体に(図2、図12)、もしくは軸受部材7と一体に(図13)に型成形されたシール部に本発明の構成を適用した場合について説明を行ったが、ハウジング9や軸受部材7とは別体に設けられ、ハウジング等に適宜の手段で固定されるシール部に本発明の構成を適用することも可能である。
また、以上の実施形態では、ヘリングボーン形状等の動圧溝による動圧作用により動圧軸受からなるラジアル軸受部R1,R2を構成した場合について説明を行ったが、いわゆる多円弧軸受、ステップ軸受、および波型軸受等、公知のその他の動圧軸受でラジアル軸受部を構成することも可能である。また、ラジアル軸受隙間を介して対向する二面の双方を円筒面とした、いわゆる真円軸受でラジアル軸受部を構成することもできる。
また、以上の実施形態では、ヘリングボーン形状等の動圧溝による動圧作用により動圧軸受からなるスラスト軸受部T1,T2を構成した場合について説明を行ったが、いわゆるステップ軸受や波型軸受等、公知のその他の動圧軸受でスラスト軸受部T1,T2の何れか一方又は双方を構成することもできる。また、スラスト軸受部は、軸部材2の一端を接触支持するいわゆるピボット軸受で構成することもできる。
1 流体軸受装置
2 軸部材
2a 軸部
6 モータブラケット
7 軸受部材
8 軸受スリーブ
9 ハウジング
91 本体部
92 シール部
92a 保油部
92b 蓋部
10 蓋部材
10b 筒部
11 連通孔
A1、A2 ラジアル軸受面
B、C スラスト軸受面
S シール隙間
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部

Claims (12)

  1. 少なくとも一端が開口した軸受部材と、軸受部材の内周に挿入され、軸受部材の内周面との間にラジアル軸受隙間を形成する軸部材と、軸受部材の開口部に配設され、軸部材の外周面との間に一端が大気に開放したシール隙間を形成するシール部とを備え、ラジアル軸受隙間に形成される潤滑油の油膜で軸部材をラジアル方向に支持する流体軸受装置において、
    シール部に、内周に潤滑油の油面を保持する保油部と、該保油部の大気開放側で、シール隙間の隙間幅を縮小させる蓋部とを一体に設けたことを特徴とする流体軸受装置。
  2. 蓋部が、シール部を部分的に変形させることで形成された請求項1記載の流体軸受装置。
  3. 蓋部で形成されるシール隙間の最小幅部の隙間幅を、保油部で形成されるシール隙間の最大幅部の隙間幅の1/2以下に設定した請求項1記載の流体軸受装置。
  4. 軸部材に凹部を設け、該凹部内に蓋部の先端を収容した請求項1記載の流体軸受装置。
  5. 保油部の内周面を、反大気開放側に向かって漸次縮径させた請求項1記載の流体軸受装置。
  6. 軸受部材が、ラジアル軸受隙間の外径寸法を規定する面を有する軸受スリーブと、軸受スリーブを内周に収容したハウジングとを備え、
    シール部が、軸受スリーブをインサート部品としてハウジングと一体に型成形された請求項1記載の流体軸受装置。
  7. 軸受スリーブが、多孔質体で形成された請求項6記載の流体軸受装置。
  8. シール部が、軸受部材と一体に型成形された請求項1記載の流体軸受装置。
  9. 軸受部材の他端を開口させ、該他端開口を軸受部材の外周面に固定した蓋部材で閉塞した請求項1記載の流体軸受装置。
  10. 少なくとも一端が開口した軸受部材と、軸受部材の内周に挿入され、軸受部材の内周面との間にラジアル軸受隙間を形成する軸部材と、軸受部材の開口部に配設され、軸部材の外周面との間に一端が大気に開放したシール隙間を形成するシール部とを備え、ラジアル軸受隙間に形成される潤滑油の油膜で軸部材をラジアル方向に支持する流体軸受装置の製造方法において、
    シール部を部分的に変形させることにより、内周に潤滑油の油面を保持する保油部の大気開放側に、シール隙間の隙間幅を縮小させる蓋部を形成する工程を含むことを特徴とする流体軸受装置の製造方法。
  11. 蓋部の形成後、軸受部材の内部空間に潤滑油を供給する請求項10記載の流体軸受装置の製造方法。
  12. 軸受部材の内部空間に潤滑油を供給した後、蓋部を形成する請求項10記載の流体軸受装置の製造方法。
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