JP2007051717A - 動圧軸受装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 動圧軸受装置軸受装置におけるスラスト軸受隙間を、簡易かつ精度良く、低コストに設定する。
【解決手段】 外側部材7の内周に、軸部2および内側部材8からなる軸部材13を挿入する。次いで第1のスラスト部材9を外側部材7の内周に第1のスラスト部材9の上側端面9cと外側部材7の上側端面7eが面一になるまで押し込む。次いで軸部材13に許容された軸方向の移動距離δを測定し、測定値δから、第1および第2のスラスト軸受隙間の隙間幅の合計量を引いた値の分だけ、第1のスラスト部材9をさらに下側へ押し込んで、第1および第2のスラスト軸受隙間の隙間設定を行う。
【選択図】図3
【解決手段】 外側部材7の内周に、軸部2および内側部材8からなる軸部材13を挿入する。次いで第1のスラスト部材9を外側部材7の内周に第1のスラスト部材9の上側端面9cと外側部材7の上側端面7eが面一になるまで押し込む。次いで軸部材13に許容された軸方向の移動距離δを測定し、測定値δから、第1および第2のスラスト軸受隙間の隙間幅の合計量を引いた値の分だけ、第1のスラスト部材9をさらに下側へ押し込んで、第1および第2のスラスト軸受隙間の隙間設定を行う。
【選択図】図3
Description
本発明は、動圧軸受装置の製造方法に関するものである。
動圧軸受装置は、軸受隙間に充填された流体(潤滑油)に動圧作用を発生させ、この圧力で軸部材を支持する軸受装置である。この動圧軸受装置は、高速回転、高回転精度、低騒音等の特徴を備えるものであり、情報機器、例えばHDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置等におけるディスクドライブ用のスピンドルモータ、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、プロジェクタのカラーホイールモータ、あるいは軸流ファンなどの小型モータ用の軸受装置として好適である。
例えば、HDD等のディスク装置のスピンドルモータに組込まれる動圧軸受装置では、スラスト方向に離隔した二箇所にスラスト軸受部を配し、各スラスト軸受部の軸受隙間(スラスト軸受隙間)を満たした流体の動圧作用で圧力を発生させて、スラスト方向の荷重を支持するように構成する場合が多い。
この構成において、二つのスラスト軸受部の軸受性能は、各軸受部におけるスラスト軸受隙間の幅(スラスト軸受隙間の合計量)の精度によって大きく左右されるので、当該幅精度は極力高めておくのが望ましい。スラスト軸受隙間の幅を高精度に設定する方法として、特開2003−239974号(特許文献1)に記載された発明が公知であり、この発明では、ハウジングの内底面に軸部材のフランジの一方の端面を当接させると共に、フランジ部の他方の端面に軸受スリーブの端面を当接させた後、第1スラスト軸受部および第2スラスト軸受部のスラスト軸受隙間の合計量に相当する寸法だけ軸受スリーブをハウジングに対して軸方向に相対移動させることにより、スラスト軸受隙間の隙間設定を行うこととしている。
特開2003−239974号公報
しかし上記の特許文献1の方法では、隙間設定に際して、フランジの一方の端面がハウジングの内底面に強く押し付けられるため、スラスト軸受隙間に対峙する何れか一方の面に形成した動圧溝が変形するおそれがある。また、ハウジング内周面に対して締まり嵌め状態で圧入された軸受スリーブを押し引きして軸方向に往復移動させる必要があり、軸受スリーブを移動させるための機構が複雑化する。
そこで、本発明は、スラスト軸受隙間の隙間幅を設定するにあたり、動圧発生部に作用する加圧力を可能な限り減じると共に、簡易な機構で隙間幅を設定可能とすることを主な目的とする。
本発明では、内周面を有する外側部材と、外側部材の内周に配置され、外側部材に対して相対回転可能の内側部材と、内側部材の一端面との間に第1のスラスト軸受隙間を形成する第1のスラスト部材と、第1のスラスト軸受隙間に循環流体の動圧作用を発生させる第1のスラスト動圧発生部と、内側部材の他端面との間に第2のスラスト軸受隙間を形成する第2のスラスト部材と、第2のスラスト軸受隙間に循環流体の動圧作用を発生させる第2のスラスト動圧発生部とを有する動圧軸受装置を製造するに際して、内側部材を外側部材の内周に挿入した状態で、第1および第2のスラスト部材に当接するまでの内側部材の軸方向移動量を測定し、この測定値に基づいて第1および第2のスラスト部材を相対的に接近させることにより、第1および第2のスラスト軸受隙間の隙間幅を設定することにした。
本発明は上記のように、外側部材の内周に内側部材を挿入した状態で、内側部材に許容された軸方向の移動距離をもとに、第1および第2のスラスト部材の相対的な接近距離を決定している。この場合、第1および第2のスラスト動圧発生部が対向する部材と当接するのは、主に内側部材の軸方向移動距離を測定する際に限られる。この場合、内側部材の端面と第1および第2スラスト部材の端面とは軽く触れ、それ以上の相互移動が規制される程度の接触状態となるにすぎないから、スラスト軸受隙間の隙間設定の全工程を通じてスラスト動圧発生部に過大な加圧力が作用することはなく、従って、隙間設定に伴う動圧発生部の変形を確実に防止することができる。また、隙間設定の際には、第1および第2のスラスト部材のうち、何れか一方または双方を相手側に移動させる必要があるが、その移動方向は軸方向の一方に限られ、従来のように軸方向の双方に移動させる必要はない。そのため、スラスト部材の移動機構を簡略化することができる。
隙間設定の具体的方法の一例として、内側部材の軸方向移動量の測定値から第1および第2のスラスト軸受隙間の隙間幅の合計量を差し引いた距離だけ第1のスラスト部材と第2のスラスト部材を相対的に接近させることが考えられる。この相対接近を、第1のスラスト部材と第2のスラスト部材の軸方向の相対位置を管理しながら行えば、高精度に隙間設定を行うことが可能となる。
以上に述べた隙間設定は、動圧軸受装置が、内側部材の外周面と外側部材の内周面との間にラジアル軸受隙間を有する構成である場合に特に適合する。
なお、第1のスラスト部材および第2のスラスト部材は、スラスト軸受隙間を形成するものであれば、その形状や機能、材質、および設置位置は問わない。例えば第1のスラスト部材と第2のスラスト部材の一方または双方でシール空間を形成することもできる。また、第1および第2のスラスト部材のうち、何れか一方で外側部材の開口部を密閉することもできる。
スラスト部材でシール空間を形成する場合、スラスト部材の軸方向寸法は、必要なシール空間容積が確保されるものであれば足り、ラジアル軸受隙間を形成する部材(特許文献1に記載された軸受スリーブ等)に比べれば、格段に小さいものとなる。従って、隙間設定に際し、第1のスラスト部材を外側部材の内周に圧入する際にも、圧入面積が小さくなるので、軸受スリーブ等を圧入する場合に比べて圧入力を小さくすることができ、かつ圧入に伴う外側部材の変形も抑えることができる。
以上のように、本発明によれば、スラスト動圧発生部の機能を害することなく、スラスト軸受隙間を精度良く、かつ低コストに設定することが可能となる。
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜3に基づいて説明する。
図1は、本実施形態にかかる動圧軸受装置(流体動圧軸受装置)1を組込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示している。この情報機器用スピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、動圧軸受装置1と、動圧軸受装置1の軸部2に取り付けられたディスクハブ3と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5と、ブラケット6とを備えている。ステータコイル4は、ブラケット6の例えば外周面に設けたステータコイル取り付け部6aに取り付けられ、ロータマグネット5は、ディスクハブ3の内周に取り付けられている。ディスクハブ3は、その外周に磁気ディスク等のディスクDを一枚または複数枚保持する。ステータコイル4に通電すると、ステータコイル4とロータマグネット5との間に発生する電磁力でロータマグネット5が回転し、それに伴ってディスクハブ3、および軸部2が一体となって回転する。
動圧軸受装置1は、図2に示すように、円筒状の内周面を有する外側部材7と、軸部2と、スリーブ状の内側部材8と、第1のスラスト部材9と、第2のスラスト部材11とを備えている。第1のスラスト部材9と第2のスラスト部材11は、内側部材8を間に挟んで軸方向に離隔して配設される。尚、説明の便宜上、第1のスラスト部材9の配設側を上側、第2のスラスト部材11の配設側を下側として以下説明する。
この動圧軸受装置1では、内側部材8の外周面8aには、第1のラジアル動圧発生部R1と第2のラジアル動圧発生部R2が軸方向に離隔して設けられる。これらには、例えばヘリングボーン形状に配列した複数の動圧溝G(図2点線で示す)がそれぞれ形成される。
軸部2は、例えばステンレス鋼などの金属材料で形成されている。また、内側部材8は、例えば銅を主成分とする焼結金属の多孔質体、その他の金属材料で円筒状に形成される。内側部材8の外周面8aに形成した動圧溝Gは、エッチング加工やレーザ加工、あるいはインクジェット等による印刷によって形成することができる。内側部材8が特に焼結金属製である場合、転造等の塑性加工でも動圧溝Gを能率よく形成することができる。
軸部2の外周には内側部材8が固定されている。固定の方法として、圧入、圧入接着(接着剤の介在の下で圧入する)、あるいは隙間嵌めによる接着が考えられる。この他、軸部2と内側部材8の線膨張係数の差を利用して焼きばめ(接着剤の介在の下で行うのが好ましい)することも考えられる。このように軸部2と内側部材8とが固定されることによって、段付き軸状の軸部材13が形成される。
本実施形態においては、外側部材7とその一端開口部を密閉する第2のスラスト部材11とで有底筒状のハウジング12が形成される。ハウジング12として、外側部材7と第2のスラスト部材11とを一体化したものを例示しているが、両者を別部材とすることもできる。本実施形態のハウジング12は例えば樹脂の射出成形で一体形成される。ハウジング12のうち、外側部材7の内周面7aに、第1のスラスト部材9が固定される。
ハウジング12を形成する樹脂は主に熱可塑性樹脂であり、例えば、非晶性樹脂として、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリエーテルイミド(PEI)等、結晶性樹脂として、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等を用いることができる。また、上記の樹脂に充填する充填材の種類も特に限定されないが、例えば、充填材として、ガラス繊維等の繊維状充填材、チタン酸カリウム等のウィスカー状充填材、マイカ等の鱗片状充填材、カーボンファイバー、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノマテリアル、金属粉末等の繊維状又は粉末状の導電性充填材を用いることができる。これらの充填材は、単独で用い、あるいは、二種以上を混合して使用しても良い。
この他、金属材料(例えば黄銅等の軟質金属材料)、その他の材料のプレス成形でハウジング12を形成することもできる。また、射出成形の一態様として、低融点金属(アルミニウム合金等)の射出成形やMIM成形を採用することもできる。ハウジング12の加工法は上記に例示した型成形には限定されず、例えば旋削によって形成することもできる。ハウジング12の外側部材7と第2のスラスト部材11を別体とする場合、両者を別材料で形成することもできる。
内側部材8の上側端面8bには、第1のスラスト動圧発生部T1が形成される。同様に、軸受スリーブ8の下側端面8cには、第2のスラスト動圧発生部T2が形成される。これら動圧発生部T1、T2には、例えばスパイラル状に配列した複数の動圧溝が形成されている(図示省略)。
第1のスラスト部材9は、黄銅等の軟質金属材料やその他の金属材料、あるいは、樹脂材料等でリング状に形成され、外側部材7の内周面7aに例えば圧入によって固定される。
第1のスラスト部材9の内周面9aは、軸部2の外周面との間に所定の容積をもったシール空間Sを形成する。この実施形態において、第1のスラスト部材9の内周にテーパ状のシール面9aが形成されている。このシール面9aと軸部2の外周面との間に、上方に向けて半径方向寸法が漸次拡大する環状のシール空間Sが形成される。従って、シール空間S内の潤滑流体は、毛細管力による引き込み作用によりシール空間Sが狭くなる方向に向けて引き込まれ、その結果、外側部材7の上端開口部がシールされる。第1のスラスト部材9でシールされたハウジング12の内部空間に、潤滑流体として例えば潤滑油を充満させる。シール空間Sは、ハウジング12の内部空間に充満された潤滑油の温度変化に伴う容積変化量を吸収するバッファ機能をも有し、油面は常時シール空間S内にある。
なお、第1のスラスト部材9の内周面9aを円筒面とする一方、これに対向する軸部2の外周面をテーパ面状に形成してもよく、この場合、さらに遠心力シールとしての機能も得られるのでシール効果がより一層高まる。
軸部材13の回転時には、内側部材8の外周面8aのうち、第1および第2のラジアル動圧発生部R1、R2は、それぞれ外側部材7の内周面7aとラジアル軸受隙間を介して対向する。また、内側部材8の上側端面8bに形成された第1のスラスト動圧発生部T1は、第1のスラスト部材9の下側端面9bと第1のスラスト軸受隙間を介して対向し、内側部材8の下側端面8cに形成された第2のスラスト動圧発生部T2は、第2のスラスト部材11の上側端面11aと第2のスラスト軸受隙間を介して対向する。そして、軸部材13の回転に伴い、上記第1および第2のラジアル動圧発生部R1,R2がラジアル軸受隙間の潤滑油に動圧作用を発生させ、軸部材13がラジアル軸受隙間内に形成される潤滑油の油膜によって、ラジアル方向に回転自在に非接触支持される。同時に、上記第1および第2のスラスト動圧発生部T1、T2が、各スラスト軸受隙間の潤滑油に動圧作用を発生させ、軸部材13が各スラスト軸受隙間内に形成される潤滑油の油膜によって、スラスト方向に回転自在に非接触支持される。
この動圧軸受装置1には、第2のスラスト軸受隙間と、シール空間Sとを連通させるための循環路10が形成される。この循環路10は、軸受スリーブ8の内周面8dに沿って上下方向に形成され、その両端が軸受スリーブの上面8b、下面8cにそれぞれ開口している。循環路10は、1本だけ形成しても良いし、円周方向の複数箇所、例えば3箇所に形成しても良い。
循環路10の形成方法は任意で、例えば軸受スリーブの焼結前の圧粉成形、あるいは焼結後のフォーミングやサイジングで型成形することによって形成することができる。この他、機械加工等で形成することもできる。
本発明においては、内側部材8の外周面8aと外側部材7の内周面7aとの間の隙間(第1隙間)、内側部材8の下側端面8cと第2のスラスト部材11の上側端面11aとの間の隙間(第2隙間)、軸受スリーブ8の上側端面8bと第1のスラスト部材9の下側端面9bとの間の隙間(第3隙間)、および循環路10がそれぞれ潤滑油で満たされる。この際、潤滑油を、各隙間(循環路10を含む)を順次通過するよう循環させれば、各隙間での圧力バランスの崩れを防止して負圧発生防止に努めることができる。図2では、かかる循環流の発生手段として、第1ラジアル動圧発生部R1において、上側領域の動圧溝Gの軸方向寸法Xを下側領域の動圧溝Gの軸方向寸法Yよりも大きくすることにより、上側領域と下側領域で潤滑流体のポンピング力に差を与えた構造を例示している。この場合、第1隙間→第2隙間→循環路10→第3隙間の順に潤滑油を循環させることが可能となる。潤滑油の循環方向はこれとは逆でもよく、また、特に必要がなければ、あえて上下の領域で動圧溝にポンピング力差を与える必要もない。
以上の説明では、動圧溝Gを有する第1および第2のラジアル動圧発生部R1、R2を軸受スリーブ8の外周面に形成する場合を例示したが、この動圧発生部R1、R2を外側部材7の内周面7aに形成することもできる。同様に、第1のスラスト動圧発生部T1を第1のスラスト部材9の下側端面9bに、第2のスラスト動圧発生部T2を第2のスラスト部材11の上側端面11aに形成することもできる。また、以上の説明では、第1および第2のラジアル動圧発生部R1、R2および第1および第2のスラスト動圧発生部T1、T2として、ヘリングボーン形状やスパイラル形状の動圧溝により潤滑流体の動圧作用を発生させる構成を例示しているが、第1および第2のラジアル動圧発生部R1、R2として、いわゆるステップ軸受や多円弧軸受を採用することもでき、あるいは第1および第2のラジアル動圧発生部R1、R2に代えて真円軸受を採用することもできる。第1および第2のスラスト動圧発生部T1、T2として、動圧溝を放射状に配置したいわゆるステップ軸受や、いわゆる波型軸受(ステップ型が波型になったもの)等で構成することもできる。これらの動圧発生部の形成方法としては、エッジング加工、レーザ加工、転造加工、インクジェットによる印刷、プレス成形などが考えられる。
以上に述べた動圧軸受装置1の組立は、以下の手順で行うことができる。
先ず、軸部2を内側部材8の内周に挿入固定して軸部材13を製作した後、図3(a)に示すように、軸部材13を、外側部材7および第2のスラスト部材11の一体成形品であるハウジング12の内周に挿入し、内側部材8の下側端面8cを第2のスラスト部材11の上側端面11aに当接させる。この時、内側部材8の外周面8aと外側部材7の内周面7aとは隙間嵌め状態であるから、内側部材8は、外側部材7の内周に圧入する必要はなく、軽い力で下向きに押し込めば足りる。従って、内側部材8の下側端面8cと第2のスラスト部材11の上側端面11aとが当接する際の接触圧を小さくすることができ、第2のスラスト動圧発生部T2の変形を回避することができる。
次に図3(b)に示すように、第1のスラスト部材9を、その内周に軸部2を挿入して外側部材7の上端開口部に配置し、次いで外側部材7の内径寸法よりも大きな外径寸法を有する押し込み部材14で外側部材7の内周に圧入する。この圧入は、押し込み部材14の下側端面14aが外側部材7の上側端面7eと当接し、外側部材7の上側端面7eと第1のスラスト部材9の上側端面9cとが面一になるまで行う。この時点の第1のスラスト部材9の位置を基準(零点)とすることにより、以後の工程で第1のスラスト部材9を下方に押し込んだ際にも、外側部材7を介して第2のスラスト部材11に対する第1のスラスト部材9の軸方向相対位置を求めることが可能となる。第1のスラスト部材9の軸方向位置を求め得る限り、外側部材7の上側端面7eと第1のスラスト部材9の上側端面9cとを面一にする必要は必ずしもなく、例えば両面7e、9c間に段差を持たった状態を基準としてもよい。
この状態では、内側部材8の上側端面8bと第1のスラスト部材9の下側端面9bとの間には微小幅δの軸方向隙間を確保する。この隙間の幅δは、少なくとも規定のスラスト軸受隙間幅(第1および第2のスラスト軸受隙間の隙間幅の合計値)よりも大きくする。
次に、この隙間の幅δを測定する。この隙間幅δの測定は、第1のスラスト部材9と第2のスラスト部材11に内側部材8が当接する範囲で軸部材13を軸方向移動させ、例えば変位計を用いて軸部材13の軸方向移動量を測定することにより行われる。内側部材8の外周面8aと外側部材7の内周面7aとは隙間嵌めであるから、軸部材13の軸方向移動は軽い力でスムーズに行うことができる。
次いで、測定した隙間幅δと、規定のスラスト軸受隙間幅(例えば規定隙間幅の公差の中央付近)との差から、第1のスラスト部材9の押し込み量を算出し、図3(c)に示すように、適当な治具を用いて、算出した押し込み量分だけ第1のスラスト部材9をさらに下方に押し込む。第1のスラスト部材9の押し込み量は、基準位置からの第1のスラスト部材9の軸方向変位量を変位計15で常時計測し、計測値を押し込み治具の駆動装置にフィードバックすることによって管理される。押し込み量が算出した押し込み量と一致した時点で押し込み治具の駆動装置を停止することにより、スラスト軸受隙間幅が規定値に設定される。
このようにしてスラスト軸受隙間幅を設定した後、必要に応じて第1のスラスト部材9を外側部材7に接着剤等を用いて固定し、さらにハウジング12の内部空間に潤滑油を充満させることで、図2に示す動圧軸受装置1が得られる。
以上のように本発明の方法では、スラスト軸受隙間幅の設定に際し、図3(b)に示す仮組み立ての状態で、内側部材8に許容される軸方向の移動距離δをもとに算出した押し込み量分だけ第1のスラスト部材9の押し込みを行っている。この過程で、第1および第2の動圧発生部T1、T2が第1のスラスト部材9および第2のスラスト部材11と当接するのは、外側部材7の内周に軸部材13を挿入する図3(a)の工程と、軸部材13の軸方向移動距離δを測定する同図(b)の工程に限られる。何れの工程でも内側部材8の端面8b、8cは第1および第2スラスト部材9、11の端面に軽く触れる程度にすぎないから、隙間設定の全工程を通じてスラスト動圧発生部T1、T2に過大な加圧力が作用することはなく、従って、隙間設定に伴うスラスト動圧発生部T1、T2の変形を確実に防止することができる。また、隙間設定に際し、第1のスラスト部材9の移動方向は下方に限定されるから、第1のスラスト部材9を移動させるための機構も簡略化することができる。
また、外側部材7の開口部に圧入されるのは第1のスラスト部材9であるから、ラジアル軸受隙間を形成するための部材(焼結金属製の軸受スリーブ等)を圧入する従来技術に比べ、被圧入部材が外側部材7と接する面積は小さくなる。よって、被圧入部材の圧入に伴うハウジング12の変形量を抑制することができ、軸受性能の低下防止に努めることができる。さらには、従来技術では、軸受スリーブ等の圧入に伴い、軸受スリーブにも圧縮方向の加圧力が作用するので、ラジアル軸受隙間幅の精度低下、さらにはラジアル動圧発生部の変形などが懸念されるが、第1のスラスト部材9を圧入する本発明方法であればこの種の問題を回避することができる。
なお、本発明方法によれば、スラスト軸受隙間の隙間設定を行う際、その精度は、内側部材8、第1のスラスト部材9、さらには第2のスラスト部材11の軸方向の寸法精度に依存しない。よってこれらの部材の加工精度や成形精度を落とすことができ、低コスト化が可能となる。
以上の説明では、軸部材13の軸方向移動量δを測定した後、第1のスラスト部材9を下方に押し込んで隙間設定を行う場合を例示したが、第2のスラスト部材11(本実施形態ではハウジング12)を上方に押し込んで隙間設定を行うこともできる。図4は、かかる工程の一例を示すもので、第1のスラスト部材9を保持部材16で軸方向に固定した状態で、ハウジング12を、算出した押し込み量に応じて押し上げることで、スラスト軸受隙間の隙間設定が行われる。
図5は、本発明の他の実施形態を示すもので、図2に示す実施形態とは動圧軸受装置21の構成が、(1)第1のスラスト部材9を内側部材8の下方に配置し、第2のスラスト部材11を内側部材8の上方に配置した点、(2)第1のスラスト部材9を外側部材7と別体にし、第2のスラスト部材11と外側部材7でハウジング12を一体に形成した点、および(3)第1のスラスト部材9で外側部材7の開口部を密閉し、第2のスラスト部材11でシール空間Sを形成した点で異なる。
この構成の動圧軸受装置21でも上記と同様に、第1および第2のスラスト部材9、11の間での軸部材13の軸方向移動量δを測定し、この測定値から第1および第2のスラスト軸受隙間の合計量を差し引いた距離だけ第1のスラスト部材9またはハウジング12を軸方向に押し進めることにより、スラスト軸受隙間の隙間設定を行うことができる。
図6は、本発明の他の実施形態を示すもので、図2に示す実施形態とは動圧軸受装置31の構成が、第1のスラスト部材9および第2のスラスト部材11の双方でシール空間S1、S2を形成している点で異なる。
この構成の動圧軸受装置31でも上記と同様に、第1および第2のスラスト部材9、11の間での軸部材13の軸方向移動量δを測定し、この測定値から第1および第2のスラスト軸受隙間の合計量を差し引いた距離だけ第1のスラスト部材9または外側部材7を軸方向に押し進めることにより、スラスト軸受隙間の隙間設定を行うことができる。
1 動圧軸受装置
2 軸部
3 ディスクハブ
4 ステータコイル
5 ロータマグネット
6 モータブラケット
7 外側部材
8 内側部材
9 第1のスラスト部材
10 循環路
11 第2のスラスト部材
12 ハウジング
13 軸部材
S シール空間
S1、S2 シール空間
R1、R2 ラジアル動圧発生部
T1、T2 スラスト動圧発生部
2 軸部
3 ディスクハブ
4 ステータコイル
5 ロータマグネット
6 モータブラケット
7 外側部材
8 内側部材
9 第1のスラスト部材
10 循環路
11 第2のスラスト部材
12 ハウジング
13 軸部材
S シール空間
S1、S2 シール空間
R1、R2 ラジアル動圧発生部
T1、T2 スラスト動圧発生部
Claims (5)
- 内周面を有する外側部材と、外側部材の内周に配置され、外側部材に対して相対回転可能の内側部材と、内側部材の一端面との間に第1のスラスト軸受隙間を形成する第1のスラスト部材と、第1のスラスト軸受隙間に循環流体の動圧作用を発生させる第1のスラスト動圧発生部と、内側部材の他端面との間に第2のスラスト軸受隙間を形成する第2のスラスト部材と、第2のスラスト軸受隙間に循環流体の動圧作用を発生させる第2のスラスト動圧発生部とを有する動圧軸受装置を製造するための方法であって、
内側部材を外側部材の内周に挿入した状態で、第1および第2のスラスト部材に当接するまでの内側部材の軸方向移動量を測定し、この測定値に基づいて第1および第2のスラスト部材を相対的に接近させることにより、第1および第2のスラスト軸受隙間の隙間幅を設定することを特徴とする動圧軸受装置の製造方法。 - 第1のスラスト部材と第2のスラスト部材の軸方向の相対位置を管理しながら、内側部材の軸方向移動量の測定値から第1および第2のスラスト軸受隙間の隙間幅の合計量を差し引いた距離だけ第1のスラスト部材と第2のスラスト部材を相対的に接近させる請求項1記載の動圧軸受装置の製造方法。
- 内側部材の外周面と外側部材の内周面との間にラジアル軸受隙間を有する請求項1記載の動圧軸受装置の製造方法。
- 第1および第2のスラスト部材のうち、少なくとも何れか一方でシール空間を形成した請求項1記載の動圧軸受装置の製造方法。
- 第1および第2のスラスト部材のうち、何れか一方で外側部材の開口部を密閉した請求項1〜4の何れかに記載の動圧軸受装置の製造方法。
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