JP2010106994A - 流体軸受装置 - Google Patents

流体軸受装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2010106994A
JP2010106994A JP2008281453A JP2008281453A JP2010106994A JP 2010106994 A JP2010106994 A JP 2010106994A JP 2008281453 A JP2008281453 A JP 2008281453A JP 2008281453 A JP2008281453 A JP 2008281453A JP 2010106994 A JP2010106994 A JP 2010106994A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
housing
bearing
peripheral surface
bearing sleeve
bearing device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2008281453A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuya Kurimura
栗村  哲弥
Tetsuya Yamamoto
哲也 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp, NTN Toyo Bearing Co Ltd filed Critical NTN Corp
Priority to JP2008281453A priority Critical patent/JP2010106994A/ja
Publication of JP2010106994A publication Critical patent/JP2010106994A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Sliding-Contact Bearings (AREA)

Abstract

【課題】ハウジングと軸受スリーブとの間に必要とされる固定強度および固定精度を容易にかつ安定的に確保する。
【解決手段】ハウジング7に、径方向に延びて軸受スリーブ8の上端部および下端部と軸方向にそれぞれ係合する係合部12,12が軸方向の二箇所に離隔して設けられる。上側の係合部12としてのシール部7bには軸受スリーブ8の上側端面8bが係合し、下側の係合部12としての突出部7cには軸受スリーブ8の下端外周チャンファ8foが軸方向に係合している。かかる構成により、軸受スリーブ8とハウジング7との間に接着剤を介在させずとも、軸受スリーブ8の軸方向両側への移動を規制することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は流体軸受装置に関するものである。
流体軸受装置は、軸受隙間に形成される流体の潤滑膜で軸部材を回転自在に支持するものである。この流体軸受装置は、高速回転、高回転精度、低騒音等の特徴を有するものであり、近年ではその特徴を活かして、情報機器をはじめ種々の電気機器に搭載されるモータ用の軸受装置として、より具体的には、HDD等の磁気ディスク装置やCD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置等のスピンドルモータ、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、PC等のファンモータなどのモータ用軸受装置として好適に使用されている。
例えば、ディスク装置用のスピンドルモータに組み込んで使用される流体軸受装置として、例えば特開2003−336636号公報(特許文献1)に記載のように、ハウジングと、ハウジングの内周に固定された軸受スリーブと、軸受スリーブの内周に挿入された軸部材と、軸受スリーブの内周面と軸部材の外周面との間のラジアル軸受隙間に形成される油膜で軸部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部とを備えるものが公知である。
この種の流体軸受装置において、ハウジングに対する軸受スリーブの固定手段は、軸受運転中等に軸受スリーブが軸方向移動しないだけの固定強度を両者間に確保出来るものであれば特段の限定はないが、接着を採用する場合が多い。なお、ハウジングに対する軸受スリーブの接着固定は、通常、相互に固定される面の少なくとも一方に接着剤を塗布した状態で軸受スリーブをハウジング内周の所定位置まで挿入した後、接着剤を固化させることにより行われる。
特開2003−336636号公報
ハウジングと軸受スリーブとを接着固定する場合、両者間の固定強度は、互いに対向する面の間に介在させる接着剤の量によって左右される。そのため、必要とされる固定強度を確保するには、両者間に介在させる接着剤量を厳密に管理する必要がある。しかしながら、軸受スリーブを挿入するのに伴い、軸受スリーブの挿入方向前方側に多少なりとも接着剤がかき出されるため、接着剤量を厳密に管理するのが難しく、個体間で固定強度がばらつき易いという問題がある。また、かき出された接着剤が軸受スリーブの端面側に回り込んで、軸受性能(特にスラスト軸受部の軸受性能)が低下するおそれもある。さらに、接着固定では、接着剤を固化させる時間が必要であるために生産効率が悪いことに加え、接着剤の固化収縮等に伴ってハウジングに対する軸受スリーブの位置や姿勢が変化するのを防止すべく、両者の相対位置を治具等で適正に保たなければならない。そのため、両者の組み付けに多大なコストを要するという問題もある。
本発明の課題は、この種の流体軸受装置において、ハウジングと軸受スリーブとの間に必要とされる固定強度および固定精度を容易にかつ安定的に確保可能とすることにある。
上記課題を解決するため、本発明では、少なくとも一端が開口したハウジングと、ハウジングの内周に固定された軸受スリーブと、軸受スリーブの内周に挿入された軸部材と、軸受スリーブの内周面と軸部材の外周面との間のラジアル軸受隙間に形成される流体の潤滑膜で軸部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部とを備える流体軸受装置において、ハウジングに、半径方向に延びて軸受スリーブの一端部および他端部と軸方向にそれぞれ係合する係合部が軸方向の二箇所に離隔して設けられていることを特徴とする流体軸受装置を提供する。
このように、本発明に係る流体軸受装置では、ハウジングに、半径方向に延びて軸受スリーブの一端部および他端部と軸方向にそれぞれ係合する係合部が軸方向の二箇所に離隔して設けられる。かかる構成によれば、何れか一方の係合部を拡径方向に弾性変形させた状態で軸受スリーブをハウジング内周の軸方向所定位置(他方の係合部と係合する位置)まで挿入すると、前記一方の係合部が弾性的に縮径して軸受スリーブと軸方向で係合する。そのため、一対の係合部で軸受スリーブの軸方向両側への軸方向移動を規制することができる。これにより、接着剤を用いずとも、軸受スリーブが軸方向移動し、ひいてはハウジング内周から抜脱するような事態も効果的に防止することができる。また、係合部を精度良く形成しておけば、ハウジングに対する軸受スリーブの軸方向の固定位置が個体間でばらつくような事態も防止することができる。
上記構成において、軸受スリーブの外周面とハウジングの内周面との間に締め代をもたせるようにすれば、軸受スリーブの周方向移動を規制することが、すなわち軸受スリーブの回り止めを図ることができる。
少なくとも一方の係合部に、ハウジング内部に向かう軸方向の押し込み力を受けることにより、ハウジングの開口部を拡径させる方向の分力を生じるガイド部を設けておけば、軸受スリーブの一端をガイド部に接触させた状態で軸受スリーブをハウジング内部に向かって押し込むことにより、ハウジングの開口部をスムーズに拡径させることができる。これにより、ハウジング内部への軸受スリーブの挿入性を向上することができる。
二つの係合部のうち、何れか一方の内周面と、これに対向する軸部材の外周面との間に、ハウジングの一端開口をシールするシール空間を形成することができる(図2を参照)。かかる構成とすれば、シール空間を形成するための別部材(シール部材)を設けずとも足りるので、部材点数および組立工数を減じて流体軸受装置の低コスト化を図ることができる。
二つの係合部のうち、何れか一方の端面と、これに対向する軸部材の端面との間にはスラスト軸受隙間を形成することができる(図7を参照)。かかる構成とすれば、例えば図2に示す流体軸受装置のように、軸受スリーブの一端面でスラスト軸受隙間を形成する場合に比べ、軸受スリーブの半径方向の肉厚を薄くすることができる。この薄肉化により、流体軸受装置の半径方向寸法を短縮することができる。また特に、軸受スリーブを焼結金属等の多孔質体で形成する場合には、薄肉化される分、保油量を減じることができる。これによりシール空間の容積(軸方向寸法)を減じることができ、流体軸受装置の軸方向寸法を短縮することもできる。
ところで、この種の流体軸受装置では、軸受運転中に、内部空間を満たす潤滑流体の圧力バランスに狂いが生じる場合があり、かかる事態は、局部的な負圧の発生に伴う気泡の生成、気泡の生成に起因する潤滑流体漏れや振動の発生等の問題を招く。このような問題は、軸受内部に一連の循環経路を形成し、この循環経路を介して潤滑油を流動循環させることによって解消することができる。上記本発明の構成上、係合部を環状形態とすると、上記の循環経路、特にこの一部を構成する軸方向に延びる流体通路を形成することが難しくなる。そこで、このような循環経路を軸受内部に形成する場合には、少なくとも一方の係合部を周方向で断続的に設け、周方向で隣り合う係合部間に、ハウジングの内周面と軸受スリーブの外周面との間で軸方向に延びる流体通路を設ければ良い。
以上の構成において、ハウジングは、円筒状の筒部と、該筒部の他端開口を閉塞する底部とを一体に有するものとすることができる。このようにすれば、上記特許文献1に記載の流体軸受装置のように、他端も開口した円筒形態のハウジングを用い、かつこの他端開口を別体の蓋部材で閉塞する場合に比べ、部材点数や組立工数を減じて流体軸受装置の低コスト化を図ることができる。
もちろん、ハウジングは、他端も開口した円筒形態とし、かつこの他端開口を、ハウジングとは別体の蓋部材で閉塞しても良いが、所期の軸受性能を安定維持可能とするためには、ハウジングに対する蓋部材の固定強度が問題となる。流体軸受装置の運転中等に衝撃荷重が加わると、軸部材の端部が蓋部材に突き当たり、この時の衝撃で蓋部材が脱落するおそれがあるからである。上記特許文献1の流体軸受装置のようにハウジングの内周面に蓋部材を固定する場合、蓋部材の肉厚を増せばハウジングに対する蓋部材の固定面積が拡大する分、ハウジングに対する蓋部材の固定強度を高めることができる。しかし、蓋部材の肉厚を増すと、軸受装置の軸方向寸法の長大化、あるいはラジアル軸受部の軸受スパンの縮小を招くため、蓋部材をむやみに厚肉化することはできない。
かかる事情に鑑み、他端も開口した円筒形態のハウジングを用いる場合には、ハウジングの外周面に蓋部材を固定することでハウジングの他端開口を閉塞するのが望ましい。このようにすれば、蓋部材をハウジングの内周面に固定する場合に比べて、内周面と外周面の径差分だけ固定面積を増すことができる。蓋部材をハウジングの外周面に固定する場合、他端開口を閉塞する円盤状の部分と、外周面に固定される筒状の部分とが必要となるが、ハウジングに対する固定面積を拡大するには、筒状の部分の軸方向寸法を長大化すれば足り、円盤状の部分を厚肉化する必要がない。また、筒状の部分を長大化しても軸受装置の全長寸法に影響は及ばない。以上から、軸受装置の軸方向寸法やラジアル軸受部の軸受スパンに影響を与えることなく蓋部材の耐抜け強度を高めることができ、所期の軸受性能を安定維持することが可能となる。
以上に示す本発明の構成上、軸受スリーブをハウジングに挿入する際にはハウジングに設けた二つの係合部のうち、何れか一方を拡径させる必要があり、軸受スリーブの挿入が完了するとハウジングの前記一方の係合部を縮径させる必要がある。これらを考慮すると、ハウジングは、開口部の弾性的な縮拡径を容易に実現し得る樹脂で形成するのが望ましい。また、ハウジングを樹脂製とすれば、これを金属等で形成する場合に比べて、流体軸受装置の低コスト化を図ることができる。
以上に示す本発明に係る流体軸受装置は、ステータコイルと、ロータマグネットとを備えるモータ、例えばHDD等、情報機器用のスピンドルモータに組み込んで好適に使用することができる。
以上より、本発明によれば、ハウジングと軸受スリーブとの間に必要とされる固定強度および固定精度を容易にかつ安定的に確保することができる。これにより、所期の軸受性能を安定維持可能な流体軸受装置を低コストに提供することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、流体軸受装置を組み込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示している。このスピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、軸部材2を回転自在に支持する流体軸受装置1と、軸部材2に固定されたディスクハブ3と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5と、モータブラケット6とを備えている。ステータコイル4はモータブラケット6の外周に取り付けられ、ロータマグネット5はディスクハブ3の内周に取り付けられる。流体軸受装置1のハウジング7は、モータブラケット6の内周に固定される。ディスクハブ3には磁気ディスク等のディスクDが一又は複数枚(図示例は2枚)保持され、このディスクDは図示しないクランプ機構で固定される。以上の構成において、ステータコイル4に通電すると、ステータコイル4とロータマグネット5との間の電磁力でロータマグネット5が回転し、それによって、ディスクハブ3およびディスクハブ3に保持されたディスクDが軸部材2と一体に回転する。
図2は、本発明の第1実施形態に係る流体軸受装置1を示すものである。この流体軸受装置1は、ハウジング7と、ハウジング7の内周に固定された軸受スリーブ8と、軸受スリーブ8の内周に挿入された軸部材2と、ハウジング7の一端開口を閉塞する蓋部材10とを構成部材として備える。なお、以下では、蓋部材10が設けられた側を下側、その軸方向反対側を上側として説明を進める。
軸部材2は、軸部2aと、軸部2aの下端に一体又は別体に設けられたフランジ部2bとからなる。本実施形態では、軸部2aおよびフランジ部2bの双方を耐摩耗性に富む金属材料、具体的にはステンレス鋼で形成している。但し、フランジ部2bの一部(例えば表層部分)又は全部を樹脂材料で形成しても良い。
軸受スリーブ8は、焼結金属からなる多孔質体、特に銅を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成される。軸受スリーブ8は、焼結金属以外のその他の多孔質体、例えば多孔質樹脂やセラミックスで形成しても良いし、多孔質体ではない黄銅等の軟質金属で形成しても良い。軸受スリーブ8の内周面8aおよび外周面8dの双方は、径一定の円筒面状に形成される。また、軸受スリーブ8の軸方向両端の内周縁部および外周縁部には、それぞれチャンファ8ei、8eo、8fi、8foが形成される。
図3に示すように、軸受スリーブ8の内周面8aには、対向する軸部2aの外周面2a1との間にラジアル軸受隙間を形成するラジアル軸受面が軸方向の二箇所に離隔形成される。両ラジアル軸受面には、それぞれ、複数の動圧溝8a1,8a2をヘリングボーン形状に配列してなるラジアル動圧発生部A1,A2が形成される。本実施形態において、上側の動圧溝8a1は、軸方向中心m(上下の傾斜溝間領域の軸方向中央)に対して軸方向非対称に形成されており、軸方向中心mより上側領域の軸方向寸法X1が下側領域の軸方向寸法X2よりも大きくなっている。一方、下側の動圧溝8a2は軸方向対称に形成され、その上下領域の軸方向寸法はそれぞれ上記軸方向寸法X2と等しくなっている。なお、ラジアル動圧発生部A1,A2の何れか一方又は双方は、対向する軸部2aの外周面2a1に形成しても良い。
図4に示すように、軸受スリーブ8の下側端面8cには、対向するフランジ部2bの上側端面2b1との間に第1スラスト軸受隙間を形成するスラスト軸受面が設けられる。スラスト軸受面には、第1スラスト軸受隙間に動圧作用を発生させるスラスト動圧発生部Bが形成される。このスラスト動圧発生部Bは、V字状に屈曲した動圧溝8c1と、これを区画する丘部8c2とを円周方向に交互に配列してなり、全体としてヘリングボーン形状を呈する。なお、スラスト動圧発生部Bは、対向するフランジ部2bの上側端面2b1に形成しても良い。
ハウジング7は、軸方向両端が開口した略円筒状に樹脂材料で射出成形されたものであり、軸受スリーブ8を内周に保持した円筒状の筒部7aと、筒部7aの上端から半径方向内側(内径側)に延びる環状のシール部7bと、筒部7aの下端から内径側に延びる環状の突出部7cとを一体に有する。筒部7aの内周面は径一定の円筒面状に形成され、外周面は下側を小径にした段付きの円筒面状に形成される。従い、筒部7aは、相対的に厚肉に形成された厚肉部7a1と、相対的に薄肉に形成された薄肉部7a2とが軸方向に積み重なった形態をなす。なお、筒部7aの内径寸法は、軸受スリーブ8の外径寸法よりも若干量小径に形成される。これにより、軸受スリーブ8の外周面8dとハウジング7の内周面との間に締め代(半径方向の締め代)をもたせることができる。
図2にも示すように、軸受スリーブ8がこのハウジング7内周に固定された状態では、シール部7bが軸受スリーブ8の上側端面8bと軸方向に係合し、これによって軸受スリーブ8の軸方向上側への移動が規制される。また、突出部7cが軸受スリーブ8の下側端面(厳密には、下端外周チャンファ8fo)と軸方向に係合し、これによって軸受スリーブ8の軸方向下側への移動が規制される。すなわち、本実施形態では、シール部7bおよび突出部7cが、軸受スリーブ8の軸方向の一端部および他端部とそれぞれ係合する係合部12として機能する。
係合部12として機能する突出部7cの下端内周は下方に向かって漸次拡径したテーパ面に形成される。このテーパ面は、軸受スリーブ8をハウジング7内周へ挿入する際のガイド部13として機能する。すなわち、このガイド部13に上端部を接触させた状態で軸受スリーブ8をハウジング7内周に押し込むと、ハウジング7の下端開口を拡径させる方向の分力が生じる。これにより、ハウジング7の下端開口部はスムーズに拡径する。なお、このような機能を奏することができるのであれば、ガイド部13は必ずしもテーパ面で構成する必要はなく、例えば円弧面で構成することもできる。後述する各実施形態においても同様である。
ハウジング7の成形に用いる樹脂材料は射出成形可能であれば特段の限定はなく、ベース樹脂には、液晶ポリマー(LCP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)に代表される結晶性樹脂、あるいはポリフェニルサルフォン(PPSU)等の非晶性樹脂の何れを用いても良い。なお、樹脂材料には要求特性に応じた各種充填材を配合することができるが、後述するように、本実施形態においては蓋部材10で導電性が確保されるので、樹脂材料に導電性を付与するための充填材(導電性充填材)を必ずしも配合する必要はない。
シール部7bの内周面7b1は、下方に向かって漸次縮径したテーパ面状に形成され、対向する軸部2aの外周面2a1との間に下方に向けて径方向寸法を漸次縮小させたテーパ状のシール空間Sを形成する。本体部7aとシール部7bの境界となるハウジング7の上端外径角部は肉取りされており、この肉取り7dによって、本体部7aからシール部7bにかけての領域でハウジング7の肉厚がほぼ均一化される。これにより、射出成形後の成形収縮によるシール部7bの内周面7b1の変形を抑制し、シール空間Sの形状精度が確保される。
蓋部材10は、ハウジング7の薄肉部7a2の外周面に、例えば接着固定される。これにより、ハウジング7の下側開口が閉塞される。蓋部材10は、導電性を有する金属材料で形成され、例えば金属板をプレス加工することにより、半径方向に延びる略円盤状のプレート部10aと、プレート部10aの外径端から軸方向に延びる円筒状の起立部10bとを一体に有する有底筒状に形成される。起立部10bは、軸受スリーブ8の内周面8aに設けられた下側のラジアル軸受面の一部又は全部(本実施形態では一部)と軸方向でオーバーラップしている。
図5に示すように、プレート部10aの上側端面10a1には、対向するフランジ部2bの下側端面2b2との間に第2スラスト軸受隙間を形成するスラスト軸受面が設けられる。スラスト軸受面には、第2スラスト軸受隙間に動圧作用を発生させるためのスラスト動圧発生部Cが形成される。このスラスト動圧発生部Cは、V字状に屈曲した動圧溝10a11と、これを区画する丘部10a12とを円周方向に交互に配列した構成をなし、全体としてヘリングボーン形状を呈する。このスラスト動圧発生部Cは、対向するフランジ部2bの下側端面2b2に形成しても良い。
蓋部材10の起立部10bの端面10b1とハウジング7の厚肉部7a1の下側端面7a11とは軸方向に対向し、後述するスラスト軸受隙間の幅設定後は、両面10b1,7a11間に軸方向隙間δ1が形成される。スラスト軸受隙間の幅設定後は、例えば接着剤で軸方向隙間δ1を完全に封止するようにしても良い。また、プレート部10aの上側端面10a1とハウジング7の薄肉部7a2(係止部7c)の下側端面との間に軸方向隙間δ2が形成される。この軸方向隙間δ2の隙間幅は、軸受内部の保油量を減じるために極力小さくするのが望ましい。
以上の構成からなる流体軸受装置1は、例えば以下のようにして組み立てられる。
まず、ハウジング7の内周に軸受スリーブ8を固定する。軸受スリーブ8の上側端面8bもしくは上端外周チャンファ8eoを下側の係合部12(突出部7c)の下端内周に設けたガイド部13に接触させた状態で、軸受スリーブ8に対して軸方向上側への押し込み力を付与(あるいはハウジング7に対して軸方向下側への押し込み力を付与)して軸受スリーブ8をハウジング7内周に押し込む。押し込み力が付与されると、ガイド部13、ひいては突出部7cに拡径方向の分力が作用し、ハウジング7の下端開口部が弾性的に拡径する。この状態で、軸受スリーブ8をガイド部13で案内しながら軸受スリーブ8とハウジング7とを軸方向に相対移動させ、軸受スリーブ8の上側端面8bをハウジング7のシール部7bの下側端面7b2(上側の係合部12の下端)に当接させる。そして、シール部7bの下側端面7b2に軸受スリーブ8の上側端面8bが当接すると、弾性復元力によってハウジング7の下端開口部が縮径し、軸受スリーブ8の下端外周チャンファ8foにハウジング7の突出部7cが係合する。なお、ハウジング7に対する軸受スリーブ8の固定に際し、接着剤は使用していない。
次いで、軸受スリーブ8の内周に軸部材2を挿入し、ハウジング7の薄肉部7a2の外周面、および蓋部材10の起立部10bの内周面の何れか一方又は双方に接着剤を塗布してから、薄肉部7a2の外周に蓋部材10の起立部10bを嵌合する。そのままハウジング7と蓋部材10とを軸方向に相対移動させ、フランジ部2bの上側端面2b1を軸受スリーブ8の下側端面8cに当接させると共に、フランジ部2bの下側端面2b2を蓋部材10のプレート部10aの上側端面10a1に当接させる(両スラスト軸受隙間の隙間幅を0の状態にする)。このとき、蓋部材10の起立部10bの端面10b1とハウジング7の厚肉部7a1の下側端面7a11とが接触しないように各部材の寸法を設定しておく。次いで、両スラスト軸受隙間の隙間幅の合計量分だけ蓋部材10をハウジング7に対して下方(ハウジング7から離反する方向)に引き戻した後、接着剤を固化させる。これにより、ハウジング7に対する蓋部材10の組み付けと、スラスト軸受隙間の幅設定とが同時に完了し、図2に示す流体軸受装置1の組立が完了する。その後、流体軸受装置1の内部空間に、流体としての潤滑油を充満する。以上のような組立手順であれば、蓋部材10の移動量でスラスト軸受隙間の幅設定を行うことができるので、各部材の加工精度を緩和して、加工コストを低減することができる。
なお、上述のように、本実施形態に係る流体軸受装置1では、ハウジング7が樹脂製、蓋部材10が金属製とされ、かつこの蓋部材10の起立部10bは、軸受スリーブ8の内周面8aに設けられた下側のラジアル軸受面の一部と軸方向でオーバーラップしている。このような場合に、圧入を伴う手法で蓋部材10をハウジング7の外周面に固定したのでは、圧入に伴うハウジング7の変形が下側のラジアル軸受面にも及び、ラジアル軸受隙間の幅精度、ひいてはラジアル軸受部R2の軸受性能に悪影響が及ぶおそれがある。そのため、本実施形態では、蓋部材10の起立部10bの内周面とハウジング7の薄肉部7a2の外周面との間に微小な径方向隙間を介在させ、この径方向隙間を満たす接着剤で両者を接着固定している。
以上で説明した組立手順では、蓋部材10をハウジング7に固定する際、予めハウジング7の外周面や蓋部材10の内周面に接着剤を塗布するようにしたが、蓋部材10とハウジング7とを嵌合してスラスト軸受隙間の幅設定を行った後に、軸方向隙間δ1から接着剤を供給し、薄肉部7a2の外周面と起立部10bの内周面との間の径方向隙間の毛細管力を利用して接着剤を引き込むことによって、両者を接着固定することも可能である。
以上の構成からなる流体軸受装置1において、軸部材2が回転すると、軸受スリーブ8の内周面8aの上下2箇所に離隔して設けられたラジアル軸受面と、これに対向する軸部2aの外周面2a1との間にそれぞれラジアル軸受隙間が形成される。そして軸部材2の回転に伴い、両ラジアル軸受隙間の油膜圧力が動圧溝8a1,8a2の動圧作用によって高められ、軸部材2をラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受部R1,R2が軸方向の二箇所に離隔形成される。これと同時に、軸受スリーブ8の下側端面8cに設けられたスラスト軸受面とフランジ部2bの上側端面2b1との間、および、フランジ部2bの下側端面2b2と蓋部材10の上側端面10a1に設けたスラスト軸受面Cとの間に、それぞれ第1および第2スラスト軸受隙間が形成される。そして、軸部材2の回転に伴い、両スラスト軸受隙間の油膜圧力が動圧溝8c1,10a11の動圧作用によって高められ、軸部材2をスラスト両方向に非接触支持する第1スラスト軸受部T1および第2スラスト軸受部T2が形成される。
また、シール空間Sが、ハウジング7の内部側に向かって径方向寸法を漸次縮小したテーパ形状を呈しているため、シール空間S内の潤滑油は毛細管力による引き込み作用によってシール空間Sが狭くなる方向、すなわちハウジング7の内部側に向けて引き込まれる。また、シール空間Sは、ハウジング7の内部空間に充填された潤滑油の温度変化に伴う容積変化量を吸収するバッファ機能を有し、想定される温度変化の範囲内で潤滑油の油面を常にシール空間S内に保持する。これらの構成から、ハウジング7内部からの潤滑油漏れが効果的に防止される。
以上に示すように、本発明に係る流体軸受装置1では、ハウジング7に、半径方向に延びて軸受スリーブ8の上端部および下端部と軸方向にそれぞれ係合する係合部12が軸方向の二箇所に離隔して設けられる。かかる構成によれば、何れか一方の係合部12(本実施形態では下側の係合部12)を拡径方向に弾性変形させた状態で軸受スリーブ8をハウジング7内周の軸方向所定位置(上側の係合部12と係合する位置)まで挿入すると、下側の係合部12が弾性的に縮径して軸受スリーブ8と軸方向で係合する。そのため、一対の係合部12,12で軸受スリーブ8の軸方向両側への軸方向移動を規制することができる。特に本実施形態では、ハウジング7の外周面に蓋部材10を固定したので、ハウジング7の両端開口部のうち、軸受スリーブ8の挿入開始側となる下端開口部が拡径するのを防止することができる。これにより、接着剤を用いずとも、軸受スリーブ8が軸方向移動し、ひいてはハウジング7内周から抜脱するような事態も効果的に防止することができる。
また、ハウジング7を樹脂の射出成形品としたことから、係合部12,12の形成態様が個体間でばらつくような事態も可及的に防止することができる。そのため、ハウジング7に対する軸受スリーブ8の軸方向の固定位置が個体間でばらつくような事態も可及的に防止することができる。
また、軸受スリーブ8の外周面8dとハウジング7の筒部7aの内周面との間に(半径方向の)締め代をもたせたことから、軸受スリーブ8の周方向移動も規制することができる。従い、一層の軸受性能の安定化を図ることができる。なお、この締め代は、締め代による圧迫力で軸受スリーブ8の内周面8aが変形しない程度とするのが肝要である。但し、本実施形態では、ハウジング7を樹脂で形成する一方、軸受スリーブ8を焼結金属で形成したので、ハウジング7よりも軸受スリーブ8の剛性が高い。そのため、本実施形態においては、かかる問題を特段考慮せずとも足りる。
また、係合部12として機能するシール部7bの内周面7b1でシール空間Sを形成したことから、シール空間Sを形成するための別部材を設ける必要がない。そのため、部品点数および組立工数を減じて流体軸受装置1の低コスト化を図ることができる。
また、蓋部材10をハウジング7の外周面に固定しているので、上記特許文献1のように蓋部材をハウジングの内周面に固定する場合に比べ、内周面と外周面の径差分だけ両部材間の固定面積を増すことができる。また、ハウジング7の薄肉部7a2の軸方向寸法を長大化することにより、蓋部材10の起立部10bの軸方向寸法を増すことができるので、固定面積の更なる増大、すなわちハウジング7に対する蓋部材10の固定強度の更なる向上も容易に達成できる。しかも、これに伴って蓋部材10を厚肉化する必要がなく、さらに、蓋部材10は接着性の良好な金属材料で形成されている。従って、流体軸受装置1の軸方向寸法やラジアル軸受部R1,R2の軸受スパンに影響を与えることなく蓋部材10の耐抜け強度を高めることができるので、所期の軸受性能が安定的に維持される。
ところで本実施形態において、両ラジアル軸受部R1,R2を形成する動圧溝のうち、上側の動圧溝8a1は、軸方向中心mより上側領域の軸方向寸法X1が下側領域の軸方向寸法X2よりも大きくなっている。そのため、軸部材2の回転時、動圧溝8a1による潤滑油の引き込み力は上側領域が下側領域に比べて相対的に大きくなる。このような引き込み力の差圧(ポンピング能力のアンバランス)により、軸受スリーブ8の内周面8aと軸部2aの外周面2a1との間の隙間に充満された潤滑油は下方に押し込まれる。この場合、軸受内部の閉塞側の空間、特に第2スラスト軸受隙間の内径側の空間(底面空間P、図6を参照)で圧力が高くなり、軸部材2に作用する上向きの浮上力が過剰となる結果、両スラスト軸受部T1,T2間でのスラスト支持力をバランスさせることが難しくなる。この点に鑑み、本実施形態では、フランジ部2bに、その両端面2b1,2b2に開口した連通孔11を設けている(図2および図6を参照)。これにより、連通孔11を介して両スラスト軸受隙間間で潤滑油が行き来可能となるので、両スラスト軸受隙間間での圧力バランスの崩れを早期に解消し、両スラスト軸受部T1,T2間でのスラスト支持力をバランスさせることができる。
図6に示すように、本実施形態の連通孔11は、径方向部11aと軸方向部11bとで構成され、両スラスト軸受面(スラスト動圧発生部B,C)の形成領域を避けてその内径側に開口させるため、屈曲した形状を呈する。より詳細には、径方向部11aの外径端がフランジ部2bの上側端面2b1と軸受スリーブ8の下端内周チャンファ8fiと軸部2aの下端に設けられたヌスミ部2a3とで形成される空間に開口し、径方向部11aの内径端に繋がった軸方向部11bが軸部2aの小径部2a2の外周面に沿って延び、第2スラスト軸受部T2の内径側に開口している。かかる構成は、円環状のフランジ部2bの内周面に軸方向溝を形成すると共に、フランジ部2bの上側端面2b1に前記軸方向溝に通じる半径方向溝を形成し、その後、フランジ部2bの内周に軸部2aの小径部2a2を嵌合することによって形成することができる。なお、連通孔11は、円周方向の一箇所に設ける他、円周方向の複数箇所に設けることもできる。
また、上記のように、本実施形態に係る流体軸受装置1では、底面空間Pの圧力が高くなる傾向にあるので、第2スラスト軸受部T2を形成する動圧溝10a11を、従来多用されてきたポンプインタイプのスパイラル形状に配列すると、第2スラスト軸受隙間内に充満された潤滑油が内径側に押し込まれるため、底面空間Pの圧力増大を助長することとなる。これを回避するため、第2スラスト軸受部T2を形成する動圧溝10a11は、上記のとおりヘリングボーン形状に形成(配列)するのが望ましい(図5を参照)。一方、第1スラスト軸受部T1では、この種の問題が生じないので、動圧溝8c1を、図4に示すヘリングボーン形状ではなく、スパイラル形状に形成しても良い。
上記の流体軸受装置1は、最も外径側に位置する面をアルミ合金等の金属材料で形成されたモータブラケット6(図1を参照)の内周面に例えば接着固定することでモータに組み込まれる。本実施形態のように、蓋部材10をハウジング7の外周面に固定すれば、蓋部材10(起立部10b)の外周面をモータブラケット6に対する固定面として利用することができる。そして、蓋部材10を金属製とすれば、モータブラケット6と蓋部材10との間に十分な接着強度を確保することができるため、ハウジング7の外周面に粗面化処理等を施さずとも足りる。
また、蓋部材10を金属製とすれば、ディスクD(図1を参照)が回転することによって帯電した静電気を、軸部材2→蓋部材10→モータブラケット6という経路を介して確実に接地側に放電することができる。但し、蓋部材10とモータブラケット6とを接着固定した場合には、通常は絶縁体とされる接着剤によって導電経路が遮断されるので、必要に応じて蓋部材10の下端外径端部とモータブラケット6の下端内径端部とにまたがって適当な導電材を塗布し、導電経路を確保するのが望ましい。
このように蓋部材10で導電経路を構成すれば、ハウジング7の導電性を考慮せずとも足りるため、ハウジング7の成形材料を検討する際に材料選択の余地が広がり、流体軸受装置1の設計自由度が増す。樹脂製のハウジング7に導電性を持たせる場合にはその成形材料中に高価な導電性充填材を配合する必要があるが、本実施形態では、樹脂材料に対する導電性充填材の配合を不要とすることが、あるいは配合量を少なくすることができるので、ハウジング7成形用の材料コストの高騰を抑制することができる。
以上、本発明に係る流体軸受装置1の一実施形態について説明を行ったが、本発明は上記の実施形態に限定適用されるものではなく、以下説明する構成の流体軸受装置1に適用することも可能である。なお、以下説明する流体軸受装置1では、以上で説明した構成に準ずる部材、部位には共通の参照番号を付して重複説明を省略する。
図7は、本発明の第2実施形態に係る流体軸受装置1を示すものである。同図に示す流体軸受装置1が図2に示す流体軸受装置と異なる主な点は、下側の係合部12としての突出部7cを、軸受スリーブ8の下側端面8c全体と係合するように内径側に延ばした点、および、図5に示す態様のスラスト動圧発生部Cを突出部7cの下側端面7c1に形成し、これと対向するフランジ部2bの上側端面2b1との間に第1スラスト軸受部T1を形成した点にある。またこれに伴い、図2に示す軸方向隙間δ2は形成されない。なお、突出部7cの下側端面7c1に設けるべきスラスト動圧発生部Cは、ハウジング7成形用の金型にスラスト動圧発生部に対応した成形型を設けておくことで、ハウジング7を射出成形するのと同時に型成形することができる。
かかる構成とすれば、軸受スリーブ8の下側端面8cに形成していたスラスト動圧発生部C(スラスト軸受面)が不要となるので、軸受スリーブ8の半径方向の肉厚を、図2に示す実施形態に比べて薄くすることができる。この薄肉化により、流体軸受装置1の半径方向寸法を短縮することができる。また、軸受スリーブ8を焼結金属の多孔質体で形成していることから、薄肉化できる分だけ軸受装置内部の保油量を少なくすることができ、昇温時の油の熱膨張量を抑制することができる。従って、シール空間Sの容積を小さく、さらに言えばシール空間Sの軸方向寸法を減じて、軸受装置の軸方向寸法を短縮することもできる。
このように、シール空間Sの軸方向寸法が小さくなることで、ハウジング7におけるシール部7bの肉厚と筒部7aの肉厚差が小さくなるので、ハウジング7の成形収縮に伴う変形が生じにくくなる。そのため、この実施形態の流体軸受装置1ではハウジング7の上端外径部の肉取り7d(図2参照)を省略している。
なお、突出部7cの径方向寸法を図2に示す実施形態に比べて延ばした分、ハウジング7を変形、損傷等させることなく軸受スリーブ8をハウジング7の下端開口側から挿入するのが難しくなる。従い、本実施形態では、ハウジング7の上端開口部の側から軸受スリーブ8がハウジング7内周に挿入される。これに伴い、上側の係合部12として機能するシール部7cの上端内周を、下方に向かって漸次縮径したテーパ面に形成し、このテーパ面で上記のガイド部13が構成される。
図8は、本発明の第3実施形態に係る流体軸受装置1を示すものである。同図に示すものが以上で説明したものと異なる主な点は、ハウジング7を、円筒状の筒部7aと、筒部7aの下端開口を閉塞する底部7eとを一体に有する有底筒状(コップ状)に形成した点、および、ハウジング7の上端開口部に固定したシール部材9の内周面9aと軸部2aのテーパ状外周面2a2との間にシール空間Sを形成した点にある。
また、軸受スリーブ8の上端(上端外周チャンファ8eo)と軸方向に係合する係合部12が、ハウジング7の上端開口部から所定量離隔した位置に一体的に設けられた突起7fで構成され、軸受スリーブ8の下端(下端外周チャンファ8fo)と係合する係合部12が、筒部7aと底部7eの境界部内周に一体的に設けられた段部7gで構成されている。そして、同図からも明らかなように、上側の係合部12として機能する突起7fの上端内周はテーパ面に形成され、このテーパ面が上記のガイド部13として機能する。
また、この実施形態では、図2および図7に示す実施形態では軸部材2に設けていた連通孔11を形成しない替わりに、軸受内部で潤滑油を流動循環させるための一連の循環経路を形成している。詳述すると、軸部2aの外周面2a1と軸受スリーブ8の内周面8aとの間の径方向隙間(ラジアル軸受隙間)→第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間→ハウジング7の段部7gに設けた径方向溝7g1で形成される流体通路→軸受スリーブ8の外周面8dに設けた軸方向溝8d1で形成される流体通路14→シール部材9の下側端面の外径側に設けた後退面で形成される流体通路→軸受スリーブ8の上側端面8bに設けた環状溝8b1および径方向溝8b2で形成される流体通路とで一連の循環経路が構成される。
そして、軸受運転時には、上記の循環経路に沿って潤滑油が流動循環することにより、潤滑油の圧力バランスが保たれると同時に、局部的な負圧の発生に伴う気泡の生成、気泡の生成に起因する潤滑油の漏れや振動の発生等の問題が効果的に解消される。上記の循環経路には、シール空間Sが連通しているので、何らかの理由で潤滑油中に気泡が混入した場合でも、気泡が潤滑油に伴って循環する際にシール空間Sの潤滑油の油面(気液界面)から外気に排出される。従って、気泡による悪影響は一層効果的に防止される。
なお、本実施形態において、特に上側の係合部12(突起7f)を環状に形成し、突起7fと軸受スリーブ8の上端外周チャンファ8eoとを全周に亘って軸方向に係合させていると、上記の軸方向に延びる流体通路14を形成することが難しくなる。そのため本実施形態では、係合部12として機能する突起7fを周方向で断続的に形成し、隣り合う係合部12間に上記流体通路14を形成している。このようにした場合、上側の係合部12の強度が不足し、軸受スリーブ8の上側への移動を規制することが難しくなるとも考えられるが、ハウジング7の上端開口部にシール部材9が固定されているので、かかる問題は考慮せずとも足りる。
図9は、本発明の第4実施形態に係る流体軸受装置1を示すものである。同図に示す流体軸受装置1は、主に、軸部2aの軸方向の二箇所に離隔してフランジ部2b,2cを設け、フランジ部2cの下側端面2c1と軸受スリーブ8の上側端面8bとの間に第2スラスト軸受部T2を形成した点、およびハウジング7を筒部7aのみからなる円筒状に形成し、フランジ部2cの外周面2c3とハウジング7の上端内周面との間に第1シール空間S1を、またフランジ部2bの外周面2b3とハウジング7の下端内周面との間に第2シール空間S2を形成した点において、図2に示す流体軸受装置1と構成を異にしている。
また、ハウジング7には、軸受スリーブ8の上端部(上端外周チャンファ8eo)および下端部(下端外周チャンファ8fo)と軸方向に係合する係合部12としての突起7f,7fが軸方向の二箇所に離隔して設けられている。上側の突起7fの上端内周、および下側の突起7fの下端内周はテーパ面に形成され、このテーパ面で上記のガイド部13が構成される。すなわち、本実施形態では、上端開口部の側から軸受スリーブ8をハウジング7内周に挿入しても良いし、下端開口部の側から軸受スリーブ8をハウジング7内周に挿入しても良い。この実施形態では、両係合部12,12を周方向で断続的に設け、隣り合う係合部12間に軸方向に延びる流体通路14を形成している。
図10は、本発明の第5実施形態に係る流体軸受装置1を示すものである。同図に示す流体軸受装置1は、主に、軸部材2の上端に一体又は別体に設けたディスクハブ3の下側端面3a1と、これに対向するハウジング7の上側端面7a3との間に第2スラスト軸受部T2を形成した点、ディスクハブ3の筒部3bの内周面3b1とハウジング7のテーパ状外周面7a4との間にシール空間Sを形成した点、および蓋部材10をハウジング7の内周面に固定した点において、図2に示す流体軸受装置1と構成を異にしている。なお、係合部12の形成態様は、上記第4実施形態と同様であるので詳細説明を省略する。
以上の実施形態では、ヘリングボーン形状の動圧溝による動圧作用により動圧軸受からなるラジアル軸受部R1,R2を構成した場合について説明を行ったが、いわゆる多円弧軸受、ステップ軸受、および波型軸受等、公知のその他の動圧軸受でラジアル軸受部を構成することもできる。また、ラジアル軸受隙間を介して対向する軸受スリーブ8の内周面8aおよび軸部2aの外周面2a1の双方を円筒面とした、いわゆる真円軸受でラジアル軸受部を構成することもできる。
また、以上の実施形態では、ヘリングボーン形状等の動圧溝による動圧作用により動圧軸受からなるスラスト軸受部T1,T2を構成した場合について説明を行ったが、いわゆるステップ軸受や波型軸受等、公知のその他の動圧軸受でスラスト軸受部T1,T2の何れか一方又は双方を構成することもできる。また、スラスト軸受部は、軸部材2(軸部2a)の下端を接触支持する、いわゆるピボット軸受で構成することもできる。
ディスク装置用のスピンドルモータを概念的に示す断面図である。 本発明の第1実施形態に係る流体軸受装置を示す断面図である。 軸受スリーブの断面図である。 軸受スリーブの下側端面を示す平面図である。 蓋部材の上側端面を部分的に示す平面図である。 図2に示す流体軸受装置の要部拡大断面図である。 本発明の第2実施形態に係る流体軸受装置を示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係る流体軸受装置を示す断面図である。 本発明の第4実施形態に係る流体軸受装置を示す断面図である。 本発明の第5実施形態に係る流体軸受装置を示す断面図である。
符号の説明
1 流体軸受装置
2 軸部材
3 ディスクハブ
6 モータブラケット
7 ハウジング
7a 筒部
7b シール部
7c 突出部
8 軸受スリーブ
10 蓋部材
11 (フランジ部の)連通孔
12 係合部
13 ガイド部
14 流体通路
S、S1、S2 シール空間
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部

Claims (9)

  1. 少なくとも一端が開口したハウジングと、ハウジングの内周に固定された軸受スリーブと、軸受スリーブの内周に挿入された軸部材と、軸受スリーブの内周面と軸部材の外周面との間のラジアル軸受隙間に形成される流体の潤滑膜で軸部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部とを備える流体軸受装置において、
    ハウジングに、半径方向に延びて軸受スリーブの一端部および他端部と軸方向にそれぞれ係合する係合部が軸方向の二箇所に離隔して設けられていることを特徴とする流体軸受装置。
  2. 軸受スリーブの外周面とハウジングの内周面との間に締め代をもたせた請求項1記載の流体軸受装置。
  3. 少なくとも一方の係合部に、ハウジング内部に向かう軸方向の押し込み力を受けることにより、ハウジングの開口部を拡径させる方向の分力を生じるガイド部を設けた請求項1記載の流体軸受装置。
  4. 二つの係合部のうち、何れか一方の内周面と、これに対向する軸部材の外周面との間に、ハウジングの一端開口をシールするシール空間を形成した請求項1記載の流体軸受装置。
  5. 二つの係合部のうち、何れか一方の端面と、これに対向する軸部材の端面との間にスラスト軸受隙間を形成した請求項1記載の流体軸受装置。
  6. 少なくとも一方の係合部を周方向で断続的に設け、周方向で隣り合う係合部間に、ハウジングの内周面と軸受スリーブの外周面との間で軸方向に延びる流体通路を設けた請求項1記載の流体軸受装置。
  7. ハウジングが、円筒状の筒部と、該筒部の他端開口を閉塞する底部とを一体に有するものである請求項1記載の流体軸受装置。
  8. ハウジングの他端を開口させ、該他端開口をハウジングの外周面に固定した蓋部材で閉塞した請求項1記載の流体軸受装置。
  9. ハウジングが樹脂で形成された請求項1記載の流体軸受装置。
JP2008281453A 2008-10-31 2008-10-31 流体軸受装置 Withdrawn JP2010106994A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008281453A JP2010106994A (ja) 2008-10-31 2008-10-31 流体軸受装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008281453A JP2010106994A (ja) 2008-10-31 2008-10-31 流体軸受装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010106994A true JP2010106994A (ja) 2010-05-13

Family

ID=42296638

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008281453A Withdrawn JP2010106994A (ja) 2008-10-31 2008-10-31 流体軸受装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010106994A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011247281A (ja) * 2010-05-21 2011-12-08 Ntn Corp 軸受部材及びこれを用いた流体動圧軸受装置
WO2012043575A1 (ja) * 2010-09-28 2012-04-05 Ntn株式会社 流体動圧軸受装置およびその組立方法
JP2013060993A (ja) * 2011-09-12 2013-04-04 Ntn Corp 流体動圧軸受装置
US8876385B2 (en) 2010-05-21 2014-11-04 Ntn Corporation Bearing member and fluid dynamic bearing device using same

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011247281A (ja) * 2010-05-21 2011-12-08 Ntn Corp 軸受部材及びこれを用いた流体動圧軸受装置
US8876385B2 (en) 2010-05-21 2014-11-04 Ntn Corporation Bearing member and fluid dynamic bearing device using same
WO2012043575A1 (ja) * 2010-09-28 2012-04-05 Ntn株式会社 流体動圧軸受装置およびその組立方法
JP2013060993A (ja) * 2011-09-12 2013-04-04 Ntn Corp 流体動圧軸受装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5274820B2 (ja) 流体軸受装置
WO2006115104A1 (ja) 動圧軸受装置
JP5306747B2 (ja) 流体軸受装置
WO2010004828A1 (ja) 流体動圧軸受装置
JP5318344B2 (ja) 流体軸受装置およびその製造方法
JP5207657B2 (ja) 動圧軸受装置の製造方法
JP2007024267A (ja) 流体軸受装置およびこれを備えたモータ
JP4762757B2 (ja) 流体軸受装置
JP2010106994A (ja) 流体軸受装置
JP4657734B2 (ja) 動圧軸受装置
JP2010096200A (ja) 流体軸受装置およびその製造方法
JP2009103280A (ja) 動圧軸受装置およびその製造方法
JP2009281464A (ja) 流体軸受装置
JP2007327588A (ja) 流体軸受装置
JP2006112614A (ja) 動圧軸受装置
JP5318343B2 (ja) 流体軸受装置およびその製造方法
JP2009228873A (ja) 流体軸受装置
JP2009024810A (ja) 流体軸受装置およびその製造方法
JP5214401B2 (ja) 流体軸受装置
JP5335304B2 (ja) 流体動圧軸受装置
JP4588561B2 (ja) 動圧軸受装置
JP5284172B2 (ja) 流体軸受装置およびその製造方法
JP2010048309A (ja) 流体軸受装置およびこれを備えるモータ
JP2009156452A (ja) 流体軸受装置
JP2011112075A (ja) 流体動圧軸受装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20110920

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Effective date: 20120731

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20121227