JP2011112075A - 流体動圧軸受装置 - Google Patents

流体動圧軸受装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2011112075A
JP2011112075A JP2009266465A JP2009266465A JP2011112075A JP 2011112075 A JP2011112075 A JP 2011112075A JP 2009266465 A JP2009266465 A JP 2009266465A JP 2009266465 A JP2009266465 A JP 2009266465A JP 2011112075 A JP2011112075 A JP 2011112075A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bearing
bearing sleeve
dynamic pressure
diameter side
seal space
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2009266465A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiichiro Shimazu
英一郎 島津
Katsutoshi Mogi
克敏 茂木
Tetsuya Kurimura
栗村  哲弥
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp, NTN Toyo Bearing Co Ltd filed Critical NTN Corp
Priority to JP2009266465A priority Critical patent/JP2011112075A/ja
Publication of JP2011112075A publication Critical patent/JP2011112075A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Sliding-Contact Bearings (AREA)

Abstract

【課題】焼結金属製の軸受スリーブの内径側及び外径側にシール空間が形成される流体動圧軸受装置において、流体漏れを確実に防止すると共に、製造コストを低減し、且つ、製品ごとの品質のバラつきを抑える。
【解決手段】軸受スリーブ8の上側端面8bに形成した連通溝8fにより、内径側シール空間S1と外径側シール空間S2とを連通することにより、潤滑流体の流量を十分に確保することができ、流体漏れを確実に防止できる。また、軸受スリーブ8を一体成形することで、部品点数や組立工数を削減できると共に、複数部品の組立誤差による軸受性能のバラつきを回避できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、軸部材の外周面と軸受スリーブの内周面との間のラジアル軸受隙間に生じる潤滑流体の動圧作用で軸部材を相対回転自在に支持する流体動圧軸受装置に関する。
流体動圧軸受装置は、その高回転精度および静粛性から、各種ディスク駆動装置(例えばHDD等の磁気ディスク駆動装置、CD,DVD,ブルーレイディスク等の光ディスク駆動装置、あるいはMD,MO等の光磁気ディスク駆動装置等)のスピンドルモータや、レーザビームプリンタのポリゴンスキャナモータ、プロジェクタのカラーホイールモータ、あるいは電子機器等の冷却ファンモータ等、小型モータ用の軸受装置として好適に使用される。
例えば特許文献1には、軸部材と、内周に軸部材を挿入した焼結金属製の軸受スリーブと、内周面に軸受スリーブを固定した有底筒状のハウジングと、ハウジングの開口部に設けられたシール部材とを備えた流体動圧軸受装置が示されている。軸部材が回転すると、軸部材と軸受スリーブとの間のラジアル軸受隙間の潤滑油に動圧作用が発生し、これにより軸部材が回転自在に非接触支持される。また、シール部材と軸部材との間にはシール空間が形成され、このシール空間により潤滑油の外部への漏れ出しが防止されている。
特開2003−232353号公報 特開2007−309496号公報
上記特許文献1の構成では、ラジアル軸受隙間とシール空間とが軸方向に並べて配置されている。ラジアル軸受隙間は、ラジアル方向の軸受剛性を確保するために、所定の軸方向寸法(ラジアル軸受スパン)が必要となる。また、シール空間は、軸受内部(ハウジングの内部)に満たされた潤滑流体の漏れ出しを防止するために、所定の容積が必要となる。このため、上記特許文献1の流体動圧軸受装置のように、ラジアル軸受隙間とシール空間とを軸方向に並べて配置する構成では、これらを合わせた寸法よりも装置の軸方向寸法を縮小することはできない。
そこで、特許文献2には軸受スリーブの内径側及び外径側の2箇所にシール空間を形成した構成が示されている。この構成によれば、外径側のシール空間がラジアル軸受隙間よりも外径側に設けられるため、ラジアル軸受隙間の軸方向寸法を縮小することなく外径側のシール空間の軸方向寸法を拡大してシール容積を十分に確保することができる。これにより、ラジアル軸受隙間と軸方向に並べて配置された内径側のシール空間の軸方向寸法を縮小することができるため、装置の小型化を図ることができ、あるいは、内径側のシール空間を縮小した分だけラジアル軸受スパンを拡大して軸受剛性を高めることができる。
しかし、上記のように2箇所にシール空間を設けることにより、以下のような不具合が生じる恐れがある。すなわち、シール空間の容積は、2箇所のシール空間の合計値に基づいて設計されるため、2箇所のシール空間に均等に油が保持されているときは十分な容積が確保されている場合であっても、何らかの原因により一方のシール空間に油が偏在すると、油漏れが生じる恐れがある。
例えば、上記特許文献2には、外径側のシール空間と内径側のシール空間との間で潤滑油を流通させる流通手段を設ける構成が示されている。このように流通手段を設けることで、一方のシール空間に油が偏在した場合でも、流通手段を介して他方のシール空間に油を流動させることにより、両シール空間内の油量バランスをとって油面高さを安定させ、油漏れを防止することができる。流通手段の具体例として、(1)焼結金属の内部空孔を介して潤滑油を流通させるものと、(2)焼結金属製の軸受スリーブを径方向に貫通する貫通孔を形成するものとが示されている。
しかし、上記のような流通手段では、各シール空間の油面高さを早期に安定させることができず、油漏れ防止できない場合がある。すなわち、上記(1)に示すように焼結金属の内部空孔を介して潤滑油を流通させる場合、焼結金属の空孔率を部分的に大きくするにしても高々10〜20%程度が限界であるため、潤滑油の流通量が十分に確保できるとは言えない。特に、軸部材の回転開始直後(例えば、モータの起動直後)は、静止状態の油が軸部材の回転によって急に動かされ、油面高さが不安定になりやすいが、上記の構成では軸部材の回転開始から油面高さが安定するまでに時間がかかるため、油漏れが生じる恐れが高い。
また、上記(2)に示すように軸受スリーブに径方向の貫通孔を形成する場合、焼結金属製の軸受スリーブを一体成形することができず、部品点数が増えると共に、これらを組み付ける工程を要し、コスト高を招く。また、ラジアル軸受面(ラジアル軸受隙間を形成する面)とシール面(シール空間を形成する面)とがそれぞれ別個の部品に形成されることにより、各部品の組立誤差によって軸受剛性やシール性能等にバラつきが生じる恐れがある。
本発明の解決すべき課題は、焼結金属製の軸受スリーブの内径側及び外径側にシール空間が形成される流体動圧軸受装置において、流体漏れを確実に防止すると共に、製造コストを低減し、且つ、製品ごとの品質のバラつきを抑えることにある。
前記課題を解決するために、本発明は、軸部材と、内周に軸部材が挿入され、焼結金属で一体成形された軸受スリーブと、内周面に軸受スリーブが固定された有底筒状のハウジングと、軸部材の外周面と軸受スリーブの内周面との間のラジアル軸受隙間の潤滑流体に生じる動圧作用で軸部材を相対回転自在に支持するラジアル軸受部と、軸受スリーブの内周面と軸部材の外周面との間に形成され、潤滑流体の漏れ出しを防止する内径側シール空間と、軸受スリーブの外周面とハウジングの内周面との間に形成され、潤滑流体の漏れ出しを防止する外径側シール空間とを備えた流体動圧軸受装置において、軸受スリーブのハウジング開口側の端面に、内径側シール空間と外径側シール空間とを連通する連通溝を形成したことを特徴とするものである。
このように、本発明の流体動圧軸受装置では、軸受スリーブの端面に形成した連通溝により、内径側シール空間と外径側シール空間とを連通する。これにより、例えば焼結金属の内部空孔を介して両シール空間を連通する場合と比べ、潤滑流体の流量を十分に確保することができる。また、軸受スリーブに径方向の貫通孔を形成する場合のように、軸受スリーブを複数の部品で構成する必要がないため、軸受スリーブを一体成形することができ、部品点数や組立工数を削減できると共に、複数部品の組立誤差による軸受性能のバラつきを回避できる。
このような連通溝は、例えばその溝幅や表面粗さ等を適宜設定することで、潤滑流体の表面張力により内部に潤滑流体を保持することができる。
軸部材が回転すると、内径側シール空間の内部に保持された潤滑流体が遠心力により連通溝を介して外径側シール空間に流動し、外径側シール空間から潤滑流体が溢れて流体漏れが生じる恐れがある。そこで、連通溝を、内径側へ向けて軸部材の相対回転方向先行側に傾斜させれば、軸部材の相対回転に伴って流動する潤滑流体が連通溝に侵入しにくくなり、外径側シール空間への潤滑流体の流入が抑えられる(図7参照)。
軸受スリーブの外周面とハウジングの内周面との間に、軸受スリーブとハウジングの底部側との間の空間(以下、ハウジング底部側の空間)と外径側シール空間とを連通する軸方向の連通路を形成すれば、ハウジング底部側の空間における局部的な負圧や過圧の発生を防止し、軸受内部の潤滑流体の圧力バランスを保つことができる。特に、軸受内部の潤滑流体を強制的に循環させる循環手段を設ければ、軸受内部の潤滑流体の圧力バランスをより均一にすることができる。
軸受スリーブのハウジング開口側の端面に封孔処理を施すことにより、軸受スリーブの内部空孔に含浸された潤滑流体がハウジング開口側の端面の表面開口部から滲み出して外部に漏れ出すことを防止できる。特に、軸受スリーブの表面全面に封孔処理を施せば、軸受スリーブの内部空孔に侵入する潤滑流体の量が低減され、軸受内部の潤滑流体の総量が減じられるため、シール空間の容積を縮小することが可能となり、装置の小型化やラジアル軸受スパンの拡大を図ることができる。
この封孔処理は、例えば、軸受スリーブの表面開口部に封孔剤を含浸させることにより行うことができる。この場合、上記特許文献2に示されているように、軸受スリーブに貫通孔が形成されていると、貫通孔の開口端部に封孔剤が表面張力でとどまり、この状態で封孔剤が固化することで、貫通孔の開口端部が封止される恐れがある。これに対し、上記のような連通溝は、軸受スリーブの端面に全長にわたって開口しているため封孔剤で封止される恐れはなく、潤滑流体の流通機能を確保することができる。
封孔処理を行う封孔剤としては、例えば撥油剤を用いることができる。
封孔処理により軸受スリーブの空孔率を小さくすれば、具体的には空孔率を5%以下とすれば、軸受スリーブの内部に含浸される潤滑流体の量が低減され、シール空間の容積を縮小することができる。尚、「空孔率」とは、軸受スリーブの表面に連通した内部空孔の容積を、軸受スリーブ全体の体積に対する比率で表した値である。すなわち空孔率は、軸受スリーブの内部に含浸可能な潤滑流体の量を間接的に示している。
外径側シール空間は、内径側シール空間のようにラジアル軸受隙間と軸方向に並べて配置されていないので、ラジアル軸受スパンを縮小することなく、その軸方向寸法を拡大することができる。従って、例えば外径側シール空間のハウジング開口側に、潤滑流体の体積変化を吸収するためのバッファ空間をさらに設ければ、流体漏れ防止機能がより一層高められる。
以上のように、本発明によれば、軸受スリーブに内径側シール空間と外径側シール空間とを連通する連通溝を形成することにより、軸部材の回転開始直後であってもシール空間内における潤滑流体の気液界面の位置(油面高さ)を早期に安定させ、流体漏れの恐れを確実に防止することができる。また、軸受スリーブを一体成形することで、製造コストを低減できると共に、製品ごとの品質のバラつきを抑えることができる。
流体動圧軸受装置を組み込んだスピンドルモータの断面図である。 流体動圧軸受装置の断面図である。 軸受スリーブの軸方向断面図である。 軸受スリーブの下面図である。 軸受スリーブの上面図である。 図5のA方向から見た軸受スリーブの拡大側面図である。 他の実施形態に係る軸受スリーブの上面図である。 他の実施形態に係る流体動圧軸受装置の拡大断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る流体動圧軸受装置1を組み込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を示している。このスピンドルモータは、軸部材2を回転自在に非接触支持する流体動圧軸受装置1と、軸部材2に装着されたディスクハブ3と、流体動圧軸受装置1が取り付けられたブラケット6と、半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5とを備えている。ステータコイル4はブラケット6に取り付けられ、ロータマグネット5はディスクハブ3に取り付けられる。ディスクハブ3には、磁気ディスク等のディスクDが所定の枚数(図示例では2枚)保持される。ステータコイル4に通電すると、ステータコイル4とロータマグネット5との間の電磁力でロータマグネット5が回転し、これによりディスクハブ3、ディスクD、および軸部材2が一体となって回転する。
流体動圧軸受装置1は、図2に示すように、軸部材2と、内周に軸部材2を挿入した軸受スリーブ8と、内周面7a1に軸受スリーブ8が固定された有底筒状のハウジング7とで構成される。尚、説明の便宜上、軸方向でハウジング7が開口している側を上側、閉塞されている側を下側として説明を進める。
軸部材2は、ステンレス鋼等の金属材料で形成され、軸部2aと、軸部2aの下端に設けられたフランジ部2bとを備えている。軸部2aの外周面2a1には、他の部分よりも若干小径な逃げ部2a2が形成される。軸部材2は、全体を金属で形成する他、例えばフランジ部2bの全体あるいはその一部(例えば両端面)を樹脂で構成することにより、金属と樹脂のハイブリッド構造とすることもできる。
軸受スリーブ8は、金属粉末の圧縮成形体を焼結して得られる焼結金属で一体成形される。本実施形態の軸受スリーブ8は略円筒状に形成され、内周に軸部材2の軸部2aが挿入される。軸受スリーブ8の焼結金属の焼結材料には、例えば銅系金属粉末、鉄系金属粉末、銅及び鉄系合金粉末、あるいはこれらの混合金属粉末が使用され、例えば銅粉末及びステンレス鋼(SUS鋼)粉末を含む混合金属粉末が使用される。
軸受スリーブ8の内周面8aには、ラジアル軸受隙間の流体膜に動圧作用を積極的に発生させるラジアル動圧発生部(図2に波線で示す)が形成される。本実施形態では、図3に示すように、ラジアル動圧発生部としてヘリングボーン形状の動圧溝8a1,8a2が軸方向に離隔した2箇所の領域に形成される。本実施形態では、上側の動圧溝8a1は、軸方向非対称に形成され、具体的には、上側の動圧溝8a1のうち、ヘリングボーンの背骨部分(クロスハッチングで示す丘部の環状部分)より上側領域の軸方向寸法X1が、下側領域の軸方向寸法X2よりも大きくなるように形成されている。一方、下側の動圧溝8a2は軸方向対称に形成されている。
軸受スリーブ8の下側端面8cには、スラスト動圧発生部(図2に波線で示す)として、例えば図4に示すようなスパイラル形状の動圧溝8c1が形成される。この動圧溝8c1は、軸部材2の相対回転に伴って潤滑油を外径側から内径側に向けて押し込む、いわゆるポンプインタイプである。
軸受スリーブ8の上部(具体的には、上側の動圧溝8a1形成領域よりも上方)には、図3に示すように、シール部8eが一体に設けられる。シール部8eの内周面8e1は上方へ向けて拡径したテーパ状に形成され、シール部8eの外周面8e2は上方へ向けて縮径したテーパ状に形成される。
シール部8eの上側端面(すなわち軸受スリーブ8の上側端面8b)には、図5に示すように、内周面8e1から外周面8e2に至る連通溝8fが形成される。本実施形態では、径方向に延びた3本の連通溝8fが円周方向等間隔に配されている。連通溝8fは、図6に示すように、上方に向けて溝幅が若干広がった形状をなしている。連通溝8fの溝底位置は、図3に示すように、シール部8eのテーパ状内周面8e1及びテーパ状外周面8e2の下端部と同じ高さに設けられる。
軸受スリーブ8の外周面8dには、所定の本数の軸方向溝8d1が形成され、本実施形態では図3〜図5に示すように、円周方向等間隔に配された3本の軸方向溝8d1が形成される。軸方向溝8d1は、シール部8eのテーパ状外周面8e2から下側端面8cの外周チャンファに至るまで延び、その上端部は連通溝8fの外径端部につながっている(図5及び図6参照)。
軸受スリーブ8は、金属粉末を圧縮成形した後、所定の焼結温度で焼結し、この焼結体を所定の形状にサイジングすることにより形成される。サイジング工程では、焼結体を金型で圧迫することにより行われ、この圧迫力により所定の寸法精度に成形されると同時に、軸受スリーブ8の内周面8aの動圧溝8a1,8a2、下側端面8cの動圧溝8c1、及び、上側端面8bの連通溝8fが形成される。
軸受スリーブ8の表面のうち、少なくとも上側端面8bには封孔処理が施される。本実施形態では、軸受スリーブ8の全面の表面開口に封孔剤(例えば撥油剤)を含浸・硬化させることにより封孔処理が行われ、これにより軸受スリーブ8の空効率は5%以下とされる。封孔剤の含浸は適宜の方法で行われ、例えば軸受スリーブ8の全面に封孔剤を塗布することにより、あるいは、封孔剤を満たした容器の中に軸受スリーブ8を浸漬することにより行われる。
ハウジング7は、図2に示すように、側部7a及び底部7bとからなる有底円筒状を成し、例えば樹脂で一体成形される。ハウジング7の側部7aの内周面7a1には、軸受スリーブ8の外周面8dが、隙間接着、圧入、圧入接着(接着剤介在下の圧入)等の適宜の手段により固定され、本実施形態では圧入接着により固定される。ハウジング7の底部7bの上側端面7b1には、スラスト動圧発生部(図2に波線で示す)として、例えばスパイラル形状の動圧溝が形成される(図示省略)。尚、ハウジング7の材料は樹脂に限らず、例えば金属で形成してもよい。また、ハウジング7は一体成形に限らず、例えば側部7aと底部7bとを別体に形成した後、両部材を固定することで形成してもよい。
流体動圧軸受装置1を組み立てた状態では、図2に示すように、軸受スリーブ8のシール部8eの内周面8e1と軸部材2の軸部2aの外周面2a1との間に、下方へ向けて径方向寸法を徐々に小さくした断面楔形状の環状の内径側シール空間S1が形成される。また、シール部8eの外周面8e2とハウジング7の内周面7a1との間に、下方へ向けて径方向寸法を徐々に小さくした断面楔形状の環状の外径側シール空間S2が形成される。そして、これらの内径側シール空間S1と外径側シール空間S2とが、連通溝8fにより連通される。軸受内部の空間は潤滑流体としての潤滑油で満たされ、油面が内径側シール空間S1及び外径側シール空間S2の内部に保持される。各シール空間S1,S2内に保持された潤滑油は、各シール空間S1,S2の毛細管力により軸受内部側に引き込まれ、この引き込み力により潤滑油の外部への漏れ出しが防止される。このとき、軸受スリーブ8の上側端面8bに形成された連通溝8fの内部にも潤滑油が保持され、連通溝8f内の油面高さは両シール空間S1,S2内の油面の高さと一致している。連通溝8f内の潤滑油は、その表面張力により連通溝8fから外部(上方)に漏れ出すことなく保持されている。両シール空間S1,S2は、軸受内部に満たされた潤滑油の体積変化を吸収可能な容積に設定される。
軸部材2が回転すると、軸受スリーブ8の内周面8aと軸部材2の外周面2a1との間にラジアル軸受隙間が形成される。そして、ラジアル動圧発生部(軸受スリーブ8の内周面8aの動圧溝8a1,8a2、図3参照)により、ラジアル軸受隙間に形成された流体膜(油膜)の圧力が高められ、この動圧作用により、軸部材2の軸部2aをラジアル方向に回転自在に非接触支持するラジアル軸受部R1,R2が構成される(図2参照)。
これと同時に、軸受スリーブ8の下側端面8cと軸部材2のフランジ部2bの上側端面2b1との間、及びハウジング7の底部7bの上側端面7b1と軸部材2のフランジ部2bの下側端面2b2との間にそれぞれスラスト軸受隙間が形成される。そして、スラスト動圧発生部(軸受スリーブ8の下側端面8cの動圧溝8c1(図4参照)、及び、ハウジング底部7bの上側端面7b1の動圧溝)により、各スラスト軸受隙間に形成された流体膜(油膜)の圧力が高められ、この動圧作用により、軸部材2のフランジ部2bを両スラスト方向に回転自在に非接触支持する第1スラスト軸受部T1及び第2スラスト軸受部T2が構成される(図2参照)。
軸部材2の回転開始直後は、軸受内部の潤滑油が静止状態から急に動き出すため、内径側シール空間S1及び外径側シール空間S2内の油面高さが不安定になりやすい。この場合でも、連通溝8fを介して両シール空間S1,S2が連通することにより油がスムーズに移動・循環するため、両シール空間S1,S2内の油面高さを早期に安定させることができ、油面をシール空間S1,S2内に保持して油漏れを確実に防止できる。
この流体動圧軸受装置1には、外径側シール空間S2と、軸受内部のハウジング底部7b側の空間(具体的には、軸受スリーブ8の下側端面8cとハウジング7の内周面7a1との間の空間)とを連通する連通路が設けられる。本実施形態では、軸受スリーブ8の軸方向溝8d1とハウジング7の内周面7a1とで連通路が形成される。このように、圧力バランスの崩れ易いハウジング底部側の閉塞された空間を外径側シール空間S2と連通することで、軸受内部の空間全体で油を移動・循環させることができるため、軸受内部の圧力バランスを適正に保つことができる。
さらに、上記構成の流体動圧軸受装置1には、軸受内部の潤滑油を強制的に循環させる循環手段が設けられる。本実施形態では、軸受スリーブ8の内周面8aに形成された上側の動圧溝8a1が軸方向非対称に形成し、且つ、フランジとシャフトの境界部が面する空間におけるラジアル軸受部からの油押し込み量を、スラスト軸受部からの油押し込み量より多くすることにより、上記循環手段が構成される。すなわち、軸部材2が回転すると、動圧溝8a1によりラジアル軸受隙間の潤滑油が下方に押し込まれ、軸受内部の潤滑油がラジアル軸受隙間→第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間→軸方向溝8d1→外径側シール空間S2→連通溝8f→内径側シール空間S1→ラジアル軸受隙間という経路を循環する(図2の矢印参照)。このように、軸受内部の潤滑油を循環させることで、軸受内部の圧力バランスを崩す油の流れを防止できるため、軸部材の支持が不安定となって軸受装置の運転状態が崩れる事態をより確実に防止できる。尚、潤滑油の循環方向は任意であり、上記と逆方向であってもよい。
このとき、連通溝8f内の潤滑油が不足した状態となれば、上記のように潤滑油を循環させる際、潤滑油に空気が巻き込まれる恐れがある。従って、連通溝8fの内部(溝底)には常に潤滑油が存在するように、溝深さ等を設定する必要がある。このため、連通溝8fの溝底は、内径側シール空間S1及び外径側シール空間S2の下端部付近に設けることが好ましく、本実施形態では、上述のように、連通溝8fの溝底と、両シール空間S1,S2の下端部(シール部8eのテーパ状内周面8e1及びテーパ状外周面8e2の下端部)とが同じ高さに設けられる(図2参照)。
本発明は上記の実施形態に限られない。以下、本発明の他の実施形態について説明するが、上記の実施形態と同一の構成及び機能を有する箇所には同一の符号を付して説明を省略する。
上記の実施形態では、連通溝8fが径方向に沿って形成された場合を示しているが、これに限られない。例えば図7に示す連通溝18fは、軸受スリーブ8の外径側から内径側へ向けて、軸部材2の相対回転方向先行側(図7の矢印参照)に傾斜している。これにより、以下に示すような効果を得ることができる。すなわち、図5に示すように連通溝8fが径方向に延びていると、軸部材2の回転に伴う遠心力により、内径側シール空間S1内に保持された潤滑油が連通溝8fを介して外径側に流動し、外径側シール空間S2に流入する場合がある。特に、図2の矢印で示す方向に軸受内部の潤滑油を循環させる場合、遠心力により連通溝8fを介して外径側に流動しようとする潤滑油が、軸受内部の潤滑油の循環方向に対して逆流し、外径側シール空間S2に潤滑油が集中して油漏れが生じる恐れがある。そこで、図7に示すように連通溝18fを傾斜させれば、軸部材2の回転に伴って連通溝18fに潤滑油が侵入しにくくなり、連通溝18fを介して潤滑油が外径側へ流動する事態を防止でき、外径側シール空間S2からの油漏れをより確実に防止できる。
図8に示す実施形態は、外径側シール空間S2の上方にさらにバッファ空間Bを形成した点が、上記の実施形態と異なる。具体的には、軸受スリーブ8のシール部8eの外周面8e2に、テーパ面8e21と、テーパ面8e21の上方に形成した円筒面8e22とを設けることにより、楔形状の外径側シール空間S2の上方に、円筒面8e22とハウジング内周面7a1とで形成された円筒状のバッファ空間Bが設けられる。このように、シール空間S1,S2によるバッファ機能に加えて、さらにバッファ空間Bを形成することで、軸受内部の油漏れをより一層確実に防止できる。また、バッファ空間Bを、ラジアル軸受スパンに影響しない外径側シール空間S2の上方に設けることで、軸受剛性を維持しながらシール機能を高めることができる。このとき、外径側シール空間S2の下端部は内径側シール空間S1よりも下方に位置しており、油面が安定した状態において、外径側シール空間S2内の油面高さが内径側シール空間S1内の油面高さよりも下方に位置し、連通溝8f内には両シール空間S1,S2内の油面を連続する油面が形成される。
以上の実施形態では、軸受スリーブ8のシール部8eの内周面8e1あるいは外周面8e2をテーパ面状に形成することで、楔形状のシール空間S1,S2を構成しているが、これとは逆に、これらの面と対向する面、すなわち軸部材2の外周面2a1や、ハウジング7の内周面7a1をテーパ面状に形成してもよい。あるいは、シール空間S1,S2を介して対向する面の双方をテーパ面状に形成してもよい。
また、上記の実施形態では、軸受スリーブ8やハウジング7にヘリングボーン形状やスパイラル形状の動圧溝からなる動圧発生部が形成されているが、これに限らず、他の形状の動圧溝を形成したり、軸受スリーブ8の内周面8aを複数の円弧を組み合わせた多円弧形状とすることにより、動圧発生部を構成してもよい。あるいは、軸受スリーブ8やハウジング7に動圧発生部を形成する替わりに、これらと軸受隙間を介して対向する部材(すなわち軸部材2の軸部2a及びフランジ部2b)に動圧発生部を形成してもよい。さらには、軸受スリーブ8の内周面8a及び軸部材2の軸部2aの外周面2a1の双方を円筒面状とした、いわゆる真円軸受を構成してもよい。この場合、動圧作用を積極的に発生させる動圧発生部は形成されないが、軸部2aの僅かな振れ回りにより動圧作用が発生する。
また、上記の実施形態では、本発明に係る流体動圧軸受装置を情報機器用スピンドルモータに組み込んだ例を示しているが、これに限らず、他のディスク駆動装置のスピンドルモータや、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、あるいはプロジェクタのカラーホイールモータ等に適用することもできる。
1 流体動圧軸受装置
2 軸部材
7 ハウジング
8 軸受スリーブ
8b 上側端面(ハウジング開口側の端面)
8e シール部
8f 連通溝
R1,R2 ラジアル軸受部
T1,T2 スラスト軸受部
S1 内径側シール空間
S2 外径側シール空間
B バッファ空間
D ディスク

Claims (11)

  1. 軸部材と、内周に軸部材が挿入され、焼結金属で一体成形された軸受スリーブと、内周面に軸受スリーブが固定された有底筒状のハウジングと、軸部材の外周面と軸受スリーブの内周面との間のラジアル軸受隙間の潤滑流体に生じる動圧作用で軸部材を相対回転自在に支持するラジアル軸受部と、軸受スリーブの内周面と軸部材の外周面との間に形成され、潤滑流体の漏れ出しを防止する内径側シール空間と、軸受スリーブの外周面とハウジングの内周面との間に形成され、潤滑流体の漏れ出しを防止する外径側シール空間とを備えた流体動圧軸受装置において、
    軸受スリーブのハウジング開口側の端面に、内径側シール空間と外径側シール空間とを連通する連通溝を形成したことを特徴とする流体動圧軸受装置。
  2. 前記連通溝からの潤滑流体の漏れ出しを、潤滑流体の表面張力により防止する請求項1に記載の流体動圧軸受装置。
  3. 前記連通溝を、内径側へ向けて軸部材の相対回転方向先行側に傾斜させた請求項1又は2に記載の流体動圧軸受装置。
  4. 軸受スリーブの外周面とハウジングの内周面との間に、軸受スリーブとハウジングの底部側との間の空間と外径側シール空間とを連通する軸方向の連通路を形成した請求項1〜3の何れかに記載の流体動圧軸受装置。
  5. 軸受内部の潤滑流体を強制的に循環させる循環手段を設けた請求項4記載の流体動圧軸受装置。
  6. 軸受スリーブの少なくともハウジング開口側の端面に封孔処理を施した請求項1〜5の何れかに記載の流体動圧軸受装置。
  7. 軸受スリーブの表面全面に封孔処理を施した請求項6に記載の流体動圧軸受装置。
  8. 軸受スリーブの表面開口部に封孔剤を含浸させることにより封孔処理を施す請求項6又は7に記載の流体動圧軸受装置。
  9. 封孔剤が撥油剤である請求項8記載の流体動圧軸受装置。
  10. 封孔処理により、軸受スリーブの表面開口率を5%以下とした請求項6〜9の何れかに記載の流体動圧軸受装置。
  11. 外径側シール空間のハウジング開口側に、さらにバッファ空間を設けた請求項1〜10の何れかに記載の流体動圧軸受装置。
JP2009266465A 2009-11-24 2009-11-24 流体動圧軸受装置 Pending JP2011112075A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009266465A JP2011112075A (ja) 2009-11-24 2009-11-24 流体動圧軸受装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009266465A JP2011112075A (ja) 2009-11-24 2009-11-24 流体動圧軸受装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2011112075A true JP2011112075A (ja) 2011-06-09

Family

ID=44234574

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009266465A Pending JP2011112075A (ja) 2009-11-24 2009-11-24 流体動圧軸受装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2011112075A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111927635A (zh) * 2020-08-20 2020-11-13 中国科学院工程热物理研究所 一种带有斜纹动压槽的石墨密封结构

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111927635A (zh) * 2020-08-20 2020-11-13 中国科学院工程热物理研究所 一种带有斜纹动压槽的石墨密封结构
CN111927635B (zh) * 2020-08-20 2022-03-29 中国科学院工程热物理研究所 一种带有斜纹动压槽的石墨密封结构

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR20080013863A (ko) 동압 베어링 장치
JP5306747B2 (ja) 流体軸受装置
JP2008138713A (ja) 流体軸受装置およびその製造方法
WO2011145426A1 (ja) 軸受部材及びこれを用いた流体動圧軸受装置
JP2007024267A (ja) 流体軸受装置およびこれを備えたモータ
JP2008267531A (ja) 動圧軸受装置の製造方法
JP6422755B2 (ja) 流体動圧軸受装置およびこれを備えるモータ
JP4360482B2 (ja) 動圧軸受装置
JP2007024089A (ja) 動圧軸受装置およびモータ
JP4657734B2 (ja) 動圧軸受装置
JP2010106994A (ja) 流体軸受装置
JP2006112614A (ja) 動圧軸受装置
JP2011112075A (ja) 流体動圧軸受装置
JP5726687B2 (ja) 流体動圧軸受装置
JP4309642B2 (ja) 動圧軸受装置及びその製造方法
JP2009228873A (ja) 流体軸受装置
JP2006329391A (ja) 動圧軸受装置
JP5687104B2 (ja) 軸流ファンモータ
JP5784777B2 (ja) 流体動圧軸受装置
JP2011007336A (ja) 動圧軸受装置およびモータ
JP2007040527A (ja) 流体軸受装置
JP5101122B2 (ja) 動圧軸受装置
JP6981900B2 (ja) 流体動圧軸受装置およびこれを備えるモータ
JP2011247281A (ja) 軸受部材及びこれを用いた流体動圧軸受装置
JP5602535B2 (ja) 流体動圧軸受装置