JP2011247281A - 軸受部材及びこれを用いた流体動圧軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】軸受部材の中逃げ部が面する中逃げ空間における負圧の発生を低コストに防止する。
【解決手段】中逃げ部Eを有する軸受部材(軸受スリーブ8)を焼結金属で形成することで、焼結金属の内部空孔に潤滑油を含浸保持することができる。従って、中逃げ空間E0の潤滑油がラジアル軸受隙間側に引き込まれて中逃げ空間E0における潤滑油の圧力が低下すると、軸受スリーブ8の内部空孔に含浸された潤滑油が中逃げ部Eの表面開孔から中逃げ空間E0に供給され、負圧の発生を防止できる。
【選択図】図7

Description

本発明は、軸受部材の内周面と軸部材の外周面との間のラジアル軸受隙間の潤滑油の動圧作用により、軸部材を相対回転自在に支持する流体軸受装置、及びこれに用いられる軸受部材に関する。
流体動圧軸受装置は、その高回転精度および静粛性から、各種ディスク駆動装置(例えばHDDの磁気ディスク駆動装置や、CD−ROM等の光ディスク駆動装置等)のスピンドルモータ用、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ用、プロジェクタのカラーホイールモータ用、又は電気機器の冷却等に使用されるファンモータなどの小型モータ用として好適に使用されている。
例えば特許文献1に示されている流体動圧軸受装置は、ステンレス鋼で形成された軸受部材を備え、軸受部材の内周面の軸方向に離隔した2箇所にラジアル軸受面(動圧溝形成領域)が形成され、軸受部材の端面にスラスト軸受面(動圧溝形成領域)が形成される。2箇所のラジアル軸受面の軸方向間には、ラジアル軸受面よりも僅かに大径な中逃げ部が設けられる。
特開2007−46665号公報
ラジアル軸受面の動圧溝は、動圧溝の軸方向両端部の潤滑油を動圧溝の軸方向中心部に引き込むことにより、ラジアル軸受面における潤滑油の圧力を高める。このため、中逃げ部が面する空間(以下、中逃げ空間)では、中逃げ部の軸方向両側に設けられたラジアル軸受面側に潤滑油が引っ張られるため、負圧が生じやすい。潤滑油に負圧が生じると、潤滑油内に溶け込んだ空気が気泡化して現れ、流体動圧軸受装置の回転精度や耐久性、信頼性に悪影響を与える恐れがある。
例えば上記特許文献1に示されている流体動圧軸受装置では、ラジアル軸受面の動圧溝を軸方向で非対称形状に形成し、中逃げ空間に潤滑油を強制的に送り込むことにより、中逃げ空間における負圧の発生を防止している。しかし、このように動圧溝の形状を軸方向非対称形状とすると、動圧溝の軸方向中心部に潤滑油を引き込むポンピング効果が必然的に弱まり、軸受の剛性が低下する。
本発明の解決すべき課題は、軸受部材の中逃げ部が面する中逃げ空間における負圧の発生を防止することにある。また、本発明の解決すべき課題は、動圧溝のポンピング効果の低下による軸受剛性の低下を回避することにある。
前記課題を解決するために、本発明は、焼結金属で形成された軸受部材であって、内周面のうち、軸方向に離隔した2箇所に設けられたラジアル軸受面と、2箇所のラジアル軸受面にそれぞれ形成され、ラジアル軸受面が接触する潤滑油に動圧作用を発生させるラジアル動圧発生部と、少なくとも一方の端面に設けられたスラスト軸受面と、スラスト軸受面に形成され、スラスト軸受面が接触する潤滑油に動圧作用を発生させるスラスト動圧発生部と、2箇所のラジアル軸受面の軸方向間に設けられ、ラジアル軸受面より大径な中逃げ部とを備えた軸受部材を提供する。
このように、中逃げ部を有する軸受部材を焼結金属で形成することで、焼結金属の内部空孔に潤滑油を含浸保持することができる。従って、中逃げ空間の潤滑油がラジアル軸受面側に引き込まれて中逃げ空間の油圧が低下すると、軸受部材の内部空孔に含浸された潤滑油が中逃げ部の表面開孔から引き出されて中逃げ空間に供給されるため、中逃げ部における負圧の発生を防止することができる。
上記の軸受部材に、焼結金属の密度が相対的に高い(内部空孔が少ない)高密度部と、焼結金属の密度が相対的に低い(内部空孔が多い)低密度部とを設けると、低密度部に含浸される油量が高密度部に含浸される油量よりも多くなる。従って、高密度部の内周面にラジアル軸受面を形成すると共に、相対的に多くの潤滑油を含浸した低密度部の内周面に中逃げ部を形成すれば、中逃げ空間に供給される油量を増やすことができる。
例えば、軸受部材の外周面の一部領域を内径向きに圧迫して、軸受部材の内周面を成形型に押し付けることにより、軸受部材の内周面にラジアル動圧発生部を形成すれば、軸受部材のラジアル軸受面が径方向に圧迫されるため、この領域が高密度部となる。
上記の軸受部材では、内部空孔に含浸した潤滑油を、中逃げ部から中逃げ空間に潤沢に供給できるため、ラジアル動圧発生部を軸方向非対称形状としなくても、中逃げ空間における負圧の発生を防止できる。従って、ラジアル動圧発生部を軸方向対称な形状とすることができ、軸受部材の設計の自由度が向上するとともに、ポンピング効果が最大となる仕様とすることで、軸受剛性を高めることが可能となる。
スラスト動圧発生部を、スラスト軸受隙間の潤滑油を外径側から内径側に引き込むものとすれば、ラジアル軸受隙間を介して中逃げ空間に潤滑油をより積極的に送り込むことができる。
軸受部材の外周面に軸方向溝を形成すれば、この軸方向溝を介して潤滑油を連通させて、潤滑油の圧力バランスを保つことができる。
上記のような軸受部材は、軸受部材の内周に挿入され、軸部及びフランジ部を有する軸部材とを備え、軸受部材のラジアル軸受面と軸部の外周面との間にラジアル軸受隙間が形成されると共に、軸受部材のスラスト軸受面とフランジ部の端面との間にスラスト軸受隙間が形成される流体動圧軸受装置に組み込むことができる。
この流体動圧軸受装置において、軸受部材の外周面に、ハウジングの内周面に固定される大径外周面と、ハウジングの内周面との間に径方向隙間を形成する小径外周面とを設け、径方向隙間をラジアル軸受隙間と連通すれば、ラジアル軸受隙間の潤滑油を径方向隙間に流入させ、軸受部材の外周面から内部空孔に潤滑油を侵入させることができる。このとき、軸受部材の大径外周面側の端面にスラスト軸受面を形成すれば、スラスト軸受面の面積をより大きくすることができるため、スラスト方向の支持力が高められる。
また、この場合、小径外周面から多くの潤滑油が侵入してしまうと、潤滑油が中逃げ部まで到達せず、中逃げ空間に十分な量の潤滑油を供給することができない恐れがある。そこで、軸受部材に高密度部と低密度部とを設け、高密度部の外周面に小径外周面を形成し、低密度部の外周面に大径外周面を形成すれば、小径外周面からの潤滑油の侵入を抑えることができるため、中逃げ空間に十分な量の潤滑油を確実に供給することができる。
また、小径外周面の軸方向位置を中逃げ部の軸方向範囲まで延ばせば、小径外周面とハウジングの内周面と間の径方向隙間を介して、より中逃げ部に近接した領域まで潤滑油を流入させることができるため、中逃げ空間への潤滑油の供給をさらに促すことができる。
この流体動圧軸受装置では、軸受部材に中逃げ部が形成されているため、トルク低減対策として軸側にヌスミ部を設ける必要は無く、軸部の外周面を平滑な円筒面形状とすることができるため、軸部材の形状が簡略化されて製造コストを低減できる。特に、別体に形成した軸部及びフランジ部を接合して軸部材を形成すれば、軸部を完全にストレートな軸状に形成することができるため、軸部の製造がより一層簡略化され、製造コストを低減できると共に、外周面の寸法精度を高めることができる。
以上のように、本発明によれば、中逃げ部を有する軸受部材を焼結金属で形成することで、中逃げ空間における負圧の発生を防止することができる。これにより、ラジアル動圧発生部をポンピング効果が最大となる仕様とすることができ、軸受剛性を高めることができる。
スピンドルモータの断面図である。 流体動圧軸受装置の断面図である。 軸受スリーブの断面図である。 軸受スリーブの下面図である。 圧粉体の断面図である。 軸受スリーブのサイジング工程を示す断面図である。 軸受スリーブの内部空孔を介した潤滑油の循環を示す断面図である。 他の実施形態に係る軸受スリーブの断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、例えば2.5インチHDDのディスク駆動装置に用いられるスピンドルモータを示し、軸部材2を回転自在に非接触支持する流体動圧軸受装置1と、軸部材2に装着されたディスクハブ3と、流体動圧軸受装置1が取り付けられたブラケット6と、半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5とを備えている。ステータコイル4はブラケット6に取り付けられ、ロータマグネット5はディスクハブ3に取り付けられる。ディスクハブ3には、磁気ディスク等のディスクDが所定の枚数(図示例では2枚)保持される。ステータコイル4に通電すると、ステータコイル4とロータマグネット5との間の電磁力でロータマグネット5が相対回転し、これによりディスクハブ3、ディスクD、および軸部材2が一体となって回転する。
流体動圧軸受装置1は、図2に示すように、軸部材2と、内周に軸部材2を挿入した軸受部材(軸受スリーブ8)と、内周面に軸受スリーブ8が固定され、軸方向両側を開口したハウジング7と、ハウジング7の軸方向一方の開口部をシールするシール部9と、ハウジング7の軸方向他方の開口部を閉塞する蓋部材10とを備える。本実施形態では、ハウジング7とシール部9とが一体成形されている。尚、以下では、便宜上、軸方向でシール部9側を上側、蓋部材10側を下側として説明を進める。
軸部材2は、軸部2aと、軸部2aの下端に設けられたフランジ部2bとからなる。軸部2aはストレートな中実の軸状に形成され、その外周面2a1は平滑な円筒面状に形成される。フランジ部2bは、軸部2aの下端部から外径に突出した円盤形状をなし、その両端面は平坦面状に形成される。本実施形態では、軸部2a及びフランジ部2bがステンレス鋼等で別体に形成された後、両者を溶接等により接合して一体化されることで軸部材2が形成される。
軸受スリーブ8は略円筒形状を成し、本実施形態では多孔質体、例えば焼結金属、特に銅あるいは銅及び鉄系金属を主成分とする焼結金属で形成される。
軸受スリーブ8の内周面8aには、軸方向に離隔した2箇所の領域に設けられたラジアル軸受面A1,A2と、これらの軸方向間に設けられ、ラジアル軸受面A1,A2よりも大径な中逃げ部Eとが設けられる。ラジアル軸受面A1,A2はラジアル軸受隙間に面し、中逃げ部Eは中逃げ空間E0に面する。ラジアル軸受面A1,A2には、それぞれラジアル動圧発生部が形成され、本実施形態では、例えば図3に示すようなヘリングボーン形状の動圧溝G1,G2がそれぞれ形成される。図示例の動圧溝G1,G2は、いずれも軸方向対称な形状となっている。
軸受スリーブ8の下側端面8bには、スラスト軸受隙間に面するスラスト軸受面Bが設けられる。スラスト軸受面Bには、図4に示すように、例えばスパイラル形状の動圧溝8b1が形成される。このスパイラル形状の動圧溝8b1は、軸部材2の相対回転に伴って潤滑油を内径側に引き込む、いわゆるポンプインタイプである。
軸受スリーブ8の外周面8dには、軸方向全長にわたって軸方向溝8d1が形成され、本実施形態では、例えば3本の軸方向溝8d1が円周方向に等配されている(図4参照)。また、軸受スリーブ8の上側端面8cには、径方向全長にわたって径方向溝8c1が形成され、本実施形態では、例えば3本の径方向溝8c1が円周方向に等配されている(図示省略)。これらの軸方向溝8d1及び径方向溝8c1により、潤滑油の連通路が形成される。
軸受スリーブ8の外周面8dのうち、上側のラジアル軸受面A1の外径側には小径外周面8d2が形成され、この小径外周面8d2の下方に大径外周面8d3が形成される。小径外周面8d2は、円筒部8d21と、円筒部8d21と大径外周面8d3とを連続するテーパ部8d22とからなる。図示例では、小径外周面8d2の下端部が、ラジアル軸受面A1(動圧溝G1形成領域)の下端部とほぼ同じ軸方向位置に配されている。
軸受スリーブ8は、軸方向に離隔した2箇所の高密度部PHと、高密度部PHの軸方向間に設けられた低密度部PLとからなる。高密度部PHの内周面にはラジアル軸受面A1,A2が形成される。上側の高密度部PHの外周面には小径外周面8d2が形成される。低密度部PLの内周面には中逃げ部Eが形成される。高密度部PHは、低密度部PLよりも焼結金属の密度が高くなっており、すなわち内部空孔率及び表面開孔率が小さくなっている。従って、例えば、軸受スリーブ8の表面開孔率や、軸方向断面における空孔率を測定することにより、高密度部PH及び低密度部PLの形成領域を確認することができる。
ここで、軸受スリーブ8の製造方法について説明する。軸受スリーブ8は、圧縮成形工程、焼結工程、及びサイジング工程を経て製造される。
まず、圧縮成形工程において金属粉末を圧縮成形して、図5に示すような圧粉体18を形成する。圧粉体18の内周面18aは平滑な円筒面状に形成される。圧粉体18の外周面18dには、軸受スリーブ8の外周面8dの外径寸法と同一径の小径外周面18d1と、小径外周面18d1の上方に設けられた大径外周面18d2と、これらの間に形成された肩面18d3とが設けられる。小径外周面18d1及び大径外周面18d2は共に円筒面状に形成される。
この圧粉体18を焼結工程で焼結することにより、焼結体28が得られる。この焼結体28をサイジング工程に移送し、所定の形状にサイジングする。サイジング工程は、図6に示すサイジング金型を用いて行なわれる。このサイジング金型は、コアロッド31と、ダイ32と、上パンチ33と、下パンチ34とを備える。尚、図6に示す焼結体28は、図3に示す軸受スリーブ8と上下反対に配置した状態であり、図6に示す焼結体28の内周面28aの下方部分に動圧溝G1が形成され、上方部分に動圧溝G2が形成される。以下では、図6に示す上下方向を用いてサイジング工程の説明を行なう(図1及び図2に示す上下方向とは逆向きとなる)。
コアロッド31の外周面には、動圧溝G1,G2(図3参照)を成形するための成形型G1’,G2’が形成されている。すなわち、図3のクロスハッチングで示す丘部と同形状の凹部により、成形型G1’,G2’が構成される。コアロッド31の外径寸法は、焼結体28の内径寸法よりも若干小さく設定される。
ダイ32の成形孔32aは、入口側(上側)に設けられた円筒部32a1と、奥部側(下側)に設けられた絞り部32a2とで構成される。円筒部32a1は、焼結体28の小径外周面28d1とほぼ同じか若しくはこれよりも僅かに大径に形成され、且つ、焼結体28の大径外周面28d2よりも小径に形成される。絞り部32a2は、奥部側に向けて縮径したテーパ部32a21と、テーパ部32a21のさらに奥部側に設けられた円筒部32a22とからなる。円筒部32a22は、焼結体28の小径外周面28d1よりも小径に形成される。
上パンチ33の下面には、軸受スリーブ8のスラスト軸受面Bの動圧溝を成形するための成形型が形成されている(図示省略)。
上記のサイジング金型を用いたサイジング工程は、以下の手順で行なわれる。まず、図6(a)に示すように、焼結体28をダイ32の成形孔32aの入口部に配置する。具体的には、焼結体28の小径外周面28d1をダイ32の成形孔32aの円筒部32a1に挿入すると共に、焼結体28の外周面28dの肩面28d3をダイ32の上側端面32bで係止した状態で配置する。そして、焼結体28の内周にコアロッド31を挿入する。このとき、コアロッド31と焼結体28との間に径方向隙間が形成される。図6(a)に示す状態で、焼結体28の大径外周面28d2の下端部は、成形型G2’の下端部とほぼ同じ軸方向位置に配されている。
この状態で、焼結体28の端面28bを上パンチ33で下向きに押圧し、焼結体28,コアロッド31,及び上パンチ33を一体的に降下させ、焼結体28の大径外周面28d2をダイ32の成形孔32aの円筒部32a1に押し込む。これにより、焼結体28の大径外周面28d2が内径向きに圧迫され、その内径側において、焼結体28の内周面28aがコアロッド31の外周面に形成された成形型G2’に押し付けられる。これにより、成形型G2’の形状が焼結体28の内周面28aに転写され、動圧溝G2が形成される。
これと同時に、焼結体28の小径外周面28d1が、ダイ32の成形孔32aの絞り部32a2に押し込まれる。これにより、焼結体28の小径外周面28d1が内径向きに圧迫され、その内径側において、焼結体28の内周面28aがコアロッド31の外周面に形成された成形型G1’に押し付けられる。これにより、成形型G1’の形状が焼結体28の内周面28aに転写され、動圧溝G1が形成される。このとき、焼結体28の外周面28dには、ダイ32の成形孔32aの絞り部32a2の形状に倣って、円筒部及びテーパ部が形成される。
そして、焼結体28の下端部が下パンチ34に当接したら、さらに上パンチ33を若干降下させ、上パンチ33と下パンチ34で焼結体28を上下から圧迫する。こうして、上パンチ33の下面の成形型を焼結体28の端面28bに押し付けることにより、端面28bに動圧溝を形成する。
その後、コアロッド31,上パンチ33,及び下パンチ34を連動して上昇させ、成形した焼結体28(軸受スリーブ8)をダイ32の成形孔32aから抜き出す(図示省略)。このとき、焼結体28の内周面28aはスプリングバックにより僅かに拡径するため、焼結体28をコアロッド31から引き抜く際に、焼結体28に形成された動圧溝G1,G2とコアロッド31の成形型G1’,G2’とが干渉することを防止できる。以上により、軸受スリーブ8が完成する。尚、軸受スリーブ8のラジアル軸受面A1,A2,及びスラスト軸受面Bには、動圧作用を高めるために回転サイジング等による封孔処理を施す場合がある。このとき、中逃げ部Eには回転サイジングによる封孔処理を施さないようにすれば、中逃げ部Eの表面開孔率が大きくなるため、中逃げ部Eを介して潤滑油をさらに供給しやすくなる。
ハウジング7は、例えば樹脂の射出成形で形成され、図2に示すように略円筒状に形成される。ハウジング7の内周面7aは円筒面状に形成され、この内周面7aに軸受スリーブ8の大径外周面8d3が接着、圧入、接着剤介在下の圧入等により固定される。また、ハウジング7の内周面7aと軸受スリーブ8の小径外周面8d2との間には径方向隙間Fが形成される。この径方向隙間Fは、軸受スリーブ8の上側端面の径方向溝8c1を介して、ラジアル軸受隙間と連通している。
シール部9は、ハウジング7の上端部に一体に設けられる。シール部9の内周面9aは、下方に向けて縮径したテーパ面状に形成され、軸部材2の軸部2aの円筒面状外周面2a1との間に、下方に向けて径方向幅を漸次縮小した楔形状のシール空間Sを形成する。このシール空間Sの毛細管力により、ハウジング7の内部に充満された潤滑油の漏れ出しを防止する。シール部9の下側端面9bは、軸受スリーブ8の上側端面8cと当接している。
ハウジング7の内周面7aの下端部には、蓋部材10が適宜の手段で固定される。蓋部材10の上側端面10aには、スラスト軸受面Cが設けられる。スラスト軸受面Cには、例えばポンプインタイプのスパイラル形状の動圧溝が形成される(図示省略)。
以上のようにして、シール部9で密封されたハウジング7の内部の空間に、軸受スリーブ8の内部空孔を含め、潤滑油を充満させることにより、図2に示す流体動圧軸受装置1が完成する。
軸部材2が回転すると、軸受スリーブ8の内周面8aのラジアル軸受面A1,A2と軸部2aの外周面2a1との間にラジアル軸受隙間が形成される。そして、ラジアル軸受面A1,A2の動圧溝G1,G2により上記ラジアル軸受隙間の潤滑油の圧力が高められ、この動圧作用により軸部材2をラジアル方向に回転自在に非接触支持するラジアル軸受部R1,R2が構成される。
これと同時に、軸受スリーブ8の下側端面8bのスラスト軸受面Bとフランジ部2bの上側端面2b1との間、及び、蓋部材10の上側端面10aのスラスト軸受面Cとフランジ部2bの下側端面2b2との間に、それぞれスラスト軸受隙間が形成される。そして、スラスト軸受面Bの動圧溝8b1及びスラスト軸受面Cの動圧溝により上記スラスト軸受隙間の潤滑油の圧力が高められ、この動圧作用により軸部材2を両スラスト方向に回転自在に非接触支持するスラスト軸受部T1,T2が構成される。
また、軸部材2が回転すると、軸受スリーブ8の中逃げ部Eと軸部2aの外周面2a1との間の中逃げ空間E0の潤滑油が、上下のラジアル軸受面A1,A2側に引き込まれる。具体的には、上下のラジアル軸受面A1,A2の動圧溝G1,G2(ヘリングボーン形状、図3参照)により、中逃げ空間E0の潤滑油が上下のラジアル軸受部R1,R2のラジアル軸受隙間に引き込まれる。このとき、軸受スリーブ8のスラスト軸受面B(下側端面8b)の動圧溝8b1をポンプインタイプとすることで、図7に点線矢印K1、K2でしめすように、軸受スリーブ8の下側から上側へ向かう潤滑油の流れが誘起される。この潤滑油は、軸受スリーブ8の上側端面8cの径方向溝8c1を通って、軸受スリーブ8の小径外周面8d2とハウジング7の内周面7aとの間の径方向隙間Fに流入する。こうして径方向隙間Fに流入した潤滑油は、軸受スリーブ8の外周面8dから軸受スリーブ8の内部空孔に侵入する。このとき、高密度部PHよりも低密度部PLの方が内部空孔が多く存在するため、径方向隙間Fの潤滑油は、主にテーパ部8d22の表面開孔や軸方向溝8d1の表面開孔から低密度部PLの内部空孔に侵入する。そして、低密度部PLの内部空孔に含浸された潤滑油が、中逃げ部Eの表面開孔から中逃げ空間E0に供給される。こうして、上側の高密度部PLの周りを周回する潤滑油の循環経路K1が形成され、これにより中逃げ空間E0に潤滑油を効率良く供給することができる。
また、径方向隙間Fに達した潤滑油の一部は、図7に点線矢印K2で示すように、外周面8dの軸方向溝8d1とハウジング7の内周面7aとで形成される連通路を通って軸受スリーブ8の下側端面8bに達する。この潤滑油が、ポンプインタイプのスパイラル形状の動圧溝8b1(図4参照)により内径側に引き込まれ、下側のラジアル軸受部R2のラジアル軸受隙間を介して、中逃げ空間E0に供給される。こうして、下側の高密度部PLの下方を回り込む潤滑油の循環経路K2が形成され、これにより中逃げ部E0に潤滑油を効率よく供給することができる。
以上のような2種類の循環経路K1,K2を介して中逃げ空間E0に潤沢な潤滑油が供給されるため、中逃げ空間E0における負圧の発生が防止できる。特に、本実施形態では、軸受スリーブ8のうち、中逃げ部E以外の表面は、高密度部PHの表面、あるいはハウジング7に固定された面であるため、これらの領域の表面開孔を介した潤滑油の流出量は比較的少ない。このため、低密度部PLに形成された中逃げ部Eから集中して潤滑油を供給することができる。また、上記のように軸受スリーブ8のスラスト軸受面B(下側端面8b)の動圧溝8b1をポンプインタイプとすることで、何らかの原因により図7に点線矢印で示す方向と逆向きの潤滑油の循環が生じた場合でも、動圧溝8b1で潤滑油を強制的に内径向きに引き込むことで、点線矢印で示す方向の循環、すなわち中逃げ空間E0に潤滑油が供給される方向の循環を確実に生じさせることができる。
本発明は上記の実施形態に限られない。以下、本発明の他の実施形態を説明するが、上記の実施形態と同様の構成・機能を有する箇所には同一の符号を付して説明を省略する。
上記の実施形態では、軸受スリーブ8の小径外周面8d2の下端部がラジアル軸受面A1の下端部とほぼ同じ軸方向位置に配した場合を示しているが、これに限らず、小径外周面8d2の下端部(すなわち、小径外周面8d2と大径外周面8d3との境界部)をラジアル軸受面A1の下端部より上方あるいは下方に設けても良い。例えば、図8に示すように、小径外周面8d2の下端部を中逃げ部Eの軸方向領域まで延ばした場合は、図7に示す場合と比べて径方向隙間Fが中逃げ部Eに近づくため、上側の循環K1が生じやすくなる。
また、以上の実施形態では、軸受スリーブ8の内周面8aにヘリングボーン形状の動圧溝からなるラジアル動圧発生部が形成されているが、これに限らず、他の形状(例えばステップ形状等)の動圧溝や、軸受スリーブ8の内周面8aを複数の円弧を組み合わせた多円弧形状とすることにより、ラジアル動圧発生部を構成してもよい。
また、以上の実施形態では、軸受スリーブ8の端面8bにスパイラル形状の動圧溝からなるスラスト動圧発生部が形成されているが、これに限らず、他の形状(例えばヘリングボーン形状やステップ形状等)の動圧溝でスラスト動圧発生部を構成しても良い。
1 流体動圧軸受装置
2 軸部材
7 ハウジング
8 軸受スリーブ(軸受部材)
9 シール部
10 蓋部材
A1,A2 ラジアル軸受面
B,C スラスト軸受面
E 中逃げ部
E0 中逃げ空間
F 径方向隙間
G1,G2 動圧溝
H 高密度部
L 低密度部
R1,R2 ラジアル軸受部
T1,T2 スラスト軸受部
S シール空間

Claims (13)

  1. 焼結金属で形成された軸受部材であって、
    内周面のうち、軸方向に離隔した2箇所に設けられたラジアル軸受面と、2箇所のラジアル軸受面にそれぞれ形成され、ラジアル軸受面が接触する潤滑油に動圧作用を発生させるラジアル動圧発生部と、少なくとも一方の端面に設けられたスラスト軸受面と、スラスト軸受面に形成され、スラスト軸受面が接触する潤滑油に動圧作用を発生させるスラスト動圧発生部と、2箇所のラジアル軸受面の軸方向間に設けられ、ラジアル軸受面より大径な中逃げ部とを備えた軸受部材。
  2. 焼結金属の密度が相対的に高い高密度部と、焼結金属の密度が相対的に低い低密度部とを有し、高密度部の内周面にラジアル軸受面が形成されると共に、低密度部の内周面に逃げ部が形成された請求項1記載の軸受部材。
  3. 軸受部材の外周面の一部領域を内径向きに圧迫して、軸受部材の内周面を成形型に押し付けることにより、ラジアル動圧発生部を形成した請求項2記載の軸受部材。
  4. ラジアル動圧発生部が軸方向対称な形状を成している請求項1〜3の何れかに記載の軸受部材。
  5. スラスト動圧発生部が、潤滑油を外径側から内径側に引き込むポンプインタイプである請求項1〜4の何れかに記載の軸受部材。
  6. 外周面に軸方向溝を形成した請求項1〜5の何れかに記載の軸受部材。
  7. 請求項1〜6の何れかに記載の軸受部材と、軸受部材の内周に挿入された軸部、及び軸部から外径向きに突出したフランジ部を有する軸部材とを備え、軸受部材のラジアル軸受面と軸部の外周面との間にラジアル軸受隙間が形成されると共に、軸受部材のスラスト軸受面とフランジ部の端面との間にスラスト軸受隙間が形成される流体動圧軸受装置。
  8. 軸受部材の外周面に、ハウジングの内周面に固定される大径外周面と、ハウジングの内周面との間に径方向隙間を形成する小径外周面とを設け、前記径方向隙間をラジアル軸受隙間と連通した請求項7記載の流体動圧軸受装置。
  9. スラスト軸受面を、軸受部材の大径外周面側の端面に形成した請求項8記載の流体動圧軸受装置。
  10. 軸受部材が、焼結金属の密度が相対的に高い高密度部と、焼結金属の密度が相対的に低い低密度部とを有し、高密度部の外周面に小径外周面が形成され、低密度部の外周面に大径外周面が形成された請求項8又は9記載の流体動圧軸受装置。
  11. 小径外周面と大径外周面との境界部が、中逃げ部の軸方向範囲内にある請求項8〜10の何れかに記載の流体動圧軸受装置。
  12. 軸部の外周面が平滑な円筒面形状である請求項7〜11の何れかに記載の流体動圧軸受装置。
  13. 別体に形成した軸部及びフランジ部を接合して軸部材を形成した請求項12記載の流体動圧軸受装置。
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