JP2007285414A - 動圧軸受装置 - Google Patents

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Atsushi Hiraide
淳 平出
Motohisa Fujiwara
幹久 藤原
Tetsuya Kurimura
栗村  哲弥
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Abstract

【課題】潤滑油に不純物が混入するのを極力避けつつ、軸部材の形状精度を高めることで、高い軸受性能を有する動圧軸受装置を低コストに提供する。
【解決手段】動圧軸受装置1は、外周面21a、21bがラジアル軸受隙間に面する軸部21と、軸部21の一端に設けられ、軸部21と反対側の端面(下端面22b)がスラスト軸受隙間と面するフランジ部22とを一体に有する軸部材2と、スラスト軸受隙間に生じる潤滑油の動圧作用で軸部材2をスラスト方向に回転自在に非接触支持するスラスト軸受部T2とを備える。フランジ部22は軸部21と一体に鍛造成形され、かつフランジ部22の鍛造で、下端面22bが全面にわたって平坦化されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、動圧軸受装置に関するものである。
動圧軸受装置は、軸受隙間に生じた流体の動圧作用で軸部材を回転自在に非接触支持する軸受装置である。この種の軸受装置は、高速回転、高回転精度、低騒音等の特徴を備えるものであり、情報機器をはじめ種々の電気機器に搭載されるモータ用の軸受装置として、より具体的にはHDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置等におけるディスクドライブのスピンドルモータ用の軸受装置として、あるいはレーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、プロジェクタのカラーホイールモータ、ファンモータなどのモータ用軸受装置として好適に使用される。
例えば、HDD等のスピンドルモータに組込まれる動圧軸受装置では、軸部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部と、軸部材をスラスト方向に支持するスラスト軸受部とが設けられる。このラジアル軸受部の軸受としては、軸受部材を構成する軸受スリーブの内周面に動圧発生用の溝(動圧溝)を設けた動圧軸受が公知であり、スラスト軸受部の軸受としては、例えば軸部材のフランジ部の両端面、あるいは、これに対向する面(軸受スリーブの端面や、ハウジングに固定される蓋部材の端面等)に動圧溝を設けた動圧軸受が公知である(例えば、特許文献1を参照)。
上述のようにフランジ部を有する軸部材は、形状精度の観点から、金属素材の旋削加工により軸部とフランジ部とを一体に形成し、その後の研削加工等により所定の精度に仕上げるのが通常である。しかしながら、この種の加工においては、回転中心となるフランジ部端面の中央部における周速度がゼロとなるため、当該中央部には未旋削部分としての突起(凸部)がどうしても残る。この凸部は、その大きさによっては、仕上げ研削以外の加工手段が必要となり、また仕上げ研削で除去できたとしても研削砥石の破損を招く恐れがあり好ましくない。
これを防ぐため、例えば図5に示すように、フランジ部122の軸部121とは反対側の端面122bにザグリ穴123を設け、端面122bから未旋削部分124が突出しないようにした構成が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。しかしながら、単にザグリ穴123を設けただけでは、以下に示す種々の問題が生じる恐れがある。
すなわち、ザグリ穴の加工により当該ザグリ穴の周縁にはバリが生じ易く、また後工程となる仕上げ研削時に生じる研削粉がザグリ穴の内部に残存し易い。これらバリや研削粉はコンタミの原因となり、潤滑油に混入することで潤滑油の劣化や軸受性能の低下など種々の不具合を生じる恐れがある。また、洗浄等によりこれらコンタミを除去するための工程が別途必要となり、作業工程の増加を招く。また、動圧軸受装置のアセンブリ時には軸部材のザグリ穴に空気が残留し易く、これが気泡となって潤滑油に混入することで、上述の不具合を生じる可能性がある。
一方で、この種の動圧軸受装置においては、軸受内部に充填された潤滑油等が外部に漏れ出すのを防ぐ目的で、あるいは軸受内部空間に充満された潤滑油の温度変化に伴う体積変化量を吸収する目的で、例えばハウジングの開口部にシール部材を配設して、軸部材の外周面との間にシール空間を形成する場合が多い(例えば、特許文献3を参照)。しかしながら、上述のようにザグリ穴を設けることでその分軸受内部空間の保油量が増大するので、バッファ機能あるいはシール機能を維持するためにシール容積の増加が避けられない。これでは、シール容積の増大に伴う動圧軸受装置の大型化を招き、動圧軸受装置の小サイズ化の要請に応じることが困難になる恐れがある。
特開2002−61641号公報 特開2002−310159号公報 特開2003−65324号公報
本発明の課題は、潤滑油に不純物が混入するのを極力避けつつ、軸部材の形状精度を高めることで、高い軸受性能を有する動圧軸受装置を低コストに提供することである。
また、本発明の別の課題は、油量増加に伴うシール容積の増大化を極力回避し得る動圧軸受装置を提供する。
前記課題を解決するため、本発明は、外周面がラジアル軸受隙間に面する軸部と、軸部の一端に設けられ、軸部と反対側の端面がスラスト軸受隙間に面するフランジ部とを一体に有する軸部材と、スラスト軸受隙間に生じる流体の動圧作用で軸部材をスラスト方向に回転自在に非接触支持するスラスト軸受部とを備えたものにおいて、フランジ部が軸部と一体に鍛造成形され、かつフランジ部の鍛造で、軸部と反対側の端面が全面にわたって平坦化されていることを特徴とする動圧軸受装置を提供する。
このように、本発明では、フランジ部を軸部と一体に鍛造で成形することで、コンタミの原因となる切粉等の発生を極力抑え、低コストに軸部材を形成することができる。加えて、フランジ部の鍛造成形でもって、軸部と反対側の端面を全面にわたって平坦化したので、旋削加工時のように、ザグリ穴を設けずに済む。これにより、ザグリ穴の形成加工に伴う切粉等の発生を極力抑えることができ、組立時にザグリ穴に空気が残留して潤滑油に気泡として混入する事態を極力回避できる。そのため、かかる構成を有する動圧軸受装置であれば、スラスト軸受隙間を高精度に得ることができ、また潤滑油中にコンタミや気泡等の不純物が混入するのを極力避けることができる。これにより、高い軸受性能を発揮し得る動圧軸受装置を提供することができる。
また、軸部と反対側の端面が全面にわたって平坦化されているため、例えばザグリ穴を設ける場合と比べて、軸受内部空間の保油量をザグリ穴の分だけ減らすことができる。これにより、シール容積の維持あるいは縮小が可能となり、動圧軸受装置の小サイズ化の要請にも応じることができる。
また、平坦化された反軸部側の端面は、さらに研削加工が施されているものであってもよい。上述のように、軸部と反対側の端面は、これと対向する面との間にスラスト軸受隙間を形成するため、その面精度、例えば平面度は高いに越したことはない。そのため、上述のように、平坦化された反軸部側の端面に、さらに研削加工を施すことで、かかる端面の平面度を一層高めることができ、これにより幅寸法のばらつきをより一層小さくしたスラスト軸受隙間を得ることができる。
以上のように、本発明によれば、潤滑油に不純物が混入するのを極力避けつつ、軸部材の形状精度を高めることで、高い軸受性能を有する動圧軸受装置を低コストに提供することができる。また、油量増加に伴うシール容積の増大化を極力回避し得る動圧軸受装置を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。なお、以下の説明における『上下』方向は単に各図における上下方向を便宜的に示すもので、動圧軸受装置の設置方向や使用態様等を特定するものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る動圧軸受装置1を組込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示している。このスピンドルモータは、例えばHDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、軸部材2を回転自在に支持する動圧軸受装置1と、軸部材2に固定されたハブ3と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5と、ブラケット6とを備えている。ステータコイル4はブラケット6の外周に取付けられ、ロータマグネット5はハブ3の内周に取付けられる。動圧軸受装置1はブラケット6の内周に固定される。ハブ3には、情報記憶媒体としてのディスクdが1又は複数枚(図1では2枚)保持される。上述のように構成されたスピンドルモータにおいて、ステータコイル4に通電すると、ステータコイル4とロータマグネット5との間に発生する励磁力でロータマグネット5が回転し、それによってハブ3に保持されたディスクdが軸部材2と一体に回転する。
図2は、動圧軸受装置1を示している。この動圧軸受装置1は、一端に底部10を有するハウジング部7と、ハウジング部7に固定されるスリーブ部8と、スリーブ部8の内周に挿入される軸部材2と、シール部9とを主な構成部品として構成される。
ハウジング部7は、例えば真ちゅう等の金属材料あるいはLCPやPPS、PEEK等の樹脂材料で筒状に形成され、その軸方向両端を開口した形態をなす。ハウジング部7の内周面7aには、スリーブ部8の外周面8dが、例えば接着(ルーズ接着や圧入接着を含む)、圧入、溶着(超音波溶着やレーザ溶着を含む)など適宜の手段で固定される。ハウジング部7の下端内周には、内周面7aより大径で、かつ後述する底部10を固定するための固定面7bが形成される。
スリーブ部8は、多孔質体で円筒状に形成される。この実施形態では、スリーブ部8は、銅を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成される。もちろん、スリーブ部8を樹脂やセラミック等の非金属材料からなる多孔質体で形成することもでき、また焼結金属等の多孔質体以外にも、内部空孔を持たない、あるいは潤滑油の出入りができない程度の大きさの空孔しか持たない構造の材料(金属や樹脂)で形成することもできる。
スリーブ部8の内周面8aの全面又は一部領域には動圧発生部が設けられる。この実施形態では、2つの動圧発生部A、Bが軸方向に離隔して形成されている。このうち、軸方向上側の動圧発生部Aは、図3に示すように、傾斜方向の異なる複数の動圧溝A1および動圧溝A2をそれぞれ円周方向に配列して、いわゆるヘリングボーン形状に配列してなる。同様に、軸方向下側の動圧発生部Bは、傾斜方向の異なる複数の動圧溝B1および動圧溝B2をそれぞれ円周方向に配列して、いわゆるヘリングボーン形状に配列してなる。これら動圧発生部A、Bは、後述する軸部21をスリーブ部8の内周に挿入した状態では、軸部21の外周面21a、21bとそれぞれ対向し、軸部21(軸部材2)の回転時、対向する軸部21の外周面21a、21bとの間に後述する第一、第二ラジアル軸受部R1、R2のラジアル軸受隙間をそれぞれ形成する(図2を参照)。
なお、この実施形態では、シール部9寄りに位置する動圧発生部Aは、軸方向中心m(上下の動圧溝A1、A2間領域の軸方向中央)に対して軸方向非対称に形成されており、軸方向中心mより上側の動圧溝A1形成領域の軸方向寸法X1が下側の動圧溝A2形成領域の軸方向寸法X2よりも大きくなっている。
スリーブ部8の下端面8bの全面又は一部領域には、動圧発生部Cとして、例えば図示は省略するが、複数の動圧溝をスパイラル形状に配列した領域が形成される。この動圧溝形成領域(動圧発生部C)は、後述するフランジ部22の上端面22aと対向し、軸部材2の回転時には、上端面22aとの間に後述する第一スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間を形成する(図2を参照)。
スリーブ部8の上端面8cには環状溝8c1が全周にわたって形成されており、複数本の半径方向溝8c2によってスリーブ部8の内径側とつながっている。また、スリーブ部8の外周面8dには、1又は複数本(例えば3本)の軸方向溝8d1が形成されている。
底部10は、この実施形態ではハウジング部7とは別体として成形され、ハウジング部7の下部内周に位置する固定面7bに後付けされている。底部10の上端面10aの一部環状領域には、動圧発生部Dとして、例えば図4に示すように、複数の動圧溝D1をスパイラル形状に配列した領域が形成される。この動圧溝D1形成領域(動圧発生部D)は、後述するフランジ部22の下端面22bと対向し、軸部材2の回転時には、下端面22bとの間に後述する第二スラスト軸受部T2のスラスト軸受隙間を形成する(図2を参照)。また、この実施形態では、底部10の上端面10aのうち、動圧発生部Dよりも内径側の領域には凹部10bが形成されている。この凹部10bは、動圧発生部D(動圧溝D1)の成形時、塑性流動により押し出された肉の逃げ部として作用し、また、磨耗粉の捕捉領域としても作用する。
なお、底部10は、ハウジング部7と一体に型成形することもでき、また、金属製の底部10をインサート部品として樹脂製のハウジング部7を一体にインサート成形することもできる。また、一体成形の場合には、上端面10aに設けられる動圧発生部D(動圧溝D1)を、底部10を一体に有するハウジング部7の射出成形と同時に型成形することができ、これにより別途底部10に動圧発生部Dを成形する手間を省くことができる。
軸部材2は、図2に示すように、ステンレス鋼等の金属材料で形成され、軸部21と軸部21の下端に設けられたフランジ部22とを一体に有する。軸部21の外周には、図3に示す動圧発生部A、Bとそれぞれ対向する外周面21a、21bが軸方向に離隔して形成されている。一方(上側)の外周面21aの上方には、軸先端に向けて漸次縮径するテーパ面21cが隣接して形成され、さらにその上方にハブ3の取り付け部となる円筒面21dが形成されている。
フランジ部22の上端面22aは環状をなし、軸方向で対向するスリーブ部8の動圧発生部Cとの間に、後述する第一スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間を形成する。また、図2中一部断面で示すように、フランジ部22の下端面22bは全面にわたって平坦であり、軸方向で対向する底部10の動圧発生部Dとの間に、後述する第二スラスト軸受部T2のスラスト軸受隙間を形成する。
なお、この実施形態では、二つの外周面21a、21bの間、他方(下側)の外周面21bとフランジ部22との間、およびテーパ面21cと円筒面21dとの間に、それぞれ環状のヌスミ部23a、23b、23cが形成されている。
上記構成の軸部材2は、例えば鍛造加工で形成される。これにより、軸部21とフランジ部22とが一体に成形されると共に、このフランジ部22の鍛造成形で、動圧発生部Dとの間に第二スラスト軸受部T2のスラスト軸受隙間を形成する下端面22bがその全面にわたって平坦化される(図2中に示す一部断面を参照)。
このように、フランジ部22を軸部21と一体に鍛造で成形することで、コンタミの原因となる切粉等の発生を極力抑え、低コストに軸部材2を形成することができる。加えて、フランジ部22の鍛造成形でもって、反軸部21側の端面、すなわち下端面22bを全面にわたって平坦化したので、旋削加工時のように、ザグリ穴123(図5を参照)を設けずに済む。そのため、ザグリ穴123の形成加工に伴う切粉等の発生を極力抑えることができ、組立時にザグリ穴123に残留した空気が気泡として潤滑油に混入する事態を極力回避できる。従って、上記構成を有する動圧軸受装置1であれば、潤滑油中にコンタミや気泡等の不純物が混入するのを極力避けて、高い軸受性能を発揮することができる。
また、平坦化された下端面22bは、さらに研削加工が施されているものであってもよい。この場合には、下端面22bの平面度を一層高めることができ、これにより幅寸法のばらつきを小さくした第二スラスト軸受部T2のスラスト軸受隙間を得ることができる。具体的に、研削仕上げ後の下端面22bの平面度は、2μm以下であることが好ましい。
シール手段としてのシール部9は、ハウジング部7とは別体に金属材料あるいは樹脂材料で形成され、ハウジング部7の上端内周に圧入、接着、溶着、溶接等の手段で固定される。この実施形態では、シール部9の固定は、シール部9の下端面9bをスリーブ部8の上端面8cに当接させた状態で行われる(図2を参照)。
シール部9の内周にはシール面9aが形成されており、このシール面9aと、シール面9aに対向する軸部21のテーパ面21cとの間にシール空間Sが形成される。後述する潤滑油を動圧軸受装置1内部に注油することで、各ラジアル軸受隙間やスラスト軸受隙間を含む軸受内部空間(図2中、散点模様で示す領域)を潤滑油で充満した動圧軸受装置1が完成する。この際、シール空間Sの容積は、少なくとも動圧軸受装置1の内部空間に充満した潤滑油の温度変化に伴う体積変化量よりも大きい。そのため、潤滑油の油面は、常にシール空間S内に維持される。
動圧軸受装置1内部に充満される潤滑油としては、種々のものが使用可能であるが、HDD等のディスク駆動装置用の動圧軸受装置に提供される潤滑油には、その使用時あるいは輸送時における温度変化を考慮して、低蒸発率及び低粘度性に優れたエステル系潤滑油、例えばジオクチルセバケート(DOS)、ジオクチルアゼレート(DOZ)等が好適に使用可能である。
上記構成の動圧軸受装置1において、軸部材2の回転時、スリーブ部8の内周面8aに形成された動圧発生部Aは、対向する軸部21の外周面21aとの間にラジアル軸受隙間を形成する。そして、軸部21の回転に伴い潤滑油が動圧発生部Aの軸方向両端側から各動圧溝A1、A2へと流れ込む。この場合、動圧溝A1、A2により生じる潤滑油の動圧作用で、各動圧溝A1、A2間の領域における潤滑油の圧力が高められる。同様に、動圧発生部Bにおいても、軸部21の回転に伴い各動圧溝B1、B2により生じる潤滑油の動圧作用で、各動圧溝B1、B2間の領域における潤滑油の圧力が高められる。このように、各動圧発生部A、Bによって生じる潤滑油の動圧作用によって、軸部材2をラジアル方向に非接触支持する第一ラジアル軸受部R1と第二ラジアル軸受部R2とがそれぞれ形成される。
これと同時に、スリーブ部8の下端面8bに形成される動圧発生部Cとこれに対向するフランジ部22の上端面22aとの間のスラスト軸受隙間、および底部10の上端面10aに形成される動圧発生部Dとこれに対向するフランジ部22の下端面22bとの間のスラスト軸受隙間における潤滑油の圧力が、動圧溝D1等の動圧作用により高められる。そして、これら各動圧発生部A、Bによって生じる潤滑油の動圧作用によって、軸部材2をスラスト方向に非接触支持する第一スラスト軸受部T1と第二スラスト軸受部T2とがそれぞれ形成される。
この場合、スリーブ部8の内周面8aの、各動圧発生部A、B間の領域と、これに対向する軸部21のヌスミ部23aとの間には、ラジアル軸受隙間に比べて大寸法となる中間すき間11が形成される。また、底部10の上端面10aに設けられた凹部10bとこれに対向するフランジ部22の下端面22bとの間には、スラスト軸受隙間に比べて大寸法となる内径側すき間12が形成される。ここで、図3に示すように、中間すき間11の軸方向両側に位置する動圧発生部A、Bはヘリングボーン形状をなし、中間すき間11から各動圧発生部A,Bへと潤滑油を引き込む向きに動圧溝A2、B1を配列しているため、中間すき間11には、ある程度の大きさの容積が必要となる。これに対して、内径側すき間12の外径側に位置する動圧発生部Dは図4に示すようにスパイラル形状をなし、内径側すき間12に向けて潤滑油を押し込むように動圧溝D1を配列している。そのため、内径側すき間12にはそれほど大きな容積は必要ない。また、底部10に設けられた凹部10bは、上述の通り溝成形時の逃げ部を目的として、あるいは磨耗粉の捕捉を目的としたものであるから、必要最小限の大きさであればよい。むしろ、図2に示すように、シール空間Sの容積がシール部9の軸方向寸法にある程度依存していることを考えれば、軸受内部空間を満たす潤滑油の油量はなるべく少ないほうがよい。
かかる観点からみた場合、上述のように、軸部21の外周にヌスミ部23aを設けると共に、フランジ部22の下端面22bは全面にわたって平坦化することにより、潤滑油の供給元となる空間(中間すき間11)の容積をなるべく大きくとり、かつ潤滑油の合流先となる空間(内径側すき間12)の容積は極力小さくすることができる。従って、保油量を必要最小限に留めて、シール空間Sの容積を維持、あるいは縮小することができ、動圧軸受装置1の小サイズ化の要請にも応じることができる。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は、軸部21と、軸部21の一端に設けられるフランジ部22とを一体に有し、スラスト軸受隙間に面するフランジ部22の下端面22bが全面にわたって平坦化されている軸部材2を備える動圧軸受装置1である限り、上記以外の構成を採ることもできる。
例えば、上記実施形態では、シール部9をハウジング部7の側に固定し、シール部9の内周に設けられたシール面9aとこれに対向する軸部21のテーパ面21cとの間にシール空間Sを形成した場合を説明したが、これとは逆にシール部9を軸部21に固定し、シール部9の外周面とこれに対向するハウジング部7の内周面7aとの間にシール空間Sを形成することも可能である。この場合、シール空間Sが図2に示す位置よりも外径側に移行するので、その分シール容積を増大させることができる。これにより、シール容積はそのままでシール空間S(シール部9)の軸方向寸法を縮小することもでき、動圧軸受装置1のさらなる小型化が可能となる。
また、上記実施形態では、ハウジング部7とスリーブ部8とを別体に形成した場合を説明したが、これら両部材7、8を金属又は樹脂の一体品とすることも可能である。あるいは一方の金属製部品をインサート部品として他方の部品と共に樹脂でインサート成形することも可能である。
また、以上の実施形態では、動圧溝A1等を備えた動圧発生部A、Bを、スリーブ部8の内周面8aや下端面8bの側に形成した場合を説明したが、この形態に限られる必要はない。例えばこれら動圧発生部A、Bを、軸部21の外周面21a、21bの側に形成することもできる。
また、以上の実施形態では、ラジアル軸受部R1、R2やスラスト軸受部T1、T2として、へリングボーン形状やスパイラル形状に配列された複数の動圧溝により潤滑流体の動圧作用を発生させる構成を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、ラジアル軸受部R1、R2として、図示は省略するが、軸方向の溝を円周方向の複数箇所に配列した、いわゆるステップ状の動圧発生部、あるいは、円周方向に複数の円弧面を配列し、対向する軸部21の外周面との間に、くさび状の径方向隙間(軸受隙間)を形成した、いわゆる多円弧軸受を採用してもよい。
また、スラスト軸受部T1、T2の一方又は双方は、同じく図示は省略するが、スラスト軸受面となる領域に、複数の半径方向溝形状の動圧溝を円周方向所定間隔に設けた、いわゆるステップ軸受、あるいは波型軸受(ステップ型が波型になったもの)等で構成することもできる。
また、以上の実施形態では、動圧軸受装置1の内部に充満し、ラジアル軸受隙間やスラスト軸受隙間に流体の動圧作用を生じるための流体として潤滑油を例示したが、これ以外にも各軸受隙間に流体の動圧作用を発生可能な流体、例えば空気等の気体や、磁性流体等の流動性を有する潤滑剤、あるいは潤滑グリース等を使用することもできる。
本発明の一実施形態に係る動圧軸受装置を組込んだスピンドルモータの断面図である。 動圧軸受装置の断面図である。 スリーブ部の縦断面図である。 ハウジング部とは別体の底部を矢印aの方向から見た平面図である。 従来のフランジ部端面を示す一部断面図である。
符号の説明
1 動圧軸受装置
2 軸部材
8 スリーブ部
10 底部
21 軸部
21a 外周面
21b 外周面
22 フランジ部
22a 上端面
22b 下端面
23a、23b、23c ヌスミ部
123 ザグリ穴
A、B、C、D 動圧発生部
A1、A2、B1、B2、D1 動圧溝
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部
S シール空間

Claims (2)

  1. 外周面がラジアル軸受隙間に面する軸部と、軸部の一端に設けられ、軸部と反対側の端面がスラスト軸受隙間に面するフランジ部とを一体に有する軸部材と、スラスト軸受隙間に生じる流体の動圧作用で軸部材をスラスト方向に回転自在に非接触支持するスラスト軸受部とを備えた動圧軸受装置において、
    フランジ部が軸部と一体に鍛造成形され、かつフランジ部の鍛造で、軸部と反対側の端面が全面にわたって平坦化されていることを特徴とする動圧軸受装置。
  2. 平坦化された端面にさらに研削加工が施されている請求項1記載の動圧軸受装置。
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