JP2013060993A - 流体動圧軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】連通路を設けることができない流体動圧軸受装置において、軸部材の過浮上及び負圧の発生を防止する。
【解決手段】スリーブ8を焼結金属で形成すると共に、動圧溝Gの第1傾斜溝G1の軸方向寸法をL1、第2傾斜溝G2の軸方向寸法をL2(L2<L1)、動圧溝G全体の軸方向寸法をLとしたとき、動圧溝Gのアンバランス量L3(=L1−L2)、及び、動圧溝Gのうち、軸方向対称領域の軸方向寸法L4(=L−L3)が、5≦(L3/L4)×100≦20を満たすようにした。
【選択図】図3

Description

本発明は、流体動圧軸受装置に関する。
流体動圧軸受装置は、その高回転精度および静粛性から、情報機器(例えばHDD)の磁気ディスク駆動装置や、CD、DVD、ブルーレイディスク等の光ディスク駆動装置、あるいはMD、MO等の光磁気ディスク駆動装置等のスピンドルモータ用として好適に使用されている。
例えば特許文献1には、軸部材と、内周に軸部材が挿入された軸受スリーブと、内周面に軸受スリーブが固定された筒状のハウジングと、ハウジングの一端側の開口部を閉塞する底部とを備えた流体動圧軸受装置が示されている。軸部材が回転すると、軸部材の外周面と軸受スリーブの内周面との間にラジアル軸受隙間が形成され、このラジアル軸受隙間に生じる流体膜で軸部材が相対回転自在に非接触支持される。
上記の流体動圧軸受装置では、ハウジングの閉塞側の空間の圧力バランスを維持するために、軸受スリーブの外周面とハウジングの内周面との間に連通路が設けられている。具体的には、軸受スリーブの外周面に軸方向溝を設け、この軸方向溝と、ハウジングの円筒状内周面とで連通路を形成している。この連通路により、ハウジングの閉塞側の空間がハウジングの開口側の空間と連通し、ハウジング閉塞側の空間を大気圧に維持することができる。
また、同文献に示されている流体動圧軸受装置では、軸受スリーブの内周面に形成されるヘリングボーン形状の動圧溝を軸方向非対称形状としている。これにより、軸部材の回転に伴ってラジアル軸受隙間の潤滑油がハウジングの閉塞側に押し込まれ、連通路を介してハウジング開口側に移動し、再びラジアル軸受隙間に供給される。このように潤滑油を強制的に循環させることで、軸受装置の内部空間における局部的な負圧の発生をより一層確実に防止することができる。
特開2011−58542号公報
しかし、流体動圧軸受装置の構造によっては、上記のような連通路を設けることが困難な場合がある。例えば、外周面に軸方向溝が形成された軸受スリーブをインサート部品として、ハウジングを樹脂で射出成形する場合、射出した樹脂により軸受スリーブの外周面の軸方向溝が埋められてしまうため、連通路を形成することができない。
連通路が設けられていない流体動圧軸受装置において、上記のように軸方向非対称なヘリングボーン形状の動圧溝を設け、ラジアル軸受隙間の潤滑油をハウジングの閉塞側に向けて押し込むと、ハウジングの閉塞側の空間の圧力が過剰に高まり、軸部材が過浮上となる(すなわちハウジング開口側への支持力が過剰となる)恐れがある。
例えば、ヘリングボーン形状の動圧溝のアンバランスを小さくし、ラジアル軸受隙間の潤滑油をハウジング閉塞側に押し込む力(ポンピング力)を小さくすれば、軸部材の過浮上を回避することができるが、ハウジング閉塞側の空間における負圧の発生を確実に防止できない恐れがある。
以上のように、連通路を設けることができない場合、軸部材の過浮上及び負圧の発生の双方を防止することが困難であった。
本発明の解決すべき課題は、連通路を設けることができない流体動圧軸受装置において、ハウジングの閉塞側の空間の圧力を適正に維持し、軸部材の過浮上及び負圧の発生を防止することにある。
前記課題を解決するためになされた本発明は、軸部材と、内周に軸部材が挿入された焼結金属製のスリーブと、内周にスリーブを保持する筒状のハウジングと、ハウジングの軸方向一端側の開口部を閉塞する底部と、軸部材の外周面とスリーブの内周面との間に形成されたラジアル軸受隙間と、ラジアル軸受隙間に満たされた潤滑流体に動圧作用を発生させる動圧溝とを備え、スリーブとハウジングとの固定部に、該固定部の軸方向両端を連通する連通路が設けられていない流体動圧軸受装置であって、動圧溝が、ラジアル軸受隙間の潤滑流体を軸方向一端側(ハウジングの閉塞側)に向けて押し込む第1傾斜溝と、ラジアル軸受隙間の潤滑流体を軸方向他端側(ハウジングの開口側)に向けて押し込む第2傾斜溝とを有するヘリングボーン形状をなし、第1傾斜溝の軸方向寸法をL1、第2傾斜溝の軸方向寸法をL2、動圧溝全体の軸方向寸法をLとしたとき、L1>L2、且つ、5≦(L3/L4)×100≦20(ただし、L3=L1−L2、L4=L−L3)を満たすことを特徴とする。
この流体動圧軸受装置では、ヘリングボーン形状の動圧溝の第1傾斜溝と第2傾斜溝の軸方向寸法差、すなわち動圧溝のアンバランス量L3(=L1−L2)を、動圧溝の軸方向対称領域の軸方向寸法L4(=L−L3)の5%以上としている。これにより、ハウジングとスリーブとの固定部に連通路が設けられない場合でも、ハウジングの閉塞側の空間に潤滑油が十分に供給され、この空間における負圧の発生を防止できる。また、動圧溝のアンバランス量L3を、動圧溝の軸方向対称領域の軸方向寸法L4の20%以下とすることで、ハウジングとスリーブとの固定部に連通路が設けられない場合でも、ハウジング7の閉塞側の空間の圧力が過剰となることを防止し、軸部材の過浮上を防止できる。このとき、ハウジングの閉塞側の空間に供給された潤滑油の一部は、スリーブの下側端面の表面開孔からスリーブの内部に抜けるため、ハウジングの閉塞側の空間の圧力を低下させ、軸部材の過浮上を確実に防止できる。
上記の流体動圧軸受装置によれば、例えばスリーブをインサート部品としてハウジングを樹脂で射出成形することで、連通路を形成することができない場合でも、ハウジングの閉塞側の空間の圧力を適正に維持することができる。
上記の動圧溝は、例えば第1傾斜溝の円周方向に対する傾斜角度の大きさと、第2傾斜溝の円周方向に対する傾斜角度の大きさとを等しくした形状とすることができる。
また、上記の動圧溝は、第1傾斜溝と第2傾斜溝との軸方向間に環状丘部を設けたり、あるいは、第1傾斜溝と第2傾斜溝とを軸方向で連続させたりすることができる。
上記の流体動圧軸受装置では、ハウジングの軸方向他端側の開口部に環状のシール部を設け、シール部の内周面と軸部材の外周面との間に、潤滑流体の漏れ出しを防止するシール空間を形成することができる。このとき、シール空間よりもハウジングの閉塞側の空間には潤滑流体が満たされ、シール空間の内部に、大気と潤滑流体との界面が保持される。
上記のハウジングは、例えばシール部と一体成形したり、あるいは底部と一体成形したりすることができる。
上記のスリーブは、例えば銅鉄系の焼結金属で形成することができる。
上記の流体動圧軸受装置は、例えばHDDのディスク駆動装置のスピンドルモータ用として好適に用いることができる。
以上のように、本発明によれば、連通路を設けることができない流体動圧軸受装置において、ハウジングの閉塞側の空間の圧力を適正に維持し、軸部材の過浮上及び負圧の発生を防止することができる。
本発明の実施形態に係る流体動圧軸受装置が組み込まれたHDDのディスク駆動装置のスピンドルモータの断面図である。 上記流体動圧軸受装置の断面図である。 上記流体動圧軸受装置のスリーブの断面図である。 上記流体動圧軸受装置のスリーブの下面図である。 上記流体動圧軸受装置の底部の上面図である。 他の実施形態に係る流体動圧軸受装置のスリーブの断面図である。 他の実施形態に係る流体動圧軸受装置の断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すスピンドルモータは、例えばHDDのディスク駆動装置に用いられるものである。このスピンドルモータは、本発明の一実施形態に係る流体動圧軸受装置1と、流体動圧軸受装置1の軸部材2に固定されたディスクハブ3と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4aおよびロータマグネット4bとからなる駆動部4と、ブラケット5とを備えている。ステータコイル4aはブラケット5に固定され、ロータマグネット4bはディスクハブ3に固定される。流体動圧軸受装置1は、ブラケット5の内周に固定される。ディスクハブ3には、1又は複数枚のディスク6(図1では2枚)が保持される。このように構成されたスピンドルモータにおいて、ステータコイル4aに通電すると、ロータマグネット4bが回転し、これに伴って、ディスクハブ3に保持されたディスク6が軸部材2と一体に回転する。
流体動圧軸受装置1は、図2に示すように、軸部材2と、内周に軸部材2が挿入された焼結金属製のスリーブ8と、内周面にスリーブ8が固定された筒状のハウジング7と、ハウジング7の軸方向一端側の開口部を閉塞する底部9と、ハウジング7の軸方向他端側の開口部に配設されるシール部10とを主に備える。本実施形態では、ハウジング7とシール部10とを一体成形した場合を示す。
軸部材2は、例えばステンレス鋼等の金属材料で形成され、軸部2aと、軸部2aの下端に一体又は別体に設けられたフランジ部2bとを備えている。軸部2aの外周面2a1は、凹凸の無い平滑な円筒面とされる。外周面2a1の軸方向略中央部には、外周面2a1よりも僅かに小径な逃げ部2a2が設けられる。フランジ部2bは円盤状を成している。フランジ部2bの上側端面2b1及び下側端面2b2は、凹凸の無い平坦面とされる。
スリーブ8は、焼結金属で形成され、例えば、銅を主成分とする銅系の焼結金属、鉄を主成分とする鉄系の焼結金属、あるいは、銅及び鉄を主成分とする銅鉄系の焼結金属で形成される。
スリーブ8の内周面8aには、軸方向に離隔した2箇所の領域にラジアル軸受面8a1、8a2が設けられる。このラジアル軸受面8a1、8a2に、図3に示すようなヘリングボーン形状の動圧溝G、Fが形成される。
動圧溝Gは、軸方向非対称なヘリングボーン形状をなす。具体的には、動圧溝Gは、軸部材2の回転方向先行側(図3の左側)に向けて下方に傾斜し、円周方向に並べて配された複数の第1傾斜溝G1と、軸部材2の回転方向先行側に向けて上方に傾斜し、円周方向に並べて配された複数の第2傾斜溝G2とを有する。軸部材2が回転すると、第1傾斜溝G1はラジアル軸受隙間の潤滑油を下向きに押し込み、第2傾斜溝G2はラジアル軸受隙間の潤滑油を上向きに押し込む。このとき、第1傾斜溝G1と第2傾斜溝G2は円周方向に対する傾斜角度の大きさが等しく、且つ、第1傾斜溝G1の軸方向寸法L1は第2傾斜溝G2の軸方向寸法L2よりも大きい(L1>L2)。このため、第1傾斜溝G1による下向きのポンピング力が、第2傾斜溝G2による上向きのポンピング力を上回り、動圧溝G全体としてラジアル軸受隙間の潤滑油を下向きに流動させるポンピング力を発生させる。第1傾斜溝G1と第2傾斜溝G2との軸方向寸法の差は、所定の範囲内に設定される。具体的には、動圧溝G全体の軸方向寸法をLとしたとき、動圧溝Gのアンバランス量L3(=L1−L2)と、動圧溝Gのうち、軸方向対称な領域の軸方向寸法L4(=L−L3)との比L3/L4が、5%以上、20%以下の範囲に設定される(5≦(L3/L4)×100≦20)。
動圧溝Fは、軸方向対称なヘリングボーン形状をなす。具体的には、動圧溝Fは、軸部材2の回転方向先行側に向けて下方に傾斜し、円周方向に並べて配された複数の第1傾斜溝F1と、軸部材2の回転方向先行側に向けて上方に傾斜し、円周方向に並べて配された複数の第2傾斜溝F2とを有する。軸部材2が回転すると、第1傾斜溝F1はラジアル軸受隙間の潤滑油を下向きに押し込み、第2傾斜溝F2はラジアル軸受隙間の潤滑油を上向きに押し込む。第1傾斜溝F1と第2傾斜溝F2は、円周方向に対する傾斜角度の大きさが等しく、且つ、軸方向寸法が等しいため、第1傾斜溝F1による下向きのポンピング力と第2傾斜溝F2による上向きのポンピング力とが相殺し、動圧溝F全体としてラジアル軸受隙間の潤滑油を軸方向に流動させるポンピング力は生じない。ただし、実際は、動圧溝Fの加工誤差により、動圧溝Fにより軸方向のポンピング力が僅かに発生する。
動圧溝G、Fの各傾斜溝G1、G2、F1、F2の円周方向間には、傾斜丘部G3、G4、F3、F4が設けられる。また、動圧溝Gの第1傾斜溝G1と第2傾斜溝G2との軸方向間、及び、動圧溝Fの第1傾斜溝F1と第2傾斜溝F2との軸方向間には、環状丘部G5、F5が設けられる。傾斜丘部G3、G4と環状丘部G5、及び、傾斜丘部F3、F4と環状丘部F5(図3にクロスハッチングで示す領域)は、それぞれ同一円筒面上で連続している。
ラジアル軸受面8a1、8a2の軸方向間には、円筒面8a3が設けられる。円筒面8a3は、動圧溝Gの第2傾斜溝G2及び動圧溝Fの第1傾斜溝F1と同一円筒面上で連続している。また、動圧溝Gの第1傾斜溝G1の上端は、スリーブ8の上側端面8dの内周チャンファに達し、動圧溝Fの第2傾斜溝F2の下端は、スリーブ8の下側端面8bの内周チャンファに達している。
スリーブ8の下側端面8bには、図4に示すようなスパイラル形状の動圧溝8b1が形成される。スリーブ8の外周面8cは、凹凸のない平滑な円筒面とされる。スリーブ8の上側端面8dは凹凸の無い平坦面とされる。
スリーブ8は、銅系金属粉末及び鉄系金属粉末を含む混合金属粉末を圧縮成形して圧粉体を形成した後、この圧粉体を焼結して焼結体を形成し、さらに焼結体にサイジングを施して所定寸法に整形することにより製造される。サイジング工程の際に、スリーブ8の内周面8aに動圧溝G、Fがプレス成形されると共に、スリーブ8の下側端面8bに動圧溝8b1がプレス成形される。
ハウジング7は、軸方向両端を開口した円筒状をなす(図2参照)。ハウジング7の内周面7aは、凹凸の無い平滑な円筒面とされる。ハウジング7の内周面7aの下端には、内周面7aよりも大径であって、底部9を固定するための固定面7bが設けられる。ハウジング7は、スリーブ8をインサート部材とした樹脂の射出成形で形成され、ハウジング7の内周面7aとスリーブ8の外周面8cとは全面で密着している。従って、ハウジング7の内周面7aとスリーブ8の外周面8cとの固定部には、この固定部の軸方向両端を連通する連通路は形成されない。
底部9は、金属材料あるいは樹脂材料で円盤状に形成される。底部9の上側端面9aには、図5に示すようなスパイラル形状の動圧溝9a1が形成される。底部9の外周面9bは、接着、圧入、接着剤介在下での圧入、あるいはこれらの併用等の適宜の手段で、ハウジング7の固定面7bに固定される。
シール部10は、ハウジング7の上端開口部に設けられ、本実施形態ではシール部10とハウジング7とが樹脂で一体成形される。シール部10の内周面10aには、上方に向けて漸次拡径したテーパ形状をなしている。シール部10の内周面10aと軸部2aの外周面2a1との間には、下方に向けて径方向幅を徐々に狭めた断面楔形のシール空間Sが形成される。シール部10の下側端面10bは、スリーブ8の上側端面8dと当接している。
上記の構成部品からなる流体動圧軸受装置1の内部に、潤滑油が注入される。これにより、ラジアル軸受隙間やスラスト軸受隙間、さらにはスリーブ8の内部空孔を含む流体動圧軸受装置1の内部空間が潤滑油で満たされる。すなわち、シール空間Sよりもハウジング7の閉塞側の空間は潤滑油で途切れなく満たされ、油面は常にシール空間Sの範囲内に維持される。
軸部材2が回転すると、スリーブ8の内周面8aのラジアル軸受面8a1、8a2(動圧溝G、F形成領域)と軸部2aの外周面2a1との間にラジアル軸受隙間が形成される。そして、動圧溝G、Fによりラジアル軸受隙間の油膜の圧力が高められ、この動圧作用によって、軸部2aを回転自在に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1及び第2ラジアル軸受部R2が構成される。
これと同時に、フランジ部2bの上側端面2b1とスリーブ8の下側端面8b(動圧溝8b1形成領域)との間、及び、フランジ部2bの下側端面2b2と底部9の上側端面9a(動圧溝9a1形成領域)との間にそれぞれスラスト軸受隙間が形成される。そして、動圧溝8b1、9a1によりスラスト軸受隙間の油膜の圧力が高められ、この動圧作用によって、フランジ部2bを両スラスト方向に回転自在に非接触支持する第1スラスト軸受部T1と第2スラスト軸受部T2とが構成される。
このとき、動圧溝Gの第1傾斜溝G1と第2傾斜溝G2の寸法差により、ラジアル軸受隙間の潤滑油を下向きに押し込むポンピング力が発生する。上記のように、動圧溝Gのアンバランス量L3を、動圧溝Gの軸方向対称領域の軸方向寸法L4の5%以上とすることで、ハウジング7の閉塞側の空間に潤滑油が十分に供給され、この空間における負圧の発生を防止できる。また、動圧溝Gのアンバランス量L3を、動圧溝Gの軸方向対称領域の軸方向寸法L4の20%以下とすることで、ハウジング7の閉塞側の空間、特に軸部材2のフランジ部2bの下側端面2b2が面する空間の圧力が過剰となることを防止し、軸部材2の過浮上を防止できる。このとき、ハウジング7の閉塞側の空間に供給された潤滑油の一部は、スリーブ8の下側端面8bの表面開孔からスリーブ8の内部に抜けるため、ハウジング7の閉塞側の空間の圧力を低下させ、軸部材2の過浮上を確実に防止できる。
本発明は上記の実施形態に限られない。以下、本発明の他の実施形態を説明するが、上記実施形態と同一の構成及び機能を有する箇所には同一の符号を付して重複説明を省略する。
例えば、スリーブ8の内周面8aに形成されるヘリングボーン形状の動圧溝Gの形状は上記に限られない。例えば、図3に示す環状丘部G5、F5を省略し、図6に示すように第1傾斜溝G1と第2傾斜溝G2、及び、第1傾斜溝F1と第2傾斜溝F2を、それぞれ軸方向で連続させもよい。
また、上記の実施形態では、シール部10とハウジング7とを一体成形した場合を示したが、これに限らず、例えば図7に示すように、シール部10とハウジング7とを別体に形成する一方で、底部9とハウジング7とを樹脂で一体成形してもよい。この場合、シール部10は、金属材料あるいは樹脂材料で環状に形成され、ハウジング7の内周面の上端に固定される。
また、上記の実施形態では、スリーブ8の外周面8cが平滑な円筒面である場合を示したが、これに限られない。例えば、スリーブ8の外周面8cに、凹部(例えば軸方向溝)を形成してもよい。この場合、ハウジング7の樹脂が凹部に入り込み、ハウジング7に対するスリーブ8の回り止めや抜け止めを行うことができる。
また、上記の実施形態では、スリーブ8をインサート部品としてハウジング7を射出成形した場合を示したが、これに限らず、スリーブ8とハウジング7とを別体に形成した後、これらを接着や圧入等の適宜の手段で固定してもよい。特に、図7に示す構成では、スリーブ8及び軸部材2をインサート部品として、底部9を一体に有するハウジング7を射出成形することは困難である。従って、スリーブ8とハウジング7を別体に形成し、スリーブ8の内周に軸部材2を挿入した後、スリーブ8の外周面8cとハウジング7の内周面7aとが固定される。
また、上記の実施形態では、スリーブ8の内周面8aにヘリングボーン形状の動圧溝G、Fが形成されているが、これに限らず、動圧溝を軸部材2の外周面2a1に形成してもよい。この場合、軸部材2の外周面2a1に、例えば転造加工により動圧溝を形成することができる。また、上記の実施形態では、スリーブ8の内周面8aの軸方向に離隔した2箇所に動圧溝G、F(ラジアル軸受面8a1、8a2)を形成したが、これに限らず、動圧溝Fを省略したり、動圧溝G、Fを軸方向で連続させてもよい。
また、上記の実施形態では、図4及び図5に示すように、スリーブ8の下側端面8b、及び、底部9の上側端面9aに、スパイラル形状の動圧溝8b1、9a1が形成されているが、これに限られない。例えば、図示は省略するが、ヘリングボーン形状の動圧溝や、円周方向でステップ形状や波形形状をなした半径方向溝を形成することができる。また、ポンプインタイプの動圧溝に限らず、ポンプアウトタイプの動圧溝でもよい。また、これらの動圧溝を、フランジ部2bの上側端面2b1及び下側端面2b2に形成してもよい。この場合、フランジ部2bの上下端面2b1、2b2に、例えばプレス加工により動圧溝を形成することができる。
また、上記の実施形態では、軸部材2を回転側、スリーブ8を固定側とした、いわゆる軸回転タイプの流体動圧軸受装置を示したが、これに限らず、軸部材2を固定側、スリーブ8を回転側とした、いわゆる軸固定タイプの流体動圧軸受装置に本発明を適用することもできる。
また、上記の実施形態では、本発明に係る流体動圧軸受装置をHDDのディスク駆動装置のスピンドルモータに組み込んだ例を示しているが、これに限らず、他のディスク駆動装置のスピンドルモータや、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、あるいはプロジェクタのカラーホイールモータ等に適用することもできる。
本発明の有効性を確認するため、動圧溝Gの第1傾斜溝G1の長さが異なる複数種のスリーブ8を形成し、各スリーブ8を有する流体動圧軸受装置1(図3参照)の軸部材2を5000〜8000rpmで回転させ、それぞれの場合において軸部材2の過浮上の有無、及び、負圧の発生の有無を調べた。
その結果、表1に示すように、動圧溝Gのアンバランス量L3(=L1−L2)が0.10の場合には負圧の発生が確認され、動圧溝Gのアンバランス量L3が0.80及び1.00の場合には軸部材の過浮上が確認された。一方、動圧溝Gのアンバランス量L3が0.15及び0.60の場合には軸部材の過浮上及び負圧の発生の何れも確認されなかった。この結果から、動圧溝Gのアンバランス量L3と、動圧溝Gの軸方向対称な領域の軸方向寸法L4との比L3/L4を5%以上20%以下とすることで、軸部材の過浮上及び負圧の発生の双方を防止できることが確認された。
Figure 2013060993
1 流体動圧軸受装置
2 軸部材
7 ハウジング
8 スリーブ
9 底部
10 シール部
G 動圧溝
G1 第1傾斜溝
G2 第2傾斜溝
G3、G4 傾斜丘部
G5 環状丘部
F 動圧溝
F1 第1傾斜溝
F2 第2傾斜溝
F3、F4 傾斜丘部
F5 環状丘部
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部
S シール空間

Claims (10)

  1. 軸部材と、内周に前記軸部材が挿入された焼結金属製のスリーブと、内周面に前記スリーブの外周面が固定された筒状のハウジングと、前記ハウジングの軸方向一端側の開口部を閉塞する底部と、前記軸部材の外周面と前記スリーブの内周面との間に形成されたラジアル軸受隙間と、前記ラジアル軸受隙間に満たされた潤滑流体に動圧作用を発生させる動圧溝とを備え、前記スリーブと前記ハウジングとの固定部に、該固定部の軸方向両端を連通する連通路が設けられていない流体動圧軸受装置であって、
    前記動圧溝が、前記ラジアル軸受隙間の潤滑流体を軸方向一端側に向けて押し込む第1傾斜溝と、前記ラジアル軸受隙間の潤滑流体を軸方向他端側に向けて押し込む第2傾斜溝とを有するヘリングボーン形状をなし、
    第1傾斜溝の軸方向寸法をL1、第2傾斜溝の軸方向寸法をL2、前記動圧溝全体の軸方向寸法をLとしたとき、
    L1>L2、且つ、5≦(L3/L4)×100≦20
    (ただし、L3=L1−L2、L4=L−L3)
    を満たすことを特徴とする流体動圧軸受装置。
  2. 前記スリーブをインサート部品として、前記ハウジングを樹脂で射出成形した請求項1記載の流体動圧軸受装置。
  3. 第1傾斜溝の円周方向に対する傾斜角度の大きさと、第2傾斜溝の円周方向に対する傾斜角度の大きさとが等しい請求項1又は2記載の流体動圧軸受装置。
  4. 第1傾斜溝と第2傾斜溝との軸方向間に、環状丘部を設けた請求項1〜3の何れかに記載の流体動圧軸受装置。
  5. 第1傾斜溝と第2傾斜溝とを軸方向で連続させた請求項1〜3の何れかに記載の流体動圧軸受装置。
  6. 前記ハウジングの軸方向他端側の開口部に環状のシール部を設け、前記シール部の内周面と前記軸部材の外周面との間に、潤滑流体の漏れ出しを防止するシール空間を形成する請求項1〜5の何れかに記載の流体動圧軸受装置。
  7. 前記シール部と前記ハウジングとを一体成形した請求項6記載の流体動圧軸受装置。
  8. 前記ハウジングと前記底部とを一体成形した請求項1〜7の何れかに記載の流体動圧軸受装置。
  9. 前記スリーブが銅鉄系の焼結金属製である請求項1〜8の何れかに記載の流体動圧軸受装置。
  10. HDDのディスク駆動装置のスピンドルモータに組み込まれる請求項1〜9の何れかに記載の流体動圧軸受装置。
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