JP2010248720A - 溝形鋼製建築部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】溝形鋼と当該溝形鋼の両リップ間および/または両フランジ端間に配された溝開き止め部材からなる建築部材を製造する際に、前記溝開き止め部材の溝形鋼に当接する側の表面に突起を形成するとともに、前記溝形鋼の両リップおよび/または両フランジ端と前記溝開き止め部材とを、前記突起形成部でプロジェクション溶接する。
突起としては、溝形鋼の長手方向と略直行する方向に線状に伸びる凸条が好ましい。
【選択図】図6
Description
溝形鋼を建築物の柱や梁に用いようとすると、荷重の掛かり方によっては溝部が開くことがある。溝形鋼の溝部が開くと柱自体の強度が低下し建築物の剛性が低下する。その結果、建築物そのものが歪んで耐震性の低下や建具の開閉などに困難をきたすことになる。
しかしながら、溝形鋼の素材として耐食性に優れるZn系のめっき鋼を用いようとすると、アーク溶接により溶融部および熱影響部が広範囲に拡がるため、Zn系めっき金属が溶融・飛散されてしまい溶接部およびその近傍は無めっき状態となってしまう。アーク溶接により、強度の高いものは得られるが耐食性が劣化してしまうため、後補修が必要となって却ってコスト高となってしまう。
前記突起は、溝形鋼と略直行する方向に線状に伸設された凸条であることが好ましい。
本発明の溝形鋼製建築部材の製造方法は、Zn系めっきを施した鋼を素材とした溝形鋼製建築部材を製造する際に好適に適用することができる。
特に、溝開き止め部材として溝形鋼の長手方向と略直行する方向に直線状に伸びる凸条突起を設けたものを使用してプロジェクション溶接すると、当該溝開き止め部材の載置位置が多少ずれても問題なく溶接接合することができる。さらに、溝形鋼フランジ端にリップがない、あるいは他の建築部材との接合を考慮してリップ部を除去した溝形鋼に対して問題なく溶接接合することができる。
そこで、本発明者等は、Zn系のめっきが施された鋼を素材とする溝形鋼製建築部材を製造する際にあっても、溶接接合後にあっても後補修を必要としない接合手段について鋭意検討を重ねてきた。
プロジェクション溶接法は、図3に示すように、被溶接材の溶接箇所にプロジェクション(突起部)を設け、この突起部分に電流を集中して流し、加熱すると同時に加圧接合する抵抗溶接法である。プロジェクション溶接法では、被溶接材に設けた突起部に集中して通電させるため、突起部先端から発熱して確実なナゲットが形成されて接合される。
したがって、溝形鋼の溝間に溝開止め部材を配した建築用部材のような、溝開きを防止する程度の接合強度を発揮すれば足りる、溝形鋼のフランジ端ないしリップと溝開止め部材との接合には、プロジェクション溶接法で十分である。Zn系めっき鋼を素材とした建築用部材の製造にあっても、溶接接合後の後補修の必要がないことが大きなメリットである。
図4に示すように、溝形鋼の両リップ上に溝開き止め部材Fを載置してアーク溶接していた従前の作製例において、溝開き止め部材Fとして、単なる平板ではなく、溝形鋼のリップと接合する箇所に突起Pを形成した溝開き止め部材Fを載置し、溝形鋼と溝開き止め部材Fを挟むように図示しない電極を配置し、電極間に電流を流すとともに電極間を加圧することにより、プロジェクション溶接する。突起は通常通り円錐形状とする。
前記したように、プロジェクション溶接法を採用することにより、アーク溶接法を用いた場合と比較して被接合材に対する熱影響領域を極力狭くすることができる。したがって、Zn系めっき鋼を素材として建築部材であっても、溶接後の補修を必要としない製造が可能となる。
しかしながら、リップ溝形鋼といえども、リップ部が湾曲しているものもある。また、左右のリップ部が対称ではなかったり、歪んだりしている場合もある。このような場合には、図5(a)に見られるように、溝形鋼のリップ上に円錐状突起を正しい位置に載置することができなくなる。また、溝形鋼がリップなしのものである場合、あるいは他の建築部材を接合するためにリップを切り取っている場合等、両フランジが完全に平行でなかったりして、図5(b)に見られるように、円錐状突起をフランジ端に載置することができないこともある。
したがって、溝開き止め部材表面に形成する突起としては、単なる円錐形状ではなく、線状に伸びる凸条が好ましい。さらに好ましくは、溝形鋼の長手方向と略直行する方向に直線状に伸びる凸条とする。すなわち、溝形鋼の長手方向と略直行する方向に凸条突起Tを伸設した溝開き止め部材Fを用いることが好ましい。凸条突起Tはプレス成形法などにより容易に形成することができる。
本発明方法は、素材としてZn系めっきを施した鋼材を用いた場合に有効であるが、前記した通り、凸条突起の設置により、溝形鋼に変形が生じていても何ら問題なく建築部材を製造することが可能となる。
本発明法を採用することにより、前記した通り被接合材に対する熱影響領域を極力狭くすることができるので、溶接後の補修を必要とせず、結果的に低コストで溝形鋼製建築部材を製造することができる。
プロジェクション溶接法の採用により、アーク溶接法に比べて溶融部および熱影響部が狭くなるため、塗膜の飛散・劣化領域を狭くすることができる。溶接後の後補修を行わなくても十分に塗装鋼の本来の耐食性を維持することができる。
溝形鋼としては、その断面形状を図7に示すような、板厚が2.3mmで、幅60mm、高さ75mm、リップの長さ10mmの断面形状を有する2600mmの長さのものを使用し、片側の端部に80mmの長さの、また反対側の端部に130mmの長さのリップ部切り欠きを設けて実験に供した(図8参照)。
なお、鋼素材は400N級の構造用鋼で、めっきはZn系めっきを施したものである。
リップがある箇所に取り付ける溝開き止め部材の寸法は溝形鋼の幅方向になる側が48mm、溝形鋼の長手方向になる側が30mmのものを使用した。また、リップ部がない箇所に取り付ける溝開き止め部材の寸法は溝形鋼の幅方向になる側が60mm、溝形鋼の長手方向になる側が30mmのものを使用した。
溶接にはコンデンサ式プロジェクション溶接を用いて製作し、溶接は1箇所ずつではなく溝開き止め部材よりも大きい銅板で溝形鋼と溝開き止め部材を挟み、4箇所を同時に溶接した。
溶接条件は485Vで加圧力はリップ部有りが400kgf、リップ部なしが300kgfで実施した。プレートの取り付け位置は130mmリップを切り欠いた箇所に1つ、あとリップ有り部には均等に3箇所接合した。
Claims (3)
- 溝形鋼と当該溝形鋼の両リップ間および/または両フランジ端間に配された溝開き止め部材からなる建築部材の製造方法であって、前記溝開き止め部材の溝形鋼に当接する側の表面に突起を形成するとともに、前記溝形鋼の両リップおよび/または両フランジ端と前記溝開き止め部材とを、前記突起形成部でプロジェクション溶接することを特徴とする溝形鋼製建築部材の製造方法。
- 前記突起が、溝形鋼の長手方向と略直行する方向に伸設された凸条である請求項1に記載の溝形鋼製建築部材の製造方法。
- 前記溝形鋼および溝開き止め部材がZn系めっき鋼からなる請求項1または2に記載の溝形鋼製建築部材の製造方法。
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