JP2010247657A - 車両の駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電動機のロータによる攪拌損失の増加をもたらすことなく、電動機のステータに対するエンジンオイルの供給量を増やすことができる車両の駆動装置を提供する。
【解決手段】駆動装置は、内燃機関2及び電動機3L、3Rの少なくともいずれか一方を駆動源として車両1を駆動する。各電動機3L、3Rは、内燃機関2のオイルパン18の内部に設けられたステータ25L、25Rと、ステータ25L、25Rの内周側に配置されたロータ26L、26Rとを有し、ロータ26L、26Rは、オイルパン18に貯留されたエンジンオイルEOがステータ25L、25R側からロータ26L、26R側へ侵入することを阻止する隔離空間SP内に設けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関及び電動機の少なくともいずれか一方を駆動源として車両を駆動する車両の駆動装置に関する。
車両の駆動装置として、内燃機関の本体に電動機を一体に結合し、本体に設けられたオイル排出通路の下流端を電動機のステータに向かって開口させたものが知られている(特許文献1)。その他、本発明に関連する先行技術文献として、特許文献2〜7が存在する。
特開2005−180261号公報 特開2003−143810号公報 特開2003−240112号公報 特開2008−286247号公報 実開昭62−97221号公報 特開2004−358994号公報 特開2001−146955号公報
特許文献1の駆動装置は、電動機の運転時に高温になり易いステータに対してオイル排出通路を通じてエンジンオイルを供給することができる。しかしながら、ステータの冷却性を向上させるためにステータに対するオイルの供給量を増やした場合には、ステータの内周側に配置されたロータへのオイル供給も増加する。このため、ロータがオイルを攪拌することによる攪拌損失の増加をもたらす。
そこで、本発明は、電動機のロータによる攪拌損失の増加をもたらすことなく、電動機のステータに対するエンジンオイルの供給量を増やすことができる車両の駆動装置を提供することを目的とする。
本発明の駆動装置は、内燃機関及び電動機の少なくともいずれか一方を駆動源として車両を駆動する車両の駆動装置において、前記電動機は、前記内燃機関のオイルパンの内部に設けられたステータと、前記ステータの内周側に配置されたロータとを有し、前記ロータは、前記オイルパンに貯留されたエンジンオイルが前記ステータ側から前記ロータ側へ侵入することを阻止する隔離空間内に設けられているものである(請求項1)。
この駆動装置によれば、電動機のステータがオイルパンの内部に設けられているため、オイルパンに貯留されたエンジンオイルを利用してステータを冷却することができる。また、ステータ側からロータ側へのエンジンオイルの侵入を阻止する隔離空間内に電動機のロータが設けられているため、エンジンオイルがロータによって攪拌されることがない。従って、オイルパン内に貯留されるエンジンオイルを増やすことにより、ステータに対するエンジンオイルの供給量を増加しても、ロータによる攪拌損失の増加をもたらすことがない。また、ステータの冷却専用のオイルを準備する必要がないのでコスト低減及びメインテナンスが容易になる。
本発明の駆動装置の一態様においては、前記内燃機関の停止時における前記オイルパン内のオイルレベルが、前記電動機の前記ステータに設けられたコイルエンドよりも上方に設定されてもよい(請求項2)。この態様によれば、ステータのコイルエンドがオイル内に没することになるので、内燃機関の停止時においてステータのコイルエンドを常時冷却することができる。
本発明の駆動装置の一態様においては、前記電動機として、前記内燃機関のクランク軸よりも下方に位置しかつ前記クランク軸を基準として左右に設けられた2つの電動機が設けられていてもよい(請求項3)。この態様においては、クランク軸の回転により掻き上げられたオイルを左右の電動機に掛け流すことができる。これにより、内燃機関の運転中にオイルレベルが下がった場合でもステータの冷却を維持できる。
この態様においては、前記内燃機関を停止させた状態で前記2つの電動機を駆動源としている場合において、前記オイルパン内のオイルレベルが左右で相違しているときに、前記内燃機関の運転を開始させる制御手段を備えてもよい(請求項4)。この場合には、内燃機関の停止中にオイルレベルに差が生じた場合に内燃機関の運転が開始されるので、クランク軸の回転によってエンジンオイルを左右の電動機に掛け流すことができる。これにより、オイルレベルが低い側のオイル供給を補うことができる。
本発明の駆動装置の一態様において、前記オイルパンにはエンジンオイルを吸入するストレーナが設けられており、前記ストレーナは前記電動機の前記ステータに設けられたコイルエンドに近接して配置されていてもよい(請求項5)。ステータに設けられたコイルエンドは高温になり易い。この態様によれば、コイルエンドに近接してストレーナが配置されているため、コイルエンドにて加熱されたオイルが吸い込まれて内燃機関の各部に送られるので、内燃機関の暖機時間を短縮できる。
本発明の駆動装置の一態様において、前記内燃機関には、冷媒を循環させる冷却通路と、冷媒を冷却するラジエータと、前記冷却通路に設けられて前記ラジエータへの冷媒の流入を制限する位置とその流入を許可する位置との間で動作するサーモスタット部と、前記サーモスタット部を迂回するようにして前記冷却通路に接続されたバイパス通路と、が設けられており、前記冷却通路は、前記電動機の前記ステータに設けられたコイルエンドに近接して配置されており、前記バイパス通路には、前記バイパス通路を開閉する開閉弁が設けられていてもよい(請求項6)。サーモスタット部が故障して冷却通路を閉鎖した場合においても開閉弁によってバイパス通路を開通させることにより、冷媒をラジエータに流入させることができる。また、冷却通路がコイルエンドに近接しているので、冷媒の昇温が促進される。このため、内燃機関の暖機時間の短縮に寄与できる。
この態様においては、前記サーモスタット部にて前記ラジエータへの冷媒の流入が制限されている状態で、前記ステータの温度が所定値を超えている場合、前記バイパス通路が開通するように前記開閉弁を制御する弁制御手段を備えてもよい(請求項7)。この態様によれば、サーモスタット部の動作状態に拘わらずにステータの冷却が優先されるので、電動機の故障を未然に防止できる。
以上説明したように、本発明の駆動装置によれば、電動機のステータがオイルパンの内部に設けられるとともに、ステータ側からロータ側へのエンジンオイルの侵入を阻止する隔離空間内に電動機のロータが設けられているため、オイルパン内に貯留されるエンジンオイルを増やして、ステータに対するエンジンオイルの供給量を増加しても、ロータによる攪拌損失の増加をもたらすことがない。
第1の形態に係る駆動装置が適用された車両の概要を模式的に示した上面図。 図1のII-II線に関する断面を模式的に示した説明図。 図2の左側に位置するIII部の詳細を示した拡大図。 エンジンオイルの油面が左右に傾いた状態を模式的に示した説明図。 第1の形態に係る制御ルーチンの一例を示したフローチャート。 第1の形態に係る他の制御ルーチンの一例を示したフローチャート。 第2の形態に係る駆動装置が適用された車両を模式的に示した説明図。 第3の形態に係る駆動装置が適用された車両を模式的に示した説明図。 第3の形態の変形例を示した図。 第4の形態に係る駆動装置の要部を示した説明図。 第4の形態に係る制御ルーチンの一例を示したフローチャート。
(第1の形態)
図1は本発明の第1の形態に係る駆動装置が適用された車両の概要を模式的に示した上面図である。図1の上側が車両前方に、下側が車両後方に相当する。車両1は走行用動力源として内燃機関2と電動機3L、3Rとが設けられたハイブリッド車両として構成されている。車両1は左右の前輪4L、4R及び後輪5L、5Rをともに駆動輪として機能させることができる4輪駆動車両として構成されている。前輪4L、4Rの駆動は電動機3L、3Rが担当し、後輪5L、5Rの駆動は内燃機関2が担当するようになっている。2つの電動機3L、3Rは独立して制御可能である。
内燃機関2の左側に配置された第1電動機3Lと左前輪4Lとの間には第1ドライブ軸6Lが、右側に配置された第2電動機3Rと右前輪4Rとの間には第2ドライブ軸6Rがそれぞれ設けられている。内燃機関2にはトランスミッション8が接続されており、トランスミッション8から出力された動力はプロペラ軸9、差動装置10及び左右のドライブ軸11を介して左右の後輪5L、5Rに伝達される。
図2は図1のII-II線に関する断面を模式的に示した説明図である。内燃機関2は機関本体15を備えており、その機関本体15にはクランク軸16とカム軸17とが設けられている。機関本体15の下部にはエンジンオイルEOを貯留するオイルパン18が装着されており、オイルパン18の底部にはエンジンオイルEOを吸い込むストレーナ20が設けられている。機関本体15にはエンジンオイルEOを各部に圧送するためのオイルポンプ21が搭載されており、そのオイルポンプ21はストレーナ20と連結されている。オイルポンプ21は内燃機関2の動力にて駆動される。オイルポンプ21の吐出側にはオイル通路22が接続されており、そのオイル通路22はクランク軸16やカム軸17に対して分岐している。これにより、内燃機関2に設けられたクランク軸16やカム軸17等の潤滑対象或いは冷却対象に対してエンジンオイルEOが供給される。
図2に示すように、第1電動機3Lはオイルパン18の内部に設けられたステータ25Lと、そのステータ25Lの内周側に配置されたロータ26Lとを有している。一方、第2電動機3Rも同様に、オイルパン18の内部に設けられたステータ25Rと、そのステータ25Rの内周側に配置されたロータ26Rとを有している。
オイルパン18内のオイルレベルLvaは各ステータ25L、25Rよりも上方に設定されている。図示のオイルレベルLvaは内燃機関2の停止時における静的レベルであり、内燃機関2の運転中にはオイルレベルLvaは図示の位置よりも下がる。オイルレベルLvaが各ステータ25L、25Rよりも上方に設定されているため、各ステータ25L、25Rのコイルエンド27L、27RがエンジンオイルEO内に没するので、内燃機関2の停止時においてコイルエンド27L、27Rを常時冷却することができる。オイルポンプ21を駆動しなくても冷却可能であるから、内燃機関2の燃費が向上する。
また、各電動機3L、3Rは、クランク軸16よりも下方に位置しかつそのクランク軸16を基準として左右に設けられている。そのため、クランク軸16の回転により掻き上げられたエンジンオイルEOを矢印で示すように左右の電動機3L、3Rに掛け流すことができる。これにより、内燃機関2の運転に伴ってオイルレベルLvaが下がった場合でも各ステータ25L、25Rの冷却を維持できる。なお、各電動機3L、3RへのエンジンオイルEOの掛け流しを効率良く行うため、クランク軸16に分岐したオイル通路22と通じかつ半径方向に延びてクランク軸16の外周面に開口する放出路(不図示)を形成してもよい。この場合には、クランク軸16の回転時の遠心力を利用して左右均等にエンジンオイルを放出できるようになる。また、この場合にはクランク軸16に干渉するまでオイルレベルLvaを上げる必要がなく、しかも内燃機関2の運転時に各ステータ25L、25RがエンジンオイルEOに完全に浸かった状態にする必要がないため、エンジンオイルEOの搭載量を削減することが可能になる。
各ロータ26L、26Rには、ロータ軸28L、28Rが設けられており、各ロータ軸28L、28Rの回転は所定のギア列からなる減速部29L、29Rにて減速されて図1に示した各ドライブ軸6L、6Rに伝達される。各減速部29L、29Rはオイルパン18に隣接するギア室30L、30Rに収められており、各ギア室30L、30Rには潤滑オイルであるオートマチックトランスミッションフルード(ATF)が封入されている。そのオイルレベルLvbは各ロータ26L、26Rの下端よりも下方に設定されている。これにより、各ロータ26L、26RにてATFが攪拌されることが防止されるため攪拌損失を抑制できる。
図3は図2の左側に位置するIII部の詳細を示した拡大図である。なお、車両1は左右対称であり、図2の右側の構造も左側と同じであるため、右側の構造の説明は省略する。図3に詳しく示したように、ステータ25Lはオイルパン18から内方に突出する取付部31にボルト止めされている。ステータ25Lには、そのコイルエンド27Lに溶接にて接合された一対のスリーブ32が設けられている。ステータ25Lの周囲はオイルパン18の内部に配置されたカバー33にて覆われており、そのカバー33にはエンジンオイルEOをステータ25Lに導くための複数の貫通孔33aが形成されている。
カバー33にはロータ26Lのロータ軸28Lの右側端部を軸受34を介して回転自在に支持する支持部35が設けられており、その支持部35はシール部材であるOリング36を介在させた状態でスリーブ31の内周に挿入されている。ロータ軸28Lの左側端部は、オイルパン18の側壁に形成された支持部38によって軸受39を介して回転自在に支持されている。支持部38も同様にシール部材であるOリング36を介在させた状態でスリーブ31の内周に挿入されている。これにより、ロータ26Lはその両側が2つの支持部35、38にて挟まれ、ステータ25Lと支持部35、38との間はOリング36でシールされる。このため、貫通孔33aを通じてカバー33の内部に流入したエンジンオイルEOがロータ26L側へ侵入することを阻止できる。即ち、ステータ25Lと2つの支持部35、38とによって、エンジンオイルEOのステータ25L側からロータ26L側への侵入を阻止することができる隔離空間SPが形成され、その隔離空間SP内にロータ26Lが設けられている。これにより、エンジンオイルEOが各ロータ26L、26Rによって攪拌されることがない。従って、オイルパン18内に貯留されるエンジンオイルを増やすことにより、各ステータ25L、25Rに対するエンジンオイルの供給量を増加しても、各ロータ26L、26Rによる攪拌損失の増加をもたらすことがない。
図1に示すように、車両1に搭載された内燃機関2及び各電動機3L、3Rの動作はコンピュータとして構成された車両制御装置40にて制御される。車両制御装置40の基本的な制御は公知の制御内容と同様であるので説明を省略し、以下、車両制御装置40が行う本発明に関連する特徴的な制御について説明する。
図4はエンジンオイルの油面が左右に傾いた状態を模式的に示した説明図である。車両1のコーナリング時などには、遠心力によって図4に示すようにエンジンオイルEOの油面が左右に傾いて、オイルレベルLvaが左右で相違することが起きる。その相違が許容範囲を超えた場合、図4に示したように左側のオイルレベルLvaが第1電動機3Lのステータ25Lよりも下方に位置してしまい、左側のステータ25Lの冷却が不十分になるおそれがある。特に、内燃機関2の停止中にはクランク軸16の掻き上げによるオイル供給が期待できないため、オイルレベルLvaの左右での相違による弊害が顕著となる。そこで、本形態においては、内燃機関2の停止時にオイルレベルLvaの左右差が生じた場合に車両制御装置40によって内燃機関2の運転を開始させている。
図5は車両制御装置40が行う制御ルーチンの一例を示したフローチャートである。このルーチンのプログラムは車両制御装置40のROM等の記憶装置にて保持されており、適時に読み出されて所定の間隔で繰り返し実行される。
ステップS1においては、内燃機関2を停止させた状態で各電動機3L、3Rを駆動源としている場合、つまりいわゆる電気走行モードであるか否かを判定する。電気走行モードである場合はステップS2に進み、そうでない場合は以後の処理をスキップして今回のルーチンを終了する。
ステップS2においては、オイルレベルLvaの左右差が許容範囲を超えているか否かを判定する。許容範囲の上限値は片方の電動機に対する冷却が不十分になることが顕在化する値を実験的に調査することにより定めることができる。オイルレベルLvaの左右差の判定は、オイルパン18の左右に一つずつレベルセンサを設け、これらレベルセンサの出力信号に基づいて行ってもよい。また、オイルレベルLvaの左右差は車両1の横方向(左右方向)の加速度に相関するため、車両1に加速度センサを装着し、その加速度センサの出力信号に基づいてオイルレベルLvaの左右差が許容範囲を超えているか否かを判定することもできる。その左右差が許容範囲を超えている場合はステップS3に進み、そうでない場合は以後の処理をスキップして今回のルーチンを終了する。
ステップS3においては、内燃機関2の運転が開始するように始動制御を実行し、その後今回のルーチンを終了する。始動制御の内容はクランキングを行いながら混合気を着火させる周知の方法である。
図5の制御によれば、オイルレベルLvaの左右差が許容範囲を超えた場合に内燃機関2の運転が開始されるので、クランク軸16の回転によってエンジンオイルを左右の電動機3L、3Rに掛け流すことができる。これにより、オイルレベルLvaが低い側のオイル供給を補うことができる。図5の制御を車両制御装置40が実行することにより、車両制御装置40は本発明に係る制御手段として機能する。
図6は車両制御装置40が行う他の制御ルーチンの一例を示したフローチャートである。この制御は電気走行モード時において、各ステータ25L、25Rの温度が高温で、かつその温度に対してオイルパン18の油温が所定値以上低い低温部が存在する場合、内燃機関2の運転を開始させるものである。このルーチンのプログラムの上記と同様に車両制御装置40の記憶装置に保持されており、適時に読み出されて所定の間隔で繰り返し実行される。
ステップS11においては、電気走行モードであるか否かを判定する。電気走行モードの場合はステップS12に進み、そうでない場合は以後の処理をスキップして今回のルーチンを終了する。
ステップS12においては、各コイルエンド27L、27Rの温度が閾値以上であるか否かを判定する。その温度の測定は各コイルエンド27L、27Rの少なくともいずれか一方に設けられた不図示の温度センサの出力信号に基づいて行われる。各コイルエンド27L、27Rの温度が閾値以上である場合はステップS13に進み、そうでない場合は以後の処理をスキップして今回のルーチンを終了する。
ステップS13においては、オイルパン18のエンジンオイル内に低温部が存在するか否かを判定する。この低温部は上記閾値に対して所定値以上低い温度を持つ部分として定義される。エンジンオイルの温度はオイルパン18の適所に設けられた不図示の油温センサの出力信号に基づいて測定され、その測定結果に基づいて低温部の存否が判定される。低温部が存在する場合はステップS14に進み、そうでない場合は以後の処理をスキップして今回のルーチンを終了する。
ステップS14においては、内燃機関2の運転が開始するように始動制御を実行し、その後今回のルーチンを終了する。図6の制御によれば、エンジンオイル内に低温部が存在する場合に内燃機関2の運転を開始させて各電動機3L、3Rへのオイル供給を補うため、各ステータ25L、25Rを効率的に冷却することができる。
(第2の形態)
次に、本発明の第2の形態を図7を参照して説明する。図7は、第2の形態に係る駆動装置が適用された車両を模式的に示した説明図である。以下においては、第1の形態と共通の構成には同一の参照符号を付して説明を省略する。第2の形態は第1の形態の改良に相当し、機関本体15のクランクケース41の側壁41aには各ステータ25L、25Rに向かって延びるガイド部材43L、43Rが設けられている。第2の形態は第1の形態と同一の効果を達成できる。それに加えて、左右一対のガイド部材45L、45Rが設けられているため、クランク軸16の回転に伴って側壁41aに衝突したエンジンオイルEOを各ステータ25L、25Rに導くことができるため、第1の形態に比べてより効率的に各ステータ25L、25Rを冷却することが可能になる。
(第3の形態)
次に、本発明の第3の形態を図8を参照して説明する。図8は、第3の形態に係る駆動装置が適用された車両を模式的に示した説明図である。以下においては、第1の形態と共通の構成には同一の参照符号を付して説明を省略する。第3の形態は第1又は第2の形態の改良に相当する。第3の形態は、オイルパン18の底部に設けられたストレーナ20を左側の第1電動機3Lのコイルエンド27Lに近接して配置したものである。第3の形態によれば、高温になり易いコイルエンド27Lに近接してストレーナ20が配置されているため、コイルエンド27Lにて加熱されたエンジンオイルが吸い込まれて内燃機関2の各部に送られるので、内燃機関2の暖機時間を短縮することができる。なお、図9は第3の形態の変形例を示している。図9に示すように、左側のコイルエンド27Lに対してストレーナ20Lを、右側のコイルエンド27Rに対してストレーナ20Rをそれぞれ配置することもできる。図9の形態によれば、図8の形態に比べて内燃機関の暖機時間を更に短縮することができる。
(第4の形態)
次に、本発明の第4の形態を図10及び図11を参照して説明する。第4の形態は上述した第1〜第3の形態のいずれかの形態と組み合わせて実施できる。以下においては、上記各形態と共通の構成には同一の参照符号を付して説明を省略する。図10は第4の形態に係る駆動装置の要部を示した説明図である。内燃機関2にはその各部をロングライフクーラント(LLC)等の冷媒にて冷却するため冷却装置50が設けられている。
冷却装置50は冷媒を循環させる冷却通路51と、冷媒を冷却するラジエータ52と、冷却通路51に設けられてラジエータ52への冷媒の流入を制限する位置とその流入を許可する位置との間で動作するサーモスタット部53と、サーモスタット部53を迂回するようにして冷却通路51に接続されたバイパス通路54とを備えている。また、冷却装置50にはサーモスタット部53及びバイパス通路54のそれぞれを迂回する結合通路55が設けられている。サーモスタット部53はワックスペレット型のサーモスタットとして構成されており、冷媒の温度変化に応答して冷却通路51を開閉動作するようになっている。サーモスタット部53にて冷却通路51が閉鎖されている場合、冷媒は結合通路55を介して破線の矢印で示したようにラジエータ52及びサーモスタット部53を迂回して循環する。冷却通路51は、各電動機3L、3Rのコイルエンド27L、27Rに近接して配置されている。更に、バイパス通路54にはこれを開閉する開閉弁56が設けられている。開閉弁56は電磁制御弁として構成されており車両制御装置40にて操作される。
第4の形態によれば、万が一サーモスタット部53が故障して冷却通路51が閉鎖された状態になった場合でも、開閉弁56を操作してバイパス通路54を開通させることにより冷媒をラジエータ52に流入させることができる。また、冷却通路51がコイルエンド27L、27Rに近接しているので、冷媒の昇温が促進される。このため内燃機関2の暖機時間の短縮に寄与できる。
次に、車両制御装置40が行う開閉弁56に対する制御について説明する。図11は第4の形態に係る制御ルーチンの一例を示したフローチャートである。このルーチンのプログラムは車両制御装置40の記憶装置に保持されており、適時に読み出されて所定間隔で繰り返し実行される。
ステップS21においては、内燃機関1の油温(エンジンオイルの温度)が閾値以上であるか否かを判定する。この閾値はサーモスタット部53が冷却通路51を開通させる温度に対応している。従って、この閾値未満の場合にはサーモスタット部53にてラジエータ52への冷媒の流入が制限される。油温が閾値以上の場合はステップS22に進み、開閉弁56を開弁させて今回のルーチンを終える。一方、油温が閾値未満の場合にはステップS23に進み、開閉弁56を閉弁させて、ステップS24に進む。
ステップS24においては、各コイルエンド27L、27Rの少なくとも一方の温度が閾値以上か否かを判定する。この閾値は電動機3L、3Rの故障を防止可能な許容範囲の上限温度として設定されている。各コイルエンド27L、27Rの温度は不図示の温度センサの出力信号に基づいて測定される。測定された温度が閾値以上の場合はステップS25に進む。一方、その温度が閾値未満の場合は以後の処理をスキップして今回のルーチンを終了する。
ステップS25においては、開閉弁56を開弁させてバイパス通路54を開通させる。これにより、ラジエータ52への冷媒の流入がサーモスタット部53にて制限されている状態であってもサーモスタット部53を迂回させて冷媒をラジエータ52に導くことができる。つまり、サーモスタット部53の動作状態に拘わらずにコイルエンド27L、27Rの冷却が優先されるため、各電動機3L、3Rの故障を未然に防止することができる。図11の制御ルーチンを車両制御装置40が実行することにより、車両制御装置40は本発明に係る弁制御手段として機能する。
本発明は上記の各形態に限定されず、種々の形態にて実施できる。上記の各形態では車両の左右に一つずつ合計2つの電動機が設けられているが、電動機の個数には格別の制限はない。従って、内燃機関と単一の電動機とを組み合わせた形態で本発明を実施することもできる。また、駆動源である内燃機関及び電動機から駆動輪に至る動力伝達経路の構成は任意であり、上述した各形態に限定されるものではない。
1 車両
2 内燃機関
3L、3R 電動機
16 クランク軸
18 オイルパン
20 ストレーナ
25L、25R ステータ
26L、26R ロータ
27L、27R コイルエンド
40 車両制御装置(制御手段、弁制御手段)
51 冷却通路
52 ラジエータ
53 サーモスタット部
54 バイパス通路
56 開閉弁
Lva オイルレベル
SP 隔離空間

Claims (7)

  1. 内燃機関及び電動機の少なくともいずれか一方を駆動源として車両を駆動する車両の駆動装置において、
    前記電動機は、前記内燃機関のオイルパンの内部に設けられたステータと、前記ステータの内周側に配置されたロータとを有し、
    前記ロータは、前記オイルパンに貯留されたエンジンオイルが前記ステータ側から前記ロータ側へ侵入することを阻止する隔離空間内に設けられていることを特徴とする車両の駆動装置。
  2. 前記内燃機関の停止時における前記オイルパン内のオイルレベルが、前記電動機の前記ステータに設けられたコイルエンドよりも上方に設定されている請求項1に記載の駆動装置。
  3. 前記電動機として、前記内燃機関のクランク軸よりも下方に位置しかつ前記クランク軸を基準として左右に設けられた2つの電動機が設けられている請求項1又は2に記載の駆動装置。
  4. 前記内燃機関を停止させた状態で前記2つの電動機を駆動源としている場合において、前記オイルパン内のオイルレベルが左右で相違しているときに、前記内燃機関の運転を開始させる制御手段を備える請求項3に記載の駆動装置。
  5. 前記オイルパンにはエンジンオイルを吸入するストレーナが設けられており、前記ストレーナは前記電動機の前記ステータに設けられたコイルエンドに近接して配置されている請求項1に記載の駆動装置。
  6. 前記内燃機関には、冷媒を循環させる冷却通路と、冷媒を冷却するラジエータと、前記冷却通路に設けられて前記ラジエータへの冷媒の流入を制限する位置とその流入を許可する位置との間で動作するサーモスタット部と、前記サーモスタット部を迂回するようにして前記冷却通路に接続されたバイパス通路と、が設けられており、
    前記冷却通路は、前記電動機の前記ステータに設けられたコイルエンドに近接して配置されており、
    前記バイパス通路には、前記バイパス通路を開閉する開閉弁が設けられている請求項1に記載の駆動装置。
  7. 前記サーモスタット部にて前記ラジエータへの冷媒の流入が制限されている状態で、前記ステータの温度が所定値を超えている場合、前記バイパス通路が開通するように前記開閉弁を制御する弁制御手段を備える請求項6に記載の駆動装置。
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