JP2010261534A - 車両用駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両用駆動装置3において、ケース3a内の潤滑必要部位へ安定的にオイルを供給可能としたうえで、ケース3a内のオイルレベルを必要に応じて調整可能とする。
【解決手段】車両用駆動装置3は、第1、第2タンク21,22、機械式オイルポンプ25、電動式オイルポンプ26、制御装置4を備える。第1タンク21には潤滑必要部位へオイルを供給するための排出口21a〜21cが設けられ、第2タンク22には第1タンク21に連通する連通路22aが設けられ、連通路22aには制御弁23が設けられる。制御装置4は、ケース3a内のオイル温度が規定値未満の場合に制御弁23を閉塞して電動式オイルポンプ26を作動することによりケース3a内のオイルレベルを基準より低く設定する処理と、オイル温度が規定値以上の場合に制御弁23を開放して電動式オイルポンプ26を非作動とすることによりケース3a内のオイルレベルを基準に設定する処理とを行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車等の車両に搭載される駆動装置に関する。特に、この車両用駆動装置は、ハイブリッド車両に搭載されるトランスアクスル等とされる。
従来から、自動変速機等のケース内のオイルレベルを必要に応じて調整することが考えられている(例えば特許文献1〜3参照。)。
特許文献1に係る従来例は、自動変速機において、変速機ケース上方にキャッチタンク21を設け、変速機ケース内のオイルを自動変速機内のギヤ2bの回転によりかき上げることによって、キャッチタンク21に導入させるようにし、このキャッチタンク21から変速機ケースへオイルを戻すための還流路22に切り替えバルブ23を設けた構成になっている。
この特許文献1に係る従来例の動作としては、段落0085〜0089に記載されているように、自動変速機の低変速段が選択されたときに切り替えバルブ23を開放して、キャッチタンク21からのオイル戻しを許容することにより、変速機ケース内のオイルレベルを上昇させる。また、自動変速機の高変速段が選択されたときに切り替えバルブ23を閉塞して、キャッチタンク21からのオイル戻しを停止することにより、変速機ケース内のオイルレベルを低下させる。
特許文献2に係る従来例は、ハイブリッド車両のトランスアクスル3において、アクスルケース3a上方にキャッチタンク21を設け、アクスルケース3aにおいて遊星歯車機構7および減速機構8が配置されるギヤ室S2内のオイルをギヤ15の回転によりかき上げることによって、キャッチタンク21に導入させるようにし、このキャッチタンク21のオイル供給路23,24にフロート弁機構31,31を設け、必要に応じてキャッチタンク21から、駆動源としてのモータ5,6が配置されるモータ室S1,S3へオイルを供給可能に構成している。
この特許文献2に係る従来例の動作としては、段落0056〜0060に記載されているように、モータ室S1,S3内のオイルレベルの変化に応じてフロート弁機構31,31が開閉することにより、モータ室S1,S3内のオイルレベルが、ある一定範囲に調整されるようになる。
特許文献3に係る従来例は、ハイブリッド車両のトランスアクスルにおいて、アクスルケース11上方にキャッチタンク56を設け、アクスルケース11内のオイルを電動オイルポンプ54でキャッチタンク56に導入させるようにし、このキャッチタンク56から駆動源としての第1、第2電動機MG1,MG2にオイルを供給して冷却させるように構成している。
この特許文献3に係る従来例の動作としては、段落0038〜0041に記載されているように、路面勾配θがゼロの際には油面位置h1を下限油面位置とし、登坂状態では油面位置h2を下限油面位置とし、降坂状態では油面位置h3を下限油面位置とするとともに、登坂状態では電動オイルポンプ54の流量を増加させることによりアクスルケース11内の現在油面位置H2を下限油面位置h2に近づけるようにし、降坂状態では電動オイルポンプ54の流量を低減させることによりアクスルケース11内の現在油面位置H3を下限油面位置h3に近づけるようにする。
特開2008−256187号公報 特開2008−286247号公報 特開2007−321927号公報
上記特許文献1〜3に係る従来例では、例えば変速機やトランスアクスル等の駆動装置のケース内におけるオイルレベルを必要に応じて高低調整することが可能であるものの、キャッチタンクからケースへのオイル戻しを完全に停止した場合には、キャッチタンク内のオイルを潤滑必要部位へ供給できなくなる。この他、上記特許文献1〜3に係る従来例では、例えば変速機やトランスアクスル等の駆動装置を冷間作動させる場合に、ケース内のオイルを可及的に減らしてオイル温度の上昇を促進させようとする技術思想はない。このような点で改良の余地がある。
ところで、特開2007−211593号公報には、内燃機関のオイルパン内に、メイン貯留室131とリザーバー室132と還流オイル貯留室133とを設け、それぞれの間のオイル流通を弁で制御するような構成が開示されている。ちなみに、この先行技術の段落0190には、自動変速機等にも適用可能であると記載されているが、その場合、自動変速機のケース内底部を前記のように複数に区画することになるので、本発明のようにケース上方にオイルキャッチタンクを設けるような構成とは明らかに相違している。このように、この先行技術は、本発明と発明の前提が相違しているので、本発明の従来例ではなく、単なる参考例にとどまるものである。
このような事情に鑑み、本発明は、車両用駆動装置において、ケース内の潤滑必要部位へ安定的にオイルを供給可能としたうえで、ケース内のオイルレベルを必要に応じて調整可能とすることを目的としている。
本発明は、変速機構がケース内に収納配置された車両用駆動装置であって、前記ケースの上方に設けられてオイルが導入される第1、第2タンクと、前記第1タンク内にケース内のオイルを導入するための機械式オイルポンプと、前記第2タンク内にケース内のオイルを導入するための電動式オイルポンプと、必要に応じて前記電動式オイルポンプを制御する制御装置とを備える。前記第1タンクには、内部の潤滑必要部位へオイルを供給するための排出口が設けられる。前記第2タンクには、前記第1タンクに連通する連通路が設けられる。この連通路には、オイル流通量を制御するための制御弁が設けられる。前記制御装置は、前記ケース内のオイル温度が規定値未満の場合に前記制御弁を閉塞して前記電動式オイルポンプを作動させることによりケース内のオイルレベルを基準より低く設定する処理と、前記ケース内のオイル温度が規定値以上の場合に前記制御弁を開放して前記電動式オイルポンプを非作動とすることによりケース内のオイルレベルを基準に設定する処理とを行う。
このような構成において、車両用駆動装置の作動に伴い機械式オイルポンプが作動されると、ケース内のオイルが第1タンク内に導入されるようになり、この第1タンクの排出口から潤滑必要部位(例えば変速機構等)へオイルが供給されるようになる。
そのような状態において、制御弁を閉塞して電動式オイルポンプを作動すると、ケース内のオイルが第2タンク内に導入されるようになって貯留されるので、ケース内のオイルレベルが低下することになる。一方、制御弁を開放して電動式オイルポンプを非作動にすると、ケース内のオイルが第2タンク内に導入されなくなり、その一方で第2タンク内に貯留されているオイルが連通路を経て第1タンクへ排出されるようになって、この第1タンクからケース内へ自然排出されるようになるので、ケース内のオイルレベルが上昇することになる。
そこで、例えば車両用駆動装置を冷間作動する場合のように、ケース内のオイルの温度が低い場合には、前記のようにしてケース内のオイルレベルが低下されるようになるから、ケース内のオイルの攪拌損失が低減されるとともに、オイル温度の上昇が促進されるようになる。
一方、ケース内のオイルの温度が所定の規定値以上になると、前記のようにしてケース内のオイルレベルが基準レベルに上昇されるようになるから、車両用駆動装置の潤滑必要部位が安定的に潤滑、冷却されるようになる。
好ましくは、前記ケース内には、車両の駆動源としてのモータがさらに収納配置され、前記第1タンクには、前記モータにオイルを掛けるための排出口がさらに設けられ、前記制御装置は、前記モータの温度が規定値以上に上昇した場合に前記制御弁を開放して前記電動式オイルポンプを作動させる処理をさらに行う。
この構成によれば、仮にモータにかかる負荷が増大することによってモータの温度が規定値以上に上昇した場合、電動式オイルポンプによりケース内のオイルが第2タンクに導入されることになり、この第2タンク内のオイルが連通路を通じて第1タンクに排出されることになって、この第1タンク内のオイルが排出口から自然排出されて前記モータに掛けられるようになる。このようにオイルがケースと第1、第2タンクとの間で循環されるので、モータに対するオイル供給量が増加することになって、モータが良好に冷却されるようになる。
本発明に係る車両用駆動装置は、ケース内の潤滑必要部位へ安定的にオイルを供給可能としたうえで、ケース内のオイルレベルを必要に応じて調整することが可能になる。
本発明に係る駆動装置としてのトランスアクスルを含むハイブリッド車両のパワートレーンを示す概略構成図である。 図1の要部の内部構成を模式的に示す図である。 図2の(3)−(3)線断面の矢視図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1から図3に、本発明の一実施形態を示している。まず、図1を参照して、本発明に係る駆動装置としてのトランスアクスルの概略構成について説明する。この実施形態では、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)方式のハイブリッド車両に搭載されるトランスアクスルを例に挙げている。
図中において、1は内燃機関(エンジン)、2は車輪、3はトランスアクスル、4はトランスアクスル3の制御装置である。
内燃機関1の運転に伴いクランクシャフト1aを回転駆動し、トランスアクスル3を介して車輪2を前進駆動または後進駆動させるようになっている。
トランスアクスル3は、主に発電機として機能する第1モータジェネレータ5と、主に電動機として機能する第2モータジェネレータ6と、遊星歯車機構7と、減速機構8と、デファレンシャル9とを含んで構成されている。これらの構成要素は、後で説明する。
制御装置4は、トランスアクスル3の各種の動作を統括制御するECU(Electronic Control Unit)とされ、CPU、ROM、RAM及びバックアップRAM等を含む、一般的に公知の構成とされる。
この制御装置4は、例えば、車両走行状況に応じて第1,第2モータジェネレータ5,6を発電機あるいは電動機として機能させるための処理、変速動作を制御する処理等を少なくとも実行するものであるが、この実施形態では、その他に、トランスアクスル3のケース3a内のオイルレベルを調整するための処理を実行する。
トランスアクスル3の各構成要素(5〜9)の構成やトランスアクスル3の動作は、基本的に公知の構成と同様であるので、ここでの詳細な説明を割愛して簡単に説明する。
第1、第2のモータジェネレータ5,6は、回転自在なロータ5a,6aと、ロータ5a,6aの外周に対し非接触で対向する状態でトランスアクスル3のケース3aに固定配置されるステータ5b,6bとを含んで構成されている。
ロータ5a,6aは、永久磁石等で構成され、また、ステータ5b,6bは、鉄心(符号省略)に回転磁界を形成する三相コイル(符号省略)を巻回した構成である。
この二つのモータジェネレータ5,6は、前記三相コイルに接続されるインバータ(図示省略)を制御装置4で制御することにより、発電機あるいは電動機として機能されるようになっている。
遊星歯車機構7は、内燃機関1からの動力を第1モータジェネレータ5と減速機構8とに分配するものである。この遊星歯車機構7は、シングルピニオンタイプとされており、サンギヤSと、リングギヤRと、複数のピニオンギヤPと、キャリアCAとを含む構成になっている。サンギヤSは、第1モータジェネレータ5のロータ5aに連結されており、リングギヤRは、第2モータジェネレータ6のロータ6aおよび減速機構8のドライブスプロケット12に連結されている。ピニオンギヤPは、サンギヤSとリングギヤRとの間に配置されてそれぞれに噛合されている。キャリアCAは、内燃機関1のクランクシャフト1aに連結されるインプットシャフト11に連結され、かつ複数のピニオンギヤPを回転自在に支持するものである。
減速機構8は、遊星歯車機構7から出力される動力を適宜の減速比で減速して、デファレンシャル9に伝達するもので、ドライブスプロケット12と、第1中間軸15に設けられたドリブンスプロケット13と、両スプロケット12,13に巻き掛けられるチェーン14と、第1中間軸15に設けられた減速用ギヤ16と、第2中間軸17に設けられた減速ギヤ18および出力ギヤ19とを含んでいる。
デファレンシャル9は、出力ギヤ19と噛合するデフリングギヤ9aから入力される動力を必要に応じて左右の車輪2,2に分配して伝達するものである。
このような構成のトランスアクスル3のケース3a内には、潤滑および冷却用のオイルが封入されている。このケース3aの底側に存在するオイルは、トランスアクスル3の構成要素(5〜9)における潤滑必要部位等に供給されるようになっている。この潤滑必要部位としては、少なくとも、遊星歯車機構7や減速機構8のギヤ間の噛合部分等が挙げられる。
一般的に、トランスアクスル3のケース3a内の初期オイルレベルを高めに設定すると、各ギヤの回転に伴うオイルの攪拌抵抗が増大してフリクションロスの増大が懸念される。かといって、ケース3a内の初期オイルレベルを低めに設定すると、潤滑必要部位へのオイル供給が不足することが懸念される。
このようなことから、前記初期オイルレベルを必要十分な高さに設定しておき、それを基準としてケース3a内のオイルレベルを必要に応じて調整可能とするように構成しているので、以下で詳細に説明する。
図2および図3に示すように、ケース3aの上方には、ケース3a内のオイルが導入される第1、第2タンク21,22が設けられている。
第1タンク21は、その底部と2つの側壁部との合計3箇所に、オイルの排出口21a,21b,21cが設けられている。底部の排出口21aは、潤滑必要部位としての遊星歯車機構7や減速機構8に向けてオイルを排出するように配置されている。一方側壁の排出口21bは、冷却対象としての第1モータジェネレータ5に向けてオイルを排出するように配置されている。他方側壁の排出口21cは、冷却対象としての第2モータジェネレータ6に向けてオイルを排出するように配置されている。
第2タンク22は、第1タンク21より小型に形成されており、第1タンク21の内側に第1タンク21に対して非接触で配置されている。これにより、第1タンク21のオイル貯留部は、その内面と第2タンク22の外面との対向空間となる。第1、第2タンク21,22のオイル貯留量は、適宜に設定される。
そして、第2タンク22の底部には、第2タンク22から第1タンク21へオイルを排出可能とするための連通路22aが設けられている。この連通路22aには、オイル流通量を制御するための制御弁23が設けられている。この制御弁23の開度は、制御装置4により制御される。
トランスアクスル3のケース3aの底側に存在するオイルは、トランスアクスル3のインプットシャフト11の回転に伴い作動される機械式のオイルポンプ25により第1タンク21に導入される他、必要に応じて電動式のオイルポンプ26により第2タンク22に導入されるようになっている。
このような、第1、第2タンク21,22と、制御弁23と、機械式のオイルポンプ25と、電動式のオイルポンプ26と、制御装置4とによって、トランスアクスル3のケース3a内のオイルレベルを調整するためのオイルレベル調整手段(符号省略)が構成されている。
次に、トランスアクスル3の動作に関連するオイル調整動作について説明する。
制御装置4は、温度センサ31の出力に基づいてケース3a内のオイルの温度を監視している。そこで、まず、トランスアクスル3が冷間作動された場合のように、ケース3a内のオイルの温度が予め規定される規定値未満の場合には、制御装置4がそれを検知し、制御弁23を閉塞するとともに、電動式オイルポンプ26を作動させる。なお、前記の規定値は、トランスアクスル3の暖機完了温度に適宜のマージンを加味して適宜に設定される。
これにより、ケース3a内のオイルが電動式オイルポンプ26により吸い上げられて第2タンク22内に導入されることになって貯留されるので、ケース3a内のオイルレベルが低下する。そのため、ケース3a内のオイルの攪拌抵抗が軽減されてトランスアクスル3のフリクションロスが低減されるとともに、ケース3a内のオイル温度の上昇が促進されるようになる。なお、第2タンク22内に所定量以上のオイルが貯留されて、ケース3a内のオイルレベルが基準より低い所定レベルにまで低下すると、制御装置4は、電動式オイルポンプ26の作動を停止させる。
このとき、機械式オイルポンプ25はトランスアクスル3の作動に伴い作動されているので、この機械式オイルポンプ25によりケース3a内のオイルが吸い上げられて第1タンク21内に導入され、この第1タンク21内のオイルが、3つの排出口21a〜21cからケース3a内に自然流出されることになって、遊星歯車機構7、減速機構8、第1、第2モータジェネレータ5,6に掛けられることになる。
そして、トランスアクスル3の暖機が終了した場合、つまりケース3a内のオイルの温度が前記規定値以上になると、制御装置4がそれを検知し、制御弁23を開放するとともに、電動式オイルポンプ26を非作動とする。
これにより、ケース3a内のオイルが第2タンク22内に導入されなくなり、その一方で、第2タンク22内に貯留されているオイルが連通路22aを経て第1タンク21へ自然排出されるようになって、第1タンク21から3つの排出口21a〜21cを経てケース3aへ自然流出されるようになるので、ケース3a内のオイルレベルが基準レベルにまで上昇することになる。このときも、機械式オイルポンプ25によりケース3aから第1タンク21内に導入されるオイルが、遊星歯車機構7、減速機構8、第1、第2モータジェネレータ5,6に必要十分な量だけ供給されることになる。
この他、車両が高速走行するような場合には、前記のようなトランスアクスル3の暖機完了後の状態と同じにされる。その場合でも、トランスアクスル3内のインプットシャフト11が高速回転するので、機械式オイルポンプ25の回転が上昇し、ケース3aから第1タンク21へのオイル導入量が増加するので、遊星歯車機構7、減速機構8、第1、第2モータジェネレータ5,6に対するオイル供給量が不足することはない。
さらに、車両が急登坂を走行する場合のように、第1、第2モータジェネレータ5,6の負荷が増加する場合には、第1、第2モータジェネレータ5,6の温度が上昇する傾向となる。そこで、制御装置4は、温度センサ32,33の出力に基づいて第1、第2モータジェネレータ5,6の温度を監視している。ここで、制御装置4は、第1、第2モータジェネレータ5,6の温度が予め規定される規定値以上に上昇したことを検知すると、制御弁23を開放して電動式オイルポンプ26を作動させる。なお、前記の規定値は、第1、第2モータジェネレータ5,6の動作保障温度(例えば性能が低下するときの温度)に適宜のマージンを加味して適宜に設定される。
これにより、電動式オイルポンプ26によりケース3a内のオイルが第2タンク22に導入されることになり、この第2タンク22から連通路22aを経て第1タンク21に自然排出されることになって、この第1タンク21内のオイルが3つの排出口21a〜21cを経てケース3aへ自然排出されるようになる。その一方で機械式オイルポンプ25からもケース3a内のオイルが第1タンク21に導入される。このようにしてオイルがケース3aと第1、第2タンク21,22との間で循環される。そのため、遊星歯車機構7、減速機構8、第1、第2モータジェネレータ5,6に対するオイル供給量が増加することになって、遊星歯車機構7、減速機構8、第1、第2モータジェネレータ5,6が良好に冷却されることになる。
以上説明したように、本発明を適用した実施形態によれば、トランスアクスル3内のオイルが比較的低温となる場合に、ケース3a内のオイルレベルを基準より低くすることにより、オイルによる攪拌抵抗を軽減しながら、オイルの温度上昇を促進することが可能になる。その他、車両の高速走行時においてもトランスアクスル3内の各部をオイルで安定的に潤滑、冷却する機能を確保することが可能になるとともに、第1、第2モータジェネレータ5,6の負荷が増加する場合に当該両モータジェネレータ5,6をトランスアクスル3内のオイルで積極的に冷却する機能を確保することが可能になる。
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲で包含されるすべての変形や応用が可能である。以下において変形例や応用例を説明する。
(1)上記実施形態では、第1、第2タンク21,22を内外2重に配置した例を挙げているが、本発明はこれに限定されるものでなく、例えば第1タンク21と第2タンク22とを隣り合わせに配置することが可能である。
具体的に、第1タンク21および第2タンク22は、図示していないが、単一の筐体の中央に隔壁を設けることにより、隣り合う2部屋に区画したような構成とすることが可能である。前記の隔壁にはオイルの流通路(22a)が設けられる。この流通路(22a)には、オイル流通量を制御するための制御弁(23)が設けられる。このように構成すれば、上記実施形態と同様の作用、効果を得ることが可能である。
(2)上記実施形態では、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両に搭載されたトランスアクスル3に対して本発明を適用した例を挙げているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばFR(フロントエンジン・リアドライブ)車両や、その他の形態の車両に搭載されるトランスアクスルや自動変速機等の駆動装置に対しても適用可能である。
1 内燃機関
3 トランスアクスル
3a トランスアクスルのケース
4 制御装置
5 第1モータジェネレータ
6 第2モータジェネレータ
7 遊星歯車機構
8 減速機構
21 第1タンク
21a 潤滑必要部位用の排出口
21b 第1モータジェネレータ冷却用の排出口
21c 第2モータジェネレータ冷却用の排出口
22 第2タンク
22a 連通路
23 制御弁
25 機械式オイルポンプ
26 電動式オイルポンプ

Claims (2)

  1. 変速機構がケース内に収納配置された車両用駆動装置であって、
    前記ケースの上方に設けられてオイルが導入される第1、第2タンクと、前記第1タンク内にケース内のオイルを導入するための機械式オイルポンプと、前記第2タンク内にケース内のオイルを導入するための電動式オイルポンプと、必要に応じて前記電動式オイルポンプを制御する制御装置とを備え、
    前記第1タンクには、内部の潤滑必要部位へオイルを供給するための排出口が設けられ、
    前記第2タンクには、前記第1タンクに連通する連通路が設けられ、この連通路には、オイル流通量を制御するための制御弁が設けられ、
    前記制御装置は、前記ケース内のオイル温度が規定値未満の場合に前記制御弁を閉塞して前記電動式オイルポンプを作動させることによりケース内のオイルレベルを基準より低く設定する処理と、前記ケース内のオイル温度が規定値以上の場合に前記制御弁を開放して前記電動式オイルポンプを非作動とすることによりケース内のオイルレベルを基準に設定する処理とを行う、ことを特徴とする車両用駆動装置。
  2. 請求項1に記載の車両用駆動装置において、
    前記ケース内には、車両の駆動源としてのモータがさらに収納配置され、前記第1タンクには、前記モータにオイルを掛けるための排出口がさらに設けられ、
    前記制御装置は、前記モータの温度が規定値以上に上昇した場合に前記制御弁を開放して前記電動式オイルポンプを作動させる処理をさらに行う、ことを特徴とする車両用駆動装置。
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