JP2010246449A - 風味が改善された大豆タンパク質含有の食肉または魚肉加工食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】食肉または魚肉加工食品が本来有する風味や呈味を損なうことなく、大豆タンパク質の不快な大豆臭や苦味、渋味が改善された大豆タンパク質を含有する食肉または魚肉加工食品、及びその風味改善方法を提供する。
【解決手段】大豆タンパク質を含む食肉または魚肉加工食品であって、食肉または魚肉加工食品中にモルトエキスを添加する。
【選択図】なし

Description

本発明は、風味が改善された大豆タンパク質含有の食肉または魚肉加工食品、及びその風味改善方法に関する。より詳細には、本発明は、大豆タンパク質由来の異臭が改善された大豆タンパク質含有の食肉または魚肉加工食品、及びその改善方法に関する。
近年、調理済み加工食品はその利便性により広く普及している。中でも、牛肉や豚肉などの畜肉を使用した食肉加工食品は数多くの製品が上市されている。ハンバーグやミートボールなどの挽き肉を利用した加工食品は、肉由来の硬い食感よりもソフトでジューシーな食感が好まれる傾向があり、また、近年の健康志向もあいまって、これら挽き肉を利用した加工食品に、挽き肉の添加量を減じて大豆タンパク質を併用することなどもよく検討されている(特許文献1〜3など)。
しかしながら、大豆タンパク質は、アルデヒド類、ケトン類、アルコール類などの成分により大豆特有の不快臭、いわゆる大豆臭があり、独特の青臭さが使用する飲食品の品質に悪影響を及ぼしている。したがって、大豆タンパク質を飲食品に用いる場合、大豆臭を低減することが従来より検討されている。例えば、大豆タンパク質の製造段階で大豆臭を除去あるいは低減する方法(特許文献4〜6)、飲食品に別途添加物を加え大豆臭をマスキングする方法(特許文献7,8)が提案されている。
上記の方法は、大豆臭除去に手間のかかる工程を経ていたり、大豆臭が気にならない程度まで低減されていなかったりと、依然問題点を解決するに至っていない。
特開2008−61592号公報 特開2002−238501号公報 特開平8−56615号公報 特開平6−276955号公報 WO2006/080426号公報 特開2007−274965号公報 特開平8−103225号公報 特開平10−66516号公報
本発明は、食肉または魚肉加工食品が本来有する風味や呈味を損なうことなく、大豆タンパク質の不快な大豆臭や苦味、渋味が改善された大豆タンパク質を含有する食肉または魚肉加工食品、及びその風味改善方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねていたところ、大豆タンパク質を含む食肉または魚肉加工食品中にモルトエキスを添加することにより、原料肉の呈味性に影響を与えることなく、大豆タンパク質の不快な風味が改善されることを見出した。
本発明は、以下の態様を有する食肉または魚肉加工食品に関する。
項1.モルトエキスを含むことを特徴とする、大豆タンパク質含有食肉または魚肉加工食品。
項2.大豆タンパク質を含む食肉または魚肉加工食品であって、モルトエキスを添加することを特徴とする、食肉または魚肉加工食品の風味改善方法。
項3.前記改善される風味が、大豆タンパク質由来の臭いである、請求項2に記載の食肉または魚肉加工食品の風味改善方法。
項4.モルトエキスを含有することを特徴とする、大豆タンパク質含有食肉または魚肉加工食品における風味改善剤。
本発明の大豆タンパク質含有の食肉または魚肉加工食品によれば、食肉や魚肉の使用量を抑えるために大豆タンパク質を添加した食肉または魚肉加工食品において、当該加工食品の風味を大きく損なう大豆臭を、原料肉の呈味性に影響を与えることなく低減することができ、以って、良好な味質や香質を備えた大豆タンパク質含有の食肉または魚肉加工食品を提供することができる。
本発明は、大豆タンパク質を含む食肉または魚肉加工食品であって、モルトエキスを添加することを特徴とする、食肉または魚肉加工食品、及び、食肉または魚肉加工食品の風味を改善する方法に関する。
本発明で言う食肉加工食品とは、食肉を加工した食品であれば特に限定はないが、例えば、ハンバーグ(パティ)、ソーセージ、ハム、ベーコン、ミートボール、肉ギョーザ、肉シューマイ、ロールキャベツ、メンチカツ、コロッケ、ナゲット等を挙げることができる。
本発明で使用する食肉としては、牛肉、豚肉等の畜肉、鶏肉等の家禽肉、猪肉、鹿肉、馬肉、羊肉、山羊肉、兎肉、鯨肉等の獣肉等食用に適する食肉であり、食用に適した肉であれば特に制限はない。
食肉を加工する態様としては、例えば、食肉を挽肉に加工する態様、ブロック肉にインジェクション等で加水する態様などが挙げられる。
本発明で言う魚肉加工食品とは、魚肉のすり身を加工した食品であれば特に限定はないが、例えば、魚肉ソーセージ、はんぺん、ちくわ、かまぼこ、つみれ、さつま揚げ等を挙げることができる。
また、本発明で使用する魚肉としては、スケトウダラ、イワシ、アジ、ミナミダラ、イトヨリ、タイ、サメ、サケ、マグロ、ヒメジ、ホッケ、イカ、えび等食用に適する魚肉であれば特に制限はない。
本発明で使用する大豆タンパク質は、大豆または脱脂大豆から抽出され、タンパク質濃度が高まったものであればよく、粉末状、粒状などの形状も問わない。なお、食肉または魚肉加工食品に使用する場合は、2〜5倍量程度の加水を行ってから使用するのが好ましい。本発明の食肉または魚肉加工食品中における大豆タンパク質の配合割合は、例えば3倍加水品を使用する場合、食肉または魚肉加工食品100質量部中1〜80質量部、好ましくは、10〜50質量部を挙げることができる。
食肉または魚肉加工食品中における大豆タンパク質(3倍加水品)と食肉または魚肉との配合割合については、使用する食肉または魚肉1質量部に対して、大豆タンパク質を0.01〜80質量部、好ましくは0.1〜10質量部を配合することが挙げられる。
本発明で使用するモルトエキスは、麦芽又はこれを焙煎したものから抽出した麦芽汁を糖化することにより得られるモルトエキスであれば特に限定されることなく使用することができる。好ましくは、麦芽又はこれを焙煎したものを水で抽出した麦芽汁を糖化したものを使用することができる。具体的には、麦芽又はこれを焙煎したものに対して0.5〜100倍、好ましくは5〜20倍量の水を用いて、室温〜100℃で30分間〜15時間、麦芽を浸漬し、必要に応じて攪拌することにより抽出、糖化されたモルトエキスを得ることができる。尚、かかるモルトエキスは液状、粉末状、ペースト状など使用形態は問わない。
モルトエキスの添加時期は、食肉または魚肉加工食品の製造工程のうち何時でも良いが、他の添加物の添加時期と同等とするのが好ましい。また、その添加量は対象食品によって異なるが、大豆タンパク質(3倍加水品)に対して、0.0001〜1.0質量%、好ましくは、0.005〜0.5質量%を挙げることができる。添加量が0.0001質量%より少ないと大豆タンパク質含有の食肉または魚肉加工食品の風味改善効果が充分でなく、1.0質量%より多すぎるとモルトエキスの香味が強く出すぎてしまう。
本発明の食肉または魚肉加工食品で前述以外に用いられる具材は、惣菜の製造に一般的に使用されるものであり、例えば、玉ねぎやキャベツ等の野菜類、調味料、香辛料、増粘多糖類等の食品添加物などを適宜挙げることができる。
また、本発明の効果に悪影響を与えない範囲で、モルトエキス以外にマスキング効果や呈味感を付与する甘味料、香料、調味料などを添加することができる。
甘味料としては、糖類として、例えば、砂糖、果糖、ブドウ糖、水飴、還元水飴、はちみつ、異性化糖、転化糖、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、テアンデオリゴ糖、大豆オリゴ糖等)、トレハロース、糖アルコール(マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、還元パラチノース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール等)、砂糖結合水飴(カップリングシュガー)を挙げることができるがこれらに限定されない。高甘味度甘味料としては、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、アリテーム、カンゾウ抽出物(グリチルリチン)、サイクラミン酸塩(ナトリウム)、サッカリン、サッカリンナトリウム、サッカリンカルシウム、スクラロース、ステビア抽出物、ステビア末、酵素処理ステビア、ネオテーム、ネオヘスペリジン・ジヒドロカルコン等の高甘味を有する甘味成分が挙げられるがこれらの限定されない。
また、マスキング効果のある物質として、紅茶パウダー、緑茶パウダーなど公知の食品素材も併用することができる。
本発明では、食肉または魚肉加工食品は、常法により調製することができる。例えば、原料の混合(混練)には、ミキサーなどにより行うことができ、成型はドラム式、プレート式、押し出し式などの成型方法を使用して行うことができ、加熱はスチーム加熱、焼成、ボイル、フライなどを挙げることができる。
以下に、実験例及び実施例を用いて本発明を更に詳しく説明する。ただし、これらの例は本発明を制限するものではない。なお、実施例中の「部」「%」は、それぞれ「質量部」「質量%」、文中「*」印は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、文中「※」印は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを意味する。
実験例1:ハンバーグの調製
下記および表1の処方に従って原料を混合して、1個につき50gを取って成型した後、170℃で片面1分ずつ焼成し、90℃10分間スチームを行い、ハンバーグを調製した。調製後のハンバーグを試食し、大豆タンパク質の不快臭について評価した。評価は3段階で行ない、×:不快臭が残存、○:不快臭が低減、◎:不快臭が非常に低減、という基準で評価した。その結果を表2に示す。
<ハンバーグ原料処方>
合い挽き肉(牛・豚) 45.0部
粒状大豆タンパク質(3倍加水品) 25.0部
玉ねぎ(収率80%ソテー) 10.0部
生パン粉 5.0部
水にて合計 100.0部。
Figure 2010246449
Figure 2010246449
上記表2の結果より、本発明品であるモルトエキスを加えたハンバーグは、モルトエキス自体の味や香りを全く感じることなく、原料肉の風味や呈味を維持しつつ、大豆タンパク質の不快臭及び苦味、渋味を非常に軽減することができ、大豆タンパク質が含まれていない一般的なハンバーグと遜色のない味を呈していた。この結果は比較例1のハンバーグと比べると顕著であり、比較例1のハンバーグは大豆タンパク質の不快臭が強く残っているものの、本発明品であるモルトエキスを加えたハンバーグは大豆タンパク質の使用が感じられない程度まで大豆臭が低減されており、モルトエキスによる良好な効果が示された。
実験例2:大豆タンパク質の割合が非常に多いハンバーグの調製
下記および表3の処方に従って原料を混合して、1個につき50gを取って成型した後、170℃で片面1分ずつ焼成し、90℃10分間スチームを行い、ハンバーグを調製した。尚、本実験例では、肉の割合を大幅に減らして大豆タンパク質を増量しているハンバーグを調製した。また、スパイス類等の大豆臭に対するマスキング効果を軽減するため、これらの使用量も減らした。さらには、モルトエキスの使用量を実験例1よりも少量にした。調製後のハンバーグを試食し、大豆タンパク質の不快臭について評価した。評価は実験例1と同様にして行った。
<ハンバーグ原料処方>
合い挽き肉(牛・豚) 20.0部
粒状大豆タンパク質(3倍加水品) 50.0部
玉ねぎ(収率80%ソテー) 10.0部
生パン粉 5.0部
水にて合計 100.0部。
Figure 2010246449
Figure 2010246449
上記表4の結果より、本発明品であるモルトエキスを加えたハンバーグは、モルトエキス自体の味や香りを全く感じることなく、大豆タンパク質の不快臭及び苦味、渋味を軽減することができた。本実験例のように食肉よりも非常に多い量の大豆タンパク質を添加する場合、モルトエキスの添加量が少量だと、マスキング効果は十分に発揮されるものの大豆タンパク質の不快臭が僅かに残ってしまう。しかしながら、それでも実施例3のハンバーグは、大豆タンパク質の配合量を大幅に増やしたものと思えないほど良好な味質および風味を呈していた。
実験例3:ミートボールの調製
下記および表5の処方に従って原料を混合して、1個につき15gを取ってボール状に成型した後、170℃で30秒間油調し、90℃でミートボールの中心部が75℃になるまでスチーム加熱し、ミートボールを調製した。調製後のミートボールを試食し、大豆タンパク質の不快臭について評価した。評価は実験例1と同様にして行った。
<ミートボール原料処方>
合い挽き肉(牛・豚) 37.0部
粒状大豆タンパク質(3倍加水品) 25.0部
玉ねぎ(収率80%ソテー) 10.0部
豚脂 8.0部
生パン粉 5.0部
水にて合計 100.0部。
Figure 2010246449
Figure 2010246449
上記表6の結果より、本発明品であるモルトエキスを加えたミートボールは、モルトエキス自体の味や香りを全く感じることなく、原料肉の風味や呈味を維持しつつ、大豆タンパク質の不快臭及び苦味、渋味を非常に軽減することができ、大豆タンパク質が含まれていない一般的なミートボールと遜色のない味を呈していた。この結果は比較例3のミートボールと比べると顕著であり、比較例3のミートボールは大豆タンパク質の不快臭が強く残っているものの、本発明品であるモルトエキスを加えたミートボールは大豆タンパク質の使用が感じられない程度まで大豆臭が低減されており、モルトエキスによる良好な効果が示された。
本発明により、大豆タンパク質の不快な味と風味がマスキングされた、大豆タンパク質を含む食肉または魚肉加工食品を提供することができる。

Claims (3)

  1. モルトエキスを含むことを特徴とする、大豆タンパク質含有食肉または魚肉加工食品。
  2. 大豆タンパク質を含む食肉または魚肉加工食品であって、モルトエキスを添加することを特徴とする、食肉または魚肉加工食品の風味改善方法。
  3. 前記改善される風味が、大豆タンパク質由来の臭いである、請求項2に記載の食肉または魚肉加工食品の風味改善方法。
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