しかしながら、このように構成した支持脚台を既設の洗濯機設置板の四隅部上に配設してその水平板上に、例えば、傾斜型洗濯機を設置した場合、この傾斜型洗濯機の洗濯物投入口の位置を縦型洗濯機における洗濯物投入口と略等しい位置にまで高くすることができるが、その上面が支持脚台の高さに相当する寸法だけ縦型洗濯機の上面よりも上方に位置することになる。
そのため、洗濯機の設置場所である洗面所や脱衣所の壁面から洗濯機に給水するための蛇口が突出している場合、縦型洗濯機であれば、壁面から小間隔を存して洗濯機設置板上に設置しても、その背面の上端から僅かに高い後方位置に蛇口を配置させた状態となって該蛇口からの給水が可能であるが、傾斜型洗濯機を洗濯機設置板の四隅部に配設した上記支持脚台上に設置した場合、その上面が上記蛇口の位置よりも高くなり、この傾斜型洗濯機の背面を壁面から小間隔を存した状態となるように設置しようとしても蛇口が邪魔になって設置することができないといった問題点が生じる。
傾斜型洗濯機の設置位置を上記位置よりも前方にすれば、その背面の上端後方側に上記蛇口を位置させた状態にすることができるが、上記既設の洗濯機設置板の前後方向の幅寸法は、予め、洗濯機の四方の脚体部がその周壁の四方内隅部における角部近接部分に位置するように設定されているため、傾斜型洗濯機を前方に移動させると、前側の脚体部が支持脚台の前端から外れて設置することができなくなる。また、既設の洗濯機設置板は床面に固定されているため前方に移動させることができなく、従って、洗濯機の設置場所の壁面から洗濯機に給水するための蛇口が突出している場合には、傾斜型洗濯機の設置が行えないといった問題点があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、既設の洗濯機設置用防水パンに傾斜型洗濯機や横型洗濯機を設置するに際して、設置場所の壁面に給水用の蛇口が設けられていても、その蛇口に邪魔されることなく、これらの洗濯機の設置位置を高くした状態で設置することができ、また、設置可能な面積を拡げて脚幅の広い大型洗濯機であっても容易に設置することができる洗濯機設置用防水パンにおける洗濯機嵩上げ台を提供するにある。
上記目的を達成するために本発明の洗濯機設置用防水パンにおける洗濯機嵩上げ台は、請求項1に記載したように、平面矩形状の洗濯機設置板の四隅部上面を洗濯機の支持面に形成していると共に上記洗濯機設置板の四方周縁に上方に向かって一定高さの周壁を突設してなる防水パンにおける上記四方の支持面上にそれぞれ設置する嵩上げ台であって、洗濯機の脚体部を支持する天板と、この天板の外周縁から下方に突設している周壁板とを備えていると共に、防水パンにおける上記支持面上に設置した際にその天板が防水パンの周壁から一定高さ上方に配置されるように形成してあり、さらに、これらの嵩上げ台のうち2つの嵩上げ台は、その天板における前端部と、この前端部に直角に連らなる外側端部とのいずれか一方を防水パンの周壁における隅角部の前端縁上方又はこの前端縁に直角に連なる外側端上方から前方又は外側方に張り出す張出天板部に形成した構造としている。
このように構成した洗濯機の嵩上げ台において、請求項2に係る発明は、上記嵩上げ台の天板における張出天板部の張出端から下方に向かって下端が洗濯機設置板の下面に達する周壁板部を突設していることを特徴とする。
さらに、請求項3に係る発明は、洗濯機設置板の四隅部に周壁よりも高さの低い固定台が一体に設けられていてこの固定台の上面を洗濯機の支持面に形成してあり、これらの固定台における各支持面と該支持面上に配設する嵩上げ台の下端との間に嵩上げ高さ調整用スペーサ部材を介在させるように構成している。
請求項4に係る発明は、上記各嵩上げ台における周壁板で囲まれた内部に天板の下面から格子状の補強枠を突設している一方、スペーサ部材の上面に上記補強枠の一部の枠内に挿脱可能に挿嵌させる係合突起部を突設していることを特徴とし、請求項5に係る発明は、スペーサ部材を上下二段に配設して、下段のスペーサ部材の上面に突設している係合突起を上段のスペーサ部材の下面に設けている凹部に挿脱可能に挿嵌させるように構成している。
また、請求項6に係る発明は、洗濯機設置板における前側の両側隅部上に配設する嵩上げ台の対向する内側周壁板部間にこれらの内側周壁板部間の空間部を閉止する横長長方形状の幕板を介在させ、この幕板の両側端面から後方に向かって突設している端面板に下方に向かって開口した係止凹部を設けて該係止凹部を嵩上げ台の対向する周壁板部に突設している係止片に上方から係脱自在に係合させるように構成している。
請求項1に係る発明によれば、洗濯機設置板の四隅部上に設置する嵩上げ台であって、洗濯機の脚体部を支持する天板と、この天板の外周縁から下方に突設している周壁板とを備えていると共に、防水パンにおける上記支持面上に設置した際にその天板が防水パンの周壁から一定高さ上方に配置されるように形成しているので、上記洗濯機設置板上に設置されている縦型洗濯機を傾斜型又は横型洗濯機に買い換え等を行った場合、それまで上記縦型洗濯機を設置していた既存の防水パンをそのまま使用して該防水パンの四隅部上にこの嵩上げ台を配設するだけで、簡単に傾斜型又は横型洗濯機設置用防水パンを構成することができると共に、該傾斜型又は横型洗濯機の洗濯物投入口を縦型洗濯機と同様に洗濯物の出し入れ等の作業が容易な高さに位置させることができる。
その上、洗濯機設置板の四隅部上に設置する上記嵩上げ台のうち、2つの嵩上げ台の天板における前端部と、この前端部に直角に連らなる外側端部とのいずれか一方を防水パンの周枠における隅角部の前端縁上方又はこの前端縁に直角に連なる外側端上方から前方又は外側方に張り出す張出天板部に形成しているので、この2つの嵩上げ台を洗濯機設置板の四隅部における前側の左右隅部上にその張出天板部を前方に突出させた状態にして配設することにより、傾斜型又は横型洗濯機を四方の嵩上げ台の水平板上に設置する場合に、これらの洗濯機の前側の左右脚体部を上記張出天板部上に支持させた状態にして洗濯機を洗濯機設置板上において前方にずらした位置に設置することができ、従って、洗濯機の設置場所である洗面所や脱衣所等の壁面から洗濯機に給水するための蛇口が突出していてもこの蛇口が邪魔になることなく、上記洗濯機を既設の洗濯機設置板上に簡単且つ確実に設置することができる。
さらに、上記張出天板部を備えた2つの嵩上げ台を、洗濯機設置板の一側部又は他側部の前後部において、その張出天板部を外側方に突設した状態で配設することにより、洗濯機の設置面積の横幅が拡がって脚幅の広い大型洗濯機も設置することができると共に、上記傾斜型又は横型洗濯機を横向けにして設置することも可能となる。また、上記のように張出天板部を前方に向けた状態で嵩上げ台を洗濯機設置板の前側の左右隅部上に配設した場合には前後方向の設置幅を拡げることができ、従って、洗濯機の背面側に蛇口が存在しない場合には前後の脚幅の広い大型洗濯機の設置が可能となるものである。
請求項2に係る発明によれば、嵩上げ台の天板における上記張出天板部の張出端から下方に向かって下端が洗濯機設置板の下面に達した周壁板部を突設しているので、嵩上げ台を妄動させることなく洗濯機設置板の隅角部上の所定の位置に確実に配設することができると共に、張出天板部上に掛かる洗濯機の荷重をこの周壁板部を介して洗濯機設置板の周壁隅角部上端面又は洗濯機設置板を設置している床面に強固に受止させることができ、従って、洗濯機を安定した状態で設置することができる。
また、請求項3に係る発明によれば、洗濯機設置板の四隅部に周壁よりも高さの低い固定台が一体に設けられていてこの固定台の上面を洗濯機の支持面に形成しているので、この固定台上に洗濯機を設置した場合に、この洗濯機の外底面と防水パンの洗濯機設置板との間にホース接続用のエルボ等を配設するための空間部を設けることができるのは勿論、各支持面と該支持面上に配設する嵩上げ台の下端との間に嵩上げ高さ調整用スペーサ部材を介在させるように構成しているので、床面からの固定台の高さが低い場合には、このスペーサ部材によって嵩上げ台上に設置される洗濯機の洗濯物投入口の高さ位置を洗濯物の出し入れ等の作業が容易な高さに簡単且つ正確に調整することができ、その上、洗濯機の外底面と防水パンの洗濯機設置板との間の上記空間部がさらに広くなって上記エルボ等の配設が容易になるばかりでなく、洗濯機の外床面と防水パンの周壁間の隙間も大きくなって該隙間を通じて洗濯機の下方の防水パンの清掃作業等が容易に行うことができる。
請求項4に係る発明によれば、上記各嵩上げ台における周壁板で囲まれた内部に天板の下面から格子状の補強枠を突設している一方、スペーサ部材の上面に上記補強枠の一部の枠内に挿脱可能に挿嵌させる係合突起部を突設しているので、スペーサ部材の上面に突設している係合突起部に嵩上げ台の格子状補強枠を嵌め込むことによって、嵩上げ台を簡単且つ正確な位置に配設することができ、洗濯機設置作業が能率よく行うことができる。
さらに、請求項5に係る発明によれば、上記スペーサ部材は上下二段に配設され、下段のスペーサ部材の上面に突設している係合突起を上段のスペーサ部材の下面に設けている凹部に挿脱可能に挿嵌させるように構成しているので、係合突起と凹部との嵌合によってこれらのスペーサ部材を簡単且つ正確に所望厚みのスペーサ部材に組み立てることができ、床面からの固定台の高さが低い防水パンに対して、これらのスペーサ部材を設置することにより、嵩上げ台上に設置される洗濯機の洗濯物投入口の高さ位置を洗濯物の出し入れ等の作業が容易な高さに簡単且つ正確に調整することができる。
また、請求項6に係る発明によれば、洗濯機設置板における前側の両側隅部上に配設する嵩上げ台の対向する周壁板部間にこれらの周壁板部間の空間部を閉止する横長長方形状の幕板を介在させ、この幕板の両側端面から後方に向かって突設している端面板に下方に向かって開口した係止凹部を設けて該係止凹部を嵩上げ台の対向する周壁板部に突設している係止片に上方から係脱自在に係合させるように構成しているので、両側に配した嵩上げ台間の空間部に上方から上記幕板を落とし込むようにしてその両端面に設けている係止凹部を嵩上げ台の係止片に簡単に係合させることができると共に、この幕板によって嵩上げ台間の空間部から露呈する防水パン内を隠蔽して体裁のよい防水パンを提供することができる。
その上、幕板を上方に引き上げることによって、簡単に取り外すことができ、取り外したあとの嵩上げ台間の広い隙間を通じて防水パンの洗濯機設置板上の清掃や排水口の点検等が容易に行うことができる。
次に、本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1は一般住宅等における洗面所や脱衣所等に配設されている既設の縦型洗濯機(図示せず)用防水パン10に本発明の嵩上げ台1等を組み入れて傾斜型又は横型洗濯機(以下、傾斜型洗濯機Aとして説明する)の設置用防水パンとした状態の斜視図、図2はその分解斜視図、図3は縦断側面図であって、上記既設の防水パン10は、FRPやABS樹脂などの硬質合成樹脂製成形体であり、洗濯機の横断面積よりも一回り大きい一定厚みを有する平面矩形状の洗濯機設置板11の四方周縁に上方に向かって一定高さと一定幅を有する周壁12を全周に亘って突設していると共に、図2に示すように、上記洗濯機設置板11の一側部中央に上下面間に亘って貫通した排水口13を設けている。
さらに、上記洗濯機設置板11の四隅部上に、ドラムを垂直状に内蔵している上記縦型洗濯機の外底面四方部に突設した脚体部(図示せず)を載せて該縦型洗濯機を支持する固定台14を一体に形成している。この固定台14の高さは上記周壁12の高さよりも低く形成されている。なお、固定台14の上面14a を洗濯機の支持面に形成しているが、洗濯機設置板11の厚みを厚くして固定台14を設けない構造とした場合には、この洗濯機設置板の四隅部上面が洗濯機の支持面となる。
上記固定台14の平面形状は円形状に形成しておいてもよいが、図においては四角形状に形成していて、その上面14a における外側の互いに直角に連なった端面を防水パン10の上記周壁12の内隅角部における直角に連なった内壁面に一体に連設させていると共に、防水パン10内に向けている内側の互いに直角に連なった端面には下方に向かって下端が洗濯機設置板11の上面に支持させた状態で連続させている互いに直角に連なった内壁面部14b 、14b を設けている。
このように構成した縦型洗濯機設置用防水パン10の洗濯機設置板11における四隅部上に配設して傾斜型洗濯機Aの設置用防水パンとして使用可能にする嵩上げ台1は、傾斜型洗濯機Aの脚体部aを支持する平面矩形状の天板2と、この天板2の外周縁、即ち、四方周縁から下方に向かって突設している下端が全面的に開口した矩形枠形状の周壁板3とを備えてなるものである。
さらに、上記全ての嵩上げ台1において、周壁板3における防水パン10内に向けている互いに直角に連なった周壁板部、即ち、前側の左右両側部に配する嵩上げ台1A、1Aにおいては互いに対向する内側周壁板部3aと後側周壁板部3b;後側の左右両側部に配する嵩上げ台1B、1Bにおいては互いに対向する内側周壁板部3aと前側周壁板部3cを全て同一高さに形成していると共に、これらの周壁板部3a〜3cの下端を防水パン10の四隅部に設けている固定台14の上面14a における内側の互いに直角に連らなった縁部、即ち、上記内壁面部14b、14b の上方に位置する縁部上に支持させて、その天板2が防水パン10の周壁12から一定高さ上方に配置されるように形成している。
なお、前側の左右両側部に配する嵩上げ台1A、1Aにおける上記互いに直角に隣接した内側周壁板部3aと後側周壁板部3bとの連設部と、後側の左右両側部に配する嵩上げ台1B、1Bにおける上記互いに直角に隣接する内側周壁板部3aと前側周壁板部3cとの連設部とは、直角の角部に形成することなく、図2に示すように、面取り状の壁部分を介して連続させた構造としているが、直角に連続させておいてもよい。また、周壁板3の高さは固定台14の外側端から上方に突設している防水パン10の周壁上端部の突出高さよりも高く形成されている。
一方、嵩上げ台1A、1Bの周壁板3における防水パン10の周壁12の隅角部側に設けられる互いに直角に連なった周壁板部において、即ち、前側の左右両側部に配する嵩上げ台1A、1Aにおいては前側周壁板部3Cと外側周壁板部3d;後側の左右両側部に配する嵩上げ台1B、1Bにおいては後側周壁板部3bと外側周壁板部3dとにおいては、上記前側の左右両側部に配する嵩上げ台1A、1Aにおける前側周壁板部3Cを除いて、下端が防水パン10の周壁12の上面に達するか該上面との間に僅かな隙間ができる程度の同一高さに形成されているが、防水パン10の前側の固定台14、14上に設置される上記嵩上げ台1A、1Aの前側周壁板部3Cにおいては、防水パン10の周壁12から前方に突設して該周壁12の前面を被覆すると共にその下端が防水パン10を敷設した床面に達するか、該床面との間に僅かな隙間を存する長さに形成されている。
詳しくは、これらの嵩上げ台1A、1Aの天板2において、その前端部を60mm程度、前方に張り出して天板2の前後方向の幅を広くすることにより前端が防水パン10の周壁12における隅角部の前端縁から前方に突出する張出天板部2aに形成してあり、周壁12の前面から前方に突出するこの張出天板部2aの張出端である前端から下方に向かって上記前側周壁板部3Cを垂下状態に突設していると共にこの前側周壁板部3Cの両側端に後方に向かって後端面が防水パン10の周壁12の前面に当接又は近接する側板片3C1 、3C1 を突設してあり、この側板片3C1 、3C1 の上端部を内外周壁板部3a、3dの前端に連設させている。
なお、これらの嵩上げ台1A、1Bにおける周壁板3において、防水パン10の四隅部に設けている上記固定台14から周壁12上に乗り上げる周壁板部、即ち、前側の嵩上げ台1Aにおいては、内側周壁板部3aの前端部と後側周壁板部3bの外側端部とを固定台14から突出する周壁12の高さだけL字状に切欠7し、後側の嵩上げ台1B、1Bにおいては、内側周壁板部3aの後端部と後側周壁板部3bの内側端部とを固定台14から突出する周壁12の高さだけL字状に切欠7している。
さらに、上記全ての嵩上げ台1(1A、1B)における周壁板3で囲まれた内部には、前後方向及び左右方向に一定間隔毎に並設してなる枠板片31、32を天板2の下面から下方に向かって垂直に突設することにより横断面格子状の補強枠30(図8参照)を設けてあり、これらの枠板片31、32の突出長は、その下端を防水パン10における周壁12や固定台14上に当接、支持させることができる長さに形成されている。即ち、固定台14上に対向する枠板片31、32の長さを防水パン10における周壁12上に対向する枠板片31、32の長さよりも長さ形成されてあり、少なくとも、固定台14上に対向する枠板片31、32の下端を該固定台14の上面に当接、受止させて、固定台14に嵩上げ台1A、1Bを支持させるように構成している。なお、上記枠板片31、32によって形成された格子状の補強枠30内には、これらの枠板片31、32によって囲まれた下端が開口した複数の矩形状凹部33が形成されている。
また、前後左右に隣接する嵩上げ台1A、1Bの対向する内側周壁板部3a、3aに上向きに開口したフック形状の係止片1a、1aを突設していると共に、天板2における内側隅角部の上面に後述する連結部材取付座部2bを凹設してあり、この取付座部2bに螺子孔2cを設けている。
さらに、前後左右に隣接する嵩上げ台1A、1Bにおいて、少なくとも前側に配設される左右の嵩上げ台1A、1Aにおける前側周壁板部3C、3Cの対向する内側面間に、これらの対向内側面間の空間部を閉塞し得る長さと高さを有する横長長方形状の幕板4を介在させるように構成している。この幕板4の上端に該上端から後方に向かって直角に屈折して、両端面が上記嵩上げ台1A、1Aの内側周壁板部3a、3aの上端部に接合してその上面を天板2に面一状に連続させる平面長方形状の上面板4aを突設してあり、この上面板4aの両端面から幕板4の両端面にかけて幕板4の縦幅に等しい端面板4b、4bを一体に設けて該端面板4b、4bに上記嵩上げ台1A、1Aの内側周壁板部3a、3aに設けている係止片1a、1aに上方側から係脱自在に係止する下方に向かって開口したU字状の切欠部4cを設けている。この切欠部4cに対する係止片1aの係止深さは傾斜型洗濯機Aの脚体部aの高さよりも浅く形成してあり、従って、防水パン10上に傾斜型洗濯機Aを設置した状態で幕板4の取り外しを可能にして防水パン10内に設けている排水口4等の点検や防水パン10の掃除等が容易に行えるように構成している。
なお、図においては、上記幕板4は、前後に対向する嵩上げ台1A、1Bにおける外側周壁板部3d、3dの対向面間にも介在させるようにしてあり、この場合には、幕板4をその長さを前後方向に向けて前後端面板4b、4bに設けているU状の切欠部4c、4cを嵩上げ台1A、1Bの前後に対向する周壁板部3b、3cに設けている係止片1a、1aに上方側から係脱自在に係止させるように構成している。
5は平面十字形状に形成された連結部材で、中央部から四方に突設している水平アーム部5aの先端を四方に配設された嵩上げ台1の天板2における内側隅角部に設けた上記取付座部2bに脱着可能に嵌合させて該先端部に設けている孔5bを通じて螺子6を取付座部2bの螺子孔2cに螺合させることにより、この連結部材5を介して四方の嵩上げ台1を一体に連結させるように構成している。
このように構成したので、洗面所や脱衣所の壁面Bから洗濯機に給水するための蛇口C(図4、図5に示す)が突出している洗濯機設置場所において、その床面上に固定されている防水パン10上に設置された傾斜型洗濯機Aを撤去したのち、この防水パン10を傾斜型洗濯機Aの設置用防水パンとして使用するには、縦型洗濯機を撤去した跡の防水パン10の洗濯機設置板11の四隅部上に設けられている上記前後左右の固定台14上にそれぞれ嵩上げ台1A、1Bを配設して、それぞれの嵩上げ台1A、1Bの天板2から下方に突設している補強枠30の下端を固定台14の上面に当接、支持させる。この際、後側の左右両側部の固定台14、14上に配する嵩上げ台1B、1Bは、その内側周壁板部3aと前側周壁板部3cとを固定台14の互いに直角に隣接する内側端縁部上と前側端縁部上とにそれぞれ配設し、後側周壁板部3bと外側周壁板部3dとを防水パン10の周壁12における後側の左右隅角部上に配設した状態にする。
さらに、前側の左右両側部の固定台14、14上に配する嵩上げ台1A、1Aは、その内側周壁板部3aと後側周壁板部3bとを固定台14の互いに直角に隣接する内側端縁部上と後側端縁部上とにそれぞれそれ配設すると共に、外側周壁板部3dの下端を防水パン10の周壁12における側壁部の前部上面上に配設する一方、天板2の張出天板部2aを周壁12における前側壁部の左右両側部からそれぞれ前方に突出させた状態にしてこの張出天板部2aの下面に突設している補強枠30における前端部側の枠板片31、32の下端を周壁板部12の上面に支持させると共に防水パン10の周壁12から前方に突出した前側周壁板部3Cによって周壁12の前面両側部を被覆した状態にする。
しかるのち、これらの嵩上げ台1A、1Bで囲まれた空間部上に十字形状の連結部材5を配してその四方のアーム部5aの先端を嵩上げ台1A、1Bの天板2における内側隅部に設けている取付座部2bに上方から嵌め込み、その先端部に設けている孔5bを通じて螺子6を上記取付座部2bに設けている螺子孔2cに螺締することにより、この連接部材5を介して四方の嵩上げ台1A、1Bを一体的に連結し、これらの嵩上げ台1A、1Bを防水パン10の四隅部の固定台14上に固定状態に定置させる。
さらに、前側の左右両側部の固定台14、14上に設置した嵩上げ台1A、1Aの前側周壁板部3C、3Cにおける対向する側板片3C1 、3C1 間の空間部に幕板4を上方から挿入して、この幕板4における両側端面板4b、4bに設けている切欠部4c、4cを上記嵩上げ台1A、1Aの対向する内側周壁板部3a、3aに突設している係止片1a、1aにそれぞれ係止させることにより、嵩上げ台1A、1Aの前側周壁板部3C、3Cにおける対向する側板片3C1 、3C1 間の空間部をこの幕板4によって閉塞する。この状態においては、幕板4の前面が嵩上げ台1A、1Aの前側周壁板部3C、3Cの前面に面一状に連続すると共にその下端面が防水パン10の周壁12における前側周壁部の上端面から前方に突出し、且つ、幕板4の上面板4aが嵩上げ台1A、1Aの天板2の前部と面一状に連続した状態となる。また、必要に応じて、防水パン10の両側部において、前後に対向する嵩上げ台1A、1Bの対向面間にも、上記同様にして幕板4を介在させる。
しかるのち、四方に配設した嵩上げ台1A、1B上に傾斜型洗濯機Aの外底面四隅部に突設している脚体部aをそれぞれ支持させることにより、傾斜型洗濯機Aを防水パン10上に設置する。この際、図4、図5に示すように、洗濯機の設置場所である洗面所や脱衣所の壁面Bから洗濯機に給水するための蛇口Cが突出しているので、この防水パン10上に設置していた上記縦型洗濯機の設置位置よりも傾斜型洗濯機Aを前方に移動させた位置、即ち、その背面が蛇口Cから前方に小間隔を存した位置に設置する。そうすると、傾斜型洗濯機Aの前側における左右の脚体部a、aが防水パン10の周壁12の前面両側部から前方に張り出している嵩上げ台1A、1Aの張出天板部2a、2a上に支持された状態となり、既設の防水パン10上への傾斜型洗濯機Aの安定した設置が可能となると共にその洗濯物の投入口を縦型洗濯物の投入口と略同じ高さ位置にすることができる。
次に、既存の防水パン10の洗濯機設置板11の四隅部に設けている上記固定台14の高さが低くて、この固定台14上に上記嵩上げ台1A、1Bを介して傾斜型洗濯機Aを設置しても、この傾斜型洗濯機Aの洗濯物の投入口の高さが所望の高さよりも低くなる場合には、図6、図7に示すように固定台14、14と嵩上げ台1A、1Bとの間に一定高さを有するスペーサ部材8を介在させる。
このスペーサ部材8は、嵩上げ台1A、1Bの天板2や固定台14の上面よりも一回り小さい矩形状の天壁板8aの四方周縁に下方に向かって一定高さの周壁板8bを突設していると共に上記天壁板8aの下面に図9に示すように、上記嵩上げ台1A、1Bと同様に前後方向及び左右方向に一定間隔毎に並設してなる枠板片81、82を下方に向かって突設することにより横断面格子状の補強枠80を設けてあり、これらの枠板片81、82の突出長を周壁板8bの高さに等しくして周壁板8bと共にその下端を固定台14上に当接、支持させるように構成している。さらに、スペーサ部材8の天壁板8aの上面に上記嵩上げ台1A、1Bの周壁板3内に設けている下向きに開口した矩形状凹部33内に挿脱可能に嵌合する複数個の係合突起部8cを突設している。
また、これらのスペーサ部材8の天壁板8aにおける上記防水パン10の周壁12の隅角部に対向する互いに直角に連なる2辺の端縁部には、上記周壁12の隅角部上面に載せる平面L字状の突壁部8dを設けてあり、この突壁部8dの上面に、該上面に対向する嵩上げ台1A、1Bにおける上記補強枠30の枠部下端を支持させるように構成している。
そして、上記既設の防水パン10のおける洗濯機設置板11の四隅部上に設けている上記前後左右の固定台14上に上記スペーサ部材8を載置したのち、これらのスペーサ部材8上に上記嵩上げ台1A、1Bを被せてその周壁板3内に設けている下向きに開口した上記矩形状凹部33をスペーサ部材8の天壁板8aの上面に突設している係合突起部8cに図8に示すように被嵌させることにより、このスペーサ部材8を介してこれらの嵩上げ台1A、1Bを防水パン10の四隅部に設けている上記固定台14上に上記実施例と同様な配置状態となるように配設し、しかるのち、十字形状の連結部材5によってこれらの嵩上げ台1A、1Bを上記同様にして一体に連結すると共に、少なくとも、前側の左右両側部の固定台14、14上に設置した嵩上げ台1A、1Aの前側周壁板部3C、3Cにおける対向する側板片3C1 、3C1 間に上記幕板4を介在させてその両側端に設けている切欠部4c、4cを上記嵩上げ台1A、1Aの対向する内側周壁板部3a、3aに突設している係止片1a、1aにそれぞれ係止させることにより取付ける。
このように、組み立てたのち、スペーサ部材8の高さだけ上記実施例よりも高位置に配設された四方の嵩上げ台1A、1Bの天板2上に傾斜型洗濯機Aの外底面四隅部に突設している脚体部aをそれぞれ支持させることにより、傾斜型洗濯機Aを防水パン10上に設置する。この際、上記同様に、蛇口が邪魔にならないように、縦型洗濯機の設置位置よりも傾斜型洗濯機Aを前方に移動させた位置、即ち、傾斜型洗濯機Aの前側における左右の脚体部a、aが防水パン10の周壁12の前面両側部から前方に張り出している嵩上げ台1A、1Aの張出天板部2a、2a上に支持させた状態となるように設置する。
次に、上記スペーサ部材8を使用しても防水パン10上に設置する傾斜型洗濯機Aの洗濯物の投入口の高さが所望の高さよりも低くなる場合には、図10に示すように、このスペーサ部材8を下段にしてさらにもう一枚のスペーサ部材9を上段に重ね合わせる。
この上段のスペーサ部材9は、下段のスペーサ部材8と略同一構造に構成されている。即ち、嵩上げ台1A、1Bの天板2や固定台14の上面よりも一回り小さい矩形状の天壁板9aの四方周縁に下方に向かって一定高さの周壁板9bを突設していると共に上記天壁板9aの下面に、上記下段のスペーサ部材8と同様に前後方向及び左右方向に一定間隔毎に並設してなる枠板片91、92を下方に向かって突設することにより横断面格子状の補強枠90を設けてあり、これらの枠板片91、92の下端を周壁板9bの下端と共に上記下段のスペーサ部材8上に当接、支持させるように構成している。さらに、スペーサ部材9の天壁板9aの上面に上記嵩上げ台1A、1Bの周壁板3内に設けている下向きに開口した矩形状凹部33内に挿脱可能に嵌合する複数個の係合突起部9cを突設していると共に、上記補強枠90を形成している枠板片91、92によって囲まれた下端が開口した矩形状凹部93に下側のスペーサ部材8の係合突起部8cを挿脱可能に嵌合させるように構成している。
また、これらのスペーサ部材9の天壁板9aにおける上記下段側のスペーサ部材8に設けた平面L字状の突壁部8dと対向する互いに直角に連なる2辺の端縁部には、この突壁部8dに上載する平面L字状の突壁部9dを設けてあり、この突壁部9dの上面に、該上面に対向する嵩上げ台1A、1Bにおける上記補強枠30の枠部下端を支持させるように構成している。
このように構成したので、上記既設の防水パン10のおける洗濯機設置板11の四隅部上に設けている上記前後左右の固定台14上に上下スペーサ部材8、9を積層状態で載置したのち、上段側のスペーサ部材9上に嵩上げ台1A、1Bを上記実施例と同様な配置状態となるように配設し、しかるのち、十字形状の連結部材5によってこれらの嵩上げ台1A、1Bを上記同様にして一体に連結すると共に、少なくとも、前側の左右嵩上げ台1A、1Aの対向内側面間に上記同様にして幕板4を介在、連結させる。
このように、組み立てたのち、四方の嵩上げ台1A、1Bの天板2上に傾斜型洗濯機Aを上記同様にその前側における左右の脚体部a、aが防水パン10の周壁12の前面両側部から前方に張り出している嵩上げ台1A、1Aの張出天板部2a、2a上に支持させた状態となるように設置する。
なお、以上の実施例において、前側の左右両側部に配する嵩上げ台1A、1Aの天板2の前後方向の幅を他の嵩上げ台1B、1Bの天板2よりも幅広くして張出天板部2aとし、この張出天板部2aの前端から下方に向かって前側周壁板部3Cを垂下状態に突設しているが、張出天板部2aを前側に設けることなく、この天板2における前端部に直角に連なる外側端部を外側方に張り出して防水パン10の洗濯機設置板11における周壁12の外側面から外側方に突出する左右方向に幅広くした張出天板部を形成し、この張出天板部の外側端から下方に向かって周壁板部を垂下状態で突出しておいてもよい。この場合、上記実施例で示した嵩上げ台1を、その張出天板部2a側を外側方に向けた状態にして防水パン10の一側部又は他側部における前後に対向する固定台14、14上に設置することができるように構成しておけばよい。
このように、防水パン10における洗濯機設置板11の一側部又は他側部の前後部から、張出天板部2aを外側方に突設した状態で嵩上げ台1、1を配設することにより、洗濯機の設置面積の横幅が拡がって脚幅の広い大型洗濯機も設置することができると共に、傾斜型又は横型洗濯機を横向けにして設置することも可能となる。
また、以上の実施例において、嵩上げ台1Aにおける上記張出天板部2aの前端から下方に向かって垂下状態に突設している前側周壁板部3Cの下端に、図11、図12に示すように緩衝部材21aを装着してこの緩衝部材21aを介して前側周壁板部3Cの下端を床面に受止させ、この緩衝部材21aによって嵩上げ台1A上に洗濯機を緩衝的に受止させると共に洗濯機の使用時発生する騒音が床面に伝達するのを緩和するように構成しておいてもよい。
この緩衝部材21aは、前側周壁板部3Cの下端部から両側板片3C1 、3C1 の下端部を挿嵌させる平面U字状の溝21a2 を有する合成樹脂製成形部21a1 と、この合成樹脂製成形部21a1 の少なくとも外底面に一定厚みを有するゴム板等の弾性板片21a3 を貼着してなるものである。
さらに、図11〜図13に示すように、防水パン10における洗濯機設置板11の四隅部上に設けている上記固定台14上に緩衝材15を介して嵩上げ台1A、1Bを支持させ、この緩衝材15によって嵩上げ台1A、1B上に洗濯機を緩衝的に支持させると共に洗濯機の使用時発生する騒音が床面に伝達するように構成しておいてもよい。
この緩衝材15は、上記嵩上げ台1A、1Bの下面に形成している横断面格子状の補強枠30における矩形状凹部33に嵌合可能な複数個の突部15a1を上面に突設してなる合成樹脂成形板材15a の下面に一定厚みを有するゴム板からなる弾性板15b を貼着してなるものであるが、図においては、上記突部15a1として、合成樹脂製成形板材15a の中央部に上端が天壁部によって閉止している円筒形状の突部15a1' を設けると共にこの円筒形状の突部15a1' の四方に、この円筒形状の突部15a1’側に面した内壁部を突部15a1' の周壁面に沿うように円弧状に形成している矩形状突部15a1を設けた構造を有する一方、嵩上げ台1A、1Bに設けている上記凹部33は、これらの円筒形状の突部15a1' と四方の矩形状突部15a1とを嵌合させる形状に形成されている。
さらに、この緩衝材15における上記円筒形状の突部15a1' の天壁部中央にビス取付孔16を設けると共に、このビス取付孔16と対向する嵩上げ台1A、1Bの凹部33にビス螺合孔17を設けてあり、緩衝材15の突部15a1、15a1' を凹部33に挿嵌させることによって嵩上げ台1A、1Bの下面に緩衝材15を取付けたのち、緩衝材15の弾性板15b の中央部に穿設しているビス挿入孔18からビス取付孔16にビス19を挿入して上記ビス螺合孔17に螺締させることにより、嵩上げ台1A、1Bの下面に緩衝材15を一体に固定させ、この状態にして防水パン10における上記固定台14上に緩衝材15を介して嵩上げ台1A、1Bを設置するように構成している。
なお、嵩上げ台1A、1Bの下面にスペーサ部材8を介在させる場合には、嵩上げ台1A、1Bの下面に上記緩衝材15を装着することなく、図14に示すように、嵩上げ台1A、1Bの下面にスペーサ部材8を装着し、このスペーサ部材8の下面に緩衝材15' を装着する。この緩衝材15' の構造は上記緩衝材15と同じ構造を有し、下面に弾性板15b'を貼着している合成樹脂製成形板材15a'の中央部に上端が天壁部によって閉止している円筒形状の突部15a1' を設けると共にこの円筒形状の突部15a1' の四方に、この円筒形状の突部15a1’側に面した内壁部を突部15a1' の周壁面に沿うように円弧状に形成している矩形状突部15a1を設けた構造を有する一方、スペーサ部材8の下面に設けている凹部83は、これらの円筒形状の突部15a1' と四方の矩形状突部15a1とを嵌合させる形状に形成されている。
嵩上げ台1A、1Bの下面に上記のようにスペーサ部材8、9を上下2段に装着する場合には、下段のスペーサ部材に上記緩衝材15' を装着する。いずれの場合においても、上記緩衝材15の弾性板15b'の中央部に穿設しているビス挿入孔18から円筒形状の突部15a1' の天壁部中央に設けているビス取付孔16にビス19を挿入してスペーサ部材の凹部に設けているビス螺合孔17にに螺締させることにより、スペーサ部材の下面に緩衝材15' を一体に固定させるように構成している。
また、上記実施例において、左右に隣接する嵩上げ台1A、1A間に配設する幕板4の取付構造としては、幕板4の両側端面板4b、4bに、上記嵩上げ台1A、1Aの内側周壁板部3a、3aに設けている係止片1a、1aに上方側から係脱自在に係にする下方に向かって開口したU字状の切欠部4cを設けた構造としているが、図11に示すように、幕板4の両側端面板4b、4bの前部にこの切欠部4cと同じ前後開口幅を有するU字状切欠部4c' を設けると共に、この切欠部4c' の上部から前方に向かって上記係止片1aを嵌入させる水平切込部4dを設けた構造としておいてもよく、このように構成しておくと、上記切欠部4c' 、4c' を対向する嵩上げ台1A、1Aの係止片1a、1aに上方から嵌め込んだ後、幕板4をその前面が左右嵩上げ台1A、1Aの前側周壁板部3Cの前面に面一状となるように後方に移動させて、その水平切込部4dを係止片1aに係合させることにより、幕板4が不測に浮き上がるのを防止した状態で配設することができる。
なお、上記いずれの実施の形態においても、嵩上げ台1における張出天板部2aに防水パン10における周壁12を被覆する周壁板部3Cを設けているが、このような周壁板部3Cを設けることなく、洗濯機Aの脚体部aを支持可能な張出天板部2aのみを設けておいても、本発明を満足させることができる。