上記特許文献1に記載の防水パンによれば、洗濯機を嵩上げすることができても、洗濯機からの排水は、床下空間部に配置させている防水パンを通じて排水管に導入するように構成しているので、洗濯機からの排水を床面上を通じて、例えば、洗面台の洗面ボウルから洗面台の下部空間内に向かって垂設している排水管や、集合住宅において洗濯機の背面側の壁の外側に設けられた縦排水管に所定の排水勾配でもって排水するように構成することはできない。
このため、従来から、上記のような洗面台を有する床面上に洗濯機を設置できるようにリフォームする際に、洗濯機の設置用防水パンを載置させることができる大きさを有する一定高さの矩形状台を形成すると共にこの矩形状台の周壁の一部に内外壁面間に亘って貫通した配管挿通孔を設け、この矩形状台を洗濯機の設置床面上に固定したのち、この矩形状台に防水パンを設置して、防水パンの底板に設けている排水接続口にその上端開口部を連通させた状態で装着した排水トラップの排水口の床面からの高さを、上記既存の洗面ボールの排水管や建物の壁外の縦排水管において床面よりも高い位置に設けられている配管接続口よりも高くなるように嵩上げし、排水トラップの排水口から上記配管接続口に排水用配管を斜め下方に傾斜した状態となるように接続している。
しかしながら、上記のように、排水トラップの排水口の床面からの高さを嵩上げするには、洗濯機のサイズに応じて上記矩形状台を現場等において形成する煩わしい作業を必要とする上に、防水パンの底板に設けている排水口に対する排水トラップの装着作業や、矩形状台の周壁の一部に設けている配管挿通孔を洗面ボウルの排水管や壁外の縦排水管側に向けてこの配管挿通孔に排水用配管を挿通し、この排水用配管により排水トラップと洗面ボウルの排水管、或いは壁外の縦排水管とを接続する作業も煩雑となって、洗濯機の設置に手間を要するといった問題点があった。
さらに、上記矩形状台のサイズや外観を洗濯機設置用防水パンのサイズや外観にマッチさせることが困難で洗濯機を設置した際に外観等を損なうといった問題点がある。
一方、上記特許文献2においては、防水パンは排水接続口を設けている底面部の周囲に周壁部を立設したパン部と、このパン部の下面四隅部に上面を連結固定した架台とを備えてなり、この架台で囲まれた空間部に排水トラップを収容可能に構成しているので、防水パンを床面上に設置した状態においては、排水トラップの排水口を床面上に位置させることができるが、この排水トラップの排水口の床面からの高さが、必ずしも,その排水口から排水管に向かって排水用配管を斜め下方に傾斜した状態となるように接続可能な高さにならず、排水用配管が排水トラップの排水口から排水管に向かって水平状若しくは斜め上方に傾斜した接続状態となる場合が生じて、洗濯機から排水管への排水が円滑に行われなくなるといった問題点があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、洗濯機設置用防水パンを嵩上げして、この防水パンの排水口に接続した排水トラップの排水口からの排水が排水用配管を通じて斜め下方に傾斜した勾配でもって排水可能にすると共に、防水パンの設置作業や排水用配管の接続作業等が容易に且つ正確に行え、さらに、サイズの異なる洗濯機設置用防水パンに適合するサイズに容易に変更可能とし、且つ、その防水パンの外観にマッチした外観を呈する洗濯機設置用防水パンの嵩上げ用台を提供するにある。
上記目的を達成するために本発明の洗濯機設置用防水パンの嵩上げ用台は、請求項1に記載したように、排水接続口を設けた矩形状の底板部の周縁部に周壁を突設していると共に、上記底板部の四隅部に洗濯機の設置台を設け、且つ、底板部の下面四隅部から下方に向かって、床板部の下方に排水トラップが収容可能な空間部を設けることができる高さを有する脚部を突設していると共に隣接する脚部間に排水トラップの排水口に接続する接続配管の挿通用開口部を設けてなる防水パンの嵩上用台であって、高さが、上記防水パンの底板部に設けている排水接続口に装着した排水トラップの排水口の床面からの高さをこの排水口から接続配管を通じて排水する排水管の接続口よりも高くなるように嵩上げすることができる高さを有し、且つ、上面が、上記防水パンの四方の脚部をそれぞれ重ね合わせ状態で載置させる載置面に形成された平面矩形状の4つの架台と、隣接する架台の対向部にその両端部を着脱自在に連結させるフレーム部材とからなることを特徴とする。
このように構成した洗濯機設置用防水パンの嵩上げ用台において、請求項2に係る発明は、前後左右に隣接する架台間を連結するフレーム部材として、同一長さを有する4個のフレーム部材と、これらのフレーム部材の長さよりも長い2個の長尺フレーム部材とが準備されていて、この長尺フレーム部材よりも短い上記同一長さの4個を使用して隣接する架台間を連結することにより平面正方形状の防水パンと同一サイズの嵩上げ用台を組み立てるように構成している一方、上記長さが短い2個のフレーム部材と上記2個の長尺フレーム部材とを使用して隣接する架台間を連結することにより、平面長方形状の防水パンと同一サイズの嵩上げ用台を組み立てるように構成していることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、上記架台は平面矩形状に形成されていて、一方の対角線上で対向する対角部にフレーム部材の端部を嵌合、固定させる凹部を形成してあり、他方の対角線上で対向する対角部の外周壁面は、四方の隅角部の形状が互いに異なる二種の防水パンの隅角部にそれぞれ適合した形状に形成していることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、防水パンにおける隣接する脚部間に設けている接続配管の挿通用開口部は、接続配管を挿通した開口部以外の開口部を、外面が防水パンの四方周壁面に面一状に連続する扉によって開閉自在に閉止していることを特徴とする。
また、請求項5に係る発明は、隣接する架台間を連結したフレーム部材は、上下幅が架台の高さに等しい横長長方形状の幕板部の両端部を架台に設けている凹部に嵌合、固定させる連結用端部に形成してあり、上記幕板部の外面は隣接する架台の外周壁面に面一状に連続させていて架台の外周壁面と幕板部の外面とによって形成された嵩上げ用台の外周壁面を化粧材によって被覆していることを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、排水接続口を設けた矩形状の底板部の周縁部に一定高さの周壁を突設していると共に、上記底板部の四隅部に洗濯機の設置台を設け、且つ、底板部の下面四隅部から下方に向かって、床板部の下方に排水トラップが収容可能な空間部を設けることができる高さを有する脚部を突設していると共に隣接する脚部間に排水トラップの排水口に接続する接続配管の挿通用開口部を設けてなる防水パンの嵩上げ用台であって、この嵩上げ用台の高さ(厚み)によって嵩上げ用台上に設置した上記防水パンに設けている排水トラップの排水口の床面からの高さがこの排水口から接続配管を通じて排水する排水管の接続口よりも高くなるように洗濯機を嵩上げできるので、防水パンの底板部の下方空間部に配設されている上記排水トラップの排水口と、洗面台の洗面ボウルの排水管や洗濯機の背面側の壁の外側に設けられた縦排水管に設けている接続口とを、排水勾配がこの接続口に向かって斜め下方に傾斜するように排水用配管によって接続することができる。
従って、洗濯機からの排水が排水トラップの排水口から上記排水用配管を通じて排水管に円滑に排出することができると共に、洗濯機を設置させた防水パンの底板部の下面四隅部から下方に向かって突設している脚部において、隣接する各脚部間に排水トラップの排水口に接続する接続配管の挿通用開口部を設けているので、上記排水管が洗濯機の後方或いは左右側方に設けられていても、この排水管側に排水トラップの排水口を向けて、この排水口と排水管に設けている接続口とを排水管側に向かって開口している上記挿通用開口部を通じて接続配管の接続作業が容易に且つ正確に行うことができる。
さらに、上記接続配管を挿通していない他の開口部が点検口となって、この開口部を通じての接続配管の配設後における排水テスト時の湧水確認や排水トラップの接続部分の点検等が容易に行える。
また、上記嵩上げ用台を構成する4つの架台の上面は、上記防水パンの四方の脚部をそれぞれ重ね合わせた状態で載置させる載置面に形成されているので、防水パンの四方周壁面における四方隅部の外周壁面を形成している防水パンの四方の脚部における直角に隣接した外周壁面と架台の四方の架台における直角に隣接する外周壁面との形状が合致して最小スペースで嵩上げが可能となる。
その上、上記嵩上げ用台における隣接する架台の対向する端部間をフレーム部材によって着脱自在に連結しているので、所定の長さサイズに形成されたフレーム部材を使用することにより、サイズの異なる洗濯機設置用防水パンに応じてそれぞれの防水パンのサイズに適合するサイズの台を簡単に組み立てることができると共に、嵩上げ用台上に段差を生じせることなく防水パンを載置させることができ、従って、防水パンよりも大きめの嵩上げ用の台を施工した場合のように、段差上に塵埃が堆積したり、防水パンからはみ出している嵩上げ用台の端部で足をぶっつけたりする虞れをなくすることができる。
請求項2に係る発明によれば、前後左右に隣接する架台間を連結するフレーム部材として、同一長さを有する4個のフレーム部材と、これらのフレーム部材の長さよりも長い2個の長尺フレーム部材とが準備されていて、この長尺フレーム部材よりも短い上記同一長さの4個を使用して隣接する架台間を連結することにより平面正方形状の防水パンと同一サイズの嵩上げ用台を組み立てるように構成している一方、上記長さが短い2個のフレーム部材と上記2個の長尺フレーム部材とを使用して隣接する架台間を連結することにより、平面長方形状の防水パンと同一サイズの嵩上げ用台を組み立てるように構成しているので、設置スペースの狭い床面上に設置される全自動洗濯機の標準的な大きさに対応したサイズの防水パンの嵩上げ用台と、この嵩上げ用台よりも横長、又は縦長の嵩上げ用台とのいずれかを簡単に得ることができる。
この場合、横長、又は縦長の防水パンに適合する嵩上げ用台を組み立てれば、排水トラップを接続させている接続口を設けた防水パンの底板部の縁部を、防水パン上に設置した洗濯機の底部に対して外方に突出させた状態にすることができ、従って、排水トラップの点検や洗浄等が容易に行えると共に、この突出した周縁部の上方空間を利用して風呂水排水ホースや雑巾などの洗浄具等を収納することができる。
請求項3に係る発明によれば、上記嵩上げ用台を構成する4つの架台は、平面矩形状に形成されていて、一方の対角線上で対向する対角部にフレーム部材の端部を係合させてネジ止めさせる凹部を形成してあり、他方の対角線上で対向する対角部の外周壁面は、四方の隅角部の形状が互いに異なる二種の防水パンの隅角部にそれぞれ適合した形状に形成しているので、防水パンの隅角部に適合する架台における一方の対角部を外側に向けた状態にして隣接する架台の対向する隅角部に設けている凹部間をフレーム部材により連結すれば、防水パンの四隅部の外周面と嵩上げ用台における四方の架台の外周面とを上下方向に面一状に連続させた優れた外観を得ることができる。
さらに、隅角部の外周壁面が上記とは異なる防水パンに四隅部の外周面が適合する嵩上げ用台を組み立てる際には、対角部に上記凹部を形成している対角線を、架台の中心回りに180度、平面方向に回動させれば、この防水パンの隅角部に適合する架台における他方の対角部を外側に向けることができ、この状態にして隣接する架台の対向する隅角部に設けている上記凹部間をフレーム部材により連結すれば、防水パンの四隅部の外周面と嵩上げ用台における四方の架台の外周面とを上下方向に面一状に連続させた状態にすることができる。
いずれの場合においても、平面矩形状に形成された架台における一方の対角線上の対角部には、フレーム部材の端部を嵌合させてネジにより固定する凹部を形成しているので、この凹部にフレーム部材の端部を係合させて簡単且つ正確に所定サイズの嵩上げ用台を組み立てることができる。
請求項4に係る発明によれば、防水パンにおける隣接する脚部間に設けている接続配管の挿通用開口部は、接続配管を挿通した開口部以外の開口部を、外面が防水パンの底板部の周縁部に突設している周壁の外面及び隣接する脚部の外周壁面に面一状に連続する扉によって開閉自在に閉止しているので、防水パンの内部を扉によって隠蔽して体裁のよい外観を呈する防水パンを提供することができる。
さらに、請求項5に係る発明によれば、隣接する架台間を連結した上記フレーム部材は、上下幅が架台の高さに等しい横長長方形状の幕板部の両端部を架台に設けている凹部に嵌合、固定させる連結用端部に形成してあり、上記幕板部の外面を隣接する架台の外周壁面と面一状に連続させているので、この架台の外周面と上記防水パンの外周面とが周方向及び上下方向に面一状に連続させた外観を呈するように組み合わせることができ、その上、架台の外周壁面と幕板部の外面とによって形成された嵩上げ用台の外周壁面を化粧材によって被覆しているので、見栄えのよい優れた外観を呈する洗濯機設置用防水パンの嵩上げ用台を提供することができる。
本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1~図4において、防水パン10を嵩上げするための台1は、防水パン10の四方の脚部11をそれぞれ重ね合わせ状態に載置させる平面矩形状の4つの架台2と、前後方向及び左右方向に隣接する架台2、2の対向部間を連結する4本のフレーム部材3とからなる。なお、嵩上げ用台1及び防水パン10は、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂からなる成形品である。
この嵩上げ用台1の平面形状の大きさは防水パン10の平面形状の大きさと同じサイズに形成されていてこの嵩上げ用台1上に上記防水パン10を重ね合わせ状態となるように設置可能に構成していると共に、その高さ(上下端間の厚み)は、上記防水パン10上に設置する洗濯機Aからの排水が、後述するように、防水パン10に装着している排水トラップ20から接続配管Cを通じて排水管Dに円滑に流動させることができるように防水パン10を嵩上げする高さに形成されている。
上記防水パン10の嵩上げ用台1を構成する4つの架台2は、同大、同形に形成されてあり、前後端面間の寸法と左右端間の寸法とが同一寸法の平面矩形状(正方形)の上面壁部2aとこの上面壁部2aの四方端縁から下方に向かって垂直状に突設している一定高さを有する四方周壁部2bとを備えてなり、この四方周壁部2bの高さが台1の高さとなる。
さらに、矩形状の架台2の互いに直交する2つの対角線上で対向する対角部において、一方の対角線上で対向する対角部には、上記フレーム部材3の端部を係合させてネジ止めにより固定することができる同大、同形(正方形)の凹部4、4が形成されてあり、他方の対角線上で対向する対角部は、その外周壁面、即ち、対角部を形成する互いに直角に連なる周壁部2bの角部の壁面を曲率半径の小さい円弧状壁面5とこの円弧状壁面5よりも曲率半径の大きい円弧状壁面6とにそれぞれ形成されている。
これらの円弧状壁面5、6は、四方の隅角部の外周壁面の形状が互いに異なる二種類の防水パンにそれぞれ適合する壁面に形成されている。即ち、四方の隅角部が上記架台2における曲率半径の小さい円弧状壁面5に等しい曲率半径を有する防水パンと、四方の隅角部が上記架台2における曲率半径の大きい円弧状壁面6に等しい曲率半径を有する防水パンとにそれぞれ適合させるように構成している。
上記架台2における一方の対角線上で対向した対角部に形成している凹部4は、架台2の隅角部を上面から高さ方向の中程に亘る部分を切除してなる一定深さの凹部に形成されてあり、その底面中央部にフレーム部材3の端部を連結、固定させるための螺着用の孔4aを設けている。さらに、架台2における対角線上で対向した対角部の上面には、防水パン10を固定するための螺着用の孔4b、4cが設けられている。また、架台2の上面壁部2aの中心部(中央部)には上下面間に亘って下部が小径となったネジ取付用孔7が貫通した状態で設けられている。
隣接する架台2、2間を連結する上記フレーム部材3は、上下幅が架台の高さに等しく、且つ、一定厚みを有する横長長方形状の幕板部3aの両端部に、上記架台2に設けている凹部4に嵌合させて上記螺着用の孔4aにネジ止めにより固定される連結用端部3b、3bを設けている。
この連結用端部3bは、幕板部3aの端部の上半部から幕板部3aを延長する方向に突設されていて、架台2に設けている凹部4に嵌合した状態においてはその上面を架台2の上面に面一状に連なるように形成されてあり、さらに、この上面の外端縁から下方直角に屈折してなる垂直な外面は、幕板部3aの外面に面一状に連続していると共に、その外面の高さは上記凹部4の深さに等しい寸法に形成され、且つ、幕板部3aからの突出長さは凹部4の幅に等しく形成されていて、この外面を幕板部3aの外面と共に架台2の周壁部2bに面一状に連続するように構成している。
また、上記フレーム部材3の連結用端部3bの上面中央部には,ネジ取付用孔8が設けられてあり、隣接する架台2、2の対向する凹部4、4にフレーム部材3の両端の連結用端部3b、3bを嵌め込んで係止させ、タッピングネジ9の先端部をネジ取付用孔8から凹部4の底面中央部に設けている上記螺着用孔4aにねじ込むことによってフレーム部材3の連結用端部3bを凹部4に固定し、このフレーム部材3によって架台2、2を一定の間隔を存した状態で連結している。
同様にして、他の前後方向及び左右方向に所定間隔を存して隣接する架台2、2の対向する凹部4、4間をフレーム部材3によって連結することにより防水パン10の嵩上げ用台1が組み立てられる。
この嵩上げ用台1においては、図1、図4に示すように、前後左右に隣接する架台2、2間を連結した四方のフレーム部材3として、長さが同じ4本のフレーム部材3を使用してあり、設置スペースの狭い床面B上に設置される洗濯機Aの標準的な大きさに対応したサイズ、具体的には横幅と縦幅が640mm×640mmのサイズに形成されている。
この嵩上げ用台1上に重ね合わせ状態にして載置、固定される防水パン10は、横幅と縦幅(左右の幅と前後の幅)とが等しい平面矩形状の底板部12の四方周縁部に一定高さの周壁13を突設してパン部を形成していると共に、底板部12の四隅部上に洗濯機Aの設置台14を設けてあり、さらに、底板部12の下面四隅部から下方に向かってこの底板部12の下面側に装着される排水トラップ20の高さよりも高い脚部15を突設して底板部12の下方に排水トラップ20が収容可能な空間部を設けていると共に、この防水パン10の四方外周壁面15における前後左右に隣接する脚部11、11間の中央壁面部の下部に排水トラップ20の排水口20a
に接続するための接続配管Cの挿通用開口部17を設けている。なお、防水パン10の四方外周壁面15の四方隅部における互いに直角に連続した外周壁面部は、上記脚部11の外側に向けている互いに直角に連なった外周壁面によって形成されている。
上記底板部12の前側中央部には排水トラップ20を接続させる排水接続口16が底板部12の上下面間を貫通させた状態にして設けられている。なお、この排水接続口16は底板部12における後側中央部、或いは、左右側の中央部に設けておいてもよい。
さらに、防水パン10の上記四方周壁面15は、この防水パン10を上記嵩上げ用台1上に重ね合わせ状態にして載置した時に、この嵩上げ用台1の四方外周壁面に対して垂直な面上で面一状態に連なるように、防水パン10のサイズを嵩上げ用台1と同じサイズ、具体的には横幅と縦幅が640mm×640mmのサイズに形成していると共に、この防水パン10の四方周壁面15における隣接する脚部11、11間の上部は横長長方形の中央外周壁部15a としてこの中央外周壁部15a の下方と隣接する脚部15、15とで囲まれた横長長方形状の空間部を上記接続配管Cの挿通用開口部17としている。
この接続配管Cの挿通用開口部17は、防水パン10の四方外周壁面15における前後左右に設けられているが、接続配管Cを挿通させる開口部17は一つだけであり、その他の開口部17は点検口として使用されると共に、開閉自在な扉19によって閉止されている。なお、この扉19は開口部17と同じ大きさの板材からなり、開口部17に対して容易に取り外しができるように装着されているが、必ずしも、開口部17に装着しておく必要はなく、扉を備えていない開口部17であってもよい。
上記防水パン10の四方周壁面15の四隅部は、下部を残して面取り状に切除されていて、その下部の上端に水平な上面部15b を形成してあり、この上面部15b にネジ取付用孔15cが上下端面間に貫通して穿設されている。なお、防水パン10の四方周壁面15の四隅部の下部は、上記嵩上げ用台1の架台2における曲率半径の小さい円弧状壁面5に形成された対角部と同一曲率半径を有する円弧面15' に形成されている。なお、防水パン10の四方周壁面15の四隅部を切除することなく、四方周壁面5の上下端面間に貫通するようにネジ取付用孔を穿設してもよい。
次に、上記のように構成した洗濯機設置用防水パン10の嵩上げ用台1の使用態様を説明すると、集合住宅において洗面所の洗面台F近傍の床面B、或いは、洗面台や風呂場に隣接した床面であって、その後方側の壁Gの外側に既存の縦排水管が設けられている床面B上に上記嵩上げ用台1を設置し、四方の架台2の中心部に設けているネジ取付用孔7を通じてネジ(図示せず)を挿入して床にねじ込むことにより嵩上げ用台1を床面B上に固定する。
しかるのち、この嵩上げ用台1上に嵩上げ用台1と同じサイズの上記防水パン10を重ね合わせ状態に載置する。この際、予め、防水パン10の底板部11の下方空間部に排水トラップ20を収容してこの防水パン10の上端開口部を上記底板部11に設けている排水接続口16に連通させた状態となるように接続することにより底板部11の下面に排水トラップ20を装着しておき、この排水トラップ20の排水口20a を洗面台Fの洗面ボウルfから洗面台の下部空間内に向かって垂設している排水管D1(図7に示す)、又は、集合住宅における上記壁外に設けられた縦排水管D2(図8に示す、以下、これらの排水管D1と縦排水管D2を単に排水管Dという)に接続配管Cによって配管し易い方向に向けた状態して、防水パン10を台1上に設置する。
なお、上記排水管Dには、上記接続配管Cを接続させる既存の接続口Eが設けられてあり、この接続口Dの床面Bからの配置高さ(距離)は、上記嵩上げ用台1を使用することなく防水パン10を直接、床面B上に設置した際における床面Bからこの防水パン10に設けている排水トラップ20までの高さ(距離)よりも高い位置にあるが、上記嵩上げ用台1上に防水パン10を載置すると、防水パン10は嵩上げ用台1の高さ(厚み)に相当する寸法だけ嵩上げされ、上記防水パン10に装着している排水トラップ20の排水口20a の配設位置は、上記排水管Dに設けている接続口Eよりも高い位置に設けられる。
具体的には、例えば、嵩上げ用台1の高さは70mm、防水パン10の高さは180mm、床面Bから台1上の防水パン10に設けている排水トラップ20の排水口20a の中心までの高さが上記接続口Eの開口位置よりも高い130mm程度となるように設定している。
嵩上げ用台1上に載置した防水パン10をこの嵩上げ用台1に固定するには、防水パン10の四隅部に設けている上記ネジ取付用孔15c を通じてネジ21を挿入してこのネジ21の先端部を嵩上げ用台1の架台2の角部上面に設けている螺着用の孔4bにねじ込むことによって固定される。
次いで、排水トラップ20の排水口20a を臨ませている防水パン10における四方周壁面15の一つの面に設けられた開口部17を通じて可撓性を有する接続配管Cを防水パン10の底板部下方の空間部内に挿入してその一端開口部を排水トラップ20の排水口20a に接続し、開口部17から引き出されているこの接続配管Cを上記排水管D側に向けてその他端開口部をこの排水管Dに設けている接続口Eに接続すると、接続配管Cは、排水トラップ20から排水管Dの接続口Eに向かって下方に緩傾斜した状態となる。
なお、一本の接続配管Cによって排水トラップ20の排水口20a と排水管Dの接続口E間を接続できない場合は接続配管を継ぎ足せばよい。
こうして、排水トラップ20の排水口20a を上記排水管Dに設けている接続口Eに接続配管Cによって接続したのち、防水パン10上に洗濯機を設置し、この洗濯機Aの排水ホースaを防水パン10の底板部12に臨ませている上記排水トラップ20内にエルボ等の継手管24を介して連通させる。
この状態にして洗濯機Aから排水ホースa を通じて防水パン10の底板部12の下方空間部に配設している上記排水トラップ20内に排水すると、排水トラップ20から洗濯機設置床面B上に配管された上記接続配管Cを通じて排水管Dに円滑に排出することができる。
上記実施例においては、横幅と縦幅、即ち、四辺の長さが等しい平面正方形状の防水パン10の嵩上げ用台1について説明したが、本発明の別の実施例として、横幅又は縦幅のいずれか一方の幅がこの嵩上げ用台1の横幅又は縦幅と同じで、他方の幅がこの嵩上げ用台1の横幅又は縦幅よりも長い平面長方形状の防水パン10' 、具体的にはサイズが740mm×640m の防水パン10' の嵩上げ用台1'(図9に示す)について説明する。
この嵩上げ用台1'は、上記実施例の嵩上げ用台1と同様に、上記平面長方形状の防水パン10' の四方の脚部11をそれぞれ重ね合わせ状態に載置させる平面矩形状(正方形状)の4つの架台2と、前後方向及び左右方向に隣接する架台2、2の対向部間を連結する4本のフレーム部材3とからなり、4つの架台2としては、上記実施例の嵩上げ用台1の架台2と同大、同形の架台2を使用し、4本のフレーム部材3としては、上記実施例の嵩上げ用台1のフレーム部材3と同大、同形のフレーム部材3を2本と、このフレーム部材3よりも幕板部3aの長さが長い2本のフレーム部材3'、3'とを使用している。
換言すれば、この嵩上げ用台1'は、上記実施例の嵩上げ用台1における4個の架台2と2本のフレーム部材3、3をそのまま使用し、別にこのフレーム部材3、3よりもその幕板部3aの長さが長い2本の長尺フレーム部材3'、3'を使用することによって構成されている。
上記4個の架台2と、2本のフレーム部材3、3と、2本の長尺フレーム部材3'、3'とによって嵩上げ用台1'を組み立てるには、上記実施例と同様に、前後又は左右に隣接する架台2、2の対向する凹部4、4にフレーム部材3又は長尺フレーム部材3'の両端の連結用端部3b、3bを嵌め込んで係止させ、タッピンクネジ9を連結端部3bに設けているネジ取付用孔8から凹部4の底面中央部に設けている螺着用孔4aにねじ込むことによってフレーム部材3の連結用端部3bを凹部4に固定し、このフレーム部材3によって架台2、2を一定の間隔を存した状態で連結する。
同様にして、他の前後方向及び左右方向に所定間隔を存して隣接する架台2、2の対向する凹部4、4間をフレーム部材3によって連結することにより防水パン10の嵩上げ用台1が組み立てられる。この際、前後に隣接する左側の架台2、2間と前後に隣接する左側の架台2、2間とをそれぞれ上記長尺フレーム部材3'、3'によって連結し、左右に隣接する前側の架台2、2間と左右に隣接する後側の架台2、2間とをそれぞれ上記フレーム部材3、3とによって連結すれば、前後方向に長い平面長方形状の嵩上げ用台1'を組み立てることができる一方、前後側に長尺フレーム部材3'、3'を配設し、左右側に上記フレーム部材3、3を配設した状態にして組み立てれば、平面横長長方形状の嵩上げ用台1'を得ることができる。
この嵩上げ用台1上に重ね合わせ状態にして載置、固定される防水パン10' は、上記実施例における平面正方形状に形成されて防水パン10とは、その平面形状のサイズが異なるだけで、構造は同じである。即ち、上記嵩上げ用台1'と同様に、前後方向の長さが横幅よりも長い長方形状の底板部12の四方周縁部に一定高さの周壁13を突設してパン部を形成していると共に、底板部12の四隅部上に洗濯機Aの設置台14を設けてあり、さらに、底板部12の下面四隅部から下方に向かってこの底板部12の下面側に装着される排水トラップ20の高さよりも高い脚部(図示せず)突設して、底板部12の下方に排水トラップ20が収容可能な空間部を設けていると共に防水パン10' の四方外周壁面15における前後左右に隣接する脚部間の中央壁面部の下部に排水トラップ20の排水口20a に接続するための接続配管Cの挿通用開口部17を設けている。
上記底板部12の前側中央部又は後側中央部には排水トラップ20を接続させる排水接続口16が底板部12の上下面間を貫通させた状態にして設けられている。なお、この排水接続口16を右側又は左側に向けて上記防水パン10' を左右方向に長い横長長方形とした状態で使用してもよい。
さらに、上記防水パン10' の四方外周壁面15は、上記実施例と同様に、この防水パン10' を上記嵩上げ用台1'上に重ね合わせ状態にして載置した時に、この嵩上げ用台1'の架台2における外側壁面と垂直な面上で面一状態に連なるように形成されていると共に、この防水パン10’の四方周壁面15における隣接する脚部間の上部は横長長方形の中央外周壁部15a としてこの中央外周壁部15a の下方と隣接する脚部とで囲まれた横長長方形状の空間部を上記接続配管Cの挿通用開口部17としている。
この接続配管Cの挿通用開口部17は、前後左右に設けられているが、接続配管Cを挿通させる開口部17は一つだけであり、その他の開口部17は点検口として使用されると共に、開閉自在な扉19によって閉止されている。なお、この扉19は開口部17に対して容易に取り外しができるように装着されている。
なお、防水パン10’の上記四方周壁面15の四隅部は、上記実施例の防水パン10のように下部を残して面取り状に切除されておらず、全長(全高)に亘って円弧状に湾曲した壁面に形成されている。この場合、この防水パン10' の四隅部の円弧状壁面は、嵩上げ用台1'の四方に配した架台2における曲率半径の大きい円弧状壁面6と同一形状の円弧状壁面15''に形成されている場合には、四個の架台2を、その曲率半径の大きい円弧状壁面6が組み立てられる嵩上げ用台1'の四隅部を形成するように配した状態にして隣接する架台2、2間をフレーム部材3、3'によって連結すればよい。
詳しくは、上記架台2の一方の対角線の対角部に設けている曲率半径の小さい円弧状壁面5が外側に向けられ、曲率半径の大きい円弧所壁面6が内側に向けられている場合には、他方の対角線の中央部回りに架台2を平面方向に180度、回動させれば、曲率半径の大きい円弧状壁面6に形成された対角部によって嵩上げ用台1'の四隅部を形成することができる。
上記のように構成した嵩上げ用台1'を上記実施例と同様に、洗面所の洗面台近傍の床面B、或いは、洗面台や風呂場に隣接した床面上に設置して、四方の架台2の中心部に設けているネジ取付用孔7を通じてネジ(図示せず)を挿入して床にねじ込むことにより、嵩上げ用台1を床面B上に固定したのち、この嵩上げ用台1'上に嵩上げ用台1'と同じサイズ、具体的には740×640サイズの上記防水パン10' を重ね合わせ状態に載置する。
このように、嵩上げ用台1'上に防水パン10' を載置すると、防水パン10' は嵩上げ用台1'の高さ(厚み)に相当する寸法だけ嵩上げされ、上記防水パン10' に装着している排水トラップ20の排水口20a の床面Bからの配設位置を、排水管Dに設けている上記接続口Eよりも高い位置に設けることができ、上記実施例と同様に、排水トラップ20の排水口20a
と排水管Dに設けている上記接続口Eとを接続配管Cによって接続すると、この接続配管Cは排水トラップ20の排水口20a から排水管Dに設けている上記接続口Eに向かって斜め下方に傾斜した状態で配管され、洗濯機Aからの排水を排水管Dに円滑に流出させることができる。
さらに、防水パン10' は平面長方形状に形成されていて、その長い部分の端部中央(上記実施例においては前側中央部)に、排水トラップ20の上端開口部を装着した接続口20a
を設けているので、図11に示すように、防水パン10' 上に設置した洗濯機Aの底部に対して上記接続口20a を設けた防水パン10' の端部(周縁部)を外方に突出させた状態にすることができ、従って、排水トラップ20の点検や洗浄等が容易に行えると共に、この突出した端部の上方空間を利用して風呂水排水用ホース、或いは、洗浄具などを洗濯機Aの側壁面に沿って収納することができる。
また、上記いずれの実施例における嵩上げ用台1、1'は、前後方向及び左右方向に所定間隔を存して隣接する架台2、2の対向する凹部4、4間をフレーム部材3(3')によって連結してなるものであるから、四方に配した架台2とフレーム部材3とによって囲まれた内部には広い空間部22が形成されている。従って、この嵩上げ用台1(1')上に防水パン10(10' )を設置した後からでも、排水トラップ20や接続配管Cを配設することができる。
さらに、接続配管Cを接続する排水管Dの接続口Eの高さ位置が低くて床面に接するように開口している場合には、上記防水パン10(10' )の挿通用開口部17を使用することなく、上記排水管Dの接続口Eに対向している嵩上げ用台1(1')におけるフレーム材3を取り外して、排水トラップ20に接続した接続配管Cを嵩上げ用台1(1')の上記空間部22からフレーム材3を取り外した開口部を通じて上記排水管Dの接続口Eに接続することができる。
また、上記嵩上げ用台1(1')の空間部22内に漏水受け用トレイを設置したり、或いは洗濯機Aの振動音を軽減させるための発泡スチロールやウレタン等からなる吸音材を配設しておくこともできる。
なお、上記嵩上げ用台1(1')における互いに面一状に連続している架台2の外周壁面とフレーム部材3(3')における幕板部の外面とによって形成された嵩上げ用台の外周壁面を図12に示すように、帯状の化粧シート及び化粧板などの化粧材23によって被覆しておけば、一層体裁の良い外観を呈することができる。