JP2010242007A - 接着剤組成物 - Google Patents

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【課題】難燃性、耐湿性、耐熱性に優れる接着剤組成物の提供。
【解決手段】アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体100質量部とエポキシ樹脂10〜100質量部と式(I)で表されるカルボニル化合物とポリアミンとを反応させることによって得られるケチミンと水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム水和物および硫酸マグネシウム水和物からなる群から選ばれる少なくとも1種の難燃フィラーと硬化触媒とを含有し、前記ケチミンが有するイミノ基の量が、前記エポキシ樹脂が有するエポキシ基に対して、0.5〜1.5当量であり、前記難燃フィラーの量が組成物全量中の30〜70質量%である接着剤組成物。式中R1は炭素原子数1〜6のアルキル基でありR2はメチル基またはエチル基でありR3は水素原子、メチル基またはエチル基でありR4は水素原子またはアルキル基でありnは1または2である。
Figure 2010242007

【選択図】なし

Description

本発明は、接着剤組成物に関する。
従来、シリコーン反応性基がメチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基で、主鎖が実質的にポリオキシプロピレン構造であるシリコーン系樹脂を含有するシリコーン系樹脂組成物が提案されている。
本願出願人は以前に、特定の接着付与剤、アミン系潜在性硬化剤および3級炭素原子に結合したイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含有し、さらにエポキシ樹脂を含有し、さらに末端にアルコキシシリル基を有する樹脂を含有する硬化性樹脂組成物を提案した(特許文献1)。
また、反応性珪素基含有有機重合体および平均粒径0.1〜200μmの金属水酸化物等を含有する難燃性湿気硬化型の組成物が提案されている(特許文献2、3)。
また、一般的に、樹脂組成物に難燃性を付与するためにハロゲン化合物と酸化アンチモンの組合せが古くから使用されているが燃焼時にダイオキシン類が発生することから近年では使用されなくなっている。また、赤リンやリン酸エステル等も一部使用されているが燃焼時にホスフィンが発生する問題、有機リン化合物は河川等の汚染の主原因と考えられていることから、環境・衛生上よろしくない。
特開2003−321665号公報 特開2007−84633号公報 特開2007−332258号公報
さらに、加水分解性シリル基を有し主鎖が実質的にポリオキシアルキレンであるアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体に対して難燃性を付与することを目的として難燃剤としてリン酸エステルを使用する場合、硬化不良を起こすことを本願発明者は見出した。
また、従来公知の加水分解性シリル基を有し主鎖が実質的にポリオキシアルキレンであるアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体、および難燃剤を含有する組成物から得られる硬化物は、難燃剤を高充填しないと難燃性が発現しないという課題があり高粘度になる為作業性に課題があった。また、難燃剤を高充填した場合には組成物中の樹脂成分が低くなる為に耐湿性・耐水性も実用レベルではなかった。さらにポリオキシアルキレン樹脂は十分な耐熱性がなく、100℃以上にさらされる部位での長期使用が実質不可能であった。
そこで、本発明は、難燃性、耐湿性、耐熱性に優れる接着剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、加水分解性シリル基を有し主鎖が実質的にポリオキシアルキレンであるアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体100質量部と、エポキシ樹脂10〜100質量部と、式(I)で表されるカルボニル化合物とポリアミンとを反応させることによって得られるケチミンと、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム水和物および硫酸マグネシウム水和物からなる群から選ばれる少なくとも1種の難燃フィラーと、硬化触媒とを含有し、前記ケチミンが有するイミノ基の量が、前記エポキシ樹脂が有するエポキシ基に対して、0.5〜1.5当量であり、前記難燃フィラーの量が、組成物全量中の30〜70質量%である組成物が、難燃性、耐湿性、耐熱性に優れる接着剤組成物となりうることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記1〜8を提供する。
1.
加水分解性シリル基を有し主鎖が実質的にポリオキシアルキレンであるアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体100質量部と、
エポキシ樹脂10〜100質量部と、
下記式(I)で表されるカルボニル化合物とポリアミンとを反応させることによって得られるケチミンと、
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム水和物および硫酸マグネシウム水和物からなる群から選ばれる少なくとも1種の難燃フィラーと、
硬化触媒とを含有し、
前記ケチミンが有するイミノ基の量が、前記エポキシ樹脂が有するエポキシ基に対して、0.5〜1.5当量であり、
前記難燃フィラーの量が、組成物全量中の30〜70質量%である接着剤組成物。
Figure 2010242007

(式中、R1は炭素原子数1〜6のアルキル基であり、R2はメチル基またはエチル基であり、R3は水素原子、メチル基またはエチル基であり、R4は水素原子またはアルキル基であり、nは1または2である。)
2.
前記アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体が、前記加水分解性シリル基として、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、トリメトキシシリル基およびトリエトキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する上記1に記載の接着剤組成物。
3.
さらに、数平均分子量が100〜5,000であり末端ヒドロキシ基が封鎖されているポリエーテルを含有し、前記ポリエーテルの量が前記アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体100質量部に対して5〜50質量部である上記1または2に記載の接着剤組成物。
4.
前記アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体100質量部に対して下記式(2)で示されるN−シリルアミド化合物を0.2〜30重量部含む上記1〜3のいずれか記載の接着剤組成物。
(R1−CONH)4-n−Si−R2 n ・・・(2)
(式中、R1はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数5〜21の炭化水素基であり、nが0、1または2のとき、R1は同じであっても異なっていてもよい。R2は炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシ基であり、nは0、1、2または3である。)
5.
前記難燃フィラーは、その平均粒径が0.5〜30μmであり、脂肪酸またはシラン化合物で表面処理されている上記1〜4のいずれかに記載の接着剤組成物。
6.
前記難燃フィラーとして水酸化アルミニウムを含有する上記1〜5のいずれかに記載の接着剤組成物。
7.
前記ポリエーテルにおいて前記末端ヒドロキシ基がアルキル基、アルコキシ基またはアルキルシリル基で封鎖されている上記1〜6のいずれかに記載の接着剤組成物。
8.
さらに、水を含有し、前記水の量が、前記アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体が有するアルコキシ基に対して0.5〜5当量である上記1〜7のいずれかに記載の接着剤組成物。
本発明の接着剤組成物は、難燃性、耐湿性、耐熱性に優れる。
本発明について以下詳細に説明する。
本発明の接着剤組成物は、
加水分解性シリル基を有し主鎖が実質的にポリオキシアルキレンであるアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体100質量部と、
エポキシ樹脂10〜100質量部と、
下記式(I)で表されるカルボニル化合物とポリアミンとを反応させることによって得られるケチミンと、
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム水和物および硫酸マグネシウム水和物からなる群から選ばれる少なくとも1種の難燃フィラーと、硬化触媒とを含有し、
前記ケチミンが有するイミノ基の量が、前記エポキシ樹脂が有するエポキシ基に対して、0.5〜1.5当量であり、
前記難燃フィラーの量が、組成物全量中の30〜70質量%である。
Figure 2010242007

(式中、R1は炭素原子数1〜6のアルキル基であり、R2はメチル基またはエチル基であり、R3は水素原子、メチル基またはエチル基であり、R4は水素原子またはアルキル基であり、nは1または2である。)
アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体について以下に説明する。
本発明の接着剤組成物に含有されるアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体は、加水分解性シリル基を有し主鎖が実質的にポリオキシアルキレンである重合体である。
アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体は反応性基として加水分解性シリル基を有する。加水分解性シリル基としては、例えば、アルキルジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基が挙げられる。アルキルジアルコキシシリル基としては、例えば、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基が挙げられる。
加水分解性シリル基がトリアルコキシシリル基である場合、速硬化性により優れ、発泡させずに室温における硬化を速くする(タックフリータイム:30分以下が可能。)ことができる。トリアルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基が挙げられる。
加水分解性シリル基の数は、難燃性、耐湿性、耐熱性により優れ、耐熱性、流動性、貯蔵安定性、せん断強度、粘度と可撓性のバランスに優れるという観点から、アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体1分子あたり1〜4個であるのが好ましい。
加水分解性シリル基は主鎖の末端におよび/または側鎖として結合することができる。粘度と可撓性のバランスに優れるという観点から、加水分解性シリル基は主鎖の少なくとも両末端に結合するのが好ましい。
加水分解性シリル基は主鎖と直接にまたは有機基を介して結合することができる。有機基は特に制限されない。例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有してもよい炭化水素基が挙げられる。
本発明において、アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体の主鎖は、実質的にポリオキシアルキレンである。ポリオキシアルキレンは特に制限されない。例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンが挙げられる。なお本発明において主鎖が実質的にポリオキシアルキレンであるとは、主鎖を構成する繰り返し単位としてオキシアルキレン基を繰り返し単位の総モル数の50%以上の量で含むことをいう。ポリオキシアルキレンが含むことができる、オキシアルキレン基以外の繰り返し単位は特に制限されない。アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体において主鎖はホモポリマーまたは共重合体であってもよい。
また、主鎖は直鎖状、分岐状のいずれであってもよい。主鎖が直鎖状の場合硬化物の伸びに優れる。主鎖が分岐状の場合せん断強度に優れる。
アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体は、難燃性、耐熱性、耐湿性により優れるという観点から、ジアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体、トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体が好ましい。
ジアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体としては、例えば、末端にジメトキシシリル基、あるいはジエトキシシリル基を有するポリオキシプロピレン重合体が好ましい。
アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体は、速硬化性に優れるという観点から、トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体が好ましい。
トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体としては、末端にトリメトキシシリル基、あるいはトリエトキシシリル基を有するポリオキシプロピレン重合体が好ましく、2個以上の末端にトリメトキシシリル基をそれぞれ1個有するポリオキシプロピレン重合体、2個以上の末端にトリエトキシシリル基をそれぞれ1個有するポリオキシプロピレン重合体がより好ましく、両末端にトリメトキシシリル基を有する直鎖状のポリオキシプロピレン重合体、両末端にトリエトキシシリル基を有する直鎖状のポリオキシプロピレン重合体、両末端にトリメトキシシリル基を有し側鎖の末端にトリメトキシシリル基を有する3官能の分岐状ポリオキシプロピレン重合体、両末端にトリエトキシシリル基を有し側鎖の末端にトリエトキシシリル基を有する3官能の分岐状ポリオキシプロピレン重合体がさらに好ましい。
トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体としては、例えば、下記式(V)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2010242007

式中、R1、R2は炭素原子数1〜5のアルキレン基であり、R3はメチル基またはエチル基であり、nは9〜900の整数であり、mは1〜5の整数であり、Aは原料として使用される、ポリオキシアルキレンモノオールまたはポリオキシアルキレンポリオールを製造する際に用いられる開始剤の残基である。
トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体を製造する際、原料としてポリオキシアルキレンモノオールまたはポリオキシアルキレンポリオールを使用することができるが、そのポリオキシアルキレンモノオールまたはポリオキシアルキレンポリオールを製造する際に用いられる開始剤は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体は、貯蔵安定性、速硬化性により優れ、増粘を抑制することができ組成物の粘度を適正なものとすることができるという観点から、式(V)で表されるものが好ましい。
本発明の接着剤組成物は、組成物を低粘度にすることを目的として、2個以上の末端にアルコキシシリル基をそれぞれ1個有するポリオキシプロピレン重合体に対して、片末端にアルコキシシリル基を1個有するポリオキシプロピレン重合体を混合することができる。片末端にアルコキシシシリル基を1個有するポリオキシプロピレン重合体は、別の末端にアルコキシシリル基を有さずヒドロキシ基を有してもよい。
片末端にアルコキシシリル基を1個有するポリオキシプロピレン重合体の量は、2個以上の末端にアルコキシシリル基をそれぞれ1個有するポリオキシプロピレン重合体に対して、10質量%以下であるのが硬化物の物性(強度と伸び)が極端に低下しないという点から好ましい。
アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体の分子量は、難燃性、耐熱性、耐湿性により優れ、速硬化性、貯蔵安定性、せん断強度、粘度と可撓性のバランスに優れるという観点から、3,000〜50,000であるのが好ましく、10,000〜30,000であるのがより好ましい。
アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体は、速硬化性、貯蔵安定性により優れ、本発明の接着剤組成物の粘度を適正なものとすることができるという観点から、ウレタン結合、ウレア結合を含まないのが好ましい。
アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体はその製造について特に制限されない。例えば、ポリオキシアルキレンモノオールおよび/またはポリオキシアルキレンポリオール(例えば、A−[(OR1n−OH]mで表される化合物が挙げられる。R1、n、mは、Aは上記式(V)と同義である。)と、ハロゲン化不飽和炭化水素基(例えば、R2−Xで表される化合物が挙げられる。R2は炭素原子数1〜10の、不飽和結合を有する炭化水素基であり、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のようなハロゲン原子である。)とを反応させ、不飽和結合を有するポリオキシアルキレン化合物(例えば、A−[(OR1n−O−R2mで表される化合物。)を得ることができる。
次に、不飽和結合を有するポリオキシアルキレン化合物を白金ビニルシロキサン錯体のような白金触媒の存在下においてヒドロトリアルコキシシラン(例えば、HSi(OR33で表される化合物。R3は上記式(V)と同義である。)またはヒドロジアルコキシアルキルシランと反応させることによってアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体を製造することができる。
白金触媒は、ヒドロシラン化合物と不飽和炭化水素基との反応に使用できるものであれば特に制限されない。
アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
エポキシ樹脂について以下に説明する。
本発明の接着剤組成物は、エポキシ樹脂およびケチミンを含有することによって、難燃性、耐湿性、耐熱性に優れる。
本発明の接着剤組成物に含有されるエポキシ樹脂は、1分子中にエポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に制限されない。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ヘキサヒドロビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、ピロカテコール、レゾルシノール、クレゾールノボラック、テトラブロモビスフェノールA、トリヒドロキシビフェニル、ビスレゾルシノール、ビスフェノールヘキサフルオロアセトン、テトラメチルビスフェノールF、ビキシレノール等の多価フェノールとエピクロルヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテル型;グリセリン、ネオペンチルグリール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の脂肪族多価アルコールとエピクロルヒドリンとの反応によって得られるポリグリシジルエーテル型;p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテルエステル型;フタル酸、メチルフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラハイドロフタル酸、ヘキサハイドロフタル酸、エンドメチレンテトラハイドロフタル酸、エンドメチレンヘキサハイドロフタル酸、トリメリット酸、重合脂肪酸等のポリカルボン酸から誘導されるポリグリシジルエステル型;アミノフェノール、アミノアルキルフェノール等から誘導されるグリシジルアミノグリシジルエーテル型;アミノ安息香酸から誘導されるグリシジルアミノグリシジルエステル型;アニリン、トルイジン、トリブロムアニリン、キシリレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン等から誘導されるグリシジルアミン型;さらにエポキシ化ポリオレフィン、グリシジルヒダントイン、グリシジルアルキルヒダントイン、トリグリシジルシアヌレートが挙げられる。
なかでも、耐湿性、難燃性、耐熱性により優れ、流動性、貯蔵安定性、せん断強度、粘度と可撓性のバランスに優れるという観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明において、エポキシ樹脂の量は、アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体100質量部に対して、10〜100質量部である。難燃性、耐湿性、耐熱性により優れ、流動性、貯蔵安定性、せん断強度、粘度と可撓性のバランスに優れるという観点から、エポキシ樹脂の量は、アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体100質量部に対して、10〜50質量部であるのが好ましい。
ケチミンについて以下に説明する。
本発明の接着剤組成物に含有されるケチミンは、下記式(I)で表されるカルボニル化合物とポリアミンとを反応させることによって得られる化合物である。
Figure 2010242007

式中、R1は炭素原子数1〜6のアルキル基であり、R2はメチル基またはエチル基であり、R3は水素原子、メチル基またはエチル基であり、R4は水素原子またはアルキル基であり、nは1または2である。
1とR2とは互いに結合して環構造を形成することができる。R1とR4とは互いに結合して環構造を形成することができる。
ケチミンが有する1つのイミノ基(−N=)は湿気と反応して加水分解することで1級のアミンになり、1個または2個のエポキシ基と反応することができる。
カルボニル化合物について以下に説明する。
本発明の接着剤組成物に含有されるケチミンの製造の際に使用されるカルボニル化合物は式(I)で表されるものである。
式(I)において、炭素原子数1〜6のアルキル基は直鎖状および分岐状のうちのいずれであってもよい。炭素原子数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基が挙げられる。
4としてのアルキル基は特に制限されない。例えば、上記の炭素原子数1〜6のアルキル基と同義である。
カルボニル化合物としては、例えば、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、メチルt−ブチルケトン(MTBK)、メチルシクロヘキシルケトン、メチルシクロヘキサノンのような式(I)中のnが1でありR4がアルキル基であるケトン;式(I)中のnが2であるケトン:式(I)中のnが1でありR4が水素原子であるアルデヒド化合物が挙げられる。
なかでも、速硬化性、貯蔵安定性により優れるという観点から、式(I)中のnが1でありR4がアルキル基であるケトンが好ましく、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、メチルt−ブチルケトン(MTBK)、メチルシクロヘキシルケトン、メチルシクロヘキサノンがより好ましい。
ケチミンの製造の際に使用されるポリアミンについて以下に説明する。
ポリアミンは、アミノ基を2個以上有する化合物であれば特に制限されない。例えば、式(II)で表される化合物が挙げられる。
R−(CH2−NH2n (II)
式中、Rは例えば酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有してもよい炭化水素基であり、nは2以上の整数である。
Rは速硬化性、貯蔵安定性に優れるという観点から、炭素原子数1〜10であるのが好ましい。
nは、入手が容易な1〜4であるのが好ましい。
ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパンのような脂肪族ポリアミン;サンテクノケミカル社製のジェファーミンEDR148のようなポリエーテル骨格のジアミン;1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1−シクロヘキシルアミノ−3−アミノプロパン、3−アミノメチル−3,3,5−トリメチル−シクロヘキシルアミン、三井東圧化学(株)製のNBDA(ノルボルナンジアミン)に代表されるノルボルナン骨格のジアミン、N−アミノエチルピペラジンのような脂環式炭化水素基を有するポリアミン;芳香族ポリアミン;メタキシリレンジアミン、テトラメチルキシリレンジアミンのような芳香族炭化水素基に結合する脂肪族炭化水素基を有するポリアミン;ポリアミドの分子末端にアミノ基を有するポリアミドアミンが挙げられる。
なかでも、速硬化で、エポキシ樹脂との貯蔵安定性に優れるという観点から、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、NBDAが好ましい。
カルボニル化合物とポリアミンとの組み合わせとしては、速硬化性と貯蔵安定性のバランスに優れるという観点から、メチルイソプロピルケトン(MIPK)とヘキサメチレンジアミン(HMDA)との組み合わせ、メチルイソプロピルケトン(MIPK)とNBDAとの組み合わせが好ましい。
ケチミンはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明において、前記ケチミンが有するイミノ基の量は、前記エポキシ樹脂が有するエポキシ基に対して、0.5〜1.5当量である。
前記ケチミンが有するイミノ基の量は、耐熱性、貯蔵安定性、せん断強度により優れるという観点から、前記エポキシ樹脂が有するエポキシ基に対して、0.7〜1.0当量であるのが好ましい。
難燃フィラーについて以下に説明する。
本発明の接着剤組成物に含有される難燃フィラーは、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム水和物および硫酸マグネシウム水和物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機フィラー系難燃剤である。
無機フィラー系難燃剤は、高温時に熱分解して水を発生する性質をもつ。
難燃フィラーとして水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム水和物および硫酸マグネシウム水和物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機フィラー系難燃剤を含有する場合、ダイオキシンやホスフィンのような有害物質を発生させず、リン酸エステルのような硬化遅延を起こすことがなく速硬化性に優れ、吸熱量が大きく熱分解温度が低く難燃性に優れる。
なかでも、難燃性により優れるという観点から、水酸化アルミニウムが好ましい。
難燃フィラーは表面処理されていてもよい。表面処理剤としては、例えば、脂肪酸、シラン化合物、樹脂酸が挙げられる。なかでも、難燃性により優れるという観点から、脂肪酸、シラン化合物が好ましい。
表面処理剤としてのシラン化合物としては、例えば、有機チタネート化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、アルコキシシランなどが挙げられる。
有機チタネート化合物として、例えば、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、テトラステアリルオキシチタン、ジプロキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、チタニウムプロポキシオクチレングリコレート、チタニウムステアレート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジートリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、トリス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネートなどが挙げられる。
有機アルミニウム化合物としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートが挙げられる。
有機ジルコニウム化合物としては、例えば、ジルコニウムブチレート、ジルコニウムアセチルアセトネート、アセチルアセトンジルコニウムブチレート、ジルコニウムラクテート、ステアリン酸ジルコニウムブチレートが挙げられる。
アルコキシシランとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビストリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどが挙げられる。
表面処理剤としての脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラギン酸などの飽和脂肪酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リシノール酸などの不飽和脂肪酸、ナフテン酸などの脂環族カルボン酸が挙げられる。
表面処理剤としての樹脂酸としては、例えば、アビチエン酸、ピマル酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸等が挙げられる。
難燃剤の平均粒径は、難燃性に優れるという観点から、0.5〜30μmであるのが好ましく、0.5〜10μmであるのがより好ましい。
難燃フィラーはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
難燃フィラーはその製造について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
本発明において、難燃フィラーの量は、難燃性に優れるという観点から、接着剤組成物の全重量のうち30〜70質量%である。難燃フィラーの量が30質量%以上の場合、難燃性に優れる。難燃フィラーの量が70質量%以下の場合、組成物の粘度が適切となり、物性(例えば、伸びや強度)に優れる。
難燃フィラーの量は、難燃性を発現するという点から30質量%以上が必須であり、さらに、作業性(低粘度)・耐湿性・硬化物の物性(伸び)に優れるという観点から、40〜60質量%であるのが好ましい。
硬化触媒について以下に説明する。
本発明の接着剤組成物に含有される硬化触媒は、シラノール縮合触媒として使用されるものであれば特に制限されない。例えば、チタン系エステル類、錫化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、ビスマス化合物、アミン化合物が挙げられる。
なかでも、速硬化性、硬化物の変色が比較的おきにくいという観点から、錫化合物が好ましく、4価の錫化合物がより好ましい。
4価の錫化合物としては、例えば、ジブチルスズジラウリレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズ、ラウリン酸スズのようなカルボン酸塩;ジブチルスズオキサイドとフタル酸エステルとの反応物;ジアルキルスタノキサンジカルボキシレート;ジブチルスズジメトキシドのようなジアルキルスズアルコラート;(ジアルキルスタノキサン)ジシリケート化合物;ジブチルスズジアセチルアセトナートのようなキレートが挙げられる。
(ジアルキルスタノキサン)ジシリケート化合物としては、例えば、下記式(IV)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2010242007

式中、R5は炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、R6は炭素原子数1〜10の炭化水素基でありR5,R6は同一でも異なっていてもよい。mは0〜3の整数である。
炭素原子数1〜10の炭化水素基(R5)としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
炭素原子数1〜10の炭化水素基(R6)としては、例えば、ブチル基が挙げられる。
(ジアルキルスタノキサン)ジシリケート化合物としては、例えば、ジブチル錫塩(例えば、ジブチル錫アセテートが挙げられる。)と正珪酸エチルとの反応生成物が挙げられる。
なかでも、速硬化性、貯蔵安定性により優れ、ポリエーテルに対して安定であるという観点から、ジアルキルスズアルコラート、キレート、(ジアルキルスタノキサン)ジシリケート化合物が好ましく、ジブチル錫塩と正珪酸エチルとの反応生成物がより好ましい。
硬化触媒はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
硬化触媒の量は、速硬化性に優れ、耐熱性により優れ、流動性、貯蔵安定性、せん断強度に優れるという観点から、アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体100質量部に対して、0.1〜3.0質量部であるのがより好ましい。
本発明の接着剤組成物は、さらに末端ヒドロキシ基が封鎖されているポリエーテルを含有することができる。
本発明の接着剤組成物がさらに含有することができるポリエーテルとしては、例えば、数平均分子量が100〜5,000であり末端ヒドロキシ基が封鎖されている化合物が挙げられる。
本発明の接着剤組成物がさらに含有することができるポリエーテルは、本発明の接着剤組成物に含有される、アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体および硬化触媒に対して不活性であり、硬化触媒を失活させることがない。
本願発明者らは、数平均分子量が100〜5,000であり末端ヒドロキシ基が封鎖されているポリエーテルがアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体および硬化触媒に対して安定性を有することを見出した。
本発明の接着剤組成物は、可塑剤として数平均分子量が100〜5,000であり末端ヒドロキシ基が封鎖されているポリエーテルを含有することによって、エステル系可塑剤を含有する場合に比べて、アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体および硬化触媒に対して安定であり、速硬化性、アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体に対する貯蔵安定性に優れ、増粘しにくく、作業性および硬化速度が経時で変化しない。
ポリエーテルの主鎖はオキシアルキレン基を繰り返し単位として有する重合体であれば特に制限されない。例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、それらの共重合体が挙げられる。
ポリエーテルの主鎖は、耐湿熱性に優れるという観点から、ポリオキシプロピレン重合体であるのが好ましい。
本発明においてポリエーテルの末端に結合するヒドロキシ基は封鎖されている。末端ヒドロキシ基を封鎖する基は特に制限されない。例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキルシリル基が挙げられる。
なかでも、アルキル基、アルコキシ基、アルキルシリル基で封鎖した場合には、添加量によって硬化速度、硬化後の物性が変化しない観点から扱いやすい。
アルキル基は、炭素原子数1〜3のものが挙げられる。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。
アルコキシ基は、炭素原子数1〜3のものが挙げられる。例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が挙げられる。
アルキルシリル基としてはアルキル基部分の炭素原子数1〜3のものが挙げられる。アルキルシリル基のケイ素原子に酸素原子が結合することができる。例えば以下のトリアルキルシリル基が挙げられる。
Figure 2010242007
ポリエーテルとしては、例えば、下記式(VI)、式(III)で表される化合物が挙げられる。
B−R4−(OR4n−B (VI)
式(VI)中、R4は炭素原子数1〜5のアルキレン基であり、nは1〜120の整数であり、Bは末端ヒドロキシ基を封鎖する基である。末端ヒドロキシ基を封鎖する基は上記と同義である。なお式(VI)中、原料としてのポリオキシアルキレンジオールを製造する際に使用される重合開始剤は省略する。
D−(OR4n−B (III)
式(III)中、R4は炭素原子数1〜5のアルキレン基であり、nは1〜120の整数であり、Bは末端ヒドロキシ基を封鎖する基であり、Dは重合開始剤として使用したモノオール残基である。末端ヒドロキシ基を封鎖する基は上記と同義である。
本発明において、ポリエーテルの数平均分子量は100〜5,000であるのが好ましい。ポリエーテルの数平均分子量がこのような範囲の場合、ポリエーテルが揮発しにくく本発明の接着剤組成物を無溶媒とすることができる。
組成物から揮発成分がなく低粘度化できるという観点から、ポリエーテルの数平均分子量は、500〜3,000であるのがより好ましい。
ポリエーテルはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリエーテルはその製造について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。ポリエーテルの製造の際に使用される原料としての、ヒドロキシ基を有するポリエーテルは、ヒドロキシ基を1個以上有するポリエーテル(例えばヒドロキシ基を1個以上有するポリオキシアルキレンが挙げられる。具体的には、ポリオキシアルキレンモノオール、ポリオキシアルキレンポリオールが挙げられる。)であれば特に制限されない。
本発明において、ポリエーテルの量は、せん断強度を維持したまま低粘度化できるという観点から、アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体100質量部に対して、5〜50質量部であるのが好ましい。
ポリエーテルの量は、せん断強度を維持したまま低粘度化できるという観点から、トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体100質量部に対して、5〜20質量部であるのがより好ましい。
本発明の接着剤組成物は貯蔵安定性を高める為にさらにN−シリルアミド化合物を含むことができる。
本発明に用いるN―シリルアミド化合物としては、例えば、下記式(2)で表されるものが挙げられる。
(R1−CONH)4-n−Si−R2 n (2)
(式中、R1はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数5〜21の炭化水素基であり、nが0、1または2のとき、R1は同じであっても異なっていてもよい。R2は炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシ基であり、nは0、1、2または3である。)
本発明に用いられるN−シリルアミド化合物は、より具体的には上記式(2)で示される化合物およびその部分加水分解縮合物を含む。これらのN−シリルアミド化合物は、容易に加水分解し、アミド化合物(R1−CONH2基含有化合物)とシラノール化合物(HO−Si≡基含有化合物)を生成するため、湿気硬化性樹脂組成物の水分を容易に除去することができる。そのため貯蔵安定性の向上に寄与する。また、生成したアミド化合物は揺変性を向上させる役割をする。
1としては、具体的にフェニル、ベンジル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ペンタデシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシルなどのアルキル基、オレイン酸残基、リノール酸残基、リノレイン酸残基などの酸残基などが挙げられ、なかでもフェニル、ペンタデシル、ヘプタデシル基およびオレイン酸残基が好適である。
2としては、具体的にはメチル、エチル、プロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシであり、なかでもメチル、エチル、メトキシ、エトキシが好ましい。
N−シリルアミド化合物の合成方法は、特に限定しないが、一例を挙げれば、R1基を含むカルボン酸アミド(R1は式(2)と同じ。)と、式Si−R2 n4-n(R2およびnは式(2)と同じ、Xはハロゲン。)で示されるハロゲン化シラン化合物とから合成することができる。
カルボン酸アミドとしては、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸などの直鎖飽和脂肪酸;カプロレイン酸、オレイン酸、セトレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸などの不飽和脂肪酸;安息香酸、フェニル酢酸などの芳香族カルボン酸などから選ばれるカルボン酸のアミド誘導体など、またはこれらの2種以上の組合わせが挙げられる。特にパルミチン酸、ステアリン酸およびオレイン酸のアミド化合物が好ましい。
ハロゲン化シラン化合物としては、テトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、2−クロロエチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、2−シアノエチルトリクロロシラン、アリルトリクロロシラン、3−ブロモプロピルトリクロロシラン、メチルビニルトリクロロシラン、エチルメチルジクロロシラン、トリメチルブロモシラン、ジビニルジクロロシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジクロロシラン、イソブチルトリクロロシラン、ペンチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、ジメチルフェニルクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、ベンジルトリクロロシラン、p−トリルトリクロロシラン、6−トリクロロシリル−2−ノルボルネン、2−トリクロロシリルノルボルナン、2−(4−シクロヘキシルニルエチル)トリクロロシラン、ドデシルトリクロロシラン、テトラデシルトリクロロシラン、1,2−ビス(トリクロロシリル)エタン、1,2−ビス(ジメチルクロロシリル)エタン、1,4−ビス(ジメチルクロロシリル)ベンゼンなどのクロロシラン化合物、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジクロロシロキサンまたはこれらの2種以上を組み合わせて使用することができる。
N−シリルアミド化合物は、前記のカルボン酸アミドと、ハロゲン化シラン化合物とを、活性水素を持たないヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、クロロホルムなどを溶媒とし、トリエチルアミン、ピリジンなどの第三級アミンを脱塩化水素剤として、室温から100℃までの温度で反応させて合成される。
またN−シリルアミド化合物は、前記のカルボン酸アミドと、クロロシラン化合物とを、脱塩化水素剤を使用せずに120〜180℃に加熱し、生成する塩化水素ガスを除去しながら合成することもできる。触媒として、トリエチルアミン、ピリジンなどを用いることができる。
またN−シリルアミド化合物の中の、例えばトリメチルシリル基が結合したアミド化合物は、ヘキサメチルジシラザンとアミド化合物とを、サッカリンの存在下に80〜150℃で、生成するアンモニアを溜去させながら反応させることによっても合成することができる。
N−シリルアミド化合物は、貯蔵安定性に優れるという観点から、式(2)で表される化合物が好ましく、N−トリメチルシリルオレイン酸アミド、N−トリメチルシリルステアリン酸アミドがより好ましい。
N−シリルアミド化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
N−シリルアミド化合物の量は、貯蔵安定性に優れるという観点から、アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体100質量部に対して、0.2〜30質量部含有するのが好ましく、1〜10質量部であるのがより好ましい。
本発明の接着剤組成物は、さらにヒュームドシリカを含有することができる。
本発明の接着剤組成物がさらにヒュームドシリカを含有する場合、高いせん断強度を得ることができる。
ヒュームドシリカは特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
ヒュームドシリカは、より高いせん断強度を得ることができるという観点から、疎水性ヒュームドシリカであるのが好ましい。
ヒュームドシリカの平均粒径は、0.005〜0.5μmであると補強の効果が大きく好ましい。
貯蔵安定性を向上させる為に、ヒュームドシリカとして表面のシラノール基をオルガノアルコキシシラン、オルガノハロシラン、オルガノシラザン等の有機ケイ素化合物等で処理されたものを使用することができる。
ヒュームドシリカはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ヒュームドシリカはその製造について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
ヒュームドシリカの量は、せん断強度に優れ、せん断強度と組成物の粘度とのバランスに優れるという観点から、アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体100質量部に対して1〜10質量部であるのが好ましい。
本発明の接着剤組成物は、さらに、表面処理炭酸カルシウムを含有することができる。本発明の接着剤組成物がさらに表面処理炭酸カルシウム、特にコロイダル炭酸カルシウムを含有する場合、補強性に効果があり、結果せん断強度に優れる。
表面処理炭酸カルシウムは特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
表面処理剤は特に制限されない。例えば、脂肪酸、各種シランカップリング剤、ウレタン樹脂・パラフィン等のワックスが挙げられる。なかでも、樹脂への分散がよく、補強効果の大きいウレタン樹脂で処理することが好ましい。
表面処理炭酸カルシウムの平均粒径は、耐熱性、貯蔵安定性、せん断強度に優れるという観点から、0.01〜0.5μmであるのが好ましい。
表面処理炭酸カルシウムはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
表面処理炭酸カルシウムはその製造について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
表面処理炭酸カルシウムの量はせん断強度と組成物の粘度のバランスから、アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体100質量部に対して10〜100質量部であるのが好ましい。
本発明の接着剤組成物は、さらに、水を含有することができる。
本発明の接着剤組成物が水を含有する場合、本発明の接着剤組成物を初期強度に優れるものとすることができる。特に、被着体が金属同士である場合のように湿気が入りにくい条件下において使用することができる。
水の量は、初期強度が発現し、かつ不要な残留水分が無視できる領域という点でアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体が有するアルコキシ基に対して0.5〜5当量であるのが好ましい。
本発明の接着剤組成物は、上記成分のほかに必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、さらに添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、カーボンブラック、溶融シリカ、珪砂、珪酸カルシウム等、マイカ、タルク、アルミナ、モンモリロナイトの充填剤、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素などの熱伝導性フィラー、ガラスバルーン、各種樹脂バルーン等の中空フィラー、ポリメタクリル酸等を微細化した各種樹脂フィラー、本発明の接着剤組成物に含有されるポリエーテル以外の可塑剤、ビニルシラン、シリケート化合物のような脱水剤、エポキシシラン、アミノシラン、メタクリルシランのようなシランカップリング剤、脂肪酸ポリアマイド系ワックスのようなチクソトロピー付与剤、酸化チタン等の顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、接着付与剤、分散剤、溶剤、硬化剤が挙げられる。
本発明の接着剤組成物はその製造について特に制限されない。例えば、上述の各成分を減圧し窒素雰囲気下において混合ミキサー等の攪拌装置を用いて十分混練し、均一に分散させて製造する方法が挙げられる。
本発明の接着剤組成物は、1液型または2液型として製造することができる。
本発明の接着剤組成物がさらに水を含有する場合は貯蔵安定性に優れるという観点から、アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体、エポキシ樹脂、ケチミン、ポリエーテル、難燃フィラーおよび硬化触媒を含有する主剤と、水を少なくとも含有する硬化剤とを有する2液型とするのが好ましい態様の1つとして挙げられる。ヒュームドシリカ、表面処理炭酸カルシウム、添加剤は、それぞれ主剤および/または硬化剤に加えることができる。
本発明の接着剤組成物は室温(5〜35℃)で硬化することができる。
また、本発明の接着剤組成物は例えば大気中の湿気、組成物に含有することができる充填剤のような成分中に含まれる水分によって硬化することができる。
本発明の接着剤組成物を適用することができる被着体は特に制限されない。例えば、金属、プラスチック、ゴム、ガラス、セラミックが挙げられる。
本発明の接着剤組成物を被着体に適用する方法は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
本発明の接着剤組成物の用途としては、例えば、シーリング材、接着剤、コーティング材、プライマー、塗料、ポッティング材が挙げられる。
本発明の接着剤組成物は、各種電気・電子分野用、建築物用、自動車用、土木用等に使用可能である。
本発明の接着剤組成物は、エアコン、ファンヒーター、送風機、除湿機、加湿器に使用することができる。
また、本発明の接着剤組成物は難燃性製品の部品接着に使用することができる。難燃性製品としては、例えばスピーカー、ビデオカセットプレイヤー、テレビ、ラジオ、自動販売機、冷蔵庫、パーソナルコンピューター、カード型電池、ビデオカメラ、カメラ、自動車部品、精密機器等が挙げられる。
また、本発明の接着剤組成物を高圧部品、高圧となりうる回路やその周辺で使用される部品の接着、長時間連続運転される電器製品内の接着に適用することができる。これらの部品の具体例としては、例えば、コネクター、スイッチ、リレー、電線ケーブル、フライバックトランス、偏向ヨークが挙げられる。
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
<トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体の製造>
(1)トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体
脱水したポリオキシプロピレンジオール(直鎖状、数平均分子量約3,000、1分子あたりのヒドロキシ基数:2)を開始剤とし、プロピレンオキシドの重合を行い、数平均分子量約20,000の水酸基末端ポリプロピレンオキシドを得た。続いて、この水酸基末端ポリプロピレンオキシドの水酸基に対して、更に塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換し、末端がアリル基である数平均分子量約20,000の2官能のアリルポリプロピレンオキシドを得た。
得られた2官能のアリルポリプロピレンオキシド100重量部に対し、白金ビニルシロキサン錯体の白金含量3wt%のイソプロパノール溶液150ppmを触媒として、下記化学式:HSi(OCH33
と90℃で2時間反応させ、トリメトキシシリル基を有する重合体(末端シリル直鎖ポリエーテル樹脂)を得た。
得られた重合体について、1H−NMRによる分析を行い、分子末端にトリメトキシシリル基を1分子あたり平均2個有するトリアルコキシシリル基変性ポリオキシエチレン重合体であることを確認した。
得られたトリアルコキシシリル基変性ポリオキシプロピレン重合体をトリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルコキレン重合体とする。
<ケチミンの製造>
ヘキサメチレンジアミン(試薬、和光純薬工業社製)580g、メチルイソプロピルケトン(試薬、和光純薬工業社製)860g、トルエン(試薬、和光純薬工業社製、以下同じ)710g、および酢酸(試薬、和光純薬工業社製、以下同じ)1.65gをフラスコに入れ、生成する水を共沸により除きながら120℃で15時間反応を続けた。次に、150℃、5mmHg下で減圧蒸留をしてトルエン、残留ケトン等を除いた。
<末端封鎖ポリエーテルの製造>
乾燥した数平均分子量800のポリオキシプロピレンモノオール(旭硝子:XS−1003P)の水酸基末端を水酸化ナトリウムによりアルコラート化し、次いで塩化メチルを反応させることにより、末端ヒドロキシ基をメチルエーテル(メトキシ基)で封鎖した。水酸基が完全に消滅していることはIRスペクトルにより確認した。
<シリルアミド(N−シリルアミド化合物としてのN−トリメチルシリルオレイン酸アミド)の製造>
オレイン酸アミド800gに、トルエン400gおよびサッカリン0.5gを加え、100℃に加熱溶解した。これにヘキサメチルジシラザン260gを滴下し、滴下終了後、130℃で4時間加熱した。その後未反応のヘキサメチルジシラザンおよびトルエンを減圧留去し、N−トリメチルシリルオレイン酸アミド1003gを得た。N−トリメチルシリルオレイン酸アミドが合成されていることは、IRスペクトル、1H−NMRスペクトルおよびMSスペクトルにより確認した。
<評価>
下記のようにして得た接着剤組成物について、以下に示す方法で、粘度、タックフリータイム、せん断強度、耐熱性、難燃性を評価した。結果を第1表、第2表に示す。
(1)粘度(流動性)
・初期粘度:TV20型粘度計(ローター#7、1rpm)を使用し、20℃の条件下で下記のようにして得られた接着剤組成物の初期粘度(単位:Pa・s)を測定した。
(2)タックフリータイム(T.F.T.、速硬化性、貯蔵安定性)
・初期:下記のようにして得られた接着剤組成物を20℃、55%RHの条件下に置き、接着剤組成物の表面にポリエチレンフィルムを押しあてて接着剤組成物がフィルムに付着しなくなるまでの時間を測定した。
・貯蔵促進後:下記のようにして得られた接着剤組成物を70℃の条件下に24時間置き、接着剤組成物の貯蔵促進後のタックフリータイムを初期のタックフリータイムと同様にして測定した。
・変化率:[変化率]=([貯蔵促進後]-[初期])/[初期]
(3)せん断強度
長さ150mm、幅15mm、厚さ1mmの鋼板2枚を用い、接着面積が10mm×25mmで、接着層厚さ0.3mmとなるように接着剤組成物を1枚の鋼板の片面に塗布し、直ちに2枚を重ね合わせて密着させ、20℃、55%RHの条件下で7日間養生させ、試験体を得た。
養生後、引張試験機(AGS−10kNG、島津製作所社製)を用いて引っ張り速度10mm/分の条件で試験体の初期のせん断強度(常態、20℃)を測定した。 また、得られた試験体を60℃、90%RHの条件下に1000時間置いたのち、初期のせん断強度と同様の条件で、60℃、90%RHの条件下に1000時間置いた試験体のせん断強度を測定した(第1表)。
また、鋼板を重ね合わせて密着させてから20℃、55%RHの条件下で1時間養生させたのち、得られた試験体について上記と同様に初期のせん断強度を測定した。さらに鋼板を重ね合わせて密着させてから20℃、55%RHの条件下で14日養生させたのち、得られた試験体について上記と同様に14日後のせん断強度を測定した(第2表)。
(4)耐熱性
上記のせん断強度と同様の試験体を使用して、試験体を120℃の条件下に4週間置いた後のせん断強度と、常態のせん断強度とを、上記と同様の方法で測定した。
耐熱性の評価基準としては、
保持率[%]=(120℃×4週間後のせん断強度)/(常態のせん断強度)
として保持率が60%以上を○、60%未満を×とした。
(5)難燃性
下記のようにして得られた接着剤組成物をシリコーン離型紙および1.5mmのスペーサーを用いてシート状にし20℃、7日間養生させた後、離型紙から剥がし、厚さ1.5mm×幅13mm×長さ130mmの硬化シートを作製した。得られた硬化シートに対し、UL94規格に基づき垂直燃焼試験を行い、接炎による試料(硬化シート)の残炎時間を測定して難燃性を評価した。
<接着剤組成物の製造(実施例I)>
第1表に示す成分を同表に示す量(質量部)で使用しそれらを撹拌機を用いて混合して接着剤組成物を得た。
Figure 2010242007
第1表に示す成分の詳細は以下のとおりである。
・トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体:上述のとおり製造したトリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体
・ジアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体:メチルジメトキシシリル基変性ポリオキシプロピレン重合体、商品名MSポリマー S−303、カネカ社製
・BPA型エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名YD−128、東都化成株式会社、エポキシ当量190g/当量
・水酸化アルミ(無処理、8μ):水酸化アルミニウム、表面無処理、平均粒径8μm、B103、日本軽金属株式会社
・水酸化アルミ(無処理、2μ):水酸化アルミニウム、表面無処理、平均粒径2μm、B703、日本軽金属株式会社
・コロイダル水酸化アルミ(無処理、1μ):コロイダル水酸化アルミニウム、表面無処理、平均粒径1μm、BF013、日本軽金属株式会社
・水酸化アルミ(脂肪酸処理、2μ):水酸化アルミニウム、表面脂肪酸処理、平均粒径2μm、B703S、日本軽金属株式会社
・水酸化アルミ(シラン処理、2μ):水酸化アルミニウム、表面シラン化合物処理、平均粒径2μm、B703ST、日本軽金属株式会社
・水酸化アルミ(脂肪酸処理、1μ):水酸化アルミニウム、表面脂肪酸処理、平均粒径1μm、BF013S、日本軽金属株式会社
・コロイダル炭酸カルシウム:ビスコライトMBP(トリレンジイソシアネートとステアリルアルコールとの反応生成物により表面処理された炭酸カルシウム)、白石カルシウム社製
・重質炭酸カルシウム:スーパーS、丸尾カルシウム株式会社
・フュームドシリカ:疎水性フュームドシリカ、R−972、日本アエロジル社製、粒径0.016μm
・末端封鎖ポリエーテル:上記のとおり製造したもの
・ビニルシラン:KBM 1003、信越化学工業株式会社
・エポキシシラン:KBM 403、信越化学工業株式会社
・シリルアミド:上記のとおり製造したもの
・ケチミン:上述のとおり製造したもの
・錫触媒:4価スズ化合物(ジブチル錫塩と正珪酸エチルとの反応生成物、構造式:(C49)2Sn[OSi(OC253]2
なお、各難燃フィラーについてかっこ内に、その表面処理の状態、平均粒径を示した。
第1表に示す結果から明らかなように、難燃フィラーの量が組成物全量中の30質量%未満の比較例1は難燃性に劣った。難燃フィラーを含有しない比較例2は難燃性に劣った。また、エポキシ樹脂を含まない比較例3は組成物中に同重量%難燃フィラーを含有する実施例7に対して明らかに難燃性に劣った。
これに対して、実施例I−1〜9は、難燃性、耐湿性、耐熱性に優れる。また、脂肪酸・シランで表面処理した実施例I−4、5は無処理の場合よりも組成物を低粘度化することができた。
<接着剤組成物の製造(実施例II)>
第2表に示す成分を同表に示す量(質量部)で使用しそれらを攪拌機を用いて混合して2液型(実施例II-1)、1液型(実施例II−2)の接着剤組成物を得た。
Figure 2010242007
第2表に示す成分の詳細は以下のとおりである。
・トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体:上述のとおり製造したトリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体
・BPA型エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名YD−128、東都化成株式会社、エポキシ当量190g/当量
・水酸化アルミ(無処理、2μ):水酸化アルミニウム、表面無処理、平均粒径2μm、B703、日本軽金属株式会社
・フュームドシリカ:疎水性フュームドシリカ、R−972、日本アエロジル社製、粒径0.016μm
・末端封鎖ポリエーテル:第1表と同様
・ビニルシラン:KBM 1003、信越化学工業株式会社
・エポキシシラン:KBM 403、信越化学工業株式会社
・ケチミン:上述のとおり製造したもの
・錫触媒:4価スズ化合物(ジブチル錫塩と正珪酸エチルとの反応生成物、構造式:(C49)2Sn[OSi(OC253]2
なお、第2表において、水の量は、アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体(トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体)が有するアルコキシ基に対して1.3当量である。
・錫触媒:4価スズ化合物(ジブチル錫塩と正珪酸エチルとの反応生成物)
第2表に示す結果から明らかなように、2液型の接着剤組成物は、1液型の接着剤組成物よりも金属間の接着における初期せん断強度に優れる。

Claims (8)

  1. 加水分解性シリル基を有し主鎖が実質的にポリオキシアルキレンであるアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体100質量部と、
    エポキシ樹脂10〜100質量部と、
    下記式(I)で表されるカルボニル化合物とポリアミンとを反応させることによって得られるケチミンと、
    水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム水和物および硫酸マグネシウム水和物からなる群から選ばれる少なくとも1種の難燃フィラーと、
    硬化触媒とを含有し、
    前記ケチミンが有するイミノ基の量が、前記エポキシ樹脂が有するエポキシ基に対して、0.5〜1.5当量であり、
    前記難燃フィラーの量が、組成物全量中の30〜70質量%である接着剤組成物。
    Figure 2010242007

    (式中、R1は炭素原子数1〜6のアルキル基であり、R2はメチル基またはエチル基であり、R3は水素原子、メチル基またはエチル基であり、R4は水素原子またはアルキル基であり、nは1または2である。)
  2. 前記アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体が、前記加水分解性シリル基として、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、トリメトキシシリル基およびトリエトキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する請求項1に記載の接着剤組成物。
  3. さらに、数平均分子量が100〜5,000であり末端ヒドロキシ基が封鎖されているポリエーテルを含有し、前記ポリエーテルの量が前記アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体100質量部に対して5〜50質量部である請求項1または2に記載の接着剤組成物。
  4. 前記アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体100質量部に対して、下記式(2)で示されるN−シリルアミド化合物を0.2〜30重量部含む請求項1〜3のいずれか記載の接着剤組成物。
    (R1−CONH)4-n−Si−R2 n ・・・(2)
    (式中、R1はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数5〜21の炭化水素基であり、nが0、1または2のとき、R1は同じであっても異なっていてもよい。R2は炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシ基であり、nは0、1、2または3である。)
  5. 前記難燃フィラーは、その平均粒径が0.5〜30μmであり、脂肪酸またはシラン化合物で表面処理されている請求項1〜4のいずれかに記載の接着剤組成物。
  6. 前記難燃フィラーとして水酸化アルミニウムを含有する請求項1〜5のいずれかに記載の接着剤組成物。
  7. 前記ポリエーテルにおいて前記末端ヒドロキシ基がアルキル基、アルコキシ基またはアルキルシリル基で封鎖されている請求項1〜6のいずれかに記載の接着剤組成物。
  8. さらに、水を含有し、前記水の量が、前記アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体が有するアルコキシ基に対して0.5〜5当量である請求項1〜7のいずれかに記載の接着剤組成物。
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