JP5359605B2 - 無機フィラー系難燃剤およびこれを用いる湿気硬化型樹脂組成物 - Google Patents

無機フィラー系難燃剤およびこれを用いる湿気硬化型樹脂組成物 Download PDF

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本発明は、無機フィラー系難燃剤およびこれを用いる湿気硬化型樹脂組成物に関する。
従来、難燃性を有しない有機系の樹脂へ難燃性を付与する為には以下3つの処方が広く知られている。
(1) ハロゲン化合物と酸化アンチモンの添加
(2) 赤リン、リン酸エステル等のリン系化合物の添加
(3) 無機フィラー系難燃剤(水酸化アルミニウム:Al23・3H2O他)の添加
しかし、ハロゲンは燃焼時にダイオキシン類を発生させることから使用が規制されており、赤リンは燃焼時に有毒なホスフィンを生じる為安全上課題がある。またリン酸エステル等の有機リン化合物は水質汚染の主原因と考えられているのに加えて、シラノール縮合触媒を使用する硬化系(アルコキシシリル基含有ポリマー)では硬化遅延を引き起こす為、シラノール縮合を利用する接着剤、シーリング剤用途には不適である。
そこで最近になって広く使用されるようになってきたのが、環境・衛生上安全な(3)無機フィラー系難燃剤である。
無機フィラーについて樹脂との相溶性を向上させたり、耐湿性向上を狙って無機フィラーをシランカップリング剤やチタネートカップリング剤、脂肪酸などで表面処理することや、粒子の凝集を抑制または防止することを目的としてフィラーとの親和性を有するポリマーにより粒子表面が被覆されたフィラーが提案されている(例えば特許文献1〜4参照)。
一方、湿気硬化型の接着剤、シーリング材、ポッティング材についても難燃化のニーズは高まっている。湿気硬化型の樹脂は樹脂そのものが水と反応する設計なので水和フィラーを大量添加すると難燃性は発現するものの貯蔵安定性が悪くなるという点が課題であった。
特開平11−310682号公報 特開2007−332258号公報 特開2007−84633号公報 特開2002−284884号公報
種々のフィラーで実施されているように樹脂への分散等を改良するために各種シランでの処理、脂肪酸処理は広く知られているがシランまたは脂肪酸で処理されたフィラーを反応性樹脂(特に湿気硬化型の樹脂:ウレタン樹脂、変成シリコーン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体)に添加した場合には樹脂への分散性能や耐水性が向上するものの貯蔵安定性という点について課題があった。
そこで、本発明は、難燃性および貯蔵安定性に優れる湿気硬化型樹脂組成物、ならびに当該湿気硬化型樹脂組成物を実現しうる難燃剤を提供することを目的とする。
本願発明者らは、
ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂および加水分解性シリル基含有樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の湿気硬化型樹脂と、
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム水和物および硫酸マグネシウム水和物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機フィラーの表面に、炭素原子数15〜80のアルカン構造を含む、少なくとも1種のアルカン化合物Xを有し、前記アルカン構造が、無置換である、または、ウレタン結合、アミド結合およびエステル結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基と結合する、湿気硬化型樹脂組成物用の無機フィラー系難燃剤とを含有し、
前記無機フィラー系難燃剤の量が組成物全量中の30〜80質量%である湿気硬化型樹脂組成物が、難燃性および貯蔵安定性に優れることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記1〜9を提供する。
1. 水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム水和物および硫酸マグネシウム水和物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機フィラーの表面に、
炭素原子数15〜80のアルカン構造を含む、少なくとも1種のアルカン化合物Xを有し、
前記アルカン構造が、無置換である、または、ウレタン結合、アミド結合およびエステル結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基と結合する、湿気硬化型樹脂組成物用の無機フィラー系難燃剤。
2. 前記アルカン化合物Xが、下記式(1)で表される上記1に記載の無機フィラー系難燃剤。
2−(Y−R1n (1)
(式中、R1は炭素原子数15〜80のアルカン構造であり、nは1〜5の整数であり、Yは単結合、またはウレタン結合、アミド結合およびエステル結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基であり、前記Yが単結合である場合nは1でありR2は水素原子であり、前記Yが前記結合基である場合R2は炭化水素基である。)
3. 前記無機フィラーの粒径が、0.01〜50μmである上記1または2に記載の無機フィラー系難燃剤。
4. 前記アルカン化合物Xが、下記式(2)で表されるウレタン化合物である上記1〜3のいずれかに記載の無機フィラー系難燃剤。
2−(NHCOO−R1n (2)
(式中、R1は炭素原子数15〜80の脂肪族炭化水素基であり、R2は炭化水素基であり、nは1〜5の整数である。)
5. 前記アルカン化合物Xが、炭素原子数20〜80のパラフィンである上記1〜4のいずれかに記載の無機フィラー系難燃剤。
6. 前記アルカン化合物Xの融点が50〜200℃である上記1〜5のいずれかに記載の無機フィラー系難燃剤。
7. 前記アルカン化合物Xの量が、前記無機フィラー100質量部に対して、0.5〜20質量部である上記1〜6のいずれかに記載の無機フィラー系難燃剤。
8. 前記無機フィラーと前記アルカン化合物Xとを混合し加熱することによって上記1〜7のいずれかに記載の無機フィラー系難燃剤を製造する無機フィラー系難燃剤の製造方法。
9. ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂および加水分解性シリル基含有樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の湿気硬化型樹脂と、
上記1〜7のいずれかに記載の無機フィラー系難燃剤とを含有し、
前記無機フィラー系難燃剤の量が組成物全量中の30〜80質量%である湿気硬化型樹脂組成物。
本発明の無機フィラー系難燃剤は、難燃性、湿気硬化型樹脂に対する安定性に優れる。
本発明の湿気硬化型樹脂組成物は、難燃性および貯蔵安定性に優れる。
本発明について以下詳細に説明する。
はじめに、本発明の無機フィラー系難燃剤について以下に説明する。
本発明の無機フィラー系難燃剤は、
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム水和物および硫酸マグネシウム水和物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機フィラーの表面に、
炭素原子数15〜80のアルカン構造を含む、少なくとも1種のアルカン化合物Xを有し、
前記アルカン構造が、無置換である、または、ウレタン結合、アミド結合およびエステル結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基と結合する、湿気硬化型樹脂組成物用の難燃剤である。
アルカン化合物Xについて以下に説明する。
本発明の無機フィラー系難燃剤に使用されるアルカン化合物Xは、炭素原子数15〜80のアルカン構造を含み、前記アルカン構造が、無置換である、または、ウレタン結合、アミド結合およびエステル結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基と結合する化合物である。
アルカン構造は、直鎖状および分岐状のうちのいずれであってもよい。
アルカン化合物Xとしては、例えば、下記式(1)で表されるものが挙げられる。
2−(Y−R1n (1)
(式中、R1は炭素原子数15〜80のアルカン構造であり、nは1〜5の整数であり、Yは単結合、またはウレタン結合、アミド結合およびエステル結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基であり、前記Yが単結合である場合nは1でありR2は水素原子であり、前記Yが前記結合基である場合R2は炭化水素基である。)
1としてのアルカン構造は1価の脂肪族炭化水素基(アルキル基)であり、その炭素原子数は15〜80である。
Yは、単結合、またはウレタン結合、アミド結合およびエステル結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基であり、フィラーへコーティングしたときにフィラーとの相互作用が大きいという観点から、極性の高いウレタン結合であるのが好ましい。
2は水素原子または炭化水素基である。R2としての炭化水素基は特に制限されない。例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの組み合わせが挙げられる。
アルカン構造がウレタン結合、アミド結合およびエステル結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基と結合する場合、結合基と結合するアルカン構造は、下記式(4)で表される。
−Y−R1 (4)
(式中、R1は炭素原子数15〜80のアルカン構造であり、Yは、ウレタン結合、アミド結合およびエステル結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基である。)
Y、R1はそれぞれ上記式(1)と同義である。
なお、本発明において、前記Yが前記結合基である場合のアルカン化合物X(R1は炭素原子数15〜80の脂肪族炭化水素基であり、nは1〜5の整数であり、Yはウレタン結合、アミド結合およびエステル結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基であり、R2は炭化水素基である。)を「アルカン化合物X1」とする。
アルカン構造が無置換である場合、アルカン構造がアルカン化合物Xそのものとなる。
なお、本発明において、アルカン構造が無置換である場合のアルカン化合物X(Yが単結合でありn=1でありR2は水素原子である。)を「アルカン化合物X2」とする。アルカン化合物X2は、Cn2n+2(n=15〜80)と表すことができる。
アルカン化合物X1について以下に説明する。
アルカン化合物X1としては、例えば、下記式(3)で表されるものが挙げられる。
2−(Y−R1n (3)
(式中、R1は炭素原子数15〜80の脂肪族炭化水素基であり、nは1〜5の整数であり、Yはウレタン結合、アミド結合およびエステル結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基であり、R2は炭化水素基である。)
2は上記式(1)と同義である。Yは上記式(1)における結合基と同義である。R1は、上記式(1)のアルカン構造と同義である。
アルカン化合物X1の脂肪族炭化水素基(アルカン構造)の炭素原子数は、フィラーへ被覆する際に比較的低温で加熱しても液状になるという観点から、50以下であるのが好ましく、さらにフィラーへ被覆した後にフィラーを乾燥する工程では固体状態を保つという観点から、17以上が好ましい。
アルカン化合物X1としては、例えば、脂肪酸アミド、シリルアミド、脂肪酸エステル、水添脂肪酸エステル、シリルエステル、下記式(2)で表されるウレタン化合物[式(3)においてYがウレタン結合である場合]が挙げられる。
2−(NHCOO−R1n (2)
(式中、R1は炭素原子数15〜80の脂肪族炭化水素基(アルキル基)であり、R2は炭化水素基であり、nは1〜5の整数である。)
1、R2、nは上記式(3)と同義である。
アルカン化合物X1は、フィラーへ被覆する際に比較的低温で加熱しても液状になり、さらにフィラーへ被覆した後にフィラーを乾燥する工程では固体状態を保ち、さらに被覆したフィラーの難燃性、湿気硬化型樹脂との貯蔵安定性に優れるという観点から、下記式で表される化合物が好ましい。
Figure 0005359605
アルカン化合物X2について以下に説明する。
アルカン化合物X2は、Cn2n+2(n=15〜80)で表される化合物であれば特に制限されない。
アルカン化合物X2としては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、オレフィン系ワックスが挙げられる。
アルカン化合物X2は炭素原子数20〜80のパラフィン(パラフィンワックス)が好ましい。
アルカン化合物Xの融点は、難燃性、貯蔵安定性により優れ、生産性に優れるという観点から、50〜200℃であるのが好ましく、90〜150℃であるのがより好ましい。
アルカン化合物Xはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
アルカン化合物Xはその製造に特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。具体的にはアルカン化合物Xが式(2)で表される化合物である場合、R2−(NCO)nで表されるイソシアネート化合物とHO−R1で表されるヒドロキシ化合物とを反応させることによって製造することができる。式中、R1は炭素原子数15〜80の脂肪族炭化水素基(アルキル基)であり、R2は炭化水素基であり、nは1〜5の整数である。R1、R2、nは上記式(3)と同義である。
イソシアネート化合物はイソシアネート基を1個以上有する化合物であれば特に制限されない。2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−MDI)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′−MDI)、p−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI),1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ノルボルナンジイソシアナートメチル(NBDI)等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、H6XDI(水添XDI)、H12MDI(水添MDI)等の脂環式ジイソシアネート;テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI);フェニルイソシアネート、ラウリルイソシアネート、ステアリルイソシアネートのようなモノイソシアネート;ヌレート体のような3官能以上のイソシアネート化合物が挙げられる。
HO−R1で表されるヒドロキシ化合物(R1は炭素原子数15〜80の脂肪族炭化水素基)は特に制限されない。例えば、C1531−OH、C1837−OH、C2041−OH、C3061−OHが挙げられる。
イソシアネート化合物とヒドロキシ化合物との反応は、例えば、80〜130℃に加熱することによって行うことができる。
無機フィラーについて以下に説明する。
本発明の無機フィラー系難燃剤に使用される無機フィラーは、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム水和物および硫酸マグネシウム水和物からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
本発明において無機フィラー系難燃剤は、高温時に熱分解して水を発生する性質をもつ。
難燃フィラーとして水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム水和物および硫酸マグネシウム水和物からなる群から選ばれる少なくとも1種を使用する場合、ダイオキシンやホスフィンのような有害物質を発生させず、リン酸エステルのような硬化遅延を起こすことがなく速硬化性に優れ、吸熱量が大きく熱分解温度が低く難燃性に優れる。
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム水和物、硫酸マグネシウム水和物は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
なかでも、難燃性により優れるという観点から、水酸化アルミニウムが好ましい。
無機フィラーの粒径は、湿気硬化型樹脂へ添加したときに、低粘度であり、湿気硬化型樹脂を硬化させた後の物性が高強度である観点から、0.01〜50μmであるのが好ましく、0.1〜20μmであるのがより好ましい。
無機フィラーはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
アルカン化合物Xの量は、難燃性、貯蔵安定性により優れるという観点から、無機フィラー100質量部に対して、0.5〜20質量部であるのが好ましく、1〜10質量部であるのがより好ましい。
無機フィラーとアルカン化合物Xとの組み合わせは、貯蔵安定性、難燃性により優れるという観点から、水酸化アルミニウムと、ウレタン結合を有するアルカン化合物X1との組み合わせが好ましい。
本発明の無機フィラー系難燃剤は、無機フィラーの表面に少なくとも1種のアルカン化合物Xを有する。
本発明において、無機フィラーの表面に少なくとも1種のアルカン化合物Xを有するとは、無機フィラーの表面に少なくとも1種のアルカン化合物Xが存在することを意味する。無機フィラーの表面に少なくとも1種のアルカン化合物Xを有する態様としては、例えば、無機フィラーの表面へのアルカン化合物Xの吸着(例えば、物理吸着、化学吸着)、アルカン化合物X中の無機フィラーの分散が挙げられる。
本発明の無機フィラー系難燃剤は、無機フィラーと少なくとも1種のアルカン化合物Xとを少なくとも含有する混合物となることができる。例えば、アルカン化合物X中に無機フィラーが分散する場合、本発明の無機フィラー系難燃剤はアルカン化合物Xと無機フィラーとを含有する混合物となる。また、本発明の無機フィラー系難燃剤は、例えば、無機フィラーの表面へのアルカン化合物Xの吸着したものと、無機フィラーと、少なくとも1種のアルカン化合物Xとを含有する混合物;無機フィラーの表面へのアルカン化合物Xの吸着したものと、無機フィラーおよび少なくとも1種のアルカン化合物Xのうちの一方とを含有する混合物となることができる。
本発明の無機フィラー系難燃剤はその製造について特に制限されない。例えば、無機フィラーとアルカン化合物Xとを混合し加熱することによって製造することができる。
具体的には例えば、まず、無機フィラーを100〜120℃の条件下で18〜24時間乾燥させる。(無機フィラー乾燥工程)。
無機フィラーとアルカン化合物Xとを室温下で例えば撹拌機を用いて十分に攪拌した後、攪拌機の温度をアルカン化合物Xが有する融点+5〜20℃に加熱(昇温)して混合し(混合工程)、無機フィラー系難燃剤を製造する。
なお、得られた無機フィラー系難燃剤を使用する場合、使用前に無機フィラー系難燃剤を100〜120℃の条件下で24時間乾燥させるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
本発明の無機フィラー系難燃剤において、その用途は、湿気硬化型樹脂組成物用の無機フィラー系難燃剤である。
湿気硬化型樹脂組成物に含有される湿気硬化型樹脂は、湿気硬化することができる化合物であれば特に制限されない。例えば、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、加水分解性シリル基含有樹脂が挙げられる。
次に本発明の湿気硬化型樹脂組成物について以下に説明する。
本発明の湿気硬化型樹脂組成物は、
ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂および加水分解性シリル基含有樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の湿気硬化型樹脂と、
本発明の無機フィラー系難燃剤とを含有し、
前記無機フィラー系難燃剤の量が組成物全量中の30〜80質量%である組成物である。
本発明の湿気硬化型樹脂組成物は難燃性および貯蔵安定性に優れ、難燃性と貯蔵安定性とを両立させることができる。
湿気硬化型樹脂について以下に説明する。
本発明の湿気硬化型樹脂組成物に含有される湿気硬化型樹脂は、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂および加水分解性シリル基含有樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
湿気硬化型樹脂は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
加水分解性シリル基含有樹脂としては、例えば、シリコーン系樹脂、変成シリコーン樹脂(例えば、アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体)が挙げられる。
なかでも、貯蔵安定性により優れるという観点から、エポキシ系樹脂、加水分解性シリル基含有樹脂(例えば、アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体)が好ましい。
アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体について以下に説明する。
本発明の湿気硬化型樹脂組成物が含有することができるアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体は、加水分解性シリル基を有することを特徴とし、主鎖は特に制限されない。
アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体は反応性基として加水分解性シリル基を有する。加水分解性シリル基としては、例えば、アルキルジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基が挙げられる。アルキルジアルコキシシリル基としては、例えば、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基が挙げられる。
加水分解性シリル基がトリアルコキシシリル基である場合、速硬化性により優れ、発泡させずに室温における硬化を速くする(タックフリータイム:30分以下が可能。)ことができる。トリアルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基が挙げられる。
加水分解性シリル基の数は、難燃性、貯蔵安定性により優れ、耐湿性、耐熱性、流動性、せん断強度、粘度と可撓性のバランスに優れるという観点から、アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体1分子あたり1〜4個であるのが好ましい。
加水分解性シリル基は主鎖の末端におよび/または側鎖として結合することができる。粘度と可撓性のバランスに優れるという観点から、加水分解性シリル基は主鎖の少なくとも両末端に結合するのが好ましい。
加水分解性シリル基は主鎖と直接にまたは有機基を介して結合することができる。有機基は特に制限されない。例えば、ウレタン結合、ウレア結合、アミド結合を有する炭化水素基が挙げられる。
本発明において、アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体の主鎖は、特に制限されない。アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体において主鎖はホモポリマーまたは共重合体であってもよい。
また、主鎖は直鎖状、分岐状のいずれであってもよい。主鎖が直鎖状の場合硬化物の伸びに優れる。主鎖が分岐状の場合せん断強度に優れる。
アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体は、速硬化性と接着性に優れるという観点から、ジアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体、トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体が好ましい。
ジアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体としては、例えば、末端にジメトキシシリル基、あるいはジエトキシシリル基を有するポリオキシプロピレン重合体が好ましい。
アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体は、速硬化性に優れるという観点から、トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体が好ましい。
トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体としては、末端にトリメトキシシリル基、あるいはトリエトキシシリル基を有するポリオキシプロピレン重合体が好ましく、2個以上の末端にトリメトキシシリル基をそれぞれ1個有するポリオキシプロピレン重合体、2個以上の末端にトリエトキシシリル基をそれぞれ1個有するポリオキシプロピレン重合体がより好ましく、両末端にトリメトキシシリル基を有する直鎖状のポリオキシプロピレン重合体、両末端にトリエトキシシリル基を有する直鎖状のポリオキシプロピレン重合体、両末端にトリメトキシシリル基を有し側鎖の末端にトリメトキシシリル基を有する3官能の分岐状ポリオキシプロピレン重合体、両末端にトリエトキシシリル基を有し側鎖の末端にトリエトキシシリル基を有する3官能の分岐状ポリオキシプロピレン重合体がさらに好ましい。
トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体としては、例えば、下記式(V)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005359605

式中、R1、R2は炭素原子数1〜5のアルキレン基であり、R3はメチル基またはエチル基であり、nは9〜900の整数であり、mは1〜5の整数であり、Aは原料として使用される、ポリオキシアルキレンモノオールまたはポリオキシアルキレンポリオールを製造する際に用いられる開始剤の残基である。
トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体を製造する際、原料としてポリオキシアルキレンモノオールまたはポリオキシアルキレンポリオールを使用することができるが、そのポリオキシアルキレンモノオールまたはポリオキシアルキレンポリオールを製造する際に用いられる開始剤は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
本発明の湿気硬化型樹脂組成物は、組成物を低粘度にすることを目的として、2個以上の末端にアルコキシシリル基をそれぞれ1個有するポリオキシプロピレン重合体に対して、片末端にアルコキシシリル基を1個有するポリオキシプロピレン重合体を混合することができる。片末端にアルコキシシシリル基を1個有するポリオキシプロピレン重合体は、別の末端にアルコキシシリル基を有さずヒドロキシ基を有してもよい。
片末端にアルコキシシリル基を1個有するポリオキシプロピレン重合体の量は、2個以上の末端にアルコキシシリル基をそれぞれ1個有するポリオキシプロピレン重合体に対して、10質量%以下であるのが硬化物の物性(強度と伸び)が極端に低下しないという点から好ましい。
アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体の分子量は、難燃性、貯蔵安定性により優れ、速硬化性、耐熱性、耐湿性、せん断強度、粘度と可撓性のバランスに優れるという観点から、3,000〜50,000であるのが好ましく、10,000〜30,000であるのがより好ましい。
アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体はその製造について特に制限されない。例えば、ポリオキシアルキレンモノオールおよび/またはポリオキシアルキレンポリオール(例えば、A−[(OR1n−OH]mで表される化合物が挙げられる。R1、n、mは、Aは上記式(V)と同義である。)と、ハロゲン化不飽和炭化水素基(例えば、R2−Xで表される化合物が挙げられる。R2は炭素原子数1〜10の、不飽和結合を有する炭化水素基であり、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のようなハロゲン原子である。)とを反応させ、不飽和結合を有するポリオキシアルキレン化合物(例えば、A−[(OR1n−O−R2mで表される化合物。)を得ることができる。
次に、不飽和結合を有するポリオキシアルキレン化合物を白金ビニルシロキサン錯体のような白金触媒の存在下においてヒドロトリアルコキシシラン(例えば、HSi(OR33で表される化合物。R3は上記式(V)と同義である。)またはヒドロジアルコキシアルキルシランと反応させることによってアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体を製造することができる。
白金触媒は、ヒドロシラン化合物と不飽和炭化水素基との反応に使用できるものであれば特に制限されない。
アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
エポキシ樹脂について以下に説明する。
本発明の湿気硬化型樹脂組成物がエポキシ樹脂を含有する場合、難燃性により優れ、耐湿性、耐熱性に優れる。
本発明の湿気硬化型樹脂組成物に含有することができるエポキシ樹脂は、1分子中にエポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に制限されない。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ヘキサヒドロビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、ピロカテコール、レゾルシノール、クレゾールノボラック、テトラブロモビスフェノールA、トリヒドロキシビフェニル、ビスレゾルシノール、ビスフェノールヘキサフルオロアセトン、テトラメチルビスフェノールF、ビキシレノール等の多価フェノールとエピクロルヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテル型;グリセリン、ネオペンチルグリール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の脂肪族多価アルコールとエピクロルヒドリンとの反応によって得られるポリグリシジルエーテル型;p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテルエステル型;フタル酸、メチルフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラハイドロフタル酸、ヘキサハイドロフタル酸、エンドメチレンテトラハイドロフタル酸、エンドメチレンヘキサハイドロフタル酸、トリメリット酸、重合脂肪酸等のポリカルボン酸から誘導されるポリグリシジルエステル型;アミノフェノール、アミノアルキルフェノール等から誘導されるグリシジルアミノグリシジルエーテル型;アミノ安息香酸から誘導されるグリシジルアミノグリシジルエステル型;アニリン、トルイジン、トリブロムアニリン、キシリレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン等から誘導されるグリシジルアミン型;さらにエポキシ化ポリオレフィン、グリシジルヒダントイン、グリシジルアルキルヒダントイン、トリグリシジルシアヌレートが挙げられる。
なかでも、難燃性、貯蔵安定性により優れ、耐湿性、耐熱性、流動性、せん断強度、粘度と可撓性のバランスに優れるという観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明において、湿気硬化型樹脂としてアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体とエポキシ樹脂とを併用する場合、エポキシ樹脂の量は、難燃性、貯蔵安定性により優れ、流動性、耐湿性、耐熱性、せん断強度、粘度と可撓性のバランスに優れるという観点から、アルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体100質量部に対して、1〜50質量部であるのが好ましい。
湿気硬化型樹脂はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の湿気硬化型樹脂組成物がエポキシ樹脂を含有する場合、本発明の湿気硬化型樹脂組成物はさらにケチミンを含有することができる。本発明の湿気硬化型樹脂組成物がエポキシ樹脂およびケチミンを含有する場合、難燃性により優れ、耐湿性、耐熱性に優れる。
ケチミンについて以下に説明する。
本発明の湿気硬化型樹脂組成物が含有することができるケチミンは、下記式(I)で表されるカルボニル化合物とポリアミンとを反応させることによって得られる化合物である。
Figure 0005359605

式中、R1は炭素原子数1〜6のアルキル基であり、R2はメチル基またはエチル基であり、R3は水素原子、メチル基またはエチル基であり、R4は水素原子またはアルキル基であり、nは1または2である。
1とR2とは互いに結合して環構造を形成することができる。R1とR4とは互いに結合して環構造を形成することができる。
ケチミンが有する1つのイミノ基(−N=)は湿気と反応して加水分解することで1級のアミンになり、1個または2個のエポキシ基と反応することができる。
カルボニル化合物について以下に説明する。
本発明の湿気硬化型樹脂組成物が含有することができるケチミンの製造の際に使用されるカルボニル化合物は式(I)で表されるものである。
式(I)において、炭素原子数1〜6のアルキル基は直鎖状および分岐状のうちのいずれであってもよい。炭素原子数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基が挙げられる。
4としてのアルキル基は特に制限されない。例えば、上記の炭素原子数1〜6のアルキル基と同義である。
カルボニル化合物としては、例えば、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、メチルt−ブチルケトン(MTBK)、メチルシクロヘキシルケトン、メチルシクロヘキサノンのような式(I)中のnが1でありR4がアルキル基であるケトン;式(I)中のnが2であるケトン:式(I)中のnが1でありR4が水素原子であるアルデヒド化合物が挙げられる。
なかでも、速硬化性、貯蔵安定性により優れるという観点から、式(I)中のnが1でありR4がアルキル基であるケトンが好ましく、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、メチルt−ブチルケトン(MTBK)、メチルシクロヘキシルケトン、メチルシクロヘキサノンがより好ましい。
ケチミンの製造の際に使用されるポリアミンについて以下に説明する。
ポリアミンは、アミノ基を2個以上有する化合物であれば特に制限されない。例えば、式(II)で表される化合物が挙げられる。
R−(CH2−NH2n (II)
式中、Rは例えば酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有してもよい炭化水素基であり、nは2以上の整数である。
Rは速硬化性、貯蔵安定性に優れるという観点から、炭素原子数1〜10であるのが好ましい。
nは、入手が容易な1〜4であるのが好ましい。
ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパンのような脂肪族ポリアミン;サンテクノケミカル社製のジェファーミンEDR148のようなポリエーテル骨格のジアミン;1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1−シクロヘキシルアミノ−3−アミノプロパン、3−アミノメチル−3,3,5−トリメチル−シクロヘキシルアミン、三井東圧化学(株)製のNBDA(ノルボルナンジアミン)に代表されるノルボルナン骨格のジアミン、N−アミノエチルピペラジンのような脂環式炭化水素基を有するポリアミン;芳香族ポリアミン;メタキシリレンジアミン、テトラメチルキシリレンジアミンのような芳香族炭化水素基に結合する脂肪族炭化水素基を有するポリアミン;ポリアミドの分子末端にアミノ基を有するポリアミドアミンが挙げられる。
なかでも、速硬化で、エポキシ樹脂との貯蔵安定性に優れるという観点から、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、NBDAが好ましい。
カルボニル化合物とポリアミンとの組み合わせとしては、速硬化性と貯蔵安定性のバランスに優れるという観点から、メチルイソプロピルケトン(MIPK)とヘキサメチレンジアミン(HMDA)との組み合わせ、メチルイソプロピルケトン(MIPK)とNBDAとの組み合わせが好ましい。
ケチミンはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明において、前記ケチミンが有するイミノ基の量は、難燃性、貯蔵安定性により優れ、耐熱性、せん断強度に優れるという観点から、前記エポキシ樹脂が有するエポキシ基に対して、0.5〜1.5当量であるのが好ましく、0.7〜1.0当量であるのがより好ましい。
無機フィラー系難燃剤について以下に説明する。
本発明の湿気硬化型樹脂組成物に含有される無機フィラー系難燃剤は本発明の無機フィラー系難燃剤であれば特に制限されない。
本発明において、無機フィラー系難燃剤の量は難燃性、貯蔵安定性に優れるという観点から、組成物全量中の30〜80質量%である。さらに無機フィラー系難燃剤の量は、湿気硬化型樹脂組成物の作業性(低粘度)、硬化後の物性(長伸度、高強度)に優れるという観点から組成物全量中の40〜65質量%であるのが好ましい。
本発明の湿気硬化型樹脂組成物はさらに硬化触媒を含有することができる。
本発明の湿気硬化型樹脂組成物が含有することができる硬化触媒は、例えば、シラノール縮合触媒、ウレタン樹脂用、エポキシ樹脂用として使用されるものであれば特に制限されない。シラノール縮合触媒としては、例えば、チタン系エステル類、錫化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、ビスマス化合物、アミン化合物が挙げられる。
なかでも、速硬化性、硬化物の変色が比較的おきにくいという観点から、錫化合物が好ましく、4価の錫化合物がより好ましい。
4価の錫化合物としては、例えば、ジブチルスズジラウリレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズ、ラウリン酸スズのようなカルボン酸塩;ジブチルスズオキサイドとフタル酸エステルとの反応物;ジアルキルスタノキサンジカルボキシレート;ジブチルスズジメトキシドのようなジアルキルスズアルコラート;(ジアルキルスタノキサン)ジシリケート化合物;ジブチルスズジアセチルアセトナートのようなキレートが挙げられる。
(ジアルキルスタノキサン)ジシリケート化合物としては、例えば、下記式(IV)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005359605

式中、R5は炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、R6は炭素原子数1〜10の炭化水素基でありR5,R6は同一でも異なっていてもよい。mは0〜3の整数である。
炭素原子数1〜10の炭化水素基(R5)としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
炭素原子数1〜10の炭化水素基(R6)としては、例えば、ブチル基が挙げられる。
(ジアルキルスタノキサン)ジシリケート化合物としては、例えば、ジブチル錫塩(例えば、ジブチル錫アセテートが挙げられる。)と正珪酸エチルとの反応生成物が挙げられる。
なかでも、速硬化性、貯蔵安定性により優れ、ポリエーテルに対して安定であるという観点から、ジアルキルスズアルコラート、キレート、(ジアルキルスタノキサン)ジシリケート化合物が好ましく、ジブチル錫塩と正珪酸エチルとの反応生成物がより好ましい。
硬化触媒はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
硬化触媒の量は、難燃性、貯蔵安定性により優れ、速硬化性、耐熱性、流動性、せん断強度に優れるという観点から、湿気硬化型樹脂100質量部に対して、0.25〜2質量部であるのがより好ましい。
本発明の湿気硬化型樹脂組成物は、さらに末端ヒドロキシ基が封鎖されているポリエーテルを含有することができる。
本発明の湿気硬化型樹脂組成物がさらに含有することができるポリエーテルとしては、例えば、数平均分子量が100〜5,000であり末端ヒドロキシ基が封鎖されている化合物が挙げられる。
本発明の湿気硬化型樹脂組成物がさらに含有することができるポリエーテルは、本発明の湿気硬化型樹脂組成物に含有される湿気硬化型樹脂、および必要に応じて使用することができる硬化触媒に対して不活性であり硬化触媒を失活させることがない。
本願発明者らは、数平均分子量が100〜5,000であり末端ヒドロキシ基が封鎖されているポリエーテルが湿気硬化型樹脂および硬化触媒に対して安定性を有することを見出した。
本発明の湿気硬化型樹脂組成物は、可塑剤として数平均分子量が100〜5,000であり末端ヒドロキシ基が封鎖されているポリエーテルを含有することによって、エステル系可塑剤を含有する場合に比べて、湿気硬化型樹脂および硬化触媒に対して安定であり、湿気硬化型樹脂に対する貯蔵安定性により優れ、速硬化性に優れ、増粘しにくく、作業性および硬化速度が経時で変化しない。
ポリエーテルの主鎖はオキシアルキレン基を繰り返し単位として有する重合体であれば特に制限されない。例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、それらの共重合体が挙げられる。
ポリエーテルの主鎖は、耐湿熱性に優れるという観点から、ポリオキシプロピレン重合体であるのが好ましい。ポリエーテルの主鎖は、直鎖状および分岐状のうちのいずれであってもよい。
本発明においてポリエーテルの末端に結合するヒドロキシ基は封鎖されている。末端ヒドロキシ基を封鎖する基は特に制限されない。例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキルシリル基が挙げられる。
なかでも、アルキル基、アルコキシ基、アルキルシリル基で封鎖した場合には、添加量によって硬化速度、硬化後の物性が変化しない観点から扱いやすい。
アルキル基は、炭素原子数1〜3のものが挙げられる。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。
アルコキシ基は、炭素原子数1〜3のものが挙げられる。例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が挙げられる。
アルキルシリル基としてはアルキル基部分の炭素原子数1〜3のものが挙げられる。アルキルシリル基が有するケイ素原子に酸素原子が結合することができる。例えばトリアルキルシリルオキシ基が挙げられる。トリアルキルシリルオキシ基としては例えば下記の構造のものが挙げられる。
Figure 0005359605
ポリエーテルとしては、例えば、下記式(VI)、式(III)で表される化合物が挙げられる。
B−R4−(OR4n−B (VI)
式(VI)中、R4は炭素原子数1〜5のアルキレン基であり、nは1〜120の整数であり、Bは末端ヒドロキシ基を封鎖する基である。末端ヒドロキシ基を封鎖する基は上記と同義である。なお式(VI)中、原料としてのポリオキシアルキレンジオールを製造する際に使用される重合開始剤は省略する。
D−(OR4n−B (III)
式(III)中、R4は炭素原子数1〜5のアルキレン基であり、nは1〜120の整数であり、Bは末端ヒドロキシ基を封鎖する基であり、Dは重合開始剤として使用したモノオール残基である。末端ヒドロキシ基を封鎖する基は上記と同義である。
本発明において、ポリエーテルの数平均分子量は100〜5,000であるのが好ましい。ポリエーテルの数平均分子量がこのような範囲の場合、ポリエーテルが揮発しにくく本発明の湿気硬化型樹脂組成物を無溶媒とすることができる。
組成物から揮発成分がなく低粘度化できるという観点から、ポリエーテルの数平均分子量は、500〜3,000であるのがより好ましい。
ポリエーテルはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリエーテルはその製造について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。ポリエーテルの製造の際に使用される原料としての、ヒドロキシ基を有するポリエーテルは、ヒドロキシ基を1個以上有するポリエーテル(例えばヒドロキシ基を1個以上有するポリオキシアルキレンが挙げられる。具体的には、ポリオキシアルキレンモノオール、ポリオキシアルキレンポリオールが挙げられる。)であれば特に制限されない。
本発明において、ポリエーテルの量は、せん断強度を維持したまま低粘度化できるという観点から、湿気硬化型樹脂100質量部に対して、5〜50質量部であるのが好ましく、5〜20質量部であるのがより好ましい。
本発明の湿気硬化型樹脂組成物は、さらに、表面処理炭酸カルシウムを含有することができる。本発明の湿気硬化型樹脂組成物がさらに表面処理炭酸カルシウム、特にコロイダル炭酸カルシウムを含有する場合、補強性に効果があり、結果せん断強度に優れる。
表面処理炭酸カルシウムは特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
表面処理剤は特に制限されない。例えば、脂肪酸、各種シランカップリング剤、ウレタン樹脂・パラフィン等のワックスが挙げられる。なかでも、樹脂への分散がよく、補強効果の大きいウレタン樹脂で処理することが好ましい。
表面処理炭酸カルシウムの平均粒径は、耐熱性、貯蔵安定性、せん断強度に優れるという観点から、0.01〜0.5μmであるのが好ましい。
表面処理炭酸カルシウムはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
表面処理炭酸カルシウムはその製造について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
表面処理炭酸カルシウムの量はせん断強度と組成物の粘度のバランスから、湿気硬化型樹脂100質量部に対して10〜100質量部であるのが好ましい。
本発明の湿気硬化型樹脂組成物は、上記成分のほかに必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、さらに添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、カーボンブラック、溶融シリカ、珪砂、珪酸カルシウム等、マイカ、タルク、アルミナ、モンモリロナイト、ヒュームドシリカのような充填剤、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素などの熱伝導性フィラー、ガラスバルーン、各種樹脂バルーン等の中空フィラー、ポリメタクリル酸等を微細化した各種樹脂フィラー、本発明の湿気硬化型樹脂組成物が含有することができるポリエーテル以外の可塑剤、ビニルシラン、シリケート化合物のような脱水剤、エポキシシラン、アミノシラン、メタクリルシランのようなシランカップリング剤、脂肪酸ポリアマイド系ワックスのようなチクソトロピー付与剤、酸化チタン等の顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、接着付与剤、分散剤、溶剤、硬化剤が挙げられる。
本発明の湿気硬化型樹脂組成物はその製造について特に制限されない。例えば、上述の各成分を減圧し窒素雰囲気下において混合ミキサー等の攪拌装置を用いて十分混練し、均一に分散させて製造する方法が挙げられる。
本発明の湿気硬化型樹脂組成物は、1液型または2液型として製造することができる。
本発明の湿気硬化型樹脂組成物は室温(5〜35℃)で硬化することができる。
また、本発明の湿気硬化型樹脂組成物は例えば大気中の湿気によって硬化することができる。
本発明の湿気硬化型樹脂組成物を適用することができる被着体は特に制限されない。例えば、金属、プラスチック、ゴム、ガラス、セラミックが挙げられる。
本発明の湿気硬化型樹脂組成物を被着体に適用する方法は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
本発明の湿気硬化型樹脂組成物の用途としては、例えば、シーリング材、接着剤、コーティング材、プライマー、塗料、ポッティング材が挙げられる。
本発明の湿気硬化型樹脂組成物は、各種電気・電子分野用、建築物用、自動車用、土木用等に使用可能である。
本発明の湿気硬化型樹脂組成物は、エアコン、ファンヒーター、送風機、除湿機、加湿器に使用することができる。
また、本発明の湿気硬化型樹脂組成物は難燃性製品の部品接着に使用することができる。難燃性製品としては、例えばスピーカー、ビデオカセットプレイヤー、テレビ、ラジオ、自動販売機、冷蔵庫、パーソナルコンピューター、カード型電池、ビデオカメラ、カメラ、自動車部品、精密機器等が挙げられる。
また、本発明の湿気硬化型樹脂組成物を高圧部品、高圧となりうる回路やその周辺で使用される部品の接着、長時間連続運転される電器製品内の接着に適用することができる。これらの部品の具体例としては、例えば、コネクター、スイッチ、リレー、電線ケーブル、フライバックトランス、偏向ヨークが挙げられる。
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
<無機フィラー系難燃剤の製造>
まず、各無機フィラー110℃の条件下で18〜24時間乾燥させた(無機フィラー乾燥工程)。
プラネタリーミキサーを用いて、下記第1表に示す、各無機フィラーと各アルカン化合物Xを同表に示す量(質量部)で混合し(混合工程)、無機フィラー系難燃剤を製造した。混合工程において、温度115℃、処理時間40分の条件で混合を行った。得られた無機フィラー系難燃剤を無機フィラー系難燃剤1〜10とする。
また、得られた無機フィラー系難燃剤1〜10をそれぞれ20℃の条件下に置いた。そして、無機フィラー系難燃剤1〜10を湿気硬化型樹脂組成物に配合する24時間前に、400gの各無機フィラー系難燃剤を110℃の条件下で24時間乾燥させ、乾燥させたものを湿気硬化型樹脂組成物に使用した。
Figure 0005359605
第1表に示す各成分の詳細は以下のとおりである。
・無機フィラー:水酸化アルミニウム(B703、日本軽金属社製)無処理品
・アルカン化合物X−1a:下記式で表される化合物、融点100℃
Figure 0005359605

ステアリルアルコール(和光純薬工業社製)298gを、100℃で1時間減圧乾燥後、攪拌しながらトリレンジイソシアネート(三井化学ポリウレタン社製、商品名コスモネートT−80)87gを添加して90〜110℃で3時間反応させることによって固体状のアルカン化合物X−1aを得た。
・アルカン化合物X−2a:Cn2n+2(n=20〜80)表される化合物の混合物、商品名FNP115、日本精鑞社製、融点113℃
・脂肪酸:ステアリン酸
・エポキシシラン:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、商品名KBM403、信越化学工業社製
・メタクリロキシシラン:商品名KBM503、信越化学工業社製
・ビニルシラン:ビニルトリメトキシシラン、商品名KBM1003、信越化学工業社製
<湿気硬化型樹脂の製造>
脱水したポリオキシプロピレンジオール(直鎖状、数平均分子量約3,000、1分子あたりのヒドロキシ基数:2)を開始剤とし、プロピレンオキシドの重合を行い、数平均分子量約20,000の水酸基末端ポリプロピレンオキシドを得た。続いて、この水酸基末端ポリプロピレンオキシドの水酸基に対して、更に塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換し、末端がアリル基である数平均分子量約20,000の2官能のアリルポリプロピレンオキシドを得た。
得られた2官能のアリルポリプロピレンオキシド100重量部に対し、白金ビニルシロキサン錯体の白金含量3wt%のイソプロパノール溶液150ppmを触媒として、下記化学式:HSi(OCH33
と90℃で2時間反応させ、トリメトキシシリル基を有する重合体(末端シリル直鎖ポリエーテル樹脂)を得た。
得られた重合体について、1H−NMRによる分析を行い、分子末端にトリメトキシシリル基を1分子あたり平均2個有するトリアルコキシシリル基変性ポリオキシエチレン重合体であることを確認した。
得られたトリアルコキシシリル基変性ポリオキシプロピレン重合体を湿気硬化型樹脂1とする。
<ケチミンの製造>
ヘキサメチレンジアミン(試薬、和光純薬工業社製)580g、メチルイソプロピルケトン(試薬、和光純薬工業社製)860g、トルエン(試薬、和光純薬工業社製、以下同じ)710g、および酢酸(試薬、和光純薬工業社製、以下同じ)1.65gをフラスコに入れ、生成する水を共沸により除きながら120℃で15時間反応を続けた。次に、150℃、5mmHg下で減圧蒸留をしてトルエン、残留ケトン等を除いた。
<ポリエーテル系可塑剤の製造>
乾燥した数平均分子量1200のポリオキシプロピレンモノオール(商品名:ニューポールLB−285、三洋化成工業社製)に、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(商品名:A−166、日本ユニカー社製)および、触媒としてサッカリンを加えた組成物を100℃で6時間反応させ、水酸基がトリメチルシリル基で封鎖された化合物(ポリエーテル系可塑剤)を得た。IRスペクトルにより、水酸基が完全に消滅していることを確認した。得られたポリエーテルをポリエーテル系可塑剤とする。
<評価>
下記のようにして得た湿気硬化型樹脂組成物について、以下に示す方法で、タックフリータイム、粘度、せん断強度、難燃性を評価した。結果を第2表に示す。
1.タックフリータイム(T.F.T.、速硬化性、貯蔵安定性)
下記のようにして得られた組成物を20℃、55%RHの条件下に置き、湿気硬化型樹脂組成物の表面にポリエチレンフィルムを押しあてて湿気硬化型樹脂組成物がフィルムに付着しなくなるまでの時間を測定した。
2.粘度(流動性)
・初期粘度:TV20型粘度計(ローター#7、1rpm)を使用し、20℃の条件下で下記のようにして得られた湿気硬化型樹脂組成物の初期粘度(単位:Pa・s)を測定した。
・増粘率:得られた組成物を50℃の条件下に14日間置いたのちの貯蔵促進試験後の粘度を初期粘度と同様にして測定し、増粘率を下記式に当てはめて求めた。
増粘率(%)=(貯蔵促進試験後の粘度)/(初期粘度)×100
3.せん断強度
長さ150mm、幅15mm、厚さ1mmの鋼板2枚を用い、接着面積が10mm×25mmで、接着層厚さ0.3mmとなるように湿気硬化型樹脂組成物を1枚の鋼板の片面に塗布し、直ちに2枚を重ね合わせて密着させ、20℃、55%RHの条件下で7日間養生させ、試験体を得た。
養生後、引張試験機(AGS−10kNG、島津製作所社製)を用いて引っ張り速度10mm/分の条件で試験体の初期のせん断強度(常態、20℃)を測定した。
また、得られた試験体を60℃、90%RHの条件下に1000時間置いたのち、初期のせん断強度と同様の条件で、60℃、90%RHの条件下に1000時間置いた試験体のせん断強度を測定した。
4.難燃性
下記のようにして得られた組成物をシリコーン離型紙および1.5mmのスペーサーを用いてシート状にして20℃、7日間養生させた後、離型紙から剥がし、厚さ1.5mm×幅13mm×長さ130mmの硬化シートを作製した。得られた硬化シートに対し、UL94規格に基づき垂直燃焼試験を行い、接炎による試料(硬化シート)の残炎時間を測定して難燃性を評価した。
<湿気硬化型樹脂組成物の製造>
第2表に示す成分を同表に示す量(質量部)で用いて、これらをプラネタリーミキサーで混合し湿気硬化型樹脂組成物を製造した。
Figure 0005359605
第2表に示されている各成分の詳細は、以下のとおりである。
Figure 0005359605
なお、第2表に示す水酸化アルミニウム(無処理)は、上記<無機フィラー系難燃剤の製造>における混合工程を除いた以外は上記<無機フィラー系難燃剤の製造>と同様に実験を行うことによって得られたものである。
また、第2表に示すアルカン化合物Xは、第1表に示すアルカン化合物X−1aと同一である。
第2表に示す結果から明らかなように、アルカン化合物Xを有さない無機フィラーを含有する比較例1〜5は貯蔵安定性が低かった。また、無処理の無機フィラーとアルカン化合物Xとを含有する比較例6は貯蔵安定性が低かった。
これに対して、実施例1〜6は難燃性および貯蔵安定性に優れ、難燃性と貯蔵安定性とを両立させることができる。

Claims (8)

  1. 水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム水和物および硫酸マグネシウム水和物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機フィラーの表面に、
    炭素原子数15〜80のアルカン構造を含む、少なくとも1種のアルカン化合物Xを有し、
    前記アルカン化合物Xが、下記式(3)で表される化合物、又は、C n 2n+2 (n=15〜80)で表される化合物である、湿気硬化型樹脂組成物用の無機フィラー系難燃剤。
    2 −(Y−R 1 n (3)
    (式中、R 1 は炭素原子数15〜80の脂肪族炭化水素基であり、nは1〜5の整数であり、Yはウレタン結合、アミド結合およびエステル結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基であり、R 2 は炭化水素基である。)
  2. 前記無機フィラーの粒径が、0.01〜50μmである請求項に記載の無機フィラー系難燃剤。
  3. 前記式(3)で表される化合物が、下記式(2)で表されるウレタン化合物である請求項1又は2に記載の無機フィラー系難燃剤。
    2−(NHCOO−R1n (2)
    (式中、R1は炭素原子数15〜80の脂肪族炭化水素基であり、R2は炭化水素基であり、nは1〜5の整数である。)
  4. 前記 n 2n+2 (n=15〜80)で表される化合物が、炭素原子数20〜80のパラフィンである請求項1〜のいずれかに記載の無機フィラー系難燃剤。
  5. 前記アルカン化合物Xの融点が50〜200℃である請求項1〜のいずれかに記載の無機フィラー系難燃剤。
  6. 前記アルカン化合物Xの量が、前記無機フィラー100質量部に対して、0.5〜20質量部である請求項1〜のいずれかに記載の無機フィラー系難燃剤。
  7. 前記無機フィラーと前記アルカン化合物Xとを混合し加熱することによって請求項1〜のいずれかに記載の無機フィラー系難燃剤を製造する無機フィラー系難燃剤の製造方法。
  8. ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂および加水分解性シリル基含有樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の湿気硬化型樹脂と、
    請求項1〜のいずれかに記載の無機フィラー系難燃剤とを含有し、
    前記無機フィラー系難燃剤の量が組成物全量中の30〜80質量%である湿気硬化型樹脂組成物。
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